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全能の爆誕
019:ちょっとしたイタズラ。
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俺の鍛錬が始まってから色々と忙しかったが、一ヶ月ほど経てばようやく落ち着くことができた。
スマホのカメラ機能追加、グリーテンにスマホがバレる、グリーテンに素晴らしい魔道具が作れることを暴露して落ち着かせるために十個ほど与える。ほとんどがグリーテンだし、前半にしか起きていない出来事だ。
グリーテンにスマホの機能を説明すると、アヴァロンまで帰って連絡してきた。つながった時はそれはもう電話口でどんな顔をしているのか想像がつくくらいにはグリーテンを理解していた。
俺が作りだしたスマホは現代文明のスマホのようで、そうではない。
いわば、魔法と科学を融合させたようなものだから、現代のスマホよりも強い。
今日は鍛錬が休みの日で、俺はマンガを描いていた、ベラの膝の上で。
「最新話はまだですか?」
「そんなに急かさなくてもいいでしょ?」
「いいえ、もう続きが知りたくて夜も眠れませんでした。一ヶ月も待たされては我慢できなくなるものです」
鍛錬が始まってからの一ヶ月間はベラへのマンガをかくことができていなかった。それは無理をして一般教養の授業を終わらせたベラが一番よく分かっているはずだ。
本来なら時間をかけて学ぶのだが、俺の学習能力を見極めたベラがこの一ヶ月間休みなしで終わらせることをお父上様から許可を貰って見事に終わらせた。
そしてお父上様とお母上様からのテストを見事満点で終わらせたことで一般教養の授業を終わらせた。終わらせたから少しは四歳っぽくなくても問題なくなった。
だからベラも忙しかっただろうし、マンガを見れなくて少しストレスが溜まっているのかもしれない。あまりストレスが溜まっている感じがしないからな、ベラは。
とりあえず今までかけなかった分を急いでかき進める。
だが……これベラに手伝ってもらった方がいいんじゃないのか? ベラがかけれるようになれば、それだけ書き手が増えるということだ。
俺だけかけれるという状況はあまりよろしくない。
「……ベラ、かいてみる?」
「……まさか。そのようなことを私ごときができるわけがありません」
いや、完璧メイドならできる気がしてならないのは俺だけか?
「それに私は続きを完成した状態で読みたいのです」
「あぁ、完全に読者なんだね」
「ですがこれ以外のマンガなら、かいてみたいとは思います」
「ほんと?」
「その前に早く最新話を完成させてください」
「はーい」
本当に続きが読みたいんだなと思いながら、これはこれで作者を増やせる機会だ。
「うひっ!」
「申し訳ございません」
「触るなら触るって言ってよ!」
かいているところで俺の横脇をベラが触ってきた。危うくマンガが一枚おじゃんになるところだった。
「それでは触らせていただきます」
「もう……あまり邪魔にならない程度だよ?」
「はい、ありがとうございます」
俺の許可を得たベラは俺の横脇をフニフニしている。
こういうことをたまにしてくるから少し戸惑ってしまう。ベラの印象だとこんなことをする感じは……いや、膝の上にのせている時点で印象はあてにならないか。
「そう言えば、幼児向けの本ってあるの?」
「アーサーさまに幼児向けの本は必要ないかと」
「僕が読むんじゃないよ! ただ絵が主体になっている本があるのかなぁって思っただけ」
「マンガではなく?」
「マンガじゃないよ。あれだよ、童話がマンガになった感じの幼児向けの本かな」
「……そういうものは存在しないと思います。それをお作りになられるおつもりですか?」
「ゆくゆくはかいてもいいかなぁくらいだよ」
「アーサーさまはそのようなことをよくお考えになられますね」
「そんなことないよ~」
前世の知識を引っ張ってきているだけなんだから本当にそんなことはない。
かく内容を悩んだり、手が止まることはない。だって過去視を使って物語を見て、少しオリジナリティを加えているだけだから悩む要素がどこにもない。
それにしても、結構この『叛逆の英雄』をかき続けているが、まだ半分もかけていない。今は幼馴染の女性と一緒に世界中を旅をして世界を見て回る途中だ。
「……うっ」
「どうしましたか?」
「い、いや、何でもないよ……」
「ですが顔を赤くされているので何でもないわけがないかと」
「何でもないの!」
そこそこ物語を忠実に再現しているのだが、ここである問題にぶち当たってしまった。
主人公と幼馴染はかなりいい雰囲気で、誰がどう見ても恋仲だけどまだ恋仲になっていなかった。でも敵の攻撃でお互いの気持ちを知ってしまう。
その後は、それはもう若人だからお互いの愛をぶつけ合うために濃厚な絡み合いが展開されている。
『僕はもうキミしか見れないよ!』
『私もあなたのことが世界で一番好きよ!』
とか、それはもうやっている中で甘々な言葉を言い合っている。それを過去視で見ているだけで恥ずかしくなって顔を赤くしてしまったわけだ。
正直この場面を丸々飛ばして、告白して次の日を迎えれば何をしたかは読者の想像力にゆだねられる。
ただ……少しだけいたずら心が芽吹いてしまう。この濃厚なセックスシーンをマンガでベラに見せたらどう反応するかが知りたくなった。
だがここで四歳の俺がかいてしまえば、どう考えても不自然であることこの上ない。でもとっても知りたいのは事実。
よし、お父上様とお母上様の絡み合いを見て参考にしたって言おう。実際にお父上様とお母上様は今も仲良く元気にやっている。
「はい、できたよ」
「ありがとうございます」
早速かきあげたエッチ込みのマンガをベラに渡して、マンガの続きをかく。だが全能でベラがどういう顔をしているのか、見えるようにしながらもかいている。
今ベラが読んでいる場所は主人公と幼馴染が戦闘を終えてお互いの気持ちを知り、夕食の時も黙っていて風呂に入って部屋のベッドで並んで座っている状態で、赤面しながらも沈黙している。
少しベラの紙をめくるスピードが速い気がする。
そして黙っていながらも主人公が幼馴染の手を取って、指を絡ませながらキスをして、ベッドに押し倒してしまう。
その激しいエッチなシーンを食い入るようにベラは読み進めていた。
顔を赤くしたりはしていないな。ただ瞬きをしていない。目が乾きそう。
その様子を見ながらも、かいているマンガもこれまでの分を取り戻すようにかき進める。
「読み終わりました」
「あっ、終わった? どうだった?」
何も言わずに官能的なシーンを読み終えたベラに感想を聞く。
「非常によろしかったかと。この絡み合いなど目が離せないくらいに良かったです」
「それなら良かった!」
「ただ、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「なに?」
「このようなことをどこで覚えられたのですか?」
あっ、やっぱり聞かれてしまったか。それはそうだろ、聞かれない方がおかしいくらいだ。
「えっとね、その……」
「まさか、アルノさまとスザンヌさまの行為をご覧になられましたか?」
「あっ……うん」
まさかそちらから言われるとは思わなかった。いや、ということはお父上様とお母上様には前科があるんだ。
「はぁ、あの二人は……よく理解しました」
「その……かいたらダメなことだった?」
ここは無垢なフリをしてみよう。俺にもいたずら心があるのだから仕方がないことだ。
「ダメなことではありません。このマンガのように、好きな人と行う行為ですからかかれていても当たり前のことです。その方がこの二人の物語として現実味が増すと思いますから」
「それならよか――」
「アーサーさま、興味を持たれたりはしていませんか?」
「……この行為に?」
「そうです」
「うーん、興味はあるけど……」
「それなら――」
ベラは自身の口から発せられる言葉が、まるで自分の意志ではないかのように口を手でおさえてそこから先の言葉を強制的に抑え込んだ。
これは……もしかしてエロマンガ的な展開に持ち込めそうだったのか⁉ 主人とメイドの禁断の関係が現実で起ころうと!
「どうしたの?」
「いいえ、何でもありません。少し失礼します」
「えっ、うん」
ベラは俺を膝の上から持ち上げてベラが座っていた椅子に座らせてくれた。そしてベラは俺の部屋から出て行った。
……うーむ、結構危なかったか? ここは近代の世界観とは違うからエロに対しての制限は緩い。だがエロマンガは少しは早かったか。
だが完璧メイドがあんな姿を見せてくれるのならかいて良かったと思った。
さて、もうひと頑張りして半分くらいはかいておきたい。
「ただいま戻りました」
「あっ、うん。……大丈夫?」
ベラが戻って来たと思って振り返ると、両頬を赤くしたベラがいた。おそらく自身で叩いたのだろうが大丈夫かと聞く。
「問題ありません。ご心配ありがとうございます」
「そ、そう? それならいいんだけど、何かあったら言ってね?」
「そのお優しさだけで私は十分です」
再び俺を持ち上げて膝の上にのせて来るかと思ったが、今回は俺の横に立ったベラ。
「座らないの?」
「私はここで結構です。少し立っている方が楽なので」
「そっか……」
どこか怪しいのだが、膝の上に座っている時とあまり変わらないからマンガをかき進める。
しかし、この『叛逆の英雄』を一通り見たが、主人公はかなりハーレムな英雄だな。伝承されている物語だとかなり省かれているが、主人公とやっている女性はかなり多い。
だからこういう描写をそのままかいていればその分多くなるというわけだ。英雄色を好むとはよく言ったものだ。
「アーサーさま」
「なに?」
「アルノさまにマンガの件を報告します」
「うん……えっ?」
待ってくれ、何の会話もなく急にそんなことを言われたらビックリするんだが。完成まで待ってくれるって言ったじゃん!
「どうして? 完成まで待ってくれるんじゃ……」
「そのつもりでした。ですが、この『叛逆の英雄』、今の話でどれくらい進んでいますか?」
「……半分もいってないかな」
「いつ完結されるつもりですか? これをいつまでもアーサーさまと私だけでとどまらせておくのはあまりにも危険です」
くそっ、かなり猶予を貰ったと思っていたが、考えを変えられてしまった。ただ、このベラの主張は正しい。
この世界は娯楽があまり存在していないから、このマンガを世間に出せば貴族たちは注目してくるだろう。
それに文字が読めない人でもマンガの絵を見れば話は分からなくもないからそこら辺の需要も高そうだ。
そんなものだからこそどこかでこれが漏れる、俺がそんなことをさせるわけがないが、漏れてしまったら娯楽に飢えた貴族が何をするか分からないというわけか。
「……分かった」
「ご理解いただきありがとうございます。それに、アルノさまとスザンヌさまがまだ懲りていないようなのでこれをお見せになって注意させていただきます」
あー、やっぱり前科があったのね。どういうことがあったのか少し気になるな。
スマホのカメラ機能追加、グリーテンにスマホがバレる、グリーテンに素晴らしい魔道具が作れることを暴露して落ち着かせるために十個ほど与える。ほとんどがグリーテンだし、前半にしか起きていない出来事だ。
グリーテンにスマホの機能を説明すると、アヴァロンまで帰って連絡してきた。つながった時はそれはもう電話口でどんな顔をしているのか想像がつくくらいにはグリーテンを理解していた。
俺が作りだしたスマホは現代文明のスマホのようで、そうではない。
いわば、魔法と科学を融合させたようなものだから、現代のスマホよりも強い。
今日は鍛錬が休みの日で、俺はマンガを描いていた、ベラの膝の上で。
「最新話はまだですか?」
「そんなに急かさなくてもいいでしょ?」
「いいえ、もう続きが知りたくて夜も眠れませんでした。一ヶ月も待たされては我慢できなくなるものです」
鍛錬が始まってからの一ヶ月間はベラへのマンガをかくことができていなかった。それは無理をして一般教養の授業を終わらせたベラが一番よく分かっているはずだ。
本来なら時間をかけて学ぶのだが、俺の学習能力を見極めたベラがこの一ヶ月間休みなしで終わらせることをお父上様から許可を貰って見事に終わらせた。
そしてお父上様とお母上様からのテストを見事満点で終わらせたことで一般教養の授業を終わらせた。終わらせたから少しは四歳っぽくなくても問題なくなった。
だからベラも忙しかっただろうし、マンガを見れなくて少しストレスが溜まっているのかもしれない。あまりストレスが溜まっている感じがしないからな、ベラは。
とりあえず今までかけなかった分を急いでかき進める。
だが……これベラに手伝ってもらった方がいいんじゃないのか? ベラがかけれるようになれば、それだけ書き手が増えるということだ。
俺だけかけれるという状況はあまりよろしくない。
「……ベラ、かいてみる?」
「……まさか。そのようなことを私ごときができるわけがありません」
いや、完璧メイドならできる気がしてならないのは俺だけか?
「それに私は続きを完成した状態で読みたいのです」
「あぁ、完全に読者なんだね」
「ですがこれ以外のマンガなら、かいてみたいとは思います」
「ほんと?」
「その前に早く最新話を完成させてください」
「はーい」
本当に続きが読みたいんだなと思いながら、これはこれで作者を増やせる機会だ。
「うひっ!」
「申し訳ございません」
「触るなら触るって言ってよ!」
かいているところで俺の横脇をベラが触ってきた。危うくマンガが一枚おじゃんになるところだった。
「それでは触らせていただきます」
「もう……あまり邪魔にならない程度だよ?」
「はい、ありがとうございます」
俺の許可を得たベラは俺の横脇をフニフニしている。
こういうことをたまにしてくるから少し戸惑ってしまう。ベラの印象だとこんなことをする感じは……いや、膝の上にのせている時点で印象はあてにならないか。
「そう言えば、幼児向けの本ってあるの?」
「アーサーさまに幼児向けの本は必要ないかと」
「僕が読むんじゃないよ! ただ絵が主体になっている本があるのかなぁって思っただけ」
「マンガではなく?」
「マンガじゃないよ。あれだよ、童話がマンガになった感じの幼児向けの本かな」
「……そういうものは存在しないと思います。それをお作りになられるおつもりですか?」
「ゆくゆくはかいてもいいかなぁくらいだよ」
「アーサーさまはそのようなことをよくお考えになられますね」
「そんなことないよ~」
前世の知識を引っ張ってきているだけなんだから本当にそんなことはない。
かく内容を悩んだり、手が止まることはない。だって過去視を使って物語を見て、少しオリジナリティを加えているだけだから悩む要素がどこにもない。
それにしても、結構この『叛逆の英雄』をかき続けているが、まだ半分もかけていない。今は幼馴染の女性と一緒に世界中を旅をして世界を見て回る途中だ。
「……うっ」
「どうしましたか?」
「い、いや、何でもないよ……」
「ですが顔を赤くされているので何でもないわけがないかと」
「何でもないの!」
そこそこ物語を忠実に再現しているのだが、ここである問題にぶち当たってしまった。
主人公と幼馴染はかなりいい雰囲気で、誰がどう見ても恋仲だけどまだ恋仲になっていなかった。でも敵の攻撃でお互いの気持ちを知ってしまう。
その後は、それはもう若人だからお互いの愛をぶつけ合うために濃厚な絡み合いが展開されている。
『僕はもうキミしか見れないよ!』
『私もあなたのことが世界で一番好きよ!』
とか、それはもうやっている中で甘々な言葉を言い合っている。それを過去視で見ているだけで恥ずかしくなって顔を赤くしてしまったわけだ。
正直この場面を丸々飛ばして、告白して次の日を迎えれば何をしたかは読者の想像力にゆだねられる。
ただ……少しだけいたずら心が芽吹いてしまう。この濃厚なセックスシーンをマンガでベラに見せたらどう反応するかが知りたくなった。
だがここで四歳の俺がかいてしまえば、どう考えても不自然であることこの上ない。でもとっても知りたいのは事実。
よし、お父上様とお母上様の絡み合いを見て参考にしたって言おう。実際にお父上様とお母上様は今も仲良く元気にやっている。
「はい、できたよ」
「ありがとうございます」
早速かきあげたエッチ込みのマンガをベラに渡して、マンガの続きをかく。だが全能でベラがどういう顔をしているのか、見えるようにしながらもかいている。
今ベラが読んでいる場所は主人公と幼馴染が戦闘を終えてお互いの気持ちを知り、夕食の時も黙っていて風呂に入って部屋のベッドで並んで座っている状態で、赤面しながらも沈黙している。
少しベラの紙をめくるスピードが速い気がする。
そして黙っていながらも主人公が幼馴染の手を取って、指を絡ませながらキスをして、ベッドに押し倒してしまう。
その激しいエッチなシーンを食い入るようにベラは読み進めていた。
顔を赤くしたりはしていないな。ただ瞬きをしていない。目が乾きそう。
その様子を見ながらも、かいているマンガもこれまでの分を取り戻すようにかき進める。
「読み終わりました」
「あっ、終わった? どうだった?」
何も言わずに官能的なシーンを読み終えたベラに感想を聞く。
「非常によろしかったかと。この絡み合いなど目が離せないくらいに良かったです」
「それなら良かった!」
「ただ、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「なに?」
「このようなことをどこで覚えられたのですか?」
あっ、やっぱり聞かれてしまったか。それはそうだろ、聞かれない方がおかしいくらいだ。
「えっとね、その……」
「まさか、アルノさまとスザンヌさまの行為をご覧になられましたか?」
「あっ……うん」
まさかそちらから言われるとは思わなかった。いや、ということはお父上様とお母上様には前科があるんだ。
「はぁ、あの二人は……よく理解しました」
「その……かいたらダメなことだった?」
ここは無垢なフリをしてみよう。俺にもいたずら心があるのだから仕方がないことだ。
「ダメなことではありません。このマンガのように、好きな人と行う行為ですからかかれていても当たり前のことです。その方がこの二人の物語として現実味が増すと思いますから」
「それならよか――」
「アーサーさま、興味を持たれたりはしていませんか?」
「……この行為に?」
「そうです」
「うーん、興味はあるけど……」
「それなら――」
ベラは自身の口から発せられる言葉が、まるで自分の意志ではないかのように口を手でおさえてそこから先の言葉を強制的に抑え込んだ。
これは……もしかしてエロマンガ的な展開に持ち込めそうだったのか⁉ 主人とメイドの禁断の関係が現実で起ころうと!
「どうしたの?」
「いいえ、何でもありません。少し失礼します」
「えっ、うん」
ベラは俺を膝の上から持ち上げてベラが座っていた椅子に座らせてくれた。そしてベラは俺の部屋から出て行った。
……うーむ、結構危なかったか? ここは近代の世界観とは違うからエロに対しての制限は緩い。だがエロマンガは少しは早かったか。
だが完璧メイドがあんな姿を見せてくれるのならかいて良かったと思った。
さて、もうひと頑張りして半分くらいはかいておきたい。
「ただいま戻りました」
「あっ、うん。……大丈夫?」
ベラが戻って来たと思って振り返ると、両頬を赤くしたベラがいた。おそらく自身で叩いたのだろうが大丈夫かと聞く。
「問題ありません。ご心配ありがとうございます」
「そ、そう? それならいいんだけど、何かあったら言ってね?」
「そのお優しさだけで私は十分です」
再び俺を持ち上げて膝の上にのせて来るかと思ったが、今回は俺の横に立ったベラ。
「座らないの?」
「私はここで結構です。少し立っている方が楽なので」
「そっか……」
どこか怪しいのだが、膝の上に座っている時とあまり変わらないからマンガをかき進める。
しかし、この『叛逆の英雄』を一通り見たが、主人公はかなりハーレムな英雄だな。伝承されている物語だとかなり省かれているが、主人公とやっている女性はかなり多い。
だからこういう描写をそのままかいていればその分多くなるというわけだ。英雄色を好むとはよく言ったものだ。
「アーサーさま」
「なに?」
「アルノさまにマンガの件を報告します」
「うん……えっ?」
待ってくれ、何の会話もなく急にそんなことを言われたらビックリするんだが。完成まで待ってくれるって言ったじゃん!
「どうして? 完成まで待ってくれるんじゃ……」
「そのつもりでした。ですが、この『叛逆の英雄』、今の話でどれくらい進んでいますか?」
「……半分もいってないかな」
「いつ完結されるつもりですか? これをいつまでもアーサーさまと私だけでとどまらせておくのはあまりにも危険です」
くそっ、かなり猶予を貰ったと思っていたが、考えを変えられてしまった。ただ、このベラの主張は正しい。
この世界は娯楽があまり存在していないから、このマンガを世間に出せば貴族たちは注目してくるだろう。
それに文字が読めない人でもマンガの絵を見れば話は分からなくもないからそこら辺の需要も高そうだ。
そんなものだからこそどこかでこれが漏れる、俺がそんなことをさせるわけがないが、漏れてしまったら娯楽に飢えた貴族が何をするか分からないというわけか。
「……分かった」
「ご理解いただきありがとうございます。それに、アルノさまとスザンヌさまがまだ懲りていないようなのでこれをお見せになって注意させていただきます」
あー、やっぱり前科があったのね。どういうことがあったのか少し気になるな。
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