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王都でも渦中
051:魔道具専門店。
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道行く人がいる中で俺がヘラとフェイに挟まれていることで周囲から注目されていたことで、ヘラとフェイを連れて逃げるようにその場から去った。
「勘弁してくれ……俺が悪かったから」
「分かればいいのよ」
「でもあの状況は良かったでしょ?」
「……ノーコメントで」
またフェイにやられそう、というか体が戻ったら絶対にやられるという予感しかしない。
とりあえずまた王都を見て回る続きをすることにした。とは言っても、ヘラがいるからもう野菜の時のような大人買いはできなくなった。
いやできなくていいんだけどね? 俺も前世は普通の人だったからお金が大切なのは分かっているんだよ、でもお金を持ったら少しくらいはいいかなって思ってしまうんだよ。お金の怖いところだ。
とは言っても、特にほしいものはないわけだから本当に見て回るだけになっている。
俺的にはこうして見て回るだけでも雰囲気を感じ取れているから嬉しい気持ちになっている。画面の中でしか見えなかった光景が今こうして目の前にあるというのは本当に感慨深い。
「ヒルはほしいものはないの?」
「特にないな。ほしいものは作ればいいし」
「それもそうね」
フェイに聞かれるがそれだけで終わってしまう。
あっ、王都に来たんだからどうせだから魔道具も見ておきたい。
「そう言えば、魔道具ってどれくらいで売られているんだ?」
「どれくらい……まあ基本どの魔道具も高いわね。金貨十枚くらいで最安値くらいじゃないかしら」
最低で金貨十枚か、そこそこするな。
俺が作ればタダだからそこそこじゃなくてぼったくりのレベルか。
「でも行かない方がいいわよ? ゴミみたいなものが売り出されているから」
「そんなにか? サブリの魔道具を見た時に嫌悪感を出していたが、そんなものか?」
「あー、あれね。……あれよりも酷いわよ。まだそこら辺に設置されている魔灯よりも酷いわ」
げんなりしてそう言っているフェイ。
魔道具である魔灯はかなり量産されている、魔法使いと道具があれば基本的に作ることができる簡単な魔道具だ。
基本流通しているものは簡単な魔法陣が組み込まれているだけだが、それよりも酷いってどういう状況なのだろうか。
「行くのね」
「あぁ。何か行きたくない理由でもあるのか?」
今度は少しだけヘラも顔をしかめていたが、なに? ヘラもフェイみたいな魔道具が好き好き大好きなのか?
「別にないわ。ただ今度は何も買わないでね、ということを言いたいの。興味本位でとか、買ってみようかなとか、言わないわよね? 作れるんだから」
「あっ、はい。何も買いません」
あー、俺が少し思いそうなところを言い当てるとは、さすがはヘラだ。
「こっちよ」
フェイの案内を受けて魔道具が売られているお店に向かう。
「魔道具のお店と言っても、たくさんお店があるわ。でも基本的には魔道具製作者が所属しているギルドから売り出されているのがほとんどね」
「魔道具ってそんなに作られているものなのか?」
「作られはしているけど、失敗する方が多いわよ。彼らは魔道具製作がどういう仕組みなのか理解していないんだから百%で作れるわけがないわ」
仕組みを理解していないってどういうことだ? 仕組みを理解していないと魔道具は作れないんじゃないのか?
「あそこが王都で一番有名なお店で、王都最大級の魔道具ギルドの専門店よ」
かなりフェイに案内されたのは日照権が侵害されるほど大きな建物がそこにあり、その建物の看板には『カロー魔道具専門店』と書かれている。
だがここはかえって俺たちのような平民が来るような雰囲気のお店ではない気がする。
「ここに入るのか?」
「えぇ、ここよ。別に私たちが平民だからって気にする必要はないわ。平民歓迎って書いているんだから」
確かに表にはそう書かれている。でも雰囲気がそんな感じじゃないんだよなぁ。どちらかと言えば平民お断りの感じがぷんぷんしている。
「入るのなら早く入りましょう」
「……そうだな」
ヘラにせかされて俺たちはお店の中に入る。
お店の中はショーケースがたくさん並べられている、前世で言うところの宝石店のような場所できらびやかな感じがする。
「ようこそおいでくださいました!」
そう笑顔で俺たちを出迎えてくれた男は、隠しているようだが俺たちを見た瞬間にすぐさま見下した感情を向けているのが分かる。
「どうやら、平民歓迎は違うようだな」
「そんなものでしょ」
俺の小声にヘラが当たり前とばかりに反応してきた。
「今日はどのようなものをお求めですか?」
「いや、少し魔道具を見に来ただけですが、いいですか?」
「はいぜひ!」
雰囲気はぜひと言っていなくて帰れと言っているようだが、表情は笑顔だ。逆にすごいな。さすがはここで雇われている接客業のプロというわけか。
俺たちは店員からの帰れという念を感じながら気にせずショーケースに入った魔道具を見て回る。
「火が出る料理に使える魔道具、水をお湯にすることができる魔道具、何でも切れる魔道具。……家庭的な魔道具がいっぱいだな」
「ここら辺はね。別のところだと武器とか防具の魔道具があるわよ」
コンロやポットという魔道具が並べられているが、そのお値段、コンロは金貨七十八枚、ポットは金貨五十三枚。
どうなっているんだ? こんなに金貨があったら普通に家を買えるくらいだから、どれだけ魔道具が高いのかが分かるが、普通にこんな粗悪品は買わない。
「ないな。こんなものを誰が買うんだ」
「でしょ? でも魔道具の構造が分からない貴族とかは喜んで買うのよ」
「かわいそうに……知らないというのは残酷だな」
「ヒルならもっとすごいものを作れるでしょ?」
「作ろうと思えばな」
「どうせだから魔道具専門店を立ち上げたら? それも破格の値段で」
「そんなことをしたら他の店がつぶれてしまうぞ」
「粗悪品しか売っていないところはつぶれればいいのよ」
俺が魔道具を作るには、高級な素材を使う必要がないから必要なものは強いて言えば俺の魔力くらいだ。
だから格安で売ることができるから、まあそんなことをしたら他の人が路頭に迷うかもしれないからあまり積極的にはしないが、将来そういうものを売り出してもいいかもなと思っているくらいだ。
「そんなことを言っているけど、あなたのお父さんの部屋にあるものは魔道具専門店で買ったものよ」
「あー、そうだったのか……」
ヘラに指摘された通り、お父上様の部屋におかれているエアコンはおそらくかなり金を払って買ったものだろうし、他にも魔道具があるから、言えばお父上様とお母上様をバカにすることになってしまう。
本当にそんな無駄な金を使うくらいなら俺がすべての魔道具を作り上げることはする。だからこんなクソみたいな魔道具を買うのはやめた方がいい。
「帰ったら、魔道具を完備してやろ……」
「それがいいわ」
ヘラにもお願いされていたし、帰ってからの目標は決まった。
そして家庭用魔道具のコーナーから離れて、次は武具のコーナーに移動した。その間にもこちらのことを凝視している店員の視線を受けながら。
「不快ね」
「何かするんじゃないのかって見張っているんじゃないのか?」
「誰がこんなものをとるのよ」
こういう魔道具関連の話になった時のフェイは本当に不機嫌になるな。これは早々にここから出た方がいいが、でもまだ見てみたいから我慢してくれ。
「……なにこれ?」
「剣ね」
「剣ね」
「そうだけど……えぇ? これが……金貨百十枚? えぇ……?」
装飾が派手についている剣が俺たちの目の前にあるが、その剣に確かに魔方陣は組み込まれている。だけどまるでつめるものはつめ込みましたよみたいな性能が無駄な剣があった。
なにこれ? 誰が使うんだ? 戦いで使おうとしても無駄な機能が多すぎて普通の剣の方が使えるだろ。観賞用か? それなら分かるな、うん。魔方陣が見えない人たちが大半だから普通の剣と取り替えてもわからなさそうだ。
「組み込まれている魔方陣の数や、有名な制作者で値段が変わっているようで、ようね」
少し敬語を使いそうになったヘラの言葉に頷いたが、組み込めばいいというものではない。
「これに比べて、ヒルがお姉ちゃんに渡していた剣、あれはヤバイわよ」
「あー、あれか」
こんなものを延々と見ていると段々と嫌気が差してくる中、フェイにアロンダイトの話題を振られた。
「あれ、見る人が見ればすぐにヤバイものだと分かるわよ。あんなに魔方陣が組み込まれているのに、そのほとんどが最高に機能している状態の剣は、ブリテン王国の国宝、エクスカリバーでも見られないほどだわ」
「まあ、元々姉さんに渡すつもりがなかったから詰め込めるものを詰め込んで出来上がった品だからな。すげぇものが出来上がってしまったが」
「あれを売り出せば国をひとつ買えるくらいじゃないのかしら?」
そんなものか? ……いや、目の前にある魔道具を見ていたらそんな感じがしてきた。
だがよく考えれば俺も詰め込めるものを詰め込んだ状態だが、作る人でこうも変わってしまうとは、全能は怖いなぁ! ……マジで慎重に行かないと何か起こりそうで怖いな。
「お客さま~、もう閉店の時間が迫っていますので……」
えっ? まだそんな時間じゃないだろ。まだ夕方にもなっていないのに。でもここにいるのも飽きたし嫌になってきたから素直に従ってやろう。
店員の言葉で俺たちは素直にお店から出た。その際に店員は何も言わずにこちらを笑顔で見ているだけだった。
「なにあれ? うっかりカローギルドを潰したくなるんだけど?」
「意外に露骨に帰れって言ってきたな」
「その理由はお粗末だけれど」
フェイはたぶん嫌なものを見せられているからキレかかっているが、俺とヘラは特に気にすることはなかった。
でも平民歓迎と書いているのに歓迎していないカローギルドとは絶対に今後関わりを持たない。なんならカローギルドから買っているものはすべて処分してやろう。
……少し嫌な気分になったから、カロー魔道具専門店の店員たちは平民の見た目の人が来ると冷遇するという呪いをつけてやろ。
殺しはしない。でも少しは痛い目を見てもらわないとな。
「勘弁してくれ……俺が悪かったから」
「分かればいいのよ」
「でもあの状況は良かったでしょ?」
「……ノーコメントで」
またフェイにやられそう、というか体が戻ったら絶対にやられるという予感しかしない。
とりあえずまた王都を見て回る続きをすることにした。とは言っても、ヘラがいるからもう野菜の時のような大人買いはできなくなった。
いやできなくていいんだけどね? 俺も前世は普通の人だったからお金が大切なのは分かっているんだよ、でもお金を持ったら少しくらいはいいかなって思ってしまうんだよ。お金の怖いところだ。
とは言っても、特にほしいものはないわけだから本当に見て回るだけになっている。
俺的にはこうして見て回るだけでも雰囲気を感じ取れているから嬉しい気持ちになっている。画面の中でしか見えなかった光景が今こうして目の前にあるというのは本当に感慨深い。
「ヒルはほしいものはないの?」
「特にないな。ほしいものは作ればいいし」
「それもそうね」
フェイに聞かれるがそれだけで終わってしまう。
あっ、王都に来たんだからどうせだから魔道具も見ておきたい。
「そう言えば、魔道具ってどれくらいで売られているんだ?」
「どれくらい……まあ基本どの魔道具も高いわね。金貨十枚くらいで最安値くらいじゃないかしら」
最低で金貨十枚か、そこそこするな。
俺が作ればタダだからそこそこじゃなくてぼったくりのレベルか。
「でも行かない方がいいわよ? ゴミみたいなものが売り出されているから」
「そんなにか? サブリの魔道具を見た時に嫌悪感を出していたが、そんなものか?」
「あー、あれね。……あれよりも酷いわよ。まだそこら辺に設置されている魔灯よりも酷いわ」
げんなりしてそう言っているフェイ。
魔道具である魔灯はかなり量産されている、魔法使いと道具があれば基本的に作ることができる簡単な魔道具だ。
基本流通しているものは簡単な魔法陣が組み込まれているだけだが、それよりも酷いってどういう状況なのだろうか。
「行くのね」
「あぁ。何か行きたくない理由でもあるのか?」
今度は少しだけヘラも顔をしかめていたが、なに? ヘラもフェイみたいな魔道具が好き好き大好きなのか?
「別にないわ。ただ今度は何も買わないでね、ということを言いたいの。興味本位でとか、買ってみようかなとか、言わないわよね? 作れるんだから」
「あっ、はい。何も買いません」
あー、俺が少し思いそうなところを言い当てるとは、さすがはヘラだ。
「こっちよ」
フェイの案内を受けて魔道具が売られているお店に向かう。
「魔道具のお店と言っても、たくさんお店があるわ。でも基本的には魔道具製作者が所属しているギルドから売り出されているのがほとんどね」
「魔道具ってそんなに作られているものなのか?」
「作られはしているけど、失敗する方が多いわよ。彼らは魔道具製作がどういう仕組みなのか理解していないんだから百%で作れるわけがないわ」
仕組みを理解していないってどういうことだ? 仕組みを理解していないと魔道具は作れないんじゃないのか?
「あそこが王都で一番有名なお店で、王都最大級の魔道具ギルドの専門店よ」
かなりフェイに案内されたのは日照権が侵害されるほど大きな建物がそこにあり、その建物の看板には『カロー魔道具専門店』と書かれている。
だがここはかえって俺たちのような平民が来るような雰囲気のお店ではない気がする。
「ここに入るのか?」
「えぇ、ここよ。別に私たちが平民だからって気にする必要はないわ。平民歓迎って書いているんだから」
確かに表にはそう書かれている。でも雰囲気がそんな感じじゃないんだよなぁ。どちらかと言えば平民お断りの感じがぷんぷんしている。
「入るのなら早く入りましょう」
「……そうだな」
ヘラにせかされて俺たちはお店の中に入る。
お店の中はショーケースがたくさん並べられている、前世で言うところの宝石店のような場所できらびやかな感じがする。
「ようこそおいでくださいました!」
そう笑顔で俺たちを出迎えてくれた男は、隠しているようだが俺たちを見た瞬間にすぐさま見下した感情を向けているのが分かる。
「どうやら、平民歓迎は違うようだな」
「そんなものでしょ」
俺の小声にヘラが当たり前とばかりに反応してきた。
「今日はどのようなものをお求めですか?」
「いや、少し魔道具を見に来ただけですが、いいですか?」
「はいぜひ!」
雰囲気はぜひと言っていなくて帰れと言っているようだが、表情は笑顔だ。逆にすごいな。さすがはここで雇われている接客業のプロというわけか。
俺たちは店員からの帰れという念を感じながら気にせずショーケースに入った魔道具を見て回る。
「火が出る料理に使える魔道具、水をお湯にすることができる魔道具、何でも切れる魔道具。……家庭的な魔道具がいっぱいだな」
「ここら辺はね。別のところだと武器とか防具の魔道具があるわよ」
コンロやポットという魔道具が並べられているが、そのお値段、コンロは金貨七十八枚、ポットは金貨五十三枚。
どうなっているんだ? こんなに金貨があったら普通に家を買えるくらいだから、どれだけ魔道具が高いのかが分かるが、普通にこんな粗悪品は買わない。
「ないな。こんなものを誰が買うんだ」
「でしょ? でも魔道具の構造が分からない貴族とかは喜んで買うのよ」
「かわいそうに……知らないというのは残酷だな」
「ヒルならもっとすごいものを作れるでしょ?」
「作ろうと思えばな」
「どうせだから魔道具専門店を立ち上げたら? それも破格の値段で」
「そんなことをしたら他の店がつぶれてしまうぞ」
「粗悪品しか売っていないところはつぶれればいいのよ」
俺が魔道具を作るには、高級な素材を使う必要がないから必要なものは強いて言えば俺の魔力くらいだ。
だから格安で売ることができるから、まあそんなことをしたら他の人が路頭に迷うかもしれないからあまり積極的にはしないが、将来そういうものを売り出してもいいかもなと思っているくらいだ。
「そんなことを言っているけど、あなたのお父さんの部屋にあるものは魔道具専門店で買ったものよ」
「あー、そうだったのか……」
ヘラに指摘された通り、お父上様の部屋におかれているエアコンはおそらくかなり金を払って買ったものだろうし、他にも魔道具があるから、言えばお父上様とお母上様をバカにすることになってしまう。
本当にそんな無駄な金を使うくらいなら俺がすべての魔道具を作り上げることはする。だからこんなクソみたいな魔道具を買うのはやめた方がいい。
「帰ったら、魔道具を完備してやろ……」
「それがいいわ」
ヘラにもお願いされていたし、帰ってからの目標は決まった。
そして家庭用魔道具のコーナーから離れて、次は武具のコーナーに移動した。その間にもこちらのことを凝視している店員の視線を受けながら。
「不快ね」
「何かするんじゃないのかって見張っているんじゃないのか?」
「誰がこんなものをとるのよ」
こういう魔道具関連の話になった時のフェイは本当に不機嫌になるな。これは早々にここから出た方がいいが、でもまだ見てみたいから我慢してくれ。
「……なにこれ?」
「剣ね」
「剣ね」
「そうだけど……えぇ? これが……金貨百十枚? えぇ……?」
装飾が派手についている剣が俺たちの目の前にあるが、その剣に確かに魔方陣は組み込まれている。だけどまるでつめるものはつめ込みましたよみたいな性能が無駄な剣があった。
なにこれ? 誰が使うんだ? 戦いで使おうとしても無駄な機能が多すぎて普通の剣の方が使えるだろ。観賞用か? それなら分かるな、うん。魔方陣が見えない人たちが大半だから普通の剣と取り替えてもわからなさそうだ。
「組み込まれている魔方陣の数や、有名な制作者で値段が変わっているようで、ようね」
少し敬語を使いそうになったヘラの言葉に頷いたが、組み込めばいいというものではない。
「これに比べて、ヒルがお姉ちゃんに渡していた剣、あれはヤバイわよ」
「あー、あれか」
こんなものを延々と見ていると段々と嫌気が差してくる中、フェイにアロンダイトの話題を振られた。
「あれ、見る人が見ればすぐにヤバイものだと分かるわよ。あんなに魔方陣が組み込まれているのに、そのほとんどが最高に機能している状態の剣は、ブリテン王国の国宝、エクスカリバーでも見られないほどだわ」
「まあ、元々姉さんに渡すつもりがなかったから詰め込めるものを詰め込んで出来上がった品だからな。すげぇものが出来上がってしまったが」
「あれを売り出せば国をひとつ買えるくらいじゃないのかしら?」
そんなものか? ……いや、目の前にある魔道具を見ていたらそんな感じがしてきた。
だがよく考えれば俺も詰め込めるものを詰め込んだ状態だが、作る人でこうも変わってしまうとは、全能は怖いなぁ! ……マジで慎重に行かないと何か起こりそうで怖いな。
「お客さま~、もう閉店の時間が迫っていますので……」
えっ? まだそんな時間じゃないだろ。まだ夕方にもなっていないのに。でもここにいるのも飽きたし嫌になってきたから素直に従ってやろう。
店員の言葉で俺たちは素直にお店から出た。その際に店員は何も言わずにこちらを笑顔で見ているだけだった。
「なにあれ? うっかりカローギルドを潰したくなるんだけど?」
「意外に露骨に帰れって言ってきたな」
「その理由はお粗末だけれど」
フェイはたぶん嫌なものを見せられているからキレかかっているが、俺とヘラは特に気にすることはなかった。
でも平民歓迎と書いているのに歓迎していないカローギルドとは絶対に今後関わりを持たない。なんならカローギルドから買っているものはすべて処分してやろう。
……少し嫌な気分になったから、カロー魔道具専門店の店員たちは平民の見た目の人が来ると冷遇するという呪いをつけてやろ。
殺しはしない。でも少しは痛い目を見てもらわないとな。
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