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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編
-第二章十五節 狂気の羊さんとゲステウス邸潜入前編-
しおりを挟む嫌そうな表情でマサツグに一歩また一歩とゆっくり歩いて来るとその度に店員さんの
首が左右に揺れる。それはもはやホラーに見え、マサツグが次第に後ろに後退りし
始める。そしてマサツグがブティックの壁側まで押しやられると店員さんはゆっくり
マサツグの顔を覗きこみ、質問をする。
「……お客さんもあの下種野朗の仲間か部下なのかなぁ~?……」
「…はっ…はっ…
な…何で?」
「質問に質問で返さなぁ~い…
如何なのかなぁ~?」
後ろには壁がありこれ以上下がる事が出来ず、左右も壁際まで追いやられた際に
両手で壁ドンされ完全に逃げ場を失う。マサツグがこの国に来てもされるとは
思って居なかったので完全に思考が止まり、身動き一つ取れなくなる。店員さんは
マサツグより身長が低く、150cm位で意外とボイン。俗に言うロリ巨乳という奴
だろうが、その幼顔からは想像出来ない位の狂気に満ちた眼をしていた。
「で、如何なのかなぁ~?……」
「ち…違うけど?
寧ろ今からちょっとばかしお邪魔しようかなって思っていたところだったけど?…」
マサツグも店員さんの威圧でおかしな口調になるがマサツグが何故、ゲステウスの
家にお邪魔しようかと思ったのかが気になったのか、更にマサツグに詰め寄る様に
顔を近づけ、質問をしてくる。
「…ふぅ~~~ん……
じゃあ、何でお邪魔しようとしたのかなぁ~?」
この質問にマサツグが漸く落ち着きを取り戻し、冷静になると店員さんの目を見て、
答え始める。その際、マサツグは軽く溜め息を吐くと頭の中で言葉を選びながら
誤解の無い様に答える。
「……ふぅ……
それはアイツのせいで覚えの無い罪を掛けられて、更に他に冤罪で捕まっている
奴らの解放…後はゲステウス自身を地獄に叩き込む為かな。
その為にアイツの家に忍び込んで色々と証拠を手に入れようと考えた訳です、
はい。」
そう店員さんに答えるとホラーじみた店員さんが徐々に元に戻り始め、マサツグから
離れ始める。そして俯きながら溜め息を吐くと顔をあげ、マサツグに笑ってみせる。
その表情からは先ほどのような狂気は無くなっていた。
「…ふうぅ~……
いやぁ~ごめんなさいねぇ~!!
その名前を聞くとどうもさっきみたいに殺気立っちゃってぇ~。」
「…怖かったぁ~」
マサツグが胸を押さえながらそう漏らすと店員さんがマサツグの心配に入る。
そして、何故ゲステウスの名前を聞いた途端、あんなにも豹変したのかを
マサツグに答え始める。
「…実はねぇ、私の旦那様も謂れの無い罪で牢屋に入れられているのよぉ~
たまたまうちに来たゲステウスが私の事を気に入ったのかセクハラをして来たの
よぉ~。旦那様が直ぐに気が付いてゲステウスを追い払ったんだけどねぇ~…
次の日衛兵が来て旦那様を覚えの無い罪で拘束して連れて行ったのよぉ~…
…さっき買ってくれたコートがその旦那様が作ったコートなんだけどねぇ…」
それを聞いて、マサツグの中でゲステウスに対しての敵対心が更に上昇する。
そして、マサツグは店員さんに有る事を約束し始める。
「……わかった…」
「え?…」
「アンタの旦那さんは俺が何とかする!!
今からゲステウスの家に乗り込んで証拠を掴んで!
アンタの旦那さんを助けてやるよ!!」
マサツグが胸をドンと叩いて見せると店員さんに旦那さんを助ける様に約束する。
すると、店員さんの表情が一瞬明るくなるも次の瞬間また暗くなる。そして、
マサツグに止める様に諭し始めるのであった。
「それは止めといた方がいいよぉ…
だって、ポップリングスの住人が女王陛下にゲステウスの悪行を明かしてくれって
嘆願書を送ったけど、殆どがゲステウスに握り潰され、やっとの思いで聴いて
貰えたと思ってもゲステウスの屋敷からは何も出てこない…
証拠なんて探しに行っても……」
「分からんぞ?」
「え?…」
「こういう言い方は如何かとは思うが、その調査に入った兵士達が無能、もしくは
ゲステウスに抱き込まれたと考えたら納得行くし、それに今回乗り込むのは
ゲステウスとは全くの赤の他人でそれどころかゲステウスに敵意剥き出しの人間が
調べるんだからな!
それに…自分で言うのもおかしいけどこう言う逆転劇のヒーローになる事が
多いしな!!」
マサツグがもう一度答えると店員さんはハッとした顔でマサツグの顔を見る。
そして、マサツグはと言うと店員さんの顔を見て笑って見せるとシロと同じ様に
店員さんの頭を撫でる。それは、マサツグが故意にやったのでは無く、
無意識から来るものであった。
「……はう~~ん……」
「え?…」
マサツグに頭を撫でられ、蕩けた表情になる店員さんにマサツグが慌てて手を放すと
店員さんが余韻に浸ったような表情になるも直ぐに戻ると頭をブンブンと振り、
意識をハッキリさせようとする。そして、マサツグの方を向くと顔をポッと赤らめる
もマサツグが声を掛けると慌ててマサツグの手を引いてブティックの外に出る。
「……あの…」
「…ハッ!!
こ…こっち!!」
「うぇええ!!」
マサツグと一緒にブティックの外に出るとゲステウスの屋敷の場所を指差して教える。
その時の店員さんはかなり慌てた様子で、マサツグが声を掛け様にも店員さんに取り
付く暇も無い。
「ほ…ほら!こんな真っ暗な夜でも分かる位に悪趣味で馬鹿みたいに派手なお屋敷
が見えるでしょ?
あれがゲステウスの屋敷で玄関は…まぁ行ったら分かるよぉ~…」
そこには店員さんの言うとおり街灯の無い月明かりだけが頼りの暗い夜の中でも
ハッキリと分かる位にこの国とは見事なまでに不釣合いな屋敷が建っている。
それはまる極彩色のキュビズムの絵のような歪さで、一瞬公園にあるジャングルジム
の壁が付いてある物かと疑うレベルであった。それを見てから急変した店員さんに
マサツグが話しかけようとするがやはりはぐらかす様にマサツグの言葉をかき消す。
「えっと…大…」
「それと!屋敷の中にはゲステウスの部下が居て、前に盗みに入った泥棒が捕まると
問答無用で処罰したなんて話もあるから見つかっちゃ駄目だよぉ!!」
「それより…」
「じゃあ、私もそろそろお店をちゃんと締めないと駄目だからぁ!
じゃあねぇ!!」
そう言い残すと店員さんは急いで服を店に仕舞う。マサツグがコートを買いに来る
前より圧倒的に速く。残されたマサツグは店員さんを呼び止めようと伸ばした手が
物悲しさを語るのであった。
「…一体如何したんだ?……
にしても…あれは趣味悪いな……」
マサツグが気を取り直し、ゲステウスの屋敷を見直すとその異様さにやはり目を
疑う。ここでマサツグ達を襲ってきた盗賊達に言葉をマサツグが思い出しながら
ゲステウスの屋敷に向かい歩き始めるのであった。
「……あの人間さんは何だったんだろう~?……
頭を撫でられただけでこんな気持ちに……
ううん!!…私には旦那様という人が居るのぉ!!
そう!これは旦那様への愛の試練!!負けられないよぉ~!!…」
以上、マサツグがゲステウスの屋敷に向かい歩き始める頃のマサツグに頭を撫でられ
何とも言えない至福感に飲まれそうになる店員さんのその後であった。
マサツグが店員さんと別れてから数分後、マサツグがゲステウスの屋敷前に
辿り着く。屋敷の玄関前には門番だろうか、軽装備を身に纏った兵士が両脇に立って
おり、そしてその手には槍が握られていた。それを確認したマサツグが玄関からは
侵入出来そうにないと考えると庭の方に回りこむ。
「さぁて、さっそくどうやって忍び込むかな?…
一番簡単なのはあいつ等の気を逸らす事だけど……」
マサツグが玄関の他に侵入出来そうな所を探すが窓はちゃんと閉じてあり、鍵も
掛かっている。そして一通り屋敷の周りを見て回るも他に侵入出来そうな所が
無いと分かると改めて玄関の突破方法を考え始める。ここでふとマサツグが
色々とアイテム画面や装備画面を開くがアイテムも装備も幻影のコートだけで
何も無く、間違えてスキル画面を開くとあるスキルがまさつぐの目に留まる。
「……刹那…ッ!
そうか!その手があったか!!」
マサツグがゲステウスの屋敷の前の茂みで一人何かを思いつくと玄関前に立つ、
門番達に気付かれない様にその場で大きく震脚をする。マサツグの震脚は
思いのほかバンッ!!と辺りに響くと異変を感じた門番の一人が音のした方に
向かい歩き始める。
「ッ!?何だ、今の音は?」
「…少し見てくる…」
門番の一人が歩いてくるのを茂みから確認するとマサツグは瞬時に集中状態に入り、
刹那を発動する。そして、こちらに向かい歩いてくる門番を待ち構えるのであった。
「…よし!…
刹那!…」
門番も警戒しながら音の聞えた場所に辿り着き確認するもそこには何も無く、疑問
に感じていると門番の背後からマサツグが門番の首を締め上げ気絶させようとする。
突然襲われた門番も抵抗して見せるも首を締め上げられた上に口を押さえられ、叫ぶ
事すら出来ない。
「ガッ!……グガッ!!……」
「悪いけどちょ~っとの間寝ててくれ?
なぁ~に、起きたら路上に転がっているだけだから…」
そして遂に門番が気絶し、持っていた槍を音をたてて地面に落とす。その音は勿論
もう一人の門番の耳に届き、異変を感じて更にマサツグの隠れる場所にノコノコ
歩いてくる。
__ガランッ!ガランガラン!…
「な…何の音だ?それにアイツも帰ってこないし…
な…何か居るのか!?」
そして、同じ様に音の聞えた場所を確認する為に玄関を離れると今度はマサツグが
刹那の超スピード反応を活かして確認しに来るもう一人の門番を音の聞えた場所より
手前の所で同じ要領で首を絞めに掛かる。門番は相方が返ってこない事に不安を
覚えていたのかマサツグが後ろから襲いかかるとその不安を起爆剤に激しい抵抗を
見せる。
「ガ!…ガアアアア!!…ガアア!!」
「クソッ!こいつ!…抵抗が激しい!!
でも…フンッ!!」
激しい抵抗を見せる門番にマサツグが振り落とされそうになるとマサツグは首を
絞めるのを中断し瞬時に首を急激に横に曲げ、門番を気絶させる。しかし、その前
の門番とは違い、口から泡を吹き倒れるのを見ると思わず門番が心配になり、その姿
を上から見下ろすマサツグ。
「あぁ~っと…思わずやっちゃったけど…
死んでないよな?一応死亡判定は出てないけど、HP半分以上減ってるし…
泡吹いてるし…」
しかし、門番の心配をしている暇は無く、門番二人を他の兵士にばれない様に植木
の中に無理やり隠すとゲステウスの屋敷、玄関から侵入を果たす。その際、マサツグ
は玄関の扉を音が立たないように開けると、開幕ゲステウスの趣味の悪さが目に
映る。
「お邪魔しまんにゃ~……って
おいおい…あの盗賊共が言っていた通りだな……
異常すぎるぞ…これ…」
玄関を開けて2秒でいきなり傷だらけの女性達の写真がエントランスホール両脇の壁
に飾られていた。それもどれも無理やり傷つけ、拷問をされたのか苦痛に顔を歪め、
泣きながら許しを懇願する姿が写っていた。ある絵は磔台に磔にされ背中を鞭で
叩かれ悲痛の表情を浮かべる女性、又ある物は首輪で拘束され体中に針らしきものを
突き立てられ涙を流す女性。他にも色々と胸糞が悪い絵が飾られている。更に何処
からか攫って来たのか明らかにまだ幼い子供までその拷問にかけた様子の絵や獣人と
は違う人間やエルフの姿も有る。
「…一体何人の被害者が居るんだ?……
確かこの国は鎖国中だから…誘拐でもして来たとしか考えられんし……
それにしても胸糞悪いな……」
そして、その絵を良く見るとゲステウス本人らしき人物が満面の笑みを浮かべ、
手を叩きながら喜ぶ様子も描写されていた。ゲステウスは見た所ネズミの様で
丸々と恰幅が良すぎる体形でニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべている。
マサツグがそれらの絵を見て絶句すると同時にこの絵を運営自体が許可したのかと
考える。それらの絵を飾るだけの無駄に広い玄関を調べ、先に進んでいくと最後に
極めつけの絵が飾られていた。そこにはゲステウスが裸の王様のような格好をし、
周りにはその今まで拷問をしてきた女性達が傷だらけの姿でゲステウスに頭を地面に
着け、許しを請う姿であった。
「…さすがに血管がブチキレそうな絵を飾っていやがるなぁ!……
いっそここで処分……いや、今はソレで来たんじゃない!……」
その絵にマサツグが激しい不快感を覚え、思わず絵を破り捨てようかと考えるも、
ここで騒ぎを起こしては駄目だと自制心を取り戻すと屋敷のメインホールに
辿り着く。メインホールには成金趣味な獣の絨毯、女体の銅像が飾られている。
それと同時にメインホールを巡回する兵士も数人見つける。その内何人かは余程
疲れているのか立ちながら寝ていた。
{うわぁ……こっからが本番か……
とは言え、この程度なら余裕で掻い潜れるな……
…それにしても成金趣味な……悪趣味で成金……
救いよう無いセンスだな…}
そしてメインホールを中心に両脇に通路が延びており、部屋の扉が多数見つかる。
屋敷の大きさ、部屋の多さからゲステウスの羽振りの良さが伺えるがそれが本当に
正当な報酬で手に入れたのかとマサツグが疑いながらも柱の影に隠れつつ、左の通路
の一番奥の扉から調べる。そこは倉庫でマサツグが何か使える物、証拠品は無いかと
調べるがあるのは掃除道具や使われていない家具があるだけで使えそうな物は無い。
そうして、一通り調べて左通路の他の部屋を調べるもそこにあったのはコレクション
ルームと衛兵の寝泊りする部屋、コレクションルームは金細工や宝石などが所狭しと
飾られ、使えそうな物は無い、そして次に衛兵の寝室を調べるも武器どころか
アイテム一つ見つからない。
{本当に何も無いな……回復薬や傷薬位はあるだろ普通……
ゲステウスはそう言う支給はしないのか?……
まぁ、いいか…それより今度は反対側……}
そうしてマサツグが今度は右側の通路に身を隠しながら進んでいくとまた一番奥の
部屋から調べる一番奥の部屋はどうやらきキッチンでコックが明日の仕込をせっせと
準備していた。キッチンには台所用品が置いてあるだけで何も無い、マサツグが
扉の入り口から見て回るとスッと部屋を出る。次に隣の部屋に入るが食堂、先ほど
まで誰かが食べていたのか汚れた食器にクチャクチャのナプキンが置かれているだけ
で何も無い。そうしてマサツグが片っ端から部屋を調べるも応接室・使用人の部屋と
怪しい部屋は無い。次第にマサツグも余りの何も無さに独り言を喋るのを止めると
メインホールに戻り、二階に続く階段バルコニーに進もうとするしかしそこには
兵士が立っており、二階に行きたくとも行けない状況であった。
{これまでに何も見つからないし…兵士は邪魔だし……
何か無いのか?……}
マサツグが二階に行く方法を考えているとある事に気が付く。階段下に隠れる様に
何か部屋がある事に気が付く。マサツグが兵士の漢詩に目を掻い潜りその部屋に
忍び込むとそこはまた別の倉庫なのか、今度は雑貨やアイテムが保管されていた。
そして、そこで現状を打開する良い物を見つける。
{おや…これって確かネムリテングダケの粉末……
これって普通の宰相の家には不要のものだよな?……
…これだけでギルティって言いたいけど……}
マサツグが幾つかネムリテングダケの粉末の入った包みを入手すると部屋を出る。
そして、マサツグが部屋を出て直ぐ上にいる兵士たちに粉末の包みを投げ入れると
階段で青い煙が立ち上がる。
{せ~のっ!と…}
__ボフンッ……
すると、階段からバタッと誰かが倒れる音が聞えると同時に一階メインホールを
巡回していた兵士が階段で倒れた兵士の異変に気が付き、駆け寄る。マサツグは
その兵士にばれない様に後ろを着いて行くと兵士を無視して脇から二階のホール
を探索し始める。そして、異変に気が付いた兵士は倒れたのが眠った事だと分かる
と溜め息を吐き、一階の仮眠室へと担いで連れて行くのであった。二階は意外と
部屋が少なく、右・左・中央の大きな扉と一階と同じ様に両脇にまた通路が伸びて
おり、分かりやすい構造をしている。
{さぁ~て…まずはこの目立つ三部屋の内どの部屋から攻めようか……}
マサツグが三部屋の内、何処から調べようかと物陰に隠れながら考えていると右の
大きな扉が少し開いており、そこから光が少し漏れ出している。その光が少し気に
なったマサツグが扉の隙間から中の様子を伺うとそこには屋敷の主らしき人物が
大きめのベッドに座ると何やら裸エプロンの女性に奉仕させている姿が見える。
「あぁ…いいぞ…良い子だ…」
「はい…若様……んっ……」
{あぁ~あ…面倒な時にお邪魔しちゃったみたいだな……
と言う事はここはその若様って事はゲステウスの息子の部屋か……
息子の息子を世話させるとは……}
マサツグがネムリテングダケの粉末を取り出すとゲステウスの息子の部屋の
入り口から息を吹きかけ部屋に充満させる。そして、扉をばれない様に閉じて、
2、3分待つと扉に耳を当て、音が聞えなくなったのを確認すると自分が粉末を
吸わない様に入り口から息を吹きかけ部屋に充満させる。すると、部屋の中
では二人が死んだ様に深い眠りに落ちていた。
「…これって本当に効くなぁ~…
即効性及びこの効力……そら、盗賊達も使うわな店…}
そうして、二人が寝たのを目視で確認すると息子の部屋を物色する。しかし、
出てくるのはあるのは思春期の男子っぽい隠し方をしたエロ本等が見つかる
だけで、誘拐等の犯罪の証拠は見つからない。そこでマサツグが息子の相手
をしていた女性の体を調べる。女性の体には傷はなく、虐待を受けた様子は
ない。
「……痛めつけられた様子は無い……
となると息子は白?……でも、こんな家に住んでたら何かに気が付く筈だけど…」
そう考えながらも何も無いと分かるとマサツグは息子の部屋を出る。そして、
今度は息子の部屋の目の前の最初見た時にあった左側の部屋に入る。そこは書斎
の様でマサツグがよしっとガッツポーズをすると一番に目立つ執務机の引き出し
などを調べるも何も無い。これにマサツグが焦るも本棚の本を一冊取り、中身を
確認すると中から折り畳まれた紙切れが一枚出てくる。
{…?
何だこれ?…}
マサツグがその折り畳まれた紙を開いて中身を確認するとそれはこの屋敷の見取り図
であった。マサツグが証拠の書類かと期待するも見事に外れ、元に戻そうとする。
しかし、ここでマサツグがある違和感に気が付く。それは倉庫に妙な空きが開いて
いる事である。
{もし、この見取り図がそのままの物なら、倉庫にそんな妙な空間を空ける
必要は無いよな……
……これはもう一度調べてみるか……}
たまたま見つけた見取り図を手にマサツグがもう一度倉庫に向おうと考えると
マサツグはその部屋を出て、最後に最初の位置から見て正面の部屋を覗く。
しかし、そこには寝室しかなく豪華なタンスの上にはゲステウスの若い頃か
一階の酷い絵とは違う女性とツーショットで書かれていた絵が飾られていた。
{ゲステウス本人の寝室か……でも、本人は居ないな……
城か別に所か……今はいいか……}
そうして確認を終えるとマサツグは一階の倉庫に向かい歩いていくのであった。
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