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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章四十七節 大会当日と異様なラグナス?…と大会道中-

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さて…あの謁見のまでの騒動以来、女王は体調を崩したままに…となるとその間

代理としてマグダラスが女王の代理を務め!…城と人狼達を束ねる役割に就いて

行くのだが、やはり全体に不和が流れ始る!…そもそもとして女王が倒れる

きっかけを作ったのはマグダラスで有り、不信感を募らせると遂には暴動に発展

する事態にも!…しかしマグダラスはそれらが起きても慌てず御構い無し!…

兵士を動かし暴動の鎮圧!…並びにその首謀者を監獄に入れる等とにかく反発する

者達に対して冷徹な裁量を加えて行くと、同時に大会の準備も進めて行く!…

…そして遂にその時がやって来る!…女王が倒れてから三日後!…シロやハティ

ビィエールが付きっきりで看病する等するのだが効果が見られないまま当日を

迎えると、ただただ不安を感じていた!…


謁見の間での騒動から三日後…闘技大会当日…


「装備、よし!…アイテム、よし!…ステータスもよし!…

よし!!…これでいつでもOKっと!…」


「…はあぁ~……」


大会当日に当たってマサツグも意欲的な調子を露わにすると、まずはいつもの様に

色々な準備確認を済ましており!…と言うのも武器の耐久値やアイテムの在庫や

自身のステータス等々!…それぞれ何が有っても大丈夫な様に操作画面を開いては

指差し点検!…何なら一々大丈夫!と口に出しながら一人頷くそんな様子を見せて

居ると、その後ろではフィロが呆れた様子で溜息を…ベッドの上でだらけるよう

涅槃のポーズを取りながらマサツグの事を見て居た!…そしてそんなフィロの様子に

マサツグもふと気が付いた反応を見て行くと、次には尋ねる様に声を掛けて行く

のだが…


「ッ!…ん、如何した?…フィロ?…

そんな理解出来ないとばかりに溜め息を吐いて?…

腹でも痛いのか?…」


「…はあぁ~……マサツグの実力ならば…

別にそこまで確認せんでもあの女王以外なら誰が相手でも余裕じゃろうて?…

それにオリハとリーナ…それにシルビィも参加するのじゃから…

尚更余裕じゃろうて……なのに何をそんなに張り切っておるのじゃ?…

わっちにはこれが分からん!……始まるまでの間のんびりすれば良いモノを…

ただ向かって来る者を捻じ伏せるだけではないか?…何をそんな?…」


マサツグはいつもの調子でフィロへ如何した?と言葉を…その際若干デリカシーが

欠けた様子で更にもう一つ質問もするのだが、フィロは大した反応を見せる事は

無くただ再度溜息を漏らし…そして次には逆にマサツグへ質問を口に!…この時

まるで無駄な事を何故一々するのか?と呆れた具合に尋ねて行くと、次にはスッと

胡坐を掻き!…肘を突きながらに理解出来ないと言った表情を浮かべる。すると

そのマサツグの今居る位置と言うのはベッドの下で、丁度目線的にはフィロの

ハッピーマテリアルが見えてしまいそうな辺りに居り…


「…さすがのじゃロリ幼女魔王様…言う事がまさに魔王…

…でも女の子なんだからスカートと言うか何と言うか…

とにかく丈の短い服装で胡坐を掻くのは止めなさい!…」


この時マサツグはマジマジと見ないもののチラッと確認!…そしてフィロの

豪胆さに対してさすが!と笑い…と、同時に今この状態だと色々と見えて

しまう事からはしたない!と…若干眉間にしわを寄せつつ!…フィロに体勢を

直すよう注意の言葉を口にすると、フィロはマサツグの言葉にツッコミを!…

しかし同時に認める様なそんな反応も見せて行く!…何ならマサツグなら

大歓迎!と言った言葉も口にすると、そのフィロの言葉にマサツグが呆れ…


「…いや言った俺が言うのも何だけど良いのかよ…後、覗きません!」


「んん~?…遠慮せんで良いのじゃぞぉ~?…ほぉ~れほぉ~れ!…」


__…はあぁ~……ガッ!…ズイ!!……ッ!?……ッ~~~…


そのフィロの奔放さ?に戸惑いの言葉を漏らして行き…更にはキッチリと覗かない

事についても否定をすると、フィロはいつもの様に調子に乗り出し!…次には

ニヤニヤと悪い笑みを浮かべては徐に着物の裾を摘まんで見せ!…そしてマサツグ

に対して中身を見せる様にヒラヒラとはためかせる!…何なら挑発をする様なそんな

言葉も口にすると、頬染めながらに誘惑をする!…するとマサツグもこれにはまた

呆れる様なそんな反応を見せて行くと、次にはそのヒラヒラとさせる手を握りに

掛かり!…そこからズイッと迫る様にフィロの目をジッと見詰め!…フィロもそんな

マサツグの急接近にハッとした様子で目を見開き!…吃驚した様なそんな反応を

見せて行くと、視線に負けてか更に顔を赤く!…次には誤魔化す様に同じ質問を

口にする!…


「…ま、まあそんな事よりもじゃ!…何故に故?…」


「ッ!…まぁ、強いて言うなら何が起きるか分からないから!…かな?…

幾ら強くても慢心して痛い目見るってのはざらに有るからってのと…

これはクセみたいなモンだから気が付いたらやってるってのも有る!…

…後今回の件に関しては俺も本気だから余計だな?…」


「…ッ!…なるほどのぅ?……」


自分から仕掛けて置いてなんだが、フィロはマサツグから視線を逸らす様にそっぽを

向くと、ただひたすらに照れ!…と、そんなフィロの反応に対してマサツグもピクッ

と反応して行き!…徐々にフィロから離れ…その手も放して質問の答えに油断大敵と

ばかりに答えて見せると、更には癖でもある!と…何なら直せない事も口にする!…

そして今回マサツグとしても何が何でも勝つ気で居る事を更に話すと、その声色から

怒気を!…するとフィロもそれを機敏に察知して行き!…これは面白くなる!と

ばかりに思わずフフフ!と笑って見せると、納得したと返事をする!…さてそうして

フィロが理解をした所でマサツグも落ち着き、徐に溜息を一つ…


__…はあぁ~…ッ!……


「…まだ完全回復していない女王を引っ張り出してまでやろうとしてるんだ!…

俺達やラグナスの様に女王の体を気遣う連中が居るにも関わらず!!…

中止を訴えても強行してやろうとしてるだ!!…だったらやる事は一つ!!…

参加者全員を戦闘不能にしてさっさと大会を終わらせる事!!…

だから自ずと何回も早く終われるかって確認してしまうのさ!…

…それにこうして待ってる時間も長いから余計かな?…って、色々理由あるな?…」


「…なるほどなるほど…癖か…

…ほんに変わった癖じゃの?…」


マサツグが溜息を吐いた事でフィロも思わずピクッと反応!…この時耳をピコピコ

と動かし!…と、その一方でマサツグはまだ理由がある!と…何ならコッチが

本音とばかりに話し始め!…その際徐にスッと握り拳を固めて見せると、その手を

痙攣!…さも怒りを溜め込む様なそんな様子も見せて行く!…そしてある程度話を

した所でスッと拳を解いて行くと、さっさと終わらせる!と更に意気込み!…が、

次にはボケをかます様に自身の理由の多さに苦笑い!…フィロもそんなマサツグの

反応を見釣られてまたフフフ!と笑い!…腕を組みながら何度も頷くそんな反応を

露わにすると、面白い癖!と言って見せる!…さてそうして一時ではあるが和気藹々

とした話をして居ると、次にはマサツグ達の居る部屋の扉が勢い良く開き!…


__バアァァン!!…ッ!?…ババッ!!…


「玉藻の前えぇ!!…貴様!!…忘れては居ないだろうな!?…」


「ッ!!…パルシディアナァ!!……」


と、当然そんな扉の開き様にマサツグ達も吃驚!…そして何が来たのか?と…

その扉の向こうに居る者の姿を確認すると、その勢い良く開いた扉の向こうには

パルシィの姿が!…何なら扉を開ける際フィロを名指しして不敵に笑い!…何か

約束をして居た具合に話しを進めようとして行くと、フィロもフィロでカチン!

と来た様子!…次にはパルシィに対して視線を向ける!…しかしその一方で

パルシィは意気揚々と大部屋の中に入って来ると、次にはフィロの前まで移動を

して来ては何か勝負の説明を!…


「ルールは簡単!…大会終了までマサツグ達を守り切る事が勝利条件だ!!…

その間に妨害が有った場合は排除!…

排除した人数及び無力化させた者の数が多い方が勝ち!!…

万が一襲ってくる者が居なければ仲間達にどちらが頼もしかったかを尋ね!!!…

多数決で多かった方が勝ちと言う事でいいな!!!」


「フン!!…また如何でも良い事をぬけぬけと!!…

そんなモンどっちでも構わん!!!…

…わっちは威嚇等せんでも相手を無力化させる術は何なりと有るからのぅ?…

寧ろ勝負になるかが心配じゃが?…」


「ッ!!…何ぃ!?…言ってくれるではないか玉藻の前ぇ!!…

それでこそ叩き潰し甲斐が有る!!!…」


「…はあぁ~…フィロもパルシィも…

ほんとに飽きもせずに喧嘩するのな?…そろそろ止め…」


と言うのもまだあの三日前の喧嘩を引っ張って居る様で…パルシィがそれに

因んでルールを考えて来た!とばかりに話し出すと、フィロはムッとした様子!…

それこそ邪魔をされた!と言わんばかりにパルシィを睨む!…だがパルシィは

全く効いても居ない様子で話しをすると、フィロに同意を求め!…と、そんな

パルシィの説明にフィロは呆れ!…如何でも良い!と一蹴!…それでも負ける

気が無い事をニヤッと笑いながらに話しをすると、パルシィもそんなフィロの

態度にカチン!と…やはり犬猿の仲を露わにする!…さてそんな二人の様子を

見てマサツグもまた呆れた様に溜息を吐くと、今度こそ喧嘩の仲裁に入ろうと

するのだが!…


__コンコン!…


「…私です、ラグナスです!…

そろそろ大会が始まるのでお呼びの声を!と思い来たのですが?…

…準備は万全ですか?」


「ッ!…あぁ、いつでも良いぞ!!」


「ッ!…承知いたしました!…

では案内致しますので出て来て下さい!…

…闘技場へご案内します!…」


また仲裁に入ろうとした所で邪魔?が…それは扉をノックする音で静かに響き…

次にはそのノックの主であるラグナスがマサツグ達に声を掛けると、遂に始まる!

と報告を!…準備は出来ているか?と言葉を続ける!…するとそんな問い掛けに

対してマサツグもピクッと反応をすると、次には喧嘩をして居る二人を置いといて

返事を!…と、そんなマサツグの返事にラグナスも了解と言葉を口に!…これまた

その会場の場所への案内を買って出るよう言葉を続けて話して行くと、マサツグも

これまた了承!…そして漸く二人の喧嘩の仲裁に入る!…


「ほ~い!!……ほらほら二人とも行くぞぉ?…

いつまでも睨み合ってないでほらほら!…

…手を握ってやるから!…」


その際呆れた様子で二人の間に割って入ると、完全に二人を子供扱いして行き!…

右手にフィロの手を握って左手にパルシィ!…そうしてさも子連れのお父さん

スタイルで部屋を後にしようとして行くと、次には二人が異様な気配を察知!…

進もうとするマサツグの腕を引っ張って見せる!…それはまるで駄々をこねる

子供の様に二人揃って引っ張って見せると、当然そんな二人の抵抗にマサツグも

戸惑い!…


__ッ!!…グイッ!!!…


「んぐあ!?…お、おい!?…」


突然二人に腕を引っ張られて身長差的にマサツグはリンボーダンス状態に!…

勿論体勢がとても辛く!…マサツグが二人に対して如何した?とばかりに戸惑った

様子で声を掛けると、一人プルプルと震えて見せる!…しかしそれでも二人は

ガッチリとマサツグの手を掴み続けると、その締まって居る扉の向こうを何故か

凝視!…それは何か警戒をして居る様に見える訳で!…二人は揃って徐に怪しい!

と言葉を口にすると、更にマサツグを引っ張って行く!…


「待つのじゃマサツグ!!…何やら可笑しい!!」


「ッ!?…えぇ!?…」


「外に居る者は本当にあのラグナスと言うものなのか?…

だとするとマナの感じが前に会った時と違うのだが!?…」


「ッ!?……と、その前に二人ともいいか!?…

さすがにこの体勢で引っ張られ続けるのは!!…

先に俺が倒れてしまいそうなんだが!?…ッ~~…腰が辛いぃ~!!…」


フィロは何か警戒をした様子で両手で引っ張り、マサツグに可笑しい!と言葉を…

と、その隣でも同じ様に左手を引っ張り!…感じられる何かが違う事をパルシィが

疑う様に話して行くと、既に勝負は始まって居るのか?…マサツグを守る事に

必死になる!…しかしその一方で更にマサツグの腰が悲鳴を上げて曲がって行くと、

マサツグもギブアップとばかりに言葉を!…とにかく一旦放してくれ!と涙目

ながらに懇願…するとそのマサツグの悲痛な叫びに二人も漸くハッとした様子で…

マサツグの状態を認識すると、パッと手を放して行く!…


「え?…ッ!…あぁ!!…す、すまん(のじゃ)!…」


__パッ!…


「ッ!…え?…」


__どたぁ~ん!!!…


勿論バランスの取り辛いリンボー状態!…そんな中支えであったフィロとパルシィが

慌てて手を放して行くと、次にはマサツグも戸惑った様子で言葉を…そしてそのまま

腰から膝へと崩れる様に!…そのまま床に大の字!…では無く…何とも言えない

コミカルな感じで倒れて行くと、部屋一杯に慌しい音が!…さも響く様にして立って

行く!…となると今度は部屋の外で待って居たラグナスが音を聞きつけ心配をする

と、慌てて部屋の中に入ろうとするのだが!…


「ッ!?…だ、大丈夫ですか!?…何やら大きな音が?…」


__ガチャッ!!…ッ!?…バババッ!!!……ギイィィ…


「如何され?…」


「「ハアアアァァァ!!!!」」×2


この時ラグナスは一応フィロ達にも聞こえる声で問い掛けながら部屋に入ろうと

するのだが、それでもフィロとパルシィの警戒は解けず!…寧ろ更に怪しんでは

身構え始め!…そして何も知らないラグナスがその部屋の扉を開けて中の様子を

確認しようとして行くと、そこで身構えるフィロ達!…何ならその利き手に力を

溜める様子も見つけて行く!…そして二人も構わず力を溜めに溜め切って後は

撃ち出すだけの状態に持って行くと、戸惑うラグナスを余所に!…


__シュウン!!!…


「え?…えぇ!?…」


__カッ!!…ボゴオオオオォォォォンン!!!!…


それはまるで某・竜玉を集める漫画の必殺技の様に!…普段いがみ合って協力の

きょの字も無い二人なのに!…この時だけは何故か同時に攻撃を撃ち出し連携技

へと昇華させると、勢いそのままにラグナスをぶっ飛ばす!…その際ラグナスの

目の前で二人の攻撃がギュッと合体する様子を見せて行くと、それは絶望にも

自分の方に向かって飛んで来て!…と、何が起こって居るのか分からないままに

次には爆発!…ただ自身が何故か吹き飛んだ事だけが分かって行き!…そして

徐々に意識が遠退いて行くそんな感覚も覚えて居ると、勿論その部屋の扉は吹き

飛び!…大惨事の事態となってしまう!…


「うわああぁぁぁぁぁ!?!?!?…………」


__シュウゥゥ~~…パラ…パラパラ…


まるで水蒸気爆発が起きた様な技に扉が跡形も無く消し飛んで行ってしまうと、

その扉が有ったであろう場所の向こう側ではラグナスが目を回した状態で

ノックアウトとなっており!…廊下の壁へもたれ掛かるよう座り込んでは見事に

気絶!…その際頭も打ったのか…ラグナスの後頭部にさも漫画の様な丸いたん瘤

が腫れ上がって居るのも見て取れると、次にはマサツグも体を起こし…そして

その惨状に言葉を失う!…


「あ?…あぁ~………」


「ッ!!!…こりゃ、パルシィ!!!…

お主が余計な事をするから予想以上に被害が出て居るではないか!!!…

これを如何するつもりじゃ!!!」


「ッ!?…な、何を言うか玉藻前!!…

元はと言えばお前が私の攻撃に同調させたのが悪いのではないか!!…

これはお前の責任で私は悪くない!!!」


「な!?…馬鹿を申すでない!!!…

これはわっちの攻撃にお主が重ねた事で!!!…」


「いいや!!!…これはお前の攻撃で!!!…」


__ギャース!!…ギャース!!……パンッ!…パンッ!…


ただ自分が転けただけでこの惨状…そしてその一方ではフィロとパルシィがまた

睨み合う様に顔を突き合わせては喧嘩を始め!…何なら互いにこの結果に吃驚した

様子で話しており!…パルシィが悪い!フィロが悪い!とこれまた醜い責任転嫁の

様子も露わにすると、ただただ慌ただしく文句を言い合う!…そしてそんな様子に

マサツグも少し怒りを覚えて行くと、自力で立ち上がるなり体を叩き!…そして

徐に咳払いも一つ!…


「…ゴホンッ!!!……」


__ビクッ!?………チラァ?…ッ!?…


「……確かにワザとじゃない!…

寧ろ守ろうと思っての行動だって言うのは分かって居るがぁ?…

こうして言い合いをするよりも?…

先に謝らないといけない事が有るんじゃあないのかなぁ~?…」


「ヒィッ!!!……」×2


その際二人を逃がさない様に!…出入口を自身の体で隠す様にして仁王立ちをして

行くと、眼下に二人を捉え!…と、マサツグの咳払いに二人もビクッ!と…途端に

言い合いを中断してチラッとその咳払いの聞こえた方に視線を向けると、そこで

ニコッと笑って見せるマサツグの顔を!…そして怒りも燃やして居る様子を目に

して行く!…そして二人揃って青褪め不味い!と言った具合に固まって居ると、

マサツグも落ち着いたトーンで言葉を!…それは勿論二人がわざとやったのでは

ない!と色々と分かって居る様子であり、しかしこれに関してはやり過ぎ!と…

となるとその後の展開はご想像通り!…城内に幼女二人の悲鳴が木霊する様に

響いて行くと、暫くしてマサツグがラグナスの方に!…


「…さぁて、ラグナス~?…生きてるか~?」


「あ?…あぁ~?…」


「…駄目だ、完全に気を失っている…

……とにかくこれをっと…」


__パキュッ!!…シュワシュワシュワシュワ!…


マサツグが気絶するラグナスの方へ移動をすると、まずは声を掛けて意識が有るか

を確認し!…が、返って来た言葉はまるで廃人の様な呻き声で…マサツグもそれを

聞いて駄目だと悟り…次には抱き起こしアイテムポーチからエリクサーを一本取り

出して行くと、徐に封を切って見せる!…そしてそのエリクサーを片手にラグナス

の口へ少量づつ中身を流し込むと、そのラグナスの口からは炭酸の弾ける音が

聞こえ…と、次にはそこからいつもの展開へと発展して行き!…エリクサーを

飲ませたラグナスの体がドクンと跳ねるそんな様子を見せて行くと、今度はハッと

意識を取り戻す!…


__……ドクン!!…


「ッ!!!…ゲホッ!!…ゴホッ!!…ガホッ!!…

ッ~~!!……え?…あれ?…わ、私は一体?…」


「ッ!…ふぅ…よし、目が覚めたな!」


「ッ!?…マ、マサツグ殿!?…い、一体何が!?…

…ッ!…それとあそこのお二方は?…」


やはり初めての炭酸で咽たようラグナスが咳き込むと、次には困惑した様子で辺りを

見回し!…が、見回した所でコレと言った変化は無く…ただマサツグが自身を抱えて

居る…やはり状況に苦しむそんな反応を見せて居ると、マサツグもマサツグで安堵…

今度は効いた!と笑みを零す!…そしてラグナスに調子を尋ねるよう声を掛けると、

ラグナスは更に戸惑った様子で慌て出し!…次にはマサツグから飛び起きて困惑!…

とにかく目に付いたモノについて説明を求めるよう質問の言葉を口にすると、

マサツグは落ち着いた様子で言葉を!… 


「ん?…あぁ…気にしないでくれ!…」


__シュ~~……ピクッ…ピクピクッ…


「ッ!?…き、気にするなと言われましても!…

…ま、まぁ……はぁ…」


ただラグナスに落ち着くよう言葉を口に!…気にするな!と言い聞かせ!…が、

ラグナスの目の前にはお尻を天井に向けて突き出した状態で倒れるフィロと

パルシィの姿が!…となると当然気になってしまう訳であり!…何なら痙攣も

して居るのか時折ピクピクとしている様子も目にして行くと、更に戸惑いを

露わにする!…そしてその事をマサツグに尋ねようとするのだが、マサツグは

何も語らず笑みを浮かべるばかりで!…と、そんな様子に察したのか…ラグナスも

それ以上は聞かず!…無理やり納得するようなそんな反応を見せて行くと、今度は

マサツグが質問を!…ラグナスに用件を尋ねて行く!…


「…で、準備が出来たんだろ?…

案内を…って、モツ達は?…」


「ッ!!!…そうでした!!…す、直ぐにご案内を!!…」


「ッ!?…お、おいおいそんな急がなくても!…」


と言うのも大体は察しが付いて居る訳で有り!…ラグナスにその大会の会場への

案内を頼もうとすると、同時に他の面々の居場所についても気になり…次には

その事についても質問を口に!…するとラグナスもハッと慌てた様子で反応を

して見せ!…次には慌ててマサツグをその場所へと案内するよう駆け足気味に!…

何か焦って居る様なそんな様子を見せて行くと、マサツグも戸惑った具合で

言葉を…しかしそれでもラグナスは慌てる!…


「い、いえいえもう大丈夫です!!…

それより早くマサツグ殿を大会の方へ案内しなくては!!…

…でないと隊長に何を言われ……いやいや…やらされるか!!…」


如何やら慌てる理由はシルビィにある様で、慌てると同時に青褪める様な!…

と、同時に何を想像して居るのかガタガタと震え!…それはさも過去の

トラウマを思い出して居る様子でもあり…とにかく慌てるそんな反応を見せて

行くと、マサツグを急かす様に手招きをする!…そしてそんなラグナスの

様子にマサツグも戸惑った反応を見せて行くと、取り敢えず従う様にラグナス

の先導の下会場へ向かい!…その際お仕置きされたフィロとパルシィを両脇に

抱え!…いつのも人攫いスタイルで現場へ直行して行くと、その道中ラグナス

がある事を!…


__タッタッタッタッタッタッタッタッ!!…


「…あっ!…先程の質問ですが…

マサツグ殿達以外は既に闘技場へと案内しております!…

モツ殿、アヤ殿、マサキ殿、くまさん殿は観客席へ…

リーナ殿とオリハ殿は隊長に連れられ既に闘技場の控え室に…

そしてシロ様ですが…ハティビィエール様と一緒に女王様の隣に…」


「ッ!…」


ふと思い出した様子で今更になって質問の返事を!…何でもマサツグ達以外は

既に現場へ向かっているらしく、その際女王達の事についても話しを!…と、

その話を聞いてマサツグも思わずピクッと反応をして見せ!…あの後どうなった

のか気になった具合に黙って話を聞いて行くと、ラグナスは徐々に何か思い

詰める様な…そんなローテンションで話をする!…と言うのもラグナス自身も

思う所があるらしく、やはり今回の大会について不満を漏らし!…


「…ですが、やはり女王様は完全には回復していない為…

横になられた様子でご観覧のようです……無理を押して大会のご観覧をさせられ…

更に後継者を決める為の決闘で自分の娘達が闘う姿を見届けなければならない!…

…こんな!…ここまで酷な事って有るのでしょうか?…」


「………。」


ラグナスは女王が回復して居ない事を話し出すと、やはりマグダラスの強行に

怒りを燃やし!…と、同時にシロとハティビィエールの決闘についても言葉を

口に!…特に女王の心情を気遣い!…この大会に意味など無い!と言った事を

話して行くと、マサツグも同意する様に沈黙!…静かに闘志を燃やして行く!…

さてそうして色々と話して居ると、マサツグ達は城を出て前の広場へと向かい!…

そこから直ぐ隣にある洞窟へと進入!…やはり急ぐ様にしてマサツグ達が一気に

洞窟を駆け抜けて行くと、そこでこれまた闘技場を!…洞窟に不釣り合いな物を

見つけて行く!…


「…ッ!…見えてきました!!…あれが!…

あれが今回大会が行われる闘技場です!!…」


「ッ!……何か古い感じの闘技場だな……」


ラグナスが辿り着いたと言う先には円形状の闘技場!…まるでイタリアのコロッセオ

を思わせる物が建って居り!…その際目に付くは洞窟の一部壁が崩れて霊峰八合目の

空の様子がよく見えて居る様子で有り!…そしてその壁の穴を覆う様に闘技場の柱と

壁で塞いでいるよう!…何なら長年外気に触れているせいか、その柱と壁が完全に

凍り付いている様子が見て取れると、外の極寒地獄振りがよく伺える!…そして

恐らく堅牢な岩を削って作られたであろうその闘技場にマサツグも少し感動を覚えて

言葉を零すと、ラグナスはこの闘技場が自慢なのか目をキラキラとさせた様子で徐に

説明を!…


「えぇ…初代様の頃から存在するこの闘技場は言わば!…

私達ライカンスロープの兵士にとっては聖地であります!!…

ここで戦える名誉は代々語り継がれて行き!!…

王者となったものは伝説とされる!!…そんな場所です!!…」


恐らく人狼達からすれば憧れの場所であるのだろう!…とにかくここで戦える事は

光栄と語り!…ラグナス自身今ここに訪れた事に何か若干興奮をしている様子を

見せて行くと、マサツグも無言ながらに若干戸惑う!…そしてそんな無邪気な様子

を見せるラグナスに何か噴き出しそうになって居ると、その闘技場前の光景がふと

目に留まり…と言うのも今まさに受付をして居るのか、兵士数名が立って居り!…

遠目からマサツグ達の姿を見つけて行くと注意の言葉が飛んで来る!…


「ッ!!…おぉ~~い!!!…ラグナス殿にそこの冒険者ぁ~!!!…

早く受付を済ませて控え室に行かないと不戦敗になってしまうぞぉ~!!!」


「ッ!…おっと!…いつまでも眺めている場合ではありませんね?…

早く受付を済ませてしまいましょう!」


「ッ!…あ、あぁ…」


それは早く受付を済ませるよう呼び掛ける声で、この時点で何か差を感じる様な…

と、しかしそんな事を言っている場合では勿論無く…ラグナスもハッと我に返ると、

マサツグを案内!…その受付の方へと走って行く!…そしてその受付にて簡単に

自身の名前だけを記入すると、それで受け付けは終了し!…後は会場の中に入る

よう促され!…ラグナスの先導の下そのまま控室に向かおうとすると、そこでも

やはり扱いが違う!…明らかな差別を受けて行くのであった!…

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