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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章三十四節 コカトリスと死んだ振り-

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次の日、マサツグが仕事を終えてまたゲームにログインすると最後に終わった

宿屋の天井が目に写る。そして、今まで色々有って体を起こそうとしても

動かなかった体は今回は何事も無く起きる。しかし、腹の上にはやはりシロが

大の字で圧し掛かり、起き難い。そんなこんなで久しぶりの何事も無い寝起きに

マサツグが感動しているとコンコンと誰かが扉を叩く音が聞えてくる。


__コンコン!…


「…ん?誰かな?…」


マサツグがシロを起こさない様にベッドから起きると自身が泊まる部屋の扉を開けて

ノックした人物を確かめる。するとそこにはレイヴンとミスティーが立っており、

何やら慌てた様子でマサツグに話しかけ始める。


「レイヴンにミスティー?……

一体どうし…」


「…事件だ…マサツグ!…」


「コカトリスが!!…」


「ッ!…

まぁ、ここではなんだから…」


ミスティーのコカトリスと言う言葉にマサツグがハッと目を覚ますと取り合えず

二人を部屋の中に入れ、話を聞く。二人は宿屋に配置されてある椅子に座ると

何が起きたかを話し始める。


「…で何が起きた?」


「昨日の晩、狩りの仕掛けを見に行った奴がボロボロの状態で見つかったらしい…

被害者は二人で二人とも突然光る物が見えたと思ったら体が動かなくなって次に

目を開いてみたら目の前に鳥の化物だそうだ。

その被害者の傷跡も鳥の爪や嘴で突かれ、引っ掻かれしたような傷でほぼ間違いない

と思う…」


「この事をロディ様に伝えるとロディ様も不味いと思ったらしくマサツグ様をと…」


昨日話していたコカトリスの話が急に進展し、獣人族に被害が出た事にマサツグが

驚く。そして、マサツグもロディの話を聞きに急ぎ支度をするとシロを宿屋に

寝かせたままレイヴン達とロディの元に向かう。町に外ではコカトリスが出たと

騒ぎになり、衛兵達が厳戒態勢でポップリングスの見回りを強化し、住人達は出来る

だけ外に出ない様にしていた。そんなポップリングスの中をマサツグ達はロディが

居るであろうギルド建設現場があるメインストリートに向かうと建設現場では何事も

無いかの様に建設を進める作業員達と現場監督を勤めるロディの姿があった。

そして、その作業風景にはまるでコカトリスなど最初から眼中に無しと言った雰囲気

で着々と作業は進む。


「ロディ!!」


「ッ!

あら、マサツグちゃん!」


マサツグが頭に「安全第一」と書かれたヘルメットを被るロディに挨拶をすると

ロディはマサツグに笑顔で挨拶を返す。その際、ロディの笑顔からはニカッと

笑った際にキラ~ンと光る歯が見える。


「…その様子だとレイヴンちゃんとミスティアナ皇女から話は聞いたみたいね?」


「話を聞いて次の日に被害って早くないか!?

まぁ…相手はモンスターだから仕方が無いけど……」


「そうね…それはそうとあのフェンリルのお嬢ちゃんは?

見たところ居ない様に見えるけど?…」


「ん?あぁ…シロはまだ寝てます。

そんな事より現場は!?」


マサツグが食い気味でロディにコカトリスが現れたであろう場所を尋ねるとロディ

はふうっと溜め息を吐くと頭を掻きながら答えを濁す。その訳にマサツグが困惑して

いるとミスティーが理由を説明する。


「あぁ…それなんだけどねぇ……

ふぅ~……何と言うか……」


「…?」


「えっとですね?…実はその襲われた狩人達の人が狩りをしている場所を

教えたくないと言って場所を教えてくれないのです…」


「え?…」


「このポップリングスには今だ昔の考え、部族の教えを護る人達が多くて、

自分の狩場は自身の稼ぎ所として教えない人が多いのです……」


ミスティーの理由にマサツグとレイヴンが呆気に取られているとロディもその理由に

ただただ溜め息を吐いて戸惑う。しかし、ロディもその昔からの風習みたいなものに

慣れているのかさほど困っている様子は見せない。


「…まぁ、遅かれ早かれこう言う風習とかで食い違いが出るとは思っていたけど…

このタイミングとはねぇ…まだ、ギルドとして正常に機能していない上にこの辺りの

土地もまだ詳しくは無い…厄介な事この上ないけど策が無い訳じゃないの。」


「…と言いますと?」


「コカトリスって一度縄張りを決めると梃子でも動かないのよ。

それはもう死ぬまで。」


「死…死ぬまで…」


「それに結構デカイし、見つけるのはさほど難しくないと思うけど……

厄介なのは…」


ロディが淡々とコカトリスの説明をしているとやはり課題として上がるのは相手を

動けなくする目になる。さすがのロディも経験があるのか腕を組んで悩んで居ると

ここで衛兵達がマサツグ達の方に向かい走ってくる。


「え…英雄殿~!魔術師殿~!!」


「…最近本当にその英雄殿って言うのがむず痒くなって来たんだが?…」


「あら、いいじゃない?

なりたくてもなれない肩書きなのよ?」


「俺は普通の冒険をしたいんだ!!」


「普通の冒険てどんな冒険だよ?……

ご近所の裏路地探索とかか?」


ロディとマサツグ、レイヴンがそんな問答をしていると衛兵達は血相を変えて

走ってくる。息を切らしながら話す衛兵達の話にマサツグ達が耳を貸すが息を

切らしている為、何を言っているのか分からない。


「ぜぇ…ぜぇ…

小鳥…が町の…あらわ…ゴホッ!!

民が戯れ…ガハッ!!」


「小鳥?…戯れ?…何か楽しそうだが…

とにかく落ち着け?深呼吸を!」


マサツグが息を切らしながら喋る衛兵達に深呼吸をする様に伝えると衛兵達は

深呼吸をする。そして深呼吸をした事により落ち着いたのかふぅ…と息を漏らすと

改めてマサツグ達に報告を始める。


「コカトリスがポップリングスの郊外に死骸で発見されました!!

しかし、その外傷はまるで巨大な鳥に襲われたかの様にボロボロで先に襲われた

狩人達と傷が酷似しています!

更にその傍には硬直して動けなくなった民も数名発見された模様!」


「ッ!?…」


「衛兵長が英雄殿達をお呼びです!!

どうかご同行を!!」


衛兵の報告にマサツグ達が驚いていると衛兵達はマサツグとレイヴンをその場所まで

案内する様に衛兵長に言われた事を告げる。その報告にロディも何かを感じたのか

マサツグ達に着いてその現場に向かおうとし始める。


「私も行くわ!!」


「え!?…

いいのか?現場監督は?」


「大丈夫よ!!

あの子達は優秀だし♪

それに…なぁ~にか嫌な予感がするのよね……」


ロディがマサツグ達に意味有り気な顔をして答えて居ると衛兵達はマサツグ達と

ロディを連れてそのコカトリスの死骸が有る場所へと案内を始める。衛兵達の言う

とおり案内された場所はポップリングスからさほど離れていない城壁傍の森、

更にそこはレイヴンとシロがデーモンロードと戦って開いた穴の直ぐ傍であった。


「ここって!…」


「どうした、レイヴン?」


「俺とシロちゃんでデーモンロードと戦った場所からさほど離れていない!…

それに、あの時俺が閉じた岩も撤去されてるし……」


「だから、獣人達の数名が硬直した状態で見つかったのね…

でも幸い負傷者は居ないし…良かったのはよかったのかしら?」


城壁傍に倒れるコカトリスは本当に大きく、マサツグがオリハルコンを掘る際に

戦ったワイバーンと同じ位の大きさの茶色いニワトリが地面に倒れていたそして

倒れているニワトリの尾羽を良く見ると綺麗なエメラルドグリーンの尾羽が

生えていた。


「ニ…ニワトリ?…」


「デカイな……何か唐揚げが食べたくなるな。」


「何人前?…」


マサツグとレイヴンが地面に倒れるコカトリスを見て食欲を沸き立てていると

ロディは警戒した様子でコカトリスを見つめる。その様子にマサツグとレイヴンが

不思議そうに見ていると先にコカトリスの死骸の調査をしていた衛兵長達がマサツグ

達に気が付き、挨拶に来る。


「これは!…マサツグ殿に魔術師殿!

それにロディ殿まで!来て頂き有り難う御座います!…」


「状況は?」


「はい…今朝見回りをしていた者がこの外壁からモンスターが侵入しない様に

見張りに来た所、硬直し動けなくなった住人と森の茂みに隠れる様に倒れるこの

巨鳥の死骸を見つけたとの事!辺りには争った後もあった為、縄張り争いでこの

巨鳥が命を落としたものと現在は考えられております!」


状況を尋ねるレイヴンに当時の状況と推測を言うとマサツグ達もそのコカトリス

の死骸に近づき、調べようとする。遠目からでもコカトリスが死んでいるのが

解る様に目は光を失い、口を開けて倒れている。その他にも衛兵達が先に報告して

くれた通りにボロボロで辺りには軽い血溜りが出来ていた。そのコカトリスの

周りでは先に見つけた衛兵達がコカトリスの様子を調べている。しかし、ロディは

以前警戒した様子でコカトリスを見つめているとマサツグ達にある事を確認する

様に指示を出す。


「…ッ!…マサツグちゃん!!そのコカトリス本当に死んでいるかどうか確認して

頂戴!!コカトリスって意外としぶといから!!」


「しぶといって…明らかに死んでいる様に見えるのにか?」


「騙されないで!!コカトリスが何でギルドでも犬猿されるクエストか教えて

上げましょうか!?」


何時も軽い感じのオネエがコカトリスを前にすると険しいオネエになっている事に

マサツグが驚いていると宿屋で眼を覚ましたのかシロが物凄い勢いで遠方から

マサツグ目掛けて走ってくる。それにマサツグが気が付いてコカトリスを背に手を

振っているとそれは突如起きた。


__ダダダダダダダダダダダ!!!!


「ご~しゅ~じ~ん~さ~ま~!!!!」


「ん?シロの奴起きたのか?

お~い!…」


__ゴゴゴゴゴ……


「…え?」


何かが起き上がる鈍い音にマサツグが振り返るとそこには死んでいた筈の

コカトリスがゆっくりと上体を起こし辺りを見渡す姿が見て取れる。しかし目は

やはり光を失い、虚ろな表情を見せているとコカトリスはけたたましく大声で

鳴き始める。


__ゴォォケケケェェェェェェェエエエエエエエエエ!!!!


「うおあッ!!うるさ!!!」


まるで寝起きと言わんばかりの泣き声にマサツグ達が耳を押さえてその場で動けない

でいるとコカトリスは完全に体を起こし、身をフルフルと震わせる。そして先ほど

まで精気を感じられなかった目にはいつの間にか光が戻り、衛兵達を

見下ろしていた。突然のコカトリスの復活にロディを除く全員が不意を突かれ

動けなくなる。


「不味い!!全員コカトリスの目を見ちゃ駄目よ!!

動けなくなちゃうから!!」


「ロ…ロディ殿!!これは!!」


衛兵長がロディにコカトリスが起き上がった事について尋ねるとロディは額に汗を

掻きながら衛兵長にコカトリスの特徴を説明し始める。その内容は周りの者にも

聞える様に大声で叫ぶ様に響き渡る。


「コカトリスはギルドでも下手すると1、2を争うほど面倒な討伐クエストなの!!

その理由は本当にコカトリスが死んだかどうかが分からない事!!このコカトリスは

眠る際、まるで死んだ様に倒れて眠る上に脈も無くなってさっき見た様に目の光も

無くなる!!おまけにこのデカさだから普通に捌くのも大変と冒険者に嫌われる

モンスター堂々の三位の実力者なの!!」


「マジかよ!!……」


「衛兵長さんは直ぐに部下の人達を下げて外壁の防衛!!あのコカトリスは私達で

何とかしてみるから!!」


ロディが衛兵長に指示を飛ばすと衛兵長はロディに敬礼し、直ぐに指示通りに

コカトリスの周りに居た衛兵達に目を合さない様に下がり外壁の防御に当たる様に

命令を出す。


「皆のもの!!聞いたな!!!

今すぐ現状から退却!!コカトリスに目を合さない様に下がると外壁防衛に当たれ!!

被害を最小限に済ませるんだ!!!」


「ハ…ハッ!!!」


コカトリスに混乱している衛兵達が隊長の言葉にハッと我に返ると急ぎ、目を

合わせない様に俯き、ポップリングスの外壁に向かい走り出す。マサツグ達も

動き始めたコカトリスに如何したものかと悩んでいるとロディがすかさずマサツグ達

に指示を飛ばす。


「マサツグちゃん達は悪いけどその場でコカトリスの討伐に当たって!!

今ここで私達が逃げたらポップリングスから酷い被害が出る!!ここが最終防衛

ラインよ!!」


「ははは……泣けるぜ……」


最初からクライマックスの戦いにマサツグとレイヴンが頭を抱え悩んでいるとそこへ

シロが合流する。シロはマサツグに目の前に居る巨大な鳥について尋ねるとマサツグ

は静かに大剣を抜き、構える。


「ご主人様!おはようございます!!

それとこの大きな鳥はなんですか?…」


「はあぁ~…そうだな…」


__スラァァ……


「さしずめ、シロのおやつのフライドチキンの材料と言ったところかな?」


「フライドチキンですか!?」


マサツグの冗談半分の答えにシロが興奮して尻尾を振ると仕留める気満々になる。

マサツグの答えに何の疑いも持たないシロにレイヴンが苦笑いしながら杖を構えると

魔法を詠唱し始める。


「…ッ!!…シロはレイヴンの護衛!!

多分相手はこの鳥だけだと思うけど辺りにも気を付けてくれ!!」


「了解です!!」


「さて…動きますか!」


マサツグがシロに指示を出すと構えた大剣をギュッと握り締め、コカトリスに

至近距離の雷撃刃を放つ!!雷撃刃はコカトリスの横腹に当たるとバチィッ!!と

激しい音をたててコカトリスのバランスを崩す。その隙に衛兵達が完全に撤収を

終了させ外壁の防衛に当たり始める。その様子を確認したロディがうんと頷くと

マサツグ達にコカトリスと戦闘する際の注意点を教え始める。


「…よし!

マサツグちゃん!レイヴンちゃん!!そしてシロちゃん!!!

コカトリスと戦う際は絶対に目を見ちゃ駄目!!目を見たら一方的に攻撃を受けて

最悪死んじゃうから!!だからコカトリスの足を狙って!!見ての通り細い足だから

集中攻撃したら直ぐコケるわ!!!」


「了解!!…」×3


ロディの指示にマサツグ達が返事をするとバランスを取り戻したコカトリスの注目は

雷撃刃をどてっぱらにぶつけて来たマサツグに向く。マサツグもその事に気が付いて

かコカトリスの足の向きを見て判断する。


「…どうやら俺にヘイトが向いているみたいだな…

…にしてもやり難い!!何時もの癖でつい見てしまいそうになる!!」


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


マサツグがそんな事をぼやいているとコカトリスは羽をバタつかせ大声で鳴きながら

その細い足でマサツグを踏みつけ様と地団駄を踏み始める。思いのほか素早い攻撃に

マサツグが驚きながら鑑定するとコカトリスは更に攻撃の手を増やす。


__ダァン!!ダァン!!ダァン!!…


「うおッ!!意外と速いな!!

ナメプ出来ないぞっと!!」

 ----------------------------------------------------------------------

 「コカトリス」

 Lv.35  レアモンスター

  HP 35000   ATK 340   DEF  260


 特性 行動不能攻撃有り

  -----------------------------------------------------------------------

「ちょっと待て!!レアモンスターって!!

相手は巨大な性質の悪いニワトリだぞ!!」


マサツグがコカトリスの鑑定結果に文句を言っているとコカトリスは地団駄を止め、

嘴で突こうとマサツグに襲い掛かる!先ほどの地団駄とは違いさらに早い攻撃に

マサツグが戸惑う。さらに相手の頭を見れない為に行動読み難さに拍車が掛かり

ついに大剣でガードし始める。


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


__ガン!!!ガン!!!ガン!!!


「ッ!!…お…重い!!…」


コカトリスの猛攻にマサツグが防戦一方になるとここでシロがコカトリスの首

目掛けてカマイタチを飛ばす!回し蹴りを放つ様に打ち出したカマイタチは

真っ直ぐにコカトリスの首に向かって飛んで行く!


「ご主人様から……」


__バシュン!!


「離れなさ~い!!!」


しかし、シロが撃ち出したカマイタチはコカトリスの首周りの羽を削ぎ落とし

ただけで止まってしまう。意外と硬いコカトリスの羽にシロが戸惑っていると

今度はシロの方にコカトリスの注意が向く!


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


「きゃああ!!!」


「シロ!!」


「させるかよ!!」


コカトリスがシロに向かい首を伸ばした瞬間、詠唱を終えたレイヴンがコカトリスの

どてっぱらに向かい巨岩を投げつける!巨岩に跳ね飛ばされる様に吹き飛ぶ

コカトリスは羽をばら撒きながら巨岩と一緒に後方に飛んで行く。


「ガイアスマッシュ!!!」


__ドゴオオ!!


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


そして木々を薙ぎ倒し、しばらくして止まるとコカトリスはその岩を押し退け

マサツグ達の方に走って向かってくる。しかし、ダメージはあるのか右片翼を庇う

ような素振りを見せる。


「げぇ…さすが嫌われるモンスター三位…元気に走って戻ってきやがった……」


「でも、何か右の翼の方…何か庇っている様に見えるぞ?

ダメージはちゃんと入っている様だな。」


「これで入っていなかったら勝てないっての……」


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


レイヴンのガイアスマッシュにコカトリスもご立腹なのか今まで異常にけたたましく

鳴くとバタバタと右翼を庇いながら羽をばら撒く。この行動にマサツグとレイヴンが

耳を押さえながら嫌な顔をしているとロディから再び注意が飛ぶ!


「ッ!!…マサツグちゃん達!!

その羽に気を付けて!!その羽は!!……」


ロディが羽について注意を促している最中にコカトリスは翼をバサバサと羽ばたか

せ、マサツグ達に向け、風を起こす!その際、今までばら撒いた羽はマサツグ達の

方に向かい飛び始めるのだが、その羽は意外な形でマサツグ達を襲う!


__ヴォン!!…ヴォン!!…


__ゴケェェェェェエエエエエエ!!!!


「うおッ!!今度は何……」


__スパンッ!!…


「…え?」


コカトリスが翼を羽ばたかせ風を起こし、その際に飛んで来た羽は刃となって

マサツグ達を襲い始める!マサツグの隣にあった外壁修復の際に範囲を決める

木の杭が飛んで来たコカトリスの羽で縦にスパンと裂けるのを見て思わず

マサツグが息を呑む。しかし、飛んできたのはその一枚だけではない。

マサツグが次に前を向くと前方からはコカトリスの羽ばたきで飛んで来た羽が

束になってマサツグ達に飛んで来る!


「ッ!!

レイヴン!!シロ!!!俺の後ろに隠れろ!!!」


マサツグが慌ててレイヴンとシロに指示を出すと大剣を自身の前に縦になる様に

突き刺すと三人で大剣の裏に隠れる。大剣からは刃となった羽がガンガンとぶつかる

音が聞えてくるのだがその音はまるで時代劇の鍔迫り合いの音に聞える。


__キン!!カキィン!!…


「これもう羽のぶつかる音じゃねえ!!

もはや刃物じゃねえか!!」


「あれが俗に言う風切り羽根ってやつか!?

凶悪すぎる!!」


マサツグとレイヴンが大剣に隠れてコカトリスの風切り羽根攻撃に耐えている中、

シロだけはその風切り羽根攻撃をジッと見てはまるで何かを学習する様に見つめる

のであった。

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