どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ- リメイク!!

すずめさん

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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章三十二節 レイヴンの苦悩とメイドさん達の強襲-

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マサツグとロディがフィリアの前でコント紛いな会話をしているその頃、シロは

フィリア達と一緒に居なかったレイヴンを探して一人その場から離れる。その際、

シロはレイヴンの匂いを辿って王宮の周りを歩いていた。


__クンクン…


「…レイヴンさんの匂いはこっちの方からしますね…」


シロが一人で王宮の外の直ぐ近くにある修練場までレイヴンの匂いを追って歩いて

行くと修練場からは訓練中の衛兵達の掛け声が聞えてくる。雄雄しく吼える声も

あれば何とも奇妙な奇声にしか聞えない掛け声が聞えてくる。


「ウオオオオオオ!!!」


「キィエエェェェェェイイ!!!!」


色んな掛け声にシロが興味を持つと声のする方に進んでいく。するとそこには広く

開けた場所に辿り着き、広場はまるで盆地の様になっており、シロはその様子を

上から見る様な場所からレイヴンを見つける。その開けた場所の中心では衛兵達が

レイヴンを中心に円を書く様に取り囲み、模擬戦用武器を構える姿を見つける。


「……ッ!!」


「…ふぅ…ッ!!」


レイヴンを取り囲む衛兵達は一人一人額に汗を掻き、ジリジリとレイヴンに身構え、

距離を詰める。しかし、そんな状況にも関わらずレイヴンは杖を突き、自身の頭を

掻くと溜め息を吐く。


「…はあぁ~……」


「……ッ!!

レイヴンさん!!」


シロはこの状況を見てレイヴンが取り囲まれ襲われていると感じ取ると勢い良く、

駆けてレイヴンの所まで飛んで行くと突如背後から現れたシロに衛兵達が驚き

戸惑うとレイヴンへの注視が解ける。そして、突如飛び出してきたシロにレイヴン

自身も驚き、シロに視線を取られるのであった。


「な!……」


「何だ!?…」


「…ッ?

あれ?…ってシロちゃん!?」


本来なら居ない筈のシロが突如修練場…ましてや自分達の頭の上から降って来た事に

その場の全員が驚いているとシロはレイヴンを取り囲む衛兵達に向けカマイタチを

威嚇目的で放つ。その際、シロは衛兵達の頭上から奇襲を仕掛けた様な形になった

為、衛兵達は直ぐには動けずシロのカマイタチに襲われる。


「レイヴンさんから…ッ!!」


「…へ?」


「離れなさ~い!!」


__バシュン!!バシュン!!


「ぎゃああああああ~~~!!!」


頭上から降って来るカマイタチに動く出来ずにその場で防御の態勢を取るとその間に

シロはレイヴンの傍に着地し、衛兵達に身構える。そして、レイヴンも突如降って

来たシロにただただ驚いている。


「ヴヴヴヴヴヴヴ!!!」


「え?…え?…」


そして、レイヴンと衛兵達がシロの突然の参加に何がどうなったのか分からないで

居るとシロはレイヴンを取り囲んでいた衛兵達に向かって走り出すと何処かのバッタ

男顔負けの飛び蹴りを放つ!その威力は言わずもがな、衛兵達の一人の腹部に当たる

とその衛兵が大きく吹き飛び他の衛兵達を巻き込んで後方に吹き飛ばされる。


「え~い!!!」


__ドゴス!!


「ぐはぁ!!!」


「……あれ?」


飛び蹴り一つで衛兵達がボーリングの球とピンの様に吹き飛んでいく様子にレイヴン

がただ呆然としているとシロがレイヴンに駆け寄り、ローブの袖をギュッと握ると

怪我は無いかと尋ねる。


「レイヴンさん!!

大丈夫ですか!?」


__ブンブン!!


そこでシロがレイヴンを揺する様に袖を引っ張るとレイヴンは漸くハッと我に返り、

辺りを見渡す。そこには状況が飲み込めず、ただ戸惑う残りの衛兵達とシロの

飛び蹴りで目を回す衛兵達が地面に倒れていた。この状況にレイヴンが自身の頭を

掻くと戸惑う衛兵達に休憩を挟む事を言う。


「……あぁ~っと……

一旦休憩ね?……」


「え?…あ、はい……」


突然のアクシデントに戸惑いながらも構えていた衛兵達がレイヴンの指示で模擬戦用

の武器をあっさり下ろすと包囲を解除する。その余りにも呆気ない解放にシロが疑問

を持ち、首を傾げているとレイヴンがシロの頭を撫でて説明を始める。


「……え?…あ、あれ?…」


__ポンッ…


「シロちゃん…

助けてくれて有り難いけどこれは訓練で襲われていた訳じゃないからね?」


レイヴンがシロの頭を撫でながら説明をすると一瞬シロはフリーズし固まる。そして

レイヴンの言葉を理解したのか、徐々に顔を赤くし吹き飛ばした衛兵達の所に走って

行くと衛兵達に謝り始める。


「衛兵さん!!

ごめんなさい!!」


「…いててて…

いやぁ、あははは……

勘違いは仕方が無いよ……」


吹き飛ばされた衛兵達も意識を取り戻したのか負傷した所を撫でて苦笑いをし、シロ

を許す。その際、一番に蹴られた衛兵はシロの飛び蹴りの異様なまでの威力に驚き、

疑問を持つが理由を聞くとシロを責める事になりそうなのでそっと胸の中にしまう。

そして、レイヴンが衛兵に謝るシロにマサツグが戻って来たのかと尋ねるとシロは

手を挙げ、返事をすると答える。


「それはそうと、シロちゃんがここに居るって事はマサツグも戻って来たのか?」


「はいです!!

ご主人様とミスティーお姉ちゃんも一緒です!!

あ!後、黒いピカピカの人とぼさぼさのお姉さんも一緒です!!」


「く…黒いピカピカ?…ぼさぼさ?……

ま…まぁ、戻って来たんだったら良いんだ。

じゃあ、俺もマサツグの所に挨拶に行くかな…」


シロの説明にレイヴンが困惑するもマサツグが戻って来たと分かると挨拶に行こうと

する。しかし、レイヴンがマサツグの所に行こうとしたその時、負傷した衛兵の一人

がレイヴンを呼び止めるとある事を尋ねるのであった。


「…あれ?レイヴン殿。

そう言えば、英雄殿が戻って来たら急いで言わなければいけない事が

有ったのでは?」


「え?……あっ……」


衛兵の一言に何かを思い出したレイヴンはその場で固まり、少し青ざめ始める。

その様子にシロが首を傾げてレイヴンの顔を覗きこむとレイヴンはワイトで有り

ながらヤッテシマッタと言いたそうな表情で固まっていた。


「……どうしよ?…」


「…?どうし……」


__ボカァァァァァァンン!!!……


シロがレイヴンに何故青ざめているのかと尋ねようとすると突如マサツグ達の居る

王宮広場から爆発音が聞えてくる。その爆発音にシロが驚き、音の聞えた方を見る。

その音が聞えた方向からは黒い硝煙が上がっており、それと同時に誰かが叫んで

いる声が聞えてくる。


「~~~~~~ッ!!」


「な…何なのですか!?」


「遅かったかぁ~~…」


レイヴンのその一言でシロがレイヴンの方を見るとレイヴンはその場で四つん這い

状態で一人ガックリとうな垂れる。その状態のレイヴンに理由を尋ねようとシロが

話しかけるとまたもや王宮広場からは爆発音が響く。


「レ…レイヴンさん!!これは!……」


__ボカァァァァァァンン!!!……


「きゃっ!!」


「……きっかけはちょっとした話からなんだ……」


「え?…」


うな垂れた状態でレイヴンがシロに話を始める。シロは王宮広場から聞える爆発音

に心配しながらもレイヴンの話を聞き始めるとレイヴンは何故、王宮広場から爆発音

が聞えるのか説明を始める。


「マサツグとシロちゃん達がホエールビアードのギルマスに話をしに

出掛けている時……」



マサツグ達がホエールビアードからロディを連れて来る数時間前……


「魔術師様!!」


「ん?……」


レイヴンが呼ばれて振り返るとそこにはメイドさん達が立ち並び、レイヴンの前に

整列する。その様子は格好を変えれば魔法士団の集まりでレイヴンの前に立つメイド

さん全員はレイヴンが魔法を教えた門下生。そんな門下生メイドさん達は向上心が

強いのか、レイヴンに新しい魔法を教えて貰おうと集まっていた。


「魔術師様!!

そろそろ他の魔法を覚えとう御座います!!

ご教授を!!」


「え?えぇ……」


確かにメイドさん達の覚えるスピードは異常なまでに速く、魔法を暴発させる事も

無い。教えがいの有る門下生ではあるが、このまま魔法を教えても良いのかと

レイヴンの中に疑問が生まれる。何故なら本来メイドさん達は非戦闘員。魔法を

覚え、身を守る術は身に着くものの本来なら覚える筈の無い仕様で今魔法を覚え

ている事自体がイレギュラーなのである。幾らNPC一人一人がAIで動くにせよ、

勝手に教えて良いものかと考え始めたのである。


「う…う~ん……」


「…何かまだ修練が私達に足りないのでしょうか?…

それとも、何かを危惧しているのでしょうか?……」


メイドさんのうるうるとした目がレイヴンを襲う。レイヴンもメイドさんの懇願する

目にウッ…と圧され教えそうになるもこれはオンラインゲーム…魔法を使える様に

なったメイドさん達は言わばゲームの仕様を書き換え、バグを作って遊んでいるの

同じ。教えがいの有るメイドさん達にレイヴン自身も面白がって教えたいがうかつな

事が出来ない現状にレイヴンがモヤモヤとしているとここでフィリアが近くを通った

のか頭を抱えて悩んでいるレイヴンに近づく。


「…お前達、こんな所で何をしているのだ?」


「ッ!!

女王陛下!!」


フィリアに気が付いたメイドさん達が跪き、会釈をするとフィリアは手を挙げ、

返事をする。そして、レイヴンがフィリアの呼び掛けに振り向くと挨拶をし、

また悩み始める。


「あっ…女王陛下…どうも…」


「あ…あぁ…

一体如何したのだ?レイヴン殿は?…」


「実は……」


メイドさんがフィリアの疑問に答える様にレイヴンが悩んでいる理由を教えると

フィリアは腕を組み、レイヴンと同じ様に悩み始める。しかし、レイヴンとは

違いそこまで複雑に悩みはしないで居ると何かを閃いたのか、フィリアは手を

ポンと叩き、ある事をレイヴンに提案する。


「…ッ!!

そうだ!…

レイヴン、いっそこの者達を試してはどうだ?」


「…え?」


「お前が悩んでいるのはこの者達が次に覚える魔法を習得出来るかの技量を

考えての事!」


「あれ?…」


「だったらこの者達の技量を見たら良いのではないだろうか!?」


フィリアの自信満々の表情にレイヴンが戸惑うもレイヴンが違うと答える前に

フィリアがメイド達に条件を出す。その条件にレイヴンが驚き固まってしまう。


「い…いや、ちが…」


「となると条件が必要だな……

並みの者では話にならんしな……」


「あ…あの?……」


「そうじゃな…ここはいっそ大きくマサツグにその役を買って貰うとするか!」


「ッ!!」


フィリアの強引な条件にメイドさん達がどよめくがフィリアは構わず、マサツグを

目標に定めて話を続ける。レイヴンも知らない間に進んだ話に異議を唱えようと

するが時既にお寿司……先ほどまでどよめいて居たメイドさん達は既にやる気に

なり、各自がマサツグを標的に動き始める。レイヴンが頭に手を当てガックリと

肩を落としているとフィリアはレイヴンに有る話をし始める。


「…すまんな…」


「…え?」


「レイヴン殿の本当の考えはこうじゃ…

このままあの者達に魔法を教えてこの国に干渉して良いものか?…じゃろ?」


フィリアの答えに若干の違いを感じながらもレイヴンが考えていた答えに近いものが

出た事にレイヴンが驚く。そして驚いているレイヴンを横目に確認し、考えが

当たっている事を確認すると話を続ける。


「余としては構わんのじゃが、何やらレイヴン殿にも事情があるのだろう…

しかし、あのままではあの者達は納得はせんじゃろ。

今まで炊事洗濯の毎日でこれと言った楽しみも持てなかったあの者達にとって

初めての大きく実感出来る物…

あの場ではそう話を進めるしかなかった…」


フィリアの話にレイヴンが黙り話を聞く。そのフィリアの表情は何処か娘の成長を

見る母親の顔をしていた。そんなフィリアにレイヴンが納得しそうになるが、

レイヴンはフィリアにある事を尋ねる。


「…お気持ちは感謝しますが……

マサツグの件は如何する御つもりで?…」


「……どうしようかの?……」


フィリアがレイヴンの方を向きそう答えるとレイヴンが天を仰ぐ様に上を向くと

自身の顔に手を当て、悲観する。その隣では笑った顔でレイヴンの方を見つめ、

汗をダラダラと掻き始めるフィリア。明らかに最後の方はノープランで二人が

頭を悩ませていると王宮に門番の衛兵が走ってやって来るとマサツグ達が帰って

来たと報告をする。


「ご…ご報告します!!

今現在、町の門の前でミスティアナ皇女と英雄殿が帰還!

更に大量の建築資材と何やら妙な黄色い被り物を被った人間も一緒にやって

来ました!

なお、マサツグ達が乗る馬車にはギルドマスターと思わしき人物が同席している

模様!!」


{うわぁ……何でこのタイミングで帰って来たんだ……}


レイヴンとフィリアがマサツグの帰還報告に頭を悩ませ、うな垂れそうになるも

とにかく無事に帰って来た事にホッと安心するとフィリアはさっさと王宮玄関まで

通す様に門番の衛兵に指示を出す。


「…よし、では王宮の広場まで案内をせよ!

余が挨拶をせねばなるまい。」


「え?ちょ!…」


「ハッ!!

了解しました!!」


門番の衛兵がフィリアの指示を聞いてまた走って門の所まで戻って行く。そして、

門番が居なくなった所でレイヴンがフィリアに如何するかと詰め寄るがフィリアは

その場から逃げようとするにであった。


「…ちょっと…如何するんですか!?

まだ何にも解決策は思い付いていないんですよ!!」


「しかし、余達に何が出来ると言うのだ!?

それに余はこれからそのギルドマスターとの挨拶が有る!!

後はレイヴンに任せたぞ!…」


「あ!コラ!!逃げるな!!」


レイヴンが挨拶を理由に逃げるフィリアに手を伸ばし、止めようとするがフィリアは

構わずその場から逃げる。一人残されたレイヴンもその場で手を伸ばした状態で

固まっていると衛兵が探していた様子で近寄って来てはある事を伝えに来る。


「…あっ!!

魔術師殿!探しましたぞ!!」


「…へ?」


「もうすぐ我々との訓練の時間につき、お呼びに来た次第です!」


「え?…もうそんな時間?」


レイヴンがメイドさん達の事を悩み、フィリアの無茶な打開策で時間を消費して

いた事に気付かなかったレイヴン。衛兵との訓練の時間を休む事が出来ず、レイヴン

は呼びに来た衛兵と共に修練場に向かう。


{…さすがに今すぐに襲い掛かる事はないと思うから取り敢えずは衛兵達の訓練に

集中しよう…最近は魔障壁を展開できる衛兵達が増えたから更に動きながらの

展開の訓練をしないと……}


こうしてレイヴンは衛兵達の訓練に付き合う為に修練場に向かうがこの考えがフラグ

になるとは知らずにこの後爆発音が王宮広場から聞える事になる。そして話はシロが

レイヴンに今までの経緯の話を聞いて更に爆発音が聞えた頃に戻る。


__ボカァァァァァァンン!!!……


「ッ!!

また爆発音が!……」


「あぁ~あ…

面倒な事になったなぁ…

さて如何したものか…」


レイヴンが王宮広場から聞える爆撃音を聞きながら悩んでいるとシロは爆発音のする

王宮広場に一人で向かい始める。その様子を見たレイヴンが止めようとするがシロは

レイヴンの制止を振り切り、走って行く。


「あ!…

シロちゃん!今行ったら!…って行っちゃったなぁ…

…仕方ない、俺の責任でもあるし止めに行きますか。」


レイヴンも覚悟を決め、王宮広場へと走り出すとその後を訓練中の衛兵達が追って

走ってくる。これも訓練かと思ったのだろうか何の疑いも無くレイヴンの後を追って

走ってくる衛兵達にレイヴンが疑問を持つと王宮広場からはマサツグらしき人物の

悲鳴と爆発音や衝撃音が聞えてくる。


「どわああぁぁぁ~~~~~~~!!!!」


__ボカァァァァァァンン!!!……


「逃がしません!!」


「…おうおう派手にやってるなぁ……」


現場に辿り着くとマサツグを取り囲む様にメイドさん達が構え、魔法を詠唱する。

それと同時にその様子をロディとフィリアがまるで観戦する様に眺めていた。

シロはと言うとマサツグに待てと言われたのか両手を自分の顔の前に構えては心配

そうにマサツグを見つめていた。


「ご主人様……」


「ッ!!…クソ!!

何がどうなってんだ!?

何でメイドさん達が一斉に俺を襲う!?」


「マサツグちゃんったら何かしたのかしら?

あのメイドさん達必死にマサツグちゃんを狙っているけど?…」


マサツグはメイドさんに取り囲まれながらも持ち前の回避能力と刹那で魔法を回避し

続ける。そんな中、回避し切れない魔法は大剣を盾代わりにガードをするなどして

やり過ごす。マサツグが大剣片手に回避し続けるそんな様子にフィリアとロディが

やんややんやと囃し立てるとミスティーがメイドさん達に攻撃を止める様に命令し

始める。


「あ…貴方達!!

これは一体如何いう事ですか!!」


「ッ!

ミスティアナ姫!

ご機嫌麗しゅう…」


メイドさん達が馬車から降りて来たミスティーに気が付くとスカートの左右に摘み、

広げると会釈をする。しかし、それ所ではないミスティーが何故マサツグを狙うの

かと怒りを露にしメイドさん達に尋ねるとメイドさん達は素直に理由を話す。


「挨拶は結構です!!

今すぐ攻撃を止めなさい!!

それとこれは何ですか!!一体誰の許可を得てこのような事を!!…」


「は…はい…

私達の覚えた魔法がマサツグ様に通じるかどうかを試していたのです!…

レイヴン様に新たな魔法を教えて貰う為に!……」


普段余り怒らないミスティーが怒っている事にメイドさん達が萎縮し理由を話すと

更にミスティーが怒り出す。その様子にフィリアが逃走を図ろうとするがミスティー

がこの状況に理解したのか逃げようとするフィリアの名前を呼んで止める。


「…そろ~……」


「…ッ!?

姉様?」


「は…はい!!」


その時驚いた事にフィリアはミスティーに対し冷や汗を掻き、一歩も動けなくなる。

その様子を見たマサツグが驚いているとシロがマサツグに駆け寄り、マサツグの

心配をする。


「ご主人様!!」


「…ッ!

シロ!…」


「大丈夫ですか!?」


「大丈夫だけど…これは?」


マサツグがミスティーの様子の変わり様に驚いているとシロがミスティーを指差して

ある事をマサツグに答え始める。


「…ッ!

あれ!、あれです!!」


「え?…」


「ミスティーお姉ちゃんを護衛する時に教えて貰った相手を拘束し戦意を

無くす方法です!」


シロがマサツグにそう答えるとジッとその様子を見つめる。それはミスティーを護衛

した際、盗賊達が襲って来た時にシロが最後の盗賊にやって見せた。威嚇方法で

相手の戦意を殺ぐ技術なのだがミスティーはそれをフィリアにやって見せると徐々に

歩いてフィリアに近づく。


「な!…何故なのだ!?

何故…毎回ミスティーに冷静に名前を呼ばれると動けなくなるのだ!?」


{毎回って今まで何をやって来たんだ?……}


マサツグがそんな事を考えているとミスティーは静かにフィリアの肩を叩くとメイド

さん達に何を吹き込んだのかを尋ねる。その際、フィリアが誤魔化そうとするが

静かに怒るミスティーに通じる訳が無く、ミスティーに更に迫られる。


「一体何を言ったのですか?……

我が国の貴賓、マサツグ様に?……」


「い…いや、これは……そのぅ……」


「もう一度聞きます……

一体何を言ったのですか?……」


「……ごめんなさ~い!!」


フィリアがミスティーに涙目になりながら謝る姿にマサツグが凝視していると

ミスティーはフィリアをその場に座らせ、懇々と説教を始める。その見た事の

ない光景に周りに居た者達が黙って見つめるのであった。

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