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-第八章-

-第八章八十七節 二度目の裁判?と被告人・ゼファーと動き出す弁護人!…-

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さて話は前話の終わりから若干遡った辺り、無事裁判所に辿り着いたマサツグ達は

その場で別れ!…と言ってもマサツグだけが裁判に出るため控室に向かい!…

後の面々は当然その裁判を見る為に傍聴席に!…それはシロとハクも例外でなく!…

二人の面倒はこの時一緒に来たグレイスに任せる事になると、マサツグはマサツグで

その場の職員に連れられ!…ゼファーの居る控室にへと案内される!…

その際一度は経験をした事が有る独特の緊張感を感じていると、とにかく部屋の

中へと入って行き!…


__スノーピース・第一法廷・控室…


「…遂にこの時が来た訳なんだが…覚悟は出来ているのか?…」


「…と言うと?…」


部屋の中に入るとそこには手枷等で拘束されている、ゼファーの姿が既にそこに

存在しており!…その際俯く様にして椅子に座り!…別に緊張も恐怖もしていない…

いつもの様に何か…いや何を考えているのか分からないそんな様子を見せて居ると、

マサツグもそれを目にするなりまずは声を!…この日について質問をする!…

と言うのもそれはこの裁判に対して覚悟はして来たのか?について尋ねて行くが、

ゼファーはピクッと反応をするなり顔を上げるとマサツグに言葉を!…

それは質問に意味を尋ねる様に漏らして行き!…するとマサツグも続けて話しを…

改めて今日が如何言う日であるか?を続けて話す!…


「ここで自分の運命が決まるって事を言ってるんだよ!…

…まぁバルディアナもただでは済まないだろうが…

特にアンタは一国の王!…その責任はトンデモナイ事になってるって事!!…」


この時その受け答えに呆れる様なそんな反応を露わにすると、ゼファーの運命が

掛かっている!と…何なら最後まで一緒にいたバルディアナの事についても

触れて行くと、その最後にゼファーだけは特別!と…特に責任の有無について

問われるであろう事について指摘をすると、ゼファーは全くと言ってもいい程に

無関心!…ただ虚ろな目でジッと床を見詰めるそんな様子を露わにする!…

そしてそのマサツグの言葉に対して返事をし出すと、気だるげと言うか

皮肉めいたと言うか…


「…あぁ……別に…特に如何とも思わなかったかな…

…寧ろ漸く…楽になれると思うと…この日が待ち遠しかったと言うか…」


「ッ!…そうかよ……ま、俺が弁護する訳じゃないからアレだが…

覚悟はしておけよ?…ハッキリ言って何が起きるか分からねぇんだから…」


やはり最初から諦めている様子で言葉を口に、何ならこの時を待っていた!と

言わんばかりに…それはもう楽になりたい様子で自暴自棄な事を笑みを浮かべながら

更に漏らし!…と、その返事を聞いてマサツグも更に呆れる!…そして改めて自分が

弁護をする訳でない事を口にすると、既にその手には雪冬刀を抜刀可能な状態で

握って見せる!…それと同時にこの裁判に来てから何か薄々と感じているのか、

最初から嫌な雰囲気が感じられる!と…具体的には何が起きるかは分からない!…

だが何か悪い事が起きる様な!…それらに警戒をする様な事を口に!…

だがその話を聞いてもゼファーは一切怯む様子を見せようとはしない!…


「…ほう…それは楽しみだ…」


__……ガチャッ!!…キイィィ!!…ッ!…


「被告人、弁護人!…時間です!…」


寧ろそれを聞いて更に興味を持った様子!…勿論態度を変える事は決してなく!…

不敵に笑みを浮かべながら楽しみである事を零して行くと、

マサツグもそんなゼファーの返事を聞いて無敵か?と…更に呆れる様子を見せる!…

さてそんな会話を二人でしていると、次には何の前触れもなく控室の扉が開き!…

と、そこで姿を現したのは恐らくギルドの職員であろうか?…

至って真剣な表情を浮かべ!…マサツグとゼファーを呼びに来た事を簡単に

告げると、ゼファーもそれを聞いてピクッ!と…席を立つ動きを見せ始める!…


__……ッ…ガタッ…ッ!……


「…何をやっているのだね?…裁判なのであろう?…

では…向かうとしようじゃないか…」


「…はあぁ~……ッ…」


ゼファー自身は音を立てる事無く立ち上がると、何故か不気味に椅子の

引き摺る音だけが聞こえ!…と、立ち上がった所でマサツグに言葉を!…

話を聞いて居た筈!とばかりに急かし始め、その出入り口に向かいスッと

やはり恐怖と言ったモノを微塵も感じさせない!…

堂々とした様子を取って見せると、マサツグもマサツグでそんなゼファーに

対して不安を…本当に弁護が出来るのか?について疑問を持つ!…

だが時間が来ている事でウダウダと考えている時間など当然無く、

職員の案内のもと法廷に向かい!…そして法廷前に辿り着くとその職員が

扉を開け!…


__ガゴンッ!!…ギイイイィィィ!!!…ッ!!…ワイワイ!!…ガヤガヤ!!…


「ッ!…これは…厳かで実にいい法廷だね…」


{…ンな呑気な事を言っている場合かよ?…

…こっちは今針の筵みたいな視線を受けてるってのに!…}


重々しく扉が開くと二人はそのまま中に入廷!…すると二人の登場に傍聴席も

一気に慌しく!…かつ同時に当然非難をするそんな視線をやはり二人に向けて

行くと、一方でゼファーは余裕なのか!…まずその法廷内の様子に言葉を漏らす!…

その際法廷内はまさに中世時代にタイムスリップした様な厳かな雰囲気に

包まれていると、ゼファーはその様子を気に入った様子で!…

しかし一方でマサツグは勿論それ所ではない!と…嫌な予感は的中!とばかりに…

ゼファーだけでなくマサツグにその非難の視線を集まって行くと、改めてマサツグは

後悔する様な!…しかし自分で言った手前!…退かずにそのまま弁護席の方へと

歩いて見せる!…するとその様子を見てやはりまたザワザワとし始め!…


__ッ!…ザワザワ!!…ザワザワ!!…


{…おい!…やっぱりあの噂は嘘じゃなかったみたいだぜ!?…}


{…あ、あぁ…だとしても如何して?…

何で攻め込んでいた相手の大将の弁護をするんだ?…

それも攻め込んだ側の大将が?……訳が分からん!…}


と言うのもこの様子が如何にも理解出来ない者達が居り!…

何故ならその傍聴席に居るのは全員その魔王軍の関係者と言う訳ではないらしく!…

やはり他NPCであったり、興味を持った冒険者プレイヤー達もそこに混ざっており!…

となるとこの様子が理解出来ない様子で言葉を漏らし!…そもそもとしてこの裁判

自体が特殊なもので!…これが仕様なのか?と思わず悩み!…

今回のこの弁護側の様子に対しても、現実的に考えて普通にあり得ない事を口に

すると、ざわめく面々に対して木槌の音が!…法廷内に響き渡る!…


__…カンッカンッ!!!…ッ!!…ッ……


「…静粛に!……ではこれより…デグレアント帝国の王による…

これまでの蛮行を含めた罪の…責任の有無について裁判を執り行う!…

尚犯行に関しては既に全てが確認済みである故、検察側は無しとする!…

ただ被告人に罪の意識があるかどうかと問うものとし…

特別な方針の元、進めて行く事を!…予めここに宣言して置く!!…」


小気味よく二回叩かれるとその音にピクッと反応をして直ぐに静かに!…

その際裁判長はパルシィが務め!…裁判官にクロエ、書記にアンジュ!…

それぞれがパルシィを挿む様にして席に座る!…

尚このゲームには裁判員と言う者は居ないのか、三人以外に登壇は無く…

と、一方で中央の証人台の手前にゼファーが!…そして弁護側にマサツグが

一人刀を握った状態で立って行くと、パルシィが説明を続け!…

今回の流れを仕切り始める!…この時かなり特殊な様子でこの裁判を

進めて行く事を口にすると、次にはゼファーを証言台に立たせるよう!…


「…では、デグレアントの王…

[ゼファード・ディスティリア・デグレアント]!…前へ!!…」


__…ッ…コッ…コッ…コッ…コッ……ッ…


この時まだデグレアントの王である事を認める様に!…王と呼んでゼファーの

フルネームを口に!…そしてパルシィがいつもの冷静かつ冷徹な視線をスッと

向けると、ゼファーも素直に従うよう証言台へ!…そして辺りを見回すと

言った事も無く、ただ一点にジッと目の前の裁判員達に視線を向ける!…

この時も一切何も喋らず不気味な様子を露わにすると、そんなゼファーの様子に

アンジュだけが意識しているようビクビクしており!…が、それでも気にしない

様に振舞おう!と…だが見ている方からチョンバレで!…本当に大丈夫なのか?と

言った視線を傍聴席から浴びつつ!…一方でそんなアンジュなど御構い無しに

パルシィが更に話しを進めて行くと、今のゼファーに与えられる権利を口に!…


「…貴公は既に容疑者ではなく罪人なのだが!…

それでも言いたくない事はあるだろうという観点から、

一応黙秘をする権利を与えるものとする!…

しかしそれが如何様に働くかに関しては、我々の方で判断をするゆえ…

よく考えて答弁をする様に!…」


__ッ…ゴオオオォォォ!!!!…ッ!?…ッ……それってもう脅しなんじゃ?…


その権利と言うのも至って普通、それは普通の裁判でもよく聞く[黙秘権]で!…

因みにもう既に罪は確定している訳なのだが、それでもゼファーにも話したく

ない事はあるであろう!と…一応それなりに権利を守るようある事にはある!と

説明をして行くと、しかしその最後で不穏な事を!…まるで圧を掛ける様に

話しをする!…その際恐らく本人としてはそんな意図は無いのであろうが、

そのパルシィの様子から何か極寒の風が感じられ!…となると傍聴席からも

えっ?と戸惑う心の声が!…だが口に漏れ出る事はなく、それを言われた一方で

ゼファーは涼しい顔をして見せると、不敵に笑みを浮かべる!…

そしてパルシィに返事をして見せる!…


「…もはや罪状が決まって居るのに黙秘と言うのも可笑しな話ではあるが…

そもそもこの裁判を開く事自体が可笑しいと見るべきか?…

…まぁとにかく…了承した…」


その際まず罪がもう決まっている黙秘権がある事について疑問を持つと、次には

この裁判を開く事に何の意味が有るのかについて更に疑問を零し!…と、この時

この時間を茶番と嗤う様に不敵に笑い!…それでもゼファーからすれば付き合うしか

他に無く…とりあえずで了承の言葉をパルシィに返して行くと、そのゼファーの

物言いにパルシィもピクッと反応!…当然不機嫌な表情を露わにする!…

しかしそこは裁判長と言う事で、自身の感情を抑制すると、平静さを保ち!…


「ッ…癇に障る言い方だがまぁ良いだろう…

ではまず、貴公が冒してきた罪を洗い浚い確認をして行く!…

覚えがあるモノに関しては素直に認め!…

そうで無いモノは勿論反論の許可を!…

が、同時に根拠を我々に説明をする事とする!…良いな?…」


__…コクリッ……


「…では確認をして行く!!…まず最初だが……ッ~~~…ッ~~~~…」


が、それでもやはり不満を漏らすモノであり!…それこそ軽めに零した所で

改めて本題!…その際改めて犯してきた罪の確認をする事を続けて行くと、

これについてもやはり何か間違いが無いよう勧めるらしく!…

至って普通の権利を認める様に!…そして説明を理解出来たかどうか?を

ゼファーに尋ね!…ゼファーもその話を聞いて妙に若干の間を空けて行くと、

パルシィに頷いて見せる!…と、パルシィもそれを見て話しを続けて行く!…

そしてここからはもはやダイジェストの様にデグレアントがやって来た

非道な行い!…或いは侵略行為について問われて行き!…

と、その数々の問い掛けに対してゼファーは反論をする事無く!…

それはまるで返事をする必要も無い!とばかりに!…何も言わず動かず!…

ただ黙ってパルシィの言う罪をジッと聞いていると、ここでパルシィが

ピタッ!と…またそのゼファーの様子に不満を持つ!…と言うのも!…


「…であるからして、デグレアントはスノーピースに……ッ…」


__………。


「…ン、ンン!!…被告人ゼファー?…少し確認を取るが…

先程から読み上げている罪状に問題は無いのか?…

確かにどれも裏付けされてあるモノゆえ、

間違いは無い!と我々の方でも確認しては居るが?…」


ずっとパルシィが確認の為にゼファーの罪を話しているが、ゼファーはそれに

対して全く反応を見せず!…それは全部認めているのかそう感じられる一方で、

逆に反抗するようただずっと黙って居る様にも見え!…別に反省と言った反応も

見せる事無く!…不気味な程に静かでジッとパルシィの事を見詰める素振りを

露わにすると、そんなゼファーの様子に対して遂にパルシィが我慢ならない具合で

咳払い!…そして何か反応を求める様にゼファーに声を掛けて見せる!…

その際今読み上げている罪状についても、一応不備が有ってはいけない!と

ばかりに真実であるかどうか?を尋ねるのだが、そのパルシィの質問に対して

ゼファーはピクッと反応をすると…


「…ッ?…ならば別に私に確認を取る必要も無いと…私は思うが?…」


「ッ!!…ホホゥ?…」


やはり反抗的と言うか嘲笑う様に!…そのパルシィの確認に対して返事をする

必要は無い!と…更に堂々と悪びれる様子も無く!…パルシィを挑発するよう

態度も未だ改める様子を見せないで居ると、そのゼファーの受け答え態度に

パルシィもカチン!と…次には苛立ちを露わにする!…それは眉間にしわが

寄って左目の目じりがピクピクと痙攣する様子をみせるのだが、ゼファーは

そんなパルシィの様子を目にしてもこれまた態度を変えず!…

それこそ更に挑発をするよう!…


「…ッ!…あぁ…それともあれかな?…返事が無いから寂しいとでも?…」


「…如何やら余程極刑にされたいらしいな?…

…ならばいっそ!…今ここでその刑を執行しても良いのだが?…」


徐に一人納得する様なそんな反応を露わにすると、まるでパルシィをお子様

呼ばわりするよう言葉を口に!…こうして突っ掛かって来たのもパルシィが

寂しいから?と指摘して行き!…と、それを言われた方としては更にカチン!と…

もうこれ以上何か怒りの前兆?を見せる事は無いのだが…スッと徐に俯くと、

ゼファーに対して怒りの言葉を口に!…やはり看過出来ない様子で体から

冷気を放ち始める!…それこそもういっその事刑罰を執行しようか?と…

ゼファーの挑発に乗るそんな反応を露わにすると、そのパルシィの様子に

アンジュがビクッ!と…思わず書記の仕事を止めてまでパルシィに静止を

促すのだが!…


「ッ!?…パ、パルちゃん落ち着いて!!!…

これは!!…」


「…皆で公平?…面白い事を言う!…」


その際思わず親しい仲であるようパルシィを呼び!…が、問題なのは

そこではなく!…次に言った言葉で!と…!とさも自分達が

中立の立場でないといけない事を戸惑いながら口にして行くのだが、

それを聞いたゼファーは更に嘲笑う様にして言葉を!…

これの何処が中立?とばかりに今度はアンジュにツッコミを入れる!…

それはもう裁判どころの話ではなく!…そんな不遜な態度を見せる

ゼファーの様子に法廷内にどよめきが走り!…


__ッ!…どよぉ!?…


尚法廷内には最初に決めたようデグレアントの技術が流用!…

と言うのもあの猫の目をしたカメラ的なモノが宙を漂い、その法廷内の様子を

外にあるモニターで映し出しており!…何故なら法廷に収容出来る人数は

限られているからであって!…故にそれはスノーピースの広場であったり、

ギルドのホールであったりと誰もが直ぐにみられるであろう場所にそれぞれ

設置がされてあると、誰も彼もがそのモニターを凝視!…何なら法廷内とは

違うのでアレよコレよと意見が飛び交う!…因みに意見と言っても大半が

そのゼファーの態度とやってきた罪に対しての批判的な言葉ばかりで!…

法廷外の人間としてももはや許される雰囲気では勿論無く!…

が、一方でそんな事など全く知らず!…ゼファーは更に言葉を続け!…

そもそもとしてこの裁判自体を否定し始め!…


「…元よりこんな事など茶番に過ぎない!!…

…大精霊様がやりたい事はつまり…既に罪状が決まっている私を敵に!…

自分達はさも平常である事を訴えたいだけ!…私を異常者として見下し!…

ただ自身の欲求を満たすだけの!…いわば自慰行為に過ぎない!!…」


「ッ!?…何だとぉ!?…」


と言うのもこの裁判を茶番と批判!…さもパルシィの個人的な自己満足!と

話して行き、自身を目の敵にしている!と…が、問題はそこではない様子で

ゼファー自身が言葉を続け!…何でも許せないのは自分達がさも善人?…

いや正常な人間である!と…自分をさも異常者として見ているその事が!…

如何にも気に入らない!とばかりに更に言葉を続けて行くと、この裁判は

まさに自慰行為である!と…醜い承認欲求行為である事を口にする!…

するとそんな事を言われてパルシィも我慢ならない様子で更に反応を露わに

すると、思わず感情的になっては席を立ち!…が、一方でパルシィが席を

立った所でゼファーは止まらず!…


「…やはり所詮人などと言うモノは本能に従う獣達と大差はない!!…

誰が一番強者であるか周りに示し!…その権威に酔い痴れる!…

ある者は金に溺れ!!…ある者は肉欲に溺れる!!…

ある者はその権利に飢える!!…そしてそれらが満たされる事を決してない!!…」


__ッ!?…ッ…ッ~~…


それは話しが肥大化して行って業が深い様な事を口に!…所詮人と言っても動物と

変わらない!と…いや、知識や理性!…自我を持っている分、厄介!と…

そして己が欲に忠実であるよう誰も彼もが醜い化け物である様に堂々話しを続けて

行くと、遂にはゼファーの独壇場と化し!…宛らその饒舌振りは演劇の様な!…

誰も彼もが何も言えず!…ただ丸め込まれる?…いや、そう感じてしまった様に…

反論が出来ずジッと演説を続けるゼファーの様子を見詰めて居ると、まだゼファーの

主張は止まらない!…如何に人と言うモノが害悪なのか!?を語り続ける!…


「本能のままに貪り!!…飽食の限りを尽くす!!!…

それが!!…それが人と言う存在だ!!!……故に私は…

私はそんな人類を滅ぼし!!…新たに世界を作ろうとした!!!…

…だが…それも今となってはそれも叶わない!…

私の野望は見事に打ち砕かれ…そして今こうしてここにいる…

…こんなごっこにもう意味など無いのだ……さぁ…

私の罪状はもう既に決まっている!…

あとは君達で好きな様に判決を下せばいい!…そう、ただ…

ただもうそれだけなのだ…」


宛らその話は自身の父親ディマイオスの影を重ねる様に!…これが人の本性!と嬉々とする!…

或いは怒りを感じている様なとにかく複雑な感情を露わにすると、ここで本題である

ゼファーの暴走について!…その目的を堂々明かして行く!…その際改めて世界を

作り直したかった事を口にするが、その野望もマサツグ達!…魔王軍の手によって

未然に防がれ!…と、計画が破綻した事でゼファーは自暴自棄に!…

徐々に元気を失い始め!…さっさと処刑!…さもその自身の思い人が居る!…

いや会えるとは思えないがそこに旅立ちたい様なそんな姿を見せ始めると、法廷内は

不思議とシ~ンと…まるで水を打った様に静まり返る!…しかしそんな静寂を

打ち破る様に!…次には何処からともなく子供の声が聞こえて来て!…


__……スゥ~~!!…ッ!…


「「ごしゅじんさまぁせんせえぇ~~!!!…がんばってぇ~~!!!」」×2


__ッ!?…どよぉ!?…


因みにその子供の声と言うのもシロとハク!…今の今まで大人しくグレイスの

両脇に座って様子を見て居たが、徐に何を思ったかスッとその場で席を立ち!…

正確には椅子の上に立って見せると、徐に大きく息を吸い込み!…

となるといきなり立ち上がり始めた我が子の様子にグレイスも気付き!…

次にはオロオロとし始め!…が、止める間もなく次にはシロとハクがマサツグに

声援!…まさに静寂を打ち破り!…ゼファーが放つ陰鬱な雰囲気をその二人の

声援で見事に掻き消す事になって行くと、また法廷内は全体が驚く様にして

どよめきが!…辺りは騒然となって行く!…そしてその声援を受けたマサツグは

ハッと我に返るそんな様子を露わにすると、フッと思わず笑ってしまいながら

刀に手を!…


__チャキッ!!…スラアァ!!…バシュンッ!!!…ッ!?…どよぉ!?…


〈…王よ…何と嘆かわしい!…〉


「ッ!……出て来たか…」


左手に握っていた刀を突き出す様に!…水平に構えて右手で柄を握って行くと、

若干の音を立てながら抜刀!…するとマサツグの背後に幽波紋スタ○ドが!…

ならぬロードレクの幻影が姿を現す!…となるとその様子と言うのはやはり

その場に居る面々にも見えている様子で、突然の幽霊?の登場にこれまた法廷内に

どよめきが走り!…が、そんな事など御構い無し!…周りから視線を浴びながら!…

ロードレクがゼファーに呆れると言うか嘆くそんな様子と言葉を表して行くと、

ゼファーもロードレクを見はしないが!…それでもロードレクに気が付いた様子で

言葉を零す!…それは宛ら敵対して居る様に、邪魔をするな!とばかりに

威圧感を放ち!…


〈ッ……ほほぅ…随分と…一人前の目付きが出来る様になったのですな?…〉


__ッ!?…どよぉ!?…


「…何が言いたい?…」


しかしロードレクは一切怯まない!…寧ろ小馬鹿にする?…いやゼファーの師匠で

ある様に上から目線で言葉を口にすると、幻影ながらに腕を組み!…そして同じく

不遜な態度を取って見せる!…するとそんなロードレクの幻影に法廷内もまた何度目

となるどよめきが走って行くと、ゼファーもそんなロードレクに対して言葉を!…

その際初めて苛立ちを露わに!…チラッとマサツグ達の方を振り向き!…

目に見えて不機嫌なそんな表情を浮かべて見せると、一方でロードレクはそれを

見ても尚態度を崩さず!…更に言葉を続けて行く!…


〈…私がかの霊峰に向かうまでは…まだ少年程度の様に感じて居ましたが…

…なるほど…歳月と言うのは実に恐ろしいモノですな?……こうも…

こうも思い上がりが激しい馬鹿弟子を持つ事になろうとは!!…〉


__ッ!?…ッ!?!?…


それは一体いつ頃の話をしているのであろうか?…ロードレクは自身が霊峰へと

向かう前の事を話し出すと、その間の年月が一体ゼファーにとってどんなものか?…

年月は恐ろしいモノだ!と渋々語るよう話し!…と、続けてこうして化け物を

作ったのは自分であるかの様にこれまた続け!…何ならその際ゼファーの事を

馬鹿弟子!と…さもその不遜な態度の理由がこれであるかの様に続けて話すと、

そのロードレクの言葉で法廷内はこれ程までにない位に動揺が!…

今度は絶句となって辺りに広がる!…すると一方でそんな事を言われたゼファーも

更に不機嫌そうなそんな表情を浮かべて見せると、ゼファーもゼファーで

文句を漏らし!…


「…貴方も!!…いつまでも私の師匠面は止めて頂きたいモノです!!…

…私は既にこの結果を受け入れている!!…貴方に弁護をして貰う必要は!!…」


宛らその様子は反抗期の子供の様に見え!…ロードレクの存在を鬱陶しく

思って居る風に感じられると、もう師匠でも何でも無い事を改めて

言葉として口にして行き!…そしてこの結末についても満足している様な!…

とにかく邪魔をしないで欲しい事を続けて漏らし!…ロードレクの弁護も

要らない事を更に言うが、ロードレクは勿論聞き入れない!…未だ自身の弟子!と

ばかりにその最後まで面倒を見ようとする!…となるとそんなゼファーに対して

毅然とした態度を見せると!…


〈…いいえ!!…弁護は必要です!!…

これは情けないゼファー王を思うと同時に!!…

最後まで王としての責務を果たさせ!!……そして!!…

貴方を思う者達の願いを聞く為にも必要な事です!!…

…例えどんなに嘆き喚かれ様が!!…

私は私のすべき事を全うするだけです!!…〉


「ッ!!…ッ…相変わらずお節介を!!…」


ロードレクはまるで今のゼファーがへそを曲げているだけの様に話して行くと、

改めて弁護が必要である事を口に!…この時また改めてゼファーが情けない!と…

家臣として不甲斐なく思うと同時に、紛いなりにも王として席に着いたのなら!…

その職務を最後まで全うしなければならない事を更に続けて話して行くと、

これまた更にゼファーを思って居る者が居る!と…何か意味深な視線を向けて

見せる!…因みにその視線をスッとゼファーの背後を差す様に向けられて居り、

何か不気味と言うか何と言うか!…と、これらの事を言ってロードレクは

自分の職務!と…一方でそんな返事が返って来た事で!…ゼファーも更に苛立ちを…

余計なお節介!と言ってもう一つ感情を露わにして見せると、二人は睨み合う

様にして硬直!…ここから更に激しい戦いが始まろうとして行くのであった!…


尚同時にその際シロとハクはと言うと、そんなマサツグとロードレクの姿に

夢中になって見せ!…何ならまるで戦隊モノのヒーローを見る様なキラキラとした

眼差しを向け!…一方でグレイスがそれを宥める事になって行き!…

と言うのもちゃんと見て居ないと二人が飛び出して行ってしまいそうな!…

いやさすがにそこまではとは行かないと思う所ではあるのだが!…

ここは裁判所!と大人しくさせるに越した事は無く!…慌てながらもコソコソと

二人に静止を呼び掛け!…一人そんな子育てに悪戦苦闘をするお母さんの様子を

見せて居ると、この時ロードレクもチラッとその様子を見ていた様で!…

その光景を微笑ましく思うと分からない様に笑みを!…そして改めてゼファーと

向き合う姿勢を見せるのであった!…

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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

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