全能で楽しく公爵家!!

山椒

文字の大きさ
上 下
89 / 109
王都でも渦中

089:全能的罰。

しおりを挟む
 真面目な話から一転して、通常の男では確実に押し倒していたであろうグリーテンのお色気攻撃に耐え、グリーテンに送られてベラが待つ宿に戻ってきた。

「ただいま……ベラ」
「おかえりなさいませ、アーサーさま」
「まだ五歳には早かったみたいね」

 もうゴールしてもいいんじゃないのか? と何度も思ったがこれをベラが見ているのだと思ったら踏みとどまることができた。

 そもそも本来なら五歳は精通も勃起もできていない時期で、ゴールとかそういうのは考えなくていいのだが、俺のほぼ全能があるから精神に引っ張られてそういうことができるようになっているのが厄介だ。

 俺のほぼ全能は俺の能力をおさえること限定でできないのだから。

 というか未だに俺の貞操は死守できているが、誰に心を許そうか贅沢な悩みを持っているわけで、前世の俺が見ていたら殴り殺していたところだ。いや、そもそもそんなに人間に興味がなかったから何も感じないのが正解か。

「グリーテンさま、いい加減にしていただけませんか?」
「なんのこと?」
「とぼけないでください。五歳のアーサーさまを誘惑するなど、もってのほかです」
「あら、もしかして嫉妬しているのかしら?」
「アルノさまにご報告させていただきます」
「……それはちょっとまずいわね。でもアーサーも本気で嫌がっているわけではなかったからいいじゃない。早すぎる性教育よ」
「早すぎるに決まっています!」

 本当にこの二人は相容れないな。でもそれは俺がいるからそうなっているだけで、俺がいなければたぶんこうなっていないだろうな。

 とにもかくにも、今日が終わったらランスロット領に帰ることができるわけだ。

 終わればね。もう夕方だから終わりそうだけど、あと一つだけやることが残っている。

 ついぞ社交界では会うことがなかったアンリ・ペンドラゴンへの制裁だ。

 シルヴィー姉さんとルーシー姉さん、というかルーシー姉さんが次にアンリ・ペンドラゴンに会った時に殺しかねないほどの殺意を持っていたから、これは最重要ミッションだ。

 グリーテンからさっき聞いた話によれば、アンリ・ペンドラゴンは七天教会と手を組んでランスロット家含めて邪魔なものたちを潰そうとしているらしい。

 それはもうやってくださいと言っているようなものだ。

 どうやって制裁するのかは前もって考えているから、あとはやつの居場所を知ってお仕置きをすれば完了だ。

 あぁ、あとは撮影をすることを忘れないようにしないといけないのか。

 ほぼ全能だから、ここからでも撮影もお仕置きもできるわけだが、どうしようか。俺が直接向かうとなれば、ベラやグリーテンが何か感づくかもしれないから、ここからやろうか。

 今回はルーシー姉さんの願いとあって、ほぼ全能を遺憾なく発揮して千里眼を使う。

 王都全体が俺のテリトリーと化したため、アンリ・ペンドラゴンが城の自室にいることはわかった。

 初めてアンリ・ペンドラゴンを見たが、ギネヴィアと同じゴールデンブロンド色の髪を持ち、中性的な顔立ちだが、雰囲気から偉そうなのが分かるムカムカとする奴だった。

 城を見るついでにギネヴィアの部屋を見ると、カミサマシミュレーションを夢中でやっているのが見えて少しだけ微笑ましくなる。

 部屋の中にいるアンリ・ペンドラゴンは、部屋の中にいる全裸の女性三人を地面に四つん這いにさせ、怒った顔をしながらその女性たちのお尻を靴のまま蹴っていた。

 もうその時点でルーシー姉さんとか関係なしに、憎悪が膨らんだ。

 さらに言えば、こいつを放置していれば俺の大切な人たちに危険が及ぶと考えたら、やはり一回殺していた方がいいと思った。

 最初はパイプカットにしてやろうかと思ったが、それだけでは生ぬるいことに気がついた。

 俺が見ている光景を録画と録音をしながら、ここからアンリ・ペンドラゴンに向けて魔法をかけた。

『あっ……な、なんだ……!?』

 女性の横腹を蹴っていたアンリ・ペンドラゴンは体に違和感を覚えたのか、女性を蹴るのをやめたところで、体に力が入らずに膝をついて本人が四つん這いになった。

『あ、あああああああああああああぁっ!?』

 痛みで地面に倒れ込んで叫んでいるアンリ・ペンドラゴン。

 そうなったことで四つん這いになっていた女性たちはアンリ・ペンドラゴンの方を向くが、誰も駆け付けようとはしないから、これはプレイではないと本当に分かった。

 ついでだから、全身あざだらけの女性たちの傷をすべて完治させて服を着させ、呪いをすべて解呪した。

 女性たちのそばに、『呪いも解呪しました。自由だから逃げてください』と紙を置いたところ、女性たちはその紙を持って部屋から走り去った。

 呪いの内容は『アンリ・ペンドラゴンに逆らえない』と『アンリ・ペンドラゴンから逃げられない』というものだった。もはや奴隷だ。

 国王が奴隷制度を撤廃しているのに、それをバカ王子は自分のために奴隷を作っているなど時期国王になる資格はなさそうだ。

 逃げた女性たちはボロボロだったけど綺麗な感じな女性だったから、もしかしたら貴族だったのかもしれないが、そこら辺は俺は気にしない。

 俺は別に正義の味方でも、すべての人を助けるとか、そういう崇高な考えを持っているわけではない。だが、見てしまった胸糞悪いものを消しているだけに過ぎない。

『はぁ、はぁ……あいつら……逃げやがって……!』

 痛みに倒れていたが走り去った女性たちのことは見えていたようで怒りの声音をしているが、その声音がさっきまで叫んでいた声色と違っていた。

『は……?』

 ようやく自身の体の変化に気が付いたようで、アンリ・ペンドラゴンは自身の体を姿見で見たことで唖然としていた。

 それもそのはず、さっきまで中性的な顔つきとは言え男だった体が、体に丸みが帯びて筋肉も落ち、ひ弱な女性の体になっていたからだ。

『どういうことだぁ!?』

 何だか女性の声でそう言っているから笑ってしまいそうになるが、今は目の前にベラとグリーテンがいるから押しとどめる。

『一体どこの誰がしたんだよ! ふざけやがって! 俺を誰だと思っているんだよ!』

 怒り散らして、壁を殴りつけたアンリ・ペンドラゴン。

『いっ、たぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 壁を殴りつけただけで、アンリ・ペンドラゴンの拳は折れていた。

 ただ女性の体にしただけではまだ足りないと思ったから、『脆弱になり魔素が一切吸い取れない』という呪いもついでにかけておいた。

 壁を殴っただけでも骨折するくらいにな。

 バッチリとこの光景を撮影できていたから、これでルーシー姉さんが留飲を下げてくれればいいのだが。

 ここから一歩踏み出そうとすれば、王家から追放されたり、男たちから慰め物にされたりとか、まだ九歳のルーシー姉さんには早いことばかりしか思い浮かばないからここで撮影を終わらせておく。

 叫んでいても誰も来ないのは、アンリ・ペンドラゴンが自室に防音の結界を張っているためだったからで、それを解除してやることで部屋の外に叫び声が聞こえることになった。

 ただ気を失っているようだから、俺がチョンっと折れている場所を魔法で触れてやると再び叫んだことで部屋に兵士たちが入ってきた。

『だ、誰だっ!?』
『ここで何をしている!?』

 女性になったアンリ・ペンドラゴンが分かっていない様子の兵士たち。

 まあこの後どうなるのかはどうでもいいからここで俺も千里眼をやめた。

 並行思考していたからベラとグリーテンとの会話にも参加していた。だからこうして二人のお乳に両サイドから挟まれている状況も分かっている。

 ベラとグリーテンはお乳を押し付け合い、その間に俺がいるのだが、ここは天国なのだろうか。

 まあ、もう色々と精神的に疲れたからこのまま天国にいることにしよう。上でベラとグリーテンが言い合っているが、気にしない気にしない。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。

黒ハット
ファンタジー
【完結】ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...