どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ- リメイク!!

すずめさん

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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章三十節 ムキムキと漢!-

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一方、マサツグとミスティーそしてシロはポップリングスを後にして三日間の

馬車の旅を終えるとホエールビアードに辿り着く。相変わらずの活気に

ポップリングスで起きていた襲撃が嘘の様に感じる位である。そんな三人が

ホエールビアードに着いたその足でギルドに向かうとギルドでは何故か、

人だかりが出来ていた。


「…?何なんだ?あの人だかり?…」


「誰か有名人が来ているとかではないのでしょうか?…」


そんな事を良いながら人だかりを押し退けギルドの中に入るとギルドの中は

相変わらずの賑わい。冒険者がクエストボードでどのクエストを受けるかで悩み、

酒場のようなカウンター席では冒険者同士が酒盛りをする。しかし、ある一点を

除いては普通ではなかった。他の冒険者もソレが気になるのか、他に目を向けて

居る様に見せ、ソレの様子を見る。


「……それでは引き続き、捜索を頼む…

我らの女王も心配しておいでだ…」


「分かりました!…

こちらの方でも見つけ次第ご報告させて貰います!」


「…それでは…」


そこにはこれまた際どいビキニアーマーの女性エルフがカウンターに立って居る

ルンに何かを頼んでいる様子が見える。エルフと言えばスプリングフィールドで

出会ったアヤを思い出すが、翌々思い出して見れば他にエルフを見かけた事は無い。

その事を考えているとマサツグの隣に居たミスティーが不思議に思い始める。


「…珍しいですね…エルフが人の町に来るなんて…」


「へ?…どうして?…」


「確かエルフの国では今人間…特に冒険者を嫌っているとか…

理由はさすがに分かりませんが、ここ数年急に人間達と仲違いをし始めたとか…」


マサツグとミスティーがギルドの出入り口で話しているとその件のエルフ達が

マサツグ達の方に向かい歩いて来る。人数は三人両脇のエルフは某龍退治のゲームに

出て来る女性戦士の様なしっかりとした鎧(ビキニアーマー)を着けているが

隊長らしきエルフはもはや無いも同然のビキニアーマー。少しでも激しく動けば桜が

舞いそうな位に際どい。そんなエルフ達がマサツグ達の前に立つと道を開ける様に

頼み始める。


「…ッ!?

おい、貴様!さっさとそこを!……」


「止めないか!!」


「ッ!?……申し訳御座いません……」


「…連れが失礼した…すまないが道を開けて貰えないだろうか?」


「あ…あぁ、これは失礼……」


隊長エルフの取り巻きか、隊長の前に立つマサツグ達に退く様に命令をするが隊長が

一喝し改めさせると改めてマサツグに道を開ける様に頼み始める。マサツグもその

一言に慌てて道を開けるとエルフ達はそのままギルドを後にし始める。その際、

叱られたエルフはマサツグの方をチラッと見ると舌打ちをする。


「…チッ!…」


「ッ!?……何なんだあいつ等!…

えらく態度が悪いなぁ~!!」


「これは相当嫌われてますね……

一体何がそこまで嫌う事に?……」


マサツグとミスティーが先ほどのエルフの態度に苛立ちと疑問を抱いていると

マサツグ達に気が着いたのかルンがカウンター越しにマサツグ達に挨拶をする。


「…ふぅ……って、あれ?…

お久しぶりです!!マサツグさん!!

それに…ミスティーさん?」


「おひさ~ルン。

それにしても何だったんだ?あのエルフ達!

えらく態度が悪かったけど!」


「あぁ~…それは話せば長くなるので置いといて貰えると有り難いです…

それはそうと今日はどうしたのですか?

まさか!…依頼の破棄を!?」


ルンが慌てながらマサツグとミスティーの二人を交互に見る。その様子にマサツグと

ミスティーが慌てて弁明するとシロが横から顔を出すと挨拶をする。その様子を

他の冒険者が不思議そうに見る中、獣人であるミスティーに注目が集まる。


「い…いや!ちゃんと依頼をこなして改めて来たんだ!!」


「そ…そうですよ!!

今回は別件で来たんです!!」


「ルンのお姉ちゃん!!

お久しぶりです!!」


いっぺんに話しかけられルンが困惑するがマサツグが改めてルンと会話をし始める。

勿論その内容はギルドマスターとの面会なのだがこのマサツグの頼みに一瞬固まって

しまうとマサツグのもう一度尋ね直す。


「え?…あ、はい…

お久しぶり、シロちゃん…」


「あぁ~…っと混乱している所悪いけど急ぎの用件が有って来た。

ギルドマスターに取次ぎ出来ないか?」


「…え?」


「…?いやだから、ギルドマスターに取次ぎを頼む…」


__ザワ…



その時のルンの表情はまるで何かを聞き間違えたかの様な表情を見せるがマサツグが

もう一度ルンに同じ事を言うとルンの表情が驚きに満ちた様子を見せる。そして、

その会話を聞いて居たのだろうか、周りの冒険者も一斉にマサツグに注目し固まる。

その視線は怖いもの知らずな奴らが来たと言わんばかりの目で凝視する。


「え?…」


その視線に気が付いたマサツグが周りを見渡すと依然他の冒険者はマサツグを凝視し

固まる。その異様な光景にマサツグも何か嫌な予感を感じ取ると恐る恐るルンに

ギルドマスターについて尋ねる。


「…ルンさん?

皆さん急に黙りこくっちゃったんですが如何してですか?…

それにこの凝視…ただ事では無さそうなんだが?…」


「ア…アハハハハ……」


マサツグの問い掛けにルンが苦笑いをする。周りの反応、ルンの苦笑いにマサツグが

疑問を持ち始めるとルンが大きく深呼吸するとマサツグに理由を答え始める。

その答えにマサツグは警戒すると同時に隣でミスティーが震えて怯え始める。


「それは、マサツグさんがここのギルドマスターと

話がしたいと言ったからだと思います。」


「へ?

そんなにヤバイ人なの?」


「あ…いえ!

そんなことは無いですよ!

只…」


ルンがマサツグに対しそう答えると突如固まり答えに困り始める。その様子に

マサツグが不信感を持つとオウム返しで尋ね返す。すると本来聞え来ない方向から

同じ様にルンに尋ねる声が聞えてくる。


「…只?」


「只って何よぅ?」


この一言にマサツグとミスティーが声のした後ろの方を確認するとそこには

スキンヘッドで黒光りした筋骨隆々の見事な体にブーメランパンツを穿く、

2m強の人間?ボディービルダーが立っていた。突如現れたこの黒い巨人に

マサツグとミスティーが驚きを隠せず、後ろに大きく後退りするとシロは

怖いもの知らずに黒い巨人の頭を見てこう言った。


「わぁ!!黒くてピカピカの頭です!!」


__ですぅ!…ですぅ!…ですぅ!…


シロの一言がマサツグにはエコーで聞える。そしてハッと我に返るとマサツグは

急いでシロの口に手を当て、黒い巨人に平謝りし始める。


「シ…シロ!!

お口チャック!!」


「むぐぅ!…」


「す…スイマセン!!

家の子がご無礼を!!…」


「…ぷッ!!

あっはっはっはっはっはっはっは!!!」


マサツグが黒い巨人に謝るが巨人は怒るどころか腰に手を当て大笑いし始める。

その様子にマサツグが呆気に取られているとマサツグの後ろからルンが巨人の

紹介を始める。そしてこの紹介でマサツグとミスティーがまたもや大きく

驚かされるのであった。


「……ご紹介します。

こちらのナイスバルクの黒いお方こそこのサマーオーシャン大陸管轄

[ロディ・ガンブレオ]その人です…」


「…え?

ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


ギルド内にマサツグの驚きの叫び声が響き、その声を聞いた他の冒険者も頷く様に

頭を縦に動かすと腕を組み、マサツグの驚きを共に分かち合う。彼らもこの黒い

巨人がギルドマスターと知った時に同じ様に叫んだのだろう、マサツグが叫んでも

また誰かが驚いていると慣れた様子で見ている。そして、ミスティーはと言うと

ただ両手を口に当て声を上げずに驚いた居た。そうして、二人がロディの肩書きに

驚いていると改めてロディの自己紹介が始まる。


「はじめまして!

私がこのサマーオーシャン連合国のギルドマスター!

[ロディ・ガンブレオ]よ!

私のことはロディーちゃんって呼んでね♥」


自己紹介にも着いて行けない位にマサツグ達が驚いているとロディは突如マサツグに

興味を持ち始める。徐にマサツグの方に近づいて行くと顔をマサツグに近づけ、

マジマジと観察し始める。


「ん?

あら、彼方…

なかなか良い体してるじゃなぁい♥」


「ふぉッ!!」


ロディの接近にマサツグが反射的に後ろに飛び退くと慌ててロディに挨拶を始める。

しかし、ロディは飛び退いた事など気にせずマサツグが自身の事をさん付け呼んだ

事を訂正させる。この時マサツグはこのゲームを始めて最初の恐怖を感じるので

あった。


「は…はじめまして…

マサツグです…

ロディさん…」


「いやん!

ロディーちゃん♥」


「ろ…ロディーちゃん…」


マサツグがおっかなびっくりにロディをちゃん付けで呼ぶと満足したのか笑みを

浮かべてスッと仁王立ちし、マサツグ達を見据える。その様子に助け舟を出す様に

ルンがマサツグ達の代わりに紹介を進めてくれる。


「マスター!!

その方がマサツグさんですよ!!」


「あ~ら!そ~なの!♥

彼方がフリードちゃんが言ってた英雄さんね!♥」


{おいちょっと待て!!あのって何だ!?

あのって!!}


マサツグがシロの口を押さえたまま心の中で突っ込んでいるとロディはマサツグが

反応出来ない速度でマサツグの両肩をガシッと掴むとガクンガクンと揺さぶる。


__ガシッ!!


「噂は聞いているわよぉ~♥

駆け出しで騎士団長に挑んで逆転勝利を掴んだり、その騎士団長さんと魔王の

撃退に成功したりって、今期待の新人ホープなんて言われているのよぉ~♥」


{はっや!!

え?…反応出来なかった!?

マジかよ!?…}


__ブンブンブンブン!!!…


突然の拘束にマサツグが驚き、されるがままになるとその様子にミスティーが

オロオロとし、周りの冒険者は巻き込まれない様に自身の気配を断ち、空気と

なり始める。しかし、ルンはこの状況に怯む事無くマサツグ達がロディに用が

ある事を伝える。


「マスター!!

そのマサツグさんがマスターに話があると!」


「あらそうなの?

それなら先にそう言ってよぅ♥」


ロディがルンの話を聞いて漸くマサツグを解放するとマサツグはその場にグッタリと

して、地面に四つん這いになる。その際、マサツグの視点では視界が揺れ、妙な

デバフが付きマサツグを困惑させる。


[マサツグ Lv.40 状態 悪酔い]


{わ…悪酔い!?…

悪酔いって確か酒場もしくはギルドでしこたま酒を飲まないと

付かない筈だぞ!?…}


「マ…マサツグさん!!大丈夫ですか!?」


「…ん?あら…」


マサツグがデバフで悩んでいると四つん這いから動かないマサツグを心配して

ミスティーがマサツグの背中を摩りながら介抱を始める。そこでロディが

ミスティーに気が付き、一人何かで何かを納得し始める。マサツグもミスティーに

介抱して貰った事でデバフが消え、立ち上がるとミスティーにお礼を言う。


「…ふぅ……すまん…助かった……」


「い…いえ…大丈夫ですか?…」


「な…何とか……」


マサツグの視界も揺れる事収まったものの今度は何とも言えない脱力感に襲われる。

この脱力感に違和感を覚えているとここで自身のTPがカラになっている事に

気が付く。たった一回の拘束でここまで散々な目に有った事にマサツグが驚いている

とミスティーが意を決してロディに話しかける。


「あ!……あの!…ッ!!」


「しぃ~……」


しかし、ミスティーがロディに話し掛けようとした途端、ロディは何を思ったか

人差し指をミスティーの口に当てると同じ様に自身の口に人差し指に当て、

シィ~……とジェスチャーをする。ミスティーも突然ロディに静かにする様に

何故言われたのか困惑しているとロディはミスティーに笑い掛け、話しかける。


「…お嬢さん?

その話はここでするものではないわ?」


「…え?」


「着いて来て!!

話はそこでゆっくりとしましょ!」


そう言うとロディはギルド二階にあるギルドマスター室を指差しマサツグ達を

案内する。その様子を他の冒険者が心配に満ちた目で見守られているのをマサツグが

感じながらも部屋に通される。ギルドマスターの部屋はロディの肉体が物語っている

様にトレーニングマシーンとプロテインと書かれたアイテム、更には何処で

やっていたのかボディビルの優勝トロフィーなどが置いてあった。そんな部屋に

マサツグとミスティーが通されるとロディにお客さん様のソファに座る様に言われる。


「さぁ、そこに座って頂戴!

すぐにお茶を用意するから!!」


「…お茶って、まさかここに置いてあるこのプロテインドリンクじゃ

ないよな?……」


マサツグがプロテインドリンク(紅茶)と書かれた袋を見つけ、それを見ながら思わず

呟く。その一言がロディにも聞えたのかロディはフフッと笑いながら手をパンパンと

叩くと隣の部屋からお茶とジュースをお盆に載せて持ってくる秘書らしき女性が

マサツグ達の元に来る。女性は物静かで黒髪のストレートで目が隠れるほどの長い。

そして、全体的にスレンダー体形でスプリングフィールドに居たクラリスと同じ

バリスタの様なピシッとした服を着ていた。


「あっ…どうも…」


「ありがとうございます。」


「ありがとうで……」


__ヒュン!…


マサツグとミスティーがその女性にお礼を言うと女性は慌てた様子でお辞儀をすると

シロの前にジュースを置くとシロがお礼を言う前にそそくさと退室する。その余りの

速さにシロも呆気に取られていると、ロディが笑いながら先ほどの女性の話を

始める。


「……?」


「ぷっ!!

くくく…あ、いや、失礼…

変わった子でしょ?あの子?

あの子ここに来た時からあんな調子で喋れない子なの。

だから何処行っても仕事が長続きしなくて最後の望みでうちに来たのよ。

最初は大変だったけど今では私の秘書を任せられるくらいに成長したのよ…」


その時のロディはまるであの女性の父親の様な慈愛に満ちた表情で娘の成長を

自慢する父親の様な雰囲気で話していた。そんなロディの姿にマサツグが

ロディに対しての認識を改めているとロディがハッと我に返り、マサツグ達に

用件を聞き出す。


「おっと!…ごめんなさいね!

つい話し込んじゃったわ!

…で、話と言うのは?」


ロディのこの質問にミスティーが立ち上がると本題を話始める。その様子は

緊張でガチガチに固まり、立ち上がったまでは良いがここまら先を如何するか

を考えていないのが丸分かり。そんなミスティーにマサツグが手を握ると

ミスティーが気が付き、マサツグの方を見つめる。


「…大丈夫だ。

一回大きく深呼吸。」


__コクリッ…


「すぅ~…はぁ~…」


マサツグのアドバイスでミスティーが深呼吸をすると徐々に緊張が解けてきたのか

ガチガチに固まっていたミスティーが落ち着きを取り戻す。その様子にマサツグも

安心して後を任せるとミスティーはロディに用件を話し始める。


「…三日前に私の国、ポップリングスが襲われました。」


このミスティーの切り出しにロディのにこやかな表情が消えると次に見せたのは

ギルドマスターとしての真剣な表情。その真っ直ぐな視線にミスティーがビクッと

するも負けじと気持ちを奮い立たせると話を続ける。


「幸いな事にここに居るマサツグさんと祖国に居るレイヴンさんに何とか解決して

貰いましたが、次に襲われた場合…

マサツグさんとレイヴンさんの様な冒険者が居ない場合を考えると悔しいですが…

私達の国の防衛力は乏しいものです…

ですから、私…ミスティアナ・レオ・レヴナントは私達の国にギルドを建てる許可を

ギルドマスターの貴方に貰いに来ました!」


「あら、別にいいわよ?」


ミスティーが一生懸命に気持ちを奮い立たせ、ロディに用件を伝える。その際、

ロディから色々と言われるのを覚悟していた二人はロディのあっさりとした答えに

拍子抜けし気の抜けた表情を見せる。しかし…


「ただし!

さっきの言い方だとこれはとして頼みに来ただけに聞えるのよ?」


「ッ!」


ミスティーがポップリングスの皇女とは伝えていないにも拘らずロディがミスティー

を皇女として話を進める事にミスティーが驚くとロディはそのまま話を続ける。


「皇女としてここに外交に来ているって事は貴女自身はこのギルド建設の件は

如何考えているの?貴方達の議会で決まったからただ来たの?それって本当に

必要なのかしら?」


「そ…それは!……」


「この話は貴女個人の話?それとも…」


ロディの指摘にミスティーがまたもや固まるとギュッとロディに対して身構える。

しかし、ロディは自身が思った事を伝えるのを止めずにミスティーに投げかける。

その様子をマサツグとシロは何も言わずに見守る。その際、シロはミスティーを

心配そうに見つめていた。


「一国の外交官として来た貴女の話?」


ロディの疑問が言い終わり、少しの間ギルドマスター室内に静寂が訪れると

ミスティーは俯き固まってしまう。だが、ロディは真っ直ぐにミスティーを

見つけたままミスティーの意見を待つ。そして、ミスティーもロディのそんな視線

に答えるようにロディの質問に答え始める。


「確かに…私自身も前までは必要には感じなかった…」


この一言にマサツグが驚き、ロディは更にミスティーを見つめる。だが、

ミスティーは更に続けて答え始める。


「ですが!それはゲステウスが必要ないと言っていた時の話であり、

マサツグ様と出会って…そしてそのゲステウスが反旗を翻し我が国を

襲った時!その時には自分の国がいかに井の中の蛙だったのかを

思い知りました!!目の前でお姉様が傷つけられ、自分も動けない!…

その間にも民は反乱を起こしたゲステウスのモンスターに襲われ、

逃げ惑う!…そんな中、マサツグ様やその他の冒険者が自分の身を

顧みず畳まってくれた事を知っています!!確かに今の私達の国に

ギルドを立てても貴方達に利益は無いのかも知れません!それでも…

お姉さまが傷つく姿を見る方がイヤ…

愛する国民を護れないのもイヤ!

なにより私の大切な国を護れないのがイヤ!!

でも、私にはマサツグさんのような武勇もない!

レイヴンさんみたいな魔法も使えない!!

お姉さまみたいに国民を導く力も無い!!!

それでも!!!

私は護りたいのです!!!

今私に出来ることはギルドを建てて国民の助けになるように、

お姉さまの助けになるようにすること!!

それが!!!

今の私に出来る唯一の行動であり、私の願いです!!!!」


ミスティーがギルドマスター室一杯に自身が思った事を徐々に叫びながらロディに

精一杯の力説し伝える。そのミスティーの答えをロディは眉一つ動かさずに最後

まで聞くとまた部屋の中に静寂が訪れ、少しの間シーン…と静かになる。


「…はぁ…」


きっかけを作ったのはロディの溜め息であった。ロディは全員に聞える様に溜め息を

吐くとミスティーに謝罪を始める。ミスティーも突然ロディに謝られた事に動揺

しながらも何故か釣られて謝罪をする。


「ごめんなさいね…

試すような真似をしちゃって…」


「あ!

い…いえ!

こちらこそ…」


「…っぷ。

面白い子ね。

…わかったわ!!」


そう言うとロディは立ち上がりミスティー達に堂々と宣言する。それはミスティーが

欲しかった答えであり、ミスティーの初めての外交が成功した証拠でもあった。


「このサマーオーシャン連合国ギルド代表 ロディ・ガンブレオ…

ポップリングス皇女ミスティアナ・レオ・レヴナントの依頼により!

今より…正式にポップリングスのギルド建設を私達が請け負うわ!!」


「ありがとうございます!!

ありがとうございます!!!」


堂々とロディが腕を前に突き出し、宣言して見せるとミスティーが感涙しながら

満面の笑みを浮かべ、ロディに感謝する。その様子にロディは笑いながら頷くと

秘書の子を呼び、すぐさま人材と建材の両方を手配する様に指示を出す。


「…あ!

ユンユン?

悪いけど直ぐに駆り出せる作業員と建材の確保をお願い♥」


__コクリッ…


{いつの間にそこに!?……}


いつの間にかロディの隣に先ほどの女性がスタンバイしており、ロディの指示に

頷くと隣の部屋に戻り、何やら慌しく動き始める。その様子にマサツグが驚いて

居るとロディはミスティーにある話をし始める。


「あぁ、それとだけど…」


この一言に喜んでいたミスティーがピタッと止まり、動かなくなる。その様子に

ロディが吹き出しそうになるが徐々にミスティーが振り向くと恐る恐る資金の

額を尋ねる。


「い…いくら掛かりますか?」


このミスティーの質問にロディが体全体をピクピクとさせながら笑うのを我慢して

いるとロディはミスティーに心配する事は無い様に伝える。


「いや、資金はこちらで用意するから大丈夫よ♥」


「え!?…

で…でも…」


ロディの一言にミスティーがオドオドとしながら答えようとするがロディは

笑顔で首を横に振るとミスティーに大丈夫と伝え、胸を叩いて見せる。

そこには先ほどのような真剣な表情の影は綺麗に消え、いつものオネエが

戻っていた。


「いいのよ。

貴女のことが気に入ったんですもの!

これ位どうってこと無いわよ♥」


「ありがとうございます!!!」


「…それとは別に聞きたい事があるのだけど?…いいかしら?」


ミスティーはひたすらにロディにお礼を言い続けるがロディは笑いながら

胸を張る。しかし、一通り話が終わったのかロディはまたもや真剣な表情に

戻るとミスティーにゲステウスに襲われた経緯を聞き始める。


「なんでしょうか?」


「その襲われた経緯を教えて欲しいの?」


ロディの質問にミスティーがマサツグと出会い、ゲステウス討伐までの説明をする。

その際、ミスティーの説明の最後に出てきたフィロネウスの名前に引っ掛かりを

覚えたのか、その後もずっとフィロネウスの名前を復唱する。


「なるほどねぇ…

魔王フィロネウスねぇ…」


その後、マサツグ達は今日はギルドの客室の止まる様に勧められるとギルドに

止まる。こうしてミスティーの初めての外交は成功に終わり、無事ポップリングスに

ギルドを建てる算段をに一日を終えるのであった。

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