どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ- リメイク!!

すずめさん

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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章三十九節 二つ名ユニークと飛び入り参戦!-

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ゴブリンチャンピオンと戦っていたマサツグ達の前に突如現れたコカトリスもどき。

そのコカトリスもどきがいとも容易くゴブリンチャンピオンを倒してしまうと今度は

マサツグ達に標的を定め、ゆっくりとニワトリ独特の歩き方で詰め寄り始める。


「……不味い!…本当に不味い!!……」


「ただでさえあのゴブリンに苦戦していたのにソイツを一撃で沈めやがった!!…」


近づいてくるコカトリスもどきにマサツグとレイヴンが武器を構えながら戸惑い

始める。先ほどのゴブリンチャンピオンを倒した所を確認した限り、やはり

コカトリス同様に魔眼持ちで嘴からは紫色の唾液は毒の様だ。そしてその唾液が

一滴地面に垂れる落ちるとその落ちた所からジュッっと言う音と何かが溶けた様な

煙が立つ。その様子に二人が青ざめているとコカトリスもどきは急にマサツグ達に

向かいダッシュし始める!


__ゴケエエエエエエエエ!!!!


「クソッ!……

コカトリスってこんなのばっかりか!!…」


マサツグの刹那はコカトリスもどきがゴブリンチャンピオンを仕留めた時に効果が

切れ、クールタイムに入る。その間にもコカトリスもどきは大きく首を後ろに仰け

反らせると勢い良く嘴をレイヴンに向かい突き出す!


__ゴケエエエエエエエエ!!!!


「…ッ!!俺かよ!!……」


コカトリスもどきのヘイトがレイヴンに向いているのに反応が遅れ、コカトリス

もどきの攻撃がレイヴン目掛けて飛んできているのを見てから回避を始める。

しかしコカトリスもどきの攻撃は速く、回避が間に合わない。レイヴンが徐々に

迫って来る嘴に冷や汗を掻いているとマサツグがガードの体勢で横からコカトリスの

頭に目掛けてタックルを仕掛ける!


「うおりゃああああ!!!」


__ドゴォ!!


__ゴケエエエエ!?……


マサツグがコカトリスもどきの頭にタックルを決めるとコカトリスもどきの攻撃は

レイヴンから目標がずれる。その事に驚いた様子のコカトリスもどきは勢いそのまま

に頭から地面に突っ込む。その際、コカトリスもどきが地面に倒れると辺りからは

軽い地鳴りが起きる。


__ズズゥゥゥゥゥンンン!!……


レイヴンの隣を滑る様に倒れるコカトリスもどきを戸惑いながら眺めるレイヴンに

マサツグがレイヴンの腕を掴むと急いで起こす。コカトリスもどきも何が起きたのか

分からない様子で起き上がると改めてマサツグ達の方を向く。


「た…助かったぜ…マサツグ……」


「礼は後だ!!

とにかく逃げれない以上倒すしかない!!」


二人が目の前に居るコカトリスもどきを倒す覚悟を決めているとその際地響きが

周りで戦っていたほかの冒険者達にも伝わったのか、マサツグ達が居る

戦闘エリアに集まり始める。


「…さっきの地響きはこっちの方から聞えた様な……って!!」


「二人と!…一匹?どちらにしても男二人と幼女がユニークモンスターとやり合って

いるぞ!!」


「如何する!?

参戦するか!?」


集まり始めた冒険者がマサツグ達の戦闘に参加するかどうかで悩んでいるとシロは

コカトリスもどきに大剣を構えるマサツグを尻目にアイテムポーチからある

アイテムを取り出す。その事にマサツグが気が付くと疑問が産まれる。


{…あれ?そう言えば何でシロは当然の様に俺のアイテムポーチからアイテムを

取り出しているんだ?…

本来ならアイテムポーチに入っているアイテムは本人にしか取り出せない筈?……}


そんな疑問を考えているとコカトリスもどきはまたもや嘴で突こうと身構え始める。

マサツグもその事に気が付くと今度はマサツグ自身から打って出る。マサツグは

ガードの体勢を取り、コカトリスもどきの観察をする。

 ----------------------------------------------------------------------- 

 「屍毒のヴェノムコカトリス」

 Lv.45  ユニークモンスター 二つ名「屍毒」

  HP 35000   ATK 340   DEF  260


 特性 行動不能攻撃有り 猛毒・即死攻撃有り

  -----------------------------------------------------------------------


{うげぇぇぇ~~~……

出た…皆のトラウマ、即死攻撃……}


ヴェノムコカトリスの鑑定結果にマサツグが今まで以上に面倒臭そうな表情を

見せるとガードの体勢のままうな垂れる。確かに見た目はコカトリスそのままだが、

体は赤く尾羽は紫、その尾羽の色はコカトリスと戦っている時にチラッと見た物と

同じであった。そして極め付けが鶏冠だと思われる部位に黒い魚雷がくっ付いて

いるのかと思えばリーゼント!!その異様な姿にマサツグはどうにも困惑して

しまう。ヴェノムコカトリスが走れば頭のリーゼントもゆっさゆっさと左右に揺れ、

ヴェノムコカトリスがマサツグ達を突こうとすれば縦にゆっさゆっさと揺れる。


{…クソ!!何であんなにビシッ!!と整ったリーゼントを頭に乗っけて

いるんだ!!アレがさっきから視界に入って気になって仕方が無い!!……}


そんなリーゼントに気を取られていると他のプレイヤーがマサツグ達の戦闘に参加し

始める。ヴェノムコカトリスの攻撃にマサツグ達が回避をして居るのを尻目にその

プレイヤーがヴェノムコカトリスの前に出ると持っていた武器で連撃を繰り出す!


「…ッ!!

このまま進展無いと辛いし…

そろそろ打って……」


__シュッ!!…


「な!……」


「あんた達には悪いがこいつは貰ったぁーーー!!!

双刃連斬!!!」


マサツグの隣を掛け抜け、一気にヴェノムコカトリスに近づくと双剣で連撃を

繰り出す!その攻撃にヴェノムコカトリスも動きを止め、プレイヤーの攻撃を

受け続けるが苦痛の声を上げるどころかケロッとした表情で固まる。まるで何を

されているのか分からない様子であった。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーーーーー!!!!」


__ズババババババババババババババ!!!!……


しかし、そんな事お構い無しのプレイヤーはまるで何処かの高校生幽○紋ス○ンド使いの

様に同じ言葉を繰り返し叫んでは攻撃を繰り出す。双剣の連撃音が辺り一帯に広がる

がヴェノムコカトリスはやはり何とも無いのかジッとそのプレイヤーを凝視し

固まる。そして、そのプレイヤーのTPが切れたのかラッシュが終わるとその

プレイヤーはやり切った表情で最後の一撃を叩き込むとピシっとポーズを決める。


「ラストーーー!!!

韋駄天斬!!!」


__ズババババァァァァァンンン!!!……


{…決まった!!……}


動かないヴェノムコカトリスとドヤ顔でポーズを決め固まる名も知らない

プレイヤー。その様子を戦闘エリア内ではマサツグとレイヴンそしてシロ、

戦闘エリア外では他のプレイヤーが様子を見守る。すると戦闘エリア外から

マスターオーダーの説明を聞きに言った際に見かけた上から下までガチガチの

重装備の大男の戦士が大盾と槍を持って参戦し、その戦士のパーティか、

豪くセクシーでスリットが付いたドレスを着たナイスバデーの魔女と典型的な

僧侶の格好をした少女が一緒に戦闘エリアに入る。


「おぉ~い!!大丈夫か!?

助太刀するぞ!!」


「ちょっと待ちなさいよ!!

ガイアス!!勝手に戦闘に参加するのはマナー違反でしょ!?」


「そうですよ!?

見てください!あそこの可愛い女の子を連れた男性二人組みもこちらを見てポカ~ン

としているではないですか!?」


「いや~…苦戦している様に見えてな……

あんた達大丈夫か?」


僧侶の少女が言うとおりマサツグとレイヴンが戦闘エリアに入って来た三人を見て

ポカ~ンとしていると突如、事は動き出す!それまで動かなかったヴェノム

コカトリスが動き出したかと思うと飛び出した名も知らぬプレイヤーに近づいて

行き、大きく首を仰け反らせると鋭い嘴で襲い掛かる!その様子にマサツグ達が

危ないと叫ぶが次に見た時には既にそのプレイヤーキャラの体を貫く勢いで宙へと

吹き飛ばしていた。


「…ッ!!

おい!そこにアンタ!!避けろ!!!」


「…はぁ?何言って……」


__ゴケエエエエエエエエ!!!!


__ドスゥッ!!!……


「うがっは!!……」


その名も知らぬプレイヤーは一瞬驚いた表情を見せるがヴェノムコカトリスに突かれ

宙を舞うとそのまま受け身も取れずに地面に叩き落される。そしてそのプレイヤーは

酷く驚いた様子で何かを確かめる様に双剣を見つめる。


__ゴス!ドサ!!…


「うがふッ!!……バ…馬鹿な!!……た…確かに俺の技は!…完璧に

決まった筈!!……」


ヴェノムコカトリスの攻撃をまともに喰らい地面に叩き付けられた状態の為、

ボロボロ。口からは吐血もしている。それでも自身の技に自信があったのか

双剣を見つめているとその双剣は音を立ててひびが入る。


__パキィ!……


「……え?」


__ピシピシピシッ!!……


「そ…そんな!!……

双剣が!……俺の双剣がぁ!!…


…うごが!!」


プレイヤーが嘆くが更にひびは広がり、パラパラと壊れていく。そして、次の瞬間

即死の効果が発動したのかそのプレイヤーはその場で絶命すると光になって消える。

その間にヴェノムコカトリスがマサツグ達の方を向くとジッと凝視し始める。

もはや他人を気にしている暇など無い状態である。


「……今度は俺達か……」


「でも、何と無くいけそうな気がする!!……」


マサツグとレイヴンが身構えると先ほどマサツグ達を心配して助太刀に入って来た

ガイアスと名乗る重戦士がマサツグ達に挨拶をする。その姿はまるで全身に刃を

くっ付けた様な危ない鎧でマサツグとレイヴンの隣に立つと大盾と槍を構えて

マサツグ達と連携を取ろうとする。


「突然の乱入ですまない!!

俺はガイアス!あんた達と同じプレイヤーでマスターオーダーを受けたもんだ!

何やら苦戦している様に見えて助太刀に入ったが余計な真似だったかな?」


「…俺はマサツグ。

いや、確かにさっきは驚いたけど助太刀には大いに感謝!!

気を付けろ!コイツ即死持ちだ!!」


「なるほど……

だから先ほどから回避に徹していたのか……これは厄介!!」


そう言うとガイアスは突如ヴェノムコカトリスに挑発する様に自身が持つ槍で大盾を

叩くと音を立てる。その音にヴェノムコカトリスが反応すると一直線にガイアスに

向かい走り出す。


「お…おい!アンタ!!」


「心配無用!!

即死に関しては無効が付いている!!でも、毒はさすがに勘弁願いたいがな!!」


ガイアスが大盾をヴェノムコカトリスに向け構えるとタックルを繰り出す!!そして

ガイアスとヴェノムコカトリスがぶつかるとまるでトラック同士がぶつかった様な

衝撃が戦闘エリア内に広がる。


「ぐおぉ!!……さすがユニーク!!衝撃が半端じゃないぜ!!」


「…もう!!勝手に突っ走って!!

カバーする身にもなりなさいっての!!」


ガイアスとコカトリスが正面からぶつかっているその頃、魔女のお姉さんは人知れず

魔法を詠唱し、タイミングを伺う。そして僧侶の少女はガイアスのバックアップを

開始する。


「全くホントそうですよ!!

……シャープアップ!!」


「ガッハッハッハ!!!

そう怒るな!!これも何かの縁だ!!」


そんなガイアス達のパーティの楽しそうな様子にマサツグが地道にヴェノム

コカトリスの弱点を探す。ガイアスのタックルで度々怯むヴェノムコカトリスの周り

をマサツグが飛んだり跳ねたりで様子を見ているとマサツグが有る物を見つける。

しかし、マサツグがヴェノムコカトリスの有る物を見つけた途端ヴェノムコカトリス

のヘイトは急にマサツグに移る!それに気付き、ガイアスが挑発しようとするが

間に合う様子は無い。


「ッ!!不味い!!…挑発が!…」


ガイアスが大盾を叩いて挑発しようにも既にヴェノムコカトリスの嘴はマサツグの

方を向き、啄ばもうと頭が後ろに伸びていた。その様子にガイアスだけで無く、

ガイアスと同じパーティの魔女や僧侶が慌てつつもバックアップに入ろうとする。


「な!……ガイアスの挑発の効果が切れるの早すぎじゃない!?

幾らユニークでも効果が短すぎよ!!」


「エルメダさん!!

相手は二つ名でもあるんですよ!!今までに二つ名のユニークは居た

かもしれません!!

けど、情報が少ないのは確かなんです!!とにかく今はあのニワトリのヘイトが

向いた人のバックアップを!!」


ガイアスも挑発する時間が無いと分かると雄叫びを上げながら槍を構えてヴェノム

コカトリスに攻撃を放ち始める。しかし、守りに特化した装備なのだろうか

ゆっくりとした動きで大振り。


「オオオオオオォォォォォォォォ!!!!」


__ザシュ!!…ドシュ!!……


「クソ!!並みの武器じゃ歯が立ちそうに無い位羽が邪魔だ!!

まるで生ゴムを切っている様な感覚だ!!!……」


一撃は大きくとも続け様に攻撃をするのがしんどそうにも見えるその攻撃にヴェノム

コカトリスから出血が見て取れるが大した量が出ている様には見えない。エルメダと

呼ばれていた魔女もヴェノムコカトリスに向けて氷のトゲを飛ばし続けるがヴェノム

コカトリスの羽が見事に弾き、魔力の無駄に終わる。


「アイスボルト・ニードル!!!」


__シュババババババ!!!


__パススススススス!!!……ポロポロ……


「な!…何なのよ!!この鳥!!氷の魔術師殺しじゃないの!?」


僧侶の少女はマサツグに急いで付与魔法を唱えるとマサツグがダメージを喰らった

時用に回復魔法を唱えようとする。


「~~~ッ!!ガードポイント!!!…

後は…~~~……」


三人がマサツグの為に動いてくれている中、何故かレイヴンは魔法を唱えずシロの

様子を伺う。そしてシロはヴェノムコカトリスがマサツグを襲おうとしているのを

黙って見ていた。但し、シロの手にはマサツグのアイテムポーチから取り出していた

アイテムが握られていた。そしてヴェノムコカトリスが反動を付けてマサツグに首を

伸ばした瞬間、マサツグはガードもせずに突如目を閉じる!その行動にガイアスを

初めとする他の冒険者が驚き戸惑っていると更に驚く事が起きる!


__バシュン!!!……キイイィィィィィンンンン……


突然視界を奪う程の光がマサツグと今まさに攻撃を仕掛けようとしていたヴェノム

コカトリスとの間で起きると次にキィィィンと言う音が耳に残り、その場に居た

冒険者及びヴェノムコカトリスが怯む。突然のフラッシュに戦闘エリアの外から

見ていた冒険者達が驚き、思い思いに叫び始める。


「お…おい!!

何だ急に!?……」


「誰か何かやったのか!?……」


「分からないわよ!!

急に光が現れたと思ったらすでにこの状態よ!!……」


戦闘エリア外から聞える声にガイアス達が驚いていると徐々に視界が戻って行く。

そして、視界が完全に晴れた所でマサツグが無事かどうかを確かめ様とヴェノム

コカトリスの方を見る。するとそこには地面に倒れるヴェノムコカトリスの姿と

先ほどまで振るっていた大剣を仕舞い、刀を手にするマサツグの姿。そして、

追撃の魔法を詠唱するレイヴンとヴェノムコカトリスの羽を一生懸命に毟るシロの

姿があった。


「い……一体何が!?……」


驚きを露にしているとマサツグはシロに尾羽の辺りを毟る様に指示をする。シロは

その指示に手を挙げ返事をすると遠慮と容赦の無い様子でヴェノムコカトリスの

羽を毟る。


__ムッシ!!……ムッシ!!……


「あッ!

シロ!悪いけど先に尻尾の方の羽を毟っておいてくれ。

その尾羽辺りに気になる物があったから。」


「はいです!!」


__ガッシ!!……ムッシ!!……


__ッ!!!!!………ゴケエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!


シロが勢い良く尾羽を毟るとヴェノムコカトリスがまるで寝起きドッキリをされた

タレントの様に飛び起きると悲痛の叫びを空に向け叫ぶ。そして、ガイアスがその

ヴェノムコカトリスの姿を見るとまるで虫食いに有った様にまだらに禿が出来ている

なんともみすぼらしい姿のヴェノムコカトリスが居た。その姿からはもはや二つ名の

ユニークモンスターの姿は無かった。


「な……何が一体起きたんだ?」


ガイアスが現状に困惑していると漸く視界が戻って来たエルメダと僧侶の少女が

ヴェノムコカトリスの様子に気が付くとガイアスと同じ様に困惑し始める。


「……漸く視界が……急に何?…

閃光魔法……って…え?」


「……先ほどの閃光のせいで魔法が!……

あの人が無事……って…何ですかこれ?」


二人とも目の前に部分禿げが出来ているユニークモンスターに驚き戸惑う。しかし、

そんな事などお構い無しにヴェノムコカトリスは自身の羽が毟られている事に気が

付いたのか、その場で地団太を踏み暴れ始める!それを見たマサツグとシロは

慌ててヴェノムコカトリスから離れると距離を取り、大剣に武器を変える。シロは

ヴェノムコカトリスから毟った尾羽を手に戦闘態勢を取ると羽の無い禿げの部分に

カマイタチを繰り出す!


「えぇ~い!!」


__バシュン!!……ザシュ!!


羽が無い地肌の部分にシロの持ち前の鋭いカマイタチが当たるとざっくりと身を切り

激しく出血する。その様子にマサツグがガイアス達に攻撃を仕掛ける様に指示を

出す。


「ガイアス!!!」


「ッ!!」


「今なら攻撃が通る!!!

有りっ丈の攻撃を叩き込んでくれ!!!」


「あ…あぁ!!!」


突然のヴェノムコカトリスの部分禿げと形勢逆転、この二つの疑問が残るガイアスで

は有るが今は目の前の敵を倒す事に集中すると槍を構えてヴェノムコカトリスに突貫

する。


「オオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」


__ドシュ!!!…


勢い良く槍をヴェノムコカトリスに突き出すと今までの弾かれっぷり嘘の様に

ざっくりと槍がヴェノムコカトリスに刺さる。そして槍が刺さった事にヴェノム

コカトリス自身も叫んで痛がる様に見せると魔女のエルメダもアイスボルトを

唱え直す!


__ゴケエエエエエエエエエエエエ!!!


「ッ!!今なら!……

アイスボルト・ニードル!!!」


__シュババババババ!!!


__ズドドドドドドドドド!!!


「ッ!!いける!…これならいける!!」


自分の魔法がヴェノムコカトリスの体に無数の穴を開けた事に手応えを感じたのか

その場で飛んで喜ぶエメルダ。しかし相手はユニークモンスター、これで終わる筈

も無く、部分的に禿げた所から紫色の汗を掻き始めると興奮し始める。その様子に

マサツグ達が驚いていると更に驚く光景を目の当たりにする。最初初めて普通の

コカトリスと戦った時同様にヴェノムコカトリスが上空に羽ばたくとその場で滞空

し、まるで雨を降らせる様に自身の汗を羽ばたきで飛ばし始める!


「……嫌な予感!……」


マサツグが嫌な予感を感じているとその予感は的中、ヴェノムコカトリスの汗が

辺りに飛び散り、草木に掛かると煙をたてて黒く変色し始める。そうして戦闘エリア

全体の草木がただ黒い不毛な土地に変わると急にマサツグ達のTPが減少し始める。


「な!…何だ!これ!?

TPが徐々に減って行く!?」


「ここからが本気と言う事か……

気を入れ直さないといけない様だぞ!!

それにこの様子じゃ長期戦は圧倒的に不利!!

さっさと決着を着けないと!!……」


武器を構え共に空に舞い上がったヴェノムコカトリスを睨むマサツグとガイアス。

その後ろをレイヴンが今だ魔法を詠唱し続け、エルメダも魔法を唱え身構える。

僧侶の少女も両手で杖をぎゅっと握ると覚悟を決めているとシロはマサツグの隣に

立ち、身構える。こうして、漸くヴェノムコカトリスとの最終ラウンドの火蓋が

今切られようとしていた。

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