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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章八十七節 怒りの宣戦布告とパルシィ復活?と気の抜ける立ち上がり-

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それはあまりにも耳にしがたく、そして思わず自身でも目を疑う光景であり!…

と言うのもこの時マサツグはスッと胡坐を掻き出し!…出来るだけ楽な体勢に

なった上で女王の頭を軽く捻って自身の膝の上に置いて行くと、次には上顎に

そっと右手を置いて見せ!…と、同時に下顎を左の太腿で固定するよう位置を

整え!…最後にマサツグが覚悟を決めた表情を!…スッと静かに奥歯を噛んで

その右手で遂に女王の上顎に力を入れると、予め女王の口に銜えさせていた

マサツグの左腕は流血!…途端に鮮血が辺りに飛び散る!…


「…ッ!!…フン!!!!…」


__グシャァ!!…メキ!!…メキ!!…


「ッ!?…グッ!!…ッ~~~~~!!!!…

…ふぅー!!!…ふぅー!!!…」


まるで鋭利な刃物の様に女王の歯はマサツグの左腕にグッサリと刺さり、そして

深さとしてもあっと言う間に骨にまで到達してしまい!…となるとそんな激痛に

マサツグも途端に表情を歪め!…今までに感じた事のない痛みに呼吸も一気に

荒々しく!…更に命の危険も感じて行くと、それでも絶対に耐え抜く覚悟を!…

奥歯を噛み砕いてしまいそうな程に顎に力を入れて見せる!…そして徐々に痛みに

慣れて来たのか肩で大きく息をするよう体を揺らすと、珍しくマサツグは涙目に…

一方で女王の口の中はマサツグの鮮血で一杯に!…それは溢れ出て口元を濡らし!…

そこから更に下へ!…闘技エリアの地面にピチョンと落ちて徐々に血だまりを

作って行くと、その様子に当然シロも激しく困惑!…マサツグの事を呼んで行く!…


「ご!!…ごしゅじんさまぁ!?!?!?…」


「ふぅーー!!!…ふぅーー!!!…」


__ニコッ!!…ッ!?…ッ…ッ~~~~!!!…


この時突然の事に理解が追い付かず何をしているのか!?とばかりに呼ぶのだが!…

マサツグは依然として肩で大きく息を切らすと、涙を流しながらシロにニコッと

笑って見せ!…と言うのもマサツグとしては心配ない!と…自身を犠牲にしてでも

女王を助ける!と言う意味でシロに笑って見せたのだが、そんなマサツグの笑みは

逆効果を!…更にシロの心配を煽って行く!…何なら如何したら良いのか分からない

様子でオロオロとし出すと、その余りの感情の起伏具合はもはやジェットコースター

と化して不安定になり!…


「ご、ごしゅじんさまぁ!!…ごしゅじんさまぁ!!!…」


__………。


ただマサツグの事を呼ぶ事しか出来ず!…涙をボロボロと零しながら自身の無力さを

思い知ると、ハティもそんなマサツグの考えを理解したのか!…同じく何も出来ない

自身を呪う様にシロと同様静かに涙を流し始め!…と、その一方ではその様子に

観客達も絶句すると、そのマサツグの行動に目を疑い!…と言うのもそれは一体何を

しているのか分かって居ない様子でジッと見詰め!…いきなり自虐心に目覚めた

のか?と…とにかくその様子に戸惑いと驚きを隠せない表情だけを見せて居ると、

一方モツもその様子を見て!…グッと歯を食い縛りマサツグに対して馬鹿!と言葉を

口にすると、改めて覚悟を決め直す!…


「ッ!!!!…あの馬鹿!!!!…

これで一歩も退けなくなったじゃねぇか!!!!…

…だが、やるしかないってのは良く分かった!!!!…

後は俺達に任せろ、ヤブ!!!!」


__……ギン!!!…バシュウゥゥゥ!!!!…ッ!?…


それは決して頭から罵倒する言葉ではなく、マサツグの覚悟は受け取った!と言う

意味で!…故に最後にマサツグの意を汲んで言葉を口に!…任せるよう続けて

ダグレス達に対して剣を改めて構え直すと、本気を出す!と…全身からマサツグに

負けず劣らず気迫を放つ!…宛らそれは例えるなら仁王像の後光の様に荒々しく、

羅刹と化した様に!…と、突如そんな風にモツの雰囲気が変わった事でダグレス達も

勿論警戒!…本来相手にする予定の無かった相手に…予定が狂ったとばかりの困った

表情を浮かべて行くと、モツが言葉を口に!…それは自分の仲間達へ向けて徐に

零す!…


「……こう言う時何て言って宣戦布告すれば良いのかね?…」


「ッ!…如何言えば?って…そりゃもう…

しかないと思うわよ?…」


「…そうですね?…兄さんの言葉を借りるとするなら…

じゃないでしょうか?…」


と言うのもモツは呑気に質問を口に!…かと言ってダグレス達に対しての警戒は

勿論解かず!…するとその質問に対してアヤはスッと察したのか、他にない!と

ばかりに分かった様子で返事を漏らし!…オリハもそれに続くよう徐にマサツグ

の事を口にすると、それしかない!と言って軽く笑う!…するとそんな三人の

言葉を聞いてそれと無くマサキやくまさんも察した様子で思わず笑うと、乗っかる

ようその会話に参加をし!…


「…まぁ、まーつぐがいつもどんな感じで喋ってるかは分からんけど…

気がするわ…」


「私も私も!!…」


「ッ!…ふふふ!…マサツグならにありんす!…」


「そうですね?…旦那様ならきっと…」


「……何故だろうか?…不思議と私にも分かる気がする…

まだ知り合ってそんなに日が経っていないと言うのに…不思議なものだ…」


「……奇遇ですね?…私もです…」


マサキとくまさんが分かった!と…するとフィロやシルビィまでもが嬉々として

その話に乗っかり始め!…勿論ダグレス達に対して敵意を放ち!…そこから

パルシィやラグナスにまで伝染するようその意図がどんどん伝わって行くと、

最終的には一致団結!…全員の方向性が定まって行く!…それは言わずもがな

ダグレス達に向けて武器を構えて見せて行くと、モツが音頭を取る様に声を掛け!…


「……じゃあ…マサツグを背にして戦うんだし?…

それに全員マサツグに触発されて、本気マジ本気マジ大本気オオマジみたいだし?…

マサツグの言葉を借りて宣戦布告しますか!!!…」


__バババッ!!…ジャキン!!!…ッ!?…


「テメェ等!!!…何、家の子泣かせてくれとんじゃぁぁぁぁ!!!!!」 ×9


全員の意を汲んでモツが言葉を!…何ならマサツグになったつもりで!…怒りを

露わにしながらダグレス達に向けてもう一度武器を構え直すと、一斉に言葉を

揃えて叫んで見せる!…それは間違いなく今のマサツグの気持ちを代弁する言葉で

有り!…闘技場全体にその言葉が響き!…と、そんなモツ達の叫びにダグレス達も

思わずビックリ!…一体何の事を言って居るのやら?…とにかく敵意を向けて来た

事でダグレス達も戦闘の覚悟を決めて行くと、睨み合いに発展する!…一方で

マサツグはその痛みに!…出血に耐えては何が何でも女王を助けようと歯を食い

縛り続けて見せる!…


「グッ!!…グウウゥ!!!…」


「ごしゅじんさまぁ!!…ごしゅじんさまぁ!!!…」


「せんせぇ~!!…せんせぇ~~!!!…」


__……ッ!……ッ?…


脂汗を掻いては声を噛み殺し!…その際右手は絶対に放さない!と言う意思の元!…

未だ女王の上顎を押さえ続ける徹底ぶりを露わにすると、当然更にマサツグの左腕

から激しい出血が見られ!…となるとそんな様子を目にしてシロとハティは泣き

じゃくり!…もはやマサツグに縋り付く!…そんな事しか出来ない様子でマサツグの

事を必死に呼び続けると、何か異様な雰囲気を放つ!…それは縋り付かれて居る

マサツグにも分からなければ縋り付いている本人達も分かって居らず!…だが観客の

内数名がふと気になった反応を!…と言うのもシロとハティが光りを放つ様な!…

だがやはり気のせいか?と言ったレベルでとにかく異変の様なモノを感じさせると、

一方でダグレス達にも異変が!…


__ヴウン!!!…パアアアァァァンン!!!…ッ!?…


「…こ、これは何だって言うんだ!?…

この空気の変わり様は!?……敵の術か何かか!?…」


「…分かりませんが非情に不味い状況になったと言う事だけは分かります!!…

…王子!…もし私達がやられたら構わずお逃げを!…」


それはまるでモツ達の意志に呼応する様に!…突如闘技エリアに戦闘フィールドが

展開され!…それも青から赤へと色が変わって行く様子も露わになると、絶対に

この場から逃げれない!…何なら本来見えない筈のNPC達の目にもしっかりとその

様子が映って行く!…となると戦士のシュタインが初めて見るよう驚きを露わに

して行くと、辺りを見回してはモツ達の仕業か!?と疑い!…と、次にはパルメリア

も若干慌てた様子で警戒!…その際仕様も分かって居ない様子で、ダグレスに

もしもの事が有った場合について話をすると、ダグレスはその言葉を聞くなり

恍けた事を!…


「ッ!…ふふふ!…何を言ってるんだい?…僕は選ばれし者だよ?…

例え此方が不利でも負ける筈が無いじゃないか!!…

…それに…まだお姫様を賊共の手から助け出していないのだから!!…

逃げる訳には行かないよ!!…」


__チャキッ!!…ギリィィ!!!…


それは全く問題無い!と言った様子でパルメリアに答え!…その理由についても

自分が選ばれし人間である!と堂々と自慢げに続けて見せると、次にはモツ達の

事をさも山賊か何かと勘違いをしている様子!…賊と言って小馬鹿にする発言を

更に続ける!…となるとそれを聞いて各々カチンと来た様子で途端にその表情を

苛立ったモノにして行くと、アヤが黙ってその構えている弓をダグレスへ向け!…


「…ねぇ、モツ?…もう撃っちゃって良い?…

一応相手は王子だし…敬意を払おうと思ったけど…

ムカつくから良い?…私、アイツ嫌い!!!…」


この時一応モツに確認!…しかし直ぐにでも撃ちたい衝動に駆られており!…

と言うのももう撃って良い?とばかりに弦をプルプル!…その際一応アヤなりに

相手が王子と言う事で敬意を払っていた事を口にするが、ハッキリと嫌い!と…

何ならこうしてアヤが自分の気持ちを告げるのは初めての事で!…モツをそれを

聞いて途端に戸惑った反応を見せて行くと、冷静に自身のパーティの状況を話し!…


「ッ!?…き、気持ちは分かるがちょっと待てだアヤ!…

今遠距離攻撃が出来るのは俺とアヤだけ!!…

一応魔法を使えるフィロとパルシィも居るけど!…

詠唱時間を考えると直ぐに動けるのは…」


「…おやぁ?…一向に攻撃して来ないけど如何したのかなぁ?…

あの有名な英雄様達のパーティだから危ないかなぁって…

ちょっとは珍しく危惧していたのに?…

やっぱ僕の強さを知って怖気付いちゃったのかなぁ?…」


__カチンッ!!…


何でも今すぐに攻撃出来るのは恐らく自分とアヤだけで、それに続ける攻撃手段が

無い!と…あくまでも連携を重視した様子で言葉を続け!…何とかアヤを宥めよう

とモツが待った!の言葉を掛けて居ると、更に空気を読まない事に!…ダグレスが

調子に乗った事を口にし出す!…と言うのも攻撃をして来ない事に疑問を持った

様子で首を傾げると、次にはマサツグの事も煽るよう言葉を口に!…それはさも

腰抜け共!と言って居る様で!…それを耳にしたモツもこれにはカチン!と…一発

で頭に血が上った反応を露わにすると、アヤに返事を口にする!…


「……アヤ?…撃っても良いぞ?…

ただ狙うならちゃんと頭をぶち抜いてやれ?…」


「ッ!…了解!!…」


「ッ!?…ちょ!?…ちょっと待つでありんす!!…

モツ、冷静になりゃんせ!!…

さっき言っていた事と違うでありんしょうが!!!…

…まぁ気持ちは分からんでもないでありんすが…

とにかく冷静になりんし!!…

頭に血が上っては思う様に動かなくなるでありんすよ!?…」


まさに売り言葉に買い言葉!…モツがアヤに撃って良い!と返事をすると、頭を

狙う様に指を差して指示を!…するとアヤもその返事を聞いて狙いを澄まし!…

モツに返事をして本当に射貫こうとして行くと、珍しくフィロがツッコミを!…

モツとアヤの二人に静止を促す!…その際一番の司令塔であるモツに冷静になる

よう声を掛けると、さも自身も経験がある様子で注意を呼び掛け!…と、そんな

風に挑発に乗ってはいけない!と…フィロが警戒を示す中、パルシィも何か思う

所が有るのか怒りを露わにし始めると、次にはこの様な言葉を口に!…


「…だとしても何なのだ?…あの頭の悪い者の言い様はぁ?…

…今まで私はあの様な愚かな者達に襲われ平穏を脅かされて居たと言うのか!?…

…だとしたら何だか私も無性に腹が立って来たぞ!!!…」


__…パキッ!!…パキパキ!!…ヒュオオオォォォォ!!!!…


それは自身の事情も含んでいる様子で!…真正面からダグレスの事を一々癇に障る

頭の悪い奴とだ!と言って見せると、その際今までデグレアント?に襲われて居た

事も零し出し!…そして今まで襲って来ていた連中がこんなお頭ハッピーセットな

奴らだった!と…今になって分かった事を更に続けて口にすると、今まで反撃して

行かなかった事に対して後悔する!…自身の判断力の甘さにこれまた怒りを燃やして

行く!…それは私欲で戦ってはいけない事を理解して抑制して居た事を露わにする

よう!…怒りを冷気に変えて凍て付かせ!…と、その様子に敵のパルメリアがピクッ

と反応を示し!…次には徐に魔法を詠唱し始めると、先に攻撃を仕掛けて行く!…


「…ッ!?…あ、あの冷気の放ち様は!!…まさか!?…

…《紺碧に凍て付きし槍よ!!…我が目の前の敵を穿たん!!!…

アイスランス!!!…》」


__シュウゥゥ!!…パキパキパキパキ!!…ヒュン!!!…ドス!!!…


魔法自体は簡単なモノなのか、直ぐに詠唱を終えてしまい!…その際大体自身の

頭の横位の高さで長さ1~2mの氷柱を生成!…別に何か槍の形を模す事も無く…

ただ先が凶悪な程に鋭い氷柱を浮遊させると、次にはその氷柱をパルシィに向けて

射出!…問答無用で攻撃を仕掛ける!…するとその氷柱は誰にも止められる事無く

真っ直ぐパルシィに向かって飛んで行くと、怒りを燃やすパルシィの腹部を簡単に

貫き!…


「ッ!?…んぐッ!!!…」


「ッ!?…パルシィ!!!…」


完全貫通とまでは行かなくとも背中まで貫き!…氷柱を喰らった本人もこれには

驚いた様子で思わず声を上げてしまうと、その場で仰け反り怯む反応を露わに

する!…それはくの字に折れて後退るそんな様子を見せて行くと、それを見た

モツ達も勿論驚き戸惑った様子で声を掛けては心配を露わに!…が、そんな中

その様子を同じく見たフィロだけは特段心配をする様子を見せず!…寧ろ呆れた

様子で冷めて居り…その氷柱を飛ばして来た張本人パルメリアに対して辛辣な

言葉を口にすると、小馬鹿にする態度も露わにする!…


「…あの魔術師は何をやって居るでありんす?…

魔力の塊の様な物に無策に魔法をぶつける等…

ましてや相手の得意とするモノをぶつける等…

愚かも愚か!…愚の骨頂と言うモノでありんしょうに?…」


「ッ!…え?…」


まるで和物貴族の様にスッと口元を袖で隠すと、疑問を持った様子でコロコロと

笑い!…と、そんなフィロの言葉と態度にくまさんが戸惑った反応を!…それは

一体如何言う事?とばかりに首を傾げ!…その言葉の意味が分かって居ない様子を

露わにすると、一方でパルシィは腹部に氷柱が刺さったまま!…何故か妙に体を

プルプルと震わせ始める!…それはまるで何か歓喜に震える様なそんな反応の様に

見えてしまうと、パルシィは俯きながら言葉を!…


「おぉ!!…おぉ!!!…何と上質な魔力か!!!…滾る!!…滾るぞぁ!!!…」


__…スッ…ショワアァァァァ~~!!……ッ!?…


「ッ!?…な!…な!?…な!?!?…氷柱が刺さっているのに笑ってる!?…

それに何だこの靄は!?…冷気か!?…確かにパルシィは精霊種だし!!…

水・氷だから如何って事は無いだろうけど!?…」


と言うのもパルシィは痛がる素振りを全く見せず!…寧ろ歓喜した様子でスッと

その腹部に刺さった氷柱に手を添えて見せて行くと、途端に自身の体を白い靄で

隠し!…それはまるで氷柱を吸収する様なそんな様子を露わに!…そしてそんな

異様な光景に思わずモツ達も驚いた反応を見せて行き、一方でパルメリアもその

氷柱一発で看破したのか!…その正体をパルシディアナ!と言って驚きを露わに

して見せると、それを聞いて他の面々も驚いた反応を!…そこから途端に警戒の

色を強めて行く!…


「ッ!!!…やはり貴方はパルシディアナ!!!…何故ここに!?…」


「ッ!?…パルシディアナってあの!?……でも彼女は確か…

我等が王が侵攻しているスノーピースと言う町に!!…」


「…分かりません!!…

ですが現にここに居ると言う事は少なからず!!…

今のスノーピースに敵は居ないと言う事!!…

この好機を王に知らせる事が出来れば!!!…」


傍から見ればただ体を氷柱で貫かれた幼女がそこに居る…と言っている言葉自体

勿論普通では無いのだが、現に今目の前に映っている光景と言うのが如何にも

そう言う風にしか見えないで居ると、途端にダグレスのパーティは困惑をし始め!…

と言うのもやはり侵攻していた様子で言葉を漏らし!…これを好機と受け取るか

災難と言うか!…とにかく各々何か錯綜した様子で慌しく話をし始めると、その

会話を聞いてかパルシィもポロッと…


「……その前に貴様達が生きて帰る事が出来れば良いのだがな?…」


__ッ!?…えッ!?…


まるで魔王になったよう!…いや元から魔王ではあるのだが…それでも何か

含みがある感じで言葉を口に!…それはまるで生きて返すつもりはサラサラ

無い!と…ここで全員始末する!と言った具合に漏らして行くと、更に

ダグレス達を警戒させる!…そして全員がその異様な様子を見せるパルシィに

目を向けて居ると、次にはその白い靄の中に居るパルシィが軽く腕を振って

見せ!…


__スッ…ズババババババババババ!!!…


「ッ!?…退避!!!…」


この時大して力を入れずにスッと薙ぐよう!…するとそこから突如氷柱が地面から

生える様に隆起し始め、それはハティがやって見せたあの氷柱の群生の様に!…

と、一直線にダグレス達へ向かって伸びて行き!…その様子にダグレス達も慌てた

様子を露わに!…途端に散開するようパルメリアがパーティ全体に指示を出すと、

各々左右に避けて回避をする!…となると氷柱もそれを分断する様にパーティの

中央を横断すると、そのまま闘技エリアの壁に衝突!…


__ガシャアアァァァァァンン!!!…


「ッ!?!?!?……」


それは勢い良くぶつかると氷のオブジェクトを作り上げ!…何ならハティが作った物

より大きな花を咲かせて行くと、群生した氷柱もまるで水晶の様な透明度を誇り!…

更には鋭さも露わにする!…その際その氷柱は触れただけでいとも簡単にあらゆる物

が切断出来そうな程の鋭さを誇ると、その先端は光りを反射して光点を作り!…

それはちょっとした幻想的風景を作り出して見せるのだが、やはり危険な事に変わり

はなく!…そしてそんな一撃に!…何ならパーティを分断されてしまった事に

ダグレスやパルメリア達が驚いていると、なお一方では!…


__ブワアアァァァァ!!!…ッ!?…


「……我!!…若干復活せり!!!」


まるで着込んで居たローブを脱ぎ捨てる様に!…パルシィがその身に纏っていた

白い靄を軽く手で払って見せると、次には若干復活した様子を!…モツ達や

ダグレス達に露わにする!…と言うのもまず氷柱で貫かれた筈の腹部はまるで

そんな事等最初から無かったかの様に綺麗な素肌を見せて行くと、眩しいへそ

チラを露わに!…何ならそのパルシィの容姿も若干変わって居る様であり!…

シロやハティや普段のフィロ!…もっと言うと小学校低学年枠から卒業して

高学年クラスにまで成長した様子を見せて行くと、フフン!とドヤ顔を披露!…

身長が伸びた事をアピールする!…そして自身でも若干力が戻った事を口にする

と嬉しいのか、胸を張って左手を腰に手を当て右手を突き出し!…と、その際

パルシィが払った白い靄は冷気となり…辺りに居たモツ達にそのまま寒さと

なって襲い掛かると、思わず身を震わせてしまう!…


「ウゥ!!!…」


「うおあぁ!!…さぶぅ!!…」


__プルプルプルプル!!…


今が戦闘中である事を忘れてしまいそうな程に不意を突かれると、モツ達だけで

無くダグレス達にもその白い靄は襲い掛かった様で!…自身の身を抱えては震えて

見せ!…何なら白い息を吐くまでに冷えてしまった様子を露わにすると、各々

寒い!と言った様子で武器を!…暖を取りたそうなそんな表情を浮かべてしまう!…

だが一方でパルシィはそんなモツ達の様子に気が付いて行くと、次には子供の様に

アピールをし始め!…


「…ッ!?…ちょ!!…

ちょっと位は注目してくれても良いのではないのか!?…

ほら!!…私、成長したのだぞ!?…」


「…それ以上に寒くて敵わないんだが?……

…後、戦闘中って事も忘れない様にな?……」


それはモツ達の前に立って飛んだり跳ねたり!…明らかに場違いな反応を見せて

居ると、モツがツッコミを!…呆れて苦笑いをしながら口にする!…するとその

ツッコミを受けてパルシィもハッとして見せると、次にはショックを受けながらも

身構える素振りを…と、その様子を見てフィロはジッとパルシィを観察!…それは

頭から爪先まで、まるで何かを確認するようジィ~っと見詰めに見詰めて行くと、

今度は何故か笑みを!…


「………くふ!…」


「ッ!!…おい貴様!!…玉藻前!!!…

…言いたい事が有るならはっきり言え!!!…」


何か勝ち誇った様子で噴出す様にして笑い出し!…そのフィロの反応にこれまた

逸早くパルシィが反応を示して行くと、フィロに対して文句を!…それはフィロの

言いたい事が分かって居る様子で言葉を零し!…その言葉を受けてフィロも真に

受けた具合にパルシィを挑発するようさもニンマリと笑って見せると、自身の胸を

軽く揺らす!…そう!…この時フィロはマサツグの魔王化のお陰か完全体に戻って

おり、これ見よがしに自身で持ち上げては自慢げに言葉を!…


「…いやなぁに!…成長しても女の部分が成長しておらんと思ってな?…

…くふふ!…なぁに…それだけじゃよ?…」


__ぽよんぽよん♥…カチン!!…ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…


「…何だったらまずは貴様からここで永久の眠りに就かせてやるぞ?…」


さも滑稽とばかりに吐いて捨て!…全然育って居ない!とばかりに上から目線で

パルシィの事を嘲笑って見せると、パルシィは当然更に怒りを!…眉間にしわを

寄せてフィロを睨む!…そして喧嘩なら買う!と言ってフィロに一歩近付いて

見せると、その二人の様子にモツ達は呆れ!…と、この時アヤだけはパルシィに

加担しようか?と見て居る始末!…となるととにかくそんな様子に戦闘中?と…

思わずモツが首を傾げ疑問を抱えて見せてしまうと、振り返ってオリハに確認を

取る!…


「…はあぁ~…オリハァ?…これって一応戦闘中だよな?…

何かイマイチ緊張感が無いと思ってしまうんだがぁ?……」


「あ、あははははは…」


モツは呆れて嘆く様に本音をポロリ!…そしてそれを受けたオリハとしてももはや

苦笑いをするしか無く!…それは自分でも如何にも出来ない!とばかりに諦めて居る

様子であり!…その際見事なまでにダグレス達の事を甘く見て居る様にも見え!…

この様子にダグレス達も静かにムッ!と…モツ達に悟られないよう軽い動きを露わに

すると、次にはその視線を外して居るモツに対して突貫!…しかし気持ちが昂った

のか吠えて見せる!…


「…うおおおおああぁぁぁぁぁ!!!!…」


__ッ!?…バッ!!…ブォン!!!…


「ッ!!!…あっぶな!!!…」


この時突っ込んで来たのは戦士のシュタイン!…その際ここまで登ってきた実力者

にしては妙な事に、その攻撃の繰り出し方は素人同然で!…と言うのも真っ直ぐ

持っている剣を振り上げるとモツへ向かって大振りに振り下ろす!…それは真面に

剣を振った事が無い者のブレ方で!…モツも吠えて来た事で途端にハッと反応を

して見せると、機敏にギリギリの所でバックステップ!…その攻撃に目を向ける!…

そしてそんな攻撃を繰り出して来た事に何か一抹の疑問を持つと、一方でその戦士は

真剣にやって居るのか?…


「ッ!!!…外した!?…」


__バババッ!!…フォン!!…


「あっぶねぇなこの野郎!!…」


自身の攻撃が外れた事に驚きを!…何ならこの時大振りに剣を振ったせいか!…

無駄に勢いがついてフラ付く様なそんな素振りも露わにすると、モツもすかさず

反撃を!…それは地面に足が着くなりステップを踏み!…その戦士の背後を取る

よう一気に肉薄して行くと、お手本とばかりに剣を!…その戦士の首目掛けて

一気にを振るう!…それは被っている冑と鎧の間を縫う様に刃を入れようとする

のだが、戦士もそれにハッと気が付くなり更に行動を!…


「ッ!!…させるかぁ!!!…」


__グオン!!…ガキィィン!!!…


「ッ!?…な!?…マジかよ!?…」


それはモツが回避した方向も悪かった様で!…この時モツはシュタインの左側に

立つようすかさず攻撃を仕掛けて行ったのだが、シュタインは右手を地面に

着いては左手の盾で攻撃を受ける!…まるで前転でもしそうな状態のままで

完全に盾で防いで見せる!…それは恰好的にもかなりキツイものがある筈なのだが、

シュタインはそれでもモツの攻撃を防ぎ切り!…となるとこんな状態でも盾受け

出来るのか!?とモツは驚き!…思わずその場で若干の硬直をして居ると、次には

ダグレスが動きを!…その固まって居るモツに対して攻撃を仕掛けようとする

のであった!…


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