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-第八章-

-第八章四十七節 幼女の標的と残されたモノとただの絶望!…-

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フィロ曰く相手をしてはいけないと言う幼女を目の前にマサツグ達が動けず

固まって居ると、その間幼女は饒舌に!…自身の持論を展開する!…

それは戦争をする事でさも文明が発展する様に聞こえるもので、それと同時に

相手を蹂躙する事に何か一種の快楽を覚えて居る様な?…とにかく真面で

無い事が容易に分かり!…三人はもう話を聞かず!…この場面を如何やって

切り抜けるかと言った具合に考え出すと、まずは辺りを!…逃走経路を確認する!…


__…チラッ…チラッ……ッ…


{…出入口は当然封鎖されてるって言ってもいい状態!…

辛うじて逃げれそうなのはフィロが明けた天井の穴なんだが…}


その際相手に悟られないよう出来るだけ慎重に様子を見ると、まずは唯一と

言ってもいい出入り口の状態を確認し!…するとそこにはやはりゼファーの

残り火?の黒い炎が扉を焼き!…迂闊に触れれば火傷どころか!…呪いまで

受けそうなとにかく使用不可の状態である事が伺えると、次には視線を天井に!…

フィロの空けた穴に注目をする!…そこには外の様子が見えるよう…

そろそろ日が陰って夕方になりそうな空模様がマサツグの目に映るのだが、

逃走路として使うには如何にも天井は高く!…マサツグの身長で具体的に

187㎝はあるのだが、それの五倍六倍と言った所で!…思いっきりジャンプを

した所で絶対届かず!…結局の所やはり逃走路が無い事で相手にするしかない

のか!?と思わず覚悟を決めそうになって居ると、ここでフィロが動く!…

せめてマサツグ達だけでも!と言った一か八かに出て見せる!…


__…ッ!!…スッ…パチンッ!!…ズボオオォォ!!!…


「ッ!?…なっ!?…」


「マサツグ!!…この手に乗るでありんす!!…

それで一度外に!!…」


それは別に敵意を見せる事無く徐にスッと手を構えて見せると、パチンッ!と

音を鳴らし!…するとそれを合図に次には城の天井から巨大な腕がズボッと

入って来て!…マサツグ達の居る辺りでピタッ!と…まるでエレベーターの様に

掌がマサツグ達の居る方に向けられて行くと、突然の事にマサツグとモツは

戸惑い!…一方でフィロは外に出るよう声を掛ける!…その際何なら自身が

殿を務めるよう急ぐ様にも声を掛けるが、それを良しとしないのがディマイオスで

あり!…


《ッ!…ほう?…自分達で始めた争いであると言うのに…

分が悪くなれば逃げる…と…

…まぁ弱小なる者達であれば当然と言えば当然なのであろうが…しかし…》


__…スッ…ッ…ギュッ!…バシュウゥゥゥン!!!!…


ディマイオスは逃げようとするフィロ達の姿に気が付くと、その様子を見て

情けない!とばかりに言葉を漏らし!…と、次にはそんなフィロ達に向かい

スッと腕を伸ばして見せ!…それはまたあの重力場を作り出す様な!…

手を開いて狙いを定め!…そして次には捕まえる様にギュッと手を閉じて

見せると、重力場は重力場でも押し潰すのではなく!…引力の方の重力場を

作って見せる!…するとその引力に引かれてマサツグとモツがフラ付き始めると、

当然フィロも引っ張られ!…


「ッ!?…ちょ!?…」


「ッ!?…にょわあああぁぁぁ!!!」


「ッ!?…フィロ!!!…ッ!!…」


勿論この突然の出来事に三人は混乱!…引っ張られる感覚にすぐさましゃがみ!…

そして何とかその重力場が治まるまで三人が耐える姿勢を露わにすると、一方で

フィロは体が軽いのか!…耐え切れずにそのまま重力に引っ張られて宙を舞う!…

となるとそんな飛んでったフィロの様子にマサツグも慌ててフィロを呼ぶと、

次には覚悟を決めてバッと飛び出す様にフィロの跡を追い駆け!…結果二人は

そのまま重力場の中へと吸い込まれ!…


「ッ!?…マ、マサツグ!?…バ、馬鹿!!…

来るでない!!…来るでないいぃ!!!…」


「ウオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」


__ンバッ!!…ギュンッ!!…ガッシッ!!…


その際自身を助けに来たマサツグに対してフィロは馬鹿!と…助けなくて良い事を

マサツグに訴えて見せるのだが、肝心のマサツグは聞く耳を持たない様子で

更に勢いを!…それこそ重力場へ向かって更に飛び出すよう駆け出して行き!…

何なら自身の恐怖を払拭するよう!…叫びながら走り続け!…そして寸での所で

フィロの手を掴む事に成功すると、一気に自身の元へと引き寄せ!…フィロを

守る様にして抱き抱えて行く!…しかし二人はそのままディマイオスの作り出した

重力場の中へと入ってしまうと、後は一切姿を見せる事はそれ以降無く!…


__ズプンッ!!!…ッ!?……


「ッ!?…お、おいおい!!…嘘だろ!?…」


《…ほほう?…最後の最後で狐と一緒に滅んだか…これはこれは…》


依然として重力場は辺りのモノを飲み込み続け!…モツは目の前で仲間が死んだ

様子を当然目撃!…マサツグはまだプレイヤーであるから復活は利くが、フィロは

実質ロスト消滅であり!…その呆気ない終わり方に当然絶望!…ただ信じられない様子で

言葉を零し!…ディマイオスも最後にマサツグがフィロと一緒に消えた事を!…

フフフ!と笑いながらさも喜劇であるよう言葉を口にして見せると、次にはスッと

歩き出す!…と言うのも未だ天井から伸びている巨大な手の方へと向かって行く!…


__…スッ…ヒタッ…ヒタッ…ヒタッ…ヒタッ……ヴァッサァ!!!…ッ!?…


《…どれ?…幾方振りの外の様子を景色を確認するか…》


「ッ~~~!!!…クッ!!…」


この時今の今までその少女ディマイオスの格好はほぼ裸の状態であったのだが、その巨大な手に

向かい歩いて行くと同時に何処からともなく服が現れ!…それは少女に似合う

ワンピースから靴に手袋!…その姿は普通の女の子へとまずは変わり!…

更に王冠にマントと無から生成して見せると、その規格外の力の在り様をモツに

見せ付ける!…そして何も気にする事無く踏ん張るモツの隣を歩いて行く!…

となるとモツもそんなディマイオスの様子にハッと目を見開き驚くそんな反応を

見せるのだが、正直それ所でなく!…と言うのも言わずもがな依然として

ブラックホールが自身を吸い込んで来るからであって!…故にただ見送る事しか

そのまま出来ず!…その間にもディマイオスがその巨大な手の上に!…

浮遊してスッと着地をして行くと、巨大な手も誰かが乗った事を感じてか

引き上げる!…遂に化け物を外に出す!…


「ッ!!…クソがアァァ!!!」


《フフフッ!!…さぁ、世界はどの様に変わっているであろうか!?…

私が成し得なかった統一を!!…もう一度私自らの手で!!……ッ!?…》


モツは何も出来ずに見送る事しか出来ない事に苛立ちを覚える!…そして響く様に

吠えて見せるが、ディマイオスは嘲笑うばかりで相手にもせず!…何なら本当に

子供に戻ったよう目をキラキラと輝かせる様子を露わに!…と、そこで遂に本音を

ポロッと漏らし!…もう一度天下を治められる!…まさに強くてニューゲーム!と

言った事をワクワクとした様子で口にすると、次にはその身に異変が!…

何か胸の苦しさの様なモノを感じて行く!…それは謁見の間に居た時は全く持って

何とも無かった訳であるが、外に出た途端容態が変わり!…


《ッ…ッ~~……こ、これは!?…な、何なのだ!?…

わ、我が身に何か!!…何かが入り込んで来る様な!?…》


と言うのもフィロのギガンテスの手を借りて外の光景を見た瞬間!…

その身に何か邪気と言うか負の感情と言うか?…何か得体の知れないモノが

体の中に入って来る…とにかく異様で気色の悪い嫌な感覚を感じて行くと、

ディマイオスは途端に身を丸めて掌に蹲る!…そして自身の動悸が治まる事無く

更に早まる感覚をも感じて行く!…それは今までに経験をした事が無い様子で

ディマイオスに焦りの様なモノを感じさせると、更に動悸は留まる事無く早まり!…

一方で未だブラックホールも留まる事を全く知らず!…モツは必死に踏ん張り

続け!…この状況や後の事!…その他諸々を如何やって捌くか?で悩む様子を

見せて居ると、次には更に驚くべき事が!…


__一方のデグレアント城・謁見の間…


「ッ~~~!!!…で、如何すりゃいいんだ!!!…

ヤブとフィロは訳の分かんねぇモンに飲まれちまったし!!…

俺も絶賛ピンチなうで如何にも出来んし!!…

…何よりあのバケモンが外に出て行った!!…

となると他の連中が危ない!!!…」


__……ッ…ッ~~~…ッ!!…ッ!?…


それはまるでぼやく!…或いは文句を言う様にモツが一人大声で喋って居ると、

その話声に反応してかゼファーの身体が動きを見せ!…と、その微かな動きに

モツも気が付いた様子で次にはピクッと反応を!…その動きが見られた方へ

視線を向け!…そこでまだ息のあるゼファーの動きを目撃すると、そのゼファーの

異様なまでも生命力の高さにこれまた驚き!…そしてゼファーを凝視する!…

すると一方でゼファーもまるでゴロッと寝返りを打つよう自力で何とか仰向けに

なって見せると、その話を聞いてか次には意味深な事を口に!…


「…ッ…ッ~~~……あぁ…外に出てしまったのか…

…ッ…クククッ!…ただ体を得て舞い上がり…

その身に隠された秘密に気が付かないとは…

…これもある意味で我が血族の運命かも知れない…」


「ッ!?…ア、アンタまだ生きて!?…てか何を言って!?…」


この時モツの話からディマイオスが外に出た事を知った様子で漏らして行き!…

しかしゼファーはそれが悪手である様な!…何も分かって居ない!とディマイオスを

小馬鹿にするようポソッと言葉を漏らして見せると、静かに笑みを!…

何なら因果応報とばかりに皮肉の言葉を更に続ける!…と、一人そんな言葉を漏らす

ゼファーの様子にモツもまだ生きている事でまた驚いた言葉を漏らすと、当然更に

先程の言葉も気になった様子で質問をし!…するとそのモツの問い掛けにゼファーも

ピクッと反応をして見せ、次には自身の指先に黒い炎を!…


__ッ!……ッ……ボウッ!!…


「ッ!?…クッ!!…何処までも自己中って言うか何と言うか!!!…」


その際徐にモツへ向けてポッと灯すと、モツがこれまた反応を示し!…

この時ゼファーの行動にモツはハッとした様子で途端に警戒!…と言うのもせめて

モツだけでも道連れに!と…ゼファーが最後の攻撃?を繰り出そうとしている様に

見えてしまうと、モツはそんなゼファーに対して途端に嫌悪感を!…

それこそ自身が今抵抗出来ない事に卑怯者!とばかりに言葉を口にして見せる!…

だがそんなキレるモツに対してゼファーも苦しそうにしながらツッコミの言葉で

返事をすると、続けてある事をモツに話し!…


「…何を…ッ…勘違い…して、いる…かは…分からないが…

…ッ!!…ゲホガホッ!!…君に…お願い…したい、事が…ッ~~!!!…

…ッ…あ、あるだ……」


「ッ!?…な、何?…お願いしたい事が有るったって?…ッ!…」


そのある事と言うのもお願い!と話し…それこそ自身が喋るのもやっとと言った

様子で…それでも尚モツに頼みたい事がある!と息も絶え絶えながらにそう話すと、

話しを持ち掛けられた事でモツも途端にピクッ!と…その態度をコロッと変える!…

その際戸惑った様子で取引か何か!?と言った様子でやはり警戒をするのだが、

ゼファーはその指先の炎をモツにではなく、モツの動きを拘束するブラックホールに

向かい撃ち出し!…


__パシュンッ!!…コオォォ!!……ボゴオオオォォォォォン!!!!…ッ!?…


「な!?…な!?!?…なぁ!?!?…」


まるで拳銃を撃つ様に!…狙いを澄ましてポッと打ち出し、しかしその黒い炎も

わざわざ狙わなくてもブラックホールへと吸い込まれ!…そしてそのまま吸われて

その姿を消して行くと、次には辺りに爆発音を響かせ!…と、同時にブラック

ホールもその勢いで消滅する言った!…何ならブラックホールに吸い込まれた

モノがあちらこちらへ飛び出し!…まるで散弾銃の様に謁見の間内にまた散乱

する事になって行くと、ブラックホールが弾けた事にモツは動揺を隠せない!…

だがゼファーはモツに話しを続ける!…


「…これで…ッ…動ける様に…なったろう?…」


「ッ!!…ッ…」


意外にもその爆発でモツやゼファーに被害はなく!…その際マサツグとフィロは

何処へやら?…吸い込まれた筈の二人の姿が無い事にモツが不安を感じて居ると、

ゼファーはこれで動ける筈!と…さも助けた様に言葉を掛ける!…となるとそんな

言葉を掛けられた事でモツもハッと我に返ると、まずはゼファーの話に耳を傾け!…

と言うのも色々と気になる事が非常に多く!…何ならもしかするとあの化け物を

倒す手立てを!…何かポロッと漏らすかもしれない!と言った具合にやはり警戒を

しながら視線を向けると、ゼファーは恩着せがましく話を続け!…


「…命を…助けたんだ…今…度は…コッチ、の…お願いを…」


「…命を助けろってか?…だとしたら無理…」


倒れて動けないながらにゼファーはモツへお願い事を口に!…その際この期に

及んで笑みを浮かべて見せており!…それこそ何か企んでいる怪しい雰囲気が

感じられると、当然モツも警戒!…その際予め助ける気が無い事を告げて行く!…

それは戦争の元であるゼファーを許さない!と言った様子で!…取引に応じない

構えを見せて行くと、一方でそんなモツの言葉に対してゼファーは笑みを浮かべ

続けると更に言葉も続けて見せ!…


「…フフフッ…別に…そんな事は…ッ…望んで、いない……ただ…」


「ッ!……ただ…」


それこそモツの言った事に対して自身も望んで居ない様子で言葉を口に!…

息を切らしながらそれよりも切実!…只と言って何か真剣にお願いしたい事が

有る様なそんな様子を露わにすると、天井を見詰めたまま虚ろな目を!…

となるとモツも気になった様子で反応をする!…その際ゼファーの只と言う

言葉を復唱してそれを返事とすると、ゼファーもその返事を聞いて更に言葉を

続けて行き!…


「ただ奴を…倒して、欲しい!…ッ…それだけだ!…」


「ッ!?…倒せって!…こんな事言うのもアレだが!…

アレはアンタにとって!!…」


と言うのもあのディマイオスを倒してくれ!と…何か堪えがたい様子でその表情を

クッと変え!…これだけは如何しても叶えて欲しい事をモツへ真剣に話して行くと、

モツもそんな話をされた事で思わず戸惑う!…と、次には更にゼファーへ質問をして

見せる!…何故ならあの少女はゼファーにとっての人生の集大成と言っても

過言ではなく、アレを倒す!と言う事はゼファーの今までのモノが全て無駄になると

言う事で!…それこそ思わずゼファーの事を心配する様に言葉を口に!…

しかしそんなモツの言葉に対して、ゼファーは感情を露わにするよう!…


「だからこそなんだよ!!…」


「ッ!!…え?…」


一番に反応をするよう言葉を口に!…モツが言った言葉…或いは思った感情に

対して故に!とばかりに返事をすると、ここでモツの方へ首をゴロン!と…

その虚ろな視線を向けて行く!…するといきなりゼファーが感情的になった事で

モツも思わず戸惑うそんな反応を露わにすると、ビクッとしては固まり!…

一方でゼファーはそんなモツなど御構い無しに!…何が嫌なのか?を更に語り!…

あのままにしておけない様子でその理由まで話し出すと、最悪の事態!と…

とにかく止めて欲しい事を口にする!…


「あの子の体に!!…アレが!…入って、しまった事自体が!…

耐え難い!!…我が悲願が…ッ…失敗!…する、に…しても…

これは一番に!…ナンセンスだ!!…」


「ッ!?…そ、そこまでなのか…」


何でもゼファー曰く自身の思い人の中にディマイオスが入った事自体が

耐え難い様で、ただ失敗するにしてもこの失敗だけは許せない!と…

と言うのもその少女を殺したのは他でもないディマイオスであるからで!…

故にゼファーはディマイオスを嫌悪!…アイツはこの世に居てはいけない!と

言った憎悪の様なモノまで滲ませると、自身の失敗の中で一番ない!と…

何としても排除したい意思を伝えて見せる!…となるとそんな感情的な訴えに

モツも更に戸惑って見せると、思わず戸惑いの言葉を漏らし!…

と、同時にそんなお願いをされた所で叶えられるか如何かも怪しい所で!…


{…た、倒せって言われても…アレは倒せるモノなのか!?…

さっきみたいに動けなくされるし!!…重力?を使って攻撃して来るし!!…

…何よりフィロが言ってたあの言葉!…}


〈…もし!!…もしアレを倒せる者が居るとするなら!!!…〉


{あんな言い方をするって事は、まず真面に戦っても!!…

ダメージすら与えられない!って言っている様に聞こえたんだが!?…

しかも何か人が限定されている様な感じ!!…

少なくとも俺とヤブは違うみたいな!!……そんな奴を相手に!!…

如何やって倒せって!?…}


まず実際にまだ戦った訳では無いのだが、モツ自身ディマイオスに勝てる

ビジョンが思い浮かばない様子で悩んでしまい!…と、色々と厄介な技を

持って居た事を思い出しつつ!…更にはフィロが言っていたあの言葉!…

まるで何か倒すにしても条件がある様な!…その事から更に状況は悪く!…

尚且つその条件に当て嵌まる都合のいい人物が居るかどうか?とまで

悩み出すと、更に本当に倒せるかどうか?でこれまた悩む!…

それこそ事は暗礁に乗り上げてしまったかの様にモツは頭を抱えて見せる!…


さてそうしてモツが色々と頭を抱える事態に陥って居る一方で、ブラックホールが

消滅した事でフィロとマサツグはと言うと…一応謁見の間に放り出された様子で

瓦礫の陰に隠れて倒れており!…何ならその様子と言うのは毎度の事ながら映像から

でも確認が出来!…何なら如何なる衝撃でも壊れない映像に驚く所ではあるのだが、

誰もそんな事など気にして居らず!…ただ画面に映るその散々たる様子に各々も

心配の眼差しを向けて居ると、ここでパニックを起こす者が約数名存在しており!…


「…マ、マサツグは!?…マサツグは如何なったと言うのだ!?…

…クッ!!…肝心な所が映らないのでは役に立たないではないか!!…」


「落ち着けリーナ!!……確かに心配をする所ではあるが!!…

だからと言って我々が慌てても仕方があるまい!!…

…今は我々に出来る事をするのだ!!…あの者は生きて居る!と…

そう信じてただ行動をするのだ!!!…」


その内の一人がリーナで有り!…この時映っているのは荒れた謁見の間の全体像で、

そこにマサツグの姿が無い事で焦燥感に襲われており!…と、そんな慌てるリーナに

対してラインハルトが一喝して行き!…と言うのもまだやる事が有る様子で!…

冷静さを欠いてはいけない事を!…信じる事もまた大事である事を口にすると、

自身も心配をしながら行動を!…まるで見本となる様に振舞い始める!…そして

一喝されたリーナもビクッとラインハルトの言葉に反応をして見せると、シュンと

なるよう返事!…


「ッ!!…し、師匠……ッ…

りょ、了解しました……ッ…マサツグ…」


この時ラインハルトに返事をするがやはり内心めちゃくちゃ心配!…自身の思い人が

まさに危険な目に!…もしこれで死んで居たら!とそんな事を考えてしまうと、更に

自身の鼓動が早まる!…と、同時に途轍もない嫌な予感も感じて行く!…

しかしそれでもラインハルトの言う通りに自身の出来る事に向かって行くと、一旦は

その宙に浮く画面から視線を外し!…さてリーナで今この状態であるのだから

もう一方はトンデモナイ事になっており!…


__魔王軍本陣・玉座…


__やあぁだやあぁだやああぁだあぁぁぁぁ!!!!…


「いくのです、ぜったいにいくのですううぅぅぅ!!!!」


「せんせいが!!…せんせいがあああぁぁぁぁ!!!!」


案の定不安が爆発して母親達の手を焼く事に!…何なら今まで母親に甘えられ

なかった反動からか、見事なまでに幼児退行!…いや二人共幼児である事に

間違いは無いが、もっと言うと抑えが利かず!…逃がさないようグレイスと

くまさんが奮闘し続け!…息を切らし本当に逃がしそうになって居ると、

ミサカももしもの事態に備えて傀儡の騎士を!…それこそ百体体制で身構え

始める!…


__ズラアァ!!…ジャキンッ!!……ッ…


{…さっきはまだ一体ずつで何とか出来たから良かったものの!…

さすがに動きはバレてるだろうから万全を期さないと!…

何ならこれでも更に抜かれる様な事になったら!!…

一応オリハ君も身構えてはくれているが!…}


その際ミサカ一人でその百体を一斉に操作する様子で構えており、出来れば

そんな事態にはミサカ自身も当然したくない!と…何なら今度も止められるか

どうかが怪しい所で!…百でも駄目だったら如何しよう!と…一抹の不安を

覚えながら直ぐに動ける準備だけはして行くと、その際母親達の他にオリハも

頑張ってくれている事に応援!…何とか宥めてくれ!と切に願う!…

一方のオリハもそんな暴れるシロとハクに慌てて落ち着くよう声を掛けると、

グレイスとくまさんの援護に入り!…


「あぁ~!!…シ、シロちゃんハクちゃん、落ち着いて!!…

兄さんはそんなヤワじゃない!!…大丈夫!!…

…だと思うから安心して!!…」


「ッ!?…くぉらマサヒロ!!…

あやすんやったらちゃんとあやさんかい!!!…変に不安を煽るな!!!」


オリハはそれぞれ二人の前に立つよう交互に移動してまずは言葉を!…

マサツグはしぶとい!と…それこそ大丈夫!と言ってシロとハクを安心させようと

するのだが、最後まで自信が持てず!…と、その最後で如何にも言い切れない具合に

余計な言葉を零してしまい!…となるとそんな言葉で幼女二人は落ち着かず!…

更に暴れる様なそんな状態にへとしてしまうと、その無責任なオリハの発言に

くまさんが怒る!…地が出てしまう様にオリハにツッコミを入れて行く!…

さてそうして二人が哀れに暴れて見せて居ると、グレイスも今までこんな事が

なかったモノだから加減が分からず!…


「あ、あぁ!!…え、えぇ~っと?…ッ…ッ~~~…

…ンン!!……〔いい加減になさい?〕…」


__ゾクウゥ!?…ビタッ!!…


別にハクを抑える事位は何て事はないが!…それでもこれは宜しくない!と…

慌てて戸惑い自分なりに二人を落ち着かせるよう言葉を口にしようとすると、

まずは咳払いを一つ!…そして本気で威嚇をするよう殺気を込めてボソッと呟く!…

するとただでさえグレイスはフェンリルで女王である事から、冗談では済まない程に

違う意味でその場が凍り付き!…それは恐怖に染まった様子で各々硬直!…

それはシロとハクも例外ではなく!…


__……チラァ?…ッ?!…ッ!?!?…


「ッ!?…え!?…あ、あぁ!!…ゴ、ゴメンなさい!!…」


突如本気でグレイスが怒った!と…二人が揃って如何して!?とばかりに今にも

泣き出しそう!…と言うか泣いているが!…とにかくその恐怖で一杯の顔を

グレイスにチラッと見せて行くと、グレイスも自身がやり過ぎた事にハッ!と…

次には慌てて謝り始める!…それはその場にいるくまさんやオリハ…ミサカに

向けて発せられると、三人は酷く緊張した様子で固まっており!…それこそもう

現場は大惨事!と言った様子!…しかし二人を落ち着かせる事には成功して行き!…

リーナとは違うがマサツグの心配をそれぞれがやはり見せて居ると、

ここで話は戻り!…肝心のマサツグ達の方へと向けられる!…


__一方のデグレアント城・謁見の間…


「…ッ…んっ…クッ…ッ~~~……

こ、ここは?…た、確かわっちはあの黒い球の中に…

…ッ!?…そ、そうじゃマサツグ!!…

マサツグは何処!?……ッ!?!?…」


この時まずは瓦礫の陰に隠れる様にしてフィロが目を覚まし、その際軽い痛みを

全身に感じ!…が、そこまで重症と言う訳でも無い様らしく!…次には痛みを

堪えつつ!…瓦礫のせいで場所が変わった様な!…自身が気を失う前の記憶を

ゆっくり思い出すそんな様子を見せて行くと、次にはハッと我に返り!…

マサツグが守ってくれた事を思い出す!…となると今度はマサツグの心配を

し始めると、必死に辺りを見回しマサツグの姿を探して行き!…と、偶然にも

倒れているマサツグの姿を見つけて行くが!…そこに居たのはピクリとも

動かない!…まるで今まで見て来たデグレアントの兵士の様に!…物言わない

遺体がさも無造作に転がっている様に見えてしまうと、フィロは当然の如く絶句!…

マサツグを一点に見詰め続ける!…


__………。


「…マ、マサツグ?…悪い冗談はやめるのじゃ?……のう…マサツグ?…」


「………。」


その際フィロは気付いているのか居ないのか?…今の自身の格好はあの幼女の

姿に戻っており、力もまた失った状態である事に!…が、実際の所そんな事など

如何でも良く!…ただ目の前で倒れるマサツグに声を…またマサツグが自身を

騙す為に道化を演じて居る!とばかりに声を掛けて行くのだが、その声は震え!…

何ならマサツグからの返事はない!…ただ聞こえてくるのは謁見の間が未だ

炎上している炎の音で、何処を如何聞いてもそれがマサツグの返事に聞こえる事は

絶対に無く!…それでもフィロは信じ切れない様子で床を這い!…


__……ッ!…ッ!!…ずりぃ!…ずりぃ!…


{…ま、まだじゃ!!…こんな事で早々簡単に事切れる訳がない!!…

…そうじゃ!!…あのマサツグじゃぞ!?…

まだ未熟でありながらバルデウスを!!…その他強敵を倒して来たマサツグが!!…

こ、この様な所で果てる筈が!!!…}


「…マ、マサ…ツ…グ……ッ!?!?!?!?……ッ…」


ゆっくりとだがマサツグが倒れて居る元へと頑張って向かい!…その際自身に

言い聞かせる様に!…こんな簡単に死ぬ筈が無い事を心の中で思い続けると、

何とか這いより近付く事に成功!…次にはマサツグの命がまだ尽きて居ない事を

確認しよう!と座り直す!…その際体を無理に動かすと痛みが全身を襲うのだが、

そんな事を気にしては居れず!…と、無理に座り直した所で今度はマサツグの

腕に手を伸ばすのだが!…そこでもまた絶望!…フィロは表情を青褪めさせ!…

ガクンと力無くその場で俯く反応を露わすると、状態を物語る!…そして静かに

涙を流すのであった!…

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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

はぁ?とりあえず寝てていい?

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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

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30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

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悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

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