6 / 26
当たって砕けろ
しおりを挟む美里さん全然変わってなかったな。
「ずいぶん個性的な人でしたね。」
「美里さんは私に本当に良くしてくれて、姉のような存在なんです。」
父が死んでしまったときも
わざわざ他国から帰ってきてくれて(もちろん仕事は全てキャンセルしたらしい)一緒に泣いてくれた。
「今から部屋に案内するので.....父の部屋でもいいですか?」
「構わないよ。迷惑をかけて申し訳ないね。」
「いえ、申し訳ないのはこちらです。客室でも良かったんですが掃除をしたのがだいぶ前で.....。」
「本当に君は.....優しい子だ。ところで......ご両親は?無断で君のお父さんの部屋を借りるわけにはいかないし、お世話になるから挨拶をと思ったんだけど。」
話してなかった....。
忘れてた!!
「両親は2人とも他界しているんです。」
別に言っても問題なさそうだし、気まずい空気にしたくなかったから明るく言う。
もちろん笑顔は意識している。
なのに
ロイドさんは辛そうな顔をする。
「すまない。辛いことを思い出させてしまったね。」
私より辛そうな顔をするから戸惑った。
ロイドさんは優しい人だとそう思った。
「そんなことありません。ご飯食べられそうですか?」
ご飯の話に持っていくのはどうかと思ったけど、暗い話をするのは良くない。
「食べるのに支障は無いけど...いいのかい?ご馳走になって?」
「構いませんよ。1人分増えても問題ないので。」
「じゃあお言葉に甘えるね。」
笑ってくれた
個人的に
暗い顔もミステリアスな感じがして良かったけど、笑顔のほうがいいと思った。
断じてそういう思いではない。
ーーーーーーーーー
ロイドさんを部屋に案内した後、久しぶりに1人じゃない食事をした。
父が死んでしまってから誰にも会いたくなくて、いつも1人で食べていた。
だからなのだろうか。
食事は思ったよりも楽しくて
父がまだ生きていた頃のことを思い出した。
少し、寂しくなった
「大丈夫かい?」
「っ....すみません。少し昔のことを思い出してしまって。」
心配して私の顔を覗き込むロイドさん。
少しの変化にも気づいてくれる。
「この食事がとても楽しくて...つい。」
単純に嬉しかった
落ち着くな、ロイドさんと一緒にいると心が温かくなる。
今更だけど
ロイドさんはハーフなのかな?
顔立ちの整ってる人ってハーフってイメージがあるんだけど。
「......あのーー」
「私はハーフじゃないよ。」
なぜだろう、心を読まれた?
まぁ、たまたまだよね。
「じゃあ、家系に美形の遺伝子があるんですか?」
「まあ、そういう見方もできるね。でも違う。」
難しすぎる。
頭をフル回転させてもそれ以外なにも出てこない。
....これがダメならもう答えは無い!
当たって砕ければいい!
「突然変異でもないよ。」
「えっ......。」
当たる前に砕けた
放心状態の私にロイドさんは微笑む
「私は神様だよ。」
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中

異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~
夜夢
ファンタジー
剣と魔法の世界に生まれた主人公は、子供の頃から何の取り柄もない平凡な村人だった。
盗賊が村を襲うまでは…。
成長したある日、狩りに出掛けた森で不思議な子供と出会った。助けてあげると、不思議な子供からこれまた不思議な力を貰った。
不思議な力を貰った主人公は、両親と親友を救う旅に出ることにした。
王道ファンタジー物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる