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学園編
第十三話
しおりを挟む教室から鈴のような可愛らしい声が聞こえて、ピンク色の人物がアラン君に激突している……。うん、アリア・エヴリーさんだ。
「アラン君待ってってば!!私本当に困ってるの!!"天使の雫"売ってってば~!!ちゃんとお金は払うよ!ねぇアラン君が私を助けてくれるんでしょ?!」
「ええっ?!」
思わず叫んじゃったけど……いきなり何を言っているの…?あと……また腕に抱きついているし……。
「エヴリー嬢、何度も申し上げていますが、私共の商会では"天使の雫"は取り扱って無いんですよ~。私は聞いたことが無いのでもっと大きな王都の商会へお問い合わせください~。」
アラン君……なんか慣れていらっしゃる……。
抱きつきはスルーなんですね……。
ちょっと羨ましい………。
「そんなはず無いよ!!だって同じクラスにはアラン君しか商会の子いないんだもん!
そうしたらアラン君が私のことを助けてくれるお助けキャラでしょう?」
「「えぇっ?」」
………思わずアラン君とハモっちゃったよ……。
この子何を言い出すんだろう……。お助けキャラって……ゲームみたいな事を言い出したよ。
この世界は乙女ゲームと似ているけど、一人一人ちゃんと生きているんだよ?攻略対象キャラだって、この世界では一人の人間だよ………勿論ゲームに出てない私も。ゲームみたいに間違えた~はい、やり直し!は出来ないんだから………。ゲームのキャラクターでは無くて、一個体の人間なんだって分かってないのかな?
「えっと……そのお助けキャラってのがよく分からないけど~………とりあえず腕離してくんない?」
「えっ……?なんで?」
背の高いアラン君を見上げる姿は、上目遣いでとても可愛い美少女だと思う……。でも離れた方が良いよー!!ちょっとアラン君の後ろ姿からなんか冷気がきてる気がするー!!
「いいから離れてくださ~い。」
渋々といった感じでアラン君の腕から離れるアリアさん……。流石美少女はメンタル強いわ~。
私だったら無理だわ~………。
「さて……先程の話だけど、私は本当に"天使の雫"は知りませんよ。父さんの仕事に着いて色々な諸国を回ったけど、他の国でも聞いたことないですね~。
まぁもし知っていたとしても、何故私が、貴女を、助けるのでしょう?別に友達でも何でもないのでその必要はありませんよね~?
いい加減同じやりとりは疲れるので今後は話し掛けないでくださいね~。」
「えっ?!嫌よ!!ねぇ待ってってば!!」
アラン君はもう話は済んだと言わんばかりに、アリアさんから背を向けて私に手を差し伸べてくれる。………この手を取っても良いのかな?
「メアリー行こう?」
「うん……。」
まだ後ろでキャンキャンと叫んでいるし……モブの私が良いのかなって気持ちもある。でも、2年ぶりのアラン君の手はとても大きくなっていて、小さい頃とは違う手にドキドキしちゃう。
「もぉ~!!無視しないでよ!!私が話しかけているのに~!!なんで?なんで?なんでっ?!なんでーーーっ?!」
ーーーーーーードンッ!!
えっ?
気付いたら何故か私が突き飛ばされていた。
えっ?本当になんで?!私何もしてないよ!?
繋いだ手が離れてしまい、壁が目前に迫る。咄嗟に目をつぶって衝撃を備える。
アラン君が慌てて手を伸ばしてくれてるのを最後に、体が小さな私は吹っ飛ばされて壁への激突に耐えきれず、私の意識はそこで途切れるーーーーー。
「メアリーーーーーーー!!!!!」
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少し短いですが……汗
よろしくお願いします!
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