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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-
-第六章二十二節 雪山での綱引きと人狼達のやり方とラグナスの肩書-
しおりを挟むさてシロがマサツグにしがみ付いて甘える…もとい蜃気楼対策をして居ると、
更にその後方ではある事が…と言うのもフィロもその様子を見てハッとした
具合に便乗しよう!と…それこそ縄で繋がって居るのを忘れて居た様子で
動こうとすると、パルシィが抵抗!…その縄を掴むなり引っ張り始める!…
それはまるで綱引きをする様にグッと引っ張ると、フィロを縛って居る縄が
更に締まり!…
__トトトッ!…ッ!…グイッ!!…ぎゅうううぅぅぅ!!…
「ッ!!…のじゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!…
な、何じゃ!?…きゅ、急に縄が!?…
…ッ!!…おのれ貴様かパルシディアナアァ~~!!!…
くびれが!!…更にくびれてマッチ棒にぃぃ~~~~!!!…」
「ッ!…フンッ!!…いっその事ここで楽になれ、玉藻前!!!…」
「ッ!?…ストップ!!…スト~~~ップ!!!…
フィロちゃんが!!…フィロちゃんが二等分されちゃう!!!」
縄が腰に食い込む様にして締まって行き!…フィロも堪らず苦しいとばかりに
悲鳴を上げると、その後ろではパルシィがハッと!…その様子を見て何か好機!
と感じては更に力を入れる様にして引っ張って行き!…何ならここで引導を
渡そうとして見せると、くまさんが慌てて止めに入る!…その際フィロも素直に
引っ張られるままに後ろへ下がれば良かったのだが、何かプライドが許さない
のか前へ前へと抵抗!…結果として更に縄はギュッと締まり!…フィロも何か
チアノーゼを起こし掛けて見せて居ると、くまさんがパルシィを羽交い絞めに
して止めに入る!…
__ボッス!…ボッス!…ボッス!…ボッス!…ガシッ!…ッ!……ぷらぁ~ん…
「ッ!……だはぁ!!…ぜぇ!…ぜぇ!…
し!…死ぬかと思ったのじゃ!?…」
「…チッ!!…仕留め損ねたか!…」
__…カチンッ!!…
「何じゃとこのかき氷娘!!!…
そんなにわっちを本気で怒らせたいのかえ!?…」
体格差が有る為くまさんがパルシィを羽交い絞めにすると、パルシィは当然
宙ぶらりんに…宛らその様子は何かのアニメの様に見えてしまい!…とにかく
羽交い絞めにされた事でパルシィも縄を上手く引っ張る事が出来なくなると、
フィロも漸く解放!…その場でバタッと四つん這いになる!…そして息を
止めていた様に息を漏らし呼吸をすると、マジでヤバかった具合に言葉を!…
と、その言葉に対してパルシィもポソッと…やはり本気で落としに掛かって
居た事を口にすると、勿論その言葉にフィロもカチン!と…怒りを露わにして
見せる!…するとそんな様子にオリハも不味い!と感じたのか、くまさんの
助けに入るよう仲裁に!…
「こらこら!!…こんな所まで来て喧嘩をしない!!…
確かにパルシディアナちゃんが悪いけど!!…今は争ってる場合と違う!!」
「そうだよ、フィロちゃん!!…今は落ち着いて!!…
…ほら、パルシディアナちゃんも謝って!!!…」
「……すまなかったな…
あまりにも隙だらけだったのでつい、な…」
「ッ!!!…もう許さん!!!…
今ここでお主に引導を渡してくれる!!!!」
慌ててくまさんの後ろからオリハが顔を覗かせ、とにかく二人に落ち着くよう
言葉を口に!…するとくまさんもパルシィを羽交い絞めにしたまま仲裁し続け!…
一旦はパルシィに謝るよう言葉を掛けて行くのだが、パルシィはパルシィで!…
フィロに対してニヤリと笑い!…まるで悪びれる様子も無く逆に挑発の言葉を
口にすると、そんなパルシィの態度にフィロもプッツン!…遂には喧嘩腰にへと
発展する!…となるとこの喧嘩を止めれるのはマサツグとモツ位になるのだが、
肝心の二人は先頭で!…その間二人はやる気満々!…互いに睨み合いつついつ
勃発しても可笑しくない状態に発展すると、いよいよ抑えが利かなくなる!…
「…いいだろう!!…
今日こそここで!!…その首貰い受ける!!!…」
「ッ!!…おい、いい加減に!!…」
__ババッ!!…ビタッ!!……ッ?…
パルシィも完全に乗り気になり!…フィロの言葉に対して掛かって来い!と…その際
くまさんの拘束からするりと逃れ、地面に着地をしてフィロに対して更に挑発する
よう手で来い来い!とばかりにやって見せると、フィロも身構えパルシィを睨む!…
そして両者共に戦闘態勢に入って行くと、オリハもいい加減に怒った様子で言葉を
口にするのだが、二人はやはり止まらず!…と、思いきや次には何故か飛び出しては
寸前でビタッ!と…まるで互いに何かに気が付いた様子で途端に動きを止めて行く
と、その様子に仲裁に入って居た二人も困惑!…何事?とばかりに見詰め出す!…
「……え?…急に如何し?…」
「……ッ!…そう言えば前が一歩も動いてない?…
動いてたら縄が締まって…」
勿論突然のこの光景にオリハは困惑!…その際力尽くでも止める気で武器を咄嗟に
握るのだが…その一方でふと縄が引っ張られて居ない事にくまさんもハッと気付いて
行き!…これは一体?と言った具合にとにかく戸惑った反応を見せて居ると、次には
喧嘩所では無い!と…その前方からある者の声が響いて来る!…そしてその声の主と
言うのはマサツグで有り!…マサツグは全員に警戒するよう口にすると、敵襲である
事を伝えて行く!…
__ッ!!…敵襲ぅ~~~!!!…ッ!?…
「…何かが近づいてくる!!…
この気配は?……感知!!…
…ッ!!…ってか既に囲まれるじゃねぇか!!」
__どよぉ!?…ザザッ!!…ザザッ!!…
如何やら先頭に居るマサツグ達が異変に気が付いた様子で脚を止めて居た様であり、
先頭に居たマサツグが感知を発動!…するとミニマップ上に敵影が多数投影され!…
その様子にマサツグが声を上げて驚いて居ると、そのマサツグの声を聞いた面々や
人狼達は慌て出し!…そして喧嘩の真っ最中である二人の耳にも入って行くと、
次には当然喧嘩を中断!…その際二人も喧嘩に水を差された事で舌打ちする!…
__ヒュオオオォォォォ!!!…
「……チッ!!…わっちとした事が…
気づかぬ間に犬共の接近を許すとは!!…
おい、かき氷!!…この状態でもやるつもりか!?」
「…私は一向に構わないのだが……
この者達は明らかに敵意を向けて来ている!…
今からお前を相手にしながらと考えると些か邪魔臭い…」
山から吹き下ろす風を耳に!…そしてフィロ達も付近に敵が居る事に漸くハッと
気が付いて行くと、悪態をつきながら質問を!…その質問に対してパルシィも
上等!と返事をする!…しかしやはりフィロを相手にしながらと考えると、面倒
である事に変わりはなく!…二人揃ってやはり一時休戦に!…そしてその敵意が
感じられる方に各々はスッと振り向いて行くと、仲間を守る為に身構え始める!…
その際改めて停戦である事をフィロが言うと、パルシィも文句有り気に言葉を!…
__クルッ!……ザッ!!…
「…今は停戦じゃ!!……
この馬鹿犬共を蹴散らしたら次は貴様じゃ!!!」
「それはこっちの台詞だ!!…玉藻前!!…
この者達の対処が終わった時!!!……覚悟しておけ!?…」
互いに背を向け威嚇し合いながらも敵意が向けられている方をジッと見詰める!…
それは相手の出方を伺う様に!…その光景にくまさんとオリハの二人もホッと安堵
する様子を見せて行くと、次には辺りの警戒をする!…その際円形状に陣を整えて
行って見せると、全方位に対して身構え!…するとそんなマサツグ達を取り囲んで
居た敵意達も徐々にその姿を露わに!…もはや隠れる必要はもうないのか?…
一斉に姿を現し奇襲を掛ける様に襲い掛かって来ると、次には号令も聞こえて
来る!…
「ッ!!…全員掛かれ!!…
招かれざる客はここで排除しておくのだ!!!…」
__オオオオオオォォォォォォォォ!!!…
「招かれざる客ってのは間違いなく!…」
「…俺達の事だろうな!!……」
この時その号令からはハッキリとマサツグ達を敵視する言葉が聞き取れ!…そして
それに返事をするよう襲い掛かって来た人狼達も仲間など気にせず攻撃を仕掛け!…
その際マサツグ達もその言葉が引っ掛かった様子で言葉を漏らし!…向こうが襲い
掛かって来たのだから!と…剣や弓を構え迎撃の構えを見せて行く一方!…
その近衛の者達はただ戸惑った様子で慌て出すと、状況が理解出来ないのか…その
襲い掛かって来る人狼達を目の前にしても戸惑い続ける!…
「お、おい!!…何だこれは!?…」
「何で女王様直属の部隊がここに!?…」
「俺達はただ行方不明になっていたスコルティナ様の護衛をしていた筈!!…」
近衛の者達は一体どんな事を言われてここまでやって来たのか?…各々戸惑った
様子で言葉を漏らし…話と違う!と言った具合にその襲い掛かって来る人狼の
兵士達に声を掛けるが、その攻撃が止まる事は決して無く!…容赦の無い刃が
近衛を襲う!…それこそ戸惑い無抵抗の相手だろうが関係なし!…寧ろ反逆者
として見ている様子で!…となると更に慌て出す始末となって行き!…必死に
止めるよう説得を試みる者も出て来るのだが、その攻撃が止む事はやはり無い!…
「な、何故攻撃をして来るんだ!?…俺達は要人を!!…」
「…その様な者は来ない!!……
貴様達がやっているのは!!…
我らの住処を脅かす驚異を招き入れているだけだ!!!」
__ザシュ!!!…
「ッ!?…グアァァァ!!!……」
もはや聞く耳を持たない様子で一方的に悪と決め付け!…止めまでは刺さないものの
その光景は一方的で!…そしてマサツグ達の周りは白い雪が鮮血で染まり!…辺りに
響くは近衛の悲鳴!…となるとそんな様子を目にしてマサツグ達も徐々に怒りを!…
次には襲われそうな近衛の前に立って見せると、反撃を開始する!…その際腰に括り
付けていた縄を切って行くと、吠えながらその人狼の攻撃を弾いて見せ!…
「う…うわああぁぁぁぁぁ!?…」
__ガキイィィン!!…
「ッ!!…テメェ!!…自分の所の仲間だろ!!!…それを!!…」
「黙れ侵入者!!!…貴様ら!!…
今度はハティビィエール皇女を拐いに来たのか!!!…
そうはさせん!!…あの時の雪辱!!…
晴らさせて貰うぞ!!!!」
「ッ!!!…この…馬鹿野郎が!!!…」
短い時間とはいえ一緒に霊峰を登って来た近衛兵達が目の前で斬られ…その事で
人狼の兵士に文句を言うと、逆に人狼の兵士はマサツグに向かって食って掛かり!…
まるでシロ誘拐時の犯人とも決め付けた様子で言葉を続け!…その言葉に周りの
人狼の兵士達も謎に躍起付き!…ジリジリと詰め寄ってはマサツグ達との距離を
縮めて見せると、この時人狼の兵士達は斬った近衛兵の事など気にせず足蹴にし!…
となるとその態度にマサツグが更に怒りを覚え!…遂にマサツグ達を取り囲む様に
して槍をズラッと構えて見せると、次にはマサツグの怒りも爆発!…容赦の無い
一撃を振るう事になる!…その際第一号として一人の人狼の兵士が前に出ると、
マサツグに向かい襲い掛かるのだが!…
「…ヴヴヴヴヴヴヴ!!!……まずは…貴様だ!!
死ね!!…この薄汚い侵入者がああああ!!!!……」
__バッ!!……スッ!…
「ッ!?…何ぃ!!…」
「……フン!!!…」
意気込んで人狼の兵士がマサツグ目掛けて飛び掛かると、槍で一突きに仕留めよう
とするのだが!…マサツグはそれをいとも簡単に右へ一歩ズレて回避をして見せ…
人狼の兵士の飛び掛かり事態も決して遅くはなかったのだが!…回避された事に
驚いた表情を見せていると、マサツグは刀を右手に!…人狼の兵士の顎へ向けて
一閃放つ!…それは右下から振り上げるよう鞘に仕舞った状態での一撃なのだが、
無警戒な上に向こうから飛び込んで来たのでダメージは倍増!…辺りに重く鈍い
音が響き渡り!…その人狼の兵士も宙を舞う様にして吹き飛んで行くと、同時に
辺りに衝撃を与える!…
__バキャアアァァ!!!……
「ッ?!…な!?……」
「はっ!?……」
__……ズザアァァァァ!!……
「………。」
吹き飛んで行くその人狼の兵士の様子を近衛兵及び兵士達が目で追いながら驚愕
すると、その宙を舞う人狼の兵士は錐揉み回転で高々と跳び!…何なら滞空時間
にして約数十秒!…そして地面に落ちて来た際もまるで隕石が落ちて来たかの様な
ラッセル痕を作って行くと、その人狼の兵士はピクリとも動かない!…如何に
マサツグが危険な者なのかを物語って見せる!…となるとそんな様子に人狼達も
サァ~!ッと一気に青褪め出すと、次には恐る恐るマサツグに視線を!…と、
その一方でマサツグもゆっくりと振り払った右腕を戻して行き!…軽く溜息を吐く
様にして呆れて見せると、軽口も叩いて見せて行く!…
「……スピードはそこそこ…力は分からんが…
当たらなければ如何と言う事は無い!…
…と言うか、シロに比べたら全然大した事は無い!…
…これだったら親父やくまさんでもやろうと思えばやれるぞ?」
「ッ!?…な!…何ぃ!?…」
「…はあぁ~…さすがマサツグ!……
まさかの鑑定を使わずに相手の力量を見定めると余裕の宣言!…
…まぁ、ヤブらしいっちゃ、らしいけど!…」
「くふふ♪…さすがはマサツグ!…
この程度の駄犬では物ともせんその武勇!…
わっちも惚れ直してしまうのじゃ♥…」
まるで相手にならない!とばかりにマサツグが言葉を吐いて行くと、当然その言葉に
人狼の兵士達は怒りを!…しかしそれと同時に恐怖を覚え!…槍を構えながらも思う
様に前へと出られなくなって行くと、その様子に仲間達も苦笑い!…何なら基準を
シロに置いている事に呆れて見せる!…特にモツがさすがヤブ!とばかりに漏らして
居ると、フィロはマサツグが強い事に惚れ直し!…この時自身の両頬に手をやり!…
まるで照れる様にして身悶えるそんな素振りを見せて居ると、そんなフィロに対して
パルシィは不思議そう…コイツの情緒は如何なって居る?とばかりに先程の喧嘩の
件も含めて視線を送る!…さてそうして人狼の兵士たった一人やられただけでこの
騒ぎ!…しかし退けない人狼の兵士達は再度攻撃を企て!…
「クッ!!…おのれぇ!!…えぇい、怯むな!!!…
ここで侵入を許すとまたあの悲劇が待っているのだぞ!!!…
皆、奮励努力せよ!!!」
__オオオオオォォォォォォォ!!!!…
「…今ので退いてくれれば良かったんだけど……
まぁ…そう簡単にはいかないよね?…」
それこそ自分達を鼓舞する様に声を上げると、その際過去に何か有ったのか?…
それを引き合いに出して覚悟を決め!…それを聞いた人狼の兵士達も自身を奮い
立たせる様に吠えに吠えると、それはまる伝染する様に!…マサツグ達に改めて
敵意を向ける!…この時ギンッ!とばかりにマサツグ達の事を睨むのだが!…
やはり直ぐに先程の恐怖心が消える訳もなく…微かにだが若干震えている様子が
チラホラ見られ!…その有様にマサツグも続けて呆れる様な事を口にすると、
モツも仕方が無い!とばかりに返事をする!…
「そりゃな?……それにまだ倒したのは一人だけ…
ざっと取り囲んでいる敵の数は少なく見積もっても20~30…
縄で繋がれているしそこそこ苦戦しそうな気がするが?…」
「……はあぁ~…分かっては居たけど面倒だな~…
こっちも[はいそうですか]って言ってやられる気はないし…
…まぁ…いっちょやりますか!…」
さてやはり避けられない戦闘にモツが敵の数を数えて行くと、今の状況を踏まえて
質問を!…一体如何やって突破するのか?と策を聞き!…マサツグもその質問に
対して武器を構え直す素振りを見せて行くと、人狼の兵士達との戦闘を覚悟!…
正面突破からぶつかって行く事を口にする!…勿論避けれるなら避けた事に越した
事は無いのだが、向こうはやる気満々で!…となると逃げる訳にも行かなくなり!…
向こうに間合いを確かめ合う様にしてジリジリ!と…ちょっとずつ近づいて来る
様なそんな様子を見せて居ると、次には火蓋が切って落とされる!…
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……
「…すぅ~……ッ!!…行くぞおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
__オオオオオオォォォォォォォォォ!!!!…
「ッ!!…来るなら来やがれ!!!…
全員まとめてホームランにしてやるぜ!!!!」
この時人狼の兵士達から見て間合いギリギリの所まで迫って来ると、人狼の兵士達の
指揮を執る隊長の様な者が突如姿を現し!…そして徐に大きく息を吸う様な…何かを
叫ぼうとする素振りを見せて行くと、スッと目を閉じて瞑想!…時間にして約十数秒
黙って見せ!…そして次にカッと目を見開きすった息を吐き出す様にして号令を出す
と、人狼の兵士達は雪崩を!…マサツグ達に向かって襲い掛かる!…となるとそんな
人狼の兵士達の波にマサツグ達も一気に迎撃に動き出すと、片っ端から倒そうと
武器を握って行くのだが!…
「…ッ!!…ストーーーーーーップ!!!!」
__ッ!!…ビタァ!!……ガイイィィンン!!!…
「ぬ!?…貴様ァァ!!!」
この時その一番大きな人狼の隊長はマサツグに!…となるとマサツグもそれを見て
真正面から斬って落とそうとするのだが、突如背後から声が!…それはこの戦いに
待った!を掛ける様に突如響き!…マサツグがビクッと反応して思わずその動きを
止めて行くと、次の瞬間目の前には見覚えのある姿が!…そしてその者はその人狼の
隊長の攻撃を受け止めて行く!…と言うのも突如二人の間に割って入って来たのは
気絶して居た筈のラグナスで有り!…そのラグナスの手には氷の剣が!…それは
まるでシロの武器生成に似た物がしっかと握られ光っており!…人狼の隊長の攻撃を
片手で受け止め一息吐くと、危ないとばかりに言葉を零す!…
「……ふぅ…はいはいそこまでですよ?…ドグマ隊長?…
いつもの様に自ら先陣を切って前に出て来られるのは素晴らしいですが…
ドグマ隊長ではこの方々に…殺られますよ?…」
「ッ!?…え?…ラグナス?…」
当然突然の出来事にマサツグ達は困惑!…何ならその人狼の隊長…ドグマと言う
者とその部下達も驚き戸惑い!…まるで時が止まった様に各々動きを止めて見せ!…
その一方でラグナスが死ぬ気か?とばかりに声を掛けると、逆にドグマへ圧を
掛ける!…それはまるで自身の部下がやられた事に対して若干怒って居る様にも
見られると、ギンッ!とドグマを睨んで行き!…と、そんなラグナスの登場に
今だマサツグ達は困惑気味!…とにかくラグナスに声を掛け…これは一体如何
言う事?とばかりに視線を向けて固まって居ると、次にはドグマが!…まだ諦めて
居ない所か激昂した様子でラグナスに話す!…
「ッ!?…な、何だとおぉぉぉ!!!…
…その様な事おぉ!!…やってみねばああぁぁ!!…」
「……俺に勝てない貴方が如何やってこの人達と戦うって言うんだ?…
…少なくとも…俺はこの方とその隣のモツと言う方とスコルティナ皇女!…
そしてアレクシア隊長や魔王のお二方には勝てる自信はありませんよ!…」
「ッ!!…な、何を馬鹿な!?…
お前はもうこの土地最強のライカンスロープなのだぞ!?…
そのお前が勝てない等!!…ッ!!…それにアレクシアだと!?…
あの氷の牙が戻って来たと言うのか!?…それに魔王だと!?…」
明らかに認めない!とばかりに吠え出し!…ラグナスの事を押し飛ばそうとする
のだが、ラグナスは体幹がしっかりして居るのかビクともせず!…この時呆れた
様子でラグナスが言葉を口にし始め!…その際自身でもマサツグ・モツ・シロ!…
そしてシルビィを相手に出来ない事を話して行くと、それ程までに彼らは強い!…
或いはヤバい者達である事を続けて話す!…何なら魔王も二人居る!と言う激重
パーティーである事もこれまた話すと、それを聞いたドグマは途端に驚き!…
と言うのも現段階でラグナスが最強の人狼である事を漏らして行き!…そんな
ラグナスでもヤバい!?と…先程の怒りも何処へ飛んで言った具合に戸惑い出す
と、その話を聞いたマサツグ達も戸惑い!…自身の耳を疑ってしまう!…
「ッ!?…え?…ラグナスがライカンスロープ最強!?…
…何かの間違いじゃ?…」
「ッ!…あっはっはっはっは!…酷いですね?…
これでも一応自信は有るのですよ?…少なくともマサツグさんとモツさん!…
例え勝てなくても一泡は!って?……因みにスコルティナ様は恐れ多く…
…アレクシア隊長は……ッ…」
「ッ!……トラウマ?」
まさかの事実に思わずマサツグが本音をポロリ!…するとラグナスは怒る事無く
苦笑いをして見せ、少し文句有り気に言葉を口に!…何なら勝てなくとも一泡
吹かせる自信はある様に話しをして見せ!…マサツグとモツの二人に対して徐に
ニヤッ!と…不敵に笑みを浮かべるそんな反応を露わにすると、思わず二人も
ビクッとする!…そしてシロに対して単純に戦いたくない事を口にすると、
シルビィに関しては何かを濁し!…と、今までの扱いを鑑みて二人は理解!…
マサツグが確認をする様に恐る恐る言葉を掛けると、その言葉にラグナス反応…
ガックリと折れた様子で俯き答える…
「……はい…」
「ッ!…あ…あはははは…」
「し、しかしラグナス!!…
今は厳戒体制を敷くように言われているだろう!?…
勝手な事をすればお前だって!!…」
さてそうして消えそうな声でポソッと肯定をして居ると、マサツグとモツもそんな
ラグナスの反応に苦笑い…しかしその一方で当然話は終わっておらず!…ドグマが
そんなラグナスに対してまだ文句がある様子で話しをすると、とても気になる事を
口にする!…と言うのも今人狼達の間では厳戒態勢が引かれているらしく、
歯向かえば処罰は免れない!と…一応はラグナスを心配した様子で声を掛けて居る
らしく!…そのドグマの言葉に対してラグナスもハッと真剣な表情を浮かべて
見せると、次にドグマにこう答える!…
「責任は全て私が持つ!!……とにかく!!…
帰って来たスコルティナ様を女王様の元に届ける!!…
…それでジジィに何を言われ様が関係無い!!…
この方達は自分の命を懸けてここまで来たんだ!!…
恩人として持て成さねば!!…
我々がただの礼儀知らずになってしまう!…
…それこそアイツの様に!!…」
__ッ!?……ガランッ…ッ!?…ざわ…ざわ…
ドグマの忠告に対して反論する様に答えるラグナス!…その際如何にマサツグ達が
覚悟を背負ってここまで来たのかを話して行くと、全責任は自分が持つ!と…何が
何でもフェンリルクィーンの居城まで案内すると啖呵を切る!…するとそんな
ラグナスの啖呵の切り様にドグマも圧倒されて行くと、遂には攻撃の手を止めて
しまい!…すると他の人狼の兵士達も戸惑い出し!…一体如何したら良いのか
分からず互いを見合う様にしてキョロキョロとすると、一方でラグナスも武器を
放棄!…何事も無かったかの様に案内に戻る!…
「……多少予定とは変わりましたがまた先を案内します。
…しかしこれより先はもっと険しくなるのでご注意を!…
…それと私の部下を斬ったテメェら…」
「ッ!!…」
「幾ら厳戒体制でピリピリしていたとは言え…
自分達の仲間を斬ったんだ!……後で覚えておけよ?…」
「ヒィッ!?…」
マサツグ達の方にクルッと振り向くと一礼して見せ、まるで仲間の非礼を詫びる
様に案内に戻ると…そして続けて更に山道が険しくなる事も忠告して行き!…
そんなラグナスの変わり様にマサツグ達一同が戸惑って居ると、次にはラグナス
の言葉は背後に向けられ!…と言うのもやはり自身の部下を斬った者達が許せない
様で!…あからさまに怒りを覚えた様子で言葉を口にして行くと、その人狼の
兵士達に圧を!…事情は分かって居つつも怒りを吐く!…するとそんなラグナスの
言葉に人狼の兵士達も更にビクッとして見せると、怯えた様子を露わに!…その一
方で負傷した近衛兵達はそんなラグナスに唖然に取られ!…これがあの隊長?と
ばかりに戸惑って居ると、シルビィはシルビィで言葉を!…
「…ほぅ?…少しはやる様になったのですね?……」
「ッ!?……あっ…た、隊長…」
「この分ならもう少し厳しくしても大丈夫そうですね?……」
「ッ!?…え!?…あっ!!…ちょ、ちょっと隊長!?……」
その一連の様子を見て思った事が有るのかシルビィが言葉を!…すると途端に
ラグナスはビクッと反応すると、腰が低くなり出し!…それこそ先程までの
威勢の良さは何処かに消え!…シルビィに声を掛けられた事でとにかくオドオド
として見せると、シルビィは容赦の無い言葉を!…何なら今まで手加減をして
居た事を口にする!…その際フッと静かに上品な笑みも露わにすると、笑って
居る筈なのだが何処か畏怖を感じられるモノが有り!…と、そんなシルビィの
笑みにラグナスも恐怖!…途端に慌てて待った!を掛け!…シルビィに何とか
お慈悲を貰おうと足掻き出すと、これまた一気にはあぁ~っと…何か締まらない
雰囲気になるのであった!…
因みにそのシルビィが居たであろう場所にはそのラグナスが止めに入るまでの間…
人狼の兵士達が地面に沈んでおり!…と言っても決して殺しては居ないのだが
死屍累々…その様子を見ていた人狼の兵士達は後に化け物と!と…シルビィの事を
畏怖の象徴として語るのであった!…そしてその負傷した兵士に近衛兵達もドグマの
部隊に回収されると、手厚い看護を受け!…その際癖のある上司を持つ者同士!…
何かシンパシーを感じた様子で仲良くなると、苦労話に花を咲かせる事になるので
あった!…
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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
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