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4. 変化
魔法都市の散歩
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「小説ってあんなにあるんだな」
ジェンヌ先生に挨拶してから朝ごはんを済ませた俺たちは、学院の入り口にある門で外出許可を貰うと、二人で魔法都市グリマールへと向かった。初めに訪れた大きな書店を出て、俺は隣のシルファに話しかける。学院の生徒としての自覚を忘れないためと制服に着替えてきたシルファは、俺の言葉に軽く頷いた。
「この店は大きいから、過去の有名作も軒並み揃っているし、あれだけの量になるのよ」
「けれどあれって全部、本当にあった話ってわけでもないんだろ? 童話みたいに何かしら教訓があるにしても、あれだけ多く必要なのか?」
「創作小説は教訓のためというより、娯楽のために書かれることの方が多いから、時代ごとに求められている作品だったり書体だったりが移り変わって、どんどんと新しい作品が生まれた結果かしらね。印刷技術の向上で沢山の作品が世に広く出回りやすくなったのも一因でしょうけれど」
「娯楽か……」
その言葉を聞いてパッと思いつくのは踊りや音楽や曲芸、あとは単純な遊戯くらいだ。あれだけ長くて複雑そうな物語を娯楽として扱えるなんて、都会の人は頭がいいんだな。
「ユートはああいった小説を読んだことはあるの?」
「いや、ないな。あれだけの文字を読んだのは教科書以外だと新聞くらいだ」
「そう……。あなたが補習を受けることになった理由、何となく分かったわ」
「本当か?」
「ええ。多分、沢山の字を読むことに慣れてないからよ。一度に多くの情報を与えられて、その取捨選択ができないんじゃないかしら」
「ああ、言われてみると理解する前にどんどん先に進んでいく印象があるな」
戦いとかだったらこれまでの経験から状況判断や行動計画がすぐにできるけど、学院の授業は似たような経験も少ないし、理解すべきところを理解しないままついていっているんだろうな。
「最初からそう言ってくれれば、少しは力になれたのに」
「いやあ、どの程度の理解でいいのか自分でもよく分かってなくてさ」
数学とかなら自分がついていけてないことも分かるけど、歴史とかは何を理解してないといけないのか曖昧なんだよな。そりゃ全部記憶できれば最高なんだろうけど。
「けど昨日の補習で、俺は勉強でも遅れてるって分かったからな。甘えるみたいで悪いけど、今度コツみたいなのを教えてくれないか?」
「その程度全然構わないわよ。同じチームのメンバーなんだから、助け合えるところは助け合っていきましょう」
「ありがとな。なんだか助けてもらってばかりな気もするけど」
「そんなことないわ。試合に関してはすごく頼りにしてるもの」
会話を続けながら歩いているうちに、段々と人通りが増えてきているのを感じる。大通りの中心を行きかう馬車の数も、普段の週末と比べて心なしか多いように見えた。
「何だかいつもより人が多いような気がするけど、何かあるのか?」
「確かに人出が増えている印象があるわね。この先にあるものと言えばグリマール芸術劇場だけど、そこで何かあるのかもしれないわ」
「グリマール芸術劇場って、面白い形をした大きな建物か?」
「ええそうよ。楽団の演奏から舞台劇、更には魔法を使ったパフォーマンスまでできる大劇場。あの場所で演目を披露することは、奏者や役者にとって大きな目標の一つだとも言われているわね」
「へえ」
この街を回った時に目にした、一際大きな建物を思い浮かべる。あれがグリマール芸術劇場か。
「見に行ってもいいか?」
「構わないけど、多分中には入れないわよ? 当日券なんて滅多に手に入らないんだから」
「実際に観なくても、どういう内容の演目が行われるのか知れれば十分さ」
「……そう、ならいいわ」
シルファの了承も得られ、向かおうとした矢先だった。
「そうか、困ったな」
反射的に声のした方に顔を向けると、少し離れたところに苦笑いしながら頭を掻く背の高い男の人が目に入る。赤色の髪をしたその人は、背中から左側だけ赤い翼を出していた。赫翼族の人のようだけど、右の翼は無くしてしまったんだろうか?
人混みの中でも一際目立つ翼人族の人は、全員が同じ紺色の上着を着た、それぞれ背負い鞄とは別に大きな布袋を持っている四人の男女に何かを追及されているようだった。
「困ったな、じゃないですよー! このままじゃ遅れちゃいます!」
「これで間に合わなかったら先生のせいだかんな!」
「とにかく、早くグリマール魔法学院に向かわないと……」
「といっても地図が無いのでは、誰かに道を訊くしかないかと」
「グリマール魔法学院なら、案内できますよ」
近づいて声をかけると、四人が一斉に振り向く。顔つきを見るに、皆俺と同年代っぽい。その四人に詰められていた、スーツとかいうらしい服に身を包んだ男の人も含め、突然現れた俺に驚いているようだった。
最初に声を上げたのは、緑髪の女の子だった。
「本当ですか! 助かります!」
「てかその恰好、もしかしてグリマール魔法学院の生徒か?」
「……そうみたい」
「ふむ、こんなところで会えるとは」
四者四様の反応をする全員の上着の胸に、何かの紋章が縫い付けられている。グリマール魔法学院のものじゃない。ということは、
「もしかして、別の学院の――」
「マシ―ナ学院の生徒、ですか?」
追いついたシルファの声が背後から聞こえた。俺は振り返ってシルファに尋ねる。
「シルファ、知ってるのか?」
「ええ。グリマール魔法学院と同じ、魔法使いのための学院よ。それよりユート、悪い、だけじゃ分からないわ。急ぐようなことじゃなければ、簡単にでいいから説明してくれるかしら?」
「ああ、ごめんな」
「……えっと、いいかな?」
話す機会を窺っていたらしく、赤い翼の男の人が遠慮がちに手を挙げる。
「はい、何でしょう?」
「あなた、ええと、シルファさんの言う通り、俺たちはマシ―ナ学院の関係者だ。グリマール魔法学院に用があってここまで来たんだが、うっかり地図を忘れてしまって困っててな。だからその、良かったら案内してくれないか?」
「構いませんが、その前にお名前を伺っても?」
「おっと、これは失礼。俺は引率の教師、アンソニーだ」
「あたしはリン。よろしくね!」
アンソニーさんに続き、緑髪の女子生徒が元気に自己紹介する。
「俺はカール」
次に明るい緋色の髪をした男子生徒が口を開き、
「私はミスティ」
「僕はクロムです。よろしくお願いします」
浅黄色の長髪を持つ女子生徒と眼鏡をかけた黒髪の男子生徒が続いた。
「俺はユートだ。よろしくな」
「改めて、シルファ・クレシェンです。よろしくお願いします」
頭を下げ合ってから、シルファは半歩下がって道を手で示す。
「それでは案内しますね。少し距離がありますが、大丈夫ですか?」
「おお、ありがとう! 勿論平気だ。な? お前たち」
「勿論です!」
「当たり前だ」
「はい」
「ずっと馬車の中でしたし、いい運動になりそうです」
「そうですか」
問題ないことを確認してから、シルファは歩き始めた。俺はその隣に並ぶと、小声でシルファに謝る。
「ごめんな。折角街を案内してくれてたのに」
「気にすることないわ。グリマール魔法学院の生徒として、困っている人を助けるのは当然だもの」
シルファは何でもないように答える。グリマール魔法学院の生徒として、か。わざわざ制服に着替えてきたことといい、シルファはここの学院生であることに強い誇りを持っているんだな。
俺は改めて、その真面目さに好感を抱いた。
ジェンヌ先生に挨拶してから朝ごはんを済ませた俺たちは、学院の入り口にある門で外出許可を貰うと、二人で魔法都市グリマールへと向かった。初めに訪れた大きな書店を出て、俺は隣のシルファに話しかける。学院の生徒としての自覚を忘れないためと制服に着替えてきたシルファは、俺の言葉に軽く頷いた。
「この店は大きいから、過去の有名作も軒並み揃っているし、あれだけの量になるのよ」
「けれどあれって全部、本当にあった話ってわけでもないんだろ? 童話みたいに何かしら教訓があるにしても、あれだけ多く必要なのか?」
「創作小説は教訓のためというより、娯楽のために書かれることの方が多いから、時代ごとに求められている作品だったり書体だったりが移り変わって、どんどんと新しい作品が生まれた結果かしらね。印刷技術の向上で沢山の作品が世に広く出回りやすくなったのも一因でしょうけれど」
「娯楽か……」
その言葉を聞いてパッと思いつくのは踊りや音楽や曲芸、あとは単純な遊戯くらいだ。あれだけ長くて複雑そうな物語を娯楽として扱えるなんて、都会の人は頭がいいんだな。
「ユートはああいった小説を読んだことはあるの?」
「いや、ないな。あれだけの文字を読んだのは教科書以外だと新聞くらいだ」
「そう……。あなたが補習を受けることになった理由、何となく分かったわ」
「本当か?」
「ええ。多分、沢山の字を読むことに慣れてないからよ。一度に多くの情報を与えられて、その取捨選択ができないんじゃないかしら」
「ああ、言われてみると理解する前にどんどん先に進んでいく印象があるな」
戦いとかだったらこれまでの経験から状況判断や行動計画がすぐにできるけど、学院の授業は似たような経験も少ないし、理解すべきところを理解しないままついていっているんだろうな。
「最初からそう言ってくれれば、少しは力になれたのに」
「いやあ、どの程度の理解でいいのか自分でもよく分かってなくてさ」
数学とかなら自分がついていけてないことも分かるけど、歴史とかは何を理解してないといけないのか曖昧なんだよな。そりゃ全部記憶できれば最高なんだろうけど。
「けど昨日の補習で、俺は勉強でも遅れてるって分かったからな。甘えるみたいで悪いけど、今度コツみたいなのを教えてくれないか?」
「その程度全然構わないわよ。同じチームのメンバーなんだから、助け合えるところは助け合っていきましょう」
「ありがとな。なんだか助けてもらってばかりな気もするけど」
「そんなことないわ。試合に関してはすごく頼りにしてるもの」
会話を続けながら歩いているうちに、段々と人通りが増えてきているのを感じる。大通りの中心を行きかう馬車の数も、普段の週末と比べて心なしか多いように見えた。
「何だかいつもより人が多いような気がするけど、何かあるのか?」
「確かに人出が増えている印象があるわね。この先にあるものと言えばグリマール芸術劇場だけど、そこで何かあるのかもしれないわ」
「グリマール芸術劇場って、面白い形をした大きな建物か?」
「ええそうよ。楽団の演奏から舞台劇、更には魔法を使ったパフォーマンスまでできる大劇場。あの場所で演目を披露することは、奏者や役者にとって大きな目標の一つだとも言われているわね」
「へえ」
この街を回った時に目にした、一際大きな建物を思い浮かべる。あれがグリマール芸術劇場か。
「見に行ってもいいか?」
「構わないけど、多分中には入れないわよ? 当日券なんて滅多に手に入らないんだから」
「実際に観なくても、どういう内容の演目が行われるのか知れれば十分さ」
「……そう、ならいいわ」
シルファの了承も得られ、向かおうとした矢先だった。
「そうか、困ったな」
反射的に声のした方に顔を向けると、少し離れたところに苦笑いしながら頭を掻く背の高い男の人が目に入る。赤色の髪をしたその人は、背中から左側だけ赤い翼を出していた。赫翼族の人のようだけど、右の翼は無くしてしまったんだろうか?
人混みの中でも一際目立つ翼人族の人は、全員が同じ紺色の上着を着た、それぞれ背負い鞄とは別に大きな布袋を持っている四人の男女に何かを追及されているようだった。
「困ったな、じゃないですよー! このままじゃ遅れちゃいます!」
「これで間に合わなかったら先生のせいだかんな!」
「とにかく、早くグリマール魔法学院に向かわないと……」
「といっても地図が無いのでは、誰かに道を訊くしかないかと」
「グリマール魔法学院なら、案内できますよ」
近づいて声をかけると、四人が一斉に振り向く。顔つきを見るに、皆俺と同年代っぽい。その四人に詰められていた、スーツとかいうらしい服に身を包んだ男の人も含め、突然現れた俺に驚いているようだった。
最初に声を上げたのは、緑髪の女の子だった。
「本当ですか! 助かります!」
「てかその恰好、もしかしてグリマール魔法学院の生徒か?」
「……そうみたい」
「ふむ、こんなところで会えるとは」
四者四様の反応をする全員の上着の胸に、何かの紋章が縫い付けられている。グリマール魔法学院のものじゃない。ということは、
「もしかして、別の学院の――」
「マシ―ナ学院の生徒、ですか?」
追いついたシルファの声が背後から聞こえた。俺は振り返ってシルファに尋ねる。
「シルファ、知ってるのか?」
「ええ。グリマール魔法学院と同じ、魔法使いのための学院よ。それよりユート、悪い、だけじゃ分からないわ。急ぐようなことじゃなければ、簡単にでいいから説明してくれるかしら?」
「ああ、ごめんな」
「……えっと、いいかな?」
話す機会を窺っていたらしく、赤い翼の男の人が遠慮がちに手を挙げる。
「はい、何でしょう?」
「あなた、ええと、シルファさんの言う通り、俺たちはマシ―ナ学院の関係者だ。グリマール魔法学院に用があってここまで来たんだが、うっかり地図を忘れてしまって困っててな。だからその、良かったら案内してくれないか?」
「構いませんが、その前にお名前を伺っても?」
「おっと、これは失礼。俺は引率の教師、アンソニーだ」
「あたしはリン。よろしくね!」
アンソニーさんに続き、緑髪の女子生徒が元気に自己紹介する。
「俺はカール」
次に明るい緋色の髪をした男子生徒が口を開き、
「私はミスティ」
「僕はクロムです。よろしくお願いします」
浅黄色の長髪を持つ女子生徒と眼鏡をかけた黒髪の男子生徒が続いた。
「俺はユートだ。よろしくな」
「改めて、シルファ・クレシェンです。よろしくお願いします」
頭を下げ合ってから、シルファは半歩下がって道を手で示す。
「それでは案内しますね。少し距離がありますが、大丈夫ですか?」
「おお、ありがとう! 勿論平気だ。な? お前たち」
「勿論です!」
「当たり前だ」
「はい」
「ずっと馬車の中でしたし、いい運動になりそうです」
「そうですか」
問題ないことを確認してから、シルファは歩き始めた。俺はその隣に並ぶと、小声でシルファに謝る。
「ごめんな。折角街を案内してくれてたのに」
「気にすることないわ。グリマール魔法学院の生徒として、困っている人を助けるのは当然だもの」
シルファは何でもないように答える。グリマール魔法学院の生徒として、か。わざわざ制服に着替えてきたことといい、シルファはここの学院生であることに強い誇りを持っているんだな。
俺は改めて、その真面目さに好感を抱いた。
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