上 下
694 / 782
-第八章-

-第八章八節 語られる二つ名!と自身の信念!と邪魔な猫の目-

しおりを挟む



「…く、[黒鉄の破壊王]!!…」


「ッ!…え?…」


それは驚き戸惑った様子でミサカがポロッと言葉を零すと、恐らくその黒い鎧の

剣士の肩書きか何か?…何処かで聞いた事のある二つ名の様なモノを口にし!…

となるとその名前を聞いて今度はハンドレットが戸惑いを露わに!…と言うのも

ハンドレットも聞いた事が有る様子で…ピクッと反応をしてミサカの方に視線を

向けると、やはり戸惑った様子で言葉を零す!…しかしそれが誰なのか?までは

分かって居ない表情を浮かべて見せる!…一方その二つ名の様な名前に反応を

見せたのはハンドレットだけではなく!…くまさんの膝の上に治まるシロまでもが

聞き覚えのある様子で同じくピクッと…


「ッ!…くろがねの…はかいおう?…

…あれぇ?…どこかで聞き覚えが?…」


と言うのも言わずもがな何処かで聞いた事が有るから反応をした訳で!…

その際シロは不思議そうにその名前を口にすると、いつもの様に首を傾げ!…

そして聞き覚えがある事も続けて話し!…さもミサカにその[黒鉄の破壊王]の

正体について尋ねる様なイントネーションで言葉を漏らすと、ミサカもそんな

シロの反応を見てハッ!と反応…次にはちゃんと一体何処の誰なのか?を

説明するよう全員に話す!…


「ッ!…あ、あぁ!…この名前で言っても伝わり辛いよね!…

…恐らくだけど…彼の本当の名前は!…

[ラインハルト・アイアンズ]!…春野原スプリングフィールド王国の将軍だよ!!…」


「ッ!?…ええぇぇ!?…」


その際先程の名前では分かり難かった事を自ら認めて見せると、ミサカ自身も

その黒い鎧の剣士について確証はない様子で!…だがそれでも合って居る筈!と

自信を持ち…その正体を春野原スプリングフィールド王国の将軍!…[ラインハルト・アイアンズ]で

ある事を説明すると、まずその名前を聞いてハンドレットがこれまた驚き戸惑う!…

だが残りの面々はそれが何処の誰か分かって居ない様子で更に首を傾げて見せる!…


「…春野原スプリングフィールド…王国?…」


「聞いた事のない名前…」


「…ッ!…ご主人様と出会った場所!…」


この時ハクはその名前を聞いてもピンと来ない様子で首を傾げ、と言うよりも

初めて聞く名前!とばかりに地名を復唱!…と、その隣の玉座ではくまさんが

思わず本音をポロリ!…そしてそのくまさんの膝の上で収まるシロはハッ!と

思い出した様な反応を!…だがそれはラインハルトに対してではなく!…

マサツグに拾って貰った土地がそう言う名前であった!と言う事を思い出すと、

簡潔に出会いの地!と…記憶の片隅に残っていた程度で言葉を漏らす!…

するとその名前を思い出した事をきっかけにその地で出会った人物の事も

思い出して行くと、ここで何故あの黒い鎧に見覚えが有ったのか?をこれまた

ふと思い出し!…


__……ッ!…


{…はっはっは!!…いつの時代も子供は元気でないとな?…

…シロとやら!…冒険者殿から離れる出ないぞ?…そして!…

主がピンチに陥ったら助けるのも従者の務め!!…努々忘れるな?…}


「…あぁ!!…あのおっきい白熊さん!!!」


それはまるで回想に入るようパッと記憶が!…何ならそのラインハルトと最後に

交わした会話も一緒に思い出し!…その際どんな格好をして居たとか…どんな

顔をしていたとか等を…とにかく色々な事を連鎖的にドンドン繋がって行くよう

更に思い出すと、次にはシロがハッとした表情で一言!…そのラインハルトの

印象を口にする!…その際子供らしい遠慮のない例えでラインハルトを白熊!と

言うと、そのシロの言葉に反応してか戦場の方では!…


__…ッ!…ッ~~!!!…ぶえぇっくしょい!!!……ッ!…ッ…


宛らシロの言葉がまんま本人に伝わったかのよう次にはその場で大いにクシャミ!…

その際さすがに玉座に居る面々の方までは聞こえないのだが、それでもその大振りな

素振りから!…クシャミをしたであろう様子がミサカやハンドレットの目にチラッと

映る事になって行くと、それはまるで肯定された様な!…妙な返事の仕方の様にも

感じられてしまう!…さて一方の玉座でそんな頓智来な確認の仕方?をして居ると、

その返事を返した方は鼻を啜りながらその地面に転がるハドンに目をやり!…


__…ズズズッ!…はあぁ~……チラッ…


「…で、まだ続ける気で居るのか?…

運が良い事に貴公の得物が壊れた程度で…

然程ダメージは負っていない!……この状況を鑑みて!…

ここは一度退く事を考えるのが賢い将だとワシは思うが?…」


と言うのも別にハドンの事を甘く見ている訳では無いのだが、ラインハルトは

物足りない!と言った様子で続けるのか?と…その際相手の状態についても

淡々と確認をしながら言葉を口に!…そして対して怪我をして居ない様子から!…

一国の将で有るのなら!と…ここは一旦退いて再起を図るべきでもある!と

忠告も続けて行くと、そのラインハルトの忠告にハドンもピクッと反応を!…

また顔を真っ赤にして怒りの様相を露わにする!…


「ッ!?…グッ!!…ククククッ!!!…」


「退くなら今の内であるがな?…貴公が言っていた通り!!…

既に兵も撤収を完了させている!!…立て直すのなら今!!…

…さぁ!!…下らぬ教えに従いここで死ぬか!…

今一度退いて雪辱を晴らさんとするか!!…二つに一つ!!…」


それはもう恨めしそうに歯を食い縛りながらラインハルトを睨み付けると、

ゆっくりと体を起こし!…一方のラインハルトはこれがまるで訓練!とばかりに…

何故ここまで気に掛けているのか?は分からない所で有るのだが、決して

追撃をする事無く!…ずっとハドンに問い掛けるよう!…次に如何するか?と

執拗なまでにその判断を迫って行くと、徐に地面へ剣を突き刺す!…そして

まるで杖代わりに両手を置く!…それはよくある騎士の石像の様に堂々とした

態度を取って見せると、その間にもハドンは何とか立ち上がり!…


__…ザッ…ザザッ…ガッチャ、ガッチャ!!……はぁ!…はぁ!…


「…き、貴様ぁ!!…このワシをここまで虚仮にしおって!!…

それ相応の覚悟は出来ているのであろうな!?…」


この時その様子は余りにも対照的な光景で有り、ハドンはまだ若干フラ付き

ながらもラインハルトをずっと睨み!…一方のラインハルトもその態度を

崩す様子は一切無く!…依然として堂々とした立ち振る舞いを露わにして居り!…

まるで敵の攻撃が来ない事を分かっている様なそんな様子でで佇み続けると、

ここでハドンが言葉を!…ラインハルトに噛み付き始める!…それは忠告を

聞いて一旦退く様にも聞こえる一方!…後ろからそれを見ている魔王軍と

してはある種こういう風に見れてしまい!…


「…な、なぁ?…何か…」


「…あぁ!…」


__これ格の違いを見せつけてね?…


その際如何言う風に感じたか?と言うと、両者で格が全然違う!と…確かに互いに

国は違えど将軍で有り、だがその様子は天と地ほどの差があるよう感じられ!…

この時そのハドンの様子と言うのはまるで山賊の頭の様な!…態度も悪態も吐いて

居り!…同じ上に立つ者として威厳!…更には品性も感じられない三下の様に

見えてしまうと、一方でラインハルトが更に目に付く!…その態度を変えない

様子に如何にも高潔さの様なモノを感じてしまう!…恐らくハドンも何か名門と

言った騎士の生まれの者であるのだろうが、ラインハルトに遠く及ばず!…

と、カリスマの違いを目にして面々は戸惑いを露わにする一方!…


「ッ…フッ……愚問!!…」


__ッ!!…ッ~~~!!!…


ハドンの質問に対してラインハルトも反応をすると、次にはフッと軽く笑い!…

宛ら可笑しな事を聞く!とばかりに…一言端的に堂々と[愚問]と返事を口にすると、

その言葉を聞いてまたハドンが過敏に反応!…まるで馬鹿にされたようまた顔を

赤くする!…そしてその様子と言うのは勿論ラインハルトにも見えているので

あろうが、もはや本当に石像になったようその態度を変えると行った事をせず!…


「ここに参った時より我は一個の将なり!!…

何の覚悟も無く戦場に立つ事など我が生涯に一度として在らず!!!…」


__ッ!?…ザワザワッ!…ザワザワッ!…


生半可な気持ちでここには来ていない事を口にし出し!…それは今も昔も!…

そしてこれからもずっと!…このスタンスが変わる事がない事を堂々騎士らしく

宣言をして見せると、その声は軽く戦場に響き!…と、そのラインハルトの

宣言に思わず面々も動揺を露わにして見せ!…と言うのもその様子はまるで

映画のワンシーンの様な!…と、ラインハルトのカッコいい様子にどよめいて

しまい!…今が戦闘中である事ら忘れそうになって居ると、更にラインハルトが

忠告!…これが最後!と口にする!…


「…貴公こそ覚悟せよ?…今ここでは一度見逃しはするが!…

次に相見える時には容赦はせん!!……それまでに…

それまでに貴公もその気概を改めて置く事だな!!…

でなければまた惨めに逃げ帰る!…

或いはそこで命を落とすやもしれぬからなぁ!!!」


「ッ!?…グッ!!!…い、一度ならず二度もおぉぉ!!!……ッ…」


それは今は見逃す事を口にすると、二度目は無い!と…まるで情を掛けた様に

そう話しを切り出し!…更にはもう一度立ち合う際も!…本気で来なければ

痛い目に遭う事をこれまた示唆して警告をすると、その忠告を聞いてハドンは

三度怒りを!…今にも襲い掛からん勢いで怨嗟を見せる!…しかし今向かって

行っても勝てない事は明白であり、さすがにそこまで蛮勇では無く!…すると

次には肩で息を切らしながらもスッと右手を口元に運び!…


__…ピイイィィィィィ!!!…ヒヒ~~ン!!!…


「…貴様の言う通りに一度は退く!!…

だが次は絶対にその首を貰い受ける!!!…

…デグレアントの将軍として!!…

一人の騎士として!!!…一人の男として!!!!…

…必ずだ!!!…必ず貴様の首を!!!!…」


__ッ~~!!!…ハイヤッ!!…ヒヒ~~ン!!!…パカラッ!…パカラッ!…


右手の人差し指と親指で輪っかを作ると、それを徐に銜えて見せ!…と、如何やら

馬を呼ぼうとしているらしく!…慣れた様子でピュイッ!と音を鳴らして行くと、

次にはそのハドンの元に馬が一頭駆けて来る!…そしてハドンの近くでその脚を

止めて見せる!…その際あの時振り落とされた?馬にも怪我はない様子で元気に

嘶く様子を見せると、一方でハドンはまた負け惜しみを口に!…と言うのも完全に

ラインハルトを敵視している様子で言葉を吐き!…だが忠告は素直に聞く様子!…

故に今度は倒す!と息巻き続け!…馬に跨りそのままその場を後にすると、

デグレアント帝国の目の前の平原は魔王軍が制圧!…まずは最初の勝利を収める!…


因みに人知れず戦車と戦っていたドワーフ達はと言うと、敵戦車からある物を

作り出して勝利を収め!…結果被害としては負傷者百数十名と言った所で

死亡者0!…多少のイレギュラーが有ったにせよ、まずまずの出だしでミサカも

ホッと安堵すると、玉座も前進!…平原のど真ん中に陣取るよう簡易の拠点を

設け始める!…その間に魔王軍も負傷者や無理やり戦わされていた奴隷達の

手当に当たると、同時に次の戦に向けての準備を整え!…


__…ガタガタッ!!…ガタガタッ!!…


「おい急げぇ~!!!…またすぐに開戦するかもしれないからなぁ~!!!」


「…動かないで!!…ジッとして!!…」


当然現場はテンヤワンヤの大混乱の状態に!…簡易拠点の設営に全員が追われ!…

また補助班の面々も傷付いた仲間達や生き残った奴隷達の傷の手当に当たって

行くと、気が抜けない状況となっていた!…その際幸いなのはまだドワーフ達が

仲間に居ると言う事で、ドワーフ達と共に滞る事無く順調に簡易にしては中々

強固な拠点を作り!…だがそれでも気が抜けない状況である事には変わらず!…

帝都の方から不穏な空気!…それをヒシヒシと感じつつ!…急ぎ矢の補充や

敵戦車を利用した迫撃砲などを用意すると、一方でそんな戦況の変化を感じ

取ってか!…マサツグとモツもその様子にチラッと視線を向けて行く!…


「…ッ!…おいヤブ!…」


「…気が付いてるよ!…ミサカ達は上手く事を進められた!…

…って、言って良いのか悪いのか!…

それでもまぁ一先ずは満足って所か!…」


この時モツが若干驚いた様子でマサツグの事を呼んで見せると、マサツグも

気が付いている様子でモツに返事!…と言うのも別に自軍が優勢である事に

当然不満は無いのだが!…それでも何か急かされている様な!…このまま

ウカウカとはして居られない!とばかりに!…二人が揃って焦りの様なモノを

感じて居ると、とにかく先を急ぎ行動!…中間の二つ目の聖堂を目指して行く!…

そして何とか敵の目を掻い潜りつつ二つ目の聖堂に近付いて行くと、ここで

ある異変が起き!…


「…よし、クリア!…このまま前進!!…」


__…ギュムッ!!…ビィ~!!…ビィ~!!…


「ッ!?…な、何!?…」


と言うのも物陰に隠れながら辺りに何も無い事を確認して進んだにも関わらず、

まるで監視の目に見つかった様な警告音を耳に!…となると当然二人もその音を

耳にするなりビクッとして見せ!…一体この音は何!?と…更には勿論その音を

聞いた事で何か嫌な予感を感じて居ると、ここでモツがふと気配に気が付いた

様子で頭の上を!…そこでこの音の元凶!…恐らく自分達が感じる嫌な予感の

正体を見つけて行く!…


「……ッ…ッ!?…ヤブ、あれ!!」


「ッ!…え?…って、うおおぉ!?…」


モツがそこで見つけた物とはまるで猫の目玉の様な…それは明らかにこちらの事を

凝視している様に動向を開き!…大きさとしても良く占い師が使っている水晶玉位は

あり!…何ならその目玉自体が異常を伝える様に発光、更には発光に合わせて音を

出して居る様にも感じられる!…そしてモツもそんな物を見つけて途端にマサツグを

呼んで行くと、指を差してこれが元凶!と言い!…と、モツにそんな事を言われて

マサツグも反応!…その際モツをチラッと見て!…それからモツの指差すその猫の

目を同じく見つけて行くと、そんな不気味なモノが飛んでいる事で驚き!…思わず

声を上げてしまう!…さてそうしてただ見つかっただけでならまだ良かったのかも

しれないのだが、勿論そうは問屋が卸さず!…


__ビィ~!!…ビィ~!!…ヴウン!!…


「ッ!?…な!?…」


「おいおい!…こんなのが有るなんて聞いてねぇぞ!!…」


それこそ見つけた上でマサツグ達に攻撃を仕掛けると言った事は無いのだが!…

それでも次には何も無い空中に何故かウィンドウが開かれ始め、今現在の映像が

流れる!…まるで生中継がされているかの様な追尾映像がそのウィンドウに

映され始める!…となるとそんな映像が流れ始めた事で二人が更に戸惑う反応を

見せて居ると、如何やらその映像と言うのはプレイヤーのみと言った制限等は

無いらしく!…


__…おい!!…あっちだ!!…あっちの映像が流れたぞ!!!…


兵士達もその映像が出て来た事で直ぐさまマサツグ達の位置を把握!…それこそ

ちゃんと帝都のマップは頭の中に入って居る様で、若干離れた場所から声が!…

と、一方で意外と直ぐ近くに居る事でマサツグ達もその声が聞こえて来た方を

振り向いて行き!…途端に不味い!と言った慌てる素振りを露わにすると、

マサツグがこれまた当然驚きの言葉を口に!…と、同時に文句も漏らして見せる!…


「ッ!?…しかもモブにもちゃんと見えてる!?…

てかこんなモンが有るのかよ!?…」


「…無くても作れる奴が向こうに居るって事だろ!!…

…とにかく逃げるぞ!!!」


NPCにも見えている事にふざけるな!と…するとその文句に対してモツも律義に

返事をすると、この魔法は本来このゲームに無い魔法であるよう話しをし!…

何なら作れる者が向こう側に居る事もマサツグに続け!…となるとその話を聞いて

マサツグもハッ!と…しかし無駄話をしている暇など当然無く!…次には理解した

様子で途端に移動を開始すると、それでも文句を零す!…その魔法を作ったで

あろう者に向かって不満を漏らす!…


「ッ!!…そう言えばそうだったな!!…

…ったく!…面倒なモンを作りやがって!!…」


__ッ!!…いたぞぉ!!!…あそこだああぁ!!!…


恐らくNPCが作ったのでは無いであろう事を理解すると、マサツグもその人物を

知っている様子で言葉を漏らし!…と、次には直ぐに兵士達に見つかってしまい!…

まだ包囲とまでは行かないのだが!…それでもマサツグ達を追跡するよう向かって

来る様子を露わにすると、マサツグ達も構っては居られない!とばかりに逃走!…

兵士達を振り切ろうとして見せる!…しかしそれを許さない!とばかりに追って来る

モノがもう一つ!…


__ギュムッ!!…ジィ~~~…


「…ッ!!…ゲッ!!…」


「アレ追ってくんのかよ!?…てかアレを思い出すなぁ!…」


追って来るモノと言うのはあの奇妙な猫の目であり!…その際追って来る兵士達は

眼中になく、この猫の目がまるで警察航空隊の様に!…随時マサツグ達の位置・

逃走ルートを頭上から追って兵士達に表示すると、毛子の目を振り切れていない事に

雅通がこれまた驚く!…モツも追って来ている事に戸惑って見せる!…その際ふと

バルデウスと戦った時の事を思い出すと、次にはモツが普通の拳銃を抜いて行き!…


「…チッ!!…面倒だな!!」


__スッ!…バキュウゥン!!!……カッ!!……バラバラバラバラッ!!…


「…幸いな事はまだ簡単に破壊が出来る事って言った所か?…」


それこそあの時の鬱陶しさを思い出しつつ!…拳銃を手に一瞬反転をして行き!…

自身を追って来る猫の目に向かい遠慮なしにその拳銃の引き金を引いて行くと、

辺りに銃声が軽く響く!…そしてモツが放った弾丸は猫の目の中心から貫いて

見せる!…するとその目を貫いた跡から中心に全体へとヒビが入って行くと、

そのままバラバラになって砕け散り!…と、その残骸も残る事無く完全霧散!…

となるとこれで安心!とばかりにモツも安堵!…その際あの時とは違って処理が

簡単である事を零すのだが、それもつかの間の事で!…


__…ギュムッ!!…ビィ~!!…ビィ~!!…


「ッ!?…ちょ、はぁ!?…」


壊して直ぐ位にまた別の猫の目に見つかる事に!…それはまたけたたましく

警告音を鳴らし始め、それに合わせてまた発光も見られ!…と、また逃走中の

映像も全体に流れ出し!…一方で秒でまた見つかった事に当然モツも戸惑いを

隠せず!…信じられない速さに如何にも!…言葉にならない声を漏らすと、

マサツグも何と無く分かって居た様子で達観とする!…こうなると思った事を

口にする!…


「…まぁそうだな…この町全体をカバーするのにあの一個だけとは限らんよな…」


と言うのもこの帝都自体当然かなりの面積を誇っており、あの水晶玉程度の物

一個でこの帝都全体を監視出来る筈が無い!と考えられ…となると他に数が

ある事も想像が出来!…故にモツ程慌てる様子を見せる事無く…ただ淡々と

悲観する様に面倒臭い!と言った事をポロッと漏らすと、モツもそれを聞いて

ハッ!と…納得出来た様子でショックを受ける!…さてここからは更に細い道を

活用してのチェイスとなり、もはや猫の目は放置とし!…


__ビィ~!!…ビィ~!!…ビィ~!!…ビィ~!!…


「…だあああぁぁぁもう!!!…くそウルセェ!!!…

無駄だと分かってても撃ち落したくなって来る!!!…」


別に危害を加えて来る訳では無いので気にも掛けず!…とはやはり行かない様子で…

そのけたたましい音に苛立ちを覚え!…モツがまた怒りを爆発させる様に突如感情を

露わにすると、文句を漏らして拳銃を握る!…そしてまた撃ち落とそうと身構えて

見せる!…しかし幾ら撃ち落した所で恐らくまた次の猫の目が出て来るだけで、ただ

弾薬を消費するだけの無駄な行為!と…それはモツ自身もちゃんと分かっては居る

のだが、それでも五月蠅くて堪らず!…一方でその様子はまた映像として画面に

流れており!…何なら全体公開なのか?…簡易拠点を作っている面々の目の前にも

何故か画面が表示されると、その映像が流れて来た事で当然戸惑う事に!…


「な、何なんだ!?…これ!?…」


「わ、分かる訳ないだろ!?…てかこれってあの[イツカ]の…」


それはいきなり目の前にこんな物が現れた事にも驚きなのだが、そこに見知った

人物が映っている事でこれまた戸惑い!…それこそ作業の手を止めてしまう程に

思わずビックリ!…まるでアニメに集中する子供の様に!…誰もがその様子を

食い入る様に見詰めて固まって居ると、次にはデグレアント側でも遂に動きが!…

それこそ戦闘再開!と言った様子で慌しくなる!…と言うのもその壊れた帝都の

玄関口から溢れ出て来るよう兵士達が出て来て見せると、その魔王軍の簡易拠点を

ジッと見詰め!…


__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!……ッ!!…


「出て来たぞおおぉぉぉ!!!…戦闘準備ィィィィ!!!!」


その手には勿論武器が握られ、そしてその表情は更に恐怖で染まっており!…

と、ここで勝たねば後が無い!と…そんな狂気に満ちた何か負のオーラの様な

モノが感じられると、それを見つけた一人の者が直ぐさま吠える!…

危険が今すぐそこまで迫って来ている事を口にする!…それこそこちらとて

負ける訳には行かない!とばかりに戦闘準備!と更に吠えると、その者の声を

聞いて全員がハッと我に返り!…そこからは第二回戦の始まりで有り!…

動ける者は前に!…武器を手にその兵士達へ構えて見せる!…


__ッ!!…バババッ!!!…ジャキキキキ!!!…ジリッ…ジリッ…


「…さぁて、ここからが本番みたいだね!…」


それこそ腰位に築いた壁を飛び越えすぐさま威嚇!…それ以上近付けば容赦は

しない!とばかりに!…と、デグレアント側もそんな相手の動きを見て途端に

警戒の体勢を見せ出し!…腰を落として身構える!…それこそ真正面からの

衝突も辞さない覚悟を露わにすると、玉座からその様子を見下ろしている

ミサカも!…ここからが本番である事を口にする!…その際ここまで体力を

温存して来た!…オリハやハンドレットも動き出すと、遂に参戦の意志を露わに

前線へ立ち!…


__…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ダンッ!…ズシャアアアァァァァン!!!…


「……ふうぅ~!…」


「ッ!?……ッ…やっと…出番が回って来た…ってところですね?…」


この時オリハは既に武器を抜き身で抜いては歩いてさも大人しい感じで本隊と

合流!…しかしその様子は幹部クラスの様であり!…敵兵達に如何にも不穏な

威圧感の様なモノを放って行くと、一方でハンドレットは玉座から飛び!…

それはまるで某・心を折るダークファンタジー宜しく!…ダークでソウルな

ゲームの序盤に出て来る!…あの牛頭の化け物が飛んで来た様な登場で敵兵士達の

注目を集めて行くと、ゆっくりと息を吹きながらスッと立ち!…その際既に

アップは済んでいる様子で体から湯気が!…と、そんな派手な登場の仕方に

オリハも驚き!…と言っても顔には出さず!…互いに出番が回って来た事を

口にすると、ハンドレットもそれに応えるようボソッと返事!…先程のインパクトを

残して行く!…


「…そうですね!…」


と言うのもここでオリハに敬語で挨拶をしてしまうと、何か自身の演じるキャラが

壊れる様な気を感じ!…故に相手にバレないようボソッ!と声を…オマケにオリハが

獣人である事から!…聞き取れない筈が無い!と…何なら都合が良い!とばかりに

小声で挨拶をして行くと、両手に鈍器を握って直ぐに臨戦態勢!…まさに魔獣が如く

威圧感を放って見せる!…するとそれは功を奏したのか目の前の兵士達も思わず

委縮する反応を露わにすると、同時に絶望する様な表情を浮かべ!…一方でミサカも

そんな様子を見て思わず苦笑いをする始末で!…何だかんだでノリノリの様子の

ハンドレットに!…初動の安心感を覚えて行くと、ここでマサツグ達が映る画面を

チラッ!…その様子を確認する!…


「…この分なら最初は問題無さそう!……で、こっちは見た感じ…

モツ君は何とかくまさんと合流出来たみたいだし…

…何であそこまで行っているのかは分からないけど…」


その際その画面にはモツと共に帝都内を駆け回るマサツグ扮するくまさんの姿が

映って居ると、二人とも合流出来た事!…更にまだ無事である事に安堵し!…

と、同時に何で帝都内に侵入しているのか?についても疑問を持ち出し!…

するとその言葉でマサツグに扮するくまさんがビクッ!と…思わず反射的に

ミサカから視線を逸らす様なそんな反応を露わにすると、その膝の上に乗って

居るシロもこれまた疑問を!…何なら首を傾げて不信感を持つ!…


__ッ!?……フイッ……ッ!…ッ?…


「…ごしゅじん…さま?……ンン~?…ンン~?…」


それこそまるでこれが本物のマサツグで無い?…と言ったまだ確証の持てない

表情を浮かべて見せると、ジッとマサツグに扮するくまさんを見詰め!…

だが幾らシロが調べても臭いも体格もマサツグそのもの!…故にシロは更に

悩んで戸惑い!…分からない事で一人モジモジとするそんな様子を見せて

居ると、次にはそんなシロの事など当然御構い無し!…帝都の方向から突如

謎の声が聞こえて来る!…


〈…諸君!…ここまでの長い旅路…ご苦労である!…〉


「ッ!?…これは!?…」


「…とにかく警戒をするに越した事はないだろうね!!…」


それは魔王連合軍の面々に呼び掛けるよう聞こえて来ると、宛ら町内放送の

スピーカーの様に響いても聞こえ!…となると突如自分達に向けて声を掛けて

来た事に各々は戸惑い!…だが次には機敏に警戒を露わにして行き!…

身構える素振りも勿論!とばかりに!…とにかく辺りを見回し何か異変が

無いかどうか?を見て回ると、向こうは如何やら最終決戦前の挨拶をしに

来たのか!…徐に今喋っている者が誰なのか?を…自ら名乗り始めるので

あった!…

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

処理中です...