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-第五章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~ドワーフファミリア編-

-第五章八十一節 職人の腕と職人の礼儀と犬猿の仲!…-

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さて色々と一悶着有ったものの、マサツグ達は無事にマネキン達をその作業場へと

運搬して行き!…そこで見事なまでに荒れている?…とにかく布の切れ端が

散乱している光景を目にすると、更にファイルラックの様な戸棚がズラッと

並んでいる事に気が付いて行く!…そこには人の名前であろうかアイウエオ順?…

いや、アルファベット順らしい順番で文字が振られており!…

それは今まで担当して来た者達の仕立てる際に使って来た型紙が有るのか!…

厳重に他に漏れないよう鍵付きで保管がされてある事を目にすると、マサキが

徐に言葉を漏らす!…


「……ふぃ~……やっとマネキンを下ろす事が出来るぅ!…

ドレッグさんがあのおばあさんと喧嘩をおっぱじめた時は

如何しようか?って思たでぇ?…」


「ッ!…いやぁ、スマンかったのう…

あのババァと目が合うとついな…」


__ゴトッ!…シュルシュル…バサァ!……ッ!…


「さぁ、このマネキンの人物達の服を仕立てて貰いたい!…

後で本人達を連れては来るが先にこれだけでも渡して置こうと思ってな?…」


この時マサキは先程の事を口にすると、焦った事を同時に漏らし!…

と言うのも喧嘩が始まったとなれば自分達は如何したら?と…素直にあの時

困惑しそうになっていた事を話して行くと、そのマサキの言葉にドレッグも

反省した様子で苦笑いをする!…その際さも本能に駆られたようドレッグが

言い訳を口にすると、漸くここでマネキンを運び終え!…

そしてアデルの目の前でマネキンの布を取って見せ!…アデルも目を真ん丸にして

モデルが誰なのか?と確認をして行くと、次にはふと困惑…だがドレッグが

構わずアデルに仕事の内容についてこう!…ただ頼む!とだけ話しをすると、

更にアデルから質問が飛ぶ!…


「……ねぇ?…このマネキンってまさかとは思うけど貴方達の物じゃないわよね?…

だって如何見てもこれ女の人の物だし…これに至っては私と同じ位の子…

そしてもう一つは…何これ?…動物?…

…後一つは男性でそこのおじ様の物って分かるけど……?」


と言うのもマネキンを見て色々と違う?と言った反応を露わに、

そして次にはこれはマサツグ達の物か?と…その際マサツグ達は

実は女性なのか?と疑問を持った様子で表情を浮かべて見せ!…

更にはあれこれと指を差しながらマネキンとマサツグ達を

見比べる様なそんな素振りまで見せると、マサキだけは

分かる!と…とにかく色々と理解に苦しむ様子で質問をする!…

するとドレッグもそんなアデルの質問に対してピクッと反応をして

見せると、次には勿論違う!と話し!…


「ッ!…あぁ勿論違う!…ここに持って来たのは…

今ワシの工房で待って貰っとるこのマサツグ殿達の仲間で!…

右からアヤ殿、フィロ殿、くまさん殿!…

そしてここに居るマサキ殿の四人の物じゃ!…

してその四人の服をあの性悪ババァに仕事を

斡旋してやろうと持ってきたのじゃが…」


若干慌てた様子で言葉を口に!…その際改めて説明をする様に

マサツグ達の事について軽く触れ、マネキンのモデルについても説明を!…

何なら架空の人物で無い事を話す様に一人一人ちゃんとモデルが居る事を

話して行き!…今は自分の工房にて待って貰って居る事を続けて話すと、

改めて仕事を持って来た!と話をする!…この時やはり相容れない者なのか

あの老婆…リディスの事をクソババァ!と言うと、次にはアデルも納得した

様子で返事をして見せ…


「…ふぅん…なるほど……で、その人達は後で来るとしてぇ…

何で一緒に来なかったの?…

最初から一緒に来れば直ぐに布選びとかが直ぐに出来たのに?…」


「いやぁ…さすがのワシでもいきなり大所帯で行くのは如何かと思ってな?…

マサツグ殿達にもマネキンを持って来て貰って…

案の定入り口であのババァと鉢合わせして……」


{いや、ばあさんを呼んだのはアンタだろ!?…

…と言うかそう言う考えがあるのなら何故いきなり店内で叫ぶ!!…}


やはり自身の祖母をクソババァと呼ばれていい気はしない様子で、アデルは

若干不服気味!…しかしそこに私情は持ち込まない様子で話しを続け!…

何故一緒に来なかったのか?と…仕事の効率を最優先に考えた様子でドレッグに

ツッコミを入れて行くと、これにはドレッグもタジタジ!…

しかし素直に考えた事を口にする!…その際マサツグ達はそのマネキンを

持って来る上でのお手伝いとして来た!と説明、そして先程のあの店の中での

話に戻り!…この時もさもリディスとは偶然出会った様な言い方をすると、

次にはマサツグ達が心の中でツッコミを入れ!…

思わず目に見えてそんな訳無い!と言った表情を浮かべていると、ドレッグは

話題を変える様に!…徐にアデルの事について話をする!…


「……それにしてもまさかあのババァが既に引退して…

嬢ちゃんが店を継いでいるとはな!…長生きはするもんじゃわい……」


「ッ!…えへへ♪…

…まぁ私自身はまだこのお店を継いだつもりではないんだけどね?…

腕もまだまだだし……それでもおばあちゃんがね?…

もうその気になっちゃっていて…」


それこそリディスが引退して居た事に改めて驚いた!と漏らして行くと、

その孫が!と言葉を続け!…と言っても馬鹿にするのではなく単純に

驚いた!と…まさかこんな光景を目にする日が来るとは思っても

居なかった様子で本当に笑いながら話をすると、アデルも照れた様子で

笑って見せる!…その際アデル自身もまだまだ自分が未熟である事を

口にすると、あれはリディスが言って居るだけ!と…

それはまだ自分がそのレベルに達していないと謙遜をする様に!…

とにかく自分はまだその気が無い事を口にすると、ドレッグもその話を

聞いて納得したよう…呆れた様子で言葉を零す!…


「……はぁ~…まぁ、あのババァなら確かに言いかねんなぁ?…

何せ嬢ちゃんが生まれた時から孫にデロデロじゃったし…」


「あははは……」


「…じゃがそれはお前さんが店を任せられる位に、

腕を磨いたからなのかもしれんぞ?…」


ドレッグは何かを思い出す様に腕を組み、そしてリディスの事を良く知っている

様子で言葉を口に!…何ならその時の事をまだ昨日の出来事の様に覚えている

様子で呆れながらに話し!…その話に覚えが有るのか?…アデルもそのドレッグの

話を聞いて苦笑いをする様に相槌を打つと、改めてその用意されたマネキンに

目を向ける!…その時の彼女は既に職人の様に至って真剣な目をして居り、

そんな彼女の目に気が付いたドレッグもアデルをジッと見詰め!…

と、同時にリディスのその本気具合についても理解を示し!…

チラッとその事についてアデルに話をして行くと、アデルも戸惑った様子で

返事をする!…


「え?…」


「この店に入った時に置いてある服をチラッと見たが…

その全ての服がよく出来ておった!…

縫い目!…糸の始末!…そして服の仕上がり!…

とまあ言ってもワシの専門外じゃから偉そうな事を言える立場では無いんじゃが…

それでもパッと見て分かるレベルの一級品であった!…

…それに実は言うとババァがその姿を見せるまでまさか孫のお前さんが

仕立てた物とは思わなんだし…

何より若かりし頃のあのリディスの服に良く似ておる!…」


「ッ!!……若い時のおばあちゃん?……」


それは突然の話に驚いた様子で振り返り!…真剣な表情を見せるドレッグに

思わず驚き!…が、そんなアデルの事など御構い無し!…ドレッグは率直に

意見を口に!…店に入って感じた時の事をアデルにそのまま話し出すと、

既にその腕を認めている様子で話しをする!…と言うのもその服の出来を

チラッと見ただけで直ぐに看破をしたらしく、いい出来であった!と…

何なら言われるまでリディスが縫った物だと思って居たらしく!…

その出来はリディスに似ていると続け!…アデルもその話を聞いてピクッと

ドレッグに驚いた反応を見せて行くと、更にドレッグは笑って話しを

続けて行く!…


「あぁ!…それに幾らあの孫にデロデロババァでも!!…

まず出来が悪ければ店を継がせるなんて妄言も吐かんじゃろうし!…

ましてやその服を店内に並べるなんて事も絶対にしないじゃろう!!…

…それだけ奴としても職人としての誇りを持って居るからであって!!…

あのババァ!…本気でお前さんを跡取りにと考えておるのがこっちとしても

良く分かる!!…

お前さんにはそれだけの実力があると言う事が伺えるんじゃよ!…」


「……ッ!…」


それはまるでアデルに職人としての自信を持つ様に!…そしてこれからも

修練を積む様に声を掛け!…が、やはりリディスの事はボロクソで孫に

デロデロババァ!と言葉を口に!…だがリディスの腕を知って居るからこそ

言える事!と…その本気の気概が伺える!とアデルに期待をして居る事を

更にドレッグが代弁する様に話をして行くと、アデルも何かを感じたのか?…

ドレッグの話に瞬きをする!…それは他人に言われて初めて気が付いた様子で

ハッと目を見開き!…そんな様子を前にドレッグも改まった様子でスッと

態度を畏まらせると、次にはお願いの言葉を口に!…


「…じゃからそんなお前さんにこの仕事を頼みたい!!!…」


__ビクッ!!…


「どうかワシからのこの依頼を受けてくれんか!?…

ワシの大事なお客様の身を守る法衣を!!…クロークを!!…

仕立ててくれは貰えないだろうか!?…

ドレッグとしてでは無く、のドレッグとして貴殿に頼みたい!!!…

どうか!!…どうか!!!…」


「え?…えぇ!?…きゅ…急にどうしたのドレッグさん!?…

そ、そんなに改まって!?…」


ドレッグは改めて今回の仕事をアデルに依頼!…するとそんなドレッグの態度の

急変にアデルは戸惑い!…何ならマサツグやモツも一緒になって驚き戸惑い!…

一体何が!?とばかりにその様子を見守っていると、更にドレッグは言葉を

続ける!…それはただのドレッグとしての言葉ではなく、一職人としてお願いを

する!と頭を下げ!…となると更にそんなドレッグの言葉にアデルは戸惑い!…

初めての事に動揺を隠せない様子で戸惑いに戸惑って見せて居ると、マサツグも

声を掛けようとするのだが!…


「ッ!?…ジ、ジッチャン!?…急にどうし…」


__バッ!!!…


「ッ!?…親父!?…」


「…手ぇ出すな!……聞こえたやろ?…としてって言葉!…」


「ッ!…え?…」


マサツグが声を掛けようとした瞬間、すかさずマサキが止めに入る!…

それは邪魔をするな!とばかりに若干しかめっ面で腕を掴み!…

マサツグも突然の事で驚き戸惑い!…腕を掴まれた事に対してやはり

戸惑った様子のままでマサキを呼ぶと、これは一体如何言う事なのか?と

言った具合に声を掛けようとするのだが…次にはマサキが行くな!と

返事をする!…その際先程の会話を思い出させる様に言葉を続けると、

その突然の問い掛けにマサツグは更に戸惑い!…だがマサキはそれでも

マサツグに話し続け!…今のが如何言う事なのか?…

自身も重々理解している様子で説明をし出す!…


「あれはなぁ!…そないに簡単に口にしてえぇ言葉やないねん!…

職人が職人って名乗って頭を下げるって言うのは!…

!…

十分に尊重してお願いをするって言う意味なんや!!…

そこら辺の口約束のお願いと違って!…こっちはトンデモナク重いお願いや!…

…ここで邪魔するのは二人に対して失礼を働くのと同じ事や!…

…黙って見とけ!!…」


「ッ!?…あ、あぁ…」


この時のマサキは至って真剣!…先程の言葉にどれ程の重さが有るのか?を

語り!…その意味についてもちゃんとマサツグ達に説明をし出し!…

それ程までにこれは重い礼儀である!と、邪魔する事はさも重罪である様に

話を口にして行くと、それを聞いたマサツグも驚いた様子!…とにかく言う事を

聞いた様子で踏み止まる!…そしてマサツグ達が見守る事を決めた一方で

ドレッグは今だ頭を下げたまま固まって居ると、その反対側ではアデルが

相変わらず困惑した様子でワタワタしており!…もはや如何したら良いのか

分かっておらず!…言葉もしどろもどろの様子で慌てに慌てて見せて居ると、

そんなアデルに助け舟が!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「アデルや…」


「ッ!…あばあちゃん!…ド、ドレッグさんが!?…」


まるで騒ぎを聞きつけた様にそこへリディスがやって来る!…

と言ってもその足取りはとても遅く!…更に特段慌てて居る様にも

とても見えず!…だがその表情は先程までと打って変わって

凄く真剣な表情を浮かべて居り!…アデルの名前を呼んでアデルの元に!…

そして呼ばれたアデルもピクッと反応をして見せ!…慌てた様子のまま

ドレッグの様子が可笑しい事を訴えようとすると、

リディスはそんなアデルに対して言葉を!…突如としてさも師匠の様に

言葉を掛ける!…


「…アデルや…良いかいよくお聞き?…

今そこに居るジジィが…何故お前に頭を下げ始めたか分かるかい?…」


「ッ!…え?…」


「このジジィは今一人の職人として今お前に頭を下げている!…

それはお前の事を一人の職人として認めた上で!…

同じ職人として頼みを聞いて貰う為にこうして頭を下げて居るのじゃ!…

こんなジジィでも鍛冶の腕はピカイチの職人じゃ!…

そんな人物に職人として認めて貰えると言うのはとても光栄な事で!…

お前はこのジジィに!…いや!…一職人として頭を下げに来たドレッグに!…

この仕事を請けるか請けないかの返事をしなければならんのじゃ!!…」


アデルに真っ直ぐな視線を向けると良く考える様に言葉を!…そして今の状況に

ついてもちゃんと理解をする様に言葉を続け!…となるとそんな突然の事に

アデルもやはり戸惑いっぱなしに!…いつものリディスと違う!と…困惑の表情を

浮かべて更に戸惑ったよう言葉を漏らして見せて行くと、マサツグ達が見守る中…

その職人としての礼儀を今になって教え込まれる!…その際ドレッグが頭を下げて

居る事を重く受け取る様にリディスは話すと、リディスもドレッグの腕を認めて

いる様子で!…それだけ凄い事を新たに説明!…それを理解した上で自分自身で

それに答えるかを決めろ!と…アデルに職人としての立ち振る舞いを教える様に

言葉を口にして行くと、それを聞いたアデルはハッと!…事態を飲み込めた様子で

目を見開く!…


「ッ!…」


「曖昧な返事では無く!…一人前の職人として!!…

この職人に仕事を請け負う覚悟を見せねばならんのじゃ!!!…

職人と言うのは…ただ惰性でなれる者ではない!!…

真の職人と言うのは人からの依頼を完璧に全うし!!…

更なるその先を目指す者を言うのじゃ!!!…」


「ッ!!!…」


「じゃからお前はこの職人に対し!…依頼を請ける!…

請けないのどちらかを答えねばならない!…

もしちゃんと答えられねばそれは相手に対する侮辱になり!…

その職人の見る目が無いと言う事になってしまう!!…

じゃから曖昧な返事では無く!!…しっかりとしたお前の言葉で!!…

この職人ドレッグに対して返事を!!…」


尚もリディスは何故ドレッグが真剣な様子で頭を下げ出したのか?を

アデルに説明をし続ける!…その際この時のリディスの様子は孫に

デロデロの婆様では無く!…自分の愛弟子に教えを説くよう真剣な

師匠の表情を見せており!…と、アデルもそんなリディスの表情を

見た事が無い様子で驚きを露わに!…しかし言って居る事は理解して

いる様子で黙ってその話に耳を傾け!…一人の職人として如何在るべきか!…

如何振舞うのか!をただひたすらにリディスから懇々と説教!…

と言う訳では無いのだが…それに近い勢いでリディスからずぅっと話を

聞き続けていると、アデルは徐に目を閉じ…答えを考える様な素振りを

見せる!…


「………。」


「ッ!…目を閉じた?…」


この時アデルは腕を組むと言った事は一切せず…ただ立ち尽くす様に目を閉じ!…

となるとそんなアデルの様子にマサツグ達もピクッと…何故目を閉じたのか?

に疑問を持ち出し!…やはり先程の話は子供にとって難しかったのでは?等と

考えて居ると、作業場は妙な静けさに包まれ…何故か動くに動けない状況に

なってしまう!…それはまるでイベントシーンに入った様に誰一人として

一歩も動けず!…ただその悩むアデルの様子をマサツグ達がジッと見詰めるだけに

止まって居ると、次にはアデルが目を開き!…ドレッグに対する答えを

口にし出す!…


「………ドレッグさん…」


「ッ!……」


「……正直な事を言うと私……まだ職人って名乗って良いのか分からないの…

だって私自身まだおばあちゃんみたいに綺麗に仕立てられてるか分からないし…

自分自身もまだまだだな…って、思う所があるから…」


「………。」


アデルが徐にドレッグの名前を口にすると、ドレッグもピクッと反応して

頭を上げる!…するとそこには何やらモジモジとした様子で恐縮する

アデルの姿が…その表情も何処か自信無さげの様子を見せて居り…

ドレッグもそんな彼女の様子を見て何か一抹の不安を覚えて行くが、

それでも答えを聞くまでは何も言わぬ!と…とにかく耳を傾ける姿勢を

見せる!…すると次にはアデルもそんなドレッグに対して本音を吐露…

自身が無い様子で返事を口に!…だがそれでもドレッグは黙ってアデルの話を

聞き続け!…本当の彼女の答えが出て来るのを待って見せると、

そのアデルの口から答えが出る!…


「……でも、ドレッグさんが認めてくれたのなら!…

私はこの依頼を請けてみたい!!」


「ッ!?…」


「まだまだ未熟な私でも!…

ドレッグさんが私を一職人として認めてくれるのなら!!…

是非、この仕事を請けさせてください!!!…お願いします!!!」


__ペコッ!!……


それこそ流れ的には断られる流れだとマサツグ達は思って居たのだが、

アデルは認められた事が嬉しかったのか!…本音を言うと請けたい!と返事!…

その際ドレッグにピーカブーでグッと詰め寄ると目を輝かせ!…

自身が未熟である事を認めつつ!…それでも尚請けたい事を再度熱烈に

伝えるよう逆にお願いをし始めると、ドレッグに頭を下げて見せる!…

本来なら依頼をしに来たのはマサツグ達の方であり、頭を下げるのも

マサツグ達の方である筈なのだが…逆にアデルが頭を下げて出した事で

マサツグ達も困惑!…逆にお願いをされた形にとにかく戸惑う様な

そんな反応を見せて居ると、ドレッグは喜び了承をする!…


「ッ!!!……あ、あぁ!…あぁ!!…ありがたい!!…

この恩!!…ドレッグは一生忘れない!!!…」


「ッ!?…お、恩だなんてそんな!!……

それより、ありがとう!…ドレッグさん!!…

私…頑張ります!!!…」


「……取り合えず一段落やな!…これでアヤちゃんやフィロちゃん!!…

俺とくまさんの防具!!…に、なるんか?…は、大丈夫そうやな!…」


正直不安だった様子でアデルからの返事に喜び!…ドレッグは依頼を受けて

くれた事に笑顔を見せると、アデルの手を取りお礼を言う!…

その際リディスが鼻でフンと笑って見せると静かに孫の成長を喜び!…

アデルもそんな感謝するドレッグの様子に戸惑ったよう反応すると、

慌てて大丈夫!と声を掛ける!…そしてそんなドレッグを目の前にして

闘志に火が点いたよう徐々にやる気を見せると、約束をする様に次には

頑張る!と言葉を続け!…と、そんな流れにマサツグ達はポカンと…

逆転ホームランを打たれた様な戸惑いの表情を浮かべて居ると、マサキも

事が進んだ事でホッとする!…さてそうして法衣組の話も無事に終わり!…

後は互いに完成を待つ事になるのだが…


「……取り合えず俺もう動いて良い?…

動くな!って言われてからずっと動かないで居たんだけど?…

さすがにずっとこの姿勢は辛い!……」


「ッ!…いや勝手にせいよ!…

…って言うかお前も何で律儀に固まってるんや?…

スッと戻ればええやろ?…スッと!…」


「…ッ!…っとぅ……

…いやぁ、今までの冒険がら動くな!って言われると

その場で本当に動かなくなるのが当たり前みたいな所が有ったから……」


「ッ!?……そんなイベントが有るか!?…

てかそんなんまで体験して来たとか!…

今までどんな冒険をして来とったんや!?…」


この時マサツグはマサキに静止を呼び掛けられた時のポーズでずっと

固まって居たらしく、もう動いて良いか?と質問!…何ならそろそろ

限界が来て居た様子で少しプルプルとしており…

そんなマサツグの様子にマサキもハッと気が付いた様子で反応をして

見せると、次には呆れた具合に返事をする!…その際律義に固まって

居た事に対してもツッコミを入れると、マサツグはその訳を体勢を

直した後に話し!…今までの経験上身に着いた!と…さも今までの事を

思い出す様にマサツグが話しをすると、マサキが戸惑った様子で

ツッコミを入れる!…そして掴まれていた手も漸く離され、

やっとマサツグは自由になり!…と、法衣系の防具に関してもこれにて

一件落着!…後は大団円迎える筈であったのだが、最後の最後でまた!…


「……本当に引き受けてくれてありがとう!!…

これでこっちも気兼ねなく作業を始める事が出来る!!…」


「いえいえこちらこそ!!…

…で、ドレッグさん!…後であのマネキンの人達を…」


「ッ!…あぁ分かっている!…連れて来る!!…

では、ワシ等はこれで!!…」


「あっ!…ドレッグさん達を見送るね?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ハタッ!…ッ!?……


それは互いに和気藹々としながらお礼を言い合い、そして後は自分達の工房に

戻るだけの筈であったのだが…アデルがマネキンのモデルを連れて来るよう

お願いを!…それにドレッグも返事をして作業場を後にしようとした次の瞬間

突如起きる!…と言うのもまだそこにはリディスが居座る様にして鎮座しており、

帰ろうとするドレッグとふと目が合い!…となると互いにまるで引力が働く

様子にして睨み合い!…そしてメンチの切り合い!…途端にまた一触即発の

空気がその場に流れ出すと、辺り一帯に不穏な空気が流れ始める!…


__………。


{…ッ!?……またなのか!!また始まるのか!?……

今度はマネキンもないから行けるぞ!?…羽交い絞め行けるぞ!?…}


__スゥ…パクッ…


{…ッ!!……アデルのお嬢ちゃんもいつでもOKとばかりに笛を咥えたし!…

…っと言うよりそれデフォルトなのか!?…}


まるで嵐の前の静けさとばかりにジッと視線を逸らす事無く睨み合い!…

それを見てマサツグ達も途端に警戒モードに入り出し!…

いつでも喧嘩を止めに入れるよう身構え始め!…アデルも仲裁に入る準備なのか?…

徐にスッと首から掛けている笛を口に咥えて見せると、同じ様に身構え始める!…

と、ここでそれを見たマサツグとしてもルーティーンなのか?と思わず心の中で

ツッコミを入れると、とにかく一応無事に何事もなく解散をする事を願うのだが!…

当然そのまま終わる様子は決してなく!…次にはその期待を裏切る様に何やら妖しい

憎まれ口を叩き出すと、やはり空気が危うくなる!…


「……ふん!!…

まぁ、ワシのかわいい孫の腕を認めたその目だけは感謝してやるよ!!…

……後、こんな大事な仕事を孫に任せてくれた事もな!!…

これで少しは自信が付くだろうからねぇ!!…」


「ッ!!……ふん!!…お前が礼を言うなど気色が悪いわ!!…

それに!!…お前に礼など言われんでもこの嬢ちゃんになら任せられると!!…

ワシは当たり前の様に踏んでおったわ!!!…

……まぁ、ここまで育てたのはどうせお前じゃろ?…

店に並んでおる服…お前と一緒の癖があるから見れば分かるわい!……

…良い腕の孫を持ったのぅ!…」


「……おぉおぉ!!…ジジィのツンデレは気色が悪いのぉ~!!!…

さっさと店から出て行かんか!!…この鋼ジジィ!!…」


__カチンッ!!…


「ッ!?…何じゃとこの孫デロババァ!!!…

お前も似た様なモンじゃろうが!!!…気色が悪い!!!」


__カチンッ!!…


「ッ!?…何じゃと!!…このクソジジィ!!!

ワシが何時お前にそんな態度を取ったと言うのじゃ!?!?」


「この!!…やるか!?…ババァ!!!…」


「ッ!?…上等だよ!!…このクソジジィ!!!…」


それこそ素直に褒め合う事は出来ないのか?…互いに妙に口汚く感謝をし合い!…

が、それも最初だけでやはり不穏な空気に勿論変わり!…互いに徐々に本音を

露呈し!…罵り合う言葉が中心になって行き出すと、やはり一気にヒートアップを

し始める!…そうなるともはやお約束!…途端に場面は殴り合いに発展しそうな

感じに変わり!…となるとそんな様子にマサツグ達も駄目だった!と…すかさず

止めに入るよう動きを見せて行くのだが、ドレッグ達はマサツグ達の制止を振り

切る様に抵抗する!…


「スト~~ップ!!!…ここで喧嘩をしない!!!」


__ピピィ~~~~!!!ピピピピピピィ~~~~~~!!!……


「お婆ちゃんもハウス!!…ハウス!!!…」


「えぇい、離せ!!!…離してくれマサツグ殿!!!…

あのババァとは一度決着を付けねばあぁ!!!」


「それはこっちの台詞だよ、クソジジィ!!!…

今日と言う今日はあぁ~~~~!!!!」


喧嘩が始まると同時にマサツグ達がドレッグを羽交い絞めに!…そしてアデルも

リディスを羽交い絞めにして店の中へと引っ張って行く!…その際ドレッグは

その逞しい腕を振り回してマサツグに抵抗!…が、そうはさせまい!と言った

様子でオリハとマサキも拘束に掛かり!…三人掛りで店を後にして行くと、その

店の中からはアデルの声が!…この時実の祖母を犬扱いするよう声が聞こえ!…

同時に決着を付けたがるリディスの声も聞こえて来ると、マサツグ達は呆れ!…

三人でドレッグを拘束したまま工房にへと戻るのであった!…


因みにこの後アヤ達もそのリディスの服屋に連れて行く事になるのだが、勿論

ドレッグを連れて行く訳には行かず!…マサツグが代行してアヤ達を案内!…

その際アヤ達に不思議がられつつ!…アヤ達をその服屋の元まで届けて行くと、

遂にマサツグ達の装備!…その一新化が始まりを迎えるであった!…

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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

はぁ?とりあえず寝てていい?

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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

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 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

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