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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章四十二節 未知との遭遇とクラン勧誘-

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この話はマサツグ達がガイアス達を誘いフィリアの許可の下、王宮へまたコカトリス

料理を食べに向かい、王宮で料理が出来るまで世間話をしていた話といざコカトリス

の料理が出てきた時の各々の反応を見た話である。


__王宮内・大食堂にて__


「さて…また給仕さん達にコカトリスの肉を渡した事だし料理が出来るまで

何をしていようか?…」


「ッ!じゃ…じゃあ!

マサツグがスプリングフィールドで騎士団長と一騎打ちになった経緯を

教えてくれ!!」


大食堂で料理が出来るまでの時間を如何潰すかで悩んでいるとガイアスがマサツグの

話を持ち出す。マサツグはガイアスの圧力に若干圧され気味に引いているとガイアス

だけで無く、エルメダやテレア、そしてレイヴンが興味を持ち出した事に気が付く。

まるで伝説の人を目の前にした様なキラキラとした子供のような目でマサツグを

見つめるガイアスゴ○スに戸惑いながらもマサツグは最初の頃の話を始めるのであった。


「……まだ最近の話だし…大して面白くも無いぞ?…」


「…大して面白くないでモツと王国と連携して魔王を撃退は普通しないだろ?」


「それに、こういう冒険譚ってどんな人の物でもいつかは役に立ったりするものだ

し、私達のような冒険者にはとても面白い物なのよ?」


「それにマサツグさんの話っていつも変わった戦闘スタイルで有名だし、

マサツグさんが知らない所では隠れて動画を取られているみたいですよ?」


エルメダがマサツグにその人の冒険譚は糧になると言われ、テレアからは知らぬ間に

ストーカー被害に遭っている事を告げられる。その証拠にテレアがウィンドウを

開くとそのウィンドウに幾つかのプレイ動画のサムネを見せる。するとそこには

最初、騎士団長と戦ったものからついさっきのヴェノムコカトリス戦の戦闘の様子が

UPされてある。それを見てマサツグが驚いているとテレアが補足説明をする。


「…どうやらマサツグさんが使う連携技って言うのが珍しいみたいで、システムと

しては何ら不思議じゃないみたいです。ですが、こうもタイミング良く発動するもの

だから今や一人のカリスマ状態になっているみたいですよ?」


{……どうしてこうなる!!……ただ普通にゲームをしているだけなのに!!……

ただ、平穏にゲームを楽しもうと思っていたらこの様に!……}


マサツグがその場で頭を抱え、うな垂れる。その様子にガイアスが心配をし、

レイヴンはマサツグの考えが分かっているのか肩を震わせながら笑いを堪えていた。

そして、マサツグが気持ちを切り替え頭を上げると溜め息一つを吐き、今まで

このゲームで体験してきた事を話し始める。


「……はあぁ~……もう一度言っておくけど大して面白くないからな?

じゃあ……俺が最初この~~~……」


初めてのモンスターとの戦闘で戦っている最中にデカイトカゲに襲われ、それを

倒し終えたと思えば今度は騎士団長が、と過去を振り返る様に話して行く。

そんな話をガイアスは興奮気味に聞き入り、エルメダは笑いながら聞く。

たまに疑問を感じたのか質問が飛んでくるがその質問に答えると何かを

思いついたのか何度も頷く素振りを見せたりした。

テレアはマサツグの話が信じられないのか終始驚いた様子で話を聞く。

そんな中、レイヴンはマサツグが話しをしていると何かを確かめる様に

ウンウンと頷く。その様子にマサツグが少しばかり疑問を持っているとふぅ…

とレイヴンが溜め息を吐く。


「……本当にモツと同じ話だな。

語り部が代われば違う風に聞えると思ったけど…」


「最初に言っただろ?

モツと同じだって。」


「えぇ~?言ってたか?」


マサツグとレイヴンがそんな話をしているとそこそこ時間が経ったのだろうか、

給仕さんが料理を大食堂に運んで来てはマサツグ達の前に並べ始める。そこには

この前と同じ様に見事に調理されたコカトリスのチキンステーキに始まり、唐揚げ

フライドチキン等が目の前に並べられ、シロが涎を啜りながら食事の始まりを待つ。


「じゃあ…取り合えず食うか。」


「はひでふ!!」


{涎で言葉が上手く喋れて居ないな…}


「んじゃ、いただきます!!」


「いただきます!!」×4


そんなシロの様子を見つつも両手を合わせて合掌すると音頭を取る。その様子に

ガイアス達も合掌をすると全員でコカトリスの肉を食べ始めるのであるがそこに

あるのはヴェノムコカトリスの肉…モンスターの肉どころか毒が有るのではない

のかとエルメダやテレア、レイヴンが警戒する。


「…いただきますとは言ったものの…

これって毒の心配は無いのか?だって、ゴブリンチャンピオンですら

ノックアウトした毒だぞ?…」


「そうよね……それにモンスターの肉って確か物によっては能力異常を起こさ

なかったかしら?……」


「幾ら調理されていても抵抗が……」


目の前に出された料理に抵抗を見せる三人を尻目にマサツグが唐揚げをフォークで

刺すと勢い良く食べる。その様子にレイヴンが驚いてみているとシロは目の前に

出されたフライドチキンにまっしぐら。満足そうに頬張るシロは至福そのものの

表情を見せる。そしてそんな中更なる強者が現れる、コカトリスの料理に警戒する

エルメダとテレアを尻目にガイアスが両手にフライドチキンを握ると何処かの山賊

の様にワイルドに齧り付くとムッシャムッシャと無警戒に食べ進める。その様子に

エルメダとテレアが呆気に取られているとガイアスがキョトンとした顔で二人に

問い掛ける。


「あれ?…エルメダとテレアは食わないのか?」


この一言にエルメダが逆にガイアスに尋ねる。何とも無いのか?能力異常は起きて

いないのか?色々な事をガイアスに尋ねると急にガイアスの容態が変化する。


「あ!…アンタ!何ともないの!?

確かに目の前にあるのは一流の料理だけどコカトリスの肉なのよ!?

少しは警戒!…」


「何を言っているんだ?…まず、食えない物を人に普通薦め……グ!?」


「ッ!?…ガイアス!?」


バクバクとフライドチキンを食べていたガイアスの動きがピタッと止まる。その

様子にエルメダとテレアが慌ててガイアスの心配をし始める。しかし、マサツグと

シロは食べるのを止めない。そんな二人の光景にエルメダとテレアが驚いていると

ガイアスが小刻みに震え始める。


「ちょ!…ちょっと、ガイアス!!やっぱり不味いものが!?」


「ガイアスさん!?…」


__パクパク…ガツガツ…


「…ガイアスの様子がおかしくなったのにまだ食べてる!…」


「やはり、マサツグさん達にはそういったスキルがあるから…」


__ぷるぷる…ぷるぷる…


「ッ!?ガイアス!!」


ピタッと止まっていたガイアスが小刻みに震え始めるのを見たエルメダとテレアが

ガイアスの名前を呼ぶ。必死にガイアスの名前を呼び、心配する二人を尻目に

ガイアスは口にフライドチキンを咥えたまま震え始めると急にガタッと

立ち上がる!そして数秒間また固まって見せると急に目をカッと見開き、

叫び始める!


「……うんめえええええええええええ!!!!」


「……え?」


ついさっきまで動かなくなったガイアスに心配をしていたエルメダとテレアが

美味いと叫ぶガイアスに何とも言えない呆気に取られた表情を見せるもガイアスは

続け様に肉を頬張りながら食レポを続ける。


「何だこれ!?

今まで食べたフライドチキンとはダンチだ!!

手羽元なのに肉汁が溢れ、皮はパリパリで噛めば噛むほど食感も美味しい!!

更にこのフライドチキンを揚げた油は何だ!?本来揚げたてでもしっかり油を

切らないと油っこくてなかなかに食べ難くなるのにこのフライドチキンはその油が

サラサラしている!!まるで水蒸気オーブンで焼いたかのようなアッサリ感!!!

美味い!!美味いぞーーーーーーーーー!!!!」


ガイアスが叫びながらコカトリスの肉を食べて行く姿にエルメダとテレアが互いの

顔を見合わせ、ガイアスの様子に驚くもガイアスが一心不乱に食べる姿に興味を

持ったのか、エルメダは唐揚げ一つを人差し指と親指で摘むとゴクッ…生唾を飲み、

意を決して恐る恐るコカトリスの唐揚げを口に入れる。


__サクッ!!……


「ッ!?………♥」


エルメダの口の中で唐揚げがサクッといい音を立てると同時にエルメダの表情が

警戒心丸出しの表情からうっとりとした表情に変わる。そしてゆっくり味わう様に

両手で頬を押さえると口の中で唐揚げの味を堪能する。そのエルメダの変わり様に

テレアがショックを受けているとガイアスとエルメダの様子に同じ様に興味を持つ

と自分の目の前に用意されてあるチキンステーキをチラッと見る。その様子を

先ほどから見ていたマサツグはフフッと笑うと悪い顔をしながらテレアを誘惑し

始める。


「フフフ……」


「ッ!?…」


「…どうした?食べないのか?」


「わ!…私は……」


「ガイアスもエルメダももう帰って来れないのかコカトリスの料理に

夢中の様だぞ?」


マサツグがそうテレアに言い、二人の方に振り向かせるとガイアスはシロと

張り合う様にフライドチキンを頬張り、エルメダは唐揚げを一口食べる度に

うっとりとした表情を見せる。そんな二人の様子に酷く驚いて見せるもマサツグは

再びテレアにコカトリスの料理を食べる様に唆し始める。


「さぁ、テレアも我慢しないで食べなよ?

美味しいよ?」


「クッ!……」


「何なんだこの茶番?……」


無駄に悪い顔をしながらテレアを唆すマサツグにテレアが苦悶の表情を見せる。傍

から見ているレイヴンがマサツグにツッコミを入れるがマサツグは気にせず、テレア

に悪い顔をして見せる。テレアも両脇で至福の表情を見せる二人を流し目でチラチラ

と何度も確認する。両脇でコカトリスの肉を食べる二人にテレアの中で何かが折れた

のかスッと俯くとテーブルの上に置いてあるナイフとフォークを手に取る。そして

目の前に出されたチキンステーキにナイフ入れる。


__スッ……


{ッ!?……}


ナイフが無くともスッと切れそうなコカトリスの肉の柔らかさにテレアが驚くもまた

一瞬で警戒する様な表情に戻る。そんな表情を見せながらも自身のチキンステーキを

一口大にナイフで切るとその一切れを自身の口元に運ぶ。ジッと観察する様にチキン

ステーキを見つめるテレア、ふと覚悟を決めた様にギュッと目を瞑り勢い良く一口大

のチキンステーキを口に入れ、モグモグと食べ始める。


「………ッ!!」


__パクッ!!……モグモグ……ッ!!!!


テレアが一口大のチキンステーキを口に入れ咀嚼する事2秒。テレアはカッと目を

見開くと持っていたナイフとフォークをグルメ漫画でショックを受けた登場人物の様

に落とすとポロポロと涙を流し始める。覚醒した様にフライドチキンに齧り付く

ゴ○スに一口一口に官能的快感を感じる魔女、極め付けが涙を流しながらこの世の

幸福を感じ取るような表情で無言で食べる僧侶の少女。そんな光景にマサツグが

ただただ絶句すると同時に勧めて良かったと言うと感情を感じる。しかし……


「……なぁ、マサツグさんよ……」


「……何だい?レイヴン?」


「これってゲームだよな?……」


「それが何か?」


突如レイヴンがマサツグに問い掛ける様にマサツグに有る事を尋ね始める。それに

マサツグが薄々レイヴンが言いたそうな言葉を想像しながら受け答えをし始める。


「…この人達ってそんなに何と言うか……困っていたのかな?……

この人達って俺達と同じプレイヤーで実際に食べている訳じゃないのにこの

荒れ様……」


「皆まで言うな!……

今は忘れようぞ!……友よ!…」


「…オマケに友人は可笑しなテンションで会話するし……

やっぱコカトリスって危険のような……」


一人レイヴンがこの惨状にツッコミを入れながら自身もコカトリスの料理を食べ

始める。しかし、レイヴンは他の周りの者の様な反応をする事無く食べ進める

のであった。そうして、全員がコカトリスの料理を堪能したところでガイアスが

マサツグにある質問をし始める。


「…ふぅ……あっ!

それはそうとマサツグ!お前さんはどこかのクランに所属していたりしないのか?」


「え?……」


「さっき食べながら考えていたんだけど…

もし、マサツグがどこのクランにも所属していないなら誘ってみようかなって

思ってさ!それにマサツグの実力は俺達のクランでも十分に通用するレベルだし!

…どうだ!?」


ガイアスが机に手を着き、身を乗り出すとマサツグを自身が所属するクランチーム

キングスナイトへ勧誘し始める。その誘いにエルメダやテレアが驚いた様子を見せる

もガイアスの様子を見てスッと元に戻るとジッとマサツグの方を見つめ始め、謎の

緊張感にマサツグが襲われ始める。その様子にレイヴンは何も言わず気を利かしてか

そこに座りながらも聞かない素振りをする。シロはシロで自身の口の周りに付いた

食べかすを依然マサツグにやって貰った様にナプキンで拭くとふぅっと一息吐く。

マサツグはガイアスの突然の勧誘に戸惑っているとガイアスが慌ててマサツグに

訂正し始める。


「…勿論、無理強いはしないけどマサツグが加われば皆も喜ぶと思うし、

俺達も心強い!!それに、これは個人的な願望だがマサツグと共闘した時…

マサツグと一緒にヴェノムコカトリスを倒した時……えぇっと……

何て言うか!!……楽しかったんだよ!!」


「っ!?」


「今までもこいつ等と一緒にこのゲームをやって来て楽しかったのは楽しかった

けど…マサツグと一緒に戦っている時は何かが違ったんだ!!

セオリー通りの戦いをしないそんな戦闘に!!

確かに野良のパーティでそのセオリーを押し付けるのは可笑しいけど何て言うか…

達成感?って言うのかな…とにかく楽しかったんだ!!」


まるで子供の様に目をキラキラさせながら語るガイアスにマサツグが話を聞き入る。

その様子を同じ様にエルメダとテレアが頷きながら聞いているとマサツグに

話し掛け始める。


「…そうね。確かに危なっかしくて見ていられなかったのは事実だけど、

一緒に戦っていて楽しかったのは私達も一緒ね。

戦っていた相手が二つ名でユニークって言うのが理由だと思っていたけど…

倒した時の達成感とあの高揚感はマサツグ達が居なかったら味わえなかったと

思う…」


「そうですね…何故でしょう?…何故かマサツグさんの動きを見るとワクワク

するんですよね……マサツグさんが相手の攻撃を回避する動作…攻撃に入る動作…

一つ一つが目に入って気分が高揚するんですよね……」


「だよな!だよな!!

俺達はそんなマサツグと一緒に冒険がしたいんだよ!!

考えてみてくれないか!!」


そんなエルメダとテレアの会話にマサツグが如何いう顔をしたら良いかで悩んで

いると再度ガイアスがマサツグにクランに入らないかと誘い始める。そのガイアスの

誘いにマサツグが俯くと暫く腕を組み悩み始める。そんな態度にガイアス達がジッと

マサツグの答えを待っているとマサツグは顔を上げ答えを出す。


「……ガイアスの誘いは嬉しいけど……止めておくよ…」


「え?……」


マサツグの答えにガイアスが驚くと同時にスッと自身の席に戻り始める。エルメダと

テレアもマサツグの答えを聞いて少しは驚いて見せるもスッとどこか分かっていたの

かやっぱりなと言いそうな表情でマサツグの答えの続きを聞き始める。


「…今はどこにも属する事無く一人で冒険を楽しみたいんだ。

確かにガイアスの誘いは普通に嬉しいし、エルメダとテレアの話も嬉しかった。

…けど、一緒に冒険をするのにクランに入らなくても出来るし、一緒に何か強敵と

戦うのにも入る必要はない。

だから、クランには入らない。キングスナイトに限らず何処だろうと今は入る

つもりは無いんだ……スマン!!……」


そうガイアスに告げるとマサツグが席を立ち上がり頭を下げる。その様子にガイアス

が慌てて立ち上がるとマサツグに頭を上げる様に言い聞かし始める。その様子を

エルメダとテレアはふぅ…と溜め息を吐き出しと静かに笑い始める。


「お…おいおい!!…

そんな畏まらないでくれ!!こっちが勝手に勧誘しただけでマサツグは悪くない!!

だからそんな改まって頭を下げないでくれ!!」


「うふふ!……人たらしのガイアスもさすがに有名人のマサツグまでは勧誘

出来なかったか!!…」


「ふふふ!…そうですね!!」


突如笑い始めた二人にマサツグが顔を上げてエルメダとテレアの顔を見ると残念そう

に笑いながらもガイアスを見つめる二人の顔が目に映る。そして、ガイアスも二人の

方を振り向くと笑い始めた事に戸惑い始める。


「な!…何だ!?二人とも!

急に笑い始めて!?…」


「だって!私達がアンタと一緒に冒険を始めたのはアンタがきっかけよ?」


「え?…」


「そうですよ!元々私達ってソロプレイヤーだったのを今と同じ様に勧誘して来て…

最初は新手の出会い厨かと思いましたし!…」


「な!…」


エルメダとテレアがガイアスとの出会いの話をし始めるとガイアスが顔を赤くし、

二人の顔を見合わせる。そんなガイアスを尻目に二人が笑いながら出会った頃の

話をし始める。


「…そうね…私が最初であった頃は私がこのゲームで氷の魔女として名前が

着き始めた頃ね…日々強くなる自分に自信過剰になっていた私にガイアスは

私と出会って開口一番……{アンタ!!慢心してると痛い目見るぞ!!}

ですもの!!……まるで少年のような目で私に説教をし始めて……

言われた時!!…本当に笑いそうになったんだから!!……」


「あ!…あれは!!その当時本当にお前が見ていて

危なっかしい感じだったから!!…」


「えぇ!…そうね!だから実際に危ない場面に出くわしてその危ない場面で

アンタに助けられた!…そんな自分が馬鹿にしていたアンタに助けられた事が

悔しくてその場で自信を失くしていたら……

{…はぁ~……アンタ、俺とパーティを組まないか?}


{…え?……}


{この先魔術師一人ではキツイだろ?実際に危なかったし……}


{う…うるさ!!……}


{だから、一緒にパーティを組もう!!それに…一人でゲームをやるより

組んだ方がずっと楽しいぞ!!}


{っ!!……}


……それ以降私は気が着けばガイアスと一緒にゲームをして今現在に到る…

リアルでもこの態度だから一人ぼっちだった私に出来た唯一の友達……

こんな私でも理解してくれたから今も一緒に居るのよ……」


「グッ!!……」


エルメダのガイアスとの馴れ初めを聞き終えるとガイアスは顔を真っ赤にして照れ

始める。そんなガイアスの姿にマサツグがニヤニヤしていると今度は追い討ちを

掛ける様にテレアが話し始める。


「私は少し違って……私ってゲームの中でも最初は引っ込み思案で……

パーティを組んで挑むクエストなんかに行きたくても行けない様な人間だったのです…

そんな時、マスターオーダークエストで全員参加のモンスター討伐のイベントが

有った時…私は誰ともパーティを組む事出来なくて一人悩んでいると……

{アンタ、一人か?…}


{え?……}


{もし良かったら俺達と一緒にやらないか?

一人でやるよりずっと楽だし、楽しいぞ?}


{え?…え?……}


{さぁさぁ!連れも向こうで待っているからな!!}


{えぇ~~~~~!!!……}


……そんなこんなでエルメダさんと出会って同じ様にゲームをする様になり、

それと同時にゲーム内での人見知りは卒業…リアルはまぁ……まだですけど…

それでもガイアスに無理やり連れて来られたお陰で今の私があるんです。

ガイアスが居なければ私はあの時のままだったかもしれません…」


「ホグォッ!!……」


ガイアスが恥ずかしさの余り謎のダメージを食らい始めるのをマサツグが見ていると

ガイアスはその場で耳まで真っ赤にして顔を赤くしていると両手で顔を隠す。その

光景はエルメダとテレアにも珍しかったのか、ガイアスはそのまま弄られ始める。

そんな微笑ましい光景をマサツグがニヨニヨしながら見ているとシロがマサツグに

飛び掛る。その飛び掛って来たシロにマサツグが驚いているとシロは頬を膨らませ

怒り始める。


「うわっぷ!!

急に如何したんだ!?……」


「ご主人様!?

一人じゃなくて二人です!!今はレイヴンさんも居るので三人です!!!

間違えないで下さい!!!」


「わ…わかったからくひをひっはらないほ口を引っ張らないの!!」


マサツグがシロの口を左右に引っ張られているとその間にガイアスはエルメダと

テレアに集中砲火を受ける。その様子を我関せずと静かに傍観するレイヴンで

あった。

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