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王都でも渦中
083:アテレコ。
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ベラの嫉妬の嵐のメッセージを返しながら、クレアの話を聞いていた。
大体のことはスマホでやり取りをしていたから分かっているから、その話を思い出しながら一年でどんなことがあったのか、クレアの口から細かいことを聞いていた。
話していたらだんだんと俺が引っ付いている状況にも慣れてきた様子だが、俺の方を見るたびに顔を赤くしているのは可愛い。
お互いにお互いの話を聞き終えたところで、俺は本題に入る。
「クレア、僕が出した課題をやってみてどうだった?」
「正直、最初はこんなものがあるのかと思ったけど、読み進めていくうちに面白いって思い始めたかな」
「それは良かった」
まあそうじゃないとこんな短期間で課題を終わらせられるはずがないよな。
「僕が目指している世界は、この娯楽が広まっている世界なんだよ。だからその手伝いをクレアにしてほしいんだ」
「……私に、できるかな?」
「できる。僕がそう言ったんだから、クレア自身じゃなくて僕を信じて」
「……うん、分かった」
そこはちゃんと納得してもらわないと困るところだ。
「ちなみに、クレア的には何が一番面白そうだと思った?」
「やっぱりアニメかな。一度も見たことがないけど迫力があるのは分かったから」
「なら見てみる?」
「えっ?」
大活躍の無音のアニメを見せるとかなり食いついているクレア。
知識として知っているだけで、実物を見ていないから食いつくのだろう。
「アーサー、こういうことは早く見せてくれると嬉しいな」
「うん、今度から気を付けるね。お詫びと言ったらなんだけど、声をあててみる?」
「アテレコってこと?」
「そう!」
おぉ、情報を渡していたから知っているのは分かっているけど、俺の口から伝えずにこう分かってくれるのは嬉しくなる。
「私に……ううん、やってみたい」
「うん、やろう!」
クレアが自信を持ってくれるのは嬉しいことだ。
また私なんかみたいなことを言われたら、今度は耳を舐めながら説得するところだった。
「この世界では初めての声優の仕事だね」
「私を緊張させようとしているの?」
「まさか。二人とも初体験だよ」
「……その言い方はアウトかな」
俺の言葉に顔を真っ赤にしているクレアも可愛いと思いながら準備を始める。
「どのシーンがいい? というか声をあてたいキャラはいる? アニェス」
「あ、アニェスさまは恐れ多い! ……アーサーはジャック?」
「僕はクレアに合わせるよ」
どんなキャラでもできるからクレアに合わせた方がいい。
「でもアーサーはジャックでしょ?」
「なにその決めつけ」
「それ以外に誰も考えられないよ」
「……そうなの?」
「そうだよ」
「そうなんだ……」
全く意味が分からないけど、それならジャックでいいや。
「クレアはどうする?」
「……マルグリットで、いいかな……?」
「いいよ。それじゃあジャックが生まれ故郷を出る時に幼馴染であるマルグリットが無理やりついてくるシーンにしようか」
「うん、分かった。……でも、どうやってアニメを作るの?」
あー……まあクレアになら言ってもいいか。
「実はね、僕の脳内で作っているんだよ」
「……どういうこと?」
「それを説明するには、娯楽以外の知識も獲得してもらわないといけないんだけど……」
「まだあるの!? やりたい!」
すっごいキラキラとした目で食いついてくるクレア。ネットについては軽くしか触れていないからな、俺の渡した情報は。
あぁ、これはもう現代ッ娘になる素質がありますね。好奇心の悪魔に取り憑かれているみたいだ。
「なら今データをアップロードしておくから暇な時にダウンロードしてね」
「今します」
速攻でスマホを取り出してダウンロードを始めるクレア。
これなら俺が発破をかけなくても楽しんで勉強してくれそうだ。ホントにクレアみたいな人がいてくれて良かった。
他にもこういう人はいると思うから、そういう人を見つけていきたいな。
「脳内で作るということは分からないけど、そういうものとして理解しておくね」
「そうしてね。今は話があまり進まないから」
「録音するための機材や、パソコンはどうするの?」
「録音する機材はこのスマホとマイクだね」
録音するアプリを作りつつ、未来都市の一角にスタジオを作るのもアリだなと未来都市の設計図を考える。
「これがマイク……絵では見たことあるけど触るのは初めて。こんなに大きいんだ……」
「クレア、それはわざと?」
「どういうこと?」
「分かっていないならいいよ」
こういうネタが通じないのは単にクレアが子供すぎるのかな。いや下ネタに感じる俺の心が汚いのだろう。
「さ、アニメはできたよ。映像を見てみようか」
「うん」
ワクワクしているクレアはアニメのシーンを何回も見返していた。
「うわぁ……やっぱりすごいなぁ……」
「楽しんでいただけて何よりだけど、アテレコ初めてもいい?」
「あっ! う、うんっ!」
こうでもしないとエンドレスで見続けそうだったクレア。
「台本はいらないよね? 覚えているでしょ」
「もちろん覚えてるよ……このマイクで声を入力できるんだよね?」
「そう。やってみようか」
アプリを起動して、いつでも録音を開始しても大丈夫なようにした。
「再生するね」
「うんっ……」
若干緊張しているクレアだが、再生した。
「待って! ジャック!」
クレアのその声を聞き、俺は驚いてクレアの顔をパッと見てしまった。
「な、なに? へ、変だった……?」
「いや……すごく上手だった」
驚くほどに上手だった。声に幼さは残るけれど、それを除いたとしても俺が前世で聞いていた声優さんたちと大差ないくらいに上手だった。
……なるほど。俺のほぼ全能は優秀だったわけだ。こんな人材を逃さまいと勘で教えてくれるんだから。
「そ、そう……? 自分じゃ分からない」
「これは声を録音しているから、後で聞いてみようか。それよりも今は一回収録しようか」
「分かった」
俺が止めたことで変な感じにならないかと不安になったが、杞憂に終わった。
クレアが上手に声をあててくれたから、クレアのレベルに合わせようとするとかなり上手に才能を使うことになった。
大体のことはスマホでやり取りをしていたから分かっているから、その話を思い出しながら一年でどんなことがあったのか、クレアの口から細かいことを聞いていた。
話していたらだんだんと俺が引っ付いている状況にも慣れてきた様子だが、俺の方を見るたびに顔を赤くしているのは可愛い。
お互いにお互いの話を聞き終えたところで、俺は本題に入る。
「クレア、僕が出した課題をやってみてどうだった?」
「正直、最初はこんなものがあるのかと思ったけど、読み進めていくうちに面白いって思い始めたかな」
「それは良かった」
まあそうじゃないとこんな短期間で課題を終わらせられるはずがないよな。
「僕が目指している世界は、この娯楽が広まっている世界なんだよ。だからその手伝いをクレアにしてほしいんだ」
「……私に、できるかな?」
「できる。僕がそう言ったんだから、クレア自身じゃなくて僕を信じて」
「……うん、分かった」
そこはちゃんと納得してもらわないと困るところだ。
「ちなみに、クレア的には何が一番面白そうだと思った?」
「やっぱりアニメかな。一度も見たことがないけど迫力があるのは分かったから」
「なら見てみる?」
「えっ?」
大活躍の無音のアニメを見せるとかなり食いついているクレア。
知識として知っているだけで、実物を見ていないから食いつくのだろう。
「アーサー、こういうことは早く見せてくれると嬉しいな」
「うん、今度から気を付けるね。お詫びと言ったらなんだけど、声をあててみる?」
「アテレコってこと?」
「そう!」
おぉ、情報を渡していたから知っているのは分かっているけど、俺の口から伝えずにこう分かってくれるのは嬉しくなる。
「私に……ううん、やってみたい」
「うん、やろう!」
クレアが自信を持ってくれるのは嬉しいことだ。
また私なんかみたいなことを言われたら、今度は耳を舐めながら説得するところだった。
「この世界では初めての声優の仕事だね」
「私を緊張させようとしているの?」
「まさか。二人とも初体験だよ」
「……その言い方はアウトかな」
俺の言葉に顔を真っ赤にしているクレアも可愛いと思いながら準備を始める。
「どのシーンがいい? というか声をあてたいキャラはいる? アニェス」
「あ、アニェスさまは恐れ多い! ……アーサーはジャック?」
「僕はクレアに合わせるよ」
どんなキャラでもできるからクレアに合わせた方がいい。
「でもアーサーはジャックでしょ?」
「なにその決めつけ」
「それ以外に誰も考えられないよ」
「……そうなの?」
「そうだよ」
「そうなんだ……」
全く意味が分からないけど、それならジャックでいいや。
「クレアはどうする?」
「……マルグリットで、いいかな……?」
「いいよ。それじゃあジャックが生まれ故郷を出る時に幼馴染であるマルグリットが無理やりついてくるシーンにしようか」
「うん、分かった。……でも、どうやってアニメを作るの?」
あー……まあクレアになら言ってもいいか。
「実はね、僕の脳内で作っているんだよ」
「……どういうこと?」
「それを説明するには、娯楽以外の知識も獲得してもらわないといけないんだけど……」
「まだあるの!? やりたい!」
すっごいキラキラとした目で食いついてくるクレア。ネットについては軽くしか触れていないからな、俺の渡した情報は。
あぁ、これはもう現代ッ娘になる素質がありますね。好奇心の悪魔に取り憑かれているみたいだ。
「なら今データをアップロードしておくから暇な時にダウンロードしてね」
「今します」
速攻でスマホを取り出してダウンロードを始めるクレア。
これなら俺が発破をかけなくても楽しんで勉強してくれそうだ。ホントにクレアみたいな人がいてくれて良かった。
他にもこういう人はいると思うから、そういう人を見つけていきたいな。
「脳内で作るということは分からないけど、そういうものとして理解しておくね」
「そうしてね。今は話があまり進まないから」
「録音するための機材や、パソコンはどうするの?」
「録音する機材はこのスマホとマイクだね」
録音するアプリを作りつつ、未来都市の一角にスタジオを作るのもアリだなと未来都市の設計図を考える。
「これがマイク……絵では見たことあるけど触るのは初めて。こんなに大きいんだ……」
「クレア、それはわざと?」
「どういうこと?」
「分かっていないならいいよ」
こういうネタが通じないのは単にクレアが子供すぎるのかな。いや下ネタに感じる俺の心が汚いのだろう。
「さ、アニメはできたよ。映像を見てみようか」
「うん」
ワクワクしているクレアはアニメのシーンを何回も見返していた。
「うわぁ……やっぱりすごいなぁ……」
「楽しんでいただけて何よりだけど、アテレコ初めてもいい?」
「あっ! う、うんっ!」
こうでもしないとエンドレスで見続けそうだったクレア。
「台本はいらないよね? 覚えているでしょ」
「もちろん覚えてるよ……このマイクで声を入力できるんだよね?」
「そう。やってみようか」
アプリを起動して、いつでも録音を開始しても大丈夫なようにした。
「再生するね」
「うんっ……」
若干緊張しているクレアだが、再生した。
「待って! ジャック!」
クレアのその声を聞き、俺は驚いてクレアの顔をパッと見てしまった。
「な、なに? へ、変だった……?」
「いや……すごく上手だった」
驚くほどに上手だった。声に幼さは残るけれど、それを除いたとしても俺が前世で聞いていた声優さんたちと大差ないくらいに上手だった。
……なるほど。俺のほぼ全能は優秀だったわけだ。こんな人材を逃さまいと勘で教えてくれるんだから。
「そ、そう……? 自分じゃ分からない」
「これは声を録音しているから、後で聞いてみようか。それよりも今は一回収録しようか」
「分かった」
俺が止めたことで変な感じにならないかと不安になったが、杞憂に終わった。
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