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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編
-第二章二十五節 邪魔をする者達と獣人国の戦い-
しおりを挟む屋敷を飛び出て、門の前で待ち構えていたアンデットを一掃したレイヴンと
マサツグ達はポップリングから上がる黒煙に異変を感じ、急ぎ戻ろうと
道中を急ぐ。しかし、その行く手を遮る様に次々にモンスターが襲ってくるので
あった。
「グギャアガアアア!!!」
「この忙しい時に!!…
えぇい!!邪魔だぁぁーーーー!!!」
マサツグ達が森まで戻ってくるとまたゴブリン達がマサツグ達の前を遮る。それと
同時にバトルフィールドが生成され、ゴブリン達との戦闘が始める。マサツグが
エンカウントと同時に大剣を抜くと相手が身構えるより先に動いてゴブリン達を
一掃し始める。まるで今までマサツグが出る幕をシロとレイヴンに取られたのを
取り返すように。
「ダッシュ斬り!!!」
マサツグが放つダッシュ斬りは横薙ぎにゴブリン達を薙ぎ倒して行くが後から
またフィールド内に増援でゴブリンが沸いてくると更にマサツグが怒る。只でさえ
ゴブリンを群れで倒してもレア素材は出ないし、経験値も少ない。正真正銘邪魔で
しかないゴブリンの大群に殺意が芽生え始めると後方で魔法を唱えていたレイヴンが
マサツグに注意を促す。
「ッ!
キリが無いぜ!!」
「避けろ!
マサツグ!!」
「あン!?」
レイヴンの注意にマサツグが振り返り後方を確認するとレイヴンが屋敷前で放った
魔法を同じ様に唱え、巨岩を二つ精製する。それを見てマサツグの顔色が青ざめると
慌ててその場で横に飛び退き、射線を通すとレイヴンはあの時同様に巨大な岩を
ゴブリン達に向け放つ!
「…ガイアスマッシュ!!!」
__ドグオォォォォォォォンンンン!!!……
またもや、とんでもない衝撃音と衝撃でマサツグを驚かせるとマサツグは頭を抱えて
身を丸くする。そして衝撃と音が止み、レイヴンが放ったガイアスマッシュの後を
見るとそこには隕石が落下して来たのかと言わんばかりのクレーターと巨大な岩に
薙ぎ倒された木々が目の前に広がっていた。
「うわぁ…」
二回目のガイアスマッシュの威力を見てマサツグが絶句するとその光景に呆然と
する。一方レイヴンの方はと言うと屋敷を出てからこの規模の魔法を唱え続けて
いる事によるTPの消費が激しいのか、杖を突き息を切らす。それでも急がないと
いけないと分かっているのか、呆然とするマサツグに立ち上がり急ぐ様に
忠告する。
「…ぜぇ…ぜぇ…グッ!?…ッ!?……
…何ぼーっとしてんだ…
急ぐぞ!」
「あ…あぁ!
…でもその前にお前はこれを飲んでおけ!!」
ショックから立ち直ったマサツグが立ち上がり、アイテムポーチからTPを回復する
ポーションを2種類取り出すとレイヴンに渡し、飲む様に進める。レイヴンも
マサツグから渡されたポーションを受け取ると何処か聞き覚えのある歌を歌いながら
ポーションを飲み始める。
「…ぜぇ…サンキュー…」
__キュポンッ!…
「二十~四時間たったっか~えますか?っと…」
レイヴンがマサツグに手渡されたポーションを飲むとTPが回復し、更に徐々に回復
する速度を上げるリジェネ効果が付くとマサツグに手を上げ、お礼を言う。その礼に
マサツグも頷くとまた森の中を急いで駆け抜けようと足を動かし始める。その道中、
またもやマサツグ達の行く手を遮る様にモンスターが現れるがマサツグとシロが
先陣を切って出るとモンスターを倒していく。
「チッ!!
本当にしつこい!……
うおりゃあああ!!」
「ご主人様!!
シロも戦うです!!」
ゴブリンの様に団体で来る事は無いモンスターにホッとしながらも森の中を
駆け抜けていくとここで漸く平原に飛び出す。平原からポップリングスが目と鼻の
先で黒煙はポップリングスの至る所から立ち上る。そして町の中からは観光で来て
いた冒険者だろうか、剣撃音と衝撃音、更に冒険者達の掛け声が聞えてくる。
「…他の冒険者も戦っているようだな!…」
「これもイベントなのかそれとも……
どちらにしても中で戦っている冒険者は多分…突然の防衛戦に戸惑っている
んじゃないか?…」
マサツグとレイヴンが平原を横断する様にポップリングスに向け走っていると突如、
上空から黒い影がマサツグ達の頭上から降って来る!その影に気が付いたマサツグ達
が立ち止まり、上空を見上げるとその黒い影は気付かれた事を察知してか急旋回し、
マサツグ達の前に姿を現す!
「ココカラ先ハ行カセン!」
「ゲステウス様ノ命ニヨリ貴様達ヲ排除スル!!」
そこには某すぐパンツ一丁になる騎士が主人公のゲームに出てくる赤い悪魔に似た
灰色の悪魔が宙に浮き、マサツグ達の前を遮る。そして、マサツグ達に排除すると
宣言すると今度は真っ直ぐにマサツグとレイヴンに向ってくる!しかし、マサツグと
レイヴンはその突進を回避してみせると反撃を試みる。
「死ヌガ良イ!!」
「おっと!!…そう簡単に死ねるかよ!!」
マサツグが横に回避したと同時に大剣を抜き、悪魔に斬り掛かるが悪魔は空中で
くるっと旋回してみせるとマサツグの攻撃を回避してみせる。レイヴンの方は
悪魔の攻撃を回避するので精一杯なのか、反撃出来ずに回避に徹する。
「クハハハハ!!
防戦一方ダナ!!魔術師!!」
「クソッ!!
魔法を唱える隙が無い!!」
レイヴンが悪魔に翻弄され攻撃出来ずに只ジワジワと追い詰められ始める。しかし、
ここでシロが機転を利かしてか、レイヴンを襲う悪魔の右頬にレスラーさながらの
両足揃えた飛び蹴りを入れると状況が変わる。
「とうっ!!」
__バキィッ!!
「グハァ!!」
シロに蹴られ態勢を崩した悪魔は地面に落ちると勢いそのまま地面を転がる。そこを
シロが追い討ちを入れる様に飛び掛るが悪魔は咄嗟に回避をしてみせる。しかし回避
した方向が悪いのか、そこには大剣を構えたマサツグがシロの逃がした悪魔目掛けて
大剣を振り下ろしていた。
「いらっしゃいませ!!!」
「シマ!…」
__ズバンッ!!…
「ウオ!
キサマァ!」
マサツグの攻撃は悪魔を捕らえ、斜めに斬って落とすと悪魔を消滅させる。それを
見ていたもう一体が後ろからマサツグを襲うが気付いていたマサツグは後ろから
向って来る悪魔に動じる事無く、大剣を構えると不適に笑って見せる。
「余所見とは随分余裕だな…
今お前はたった一人なんだぞ?」
マサツグが襲い掛かって来た悪魔の攻撃を大剣でガードして見せると悪魔の体勢を
崩す様に頭突きを悪魔の頭目掛けて打ち込み、怯ませる。マサツグの頭突きをまとも
に貰った悪魔が思わず後ろに後退りするとそこには既に攻撃態勢を整えたシロの姿が
あった。
「…これでおわりです!!」
「来い!!シロ!!」
「疾風爪!!」
シロの腕に爪の鋭い獣の前足のような緑色のオーラが出現するとその腕で悪魔を
切り裂きに掛かる!悪魔はマサツグの頭突きで回避出来ずシロの疾風爪で賽の目切り
にされるとその場に崩れ、消滅する。その際、悪魔を賽の目状に切った時に返り血が
噴き出たのだがシロはその血を一滴も浴びる事無く始末していた。
「ご~しゅ~じ~ん~さ~ま~!!」
そして、悪魔に斬り掛かる際に勢い良く飛び出した為、そのままマサツグに向って
飛んで行く。マサツグもそれを予期してか大剣を仕舞うとゲステウスの屋敷・地下
ワインセラーで見せた様にバックステップを入れてシロを受け止めるとシロの頭を
撫でて褒める。
「ナイス!
シロ!」
「えへへ♪…急ぎましょう!
ご主人様!!」
マサツグがシロを抱えたままポップリングスに向い走り始めるとその後をレイヴンが
シロを降ろさないのかとマサツグに疑問を持ちながら追いかける。そうして、
ポップリングスに戻って来るまでに色々な妨害を受けるも漸くの思いでゲート前に
辿り着くと既に衛兵達と観光で来ていた冒険者達が町で暴れるモンスター達と戦闘を
繰り広げていた。ゲート近くには簡易キャンプが設けられ中には負傷者と僧侶で
一杯になっていた。
「ヒール!!」
僧侶がヒールを唱えると緑の光のエフェクトが表示され、負傷していた箇所が治癒
される。そうしてキャンプ内にはポップリングスの医者と冒険者の僧侶で何とか
回復を急がせるも戦闘は過激になっているのか後から増えてやって来る。
「すまない!!
負傷者追加だ!…
市街地方面は地獄絵図だぞ!?…」
「もう!!これじゃあTPが持たないよ!!
私の他の僧侶もTP切れで動けないし…
かなり不味いよ!!」
簡易キャンプ内で僧侶が愚痴るもその間に負傷者が後からやって来る。そして、
動機が不純ながらも懸命に戦う声も当たりから聞える。
「ワイがこのケモ耳っ子達を護るんやーーー!!」
「ケモ耳王国は落とさせん!!落とさせんぞーーー!!」
「クソッ!!
他のクランメンバーはまだ来ないのか!?
今こそ「可愛いもの愛護協会」の真価が問われる時だというのに!!」
思い思いに戦う光景にマサツグ達も急ぎ戦線に加わろうとしたその時、目の前に
モンスターに囲まれ動けなくなっている衛兵長の姿を見つける。衛兵長の周りには
先ほど見た灰色の悪魔が四体が取り囲む様に身構え、徐々に徐々に追い詰め始めて
いた。
「クッ!!…
なかなかに手強い!…」
「ッ!?
先に衛兵長の救援!行くぞ!!」
「おう!!」
「はいです!!」
マサツグとシロが悪魔達に気付かれるより先に攻撃を仕掛け、二体を葬り去ると
レイヴンが後方から魔法を唱えて更に一体を倒してみせる。そして、残り一体に
なった所で悪魔が形勢逆転された事に驚いていると後ろから衛兵長が最後の一体
を始末し、衛兵長を助ける事に成功する。
「おい!
大丈夫か!!」
「マサツグ殿!!
お助け頂き感謝します!!この恩はいずれ…」
「それよりも戦況は!?」
衛兵長は敬礼をしてみせるとマサツグに戦況を伝え始める。その内容はマサツグが
痕跡を追う際に危険視していた通りの展開になり、マサツグは自身の甘さに落胆
する。
「今現在、ゲステウス率いる魔物の軍と交戦中です!!
町の方の民間人は避難をさせ始めましたが敵に進行が思いの他早く…
逃げ遅れた人たちが数十名。民間人を先導していた兵士達が護るように篭城を
していますが、長くは持たないと…
更に先行の部隊が何処から来たのかまだ分かっていません!…」
「…わかった!!
俺達が行こう!…」
現状の悪さに衛兵長がマサツグに現状を説明する途中に俯き悔しそうな表情を
見せる。そして、状況を聞いたマサツグがその篭城している衛兵、民間人の
救援に向おうとすると突如慌てた様子の衛兵が衛兵長の所に走ってくると
更に状況が悪くなった報告をし始める!
「で…伝令!!
王宮に謎のオーラを纏ったゲステウスが出現!!
王宮がゲステウス一人に占領されました!!!」
その場に居た衛兵及び冒険者が驚きどよめくと顔色を悪くし、如何するかを
考え始める。中には勝てないと見込んだのかその場から周りに見られない様に
逃げ出す冒険者まで現れる。そして、衛兵長は報告をしてきた衛兵に理由を
怒鳴りながら尋ねると衛兵から驚く報告を受ける。
「バカな!!
王宮の兵は何をしていた!!」
「そ…それがゲステウスが怪しげな魔法を使い…
その場の兵士を寝返らせられました!!
現段階では王宮の兵は完全に機能せず、王宮は落ちたかと…」
「女王陛下と姫は!?
ご無事なのか!?」
「…現在…不明です!!……」
「そ…そんな馬鹿な!?……」
衛兵の報告を受けた衛兵長が頭を手で押さえ、絶望の表情を見せる中、マサツグが
どうやって一介の宰相がこのような力を手に入れたのか、疑問を感じると同時に
どうやってこの状況を打開するか、突破出来るかを考え始めると隣でレイヴンが
獣人の能力の説明をし始める。それはレイヴンもマサツグの突拍子も無い打開策に
賭けての説明か、ただマサツグに聞える様に話し始める。
「獣人族は身体能力が高い変わりに魔法面には弱い種族だからな…
実際、この国に来た時魔術師の獣人はいなかったし、
大体が、狩人・戦士・剣士・盗賊といった感じだ…
余計に魔法に耐性がないのも分かる…」
マサツグが顎に手を当て悩む姿をレイヴンとシロが黙って見つめる。その間に
衛兵長が地面に膝を着き、現状の悪さにただ苦悩する。辺りには他の衛兵達が
集まり始め、次に指示を待つが衛兵長も如何指示を出したものかと只悩む。
「クッ!!
このままではこの国が落ちてしまう…!!
我々の祖国…我々の故郷が!!……
どうすれば…!!」
そうしてその場にいる衛兵及び報告を聞いた冒険者達が悩んでいるとここで
マサツグが何かを閃いたのかある事をレイヴンに相談し始める。レイヴンも
マサツグの相談を聞くのだが内容を聞いた途端、レイヴンも内容を理解すると
マサツグに逆に出来るのかと尋ねる。
「なぁ、レイヴン…
シロと一緒に取り残された人達を救助できるか?」
「その道中のモンスターがうっとおしいけどシロちゃんとならいけると思う…
この子は下手するとマサツグより動くから…
それは良いけど、ヤブはやれるのか?」
レイヴンのこの質問に顎に手を当て唸って見せると次には苦笑いをしてレイヴンに
答える。その様子にレイヴンとシロが心配そうに見つめるもマサツグの目は
刺し違えたり、死ぬ気の人の目をしていない。それどころかやる気に満ちていた。
「どうだろうな…
出たとこ勝負だな…」
このマサツグの目を見たレイヴンが溜め息を吐くとマサツグの賭けに乗り始める。
そして話を一緒に聞いていたシロも頷いて見せる。マサツグに死なない様にと
言うとレイヴンの指示を待つ。
「…はぁ~…わかった。
出来るだけこっちも早く終わらせるようやってみる。
死ぬなよ!…」
「分かってる!
シロ!話の通りだ。
頼めるか!」
「了解です!
ご主人様!
絶対に皆を助けて生きて帰ってきてくださいね!!」
「安心しろ!
やられる気はサラサラ無い!!
絶対に助け出してみせる!!」
シロの最後の一言にマサツグが笑って見せるとシロに約束をする。ここまでの会話を
衛兵長も聞いていたのか漸く俯いた状態から立ち直って見せると今出来る事を考え
始める。そしてマサツグはレイヴンとシロに助けて帰って来る約束をすると王宮に
向かい始めるのであった。
「じゃ、こっちもチャッチャと終わらせますか!
シロちゃん頼んだよ!!」
「はいです!!」
レイヴンはシロに挨拶をし、マサツグに頼まれた事をやろうと動き出す。その際、
最初のシロに対しての恐怖心は無くなり、普通に接していた。そしてレイヴンは
ある事を確認する為に衛兵長を呼ぶ。
「衛兵長!!
今動ける残りの兵を教えてくれ!」
「は!
残存兵は4300人位かと!」
「じゃあ、モンスターの侵入口を潰したら後は殲滅できるか!」
「ハッ!!可能です!
…しかし、侵入口を塞ぐにも敵が何処から来ているのかは未だ…」
衛兵長から残りの衛兵の数を聞くと町にいるモンスターを殲滅出来るかどうかを
尋ねる。衛兵長はその問い掛けに答えるとモンスターの侵入口がまだ何処にあるか
分かっていない事を伝えるがレイヴンは何故か自信有り気に衛兵長に答える。
「それに関しては心当たりがある!!
俺達に任せてモンスターの駆逐に当たってくれ!」
「ハッ!!
必ずややり遂げて見せます!!」
「よく言った!
侵入口は俺達が潰すから残りの奴らは任せたぞ!」
「了解であります!!」
レイヴンの答えに衛兵長も何をするかの考えが纏まったのか、レイヴンに敬礼をして
返事をするとレイヴンも同じ様に敬礼をして衛兵長にモンスターの殲滅を任せる。
そしてこの一連のやり取りを傍から見ていた他の冒険者も覚悟が決まったのか、
もう一度各々が気を入れ直す動作を取るとモンスターの大群に立ち向かって行く。
「…まだ頑張っている奴だっているんだ!!…
俺達が逃げたらそいつ等が可哀想だ!!…」
「私だって…まだTPは残っている!…
最後の一メモリまで魔法をあいつ等に叩き込んでやる!!」
「同志が来ないのなら…俺が一人で覆すだけ!!
ここから…俺のロードが始まるぜ!!」
そして、レイヴンから指示を受けた衛兵長は他の衛兵に集まる様伝令を出すと
衛兵達は直ぐに衛兵長の下に集まり指示を待つ。そして、戦闘を行っている衛兵以外
の全員が集まったところで衛兵長が号令をかける!
「皆聞けぃ!
残りの民間人を守りつつ敵を殲滅しろ!!
ポップリングスの兵士の底力、今こそ見せる時ぞ!!!
これより…狂戦士の血の発動を許可する!!!」
「オオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
衛兵長の号令に衛兵達が掛け声を高らかに上げると突如衛兵達の姿が変貌し始める。
先ほどまでは人に近い姿をしていたのが各々の元となる動物の姿に近くなり、
ある者は象にまたある者はジャッカル、姿を変えてはその場で唸り始め、号令の合図
を待つ。
「ヴヴヴヴヴヴヴ!!!…」
「グルルルルル!!!…」
そして衛兵長も姿を黒色の大きな狼に姿を変えると唸り始め、スッと立ち上がり腕を
上に挙げる。そしてその行動をまるで見ているかのように衛兵達がピタッと唸るのを
止め、ジッと何かを待っていると衛兵長が上げていた手を前に突き出した途端、
衛兵長が号令をかける!
「掛かれぇぇぇぇぇぇ!!!」
「オオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
号令が掛けられたと同時に衛兵達が一斉にモンスターの大群に立ち向かって行く。
その様子はまるで動物園の動物達が一斉に脱走し、獲物に襲い掛かるような光景。
その様子にレイヴンが初めて見た様に呟くとシロがレイヴンに質問をする。
「これが獣人族の固有スキルか…」
「レイヴンさん!
あれは!?」
「あぁ、あれは獣人族の固有スキル[狂獣人化]。
あの状態になると攻撃力と素早さが段違いに上がるんだよ。
ただし、長時間使用すると自我を失う可能性が有るけどね。」
レイヴンがシロに固有スキルの説明をするとシロはほぇ~とした顔で理解するのに
時間が掛かっているとレイヴンの元に黒い大きな狼に変化した衛兵長が近づいて
来る。その姿は特殊で二足歩行の狼が衛兵の服を着ていると言う何とも形容し難い姿
で更にシロに補足説明をする。
「しかし、我が国に兵士はあれを長時間使っても自我を失いません!
何故なら、内に秘めたもう一人の自分に打ち勝った者達だからです!!
その辺の説明をしたいのですが何分時間が無いゆえ…
それでは私も参戦しますので…
御免!!」
そう言うと颯爽とレイヴン達を追い越し、他の衛兵達と共にモンスター達を次々に
駆逐して行く。その姿に最初から何故そうしなかったのだろうとシロが疑問を持つが
レイヴンの一言に何故か納得してしまう。
「そう言う設定なんだろな…
…おっと!
こっちも急がないと行くよ!!」
「は…はいです!!」
レイヴンの一言にシロが慌てて返事をするとレイヴンとシロはまず篭城をしている
人達を助けに向かい始める。これがレイヴンとシロの初めての共同戦闘になるのだが
レイヴンはもはやシロに対しての恐怖心は消えて、一人の戦友としてみていたのを
己自身では気付いていないのであった。
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