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入学式
しおりを挟むザワザワ
いろんな会話が聞こえてくる。
あそこに居る2人組みの女子は
『ねぇ。昨日のテレビ見た?』
『見た見た!あの俳優さんはヤバイ。』
『わかる!かっこよすぎて死ぬ!』
テレビのことについて
あっちの男子は
『俺、高校入ったら彼女作るって決めてるんだ!』
『お前に彼女なんてできるわけないだろww。』
『なに~!お前彼女居るからって調子乗るな!』
......彼女がほしいみたいだね。
大半は
『俺、この高校入れるなんて思ってなかった。』
『あぁ、俺も。たぶんギリギリで入れた感じするわ~。』
高校に入れてよかったと安堵している
そう、今日は高校の入学式
高校生活の始まりに、互いに緊張をほぐしておこうとしているのが分かる。
必然的に、この輪に入ることが出来なかった者はイジメの対象にされる。
必ずしもそうだとは限らないが、少なくとも、これからの学校生活で苦労することになる。
『おい、あれ見ろよ。』
このとき私は
『うわぁっ、マジかよ。』
そのお手本とも言えるような存在になっていた。
『えっ....ちょっとありえない。』
『今時あんな厚底メガネに三つ編みしてる奴初めて見た。』
『絶対、地味子だね。』
『一緒のクラスになりたくねぇな。ザッ真面目!みたいな感じでさ。』
すごい言われようだ。
見た目がダメなだけでここまでとは。
.....視線が痛い。
「ちょうどいい時間だし、入学式の会場行こう。」
そう言って
私は周りの視線から逃れるように入学式の会場である体育館に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「えー、君達がこの学校生活で得るものはーーー」
入学式が始まりスムーズに進んで、もうちょっとで終わるという時に
来賓の人の話になった
で、その来賓の人はもう10分ぐらい話しているが.......やっと中盤に入ったっぽい。
生徒達はというと
『超長いんですけど。マジ勘弁。』
『一体いつになったら終わるの!これから新作のコスメ買いに行くのに!』
『さっさと終われよジジイ。』
苛立っている。
真面目に聞いてる人も居るけど、皆疲れた顔をしている。
あっ、寝てる人いた
そして来賓の話が終わったのはその10分後ぐらい。
(((((20分も話すなんてふざけんな)))))
生徒全員がそう思った。
やっと入学式が終わり全体の連絡事項を聞いた後、今日はそのまま帰宅することになった。
帰り道にはたくさんの桜が咲いている。
花びらが足元に舞い落ちる。
そんな中を家族と一緒に帰る同じ制服を着た人たち。
その人たちを見て
“羨ましい”と思った
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいま。」
自分の声が空気に消える。
返事なんて返ってこない。
靴を脱ぎ中に入るとまず向かったのは
仏壇
両親の写真を前に涙が出てきそうになるのを堪える。
「高校に無事、入学できました。」
手を合わせ一言そう言い仏壇から離れる。
頬に一筋温かいものが流れたことに気づかないふりをして。
両親は既に他界した。
母は私が6歳ぐらいの時に、父は私が中学3年生のときに....。
2人とも交通事故だった。
父は男手一つで私を育ててくれた。
事故に遭うその日まで。
その日は私の卒業式だったのに
優しい笑顔で
“おめでとう”って言ってくれたのに。
兄弟は居ない。
母は体が弱かったから、子供なんて産めなかった。
私は養子。
孤児院に預けられていた私を引き取ってくれたのが父と母だった。
私は1人だ。
そう思わずにはいられない。
ソファーに座り机の上にある写真を手に取る。
それは、父と母と私が唯一、一緒に写っているもの。
独りは辛い
死んでしまえば、両親に会えるだろうか。
この苦しみから解放されるだろうか。
「バカバカしい事考えるのはやめないと。」
写真を置いて立ち上がりキッチンへ向かう。
(ご飯、何作ろうかな)
私の頭の中にはさっきまでの暗い考えはもう無かった。
あるのは、ご飯を何にしようかというそんな悩み。
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