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4. 変化
カールの過去
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「エスェト孤児院って、知ってる?」
魔法競技場に戻って暫くしてから、隣にいるリンが不意に尋ねてきた。私は障壁魔法の中で行われている、ユートとカールの練習試合を見ながら答える。
「魔物による被害で親を失った、あるいは親元から離れざるを得なくなった子供を受け入れている孤児院、だったかしら。種族に関係なく受け入れる孤児院の中では、かなり歴史が長いって聞いたことがあるわ」
「あ、うん。よく知ってたね。……実はさ、カール、そこの出身なんだ」
魔導器を振り回すカールに目を遣る。すると彼は、過去に魔物絡みの事故に巻き込まれたということか。でもどうしてそんなことを私に?
「……もしかして、カールの態度はそれが原因なの?」
「……原因の一つ、だね。カールのご両親がいなくなった事件は、あたしも詳細は知らないんだけど、魔導士の到着が遅れて被害が拡大したらしくって」
「いなくなった? 遺体は見つからなかったの?」
「うん。だからカールも、絶対まだ生きているから探してくれって頼んだんだって。だけど捜索もすぐに打ち切られちゃって……」
「……そう」
その話が事実なら、カールは相当悔しく思ったに違いない。魔導士や魔導士を目指す相手に強く当たるのも、なんとなくわかる気はする。とは言え、魔導士の方々だってわざと遅れたわけではないはずだ。捜索を打ち切ったのだって、冷たい言い方になるけれど、生存が絶望的な人物の捜索にそれ以上人手を割くことはできないという合理的な判断が下されたからだろう。カールはそれが分からないほど子供なのだろうか? それとも分かっていながら、身にかかった理不尽を誰かのせいにしたいと、そういうことなのだろうか?
「そしてもう一つ。去年のことなんだけど、エスェト孤児院が魔物に襲われたんだって」
「孤児院が?」
思わず眉を顰め、リンの方を向く。安全であるべき施設が魔物に襲われるだなんて、魔導士は何をしていたの?
「エスェト孤児院は、昔から沢山の種族の子を受け入れていたから、当時の人からはあまりよく思われてなかったみたいでさ。その名残で、今も町から離れた場所に建ってるらしいんだ。だからその、その時も魔導士の助けが遅くなって……」
「……被害が出たの?」
「……うん。あ、でも誰も命は落とさなかったって。院長をしてるアンズって人が魔物を抑えていたらしくって、その人が怪我をした程度で済んだみたい」
それを聞いて、小さく安堵する。
「ただ、助けに来た魔導士に、その、ヤな奴がいたらしくてさ。心無いこと言ってるのを聞いたんだって。それでカール、ケンカしたって」
「………………」
「この話を聞かせてくれた後、カールは魔法が使えるからって偉そうにしている奴が許せないって言ってた。だけどね、ここ以外の学院にも何度か試合しに行ったんだけど、教師の人はともかく、大体の生徒に冷たい態度をとられて、それでカール、実力のある魔法使いは全員『そう』なんだ、って考えに変わっていったんだ」
そういうことか。増長した中途半端な実力者を何人も見てきた私は、カールの気持ちがよく分かった。
もし魔導器を作る前の出来事だったら、実力で黙らせられる私なんかよりも、よっぽど悔しい思いをしたでしょうね。
「だからシルファたちにもつっかかって……ごめんね。あたしたちがもっと、強く言い聞かせられてたら……」
「それについてはもういいわ。それより、本人がいないところでこういう話をするのは、あまり良くないと思うのだけど」
「うん、そうだね。けどどうしても、シルファには聞いてほしかったんだ。カールは絶対、自分からは話そうとしないだろうから」
そう言ってリンはまた、困ったような笑みを浮かべた。私にはその笑顔が眩しくて、試合の方へと視線を戻す。丁度ミスティが試合終了を宣言しているところだった。
「そこまで。ユートの勝ち」
「ありがとうございました」
「……ありがとう、ございました」
試合後の礼が終わり、障壁魔法が消える。そのタイミングで、誰かが手を鳴らす音が聞こえた。音のした方へと顔を向ける直前、視界の隅でユートの体が一瞬強張ったように見えた。
「お前たち、そろそろ時間だ。移動の準備をする前に、一度集まってくれ」
アンソニーさんの言葉に、四人が魔導器を持って集まる。聞いていた予定だと、これから別の場所に移動して、魔導器のことについて色々と説明するようだ。その際、撮影魔法で撮られた試合の様子も先生方に見せるらしい。私たちの試合も映しだされると思うと、何となく誇らしく感じると共に、ユートの方に注目が集まってしまうのではと今更ながら心配してしまう。
「シルファ!」
「へ?」
突然声をかけられ、変な声を上げてしまう。見ると、いつの間にかリンが横に立っていた。
「改めて、ありがとう! シルファに会えて本当に良かった。あたしもシルファみたいな、立派なリーダーになってみせるね!」
「あ、うん。頑張って。ただ、私を真似る必要はないと思うわ。リンにはリンのいいところがあるから」
「あは! ありがとう! それじゃあまたね!」
リンは手を振ると、私から離れてユートの方へと向かっていった。ユートの傍には既にミスティとカールが居て、さっきの試合について話していた。どうやらアンソニーさんは最後に生徒同士で話す機会を設けたらしい。
「魔法の種類を増やすのも大事だけど、一つの魔法を色々な形に派生させることも試せるんじゃない? 僕の『ブレイド・ルーツ』も、刃の形状や大きさを変えてはいるけど、刃を作る部分の魔術式はほとんど同じだし」
「成程。魔術式の一部を使い回すという意味では、魔術式の改変をより大規模に行うイメージですかね? 連成にも応用できそうですが……」
シイキの隣にはクロムがいた。いつの間に仲良くなったのか、魔術式談議に花を咲かせている。シイキは今回、魔導器という未知の相手に対しても安定した魔法の発現ができていた。この経験が自信に繋がってくれればいいけど。
と考えたところで、カールが近づいてくるのに気がつく。
「………………」
「………………」
カールは少し距離がある所で止まり、中々視線を合わせようとしない。仕方がないので私から声をかけることにする。
「何かしら?」
「あー、えっと、その……」
話を振っても言い出しづらそうにしている。私はため息をついてから切り出した。
「あなたの話、リンから聞いたわ」
「なっ!? あいつ――」
「その上で質問。あなたの夢は、何?」
「俺の、夢?」
質問の内容に驚いたのか、カールは少しの間迷ったような表情を見せ、けれどすぐに、はっきりと答えた。
「俺の夢は、魔法の才能なんて関係なく、誰でも魔物に対抗できるような、そんな魔導器を作ることだ!」
「……そう。ならその夢の実現のために、自分にできること、できないこと、自分のすべきこと、すべきでないことを考えなさい。その夢は、一人で叶えないといけないわけじゃないのだから」
「シルファ……ああ、分かったよ」
カールは頷いて、背を向ける。
「悪かった。それと、……ありがとな」
そしてそう残し、仲間の元へと去っていった。私はその背中を、小さく笑って見送った。
魔法競技場に戻って暫くしてから、隣にいるリンが不意に尋ねてきた。私は障壁魔法の中で行われている、ユートとカールの練習試合を見ながら答える。
「魔物による被害で親を失った、あるいは親元から離れざるを得なくなった子供を受け入れている孤児院、だったかしら。種族に関係なく受け入れる孤児院の中では、かなり歴史が長いって聞いたことがあるわ」
「あ、うん。よく知ってたね。……実はさ、カール、そこの出身なんだ」
魔導器を振り回すカールに目を遣る。すると彼は、過去に魔物絡みの事故に巻き込まれたということか。でもどうしてそんなことを私に?
「……もしかして、カールの態度はそれが原因なの?」
「……原因の一つ、だね。カールのご両親がいなくなった事件は、あたしも詳細は知らないんだけど、魔導士の到着が遅れて被害が拡大したらしくって」
「いなくなった? 遺体は見つからなかったの?」
「うん。だからカールも、絶対まだ生きているから探してくれって頼んだんだって。だけど捜索もすぐに打ち切られちゃって……」
「……そう」
その話が事実なら、カールは相当悔しく思ったに違いない。魔導士や魔導士を目指す相手に強く当たるのも、なんとなくわかる気はする。とは言え、魔導士の方々だってわざと遅れたわけではないはずだ。捜索を打ち切ったのだって、冷たい言い方になるけれど、生存が絶望的な人物の捜索にそれ以上人手を割くことはできないという合理的な判断が下されたからだろう。カールはそれが分からないほど子供なのだろうか? それとも分かっていながら、身にかかった理不尽を誰かのせいにしたいと、そういうことなのだろうか?
「そしてもう一つ。去年のことなんだけど、エスェト孤児院が魔物に襲われたんだって」
「孤児院が?」
思わず眉を顰め、リンの方を向く。安全であるべき施設が魔物に襲われるだなんて、魔導士は何をしていたの?
「エスェト孤児院は、昔から沢山の種族の子を受け入れていたから、当時の人からはあまりよく思われてなかったみたいでさ。その名残で、今も町から離れた場所に建ってるらしいんだ。だからその、その時も魔導士の助けが遅くなって……」
「……被害が出たの?」
「……うん。あ、でも誰も命は落とさなかったって。院長をしてるアンズって人が魔物を抑えていたらしくって、その人が怪我をした程度で済んだみたい」
それを聞いて、小さく安堵する。
「ただ、助けに来た魔導士に、その、ヤな奴がいたらしくてさ。心無いこと言ってるのを聞いたんだって。それでカール、ケンカしたって」
「………………」
「この話を聞かせてくれた後、カールは魔法が使えるからって偉そうにしている奴が許せないって言ってた。だけどね、ここ以外の学院にも何度か試合しに行ったんだけど、教師の人はともかく、大体の生徒に冷たい態度をとられて、それでカール、実力のある魔法使いは全員『そう』なんだ、って考えに変わっていったんだ」
そういうことか。増長した中途半端な実力者を何人も見てきた私は、カールの気持ちがよく分かった。
もし魔導器を作る前の出来事だったら、実力で黙らせられる私なんかよりも、よっぽど悔しい思いをしたでしょうね。
「だからシルファたちにもつっかかって……ごめんね。あたしたちがもっと、強く言い聞かせられてたら……」
「それについてはもういいわ。それより、本人がいないところでこういう話をするのは、あまり良くないと思うのだけど」
「うん、そうだね。けどどうしても、シルファには聞いてほしかったんだ。カールは絶対、自分からは話そうとしないだろうから」
そう言ってリンはまた、困ったような笑みを浮かべた。私にはその笑顔が眩しくて、試合の方へと視線を戻す。丁度ミスティが試合終了を宣言しているところだった。
「そこまで。ユートの勝ち」
「ありがとうございました」
「……ありがとう、ございました」
試合後の礼が終わり、障壁魔法が消える。そのタイミングで、誰かが手を鳴らす音が聞こえた。音のした方へと顔を向ける直前、視界の隅でユートの体が一瞬強張ったように見えた。
「お前たち、そろそろ時間だ。移動の準備をする前に、一度集まってくれ」
アンソニーさんの言葉に、四人が魔導器を持って集まる。聞いていた予定だと、これから別の場所に移動して、魔導器のことについて色々と説明するようだ。その際、撮影魔法で撮られた試合の様子も先生方に見せるらしい。私たちの試合も映しだされると思うと、何となく誇らしく感じると共に、ユートの方に注目が集まってしまうのではと今更ながら心配してしまう。
「シルファ!」
「へ?」
突然声をかけられ、変な声を上げてしまう。見ると、いつの間にかリンが横に立っていた。
「改めて、ありがとう! シルファに会えて本当に良かった。あたしもシルファみたいな、立派なリーダーになってみせるね!」
「あ、うん。頑張って。ただ、私を真似る必要はないと思うわ。リンにはリンのいいところがあるから」
「あは! ありがとう! それじゃあまたね!」
リンは手を振ると、私から離れてユートの方へと向かっていった。ユートの傍には既にミスティとカールが居て、さっきの試合について話していた。どうやらアンソニーさんは最後に生徒同士で話す機会を設けたらしい。
「魔法の種類を増やすのも大事だけど、一つの魔法を色々な形に派生させることも試せるんじゃない? 僕の『ブレイド・ルーツ』も、刃の形状や大きさを変えてはいるけど、刃を作る部分の魔術式はほとんど同じだし」
「成程。魔術式の一部を使い回すという意味では、魔術式の改変をより大規模に行うイメージですかね? 連成にも応用できそうですが……」
シイキの隣にはクロムがいた。いつの間に仲良くなったのか、魔術式談議に花を咲かせている。シイキは今回、魔導器という未知の相手に対しても安定した魔法の発現ができていた。この経験が自信に繋がってくれればいいけど。
と考えたところで、カールが近づいてくるのに気がつく。
「………………」
「………………」
カールは少し距離がある所で止まり、中々視線を合わせようとしない。仕方がないので私から声をかけることにする。
「何かしら?」
「あー、えっと、その……」
話を振っても言い出しづらそうにしている。私はため息をついてから切り出した。
「あなたの話、リンから聞いたわ」
「なっ!? あいつ――」
「その上で質問。あなたの夢は、何?」
「俺の、夢?」
質問の内容に驚いたのか、カールは少しの間迷ったような表情を見せ、けれどすぐに、はっきりと答えた。
「俺の夢は、魔法の才能なんて関係なく、誰でも魔物に対抗できるような、そんな魔導器を作ることだ!」
「……そう。ならその夢の実現のために、自分にできること、できないこと、自分のすべきこと、すべきでないことを考えなさい。その夢は、一人で叶えないといけないわけじゃないのだから」
「シルファ……ああ、分かったよ」
カールは頷いて、背を向ける。
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