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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編
-第二章十六節 ゲステウス邸潜入後編と元メイドさん-
しおりを挟む二階の書斎本棚からゲステウス邸の見取り図を手に入れたマサツグが一階倉庫に
向う途中、何やら屋敷内が騒がしくなる。マサツグが何事かと二階で様子を
伺っていると兵士達が一階を慌しく駆け回っていた。
「おい!見つかったか!?」
「いや、ここには無い!!
別の所じゃないのか!?」
「分かった!!
じゃあ、俺は二階を調べる!!」
{やっべ……
何か見つかる様なヘマしたかな?…}
マサツグが一階に下りる階段の柱の影で様子を伺っていると兵士の一人が階段を
駆け上がり、マサツグに近づいてくる。そして更に状況が悪い事に階段を上った
先には大きな窓が有り、そこから差し込む月夜の明かりで照らし出され幻影の
コートの能力が無くなる。刻一刻と上ってくる兵士にマサツグが焦りながらも
如何攻略したものかと考えるとここである事を思い出す。
{そう言えば確かこのコートにはもう一つ効果が有ったよな?…
確か…その効果は歩く足音すら聞えなくなるほど…だったか?…
これってもしかして消音効果があるって事か?…}
マサツグがコートの効果で考えていると兵士がもう階段を上り切り、マサツグの居る
柱の影の方に向かおうとしていた。
{やっば!もうグダグダ考えている暇はねぇな!!……
…行くぜ……I,amバードゥ!!……}
考えている暇が無いと感じたマサツグはコートに書いてあった説明文を信じて二階
メインホールの手すりを飛び越え、一階のメインホールに飛び降りる。その際、
コートはバサバサと揺れ動き、音をたてている様に見えるが、やはり消音効果が
付いているのか周りに音で気付かれる事無く、無事に一階に下りる。が、着地の際に
ゴロンと余計な一回転をしてしまうのだが、コートの能力は高いのかやはり音が
たつ事は無く、直ぐ近くに居た兵士ですら気付かずに別の所に駆け出していく。
「俺はあっちを探す!!
見つけたら報告しろ!!」
{あっっっっぶねぇーーーー!!!……
このコート様様だぜ……
…さぁて、倉庫に向いますか…}
マサツグが兵士に気付かれなかった事に安堵し一旦心を静めると改めて物陰に隠れ
ながら左通路の一番奥の倉庫に向う。その際、兵士と何度かすれ違うがやはり気付か
れず、コートの性能に感謝しているとここでトラブルが発生する。それは倉庫の前で
兵士が二人立っている事であった。兵士達はまるで誰も通さない様に門番をし、
マサツグの邪魔をする。
「クソ~…面倒事を起こしやがって、誰だよ…
脱走したって……
それに何で毎回騒動が起きると倉庫の番をさせられなくちゃなんないんだよ…」
「ンナもん知るかよ……
ゲステウス様の命令じゃ護るしかないだろ?……
それにまだここの立っているだけで良いなら良いじゃないか…
あんな風に走り回されて何も無かったらくたびれるだけじゃないか…」
「まぁ…それもそうだな……」
{それはこっちのセリフだ!!……
邪魔なんだよ!!お前らが!…とは言ったものの目の前でしゃがんでいるのに
気付かないこいつ等も相当だと思うがな……}
本来なら見える位置に居るマサツグにも気付かず愚痴を零している兵士であるが
今のマサツグには至極邪魔でしかない。かといって見つかる訳にも行かず、
また考えさせられているとここで別の兵士が何かを見つけたのか笛を吹き、
他の兵士達を警戒をさせる。
__ピピィーーーーー!!!
「おい、今の笛って!……」
「何かあったんだな!…
おい、行って見ないか?」
この門番Bの一言にもう一人の門番Aが慌てて相方の考えを否定する。しかし、
門番Bは倉庫に来る奴は居ないと門番Aを言い包め、何かを見つけた兵士の所に
行こうとする。
「何を言ってんだよ!!
ここが俺らの持ち場で!……」
「もし泥棒ならこんな何も無い倉庫に行きたがる奴は居ないだろ?
それに倉庫なんかより目の前のコレクションルームの方がよっぽど値打ちもんが
転がってんだろ?」
「そ…それはそうだけどよ……」
もう少しで折れると感じたのか門番Bは門番Aを更に言い包め、現場に向おうと
する。しかし門番Aはやはりゲステウスの命令を全うするのか門番Bだけを行かせて
自分は番をすると答えるのであった。
「…いいや、やっぱここで見張ってるよ…
お前だけで行って来いよ…」
「チッ!!何だよ!ノリ悪いな……じゃあ、ちょっと見てくるから頼むな。」
そう言うと門番Bは相方を残して現場に足早に向う。残った方の門番Aは倉庫の
扉の前に一人立つと倉庫の番をし始める。しかし、マサツグはこれをチャンスと
思い、静かに近寄るとネムリテングダケの粉末を門番に嗅がせる。すると瞬く間
に崩れ落ち、その場に倒れるとバタッと倒れる。
{ふぅ…何とかなったな……これも職務怠慢兵士のお陰だ……
さて…この兵士は倉庫のどこかに転がして、倉庫の中に入りますか…}
眠りこけている兵士をマサツグが抱えると倉庫の中に入る。倉庫の中はやはり掃除
用具や使われていない家具などで溢れており。埃っぽい。そんな中マサツグはまず
抱えて入った兵士をたまたま目に入ったタンスの中に押し込むと倉庫の壁を入念に
調べ始める。端から端まで調べていると丁度裏板の無い棚の隠れる様にポッコリと
一つだけ浮いている石壁を見つける。
「これ…ぽいよな…
…ぽちっとな。」
__ゴゴゴ…ガコンッ!!
マサツグが浮いていた石壁を押し込むとガコンと音がし、突如棚ごと奥の方に
扉が如く重々しく開くと目の前に地下に続く階段現れる。そして、次々に
壁に仕掛けてあったランプに火が着くとそのランプは階段と同じ様に地下に続く。
「見つけたのは見つけたけど……
不気味だな……まぁ大抵、何かを隠すなら地下室で秘密の部屋だよな…」
マサツグが恐る恐るその地下への階段を降りていくと何処かに空洞があるのか、
洞窟内を風が通る音が聞えてくる。そんな音にマサツグが警戒しながらも階段を下に
降りていくと徐々にまた違う部屋の明かりが見え始める。マサツグが覗き込む様に
チラッと部屋の中を確認するがそこにあったのはワインセラーなのかワインを保管
する棚がずらっと並んだ部屋であった。
「…ワインセラー?……でも、わざわざあんな隠し扉で隠すか?……
なぁ~んか怪しいなぁ……」
マサツグがワインセラーの中に入ると辺りのワインや棚を調べ始める。しかし、
これと言った違和感を見つける事無く、マサツグが自身の感が外れたのかと考える。
それでも一応と感知を使った瞬間ミニマップに新たな反応とマサツグの視界にも
反応される。
「でもまぁ…一応…感知!……って、うわあぁ!!
…え?…何だこれ?…」
今まではミニマップに表示だったのが今度は自身の目で反応が見れる様になった事に
驚くと辺りを見て回る。すると、ここが地下だからだろうか天井の方を見ると兵士が
走り回っていたり、先ほどタンスに突っ込んだ兵士などの反応が見て取れる。まるで
、某暗殺者ゲームの能力を手に入れた様に自身の目に反応が見え、辺りをグルグルと
見ていると最初に反応を見た所より更に下に人の反応を感じ取る。
「…誰かが倒れてる?…ともかくあそこを調べてみん事には先に進まんな……」
マサツグが最初に反応があった所を確認するとそこには先ほどまで見たのと同じ様に
棚にワインが並んでいた。マサツグがその棚のワインを調べてみるとある違和感を
感じ取る。先ほど調べた時は気にならなかったがその棚のワインは赤ワインで統一し
並べられて居るのに対し真ん中一本だけが白ワインと不自然に置かれていたのだ。
{…何でここだけ白ワインのボトル?確かに上の段や下の段は疎らに置かれて
有るけど……というかここだけこんな統一して更に違うとかそっちの方が
おかしいか……}
マサツグが無言でそのワインを引き抜こうとするが抜けない。それどころかワイン
が棚を持ち上げ、ミシミシと音を立て始める。その事にマサツグが怪しく思っている
とここである事を思いつく。
「…なるほど。
引いても上げても駄目なら、押してみなってことか…」
__ガチャンッ!!……
マサツグがその不自然なワインボトルを押し込むとまるで鍵が開いた様な音がなり、
棚から埃が舞い散るとこれまた扉の様に棚が開く。そして目の前にはまた同じ様に
地下に続く階段が目の前に現れるのであった。
「よほど地下が好きなのか?……まぁ、ネズミだったしな……
但し、あれが本人なのかは各章は持てんが……」
マサツグが目の前に現れた階段をまた下りて行くとまた壁のランプが仕掛けに連動
してか足元を照らす。そのギミックを見てマサツグが興味を持ちながら降りている
と突如辺りを血の臭いが襲う。マサツグが思わず鼻を押さえて先に進むと先ほど
までは何事も無かった階段までが徐々に赤黒いシミで汚れ、しっかり歩かないと
足を滑らせそうなヌルヌル感まで出始める。それでも地下に下りて行くとワイン
セラーの時同様に部屋から光が漏れ出していた。
「感知を使った時は倒れている人の反応しか感じなかったけど…」
__チラッ
マサツグが階段を降り切り、辿り着いた部屋を警戒しながら覗き込むとそこには
磔台・拘束具・檻、机の上にはムチや針と言った拷問用具が置いてある、何処を
どう見ても拷問部屋にしか見えない部屋に辿り着く。床や壁は被害者の血か、
赤黒い模様で飾られ、その異様さが物語っていると同時にゲステウスの異常さも
物語っていた。
「…何だよこれ?……
さすがにこれはR-18指定もんの光景だぞ……」
__ユラ~ッ…
「ひぃッ!」
そうして、マサツグがその拷問部屋に入ると檻の中に入れられていた人だろうか
マサツグの影を見て、恐怖の混じった声で悲鳴を上げる声が聞えてくる。マサツグが
声のする方を見ると檻の中に17、8才位の女の子が布切れ一枚で辛うじて局部を
見せない姿で閉じ込められていた。そしてその体はボロボロに傷つけられており、
傷も癒えていないのか赤黒く腫れ上がり、更に所々から出血が見られる。
「い…イヤ!……イヤ!!…
こ…来ないで!!」
檻の中の女の子は完全にマサツグがゲステウスかそれとも別の何かに見えているのか
完全に怯えきり、逃げ場の無い檻の中で更に後ろに逃げようと後退りをする。
しかし、思う様に腕も足も動かないのか何度もズルっと手を滑らせ足を滑らせで後ろ
に進まない。それを見てマサツグが宥めようと近づくも更に悲鳴を上げて、
怯えだす。
「イヤアアァァァ!!
近づかないで!!…痛いのもういやぁ!!……」
「あ~っと如何したものか?……」
助け様にもこれだけ叫ばれては助け様が無く、更に檻から解放しても何を仕出かすか
分からない。ゲステウスの屋敷に来て何度目かの熟考に入るとマサツグが有る事に
気が付く。それは相手が獣人だという事、幸い耳を見た限りでは柴犬の様な三角耳、
マサツグが着ていたコートを脱ぐと両腕を開いて見せた後、その少女にミスティー
の話をする。
「これを見てくれ?…どう思う?」
「ひっ!!な…何が!?」
{まぁ、そう言う反応が返ってくるよな……
そんな事より……}
「…みすてぃ…じゃなかった、ミスティアナ姫を知っているかい?」
マサツグがミスティーの話をすると先ほどまで怯えていた少女がハッとした顔を
するとマサツグの事を警戒しながらジリジリと檻の出口に近づいてくる。そして、
マサツグが本当に丸腰だと言う事を確認すると漸く落ち着きを取り戻し、マサツグ
に痛い事をしないかと尋ね始める。
「……痛い事しない?
ムチで叩いたり、針を刺したり、刃物で切ったりしない?……」
「ッ!?…アイツそんな!ってここに来るまでにアイツの異常さは確認したか。
しないよ。それより、ちょっと扉から離れててくれ。
その檻の鍵壊すから。」
そう言うとマサツグは机に上にある針を二本取ると檻の鍵をこじ開け始める。
「ひっ!!」
「だいじょ~ぶだよ~。
後ちょっとで自由になれる…か…らっと!!…」
__カチャッ!!ぎぃ~~…
その際、マサツグが針を手に持つと反射条件で中の女の子が声を上げて怯える、
それをマサツグはまるでシロをあやす様に声を掛けながら檻の鍵をこじ開ける
のであった。そしてマサツグが檻の中で怯えていた少女を優しく抱きしめると
頭を撫でて安心させると何処に居たのかを尋ねる。
「お~!よしよし、よしよし!
大丈夫かい?
君は何処で捕まったんだい?ここで一体何があったんだ?」
マサツグに撫でられ更に警戒が解けたのかマサツグの腕の中で小刻みに震えながら
マサツグに質問に答える。しかしそれは余程痛い目に会ったのか、マサツグの質問
に答えるも震えがまた強くなり始める。
「も…元々私は女王陛下付きのメイドで……
ゲステウスが何やら誰かと密談しているのを偶然聞いてしまい……
それがバレて捕まるとここに連れてこられて痛いことを!!…」
「お、おぉ!!よしよし、よしよし!
大丈夫!もう大丈夫!!
後はおじさんに任せなさい!……」
またもやトラウマになった出来事を思い出したのか震え始めるのをマサツグが
抱きしめ、頭を撫でるとまた落ち着き始める。そして、マサツグがその元メイドさん
を抱きしめて初めて分かった事にろくに食べ物を食べさせられていないのかその体は
やせ細り、衰弱していた。まだ肋骨が浮き出るほどでは無いにしろ、余りの姿に
マサツグに怒りが込み上がる。そうして、落ち着きを取り戻した元メイドさんを一旦
離すと先ほど針を二本取った机に上に気になる書類があったのに気が付き、書類を
回収しようと机に向う。すると、突然後ろから元メイドさんがマサツグに張り付く。
「うおあぁ!!っとな…何だ!?」
「お…お願い……痛いのや!……
イヤ!!……」
{相当なトラウマだな……机に近づいただけでこれか……
…よし!…}
マサツグが元メイドさんの頭を撫でると書類だけを回収し、更に縄を取るとマサツグ
は自身の体に縛り付ける様に元メイドさんを縛る。
「イヤ!!イヤアアアア!!!」
「メイドさん!!!」
勿論、元メイドさんは錯乱を始めるがマサツグが縛り終えるとすぐさま抱きしめ、
元メイドさんを安心させようとする。その際、メイドさんはマサツグの体に張り付け
にされ、只困惑するがマサツグは抱きしめながら元メイドさんの耳元である事を
囁き始める。
「メイドさん…怖かったら俺をぎゅっと抱きしめなさい…
そうすれば怖さも無くなるし、安心できるから……」
「…え?」
元メイドさんがマサツグの言葉に困惑するもマサツグには何故かそれが出来る自信が
あった。それは、シロを相手に、はたまたミスティーを相手に更にブティックの人妻
羊を相手にそれが出来たと言う確固たる自信があったからであった。そして、
元メイドさんもマサツグの言う事を試す様にギュッと抱きしめると今までの不安が
溶けていく様に無くなる感覚に驚く。
{え…な…何…これ?…まるでお父さんに抱っこして貰っているみたい……
…懐かしい……}
元メイドさんがマサツグに張り付いている時にマサツグはさっき回収した書類の中身
を確認する。そこには今までにやって来た事であろう誘拐の指令書に他の犯罪の証拠
の内容が書かれていた。それを確認するとマサツグはインベントリに仕舞うと
一人頷き、元メイドさんにしっかり捕まる様に伝える。
「これで証拠はよし!
さあ、脱出するからしっかり捕まっててくれよ。
あっ!後これも使えそうだから貰っとくか…」
そう言うとマサツグは拷問用に使われていた針をゴソッと貰っていくと元メイドさんを
抱えたまま幻影コートを着る。その際少し元メイドさんがはみ出るもマサツグは構わず
元来た道を戻り始める。その道中、兵士に見つかりそうになると針を適当な柱に
投げつけ、注意を引き付けるとゲステウスの屋敷から脱出する。……脱出に成功するが
ここでマサツグがある事に頭を悩ませる。それは、元メイドさんの事であった。
「…さすがに獄中に元メイドさんを連れて戻る訳には行かないしな……
如何したものか……」
幾ら、ゲステウスに攫われていたとは言えそのまま女王陛下の所に返すとまた
捕まりかねない、かと言ってこの国にまだそんな面倒事を頼れる人など……
と考えているとここで有る人物が頭の中に出てくる。それはブティックの羊さん
であった。
「そうか!あの人なら!!
多分匿って貰える!」
「…え?」
マサツグに蟹バサミで張り付く元メイドさんが不安そうに聞き返すとマサツグが
頭を撫でながら羊のブティックがある方に歩いて行く。町の中は真夜中なのか
とても暗く静寂に包まれ何処を見渡してもマサツグ達しか居ない。しかし、
この時のマサツグは何処からか視線を感じ、辺りを見渡すが何も無い。
{この感覚ってホルンズダンジョンに居た時と一緒だ……
けど、何処にもそれらしいに居ないし……やっぱり、気のせいなのか?……}
そんな事を考えながら歩いていると羊のブティックに辿り着く。そして、近所迷惑と
思いつつもブティックの裏にある居住区を見つけると扉を叩き、羊の店員さんを
呼ぶ。
「夜分すいませ~ん!
羊の店員さ~ん!!」
マサツグが扉を叩き、呼んでいると暫くして二階の電気が点くとぱたぱたと階段
から人が降りてくる音が聞えてくる。そして玄関の明かりが点き、扉が開くと
そこには眠い目を擦りながら出迎える羊の店員さんが出てくる。
「もぅ~こんな時間にだぁ~れ?
…って人間さん?どうしたのぉ~?
そんなおっきなお腹してぇ~?」
「今は訳はまだ言えないけどとりあえずこの子を匿って欲しい!」
__バッ!!
「きゃああああ!!」
マサツグがコートを開いて自身の腹を見せると羊のお姉さんが慌てるもそこに
元メイドさんが蟹バサミで捕まっていると分かると呆気に取られる。元メイドさんも
何が何だかと言った表情で羊の店員さんを見つめる。しかし、羊のお姉さんはその
元メイドさんの姿を見て、何かを察するとマサツグの頼みを受け入れる。
「…なんだか分からないけどぉ~…
後でちゃんと説明するんだよぉ!~」
「…感謝する!!」
一歩間違えれば変質者扱いだがそれでも分かってくれた店員さんに感謝しながら
そう言うとマサツグは元メイドさんを縛っていた縄を切り、解放すると羊のお姉さん
にその身を任せると自分は元に牢屋に戻ろうとする。その際、元メイドさんが
マサツグから離れるのを抵抗するが羊のお姉さんが抱きしめると落ち着いたのか、
漸く離れるのであった。そうして、マサツグが牢屋に戻り次の日、朝から看守が
マサツグの所に来ると明日は裁判の日と伝える。
「囚人マサツグ!明日はお前の裁判の日だ!
今の内に懺悔でもする事だな!!」
{明日、か…
じゃあ明日、ゲステウスを吊るし上げる為の証拠の整理でもするか…}
そうして、その日はずっとゲステウスの屋敷で手に入れた証拠と睨めっこをしている
と看守からゲステウス邸に侵入者が現れたと言う話を聞く。その事にマサツグが
吹き出しそうになりながらも整理をするのであった。
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