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-第一章-スプリングフィールド王国-

-第一章十節 魔法の花と林檎ほうじ茶- 

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マサツグと熊五郎がフジツボに苦戦をしているその頃、リトルガーデンに残った

カチュアの方ではティターニアが衰弱していくのを何とかしようと

リトルガーデンで色々と魔力を回復させる方法をあれこれと

探している最中であった。


「……これも違うのね!!」


カチュアが図書館で本を手当たり次第に調べては違うと嘆いていた。

図書館内の本を手当たり次第に取り出し違うと分かると机の上に積み重ねていく。

そうして積み重ねていくとカチュアの直ぐ隣には何かの衝撃で

直ぐに倒壊する壁が出来る。

マサツグが魔法の花が群生するエリアに行ってからずっと篭っていると

余りの時間の長さに三つ編みの妖精がカチュアを心配して図書館に来る。


「カチュア…

大丈夫ですか?もう五時間は篭っていますけど…」


リアル時間では二時間と三十分だがゲーム内時間だと、

五時間カチュアが図書館に篭る。

そして、三つ編みの妖精が図書館の扉を開けた事によりそこから風が入って来る。

扉から入った風は乱雑に詰まれた本の壁を揺らし始める。

それに気づいて慌てて三つ編み妖精が扉を閉めるとその衝撃がきっかけで

結局倒壊し、カチュアが生き埋めになると同時に三つ編み妖精が悲鳴を上げる。


「きゃああああああ!!!

大丈夫ですか!?」


慌ててカチュアを掘り起こしに行く三つ編み妖精、崩れた本の山からはカチュアの

助けを求める声が聞えてくる。三つ編み妖精が本の山を掻き分けカチュアを

救助するとカチュアが図書館の不満を三つ編み妖精にぶつけ始める。


「も~~~~~~~う!!!

何なのね!?

ここにある本大抵がポエムと恋愛小説ってどうなっているのね!?

お陰でちょっと読み耽ってしまったのね!!

普通の歴史書や魔導書はないのね!?

どうなのね!ポリン!!」


「仕方が無いですよ…

歴史書はともかく、魔導書は危なすぎます…

子供が不用意に呼んだら大変ですし。

それに…」


ポリンがメガネを弄り位置を整えるとカチュアを見つめ答える。


「当時子供の貴方がそれをやって騒ぎになったじゃないですか。」


それを言われるとカチュアがウッと顔をしかめ、次に膨れ始める。


「仕方が無かったのね!…

好奇心には勝てなかったのね!…」


「図書館の屋根を吹っ飛ばして館内の本一部をパアにしてですか?」


ポリンが呆れながらカチュアに昔の事を言うとシュンとする。

それを見てポリンが溜め息を吐くと苦笑いしながらもカチュアを慰める。


「…しかし、今は手掛かりが少なくてもやるしかないのです。

微力ながら私も手伝います!!」

そう言うとポリンも図書館の本を調べ始める。カチュアはそれを見て微笑むと

倒壊した本を退かし始める。するとその本の山から読んだ覚えのない本が

一冊だけ出て来る。


「…?

この本は読んだ覚えが無いのね…」


カチュアが徐に本を開いて中身を確認するとカチュアが驚く。

すぐさま隣で一緒に調べ始めたポリンを呼びつけ本を見せる。


「ポ…ポリン!!

ちょっと見て欲しいのね!!」


「何ですか?

今ちょっといい所なんですから…」


「ポリンまで恋愛小説にハマらないで欲しいのね!!

それよりこれを見て欲しいのね!!」


「こ…これは!?」





カチュアとポリンが図書館である本を見つけているその頃、マサツグと熊五郎は

依然フジツボに苦戦を強いられていた。


「ガッデム!!!

何処を攻撃しても弾かれるし!!

迂闊に近づくと触手伸ばしてくるし!!

面倒この上ないな!!!」


マサツグが文句を言いながら必死にフジツボの攻撃をかわしていると熊五郎が

隙を見てフジツボに殴りかかる。しかし、やはり殻は固くビクともしない。


「チッ!!

今までこんな敵と戦った事がないから戦い難いでやすね!…」


一緒に戦ってくれている熊五郎も殻を叩き過ぎてか熊五郎の腕が血で滲み始める。

切り傷に打撲、かなりのダメージが熊五郎の腕に圧し掛かる。


{不味い!!…

かなり不味い!!…

熊五郎が何発か叩き込んでいるけど聞いている様子はない!!

かといって熊五郎の腕も限界に近い!!

アイツにまともにダメージを入れれそうな場所はあの足の代わり

みたいな触手と殻の下の中身!!

しかし、迂闊に近づくと触手を伸ばしてくる!!

さてどうしたものか!!……}


マサツグがフジツボの攻撃をかわしながら相手を倒す方法を考えていると

熊五郎が躓き地面に倒れる。その隙を狙ってかフジツボが熊五郎を狙い始める。


「しま!!…」


「させるかあああ!!!」


マサツグが熊五郎を庇うように前に出ると苦し紛れに火炎斬りを放つ!!

すると、フジツボが意外な反応を見せる。マサツグの火炎斬り火花がフジツボの

足代わり触手に当たると物凄い勢いで触手を引っ込め、母体が地面に落ちる。

更にフジツボはそのままの状態で母体を地面に引きずりながら後ろに下がって行く。

これを見たマサツグにある考えが浮かぶ、それと同時に熊五郎に指示を飛ばす。


「熊五郎!!

悪いけどアイツが嵌まる位の穴を掘る事はできるか!!」


マサツグの突然の質問に困惑しながらも頷き答える。


「え…えぇ…

出来ますが少々時間が掛かりやすよ?

この腕だとまともに掘れないので。」



「それで十分!!!

適当な場所に掘ってくれ!!!」


マサツグが熊五郎に指示を飛ばすと熊五郎はその場で穴を掘り出す。

熊五郎が穴を掘り出したと同時にフジツボが一度は引っ込めた足触手を再度出すと

母体のバランスを取り直す。それを見てマサツグが熊五郎を護るように剣を構え、

フジツボの出方を伺う。


「さて、どうくるか…」


マサツグが身構える中、フジツボがマサツグに向けて小さいフジツボを撃ち出す。

それは弾幕を張る様に連射してくるのであった。


「それ連射できるのかよ!!」


マサツグはすかさず刹那を発動し飛んでくるフジツボを全てを

真っ二つに斬って行く。

しかし、それでもフジツボは止め処なく飛んでくる!必死にマサツグが

斬って行くが徐々に刹那の使用時間が迫ってくる。


「クソッ!!

不味い不味い不味い!!!」


マサツグが徐々に追い詰められていくと後ろから熊五郎がマサツグに声を掛ける。


「マサツグ殿!!

穴はこの位で大丈夫でやすか!?」


熊五郎がマサツグに声を掛けるがマサツグは返事をしない。

この時、マサツグには熊五郎の声がスローに聞えていたのであった。


「マ~~サ~~ツ~~グ~~ど~~の~~!!」


「え!?

なんだって!!」


マサツグが一瞬振り返るとそこには穴が開いており熊五郎が必死に身振り手振りで

マサツグに伝えようとしていた。マサツグがそれに気が付くと熊五郎に指示を出す。


「熊五郎!!」


「!!

ようやく気が付いた…」


「全力で横に避けろ!!!」


「…何ですと?」


そう言うとマサツグが横に避ける。マサツグが横に避けた事により今までマサツグが

捌いて来たフジツボが熊五郎目掛けて飛んでくる。熊五郎はそれに酷く驚きながらも

間一髪で回避するとフジツボが再度、熊五郎に向かって突進を繰り出してくる!


「マサツグ殿次は!?」


「これで何とかなる!!」


「…はい?」


マサツグの考えに全く付いていけない熊五郎は困惑するもマサツグが熊五郎の手を

引いて穴の後ろに立ちフジツボを待つ。フジツボは依然こちらに向け、

突進をしてくる。真っ直ぐこっちに向かってくるフジツボを前に

マサツグは微動だにしない。

その行動に熊五郎が更に困惑しマサツグに避けるように呼びかける。


「マサツグ殿!!

このままでは危ない!!

避けてくだせぇ!!」


「まだだ!!

まだ逃げちゃ駄目だ!!」


「何を言ってやすか!!

早く!!…」


しかし、フジツボはマサツグの眼前に迫る。そしてフジツボがマサツグと

衝突しようとした時、マサツグが突進してくるフジツボの殻の先端を

叩くようにダッシュ斬りを繰り出す。するとマサツグと入れ替わりざまに

フジツボが一回転し、熊五郎の掘った穴に逆さまに嵌まる。

その光景を目の当たりにした熊五郎が状況を理解できずに只、その光景を

見ていた。フジツボは引っくり返るとSAN値を削るような姿を見せる。

殻の下の腹は無数の細かい触手でウジャウジャと蠢いている。

熊五郎が驚きながらもマサツグに状況を聞くとマサツグはニヤっと笑い、

剣を握り直す。

それを見た熊五郎がまたもや後ろに飛び退き、驚く。

マサツグは穴に嵌まって動けなくなったフジツボを

確認するとまだ穴から抜け出そうとするフジツボの足代わりの

触手を切り払い、完全に動けなくする。

そして次にマサツグはSAN値を削りそうな光景に止めを刺すように

火炎斬りで執拗なまでに焼き払う。

そしてマサツグは焼けたフジツボの腹に剣を差し込むと熊五郎を呼ぶ。


「熊五郎。

止めをお願い。」


「へ…へえ…」


マサツグの指示に最後まで困惑しながら止めにマサツグの刺した剣を

フジツボの腹に杭を深々と刺さるように叩き込む。

するとフジツボがブルブルと震える。

震えるが熊五郎はお構い無しに何発も剣を差し込んでいく。

そうして5,6発打ち込むとフジツボは完全停止し、

ボンと消えるとドロップアイテムをドロップする。

それを見てマサツグと熊五郎がその場にへたり込み一息吐く。


「お…終わった…」


「何なんだったんでやすか?…

あの生き物は?

それにマサツグ殿のあの策は?」


熊五郎がマサツグにフジツボを仕留めた戦い方を尋ねると

マサツグは笑いながら熊五郎に答える。その答えに熊五郎は呆気に取られる。


「あぁ、あれ?

あれは只の蒸し焼きさ。」


「む…蒸し焼き?」


「そう蒸し焼き。

但し、加熱したのは逆だけど。

更に言うと食えない蒸し焼き。」


笑いながら答えるマサツグに熊五郎は呆けてしまう。

そうして二人がへたり込み、笑い、呆けていると徐々に

瘴気が晴れていく。どうやら迷いの森が瘴気に包まれた原因は

あのフジツボの様だった。

瘴気が晴れていく事に二人が喜んでいると月の光が魔法の花が群生する

園に降り注ぎ、その全貌を露にする。

しかし、そこには希望は無かったのである。

園は完全に全滅しており花どころか草一本生えていない。

その光景に熊五郎が悲観する。


「そ…そんな…

こんな事って…」


熊五郎が両膝を着きうな垂れるとマサツグが園の中心に立ち、

花を探し始める。

そんな姿を見た熊五郎がマサツグに声を掛ける。


「マサツグ殿…

お気持ちは感謝しますがこの有様ではもう…」


熊五郎が嘆きながらマサツグに探しても無駄と示唆する様な言い方を

するがマサツグは探すのをやめない。

やめない所かマサツグがある物を見つける。


「なぁ、あの花は何?」


マサツグがある一本の樹を指差す。熊五郎がゆっくりと起き上がると

マサツグの指差した方向を見る。するとそこには全滅したと思われた

魔法の花が三株だけマサツグの指差す樹に生えていた。

高い位置に生えていたか無傷で咲いていた。

それを見た熊五郎の目に活気が戻ると同時に涙が溢れる。

そしてマサツグを抱きしめ、勢い余り締め上げる。


「ま…マサツグ殿!!

あれこそ魔法の花でやす!!!

奇跡でやす!!!すごいでやす!!!」


「わ…わかった!わかったから!!…

締め上げないでくれ!!…

フジツボより体力が削られてるから!!…」


マサツグの悲鳴に熊五郎が慌ててマサツグを離す。

離して貰ったマサツグはその場で両膝を着き、息を切らす。

それを見て熊五郎がマサツグの背中を摩るのであった。


「も…申し訳ないでやす!!

あまりに感動して!!…」


「だ…大丈夫…

只一瞬違う花畑が見えただけだから…」


息を切らしながら熊五郎に答えるとマサツグが立ち上がる。

フラ付く体にムチを振り花の方に歩いていく。

そして緊張の瞬間が訪れる。魔力を持つ者が花を摘むと花は

忽ち萎れて、摘んだ者の魔力を回復してしまうのである。

マサツグには確かに剣士で魔力を持ってはいないがプレイヤーの

場合は剣士であろうが魔法使いであろうがMPでは無くTPで

換算されている。それが分かっているマサツグ自身も慎重になる。

マサツグが恐る恐る手を伸ばし、花に触れてみる。

花はゆらゆらと揺れるが萎れはしない。

いよいよマサツグが花の茎の手を伸ばし摘もうという時、

熊五郎が鼻をヒクヒクと動かす。

マサツグが決意し花を摘もうとした瞬間!


「ぶわくしょい!!!!」


熊五郎が豪快にくしゃみをする。

マサツグがビクッとするとその勢いで花を摘んでしまう。


「うわああ!!

熊五郎!!驚かすんじゃネエよ!!」


「す…スマンこってやす!!

でも…」


熊五郎がマサツグに謝りながらもマサツグの手で萎れずに

ピンピンしている花を見て喜ぶ。どうやら無事に摘む事が出来たらしい。

マサツグが残りの花を摘むかどうかを熊五郎に尋ねる。


「熊五郎!

残りの花も摘むのか?」


「いや、残しておくでやす。

全部摘んだら本当に全滅するでやすし、ティターニア様を

苦しめた瘴気の元凶も晴れた今、一つで足りると思うでやす。」


熊五郎の一言を聞き、マサツグは残りの花を摘まずに残す。


「さて花を摘んだ事だし、早く戻って女王様に届けるか!」


「応!!」


そう言うとマサツグと熊五郎は急いでリトルガーデンに

戻っていくのであった。

帰り道は熊五郎の傍を走っていたお陰かモンスター自身が

離れて行き一回もエンカウントする事無くリトルガーデンに戻ってくる。

戻ってきた頃には月は沈み、日が昇り始めていた。

リトルガーデンに戻ると妖精達がマサツグに気が着いてか

皆総出で出迎えてくれる。

熊五郎と一緒に広場に登るとティターニアがフラ付きながら

ツリーハウスから出て来る。


「おかえなさい…

私が寝込んでいるまに瘴気が…

これは?…」


ティターニアがマサツグ達に説明を求めて来る。

マサツグと熊五郎は園で起きた一連の騒動を伝えるとティターニアが

驚きながらもマサツグ達に感謝の言葉を述べる。


「その様な事が!?…

それも解決して下さるとは…

何と申し上げれば良いのか…」


「そんな事より!!

これを!!」


マサツグが魔法の花をティターニアに見せると

ティターニアが酷く驚く。

それもそうだ、完全に全滅したと思った物が冒険者の手に

より見つけられ、持って来られたのだから。

ティターニアはマサツグの手の上に飛んで行くと震える手で花を手に取る。

すると魔法の花はみるみる萎れて行き、凛々と咲いていた姿が

想像できない姿に変わる。それと同時にティターニアの体が

光るとティターニアの顔色が良くなる。しかし、一本では足りないのかやはり

弱弱しく、フラフラとしていた。


「ありがとう御座いました…

元凶も消えた今、徐々にでありますが力は戻ると思います…

私を…いえ、リトルガーデンを救って頂き、

本当にありがとう御座います!…」


ティターニアが頭を下げようとするとマサツグが

ティターニアの頭に指を挿し、頭を下げられないようにする。

突然のマサツグの行動にティターニア及び妖精、熊五郎が困惑する。

すると、マサツグがティターニアにある事を言う。


「俺はたまたま妖精が見えてカチュアに連れて来られただけ。

頭を下げられるような事はしてないぞ。」


マサツグの一言にティターニアが驚き、妖精達がどよめく。


「し…しかし!

貴方はこの国を助けて頂いた恩人!!…

礼を言わないのは礼儀に反します!!…」


しかし、マサツグはそれでも謝礼を受け取ろうとしない。


「今回の行動は依頼があったから。

俺に依頼は魔法の花を摘んでくる事だろ?

それだけしかしていない。

その過程で俺が瘴気を晴らしてもそれは依頼を完遂する為の過程であって、

結果ではない。

だから、アンタが頭を下げる事はない。」


頑なに謝礼を受け取らないマサツグにティターニアがついに笑い出す。

それに釣られてマサツグと妖精達が笑う中、

熊五郎は後ろで何故か感動していた。

そうしてみんなが笑っていると妖精達の図書館から

カチュアとポリンが飛び出し、目を真っ赤にさせながら、

マサツグ達が帰って来ている事に気が付くとある物を

持っているかを尋ね始める。


「マ…マサツグ!!

あ…あの時の林檎?だっけ?

まだ残ってるのね!?」


マサツグの目の前で叫ぶ、カチュアにマサツグ及びティターニアが驚く。

マサツグはカチュアに言われてアイテムポーチを開き、

林檎を探すがマサツグは食べきり、カチュアのは食べきっていない物の

ポーチの中で腐っていた。

本来、食べ物系のアイテムはポーチに入れると時間が止まり腐りは

しないのだが一回でも口を付けるとその効果は発動せず腐る。

カチュアが食べていた林檎は剣で切り分けた上に中途半端に残した為、

腐っていたのであった。


「悪いけど俺のは食べ切ってないし、

カチュアのは腐って食べれたもんじゃないぞ」


「ち…違うのね!!

欲しいのは種の方なのね!!」


カチュアの一言にマサツグがりかい出来ないで居るがマサツグは

腐った林檎を取り出すと種だけをカチュアに渡す。

すると、カチュアとポリンが大粒の涙を目に浮かべながら

嬉しそうに受け取り大喜びする。


「マサツグ!!!

ありがとうなのね!!!

これで女王様の…

ティターニア様を救う事が出来るのね!!」


それを聞いてティターニアがカチュアに事情を聞く。


「私を救う…?

カチュア?

如何いう事ですか?」


カチュアがティターニアの方を向くとティターニアが起きている事に驚く。

しかし、カチュアはティターニアに泣きながら訴え始める。


「図書館の本に誰も知らない料理の本があったのね!!」


それを聞いた途端、カチュアとポリン以外が頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

そしてカチュアが盛大に全員を困惑させた所でポリンが補足説明を始める。


「実はこの薬学本には魔力が枯渇した時の薬の作り方が載っていたのです!!

この薬学書はどうやら過去にも使われたらしく効果ある物とそうでない物で

別けられており、その中にこの赤い果実の種を炒って作るお茶の事が

載っていたのです!!そこには…」


  --------------------------------------------------------------------------

              「林檎ほうじ茶」

      
        効能: 魔力回復及び常時魔力リジェネ

       作り方:  まず林檎の種を用意する。

            次に林檎の種が弾けるまで炒る。

     弾けたらその林檎の種を粉になるまで砕き、粉末状にする。

            後は煎じて薬湯にして出来上がり。

  --------------------------------------------------------------------------


その後には妖精の文字で書いてあるのかマサツグには読めなかったが、

効果ありと書いてあったのか妖精達がポリンの差し出した薬学所を見て

喜びだす。


「これで助かると思います!!」


ポリンが大声で泣きながら叫ぶ。それを見てティターニアも貰い泣きする。

この国の女王はこれだけの妖精は愛されている事に気づくと同時に

感動を覚える光景であった。


そして、ポリンが涙を拭いながら説明をしている間にカチュアがどこかの

厨房に持ち込んだか、香ばしい匂いが漂い始める。

そうしてカチュアが弾けた林檎の種を持ってくるとマサツグに手渡す。


「マサツグ!!

…おねがいなのね!!」


そう言いカチュアはマサツグに弾けた林檎の種を砕かせようとする。


「この野朗!…

…しゃあねぇな!!」


マサツグが林檎の種を剣の柄で潰して行き粉状にする。

最後にカチュアがそれを煎じて布で漉し薬湯に仕上げる。


「…できたのね。」


そこのは見た感じ普通の麦茶にしか見えない物があった。

カチュアがそれをティターニアに恐る恐る差し出す。

ティターニアはそれを一口飲むと苦いのか渋いのか

何とも言えない顔をする。

しかし、次の瞬間ティターニアの体がふわっと光り出し、

顔色がどんどん良くなって行く。それと同時に女王の羽にも

輝きが戻り始める。

そこには最初の頃、出会ったティターニアの姿は無く、

凛とした姿の女王ティターニアの姿があった。


「皆、ありがとう!!…」


ティターニアはマサツグと熊五郎を含めた妖精全員にお礼を言いながら

微笑むのであった。

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