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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章五十三節 落ち着きの無い闘士達と三人の罪人と謀りのトーナメント-

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折角情報を手に入れて来たと言うのにこの有様!…さすがのフィロの呆気に

取られてしまうのだが…だからと言ってそのままにする訳には勿論行かず!…

次にはハッと我に返るなりその技を決めているマサツグの元までやって来る

と、用が有る!とばかりに声を掛ける!…その際またフィロが来ている事に

オリハやリーナがピクッと反応をして見せると、これまた何故ここにフィロが?

と思うのだが、フィロは御構い無しにマサツグへしがみ付き!…


__コッコッコッコッ!……ガッ!!…


「こりゃマサツグ!!…マ~サ~ツ~グ!!」


「ッ!…ん?…あれ?…フィロ?…何だまた探険か?…」


「そうじゃなくて…大変なのじゃ!!!…

一度シルビィを放して話を!…」


技を掛けているマサツグの腕を掴むと、まずは駄々を捏ねる子供の様に揺さ振って

気を引き!…と、同時に若干慌てて居る感じで声を掛け!…マサツグもそんな

フィロの声を聞いてピクッと反応を示して見せると、そこでフィロの姿を見つけて

行く!…何ならフィロの様子など然程気にして居ない具合で返事をすると、依然と

してシルビィに技を掛け続け!…と、そんなマサツグに対してフィロはツッコむ様に

言葉を口に!…それこそ話を聞け!とばかりにまずはシルビィを放す様に言い

聞かせて行こうするのだが!…


__パン!!…


「のじゃ!?…」


「止めないで下さいましフィロ様!!…

これは!…これは私の事を思っての旦那様の…愛の折檻!!♥…」


「ッ!!…やっかましいのじゃ!!!…

今それどこれではありんせんのじゃ!!!…

いいからマサツグは放すのじゃ!!!!」


フィロがマサツグに放すよう声を掛けて行くと、次にはシルビィが反応して

見せ!…と言うのも技を掛けられている状態ながらに腕を伸ばし!…その

フィロの肩に無理やり手を掛けて見せると、フィロの事を驚かせる!…すると

そこからフィロに対してさも邪魔をしないでくれ!とばかりにやはり頬を

染めながら懇願をすると、今だ恍惚とした笑みを浮かべ!…しかしフィロは

勿論これを断固として拒否をして行き!…寧ろ文句を口にしながら再度自身の

話を聞く様に一喝をすると、マサツグは聞き入れた様子でシルビィを解放!…

するとシルビィはその場に膝から崩れ落ちる!…


__パッ!……ズル…ズルズル…


「あっ♥…あぁ♥…あぁ~~♥…」


「…た、隊長?…」


「と、とにかく救護をしなければ!!…

このまま放って置いたら手遅れになるかもしれない!!…」


シルビィはマサツグから解放されるとまるで溶ける様に!…そして満足げな様子で

やはり恍惚として見せ!…そしてそのまま控室の床に倒れ込んで行ってしまい!…

それでも尚まるで何か達した様にビクビクと小刻みに体を痙攣させると、甘い声も

程々に…ラグナスやリーナを困惑させる!…特にラグナスに至っては本当に見た事

の無いそのシルビィの様子に驚愕すると、夢か何かでは?ととにかく疑い!…と、

その一方でリーナはリーナで初心な様子!…マサツグが締め過ぎたせいでシルビィ

が倒れた!と、違う誤解を受けた様子で衛生兵を呼ぶ様に慌てて居ると、そんな

二人の事など御構い無し!…フィロはフィロで本題に入る!…


「マサツグや!!…この後の勝ち上がりで!!…

名を伏せられた闘士達の事を覚えてるかや!?…」


「ッ!…え?…勝ち上?…って、あぁトーナメントの事か?…

確かマグダラスの奴がお楽しみにって伏せてた…」


フィロは若干興奮した様子でマサツグに話しをし始めると、早速その名前が伏せら

れて居る闘士の話を口に!…と、この時マサツグはまだ呑気を露わにして見せて

居り!…フィロの言う言葉に若干理解が追い付かない様なそんな反応を見せて行く

と、とにかく警戒のけの字も見せない…ただ何事?と言った様子の言葉を口にして

いた。しかしフィロはそんなマサツグを前にしても怒る事は無く、ただ淡々と慌て

ながらも話を続け!…


「その闘士の事なのじゃが気を付けた方が良い!!…」


「ッ!…え?…」


「…すぅ!……その名を伏せられた闘士…そやつらは!…罪人じゃ!!…」


__ッ!!…え!?…


と、そんなフィロの様子と言葉にマサツグも若干戸惑い始め!…フィロもここで

勿体ぶる様に呼吸を一つ挟んで行くと、次にはその伏せられて居る闘士達の事を

口に!…普通の闘士達では無い事を堂々と控室で暴露する!…何ならそれが罪人

である事を告げて行くと、その控室に居る者達全員がへ?とばかりに驚き始め!…

特にラグナスが機敏に反応を示して行き!…近くのベンチにシルビィを寝かせた

後で…その上で振り返り自身の耳に疑いを持つ様なそんな反応を露わにすると、

フィロに有り得ないと口にし出す!…


「…い…いやいや!…それはありえませんよ!…

幾らあのマグダラスでもそんな!…

この闘技場に罪人を引っ張り出してくるなんて…」


この時ご冗談を!とばかりに笑いながら返事をすると、さすがのマグダラスでも

そんな暴挙はしないと最低限のモラルを持って居る事を話し!…特に人狼達の

聖地と呼ばれる闘技場に!…罪人を連れて来る事自体が許される筈も無い事を

口にしようとするのだが!…フィロはそんなラグナスに対して冗談とは答えず!…

意味深にある言葉で返事をする!…と言うのもそれはどんな者が出て来るのか?を

物語る様に!…その者達の刑期で話をし!…


「…刑期…百年以上!…」


「ッ!?……」


「この勝ち上がりに出場する闘士一人につき!…

一年の減刑を設けるらしいぞ?……お主も一応城遣いなら…

この刑期を聞いてどんな囚人が出て来るかは分からんのか?…」


「ッ!!!………」


フィロの口からその刑期の話が出て来ると、途端にどよめきが走った後に控室

内は静寂に!…となると勿論ラグナスも驚き戸惑う始末で!…何なら覚えが

有るのか…容易に誰が出て来るのかも想像で来た様にハッと目を見開いて見せる

と、真実なのか?と俯き考える様子を露わに!…するとそんなラグナスに対して

更にフィロも畳み掛け!…その罪人達に対して如何言った条件が設けられて居る

のか?も話して行くと、ラグナスはそれを聞いて更にハッ!と…次には信じた

様子で若干慌てる!…するとフィロもそれを見てやはりラグナスが何か知って

居る事を確信すると、次にはそれを話す様にラグナスへ情報を求め!…


「…分かったのなら早う言え!…

このままだと本当に全滅も有り得かねんのだぞ?…

…この情報の真偽はともかく!…もしそうなった時の事を考えれば!…

たかだか囚人の情報など…大した事では無いと思うが?…」


「ッ!……確かにそうですね……分かりました!…

私が知って居る限りの事を話しましょう!…」


「ッ!……」


フィロは最悪の事態を免れる為!とラグナスに語り、その囚人についての情報

共有を求め!…と言ってもフィロが下手に出る事は決してなく!…寧ろ上から

目線でさもハッキリしろ!とばかりに言葉を若干強めて見せると、その言葉に

ラグナスもハッとした様子!…次には自身が思うその囚人について話すと言う!…

するとそれを聞いてマサツグも漸く事の重大に気付いて行くと、そのラグナスの

話に耳を傾け!…となると他の面々も集まる様にして話に参加!…誰もが

ラグナスに対してスッと視線を向けて行くと、ラグナスも囚人の話を!…

その自身が思う者達の事について話をし出す!…


「フィロ殿の言う刑期百年以上の囚人と言われると…

私の中ではこの三人しか思い当たらない事を先に言って置きます!…

…まず一人目!…刑期・159年の実刑を受けて過去三度の脱獄を企てた極悪人!…

[デイビス・グレイテイル]!!…

コイツは巡回兵に成り済まし!…兵士及び市民を自身の快楽の為に

惨殺し続けた狂人と言われて居ます!!…

その被害者数はゆうに千を超えており!!…

当時その犯人を捕まえた隊長が傷を負った程の手練だったとか!…」


「ッ!!…シルビィが!?…マジか!…」


ラグナスはその囚人の話をする上で思い当たるのは三人!と、それ以外は思い

当たらない事を先に説明して行き!…と、それを聞いた上でマサツグ達も頷き

返事!…その返事を見てラグナスも続きを!…まず一人目に思い当たる者から

語って行くと、その刑期とやった事!…名前等を口にする!…何なら捕まる前

何をしていたのか?まで話し出すと、一人目から本当に極悪人で!…捕まった

そいつは如何やら快楽殺人鬼の様で在り、捕まえる際もシルビィが苦戦した事を

続けて話すと、マサツグが戸惑った様子で言葉を零す!…因みにその肝心の

シルビィはと言うと、今だベンチに横になっては痙攣しており!…と、そんな

シルビィの事等お構いなし!…続けて二人目に入って行くと、そこでもやはり

トンデモナイ者を!…


「二人目は刑期・179年の実刑を受けている[グラトニア・クラビィアナ]!…

コイツは食人鬼で一人目のデイビスとは違い被害者数はそれ程ですが…

その被害者の殆どは子供!…何でも子供の肉が一番柔らかくて美味しいと言う…

異常者で捕まった時も被害に遭った子供の体の一部を咀嚼していたとか…

ただそんな彼女にも疑問点が有って…

被害者の中に身元不明の成人女性が一人交じって居たとか?…

まぁ…そんな些細な事は如何でも良いとして…

実力は分からなくても注意した方が良い人物には違いありません!…」


「……一人だけ違う?…」


二人目は名前からして女性、その際デイビスと同じ様に紹介をして行き!…その際

彼女が食人鬼である事を口にすると、その主なターゲットについても触れて行き!…

するとそれを聞いたリーナがあからさまに何かムッとした表情を浮かべ!…静かに

誰にも悟られる事無く握り拳を握って見せると、怒りを静かに露わにする!…

それは卑劣にも子供を狙った事に対して怒って居るのか?…はたまた別の理由で

怒って居るのか?…しかしそこでリーナが怒りを発散する事な決してなく、ふと

不可解にもラグナスが続けてある事を口にして言って見せると、リーナもそれに

対してピクッと反応!…可笑しい!と言った言葉を漏らして行く…だがそれ以上

その話に触れる事はやはり無く、ラグナスは最後の三人目を!…


「そして最後…三人目なのですが…

…この三人目はハッキリ言って無い!と思いたいのが本音です!…ですが一応!…

…そいつの刑期は359年!!…前の二人より圧倒的に刑期が長く!!…

過去五度の死刑執行を免れ!!…

そして何よりデグレアントが侵攻をして来た際!!!…

その手引きと皇女の誘拐を手助けしたとされて居るのが

この男と言われて居ます!!!…[バルトグロメイア・フルバスター]!!…

文字通り!!…

国家転覆罪に多数の殺人でもはや死ぬまで出れないとされています!!…

コイツを外に出せばどうなるかと言う事位はあのクソジジィも分かって

居ると思いますが…」


ラグナス曰く三人目が一番ヤバい奴らしく、到底出て来るとは思えない様で!…

それでも一応と思い話を口に!…やはりその刑期から話をし始め!…他二人と

圧倒的に格が違う事を挙げて行くと、マサツグ的にも気になる事を続けて話し!…

と言うのもシロが攫われた原因に深く関わりを持っている様子で!…その話を

聞いてマサツグもピクッ!と…当然聞き流せなかった位に思わずムッとして

見せると、ラグナスはそれに気付いてか気付かずか…やはり出てくる可能性が

低い事を口にする!…その際マグダラスもさすがに分かっている様子で話しを

すると、オリハがここで一応とばかりに質問を口に!…


「……一応聞くけど本当にこの三人以外には?…」


「…いえ、本当に今の所私が知っている百年以上の

刑期を持って居る者達はこの三人だけです!!…

それにもし他にもそんな者達が居るとするなら!…

少なからず私の耳にも入って来ると思うのです!!…

…それよりももし本当にバルトが出て来たら!!…

私や隊長でも苦戦は必至です!!…

…もし当たってしまった場合は棄権した方が良いかと…ッ!…」


__ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!…


まるで念押しをする様に他の者達についても尋ねて行くと、ラグナスも思い当たる

のは本当にこれだけ!と…何ならもしその手の話が有れば当に耳にして居ると話を

続け!…そしてもしそのバルトグロメイアに当たったならば!…直ぐにでも棄権を

考える様に促して行くと、ふとそこでマサツグの表情を!…と言うのもマサツグは

さも出て来る事を想定して考えている様子!…何ならブチのめす!とばかりの表情

も浮かべて居り!…全く引く気配を見せて居らず!…そんなマサツグの表情に

ラグナスも思わずビックリすると、心の中で戸惑って見せる!…


{…ッ!?…マ、マサツグ殿!?…そ、その表情は!?…

…ま、まさか一番可能性が低いであろうバルトを警戒して居る!?…

ば、馬鹿な!?…奴が出てくればどうなるかは!!…}


__ギイイィィィィ…バタン!…


「ッ!……如何やら…

フィロの話が本当かどうかを確かめる時間が来た見たいだぞ?…」


__パラッ…ペタッ…ペタッ……ガタッ!!…バタバタバタバタ!!…


それこそ出て来たらこの世の終わりの様に言われているバルトグロメイア!…

だがマサツグは万が一を考えて!…と言うよりも個人的に何か怒りを覚える様な

そんな反応を露わにすると、ただ黙って話を聞き続ける!…そしてラグナスも

そんなマサツグの反応を見てまさか!?と言った衝撃を受けて居ると、次には

控室の扉が独りでに…と、そこから姿を現したのは巻いた紙を持った兵士であり…

ピクッとマサツグも次には何かを察した具合に言葉を零すと、その言葉が現実に

なるよう!…兵士がその巻いた紙を壁に張り出す!…するとその巻かれた紙に

書かれて有ったのは午後からの予定!…トーナメント表で有り!…と、その

トーナメント表が張り出された事で闘士達も慌てて確認をし出し!…さも先程の

話を聞いて居た様子で!…自分が当たって居ないか?を目を皿の様にして凝視を

すると、次には各々声を上げる!…


「ッ!!…オッシャ!!…俺は違う!!…」


「俺も違うぞ!?…」


「ヤ、ヤッタアアァァァァァ!!!…」


「……あの反応を見る限り覚悟はした方が良さそうだな?…

…とにかく見て見るか…」


マサツグ達以外に残った闘士は五名であり!…その五名がそれぞれトーナメント表を

確認するなり歓喜の声を上げて見せると、そんな闘士達の反応を見てマサツグ達も

察し!…だが確認して見ない事には始まらない!と…その張り出されたトーナメント

表を全員で見る様に移動をすると、そこでまた仕組まれたであろう表を!…マサツグ

達は目の当たりにする!…と言うのもそこには先程聞いた囚人の名前が書かれて有る

と同時に、最初からぶつかる様に組み込まれており!…特に第一回戦からマサツグが

出場する事に!…その相手も快楽殺人鬼であるデイビスとやり合う様に設定がされて

有るのを眼にすると、マサツグは面倒臭そうに言葉を零す!…


「うわぁ…俺一回戦からデイビスってのと戦うのかよ…」


「私も如何やら先程話していた囚人と戦う様だな…

…これも仕組まれたものと分かっている分…

納得が行かないのだが…致し方ない!…」


「ッ!?……じゅ、順当に行けば!!…わ、私と隊長が戦う!?…

しかも戦い終えてもあのバルトグロメイアとのシード戦!?…

…本当にあのバルトを闘技場に放つと言うのか!?…

…もはや正気とは思えない!!……」


一回戦でマサツグVSデイビス!…そこから二回戦を飛ばして三回戦に入って

行くと、オリハが一般闘士とぶつかって!…続いて四回戦でまた囚人!…

女性同士でぶつかるようそこでリーナがトーナメント表に組み込まれて居る

のを目にすると、五回戦でシルビィが出場!…一般闘士とぶつかって行く!…

そこから六回戦に入って行くと、ラグナスも一般闘士とぶつかり!…そして

そのまま二人勝ち上れば師弟対決!…何ならその先にはシード戦が設けられて

いる様で在り!…そこで出て来る筈が無い!と言われていた!…まさかの

バルトグロメイアの名前を目にして行くと、各々驚き戸惑った反応!…しかし

同時に闘士を燃やす!…だが厄介である事には勿論変わらず、さて如何した

ものか?と悩むのだが!…


__ギイイィィィィ…バタン!…


「これよりトーナメント第一試合を登場準備を始める!!…

第一試合出場者…マサツグ!!…ゲート前に集合せよ!!」


「ッ!…はあぁ~……早速お呼び出しが掛かりましたかっと……」


「マサツグ!…」


「兄さん…」


「マサツグや…」


「マサツグ殿!…」


そんな考える時間もない!と言った様子で突如兵士が!…それは控室に入って

来るなり号令を!…と、ここで初めてマサツグの名前が口にされ…マサツグも

お呼びが掛かった事で思わずピクッと反応をすると、次には肩を落としながら

溜息を…各々も心配した様子で名前を呼ぶ!…その際一応敵ながらに闘士達も

災難と言った同情の視線を向けて行くと、ただただ無言でマサツグを見詰め!…

しかしマサツグは逃げる事無く!…頭を上げてふとリーナ達に苦笑いをすると、

大丈夫!と言葉を残して見せる!…


「……ふぅ…だいじょ~ぶだって!…

やられる気はサラサラ無いから!…ははは!…」


「…兄さん、表情と言動が噛み合ってないよ?…」


「…やっぱり?……」


「あぁ~…」×3


この時その心配をしてくれた面々を安心させる様に大丈夫!とマサツグは答えて

見せるのだが、やはりその表情からは面倒臭い!といった不満が漏れて居り!…

と、そんなマサツグの表情にオリハがツッコミ!…さも安心出来ない!と言った

若干の戸惑い様を露わにすると、マサツグもつい本音を漏らしてしまう!…

となるとそんなマサツグの様子にこれまた不安を覚えて行くと、各々思わず

心労の言葉を口から漏らし…が、幾ら漏らした所で結果は変わらず!…マサツグも

覚悟を決めた様子で移動をし始め、スッと気持ちを切り替える様に真剣な表情に

戻って行くと、控室を後に!…闘技エリアのゲートへ向かって行く!…


__……ッ!!…コッ…コッ…コッ…コッ…


「…まぁ、さっきも言った通りやられる気はサラサラ無いさ!…

ただ面倒だなぁ~…って、気が勝っているだけで…

当然勝ちに行く!…だから大船に乗ったつもりで構えててくれや!…」


「ッ!…だ、だが!……」


マサツグが移動する際ラグナス達に背を向けながら話し出すと、再度安心させる様に

言葉を残し!…この時先程とは違って明るく振る舞い!…何なら本音も交えて改めて

勝ちに行く事を宣言すると、そんなマサツグの言葉にリーナが不安を!…と言うのも

やはり不安である事には勿論変わらず!…何か引き止めたい様子でリーナがポソッと

言葉を零すと、マサツグもそれを聞いて脚を止め!…更に言葉を口にする!…


「…そんなに心配なら!…観客席で俺の戦いぶりをまぁ見てなって!!…

もしかすると久々に本気を出すかもしれねぇからよ?…」


「何とッ!?…

マサツグの本気とな!?…

それはイカン!!早く席に戻らねば!!…」


__バッ!!…カランコロン!…カランコロン!…


「ッ!…フィロ殿!?…」


この時マサツグはスッとラグナス達の方へ振り返ると、先程までの気持ちを何処かに

やったよう二カッと笑い!…そして不安なら見て居ろ!と言葉を続け!…何なら

本気も出す様なそんなお調子者ぶりも発揮すると、そんなマサツグの様子にフィロも

ハッ!と…まるで見逃せないとばかりに慌て始め!…マサツグと共に控室を後に

しようとして行くと、そんなフィロの反応にこれまたラグナスが戸惑う!…何か

ペースを乱されるそんな様子を露わにする!…するとその一方でマサツグも改めて

行って来るとばかりに言葉を残すと、最後にラグナス達へ向けて忠告を!…


「…じゃあとにかく行ってくる!…

…正直、俺の事より自分の事を気にした方が良いかもしれないぞ?…」


「ッ!!………」


と言うのも人の事より自分の事を気にしろ!と…ラグナスやシルビィの方が大変で

ある事を口にしては、ラグナスもそれを言われてハッ!となり…すると次には再び

トーナメント表に目を向けて行き!…そこで順当に行った場合のシルビィ戦の事を

考え出すと、思わず戸惑う表情を露わに!…そしてジッとトーナメント表を見詰め

続ける!…何ならそのシルビィに勝った所で更にヤバいのが居る事も改めて考えて

行ってしまうと、更にその表情は焦りを覚え!…


「……まぁ、言った所で仕方がないけど一応な?…

このトーナメント表を見てから何だか胸騒ぎがするから気を付けては居るんだが…

無理だと思ったら意地張らずにギブアップ!…いいな?…」


__……コクリッ…


と、そんなラグナスの表情にマサツグも更に忠告を口に!…とにかく自分の身の

安全を確保するようラグナスや他の面々にも言い聞かせるようその同意を求めて

行くと、リーナ達もハッ!とした様子で反応!…そして小さく頷いて見せる!…

さてそうして改めて各々で今後の進め方について確認するようマサツグが色々と

話して居ると、一方でそれを良しとしない具合にその案内に来た兵士がマサツグを

急かし!…


__……カンッ!!…


「闘士マサツグ!!…早くゲートに向かわないか!!…

このままだと棄権と見なし、不戦敗にするぞ!!」


「ッ!…んだよ!…ちょっと位良いだろ!?…ケチ臭い!…

…んじゃま、行ってくるわ!…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…ギイイィィィィ…バタン!…


兵士は持っている槍で床を柄で突いて行き!…カンッ!と木製の甲高い響く音を

立てて見せると、自身に注意を向けて行く!…そしてマサツグもそんな音に対して

ピクッと反応をして行くと、その音を立てた兵士の方へ振り向き…すると兵士は

そんなマサツグに対して威圧的な態度で忠告を!…早くしないと棄権する!と

マサツグを脅すよう言葉を口にすると、それを聞いたマサツグもカチンッ!と…

その兵士に対して文句を言う!…さてそうして兵士に忠告された事でマサツグも

最後に言葉を残すと、今度こそ控室を後にし!…と、残された面々は今だに

戸惑い!…自分達は如何するのか?と言った反応を見せて居ると、一方でオリハが

気になった事を口に!…


「ところで皆さん…」


「ッ!…ん?…如何したオリハ?…何か有ったのか?…」


「いえ…兄さんにコブラツイストを掛けられてからずっとこの満足そうな表情で…

更に目を覚ます兆しが見えないから如何したものかと…

…もしこれでトーナメントが終わるまで起きなかったら如何しようかな?と…」


「ッ!…あっ…」


「…隊長……」


と言うのも今だ起きて来ないシルビィの事を心配しており!…まずは全員に呼び

掛けるよう言葉を掛けると、そのオリハの呼び掛けに各々ピクッ!と反応をして

見せ…と、リーナが気になった様子で返事をして行き、オリハに如何した?と

若干首を傾げながらに問い掛けて行くと、オリハはその思って居る事をそのまま…

リーナ達に話して行く!…その際今もベンチで横になり満足げな表情を浮かべる

シルビィの事を指差すと、リーナも忘れて居た様子でふと反応の言葉を!…と、

続けてラグナスも反応をして見せ!…次には考えるのも馬鹿馬鹿しくなったよう…

自身の顔に手を当て呆れる様なそんな素振りを見せて行くと、一気に緊張感が

薄れるのであった!…


さて一方で第一試合出場へ向かったマサツグはと言うと、ゲート前まで無事

何事も無く辿り着き…後はゲートが開き次第闘技場へ入るだけの手筈となり!…

その鉄格子の向こうから見える光に何かグラディエーターになった気分で

準備をして居ると、徐々に歓声が巻き起こる!…そんな熱気を感じて居た!…

そして時間も進み比例するよう更に歓声が大きくなると、遂に時間が来たのか!…


「…えぇ~…今から栄えある後継者を決める前座のトーナメント…

第一回戦を始める訳なのですが……

…これってここに書いてある通りに読んで大丈夫なの?…

何ならこれって本当に台本であってるの?…」


__ッ!!…どよどよ!…どよどよ!…


司会は進行を始める様に言葉を口にし始め!…しかしその聞こえて来る言葉は

調子が悪く、何なら裏の会話はガンガンに入って来るそんな珍事も見せており…

となると如何にもその歯切れの悪さに観客達も違和感を感じ!…しかし次には

ちゃんと確認が取れたのか?…それでも司会は戸惑いを隠せない反応を露わに!…

だがそこはプロ意識を見せる様に!…気を取り直して改めて自身のテンションも

上げる様に入って行くと、遂にトーナメントの始まりを告げる!…


「……えぇ~…読んで大丈夫との確認が取れましたので…

改めてご紹介させて頂きます!!……まずは第一試合!!!…

一回戦バトルロワイヤルで曲芸の様な往なし振りで闘士達を

圧倒して見せてくれ達人の様な人間の闘士!!!…

初っ端から我々にその素晴らしい戦いぶりを見せてくれるのでしょうか!?…

マサアアアァァァァァァツウウゥゥゥゥグウウウゥゥゥゥゥ!!!」


__ガション!!!…ガラガラガラガラ!!!…


ご丁寧に先程の会話も含めて安心するよう言葉を入れると、バトルロワイヤルの時

同様一気に自身のボルテージをぶち上げ!…そこからまずはマサツグの紹介を口に

し始め!…観客達に思い出させるようやはりバトルロワイヤルの事から触れて行く

と、マサツグの事を達人!と…そしてそのマサツグの名前を高らかに紹介をして

見せる!…するとそれが合図とばかりにマサツグの目の前のゲートが重そうな音を

立てながら開き出すと、同時に迎え入れるよう歓声が響き!…そして闘技エリアに

入って行くと次には光りが!…これまた迎え入れるよう紙吹雪が宙を舞って居り!…

マサツグもそんな光景を見て思わず驚き固まって居ると、遂にトーナメントが

始まった!と…司会が続けて相手闘士の紹介をし始めるのであった!…

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