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全能の爆誕
004:ランスロット騎士団。
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我、アーサー・ランスロット。少し前に三歳になった公爵家嫡男である。
二歳の時とは違い、三歳になった時は俺がある程度喋れるようになったからかなり盛大にお祝いされた。それはまあお祝いされている俺が引くくらいに。
何だか前世がある俺じゃなければ、自分が世界の中心とか思いかねない化け物が生まれそうだった。しかも公爵家だからとんでもないアーサー・ランスロットが生み出されるところだった。
前世がないアーサー・ランスロットがどうなっているのか気になるところだが、それは特に意味がないから考えを捨てる。
まあでも公爵家だから無理な話なのは分かっているけれど、あまり俺が目立ちたくはないんだよなぁ。
目立ちたくないというか、物語の舞台に立っているのはいいけど真ん中には立ちたくない。
どちらかと言えば、俺は裏方の方が性にあっているような気がする。前世ではそういう感じでは生きていなかった、本当にモブだったから気がするで済んでいるけど。
「アーサー! 今日は鍛練場を見に行くわよ!」
今日も今日とてルーシー姉さんが時間を見つけては俺のところに来て遊びに誘ってくる。
ルーシー姉さんは本当に時間が空いたら俺のところに来ている。
俺のお世話をしているベラはほぼ俺のそばにいるけれど、その次に俺と一緒にいる時間が長いのがルーシー姉さんだ。
「うん、分かった!」
まあこうしてお姉さんぶるというか、弟を構いたいという気持ちが全面に押し出されている少女を見ると何だか微笑ましい気持ちになってルーシー姉さんに付き合っている。
ルーシー姉さんと手を繋いで、腕を前後させて歩いている姿に使用人たちが微笑んでこちらを見てくれる。
「アーサーは鍛練場を見るのは初めてだっけ?」
「見たことないよ」
「それならウチの鍛練場を見たらビックリするわよ! ランスロット騎士団は国一番って言われているんだから」
「それは楽しみ!」
ブリテン王国で一番って、ペンドラゴン家の騎士団が一番じゃないんだな。
それはそれでどうなのかと思うが、ルーシー姉さんがそう言っているだけかもしれない。
「私も鍛練に参加してるけど、私より強い人がいっぱいいるのよ! 特に騎士団長なんかはお父さんの次に強いって言われてるのは伊達じゃないわね!」
「へぇ……」
鍛練を見たことがないから騎士団長がどういう人かも分からない。そもそもまだ三歳だから知っている人も限られてくる。
「ほら、見えて来たわよ。あっ、お姉ちゃんもいるわね」
「わぁ……」
鍛練場には多くの人たちが鍛練しており、その中で一際目立っている二人がいた。
「どうしました!? 纏鎧はこれほどのものではありませんでしょう!」
「っ! あたり、まえ!」
魔力でできた銀色の鎧を纏っているのはシルヴィー姉さんで、相対している人に鎧だけを削られている。
模擬剣で鎧だけを削っている技をしているのは、長い金髪をなびかせている凛とした女性だった。
一切シルヴィー姉さんに傷をつけていないが、シルヴィー姉さんの鎧をかなり削り、シルヴィー姉さんは鎧を必死に修復している。
かなりやべぇことをしているな、あの女の人。
「あの女性が騎士団長よ。お姉ちゃんがあんなに一方的にやられるのはすごいわね」
「そうなの?」
「そうよ。お姉ちゃんはもう同世代では手を付けられないほど強いし、騎士団の中でも上位の人たちじゃないとお姉ちゃんを相手にできないのよ」
「へぇ……」
まあ見た感じそうだな。
「ルーシーお姉ちゃんはどれくらい強いの?」
「私もアーサーを守れるくらいには強いわよ。お姉ちゃんには負けるけど」
「そうなんだ」
「でも時間の問題ね、私がお姉ちゃんに勝つのは」
おぉ、自信満々に言っているが四つ上のシルヴィー姉さんに勝てるのだろうか。
「お姉ちゃん強いんだね!」
「そうよ! アーサーのお姉ちゃんは強いのよ!」
ルーシー姉さんを気持ちよくしておこう。
てか、姉さん達が戦っている姿なんて見たことがないから強いかどうかなんて分からない。いや本人を見ればどれくらいの強さは分かるけどね。
見ようと思えば全能で見ることはできるけど、そういうことはしないようにしている。
ちなみにこの屋敷で一番強いのは今見たことがある人の中ではダントツでお父上様だ。
ルーシー姉さんと話していると、シルヴィー姉さんと騎士団長の鍛錬が一区切りついたようだった。
そして俺がいることに前から気が付いていた騎士団長がシルヴィー姉さんに断りを入れて俺達の元に駆け足で向かってきた。
「パスカル」
「ごきげんよう、ルーシー様。本日は弟君とご見学ですか?」
「ええ、そうよ」
ルーシー姉さんと会話を終え、俺の方を向いた騎士団長。
「お初にお目にかかる姿がこんな見苦しい姿で申し訳ございません。アーサー様」
「ううん、別に気にしていないよ。それよりもさっきの戦いはすごかった!」
「ありがとうございます。ですが十一であそこまで戦える姉君を称賛なさってください」
こうして話して、話さなくても分かることだが、この女性は立派な騎士だと所作から分からされる。
他の人が凄くないとかじゃなくて、この人が凄いのだ。
「私はランスロット騎士団団長にして七聖剣が一人、パスカル・ダラゴンと申します。この身はランスロット家のためにあり、アーサー様を生涯お守りさせていただきます」
俺の前にひざまずいてそう言ってきたパスカル。
「うん、よろしくね! パスカル!」
俺はまだ三歳だからここでパスカルに相応しい当主になれるように頑張るよ、とかは言わない。
ていうか七聖剣って何だ? まあ何かの称号で世界的、もしくはブリテン王国内で呼ばれているものだろう。そしてその人よりも強いお父上様は何だという話だ。
「どうでしょうか、ランスロット騎士団は」
どうでしょうって言われても……三歳児が見ても特に何も感じないだろ。
全能を持っている三歳児が見れば、まあまあの集団だなと思うくらいだ。
「すごい!」
「ありがとうございます。ランスロット騎士団に入団する者は、アルノ様に憧れる者が多いですが、アルノ様はこの国一番の騎士でありますから、アルノ様の騎士団に恥じぬよう日々精進しているところです」
俺が想像している以上にお父上様はすげぇ人なんだろうな。
「むー……!」
パスカルと会話しているとルーシー姉さんがむくれていた。
「どうしたの?」
「私だってすごいのよ!?」
あぁ、それでむくれていたのか。可愛いかよ。
「創剣!」
ルーシー姉さんの手に金色の魔力でできた剣が出現した。
「それに!」
そこからルーシー姉さんの周りに無数の剣が出現した。
それを見ると何だか前世のアニメに出てくるような光景に見えてくるし、実際シルヴィー姉さんの鎧よりかは見栄えはいい。
「やる気ですか? それなら私がお相手しましょう」
「すぐにパスカルを倒してお姉ちゃんより強いって証明するわ!」
「その意気です。ですが簡単には倒されはしませんよ」
鍛錬が休みだったのに弟にすごいところを見せたくて鍛錬をするとか、バカだけど可愛いな。
まだ鍛錬をしていないから分からないけど、前世の俺だったら休みの日くらいは休みたいと思うはずだ。
ルーシー姉さんが浮いている剣をパスカルに向けて射出しながらパスカルに向かっていき、パスカルはそれらすべてを剣一つで余裕でさばく。
これだけでルーシー姉さんがパスカルに勝てないと分かってしまった。
でも頑張っているルーシー姉さんの姿は本当に綺麗だった。
二歳の時とは違い、三歳になった時は俺がある程度喋れるようになったからかなり盛大にお祝いされた。それはまあお祝いされている俺が引くくらいに。
何だか前世がある俺じゃなければ、自分が世界の中心とか思いかねない化け物が生まれそうだった。しかも公爵家だからとんでもないアーサー・ランスロットが生み出されるところだった。
前世がないアーサー・ランスロットがどうなっているのか気になるところだが、それは特に意味がないから考えを捨てる。
まあでも公爵家だから無理な話なのは分かっているけれど、あまり俺が目立ちたくはないんだよなぁ。
目立ちたくないというか、物語の舞台に立っているのはいいけど真ん中には立ちたくない。
どちらかと言えば、俺は裏方の方が性にあっているような気がする。前世ではそういう感じでは生きていなかった、本当にモブだったから気がするで済んでいるけど。
「アーサー! 今日は鍛練場を見に行くわよ!」
今日も今日とてルーシー姉さんが時間を見つけては俺のところに来て遊びに誘ってくる。
ルーシー姉さんは本当に時間が空いたら俺のところに来ている。
俺のお世話をしているベラはほぼ俺のそばにいるけれど、その次に俺と一緒にいる時間が長いのがルーシー姉さんだ。
「うん、分かった!」
まあこうしてお姉さんぶるというか、弟を構いたいという気持ちが全面に押し出されている少女を見ると何だか微笑ましい気持ちになってルーシー姉さんに付き合っている。
ルーシー姉さんと手を繋いで、腕を前後させて歩いている姿に使用人たちが微笑んでこちらを見てくれる。
「アーサーは鍛練場を見るのは初めてだっけ?」
「見たことないよ」
「それならウチの鍛練場を見たらビックリするわよ! ランスロット騎士団は国一番って言われているんだから」
「それは楽しみ!」
ブリテン王国で一番って、ペンドラゴン家の騎士団が一番じゃないんだな。
それはそれでどうなのかと思うが、ルーシー姉さんがそう言っているだけかもしれない。
「私も鍛練に参加してるけど、私より強い人がいっぱいいるのよ! 特に騎士団長なんかはお父さんの次に強いって言われてるのは伊達じゃないわね!」
「へぇ……」
鍛練を見たことがないから騎士団長がどういう人かも分からない。そもそもまだ三歳だから知っている人も限られてくる。
「ほら、見えて来たわよ。あっ、お姉ちゃんもいるわね」
「わぁ……」
鍛練場には多くの人たちが鍛練しており、その中で一際目立っている二人がいた。
「どうしました!? 纏鎧はこれほどのものではありませんでしょう!」
「っ! あたり、まえ!」
魔力でできた銀色の鎧を纏っているのはシルヴィー姉さんで、相対している人に鎧だけを削られている。
模擬剣で鎧だけを削っている技をしているのは、長い金髪をなびかせている凛とした女性だった。
一切シルヴィー姉さんに傷をつけていないが、シルヴィー姉さんの鎧をかなり削り、シルヴィー姉さんは鎧を必死に修復している。
かなりやべぇことをしているな、あの女の人。
「あの女性が騎士団長よ。お姉ちゃんがあんなに一方的にやられるのはすごいわね」
「そうなの?」
「そうよ。お姉ちゃんはもう同世代では手を付けられないほど強いし、騎士団の中でも上位の人たちじゃないとお姉ちゃんを相手にできないのよ」
「へぇ……」
まあ見た感じそうだな。
「ルーシーお姉ちゃんはどれくらい強いの?」
「私もアーサーを守れるくらいには強いわよ。お姉ちゃんには負けるけど」
「そうなんだ」
「でも時間の問題ね、私がお姉ちゃんに勝つのは」
おぉ、自信満々に言っているが四つ上のシルヴィー姉さんに勝てるのだろうか。
「お姉ちゃん強いんだね!」
「そうよ! アーサーのお姉ちゃんは強いのよ!」
ルーシー姉さんを気持ちよくしておこう。
てか、姉さん達が戦っている姿なんて見たことがないから強いかどうかなんて分からない。いや本人を見ればどれくらいの強さは分かるけどね。
見ようと思えば全能で見ることはできるけど、そういうことはしないようにしている。
ちなみにこの屋敷で一番強いのは今見たことがある人の中ではダントツでお父上様だ。
ルーシー姉さんと話していると、シルヴィー姉さんと騎士団長の鍛錬が一区切りついたようだった。
そして俺がいることに前から気が付いていた騎士団長がシルヴィー姉さんに断りを入れて俺達の元に駆け足で向かってきた。
「パスカル」
「ごきげんよう、ルーシー様。本日は弟君とご見学ですか?」
「ええ、そうよ」
ルーシー姉さんと会話を終え、俺の方を向いた騎士団長。
「お初にお目にかかる姿がこんな見苦しい姿で申し訳ございません。アーサー様」
「ううん、別に気にしていないよ。それよりもさっきの戦いはすごかった!」
「ありがとうございます。ですが十一であそこまで戦える姉君を称賛なさってください」
こうして話して、話さなくても分かることだが、この女性は立派な騎士だと所作から分からされる。
他の人が凄くないとかじゃなくて、この人が凄いのだ。
「私はランスロット騎士団団長にして七聖剣が一人、パスカル・ダラゴンと申します。この身はランスロット家のためにあり、アーサー様を生涯お守りさせていただきます」
俺の前にひざまずいてそう言ってきたパスカル。
「うん、よろしくね! パスカル!」
俺はまだ三歳だからここでパスカルに相応しい当主になれるように頑張るよ、とかは言わない。
ていうか七聖剣って何だ? まあ何かの称号で世界的、もしくはブリテン王国内で呼ばれているものだろう。そしてその人よりも強いお父上様は何だという話だ。
「どうでしょうか、ランスロット騎士団は」
どうでしょうって言われても……三歳児が見ても特に何も感じないだろ。
全能を持っている三歳児が見れば、まあまあの集団だなと思うくらいだ。
「すごい!」
「ありがとうございます。ランスロット騎士団に入団する者は、アルノ様に憧れる者が多いですが、アルノ様はこの国一番の騎士でありますから、アルノ様の騎士団に恥じぬよう日々精進しているところです」
俺が想像している以上にお父上様はすげぇ人なんだろうな。
「むー……!」
パスカルと会話しているとルーシー姉さんがむくれていた。
「どうしたの?」
「私だってすごいのよ!?」
あぁ、それでむくれていたのか。可愛いかよ。
「創剣!」
ルーシー姉さんの手に金色の魔力でできた剣が出現した。
「それに!」
そこからルーシー姉さんの周りに無数の剣が出現した。
それを見ると何だか前世のアニメに出てくるような光景に見えてくるし、実際シルヴィー姉さんの鎧よりかは見栄えはいい。
「やる気ですか? それなら私がお相手しましょう」
「すぐにパスカルを倒してお姉ちゃんより強いって証明するわ!」
「その意気です。ですが簡単には倒されはしませんよ」
鍛錬が休みだったのに弟にすごいところを見せたくて鍛錬をするとか、バカだけど可愛いな。
まだ鍛錬をしていないから分からないけど、前世の俺だったら休みの日くらいは休みたいと思うはずだ。
ルーシー姉さんが浮いている剣をパスカルに向けて射出しながらパスカルに向かっていき、パスカルはそれらすべてを剣一つで余裕でさばく。
これだけでルーシー姉さんがパスカルに勝てないと分かってしまった。
でも頑張っているルーシー姉さんの姿は本当に綺麗だった。
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