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009 被害者視点(Part2)…?
しおりを挟む社交界でも名高い白薔薇姫が、俺の側にいる。それだけで俺の心臓は壊れそうな程鳴っている。半歩後ろを歩く女神に聞こえていないか少し不安になる。
ーーーーーーーサクサク
無言で歩いている。無言だ。元々口下手なのにさらに女性が好む話題など分かるわけない。
さぞつまらないだろうが、女神は静かについて来てくれている。…………静かなんだが………如何せんあの綺麗な瞳がこちらをずっと見ている気がする………。
何故だろう……?シャツだけだが、服はちゃんと着ているし、濡れているところはない筈……。それとも何か自分では気づかない所で失礼なことをしているのか…?
思い切って聞いてみたらこの高い身長が珍しかったそうだ。確かに俺も女神も高い方だと思う。俺なんかはただの恐怖の対象だろうが、女神はスタイルの良さが際立っていると思う。本人は気にしているが、腕も肩も細過ぎなくらいなのに豊かな胸がより強調されている…。
そう思って胸のこと以外を素直に言ってみれば、女神に素敵な殿方と言ってもらえたような…?
聞き間違いか?聞き間違いかもしれないが、聞き返したくともその時の女神の表情がとても可愛いものだったので、俺は思わず目を逸らしてしまった。
ーーーーー「………きゃっ!」
先程の女神からの台詞を反芻していたら隣で焦った声が聞こえた。少し反応が遅れてしまったが、倒れる前に手が出せた。良かった。
ーーーーーーふにんっ
なにか、てのひらに、やわらかい、ものが、あるようだ?
頭が追いつかない。俺は何をしている?女神が倒れそうなところを………うわぁ!!!
「はっ!あの!申し訳ありません!!」
女神の胸を掴んでいる事を理解したら、思わず手を離してしまった。後から考えるとちゃんと女神の体制を整えてから離せば良かったのに、それを俺はそのまま離してしまった……。
「えっ?!きゃあっ!」
「うわっ!」
ーーーーーーードサッ!!
思わず引き寄せるようにして、自分の体を下に置く事が出来た。度々申し訳ない。女神は怪我をしていないだろうか?
少し体を起こして女神を確認しようとしたら、女神が俺の腰回りをしっかりと抱き抱えていた。脚の間に女神がいる。
という事は、この柔らかな感覚は本物か…?先程少し反応してしまった俺自身に当たっている。
ーーーーやばい。
やばいやばいやばい!早く身体を離さないと!!女神に気づかれてしまったら大変だ!!!
そう思っていても体が言うことをきかない。
女神が気づいて動き出した。こんな男にこれだけくっ付かれてさぞ怯えてしまうだろう。
早く離れないと………。
ーーーービクッ!
女神の手が俺の腹にある………!!
恥ずかしいが少し体が反応してしまった。恥ずかしいが…女神は俺の顔を見ている…?
何故、目を逸らさないんだ?何故、すぐに離れないんだ?
俺のこと怖いとは思っていないのか…………?
分からない。分からないが、もしそうなら嬉しい………。
そう考えているとつい、自身の反応を増長させてしまった。
…………俺のは所謂巨根というやつで、半勃ちでも人より大きいらしい………。
だから気をつけていたのだが、今は女神から視線を外せない。女神に気づかれていないと良いのだが………。
落ち着いて、とりあえず反応を鎮めないと…。
息を深く吐き出そうとしたら、女神の細い指がなんと俺の中心へ伸びて、触れられている。
確かめるように何度も優しく触れらていて、俺はそれだけで気持ち良くなってしまいそうだ。
「うっ……‼︎」
声が抑えきれなかった。恥ずかしい。
その時、女神の蒼い瞳とぶつかって、俺は一気に頭がひえた。ついでに股間も冷えた。
俺はなんて事をしてしまったのだろう…!!
決してわざとでは無いが、気が高ぶっていた事なんてことは言い訳に過ぎない。
か弱い淑女に対して、俺がやった事は万死に値する………!!!
地面に頭と手を付いて、全身で謝罪をするが、こんな事では許されん。何をすれば良いのか、命で償えるならいくらでもさし出そう!!
女神は少し困ったような反応だったが、当然だ。こんな醜い男からあんな酷いことをされたのだ。どんなに慈悲深い女神でも許されない。いや、俺自身が許せない。
その時少し離れた所から女神の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
俺はまだ熱を持っているコレを他に見られる訳にもいかず、逃げるように去ってしまった。
情け無いことこの上もないが、今目の前にいる女神に侮蔑の表情をされるのがとても耐えられない。
俺の目を怖がらずに見てくれたのに……。
その目が今度は恐怖に染まったら……。
慣れている筈なのにとても耐えられそうにない俺は、なんて弱いのだろう………。
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