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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章五十節 攫われた姫と伝わる魔王軍とデグレアントの王-

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さて、がデグレアント第五師団に完勝した所で

一方!…ここで思い出した様にリーナはと言うと、デグレアント帝国の客室にて

幽閉されており!…自身でもこの状況を如何脱するか?と考えては頭を抱え!…

そして徐々に近づくタイムリミットに焦りを感じつつ!…並びに事ある毎に

会って来るウザイ馬鹿王子ダグレスに色々と怒りを感じて居ると、今日も部屋の中で

ウロウロと!…意味もなく歩き回っては落ち着かずに居た!…


__…コッ…コッ…コッ…コッ…


{…霊峰より誘拐されてどれ位経っただろうか?…

とにかくマサツグ達が早々やられるような魂ではない!…

恐らく無事である事を考えて!…

私もここから脱出をしたい所なのだが!……うぅ~ん!…}


と言うのもリーナもただ考えるだけで何もして来なかった訳では無い!…

マサツグに感化されて窓ガラスをブチ破り脱出をしようとも図ったのだが、

その窓ガラスは何か奇妙な魔法が掛けられて有るのか何をしても傷一つ

付かず!…その他にも食事を運んで来る従者を襲い脱出を試みようとも

考えたのだが、それも読まれているのか食事を運んで来るのは鎧甲冑の

騎士等!…向こうも出来る限りの対策でリーナを部屋に幽閉し続け!…

ただ刻々と時だけを過ごさせてリーナの心をすり減らして行くと、今日も

また部屋にノックの音が木霊する!…


__…コンコンッ!…ピタッ…ッ…ガチャ!!……ッ…


この時それに合わせてリーナもピタッと動きを止めて見せると、そのノックの

聞こえた扉の方を睨み付け!…すると次にはリーナが許可を出して居ないにも

関わらずその扉は開き出し!…そこからダグラスが姿を現す!…その際

いつもの様に余裕の表情を浮かべて居り!…両腕を広げてリーナに飛び込んで

来い!とばかりに構えて見せると、そのまま部屋の中に入って行く!…

と、当然そんなダグレスに対してリーナも警戒を強めて行く!…となると

ダグレスもそんなリーナの様子を見て苦笑いをする様なそんな表情を浮かべて

見せると、リーナの警戒を解こうと気さくに声を掛け出し!…


「…あぁ、居た居た!…今日も君はご機嫌斜めかな?」


「…貴様が顔を見せに来たせいで更にな!…

…何度も言うが私は貴様と結婚する気は毛頭ない!!…

とっととここから出せ!!…さもなくば!!…

私は貴様を殺してでも!!…」


それはお道化る様にして声を掛け、宛らアメリカンジョークの様に身振り手振りも

交え!…だがリーナの警戒心が解ける事は決してなく!…そのダグレスの言葉に

対してあからさまに怒りを!…何なら嫌悪感すら感じている様子を露わにすると、

これもいつもの事なのか!…ダグレスに出せ!と文句を言う!…しかしこの時

決していつもの様に相手へ詰め寄ると言った事は決してせず!…ダグレスとの

距離を保ち!…と、それでもリーナはダグレスを指差して威嚇を露わに!…

しかしダグレスは一切怯まず!…まるで飼い犬とじゃれ合う様なそんな余裕振りを

見せて行くと、またまた茶化す様に返事をする!…


「おぉ~っと、怖い怖い!…まぁ落ち着いて話を聞いて欲しい!…

何せ今日はとってもハッピーな知らせを持って来たんだ!!…

…なんだと思う?…」


「……ッ…」


それこそ小粋なジョークで場を湧かせる様にリーナを宥めようとするのだが、

リーナは一切笑わず!…しかしそれでもダグレスは一切気にしていない様子で

話しを続け!…と言うのもちゃんと用件が有って来た事を口に!…その用件を

ハッピーな事と言ってリーナに興味を持たせようとするのだが、リーナは

一切関心を持たない!…ただただダグレスを睨み続ける!…するとそんな

リーナの反応を見てさすがにちょっとは悲しくなってしまったのだろうか、

ダグレスは呆れた様子で無駄だと話し!…


「…そんなに睨んでも駄目な物は駄目だよ?…

…全く!…美しい顔が台無しじゃないか!……さて?…

そのハッピーな話しと言うのも…

実は僕と君の結婚式の日程が決まったんだ!!」


「ッ!?…何ぃ!?…」


その際リーナの事を本当に美しい!と思っている様子で、折角の美人が台無し!と

歯の浮く様な事を口に!…だが当然それで靡く様なリーナでは無く!…

やはりただ睨むだけでガン無視!…そしてその話に対しても全く興味がない

姿勢を見せ続けると、一方でダグレスもそんなリーナの事など御構い無しに

話しを続ける!…そのハッピーな話の内容を口にする!…それは遂に待ちに

待った知らせ!とばかりに嬉々とした様子を露わにすると、リーナとの結婚の

日程が決まった事を話し!…と、そんな話をされた事でリーナもハッ!と…

途端に嫌悪感を更に露わに!…そして事実を確認するよう思わずダグレスに

返事をすると、ダグレスも漸く返事を聞けた事でニヤッ!と…

勿論その問い掛けに返事をする!…


「ッ!…今日から一週間後!…

君の為準備していたドレスが漸く完成したんだ!!…」


__カラカラカラカラ!……


「ッ!!…ッ!?…」


やっと返事をして貰えた事でこの時ダグレスはご機嫌!…そしてここに来た理由は

それだけじゃない!と言った様子で話しを続け!…と言うのもリーナには秘密裏で

ウェディングドレスを作っていたらしく!…それが今日完成した!と…何なら物も

持って来た様子でそのダグレスの背後から何かカラカラとキャスターが付いた台を

押して居る様なそんな音が聞こえて来ると、リーナも当然その音に戸惑う!…

そしてそのダグレスの背後を気にし始める!…するとそんなリーナの反応を見て

更にダグレスも笑って見せると、次には半身でスッとそこから退いて見せ!…

と、そこには扉を潜って見事なまでの純白のウェディングドレスが台に乗せられ

運ばれて来て!…リーナはそれを見て勿論唖然!…いつの間に作ったのか!?と

困惑し出し!…益々状況が不味い事になった事を実感すると、一方で浮かれた

王子様は更に話しを!…何やら妄想までし始める!…


「…君にはこれを着て貰って!…

そしてこの僕とヴァージンロードを歩いて貰う!!…

…あぁ!…何て美しい光景なんだろうか!!…

きっと天も祝福してくれるに違いない!!…

孤高の姫騎士と選ばれし勇者の結婚!!…素敵だとは!!…」


と言うのももう結婚式当日のシミュレーションをしている様で、その純白の

ウェディングドレスを見詰めながら目を輝かせ!…何なら恍惚とした笑みも

フッと浮かべて居り!…それは共に並んで歩く姿を想像して!…共に美しい

姿にウットリとする様なナルシストな部分を露わにすると、天も祝福する筈と!…

その際また自身が選ばれし勇者である事を口にする!…そして一式想像した所で

同じ意見をリーナに求めるよう声を掛けると、一方でリーナはそのダグレスの

言葉が気に入らなかったのか!…やっぱり文句の言葉を漏らし!…


「貴様が選ばれし勇者だと!?…フンッ片腹が痛い!!…

あの剣が無ければ何も出来ない軟弱者を勇者とは言わない!!……勇者とは!…

我が身を顧みず何かを成そうとする勇気ある者の事を言うのだ!!…

全てが計算付くでしか動けない貴様と違い!!…

暗闇の中を灯りを持たずに歩こうとする者を言うのだ!!!…

…勇気と無謀は紙一重!!…貴様にはその覚悟が全くない!!!…

…私が知るその英雄を!!…馬鹿にする様な事を!!!…

貴様が知った様な口を叩くで!!…」


何でも気に入らなかったのはその勇者と言う言葉で有り、その際ダグレスを

馬鹿にするよう鼻でフン!と笑って見せ!…何なら魔剣が無ければ腰抜け!と

ばかりに罵倒をして行き!…その言葉を口にするのも烏滸がましい!と…

やはりリーナの中で何かその言葉に思い入れが有る様子でその意味を!…

更にダグレスの事も罵倒し続ける様に言葉を吐いて見せて行くと、遂には

ダグレスも我慢の限界!…次にはリーナへ詰め寄りその左頬を引っ叩く!…


__ッ!!!…コッ!…コッ!…コッ!…パアァン!!…


「ッ!!…ッ~~~……ッ!!!…」


それはあの霊峰にてマサツグ達に馬鹿にされた時と同じ様に!…鬼気迫り狂気も

孕んだ表情でリーナの事を睨んで行くと、次には発狂一歩手前の様子を露わに!…

が、それよりも先に手が出た様子でリーナを叩き!…叩かれたリーナも思わず

よろけてそのまま床に倒れてしまい!…しかし機敏に体を起こし!…叩かれた

頬に手を当てつつ!…すかさずダグレスの事をキッ!と睨んで見せて行くと、

一方でダグレスもそれを見て発狂!…あの自己肯定をする様に自身が勇者で

ある事をリーナに吠える!…


「五月蠅い!!…僕は勇者なんだ!!…選ばれし絶対的勇者!!…

僕がする事全てが善で!!…後の皆は悪なんだ!!!…

…この世界は僕が救わないといけないんだ!!!…そう!!…この僕が!!!」


「ッ!?…ッ~~~…」


その様子はもはやある種の恐怖観念に囚われて居る様にも見えるのだが、一方で

リーナの事など御構い無しに詰め寄りながらダグレスは吠えに吠え!…それは

やはり自身が絶対である事を訴えており!…その際その強烈な表情で詰め寄られて

しまう事でリーナも怯み!…思わず恐怖する様なそんな反応を露わにすると、

次にはダグレスもそんなリーナの反応を見てハッ!と…我に返るなり謝り始める!…


「……ッ!?…ゴ、ゴメンよ?…ついカッとなっちゃった!…

…でも君も行けないんだよ!…こんな素敵な旦那様を捕まえて軟弱者だなんて…」


まるでこの時自身が違う人物になったかの様なそんな反応を露わにすると、

とにかく慌ててリーナに謝り!…そして倒れ込んで居るリーナにスッと

手を差し伸べ始め!…自身が怒った事を自覚する様なそんな事を口にすると、

リーナが悪い!と苦笑いをしながらに話して行く!…その際やはり自身が

リーナの旦那になる事を口にすると、リーナはその手を受け取らない!…

自力で立ち上がろうとして見せる!…


__…ッ…スッ…ッ!……ッ……


するとそんなリーナの反応にまたダグレスがピクッと手を痙攣させる様な

ショックの受け様を見せて行くと、スッと手を引っ込め!…となると当然

部屋の空気はとっても最悪!…重苦しい雰囲気が漂い始め!…ウェディング

ドレスを運んできた従者達もどのタイミングで退室をしたら良いのか

タイミングを失った様子で困惑すると、次には突如部屋の外が慌ただしく

なり始める!…となるとダグレスも気にした様子で反応をする!…


「ッ!…な、何だ?…急に部屋の外が?…」


__…コッ…コッ…コッ…コッ…


「…ッ!…おい!…そこの君!…」


その外から聞こえて来る様子と言うのは、まるで何か事件が有った様に慌しく!…

特に兵士達がアチラコチラを駆け回る様にドタドタ!と走り回る足音が聞こえ!…

となるとそんな突然の様子にダグレスも戸惑い!…ふとそちらを先に気にした様子で

一旦リーナから離れて行くと、その慌しい廊下の様子を確かめに行く!…その際

近くを通り掛かった兵士を呼び止める!…そしてその兵士に何があったのか?を

尋ねて行くと、その兵士からトンデモナイ事実が告げられ!…


「ッ!…こ、皇太子様!!…ッ…な、何かお呼びで!?…」


「この騒ぎは何だ?…一体何をそんなに慌てて?…」


「ッ!!…そ、それがぁ!……ッ…」


その際まずは突如ダグレスに呼び止められた事で兵士が戸惑う!…この時ダグレスに

会釈をして見せ!…やはり未だ慌てる様なそんな反応を露わにすると、ダグレスも

やはりそんな兵士の反応を気にした様子!…次にはこの騒ぎは何事?と言った話を

求める!…するとその質問に対して兵士は更に戸惑った様なそんな反応を露わにする

と、次にはその答えに困る様なそんな視線の逸らし方を!…となるとそんな反応を

された事で余計に気になり!…ダグレスも構わない!と…不敬に問わない様なそんな

言い方をしてもう一度説明を求めて行くと、ここでその真実が明かされる!…

ダグレスも驚く事態となる!…


「構わない!…許そう!…っで、何があったって言うんだい?…」


「ッ!…ハ、ハハァ!!…そ、それがぁ!!…

我がデグレアント軍はスノーピースに侵攻をしていたのですが!!…」


「ッ!…そうだね!…何?…

もう終わって敵の首を持って帰って来たから慌てているとか!…」


この時そのダグレスの言葉を受けて兵士も一つ一つ丁寧に説明をしようと落ち着きを

見せると、まずは大前提としてスノーピースに侵攻していた事を話し出し!…すると

その話が出て来た事でダグレスもあの話か!とばかりに途端に軽い反応を!…それは

対して重要ではない様に構えて見せ、次には茶化す様に言葉を!…まるで負ける筈が

無い!とばかりに自国の勝利を確信している様子で言葉を口にして行くと、

その兵士から帰って来た言葉と言うのは全く違う!…兵士はまた慌てた様子で返事を

する!…


!!!…」


「……は?…」


兵士が口にした言葉ははっきり敗北!と、デグレアントがそのスノーピースに

負けた事を明確に告げ!…と、それを聞いてダグレスは未だ笑みを浮かべて

立って居り!…が、しかしそれも少しの間の事で直ぐにその表情は疑問へ

変わり!…まるで聞き返す様に言葉を漏らし!…理解が出来なかった様子で

ジッとその慌てる兵士の事を見詰めて行くと、その話声はリーナの居る部屋の

中にも聞こえて来る!…するとリーナがハッ!とした様子で言葉を漏らす!…


「ッ!…マサツグ!…」


「ッ!……ッ!!……アイツ!!…」


と言うのもその時漏らした言葉と言うのはマサツグの言う名の冒険者の事で、

当然その名前に聞き覚えがあるダグレスは途端にピクッ!と反応をして見せ!…

次には頭の中であの霊峰での出来事がフラッシュバックし始め!…それは次々

倒される仲間達の様子が思い浮かび!…そして自身が勇者として否定される!…

そんな一連の事を思い出してまたグッと憎しみに満ちた表情を浮かべて行き!…

怨嗟を込めた様子でマサツグの事をアイツ!と言って呟いて見せると、更に

兵士の説明は続く!…今度は詳しい話へと入り始める!…


「い、今しがた第五師団団長のアダムス将軍が戻られて!!…

慌てて王の居る謁見の間に!!…

そこであった事を洗いざらいに説明し出し!!…

新たに軍の要請をしたのですが!!…」


それこそつい先程の様にアダムスが戻って来た事を口にすると、そのアダムスが

何処へ向かったのかも話し出し!…そして敗北をしてしまった事に慌てている

様子と兵士は語り!…今現在も王様に会って居る筈!と…その事細かな状況を

その王様に今も言い訳して居る最中で有る様に話して行くと、その話を聞いて

ダグレスはゆっくりと俯く!…更には体全体をプルプルと小刻みに揺らし始める!…

すると次には!…


「ッ!!…と言う事は今アダムスは謁見の間に居ると言う事だな!?…

…クッ!!…面汚しめ!!……良いだろう!!…

僕が直々にお仕置きをしてやろう!!…まだ奴は謁見の間に居るのか!?…」


「ッ!?…ハ、ハハァ!…恐らくに御座いますが!!…」


__ッ!!…コッ!…コッ!…コッ!…コッ!…


その報告を受けた事でダグレスは怒り!…負けて帰って来たアダムスの事を

面汚し!と…すると次には一人納得した様子で顔を上げ!…そこから兵士に

アダムスの居場所について再度確認!…自分の手で仕置きをする事を決めて

行くと、兵士も慌てて返事!…その怒る王子に傅いて見せる!…と言うのも

それで何かとばっちり受けるかもしれない!感じてしまうと、もはや触らぬ

神に祟りなし!と言った様子で!…と、一方でそう兵士から返事を聞いた事で

ダグレスはそのまま謁見の間へ!…もはやリーナの事など如何でも良く!…

ただマサツグに負けたと言う事で怒り!…走るとまでは行かなくとも、さも

競歩の様に早歩きで一直線に謁見の間に向かい歩いて居ると、リーナはそんな

様子にホッとする一方!…同時にマサツグの心配をする!…


「…マサツグ…まさか私を助ける為に?……ッ…」


そのマサツグ達の反撃の話を聞いてリーナは完全に乙女と化す!…その際思わず

その場に再度へたり込んでしまうと、恋焦がれる様に憂う表情を浮かべ!…

と、一方で漸く使用人達も退室のタイミングを掴んで行き!…物音を立てる事無く

そのままスッと…しかし余りにもそのリーナの様子が印象的であった為、思わず

心の中で同情!…その後その使用人達の間でヒロイン化され!…何か救いがある

事を祈られる様になってしまうと、一方でダグレス!…謁見の間に辿り着くなり

思いっきり扉を開けて中に入る!…


__コッ!…コッ!…コッ!…コッ!…バアアァァン!!!…


「ッ…父上失礼します!!…アダムスは!!…アダムスは何処に!!…」


謁見の間に居るであろう自らの父に無礼を詫びつつ!…それでも怒りを抑えられない

様子で辺りを見回しそのアダムスの姿を探して行くと、謁見の間の中央にて蹲る人影

を見つけ!…それと同時にその蹲る人影の前にダグレスの父…王様が立って居るのを

見つけて行く!…この時王様はその蹲る人影の事をジッと見下ろして一切微動だに

しないで立って居ると、その手には何やら赤い液体に塗れた剣を持って居り!…


__…ポタッ…ポタッ……ッ!?…


「ッ!…アダムス?……ッ!…あぁ…

その者ならついさっき…?…」


それは滴り落ちて赤い絨毯を赤黒く染め、それを見てダグレスも思わず驚き!…

しかし同時に何があったのか?も十分に理解をして行き!…一方でダグレスが

来た事に王様も気付く!…その際その蹲る人の事を誰とも知らない様子であったが、

次にはふと思い出した感じで言葉を口に!…そこで改めて既に処分をした事を

ダグレスに話し!…感情の無い笑みを浮かべて軽く剣を一振りすると、剣に付いた

赤い液体を吹き飛ばす!…異様なまでの冷酷さを露わにする!…するとその王様の

返事にさすがのダグレスも戦慄すると、戸惑い混じりに返事をし!…


「ッ!?…そ、そうですか…

…し、しかし一体如何するつもりで?…

よもやこの様な失態を犯す事になるとは!…」


それは納得した様子で落ち着く一方、だがスノーピースへの侵攻はここに来て

頓挫した訳で有り!…その埋め合わせについて質問をし出し!…ダグレス自身

負けるとは思っても居なかった様子でやはり戸惑いを露わにすると、王様は

クルッとダグレスに背を向けるなり玉座へ…別に気にも留めていない様子で

歩いて行く!…そしてその問い掛けに対して止める気がない事も口にすると、

更には意味深な言葉も漏らして行き!…


「…止める訳には行かないさ…

これは我が悲願を成就させる為に…欠かせない通り道なんだ…

…」


「ッ!…え?…」


と言うのもこの状態に対して好都合!と、まるで全てが計画通りである様に

王様は言葉を漏らし!…となるとその王様の言葉を聞いてダグレスも当然

戸惑った様なそんな反応を露わにして見せ!…次には困惑の言葉を口に!…

一体如何言う事なのか?を尋ねる様なそんな反応も一緒に見せるが、王様は

それ以上詳しい話をしようとはしない!…寧ろふとはぐらかす様に玉座に

座ってその蹲る人影に視線を落とす!…


「…ッ…そのアダムスだった者が言うには…

向こうは[魔王連合軍]なるモノを結成したらしい…」


王様はその蹲って動かない人影をかつてアダムスと言う者だった様に話しをする

と、次にはダグレスにとってある種興味が湧く話を口にし出し!…と言うのも

その話と言うのは勿論マサツグ達の事であって、マサツグ達の事をアダムスから

聞いたまま[魔王連合軍]!と…それこそ勇者を自称して居るダグレスにとって!…

興味が湧くであろう感じに若干深刻視する様な言い方で話をすると、案の定それを

聞いてダグレスが戸惑いを露わに!…と、同時に何か嬉々とした表情も浮かべて

見せる!…


「ッ!?…ま、魔王!…連合、軍!?…」


「そして我々デグレアントに対して宣戦布告…この意味は分かるな?…」


それはまさにダグレスからすればカモがネギを背負ってやって来た様な話に

聞こえ!…次には歓喜で震えているのか、はたまた恐怖で震えているのか?…

とにかく何方とも取れる様子で震え続け!…王様もそんな息子の様子を見て

さも掛かった!とばかりに笑みを浮かべると、次には更に餌をチラ付かせる!…

その[魔王連合軍]から宣戦布告を受けた事を更に話す!…その際その話を

またチラッとアダムスで有った者に目を向けながら話して行くと、視線だけで

アダムスからの情報!と言ってダグレスに理解を求め!…


__ッ!……ッ……ッ~~!!…


「…お任せください父上!…確かに一度は敗れた身では御座いますが!!…

今度こそ!!…必ずやかの魔王の首を取って御覧に見せましょう!!!…

…となると早速準備の程を!!…」


するとダグレスもその視線に気が付いてチラッと人影に視線を!…となると次には

思惑通りに理解を示し!…軽く頷きニッコニコで王様の方へ顔を向け直して見せて

行くと、高揚した様子で返事!…まるで期待に応える様な反応を見せる!…その際

今すぐにでも出立する様な口振りでクルッと振り向いて行くと、そのまま謁見の間を

後にしようとするのだが!…しかしまだ話は終わって居ない様子で王様がダグレスを

呼び止め!…


「…待て我が息子よ…」


「ッ!…何でございましょうか?…」


「…お前は一週間後にリーナ姫との結婚式が控えて居よう…

…故に…ここでの待機を命ずる!…」


それはまるで許さない!と言った様子のトーンで…王様に呼び止められた事で

ダグレスも戸惑い!…半身だけクルッと振り向いてその呼び止めて来た王様に

返事をすると、王様は思った通りやはりそのダグレスの出立を止めに掛かる!…

その際理由にリーナとの結婚式を挙げて行く!…それは子を思う親心から来た

物なのか?…結婚式前に息子が傷付く事を良し!としない様子で話しをすると、

本国での待機を命じ!…が、そんな事を言われて当然ダグレスも納得が行く筈も

無い訳で!…


「ッ!?…な!?…何故です父上!!…

奴らの足がどれ位かは分かりませぬが!…

それでも先に潰しておく事によってゆっくりと結婚式を!!…」


「…我が命が、全てである!……良いな?…」


その待機の命令を聞いた途端にダグレスはバッと慌てて完全振り返り、そして

その待機の命令に対して反論を口に!…その際何故か相手の進軍速度を気にした

様子も露わにして見せ!…と言うのもその進軍速度にによっては結婚式と被る

のでは?と警戒を示し!…それこそ先に後顧の憂いを断つ事で!…安心して

結婚式を迎えられる事を更に言おうとするのだが、王様はそのダグレスの言い分を

一切聞き入れない!…自分が絶対である事を口にする!…この時何ならイラッと

した様子でダグレスの事を睨んで行くと、ダグレスもさすがに実の父親には

敵わないのか…ビクッ!と委縮して渋々納得をして行き!…


「ッ!?…ッ…しょ、承知いたしました…父上…」


__…コッ…コッ…コッ…コッ…


まるでショボンとした様子でダグレスはそのまま退出!…その際周りに居る家臣達も

ヒヤヒヤで!…まるで恐怖で統治されている様なそんな雰囲気を漂わせると、一方で

王様は天井を見つめる!…何か考え事をする様なそんな素振りを露わにする!…

この時そのアダムスだった者はただ人知れず頭を床に転がして行くと、勿論何も

発さず!…とにかくこれがデグレアントの様子で有り!…王の恐怖政治によって国は

成り立ち!…狂気を全面に!…隠す事無く寧ろ露わにして行くと、今日も生きて

居られる事に感謝をする時間が過ぎて行く!…一方で話はマサツグ達の方に戻って

行く!…


時間軸としてはこの一連の流れが有った後で、各々一旦街に戻った所で見覚えの

ある人物に声を掛けられ!…


__…どよどよ!…ザワザワ!…


「…ふぅ~!…ちかれたぁ~…

…ってかミサカさんノリノリ過ぎじゃないですか!!…」


「いやぁ~!!…実はこう言うのに憧れててさぁ~?…

でも楽しかったでしょ?…ねぇ~?…双子ちゃん!」


魔王キャラを演じるのも当然疲れ!…一気に脱力してさもマサツグが

スライムの様に溶けそうになると、次にはふと思い出した様にミサカへ

ツッコミを入れる!…するとミサカも笑いながら返事をする!…

その際ミサカ自身は楽しかった様子で話しをすると、憧れて居た事を

口に!…それこそ念願叶った様子でキャッキャしており!…

この時逃げる様にシロとハティに同意を求める!…そんなミサカに

マサツグも呆れた様子で溜息を吐くと、下の方からマサツグを呼ぶ声が

突如聞こえ!…


__…おぉ~い!!…


「ッ!…え?…」


「…今下の方から呼ぶ声が?…」


この時マサツグ達はまだあの移動式の魔王の玉座に座っており、それで下から

声が聞こえ!…と、その呼ぶ声と言うのは聞き覚えのある声であり!…何なら

この場に居る筈が本来なく!…シロもハッ!と気が付いた様子で戸惑うの言葉を

漏らして行くと、マサツグも聞こえたとばかりにシロと顔を見合わせる!…

そして確認の言葉も口にする!…するとそのマサツグの言葉にシロもコクンッと

頷くと、ハティも誰かまでは分からないが!…それでも聞こえた!とばかりに

話しに乗っかり!…


「ハティも聞こえたです!!…」


__……どっこいしょ!…コッ…コッ…コッ…コッ……チラッ?…ッ!!…


ハティもシロに感化されて手を上げて言葉を口に!…そして三人で顔を見合わせ、

シロとハティを膝から降ろし!…そこから移動する最中!…チラッとその声の

聞こえる方を覗き込み、そこで必死に手を振りながら追い駆ける!…ドワーフの

老人らしき人物を見掛けて行くと、マサツグとシロはハッ!とした様子で

そのドワーフが居る事に驚く!…一方でそのドワーフはそろそろ限界なのか足が

縺れる!…


「おぉ~い!!…ワシじゃあ~~!!…

はぁ!…はぁ!…スマンがもう疲れて…」


「あぁ~~!!!…い、今行くぅ~!!!」


足が縺れそうになりながらもそれでも必死に食らい付く!…その度に大声で

マサツグを呼び!…しかし本当に限界なのか!…遂にはその場で膝に手を着き

息を切らし!…徐々に徐々にとそのドワーフから離れて行く様子を目にして

しまうと、今度はマサツグ達が慌て出す!…そしてそのドワーフの所まで

マサツグ・シロ・ハティの三人!…揃ってそのドワーフの事を迎えに行く

始末になるのであった!…

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