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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章七十八節 事後処理とマサツグの貫禄と謎の賑わい-

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炊飯器から救助された少女は面々の持って来たベッドへ横に!…そしてそのまま

放置する訳にも当然行かず!…ベッドに寝かせたままそのベッドが有った所に

持って行くと、一方でドワーフ達は炊飯器の解体作業を進める!…まるでその

仕組みを一つ一つ理解する様に観察もしていた!…もしかすると同じ物を作る気で

居るのか、その目は至って真剣で!…と、同時にまるで子供の様にキラキラと

輝き!…


「…よし!…これでここの奇妙な部品が外れる筈!!…せぇ~の!!」


__ガコンッ!!…ドサァ!!…ふぅ~……ジィ~~…パシャッ!…パシャッ!…


さすがドワーフ!と言った所でドンドン解体!…遂には装甲全てが剥がれて

丸裸に!…その中身もまるで最初から!…構造が分かっている様子で慎重に

手早くパーツごとに解体がされて置かれて行くと、その炊飯器のメカニズムを

各々が学習!…何なら同じく興味を持った魔王軍面々も観察する!…

それはこれを転用すれば某・ロボットアニメの様な期待を作れるのでは!?と

言った様子で皆真剣にメモを取ったりスクショを取ったり!…と、そんな様子を

見せて居る一方、あるドワーフ達もその炊飯器のパーツを見て何か静かに

ショックを受け!…


「…これがその飛行するに当たって必要となっておったパーツじゃろうな?…

…しかし改めて見て思う!…よもやこの様なモノが在るとは!!…

自慢じゃないがワシらの技術は世界一と思っておったのに!…」


と言うのもやはり物作りに対してプライドが有り!…幾ら非人道的とは言え、

これは自分達では作れない!と…明確に自分達の技術が敵国より劣っている事を

こうして目の当たりにした事で、驚きの言葉と同時にショックを漏らし!…

改めて世界は広い!と…いや井の中の蛙であった!とばかりに一人のドワーフが

パーツを見詰め渋々そう感想を口にすると、その言葉にまたもう一人のドワーフも

反応!…そのドワーフに励ます様なそんな言葉を掛けて行く!…


「…これを機にその技術を盗むとしよう!!…

勿論この様な悪用をするのではなく!…ワシらなりの利便性を求めてな?…」


それは自分も一緒!と気持ちを伝える様に相手の肩に手を掛けると、その目の前の

パーツをジッと見てやる気を見せ!…そして同時に自身の職人魂に火が点いた

様子でもあり!…二番煎じでも構わない!…まずは知る事が大事!と…堂々と

その技術を盗む事を口にすると、勿論節度も弁える様に!…自分達なりに進めば

いい事を更に告げる!…それはまるで焦ってもいいモノは出来ない!と言わん

ばかりに自身にも言い聞かせるよう話すと、励まされていたドワーフもそれを

聞いてフッとやる気を出し始め!…


「ッ!…そうじゃな!!…こう言った事に関しては!!…

やはり負けたくは無いからなぁ!!…」


コッチに至っては負けん気にも火が点いた様子であり!…デグレアントに対して

ライバル心を燃やし!…この技術を自分のモノにする!と意気込む姿勢を露わに

すると、その慰めてくれたドワーフと共に炊飯器のパーツを観察!…メカニズムを

頭の中に叩き込む!…さてそうして色々とその炊飯器に対して各々思いを馳せて

居ると、一方でマサツグの治療が…ナイフで掌をザックリ切り!…未だ血が止まる

気配を見せないで居ると、マサツグに駆け寄ってくれた僧侶が魔法を!…


「《かの者の苦痛を拭い去らん!…ヒール!!》


__パアアアァァァ!!…シュウウゥゥゥ!!……グッ!…グッ!…


「…よし!…すまねぇ、助かった!!…」


僧侶はそのマサツグの掌の傷の具合を確認すると、すぐさま魔法を詠唱開始!…

そしてものの数秒で魔法を唱えてマサツグに向かいその効果を付与!…

するとマサツグの手は優しい緑の光に包まれて行き!…直ぐに止血から傷口の

再生までを一気に終わらせてしまうと、マサツグも手を動かし握って確認!…

回復した事を実感をする!…そして治療をしてくれたその僧侶に対してお礼の

言葉を口にすると、僧侶もマサツグにお礼を言われた事で何故かモジモジと

して見せ!…と、一方で落ち着いた所でモツも参加!…と言うのもこの後の

予定はなく…全員の状態からもう移動がない事を察して行くと、如何するか?と

時間潰しについて話をする!…尚、現在時刻はまだ正午を少し過ぎた位で…


「…で、この後どうする?…もう直ぐデグレアントとぶつかる事になるんだが…

今日はこの調子じゃ無理だろ…なんせ移動式の玉座はアレだし…

他の皆もあの爆破騒動で色々と疲れているだろうからな?…

…出来れば俺としてはこの街に長居はしたくない所なんだが…」


「ッ!…え?…何か有ったのか?…」


何なら改めて今の自分達の状態について話をして行き、やはりとても移動できる

状態では無い!と…しかしそんな状態とは裏腹にモツは如何にも移動をしたい

様子であり!…と言うのもやはりSAN値が如何にも…若干青褪め様にして何か

含みの有る言葉を口にすると、その言葉にマサツグもピクッと反応!…次には

訳を聞いて行く!…するとその言葉に対してモツも更に反応をすると、本当は

説明をしたくない様子で言葉を口に!…


「ッ!…い、いや…ッ…それは……じ、実はだな…」


__…チラッ…チラッ…チラッ…チラッ……ッ?…チラッ?…


それは勿論言い淀む様にして言葉を漏らし!…視線をあちらこちらに向けて

見せると、如何にも落ち着かない様子を露わに!…特に地面に向けては絶対に

視線を落とそうとはせず!…その様子にマサツグも当然気付き!…地面に何か

有るのか?とここで妙な察しの良さを見せて行くと、視線を下に落とす!…

しかし向けた所でそこには何も無く、石のタイルしか目に入らない!…となると

余計に不可解!とばかりに戸惑うのだが、ここで更にある異変が!…


「…あっ!…居った居った!!…おぉ~い!!」


「ッ!…え?…って、親父?…」


そのある異変と言うのもある者の登場によって話が急展開を迎える事で!…

そのある者と言うのもマサキであり!…何処からかスッと慌てた様子で

その姿を現すと、次にはマサツグ達へ向けて声を掛ける!…となるとそんな

マサキの呼び声にマサツグも気が付いた様子で反応をする!…すると次には

振り返ってマサキを確認すると、今度はそのマサキの慌て様にこれまた戸惑い!…

それは今日は本当に忙しい!と言った様子で構えて行き!…次にはマサキが

慌てた様子のままマサツグへ向かい駆け寄って来ると、その異変について

話をする!…


「ハァ!…ハァ!…ま、まぁ~つぐ!!…ちょっとエェか!?…

何か急に!!…シロちゃんとハクちゃんの様子が!!…可笑しなって!!…」


「ッ!?…え!?…そ、それって如何言う!?…」


何でもマサキが言うにはシロとハクの様子が可笑しい!と、息を切らしながら

マサツグへそう簡単に説明をし!…となるとその話を聞いて途端にマサツグも

ピクッと反応!…何ならその話は他の面々にも聞こえていたのか!…当然!と

ばかりにとあるクランが機敏に反応を示し!…各々も思わず耳を澄ませる

そんな様子を露わにすると、マサキも構わず一体如何言う事か?を説明する!…

その際マサキの口から如何にも信じがたい内容が出て来る事に!…


「な、何かずっと地面を気にしとって!…それこそついさっきや!!…

急に床に耳を当てたと思たらズリズリズリズリその状態で移動し出して!…」


「……へ?…」


そのマサキ曰く異変と言うのはついさっきの出来事の様で、シロとハクが

二人揃って妙に地面を気にして居る!と…そしてその様子も徐々に徐々にと

異変が見られる様になり!…遂には奇妙な行動をし始めた事を口にすると、

マサツグもそんな話を聞かされた事でもう一度戸惑う事に!…当然一体

如何言う事なのか?と言った具合でとにかく理解に苦しみ始める!…それこそ

訳が分からない!と言った様子で首を傾げる様子を見せると、一方で戸惑う

マサツグを余所にマサキが居ても立っても居られない反応を!…


「…ッ…あぁ~もう!!…口で説明しても埒が明かん!!…

直に見た方が早い!!…とにかく来てくれ!!!…」


「ッ!?…わ、分かった!!…」


それこそマサツグの反応が鈍い事に苛立ちを隠せず、遂には説明を放棄!…

そして実物を見た方が早い!と言い出し!…マサツグの手を掴むなり連行!…

シロとハクの居る場所へマサツグを連れて行こうとすると、付いて来るよう

指示!…となるとマサツグも戸惑いながら返事をする!…そしてマサキに

手を曳かれドナドナされると、その他の連中も様子が気になった具合で

付いて行き!…と、一行が向かった先はもう誰も仕事をしていない宿屋で

有り!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ッ!…キイィィ!!…


「…おぉ~い、戻って来たでぇ~!!」


__ッ!!…ドタドタドタドタ!!!…ッ!?…バババッ!!…


如何やらそこでくまさん達と休んで居たらしく…マサキがマサツグを連れて

戻って来た事を口にすると、次にはシロとハクがピクッと反応をしたのか!…

ドタドタ!と駆けて来る足音を耳にし!…となるとそんな足音にマサツグも

途端に機敏に反応!…その際若干腰を落とし!…いつでもマサキの拘束から

逃れられる状態にして行くと、次には案の定と言った具合に!…シロとハクが

飛んで来る!…


「「ごぉ~しゅ~じぃ~んん~さぁ~まぁ~せぇ~んん~せぇ~えぇ~!!!」」×2


「ッ!!!…親父、逃げ!!!…」


__ギュンッ!!!…ドゴオオオォォォォォ!!!!…ッ!?…


それはまるで父親が戻って来た事に歓喜する子供の様に!…尻尾をパタパタと

振りながら!…目を輝かせて更に両手を広げつつ二人揃ってマサツグへ向かい

駆けて行くと、次の瞬間マサツグはマサキの手を瞬時に払い除け!…

逃げるよう言葉を口にする!…すると突然の事でマサキもハッと戸惑うと、

咄嗟には動けず!…しかしそこはマサツグも慣れたもので!…手を振り払う際の

勢いでノックバック!…マサキを何とか自分より離れるよう仕向ける事に成功

すると、本日二度目となる腹部と胸部にかけてのロケット頭突き!…やはり二発

同時に喰らって行く!…その際辺り一帯に鈍い音を響き渡ると、マサツグも

それに対して歯をグッ!と食い縛り!…


__ギャギャギャギャギャギャギャギャアアアァァァァ!!!!………ッ…


シロとハクがマサツグに接触した瞬間、マサツグの背中から何か衝撃波が抜ける様な

幻影が見え!…と、そのまま二人を受け止め扉をブチ破る事になり!…マサツグが

踏ん張るが勢いは死なず!…激しいスキール音を立ててその床や通路にブレーキ痕の

様なモノを刻んで行くと、その様子に勿論付いて来た面々が驚愕!…何ならマサキも

慌てて見せる!…それは改めてシロとハクがフェンリルである!と言う事を物語って

いる様に感じてしまうと、一方で耐え切ったマサツグは二人を抱えてニコッと

笑い!…


「…ダハァ!!!…ふぅ~…シロ、ハクただいま!!…」


__ドヨッ!?…ザワザワッ!!…ザワザワッ!!…


まるで苦痛を逃がす様に言葉を口に、そしてそこから一息吐き!…そこからシロと

ハクの名前を呼んでさも慣れている様子で笑って見せると、何事も無く挨拶!…

となるとそんなマサツグの様子に当然どよめき!…アレを喰らって何故平気なのか?

と言った審議の様なモノが始まると、更に視線を集めて行く!…それは明らかに

何か特殊演出とかではなくガチの様子で、勿論並の者なら今ので死んで居る!と…

だがマサツグは何ともない様子でそこにずっと立ち続け!…これが二人の飼い主!

とばかりに!…堂々と二人を抱えて未だ容態が変わる様子を見せないで居ると、

一方でシロとハクも自分達を受け止めて貰えた事で尻尾を振って更に喜び!…


「ッ~~~!!!…ご主人様!!!…お帰りなさぁ~い!!!」


「お帰りなさいです!!!…先生!!!」


この時二人もこの事に対してさも普通とばかりに慌てる様子を一切見せず、

マサツグの挨拶にそれぞれちゃんと返事をして行き!…そして更に甘える

様にして自身の頭を擦り付け!…マサツグもマサツグでそれを笑顔で

黙って受ける!…さもここまでが一巡の流れである!とばかりに!…ただ

微笑みを浮かべてその場から一歩も動かないで居ると、漸くその様子に

変化が!…徐々に周りが可笑しい!と様子を察して行く!…と言うのも…


__……たりぃ……ポタッ…ポタッ……ッ!?!?…


「…ま、まさか!?…こ、これが究極の愛と言うヤツなのか!?…」


「さ、さすがだ!!…さすが過ぎる!!!…」


シロとハクを抱えているマサツグの口元をよく見ると、何やら赤い線が重力に

沿って伸びており!…と、それは顎先まで伸びて行くと次には滴り!…シロと

ハクも気が付いて居ない様子でただ一心不乱に甘えて行くと、その頭に赤い

液体を浴びる事に!…だがやはり気が付いて居ない様子で甘えに甘える!…

となるとそのマサツグの口元から垂れている赤い液体は何なのか?と言う話

なのだが、言わずもがな吐血で!…要は何ともないのではなくただのやせ我慢!…

二人を心配させない様に必死に耐え!…自分の弱さを見せない様に今まさに

踏ん張り続けているのだ!と言う事が周りにも理解されて行くと、次にはその

マサツグの姿に称賛の眼差し!…思わず言葉も出て来てしまう!…さてそんな

茶番の様な事をやって居ると、くまさんも宿屋から出て来て何事!?と言い…


「…な、何か豪い鈍い音が聞こえたけど如何し…って、なにこれ?…」


やはりあの鈍く響く様な衝撃音を聞いて出て来た様であり、くまさんは音の事を

尋ねながらノソノソと…と、そこで今しがた扉がぶち破られたであろう光景を

目にして行くと、更には妙な黒いブレーキ痕の様なモノを見つけ!…となると

くまさんも来た時はこんなモノはなかった筈!と…視線を下に向けてこれは何?と

近くに居たマサキに声を掛けると、マサキもくまさんに声を掛けられた事で

ピクッと反応!…しかし次にはそのくまさんへの説明に困ってしまう!…


「ッ!…あ、いや…もうどっから説明したら良いんか分からん…」


「ッ!…え?…」


それはいざ普通に起きた事を説明しても、常人が聞けばとても信じられる様な

内容ではなく!…何ならマサキ自身も未だこの状況を受け入れられて居ない

様子で固まっており!…一体如何説明したものか?と…それこそこの話の発端で

さえ何故か分からなくなった様な悩む反応を露わにすると、勿論そんなマサキの

様子にくまさん自身も困惑!…戸惑いの言葉を漏らして見せる!…

一方でマサツグもここで漸く落ち着きと言うか何とか冷静に判断が出来る状態に

なって行くと、そのマサキの言っていた事を何と無く理解し!…


__……ッ!…


{…んん?…右頬が煤けて?…ハクは左頬が煤けてるのか?…

…ッ!…それに擦ったせいか薄っすら赤くなってるし!…}


と言うのもマサツグが改めてシロとハクの顔を注視すると、そこにはそれぞれ

顔半分が何故か煤けている二人の顔が目に映り!…その際シロは右頬を中心に

黒く煤けて居るのがハッキリ見られ、ハクは逆に左頬を中心に黒く煤けて居る

のがこれまた見られ!…と、まるで二人共顔を床に擦り付けていた様な煤け方で!…

何なら擦り傷らしきモノも薄っすら見て取れ!…マサツグもそれを見て漸く

マサキの言っていた事を理解すると、続けてその原因について考え始める!…

しかしその前にふとある事が気になってしまう!…


「…ッ!?…って、ちょ!?…シロ、ハク!!…服!!…」


この時マサツグが気になった事と言うのも今の二人の格好で!…二人ともやはり

四つん這いになって移動をしていたのか!…両肘から先が同じく黒く煤けて居り、

膝も丸くこれまた煤け!…まぁ確かに当然歩きながら顔を床に擦り付けていた

なんてとても器用な事が出来る筈も無い訳で!…何なら首元も若干汚れている

のが見受けられ!…床に耳を当てていたせいか白い耳も片側だけ黒く変色している

のが確認出来ると、当然マサツグが慌てて反応!…シロとハクにツッコミを

入れる!…となるとそのマサツグのツッコミに対してシロとハクも反応をすると、

漸く今の自分達の状態に気が付き!…


「ッ!…え?…あっ…」


「ッ!?…あっ!…ッ…ッ~~~!!…」


シロはマサツグの言葉と視線に反応してチラッと確認、すると自身が汚れている事に

気の抜けた声を漏らして見せ!…一方でハクは今自分が着ている服が汚れた事に!…

まずはシロと同じくハッと気が付いた様子で自身の状態を見回し始め!…

そこでマサツグの言う通りに自身と服が汚れている事を確認すると、次には若干の

ショックを露わにする!…と、同時に何故かオロオロとするそんな反応も見せて

行く!…それは宛らまるで着替えが無い事に慌てて狼狽えるそんな素振りの様にも

見えてしまうと、とにかく如何しよう!?と言った表情を浮かべ!…となると一方で

マサツグもそんな二人の反応に呆れてしまい!…


__…ッ…ングッ!…はあぁ~……ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…あぁ~くまさん?…このお転婆達を身綺麗にしてくれる?…

服はコッチで用意するから…」


「ッ!…え?…あ、うん…」


次には吐血を飲み込んでダメージを誤魔化し!…そこから溜息を一つ吐いて

くまさんの居る宿屋の方へと歩き出すと、同時にくまさんにあるお願いを!…

シロとハクをお風呂に入れるよう協力を願う!…その際ハクにも聞こえるよう

着替えの心配がない事を口にすると、くまさんも突然のお願いで勿論戸惑い!…

と言うのも未だブレーキ痕の説明についても無いままであって!…何なら

マサキの戸惑い様についても不明のまま!…そんな中でのこのお願いであって、

え?…説明は?と言った表情を浮かべるのだが、それでもマサツグのお願いを

請け負う様子!…返事をしては宿屋の奥へと戻って行く!…その際首を傾げて

見せるが、マサツグは構わずくまさんの後を追い!…


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ……ムイッ!…ムイッ!…


「…じゃあくまさん頼むわ!…こっちはこっちで適当に見繕うから!…」


まるでもうその宿屋の事を知っている様子で奥へと進み、そしてくまさん達四人は

揃って脱衣所に!…と言ってもマサツグはその脱衣所の中までは入って行かず、

と言うか当然ながら入れず!…とにかく手前でシロとハクを体から引き剥がし…

お願いをしたくまさんに預けるよう二人の背中を押して行くと、直ぐさま自身の

アイテムポーチを開き!…そして二人の着替えを探し始める!…その際ゴソゴソと

アイテムポーチに手を突っ込み女児服をポンポン出す様子は、宛ら危ない人の様に

見えるのだが!…


「ッ!…う、うん…あ、後で説明お願いね?…

…じゃあ、キレイキレイしようねェ~?…」


__ガチャッ!…キイイィィ!!…バタンッ!…


が、くまさんからそんなツッコミを受ける事は決してなく!…それよりもちゃんと

後で説明を求め!…そのマサツグが出した女児服を数着…手に取ってシロとハクと

共に脱衣所の中へ入って行くと、シロとハクはお風呂に!…その間マサツグも

宿屋のホールで待つ事となって行く!…さてそうして待ち時間暇をしながら改めて

シロとハクの奇行について考え事をしようとすると、既にその宿屋のホールには

何故か他の面々達の姿が有り!…


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ……ワイワイ!!…ガヤガヤ!!…


「ッ!…え、何で?…」


勿論その宿屋の店主から店員も居ない事でホールは全く機能はしておらず、

それでも厨房を探せば酒位は出て来るかも?と言った位で…とにかくまるで

いつもの変わらない宿屋の様な賑わい様を見せており!…その際各々思い思いの

過ごし方を!…仲間と談笑を楽しみ!…またある者達は力比べをする様に

腕相撲をする様子を見せて居ると、何も出来ない宿屋に人が集まって来た事で

マサツグは困惑!…これは?と言った戸惑い様を露わにする!…そしてこの様子に

思わず言葉を零して固まって居ると、モツもこの騒ぎを聞きつけた様子で

やって来て!…


「…ッ!…な、何だこの賑わい様!?…え、人居たの?…」


「ッ!…モツ!…いや居ない筈なんだが?…」


それもその筈本来無人の宿屋である筈が、入って来るなりこの光景であり!…

するとモツもマサツグ同様に思わず驚き戸惑い出し!…次には人が居たのか?と

言った誤解までする始末に!…そのモツの問い掛けに対してマサツグもピクッと

振り向き反応をして見せると、ハッキリと居ない!と返事を口に!…

そして改めてこの盛り上がり様は何!?と言った具合で固まってしまう!…

その際そんなマサツグ達の事など御構い無し、とにかくどんちゃん騒ぎで!…

と、ここでマサキも漸く我に返った様子でマサツグへ近付くなり声を掛け出し!…


「きゅ、急に何やこれは?…今度は何の騒ぎなんや?…」


「わ、分からん!!…分からんけど何か急に!…」


それは当然とばかりにこの場の空気に付いて行けない様子で戸惑って見せ!…

その様子を見ているマサツグにこの騒ぎは何?と慌てて直球で質問をして行くと、

マサツグもピクッと反応をするなり更に戸惑った具合で返事!…マサキへ首を

左右に振って見せる!…そしてとにかくこの状況にマサツグも付いて行けない

反応を露わにすると、一方でまたこの騒ぎを聞きつけて来たのか今度はミサカと

ハンドレットも合流して行き!…


「…何か賑やかな声が聞こえて来たから来たんだけど…これは?…」


「…ッ!…もしかして人が居たとか?…」


__ッ!…チラッ?…フルフルッ……ッ!…ッ??…


やはりこの騒ぎは表まで漏れている様子であり、その際彼女らもこの面々の騒ぎ様に

何事?と言った感じで質問を!…と、次にはハンドレットもこの光景を見てまずは

モツと同じ誤解をしたらしく!…人が居たのでは?と閃いた具合に言葉を口に!…

しかしそこでマサツグやモツがハンドレットの方を振り向き始め!…無言で首を横に

振ると言った!…ハンドレットの憶測が間違っている事を伝えて行くと、そんな

マサツグ達の反応にハンドレットまでもが戸惑い!…ではこの騒ぎは?と腕を組み

その騒いでいる者達の様子をジッと見詰める!…それこそまるで観察する様にジッと

ブレる事無く見詰め続けて見せると、次にはハッと察した様子で目を見開き!…


__…じぃ~~~…………ッ!…チラッ?…


「…ちょっとしてシロちゃんとハクちゃんに何か有りました?…」


__ビクゥ!!!…タジッ…


と言うのも途端にマサツグの方へと振り向き出すと、直ぐにシロとハクの事に

ついて何か分かった様子で質問をし!…と、そのハンドレットの質問が聞こえた

瞬間ホール内に緊張が静かに走り!…それはまるで図星を突かれた様に各々が

思わずビクッ!と反応!…中には思いっきり冷や汗を掻く様にたじろぐ者も!…

となるとハンドレットも返事を聞かずに更に察し!…そのホールに集まって

居る者達に対してジト~ッとした疑いの視線を向けて行くと、マサツグも能天気に

質問に答え!…


「ッ!…え?…あ、あぁ!…

ちょっとシロとハクが汚れたから今お風呂に行ってるが…如何した?…」


「…なぁ~るほどぉ~?…」


何にも分かっていない様子で戸惑いながらに言葉を口に!…その際二人の行き先は

お風呂!と言い…シロとハクがこの後湯上り姿で登場する様な事を更に話すと、

これまたホール内に激震が静かに走る!…と、同時に更にハンドレットの視線も

強くなる!…この時そのホールに集まって居る者達の魂胆も分かった様子で端から

端まで見回して行くと、妙に含みの有る様子で納得した返事を!…すると同じく

何かを察した様子でミサカが苦笑いをして見せ!…


「あ、あはははは……あぁ~マサツグ君?…

あんまりそう言う事は言わない方が良いかな?…

如何やら彼らには刺激が強過ぎるみたいだし?…」


「……え?…」


一体如何言う事なのか?は分かった様だが決してそこからは言葉にしない!…

代りにマサツグへ注意の言葉を口にし!…何やらシロとハクにやはり原因が

ある様な仄めかす言葉を口にすると、マサツグはここでお得意の朴念仁!…

本気で分かっていない様子で戸惑って見せる!…一方で自分の組の不始末は

自分で付ける!と、ハンドレットが睨みを利かし!…何やらペナルティを考

えると、次には実行に移す様な!…鬼のクラマスクランマスター振りを発揮する!…


「…後で地獄の耐久でも科しますかぁ!…

我々も明日には大戦でしょうし?…

ここいらで一つ追い込みを!!…」


__ビクゥビクゥ!!!…タジッ…


言語道断・乙女の大敵!…まさに仁王立ちでその者達を睨みつけ!…今からまるで

遠征に出る様なそんな事を口にすると、これも明日の大戦に繋がる!と言葉を!…

一切の容赦の無さを見せて行く!…その際その背中からはまるで闘気が溢れ出る

よう何故か湯気が出て来ており、一人ムンムンとし!…と、そんなハンドレットの

様子に周りも恐々!…しかしだからと言って文句は出て来ず!…誰もが諦めた様子で

項垂れその場に固まって居ると、モツも何と無く察した様子であぁ~…っと…

何か呆れるそんな反応を露わにする!…


__………。


{…これが…このゲームの三大クランの一角なんだよなぁ…

こうやって見ると全く持って信じられないんだが…

それでも戦闘になると心強いと言うか…何と言うか…}


__フシュゥ~~!!!…フシュゥ~~!!!…


この時口では漏らさないが頭では思わず考え、これが三大クランの一角なのか?と…

何か思わず情けなく感じてしまう所ではあるのだが、それでもいざと言う時には

頼りになる事もふと思い出し!…と、そんな様子が如何にもマサツグの姿と重なって

見え!…類は友を呼ぶと言うか?…とにかく似た様なのが集まったな?と感じ!…

不思議と何か信頼が出来るモノを感じて行くと、一方でハンドレットがまるで

ザン○エフのハイパーモードに!…鼻息を荒くその自身のクランのメンバーの事を

睨み続けるのであった!…

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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

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