全能で楽しく公爵家!!

山椒

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全能の爆誕

010:鍛錬開始。

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 昨日、四歳になりました。

 それはもう三歳の時と同じか、それ以上のお祝いをされましたよ。

 そのおかげで昨日は夜遅くまで起きていたせいで眠たい。

 お父上様の気合いの入れ方に少し引いてしまったな。みんなが。そこまで愛されていると感じるのは少しだけむず痒いところがある。

 あとあれだ、屋敷全員でやるのはやめてくれないか? みんなにおめでとうございますを言われたし、屋敷の中はお祭り騒ぎだった。これが五歳になったらどうなるんだ……?

 まあそんなことはいいか。

 いやぁ、スマホがルーシー姉さんとシルヴィー姉さんにバレたり、マンガがベラにバレたりと色々あった三歳だったから案外早く四歳になった気がする。

 色々と言っているが、その二つだが、この二つがかなり俺の時間を喰らってきている。

 まだベラはいい。

 ベラには定期的にマンガをかいて見せているから、俺が行動を制御できている。

 だがルーシー姉さんは違う。

 気を付けているから周りに前ほど感付かれることはなくなったが、それでもかなりの頻度で俺に電話を掛けてくるルーシー姉さん。

 ルーシー姉さんほどではないけど、シルヴィー姉さんもそれなりに電話を掛けてくるようになった。まあそれでもルーシー姉さんの方が圧倒的だけど。

 シルヴィー姉さんとはそこそこ電話では会話できるようになったけど、面を向かった時が酷くなっている気がするのだが、気のせいではない。

 ともかく、ルーシー姉さんの電話対策として早めにメールを……いやよく考えろ、下手したらヤンデレ並みの大量のメールが送られてくる可能性があるということか? それの方がヤバくないか?

 返信が返ってこなかったらさらにメールを送り、電話を掛けてくる、なんて負の連鎖が起こるかもしれない。

 動画、カメラ、そういうので気を紛らわせれば、何とかできるか……?

 ともかく、それは追々考えるとして、色々とシステムは追加しておこう。

「アーサーさま、よろしいですか?」
「うん、いいよ」

 ノックと共に聞き慣れたベラの声が聞こえてきた。

「失礼いたします。アルノさまがお呼びです」
「お父さんが? ……何だろ?」
「私には分かりませんが、何やら思いつめたご様子でした」
「思いつめた……?」

 何だよ思いつめたって。まだそんな感じのことをしてないだろ。これからする予定は……まああるけど。

「アーサーさま、参りましょう」
「うん!」

 行かないという選択肢はないから、ベラに付き添われてお父上様がいる執務室に向かう。

「アーサー、よく来たね。そこに座るといい」
「うん……」

 執務室に俺とベラが入ると、深刻そうな顔をしているお父上様がいた。

 お父上様に言われた通りソファーに座り、お父上様は俺の正面のソファーに座る。

 いつもなら隣に座るところだが、それだけ重要なことなんだろうなぁ……いやだなぁ。

 ベラが俺とお父上様に高級紅茶をいれてくれ、お父上様が視線を向けるとベラは一礼して部屋から出て行った。

「さて、アーサー。どうして呼ばれたのか気になるだろうから早速本題に入る。通常なら五歳から始める魔法や剣の鍛錬を、アーサーはもう始めたいと思っているよ」

 えっ、なんで? 五歳からでええやん。

「お姉ちゃんたちがやっているような鍛錬を?」
「賢いアーサーなら今から始めても問題ないと思ったのが一つ、この平和がいつまでも続くわけがないと思ったのが一つ、そして公爵家の次期当主として生き残れるようにするには今からするのが丁度いいと思ったのが一つ。この三つが鍛錬を始めようと思った理由だね」

 えぇー、どうせ今から始めようが十年後に始めようとすべての能力が完璧なんだからいいじゃないか。

 ただそれを言うわけにもいかず、でもそれは鍛錬を始めれば分かることだから、無駄なことをすると思ってモヤモヤする。

 それに二つ目の理由については俺が何か起こった時に解決しようと思っているから問題はない。戦争なんてナンセンスだからな。

「納得してくれるかい?」
「……うん、僕頑張るよ!」
「そうか、アーサーならそう言ってくれると思っていた」

 どう思っているんだよ。まあ演じているアーサー・ランスロットならそう言うだろう。

「早速今から始めよう。一先ず、アーサーの魔力量と魔法適性を調べる」
「まほうてきせい?」
「属性魔法と無属性魔法の適性の総称を魔法適性と呼ぶ。どの魔法の適性があるか、どの魔法の適性が強いかで鍛錬の内容が変わってくる。シルヴィーなら水と雷、ルーシーなら火と無属性の適性が高いからそこを重点的に鍛錬をしている」
「僕はなにかな……?」
「僕の魔法適正が風以外だから、アーサーもそれくらいあるかもしれないね」

 全部だよ、俺は。ていうかお父上様は風以外適正があるのかよ。それはそれですごいな。

 とりあえずお父上様が驚きの表情を浮かべるのは確かだ。

「魔導室へと移動しよう」
「魔導室?」
「魔法を勉強するための部屋だ」

 俺とお父上様は執務室から出て魔導室とやらに向かう。

 何気に魔導室に俺は行ったことがない。外で鍛錬しているシルヴィー姉さんとルーシー姉さんの姿は見るものの、部屋で鍛錬しているところは目にしたことはない。

 それにしても四歳になってもこの無駄に大きい公爵家の屋敷には慣れない。
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