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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編
-第二章三節 ホルンズヒルと風穴-
しおりを挟むマサツグが道具屋で買った地図を広げ、ホルンズヒルの場所を確認する。その際、
地図を見て改めてここがリゾート地と確認させられる。地図には確かに目的地の
ホルンズヒルも書かれているがそれよりも観光名所や娯楽施設が多く表示されて
いた。ゴルフ場にテニスコート本当にここがRPGのゲームかと疑うほどであった。
「さすが観光地……
どこもかしこもリゾート地らしい設備や名所で一杯だな……
冒険目的で来た俺達が場違いに思える…」
地図を確認しているとシロが道具屋で買ったアイスを口に銜えてマサツグの頭に
よじ登ってくる。マサツグも慣れたのか無抵抗で登られているとシロに現状
暑くないかと尋ねてみる。
「…シロ、暑くない?」
「んぐ…アイひゅを食べへひるからへひきれす…」
「そうか…」
道具屋で見たとおりの効果が出ているのかシロは汗一つ掻かずにアイスを食べて
いる。マサツグもそれを見て、効力を確認するとアイスを食べ始めるとそのまま
シロを肩車させた状態でホルンズヒルに向かい始める。ミニマップには町の構造も
表示されるのだがその時、何故か町の港の方で赤いラインを引く様に表示される。
マサツグが何事かとミニマップを見ていると町に配置されているアナウンスが
鳴り響きなじめる。
「ただいま、港エリアにて混雑が起きております……
これにより一時的に一部のエリアに限り、一方通行、通行制限が入りますので
ご了承お願いします……」
「……これ、渋滞を意味していたのか……もはやミニマップと言うより
カーナビのような……」
マサツグがミニマップに対しそんなツッコミを入れていると港町の外へのゲートを
潜る。この大陸最初のオープンマップに出るとマサツグの目の前に広がっているのは
平原と言うよりゴルフコースに近い芝生の絨毯が続き、遠目には山や森が
広がっていた。
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「サマーオーシャン平原・西側」
港町ホエールビアードを出て直ぐの平原。
まるでゴルフのグリーンの様な芝生にサマーオーシャン特有の生物が生息する。
ここでたまにゴルフをする者も居るようだがのん気にそんな事をしていると
モンスターに襲われる為、注意。
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{イヤイヤ…ゴルフする奴居るのかよ…
てか、何でこんなゴルフって言葉が良く出てくるんだ?…
このマップを作った人はよっぽど好きなんだろうか?…}
そんな事を考えながらマサツグがミニマップでホルンズヒルを確認すると意外と
直ぐ傍で、ミニマップで確認した後、その方角に目をやるとルンが言っていた様に
丘の上に一軒だけ不自然に建っている。
「なるほど…
あれか。」
マサツグがホルンズヒルに向かい歩き始めるとホルンズヒルの方から他の冒険者達が
こちらに向かい歩いてくる。しかし、その冒険者達はどれもこれも負傷しており、
肩を借りて町に戻る者や耳を押さえて戻る者でマサツグには何があったのかが
分からずに居た。冒険者達が歩いてきた方向を見てもモンスターの影は無く、何か
トラップがある様にも見えない。そんな風に辺りを警戒しながら進むと徐々に
ホルンズヒルが目の前に差し掛かってくる。ここまでの道中、他の冒険者みたく
何かがあった訳でもなく近いのが幸いか、モンスターとエンカウントする事無く、
丘の入り口に着く。そこには普通の丘に所々無数に穴が開いているのが見え、
その穴から微量ながら風が出ているのか、時々土埃を吹き出す。今まで何事も
無くここまで来れた事とここに来るまでの道中にすれ違った冒険者達の事を
思い出し、マサツグが更に注意力を着ける。
「さて…こっからですよ…
ここまで何も無い上に、あの冒険者達のやられよう…
警戒は十分に!……」
「はいです!…」
自分に言い聞かせるつもりで言った言葉にシロが返事をするとマサツグが軽く笑う。
しかし、マサツグとシロの目の前に有るのはゆるやかな坂道の丘でいたって何か
危険な様子はやはり見当たらない。マサツグ達が丘を登り始めると時々地面が揺れ、
バランスを崩しそうになりながらも丘の道を進んでいく。その際、マサツグが後ろに
居るシロを気遣い振り向くがそれは突如マサツグ達を襲う。
「…ふぅ…頂上まで結構あるな……
丘だから大した事ないと思っていたのに……
シロは大丈夫か?」
「はいです!…」
揺れる地面を無理に進む事により余計にTPを持って行かれ、一気に頂上まで登る事が
出来ず、少し進んでは休み、進んでは休みをしていると突如マサツグの後ろから
突風が吹き出す。そして次にマサツグ達を襲ったのは大音量の風きり音であった。
______ブオオオーーーーンンンンンンンンン!!!!……
「うわッ!
なんだこれ!!…」
「すごくうるさいですぅぅ!!!」
まるで法螺貝が大音量で鳴り響くような衝撃がマサツグとシロを襲い、更に風穴
から出る風でマサツグ達が立っている地面が激しく揺れる。マサツグとシロ、二人共
耳を押さえ、揺れが収まるのをしゃがんで待つとマサツグの後ろの突風が徐々に
収まり、しばらくすると風と音と振動が同時に収まる。マサツグがこの丘の特殊具合
に驚いているとマサツグ達より後に来た冒険者がマサツグを追い越して先に進んで
いくが次の瞬間マサツグの目の前でそれは起きた…
「何処の誰かは知らんがおっ先ーーー♪」
「あっ!追い越されちゃいましたよ!
ご主人様!?」
「あ…あぁ…」
先ほどの大音量の衝撃でマサツグがクラクラと頭を叩き、意識をハッキリさせようと
していると先ほどの冒険者は調子よく丘を登っていく。それを見て、マサツグも丘を
登り始めようとした瞬間!!
__________バシュウウウウウウウウウウウ!!!!!
またもや風穴から突風が吹き出したと思いきや先ほどまでマサツグ達の前を
進んでいた冒険者が忽然と姿を消す。その事にマサツグが目を擦り、辺りを
確認するも登りきった様子は無く、冒険者が消えた場所まで歩いて確認に
向かう。そして地面を見ると突風が吹いた場所だろうか、冒険者の足跡は
そこから先には無く、風が横から吹き出した跡が残っていた。すると、
シロが何かに気が付いたのかマサツグを呼び、有る物を指差す。
「っ!!ご主人様!!
アレを見てください!!」
「…おいおい…マジかよ……」
マサツグがシロが指差す方向を見るとそこには先ほどマサツグを追い越した
冒険者がボロボロの状態で丘の下に倒れているのを見つける。丘には血塗れの
草にまるでこの通りに転げ落ちたと言わんばかりに赤い線が引かれていた。
そして辺りを良く見ると同じ様に赤い線があちらこちらに引かれており、ここで
この冒険者の他に同じ様に突風に襲われ、落ちていった者が居る事が分かる。
これを見て、マサツグが大きく息を吸い込むとマサツグはシロにおぶさる様に
指示をする。
「シロ?俺におぶさってくれ。」
「……?はいです。
……OKです!!むふー!!…」
マサツグの指示でシロはいつも通りマサツグによじ登ると頭にしがみ付き、
むふーっと鼻から息をする。満足げにしがみ付くシロにマサツグがおんぶの体勢を
執るも空しく固まっていると改めて背中に来る様に命令するとシロは戸惑いながら
も指示に従う。
「……シロ?頭じゃなくて背中に張り付いてくれ…
でないと危ないからな。」
「?…はいです…」
シロは不思議そうにするもシロは素直に背中に降りるとマサツグの背中に張り付く。
マサツグも漸くシロをおんぶし、一呼吸すると大きく足幅を開くと走る態勢に入る。
その際。シロは今から何が起こるのかとワクワクし始めるのであった。
「しっかり掴まってろよ…」
マサツグのこの一言の後マサツグがシロをおんぶした状態で丘を全力疾走し始める。
それと同時に風穴からまたもや風が徐々に出てき始め、マサツグが通り抜けると
待って居たかのようにマサツグの後ろから突風が吹き、大音量の衝撃音がマサツグ
達を襲う!しかし、マサツグはそんな事を気にせず、一気に丘を登っていくが運が
良いのか悪いのか、マサツグが風穴の前を通り切る度に突風が風穴から突風が
吹き出し、大音量の衝撃音がマサツグ達を襲う!
「ウオオオオオオォォォォォォ!!!」
「ご主人様!
すごく速いです!!」
もはや無事に走り切る事で頭が一杯のマサツグに音は関係なく、磨り減るTPの心配
だけがマサツグを焦らせる中、シロはマサツグの背中でキャッキャッと喜ぶ。
その間にも風穴からは突風が吹き出し、少しでも遅れると突風に飛ばされ、丘の下
からもう一度リスタートする事になる。マサツグのTPが切れ掛かりそうになった時に
漸く、丘の頂上が見えてくると遠目からでも分かった謎の一軒家が見えてくる。
そして、最後の風穴を回避し走り切るとマサツグとシロは一軒家の玄関の前に立つ。
すると、最後の風穴から祝砲と言わんばかりの今までの物より更に大音量+震動の
突風が起きるとマサツグに有る通知が来る。
「ぜぇ…ぜぇ…
しんど…」
_____ピロリン♪
「ん?……何だ?……
ぜぇ…ぜぇ…」
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隠し要素「地獄の特訓 -その一- ホルンズヒル心臓破りの坂」
を開放しました!!
開放条件:誰か一人を背負いホルンズヒルの坂を走り切る。
(全風穴を通過)
開放達成報酬:挑戦成功者のSPD+50
----------------------------------------------------------------------------------
こ…こんなもん隠し条件にすなーーーーー!!!!……
今までやった冒険者は居たのだろうかこの通知を確認した後マサツグはその場に
倒れ、息を切らし、心の中でツッコミを入れる。シロは丘の頂上に付くと
マサツグから飛び降りた為、遠慮無く倒れるとシロがマサツグが倒れた事に
気が付き、近くで生えていた大き目の葉っぱを摘んでくるとそれでマサツグを
一生懸命扇ぐ。そうしてマサツグは倒れている時にとある事に気が付く。どうやら
頂上にはあの大音量の法螺貝はさほど強烈に鳴り響かないようになっている。
マサツグがそれに気が付くとTPが回復するまで休憩をする。そうしてある程度
休憩し立ち上がると息を整えて職人の家を訪ねる。扉をノックし声を掛けるが……
____コンコンッ…
「ごめんくださーい!」
扉の向こうからは返事がない。マサツグが留守かなと思いもう一度今度は
さっきより大声で呼び、扉をドンドンと叩く。
____ドンドン!!
「ごめんくださーい!!」
しかしやはり誰も出てこない。マサツグが今度はこの道を降りて明日また
この坂を登るのかと丘を見下ろし、落胆しているとシロがマサツグの服の袖を
引っ張り、扉を指差す。
「ご主人様?扉に何か書いてあります。」
そう言われ、マサツグが扉を見るとそこには確かにシロの言うとおり看板が
取り付けられてあるがそこに書いてある文章にマサツグが困惑する。
{この先に用がある人は勝手に中に入ってきてくださいw
ちなみにこの先で貴方が死ぬ事になっても当管理者は責任を持ちませんw
自信が無い、準備不足の方は回れ右して丘を下ってくださいw
ちなみに今日だけで負傷者10人w}
{え?なにこれ?
今まで注意書きって何回も見て来た事あるけどこんな煽って来るような注意書き
見た事無いぞ!?}
マサツグが扉に書かれている言葉に戸惑っているとシロがマサツグの体をよじ登り
扉に書いてある文章を読み始める。そしてマサツグの隣でふんふんと頭を振り、
理解するとシロは自信満々にマサツグに答える。
「大丈夫です!ご主人様!
シロに任せてください!!」
____バァーン!!……
そう言うとシロがマサツグから降り、躊躇無しに扉を開ける。その光景にマサツグが
フリーズするとシロは扉を開けた後に自信満々に一言叫ぶ。
「たのもおぅ!!!」
「うお~~い!!
たのもおぅ!!!じゃないだろ!?」
シロの無警戒開錠にマサツグが慌ててシロを止めに入るも扉は既にフルオープン。
マサツグがトラップを警戒して咄嗟にシロを守る為にシロを抱えて防御の態勢を
執るも何も起きない。マサツグが変に思い、薄目で辺りを確認するもそこにあった
のは洞窟への入り口で更に扉で閉じられて有る。
「何だこれ…」
扉を開けた先にはまた扉がある、この状況にマサツグが驚いているとシロが
マサツグの拘束から這い出るように顔を出すと自信満々の笑顔を見せ、マサツグに
問い掛ける。
「どうですか?
シロには何も無い事が分かっていたのです!!」
「え?…何も無い事が分かっていたのか?」
「はいです!!」
シロが尻尾を振りながらマサツグに答えるとマサツグは気が抜けた状態でシロの
頭を撫でる。シロは更に尻尾を振り喜ぶもマサツグは罠が無かった事に拍子抜けし
更にシロのオーバースペック具合にやはり肩を落とす。そうして、マサツグが
気を落とすも何時までもそうと言う訳にも行かず、気を取り直して扉の中に入り、
洞窟の扉に手を掛けようとするとマサツグがまた注意書きを見つける。
今度は洞窟の扉に看板が付いていた。
-----------------------------------------------------------------------
「ホルンズヒルダンジョン」
ホルンズヒルの地下を進むと工房 ドレッグがあります。
更にその地下は龍の血脈と呼ばれ、中ランクの魔物が出現します。
推奨Lv.30
-----------------------------------------------------------------------
{げ…結構めんどくさそう…}
マサツグがダンジョンに入る前から気が滅入っているとシロがマサツグを尻目に
またもや無警戒で扉を開け、マサツグを急かす様に一言。
「行きましょう!ご主人様!」
{…シロは元気だな……}
オチオチ、気が抜けないこの子にマサツグが気を入れ直し洞窟の中に入ると意外と
洞窟内は明るく、壁には火の着いた松明が設置されていた。しかし、やはり足場が
悪く何度もこけそうになりながらも前に進んでいくと徐々に何か音が聞え始める。
しかし、マサツグには音が反響しそれが何処から聞えているのか分からないでいると
それに反応してシロが耳をピコピコと動かしているとシロはマサツグの手を握り、
音のする方へと案内を始める。
「あっちからです!」
「シロ、お前場所が分かるのか?」
「はいです!
音と空気の流れが教えてくれるです!」
シロは時々立ち止まり、耳を澄ませ、音のする方を確かめるとマサツグの手を
引いて洞窟の奥へと歩いて行く、そうして奥へ奥へと進んでいくと漸くマサツグに
もそのシロが反応した音が聞え始める。音は洞窟内で反響し元の音が聞き取り難く
なっているものの辛うじてカンカンと小気味良い音が聞えてくる。
「もう直ぐこの音の所に着くと思うのですが……」
シロがマサツグにそう説明し洞窟の中を歩いていくと突如開けた場所に出る。
洞窟内でも分かる位の広さにマサツグが辺りを見渡していると今度は反響せずに
カンカンと金槌で鉄を叩く音が聞える。それに反応したのかシロはマサツグの腕を
引っ張ってその音の所まで案内する。
「ッ!!ここです!こっこ!こっこ!!」
「お…おい!?シロそんなに引っ張るな!
こ…こけそうになる!!」
そうしてシロに引っ張られ必死について行くと目の前には軍が使うような医療用
キャンプテントと辺りを照らすには十分な鍛冶に使う立派な窯があった。マサツグ
がシロに引っ張られ、息を切らしていると目の前にシロより少し大きい感じだが、
背の低い、髭がモジャモジャの男がキャンプから顔を出し、マサツグとシロを
見つけるとこちらを観察していた。
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