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王都でも渦中
074:会見前日。
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宿に戻るとカーラとベラが迎えてくれ、ベラの隣では疲れた表情をしているメルシエさんがいた。
「おかえりなさいませ、アルノさま、スザンヌさま、アーサーさま」
「お疲れさまです、ランスロット家のみなさま」
ベラがそう言いながらお辞儀してカーラも同じくお辞儀した。お疲れとこちらが言いたいくらいになっているメルシエさんが口を開く。
「お待たせしてしまいました、メルシエさん」
「いえいえ、カーラさんとベラさんにおもてなしされていたので全然平気ですよ」
社交界用の服から着替えるために俺たちは宿の中に戻って通常時の服に着替えた。
この宿には貴族のために用意された応接間があり、先に着替えを終えた俺が応接間に入るとメルシエさんがすでに入って紅茶を飲んでいた。
「アーサーさま、飲みますか?」
「いただきます」
メルシエさんに紅茶をいれてもらい、メルシエさんが自身の隣に紅茶を置いたことで俺はメルシエさんの隣に座った。
「ありがとうございます」
「いえいえ、これくらいはさせてください! とは言え、ベラさんみたいに美味しい紅茶はいれれないですけどね!」
いや、疲れた顔をしているメルシエさんに言われても。
「かなり美味しいですよ」
「ベラさんよりですか?」
「それはさすがに比べる相手が違い過ぎますよ」
「ははっ、そうですね。ベラさんは格別ですよね」
メルシエさんとたわいない会話をしていると、ピッタリとくっ付いてきたメルシエさん。
「どうしましたか?」
「いやぁ……ちょっと甘えたくなったかなぁ……なんて」
「いいですよ。でも僕とメルシエさんだと体の大きさが――」
「あの、メルシエじゃなくて、名前で呼んでくれま、せんか……?」
いつもは元気路線なメルシエさんが、可愛い路線で攻めてきたことに驚きながらも、頷いて口を開く。
「はい、イザベルさんと呼びますね」
「はい! ありがとうございます!」
感極まったのか、イザベルさんは俺に抱き着いてきた。五歳時だからすっぽりとイザベルさんの体に収まってしまうのは悲しいな……。
「この姿勢、辛くないですか?」
「いえいえ、これくらい全然平気です!」
「そうですか……あっ、どうせですから明日使う、僕が言っていた魔道具で変身しましょうか? それなら甘えられると思いますよ?」
ただイザベルさんが子供に甘えたいとかショタ好きだった場合、その提案はむしろ悪いと言える。
「ぜひお願いします! 僕、それを見てみたかったんですよ!」
「ヒルがお望みですか? それとも大人の僕がお望みですか?」
ヒルであろうと大人の俺であろうと、あまり大して変わらないが、ヒルだと面影があっても似てても完全に俺だと認識できないのが『狭間の指輪』だ。
「で、では、大人のアーサーさまで」
「了解です」
すぐに大人の俺と言ってきたイザベルさんは俺から放れてくれた。
そして『狭間の指輪』を作り出して俺がこのまま大人になった姿、二十歳くらいに変身した。
「どうですか? 俺の姿は?」
二十歳くらいだから自称を『俺』に変えてイザベルさんに問いかけた。
そんな俺の姿を見たイザベルさんは俺を見たまま固まり、数秒ほど待っても動かなかった。
「イザベルさん?」
イザベルさんの前に立って手を軽く降って再度問いかけてみる。
「……好き」
「えっ……?」
「アーサーさま、僕と結婚してください」
真面目な顔で俺にプロポーズしてくるイザベルさんに戸惑ってしまう。どう答えようかと悩んでいるところでイザベルさんが俺を押し倒してきた。
「イザベルさん!?」
「もう我慢できません! 五歳のアーサーさまも素敵ですが、今のアーサーさまももっと素敵です! その姿なら僕と結婚しても問題ないですよね!?」
「いや、少し落ち着いてください」
「いいえ僕は落ち着いています! 今まででいい人がいなかったのはきっとアーサーさまと出会うためだったんです!」
「いや、落ち着いてないと思いますよ?」
俺を押し倒してきて俺の服を剥ぎ取ろうとしているイザベルさんの手を優しく止めながらどうしようかと考えているところで、応接間の扉が開いた。
俺とイザベルさんがそちらに視線を向けると、お父上様とお母上様、ベラとカーラがそこにいた。
「あらあら~」
「……何をしておられるのですか?」
「こういうことは応接間でするべきではないかと」
お母上様は俺たちの方を見てニヤニヤとしており、ベラは冷たい視線を向けて、カーラは淡々と口を開くだけだった。
「アーサー? 説明てくれるかな?」
いや、この状況はどう見てもイザベルさんに聞くべき状況だろうよお父上様。
「おかえりなさいませ、アルノさま、スザンヌさま、アーサーさま」
「お疲れさまです、ランスロット家のみなさま」
ベラがそう言いながらお辞儀してカーラも同じくお辞儀した。お疲れとこちらが言いたいくらいになっているメルシエさんが口を開く。
「お待たせしてしまいました、メルシエさん」
「いえいえ、カーラさんとベラさんにおもてなしされていたので全然平気ですよ」
社交界用の服から着替えるために俺たちは宿の中に戻って通常時の服に着替えた。
この宿には貴族のために用意された応接間があり、先に着替えを終えた俺が応接間に入るとメルシエさんがすでに入って紅茶を飲んでいた。
「アーサーさま、飲みますか?」
「いただきます」
メルシエさんに紅茶をいれてもらい、メルシエさんが自身の隣に紅茶を置いたことで俺はメルシエさんの隣に座った。
「ありがとうございます」
「いえいえ、これくらいはさせてください! とは言え、ベラさんみたいに美味しい紅茶はいれれないですけどね!」
いや、疲れた顔をしているメルシエさんに言われても。
「かなり美味しいですよ」
「ベラさんよりですか?」
「それはさすがに比べる相手が違い過ぎますよ」
「ははっ、そうですね。ベラさんは格別ですよね」
メルシエさんとたわいない会話をしていると、ピッタリとくっ付いてきたメルシエさん。
「どうしましたか?」
「いやぁ……ちょっと甘えたくなったかなぁ……なんて」
「いいですよ。でも僕とメルシエさんだと体の大きさが――」
「あの、メルシエじゃなくて、名前で呼んでくれま、せんか……?」
いつもは元気路線なメルシエさんが、可愛い路線で攻めてきたことに驚きながらも、頷いて口を開く。
「はい、イザベルさんと呼びますね」
「はい! ありがとうございます!」
感極まったのか、イザベルさんは俺に抱き着いてきた。五歳時だからすっぽりとイザベルさんの体に収まってしまうのは悲しいな……。
「この姿勢、辛くないですか?」
「いえいえ、これくらい全然平気です!」
「そうですか……あっ、どうせですから明日使う、僕が言っていた魔道具で変身しましょうか? それなら甘えられると思いますよ?」
ただイザベルさんが子供に甘えたいとかショタ好きだった場合、その提案はむしろ悪いと言える。
「ぜひお願いします! 僕、それを見てみたかったんですよ!」
「ヒルがお望みですか? それとも大人の僕がお望みですか?」
ヒルであろうと大人の俺であろうと、あまり大して変わらないが、ヒルだと面影があっても似てても完全に俺だと認識できないのが『狭間の指輪』だ。
「で、では、大人のアーサーさまで」
「了解です」
すぐに大人の俺と言ってきたイザベルさんは俺から放れてくれた。
そして『狭間の指輪』を作り出して俺がこのまま大人になった姿、二十歳くらいに変身した。
「どうですか? 俺の姿は?」
二十歳くらいだから自称を『俺』に変えてイザベルさんに問いかけた。
そんな俺の姿を見たイザベルさんは俺を見たまま固まり、数秒ほど待っても動かなかった。
「イザベルさん?」
イザベルさんの前に立って手を軽く降って再度問いかけてみる。
「……好き」
「えっ……?」
「アーサーさま、僕と結婚してください」
真面目な顔で俺にプロポーズしてくるイザベルさんに戸惑ってしまう。どう答えようかと悩んでいるところでイザベルさんが俺を押し倒してきた。
「イザベルさん!?」
「もう我慢できません! 五歳のアーサーさまも素敵ですが、今のアーサーさまももっと素敵です! その姿なら僕と結婚しても問題ないですよね!?」
「いや、少し落ち着いてください」
「いいえ僕は落ち着いています! 今まででいい人がいなかったのはきっとアーサーさまと出会うためだったんです!」
「いや、落ち着いてないと思いますよ?」
俺を押し倒してきて俺の服を剥ぎ取ろうとしているイザベルさんの手を優しく止めながらどうしようかと考えているところで、応接間の扉が開いた。
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「あらあら~」
「……何をしておられるのですか?」
「こういうことは応接間でするべきではないかと」
お母上様は俺たちの方を見てニヤニヤとしており、ベラは冷たい視線を向けて、カーラは淡々と口を開くだけだった。
「アーサー? 説明てくれるかな?」
いや、この状況はどう見てもイザベルさんに聞くべき状況だろうよお父上様。
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