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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章九十七節閑話 殿の老兵と剣神の実力と増える伝説-

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この話は大戦二日目の話で、マサツグとグレイが共に城を目指す事となった

話の別視点である。と言うのもこの時二人はヴェルに急かされ先を行き、

殿を買って出たヴェルの話なのだが…さすが剣神と言うしかない戦いぶりで

有り、後に後から来る他の冒険者達の為に道を切り開く!…そんな古今無双

ぶりを発揮した老兵の内容である。場面はマサツグとグレイを先に行かせた

直ぐ後の事で、ヴェルの目の前には鎧兜を身に纏った大男が!…しかし

ヴェルはそんな化け物を目の前にしても全く怯まず、寧ろ余裕を見せるかの

よう剣を構えてその大男を見上げると、相手に攻撃を催促し出す!…


「……さて、お主は剣士か?…それとも化け物か?…

どちらにせよさっさと掛かってこんかい!…ワシとて暇ではない…」


__ウオオオォォォォォォ!!!…グオン!!!…ッ!…ズダアァァン!!!…


「……はあぁ~…やはり単にデカいだけで攻撃は単調…

少しは期待したんじゃが……残念じゃのぉ~…」


ヴェルは呑気に相手が剣を持って居る事から剣士かどうかを考え出し…改めて

暇では無い事を口にすると、挑発の言葉を続けて行く!…するとそのヴェルの

言葉に反応してか、その大男は手に持っている刀らしき得物を徐に振り上げ!…

次には勢い良くヴェルの頭の上から得物を振り下ろし!…地面をも両断せん

勢いに土埃を巻き上げて行くと、次には驚いた様子で戸惑って見せる!…

と言うのもヴェルはそれを攻撃を紙一重に回避すると、土埃に紛れてはその

得物をカンカンと叩き!…まるで何かを確認するよう、とにかく期待とは裏腹に

対した事は無いと…あからさまにガッカリした反応を見せると、大男も地面から

得物を抜いては直ぐに構える!…


__ゴゴゴ…ジャゴン!!…ゴグオオォォ!!!……ッ!?…ゴゴゴゴゴゴ!!!…


この時大男はただ攻撃を躱されただけにも関わらず奇妙な違和感を覚える!…

それは特段可笑しい事では無いのだが、異様なまでに空気が重く感じられ…

と言うのも相手は自身より小さな老人の筈なのだが…その気迫…と言うよりは

闘気と言うべきだろうか?…それが自身の目の前で大きく形を成しては威圧!…

圧倒的圧を自身の体に!…ヒシヒシとプレッシャーを自分より大きな物を

圧倒するよう掛けて来ると、思わず大男はたじろいだ様に反応をする!…

さてその一方でヴェルはと言うと、ガッカリした様子を見せる一方でふと

ある事を思い付き!…


「…ふむ…どれ、ここで少し遊んで行くとするか…

簡単に倒してあ奴らに追い付くのはどうかと思うし…

何よりこれも良いきっかけとなるじゃろうて…

少しばかり遅れてあ奴らを泳がせる事とするか…

…さてデカ物?…お主に時間をくれよう…

!…

ここでワシを殺そうとするも良し!…実力差を認めて逃げるも良し!…

じゃが時間が経ってお主がまだ戦う気概を見せれば、ワシはお主を斬る!…

…どうじゃ?…まだ続けると言うか?…」


と言うのもその目の前の大男を前にしてヴェルは堂々の舐めプ宣言!…

理由としては先に行かせたマサツグとグレイに有るらしく、二人が少しでも

仲良くなる機会を!と…或いは強くなるきっかけをと考えた様で、直ぐに

自分が追い付いては意味が無い!と…態々目の前の大男に制限を設け!…

時間稼ぎをすると堂々大男に嬉々とした様子で話して行くと、当然その話に

大男は戸惑う!…何故なら面と向かって目の前の爺さんに馬鹿にされて居る

からであり!…これにはカチンと来た様子で大男は怒ると、両腕を振り

上げては興奮し出す!…


__ッ!?…ッ~~~~!!!…ウオオオォォォォォォ!!!…


「……その反応は同意と言う事で良さそうじゃな?…

…では…存分に打ってみぃ?…

一撃でも当てれば勝てるやもしれんぞ?…」


__ウオオオォォォォォォ!!!…グオン!!!…ズダアァァン!!!…


「…っと…ほっほっほ!…その様に愚直に振り回しても無駄じゃぞ?…

…」


宛ら野生に返ったよう怒りを露わに吠えると、ヴェルはそれを同意と受け取った

様子で…それこそ先程まで仕込み杖の剣を構えて居たのだが、それも止めて

しまっては突如としてだらぁ~んと…相手の動きを見るようただ澄んだ目で

大男の行動に目を向け始め、大男もそんなヴェルに対して再度頭から真っ二つに

する勢いでその得物を振り下ろして行くのだが!…やはり簡単に躱されては

笑われてしまう!…その際ヴェルは遊ぶよう大男に助言の言葉を口にするのだが、

それは火に油を注ぐ様な物で!…これには大男も怒りに怒り!…更にヴェルに

対して攻撃を繰り出し!…もはや手も付けられない程に暴れに暴れ、しかし

肝心の攻撃は一度として当たらない様子を見せると、ヴェルとしても何か楽しげな

様子を見せて居た!…


__ッ!?…ッ~~~~!!!…ウオオオォォォォォォ!!!…


「ッ!…ほれほれ!…そんな事じゃいつまで経っても当たらんぞ?…

相手の動きを見んか!…」


__グオン!!!…グオン!!!…グオン!!!…グオン!!!…


「ほっほっほっほっほっ!…

この様な老いぼれに馬鹿にされてカンカンと言った所か?…

じゃが…感情のままに振り下ろす攻撃と言うのはどうしてこうも…

軌道が読みやすく単調!…何ともまぁ味気なく感じてしまう物なのかのぉ?…」


大男はただ感情の赴くままに得物を振り回し、ヴェルの事を追い込もうとする

のだが!…ヴェルは全く怯む事無くヒラリヒラリと舞う様に!…どれもこれも

紙一重に回避して見せ!…更に煽るよう言葉を口にすると、キャッキャと悪ガキ

の様に燥いで見せる!…因みにヴェルと大男のサイズ感は某・流浪人の漫画の

様で、ヴェルを主人公の師匠とするなら!…大男は某・十○刀の巨人の様で!…

地面を耕す大男にヴェルは笑いながらも味気ないと…更に何かガッカリした様な

反応を見せて攻撃を回避し続けて居ると、さすがの大男も攻撃方法を変えて来る!…


__ッ~~~!!!…ピタッ!!…ッ!?……グオン!!!…


「ッ!?…ほほぅ!!…少しパターンを変えて来たか!…しかし!…」


それこそまた無我夢中で畑を耕そうとする一方で、突如として寸止めを挿み!…

するとその行動にヴェルも戸惑った様子で目を見開き反応!…これには驚いた!と

ばかりに避ける構えに入って行くと、大男はその隙を狙う様に攻撃を繰り出す!…

と言うのもヴェルはこの時あまりにも単調な攻撃ばかりでもう相手の動きを見る

事も止めて居り、また同じ斬り込み方が来るだろうとそれに対して身構え!…

しかし実際に飛んで来たのはまさかのフェイント!…予想外の攻撃にヴェルは

思わず戸惑い!…大男も頭を使った様子で横薙ぎにヴェルの事を薙ぎ払おうと

するのだが、ヴェルはそれでも回避する!…何故なら!…


__フォ…ガキイィィンン!!!…ッ!?…ッ!?!?…


「……?…

…まぁ結局のところ…当たらなければ如何と言う事は無い!!…」


__ズッ!…ズッ!…ダアアァァン!!!……


「…やれやれ…少し弾いただけじゃろうに!…

…しっかり構えて得物を振らんからそうなる!…

じゃが強張り過ぎるのもまたイカン!…何事も適度に!…

力を入れ過ぎず緩過ぎず!…このバランスを極めてこそ!…

やっとこの道に立てると言うモノなんじゃぞ?…

…さて、まだやると言うのか?…」


ヴェルはすぐさまスイッチする切り替えるよう剣を構え!…その横薙ぎに飛んで来た

得物を掬い上げる様にして刃を滑らせ弾いて行くと、逆に大男のバランス

を崩して見せる!…するとその大男もまさかの反撃を貰った事でその場で

横転!…無様にも腹を見せては大の字に倒れてしまい!…遂には一体何が

起きたのか分からずただ困惑した様子で固まって居り!…そんな大男の

様子にヴェルが呆れた様子で徐に声を掛けて行くと、その剣の構え方に

ついて話し出す!…それはあまりにも見て居られない!と言った具合に

注意をすると、その大男を門下生の様に扱い!…何ならまだ初歩にも入って

居ないと更に呆れて話しを続け…この様な状態でもまだやるのか?と…

飽きた様子で大男に声を掛けて行くと、大男は慌てた様子でスッと起きる!…


__ッ!!…ゴロンッ!!…バババッ!!……ッ~~…ッ~~…


「……ふむ…まだ闘志は消えて居らんのか…

まぁその根性だけは買ってやるが…

しかしのぉ?…いい加減ちと飽きて来たぁ…

先程の奇襲は確かにワシの油断を見事に突いた良いモノじゃったが!…

しかし二度もその小手先の技が通じると思うのか?…

この様に自身より小さい者に転がされて腹を見せ…

思わず固まってしまう様なお主に?…」


__ッ!?…ッ~~~~~!!!…


「……まぁ時間的にもまだまだ余裕は有るか…

…気になる事が有るとするならあの城の天辺!…

何か妙な?…いやに不気味な気配を感じる事じゃろうか?…

…この分だとワシがアレを相手に……はあぁ~…面倒じゃのぅ~…」


いつの間にか近くに居たヴェルに対して大男は慌てて離れ!…肩で息をするよう

緊張の色を見せると、得物を構える!…するとそんな様子にヴェルもまだ折れて

無いのかとその気概だけは買った様子で、一応は相手の動きに注意を向ける

のだが…それでももう飽きて来たのか次には面倒と言葉を口にし出し、先程の

奇襲を褒める一方であれが限界と!…二度も通じない事を呆れながらに話して

行くと、止めに諦めろと口にする!…となると当然そんな事を言われたので

大男は怒り!…また果敢にもヴェルに向かって行こうとするのだが!…この時

ヴェルの注目はふと城の方に向けられており!…天守閣を見詰めたまま嫌な

気配をがすると言うと、また面倒と言葉を零していた!…そして…


__グオン!!!…ズダアァァン!!!………ッ!?…


「…また振出しに戻ったのか?…やれやれ…だから幾らやろうと無駄だと…」


__ッ~~~~!!!…グオン!!!…


「ッ!?…のわあぁぁ!?…」


もはや完全に見切ったのかヴェルはまたもや大男の攻撃を回避!…その際その

回避先と言うのも大男が握っている刀の峰の上であって…またもはこれには

大男も戸惑い慌て!…思わずまた固まった様にその峰の上に立つヴェルに視線を

向けて居ると、ヴェルは学習能力が無いとばかりに言葉を零す!…そして呆れた

様子で更に大男を煽って行くと、それにまた大男が懲りずに怒った様子で刀を

振り上げ!…次には吹き飛ばす様にして得物を大きく振り回し!…ヴェルも吹き

飛ばされた事で少しは戸惑った反応を見せるのだが!…空中で受け身を取って

見せると近くの屋根に着地する!…


__ヒュウウゥゥゥ!!…クルンッ!…シュタッ!!……ッ!?…


「……フウゥ~…乱暴者め!…怪我をしたら如何する!?…

…っと、これはそう言えば殺し合いじゃったの?…イカンイカン!…

気が緩み過ぎて仕方が無い……ッ!……瘴気であまり見えんが…

そろそろ正午に行こうと言った所か?……あ奴らも何処まで行ったか……

では後5分!!…5分お主に時間をやろう!!…さぁて、如何する?…

このまま下がると言うなら追いはせんが?…」


__ッ!?……ッ!!………


宛ら牛若丸と弁慶の様に!…ヴェルが難無く受け身を取って着地をすると、

その老体とは思えぬ動きにこれまた大男は戸惑い始める!…もはや本当に

老兵なのか!?と疑って止まぬ所では有るのだが、そんな大男の様子を

余所に…ヴェルは空を見上げては時間を確認し始め!…そろそろマサツグ達の

事が心配になって来たのか、遂に時間制限を大男に突き付け如何するのか?

と声を掛けて行くと、剣を構える様な素振りを見せる!…するとそんな

ヴェルの様子に大男もたじろぎ!…途端に警戒した様子を!…この時ヴェルは

その自分達が入って来た門の屋根の上に立って見せ、何か大男を睨むよう若干

眼光を鋭くすると、圧を掛ける!…


__……ギン!!…ッ!?……ッ~~~……


「……さぁ?…如何する?…この間にも刻一刻と時間は迫って居るぞ?…

…時間が来ればワシは動く!!…遠慮もせん!!…

…何せ散々その得物を振り回して来たのだからなぁ?…」


__ッ~~~~!!……ギュッ!!…ッ!!…ウオオオォォォォォォ!!!…


「ッ!……それが答えか……良かろう…ならば冥途の土産に持って行くと良い…

ワシのちょっとした…少しばかり[自信の有る剣技]を喰らって…な?…」


ヴェルが睨むと大男は委縮!…自身よりはるかに小さき者に恐怖を覚え!…

するとその間にも時間が迫って居るとヴェルは徐に急かし始め、時間が

切れれば斬る!と…それはさも覚悟を決める様に言葉を言うと剣を握り!…

大男に対して下段に構え!…さも攻撃して来るであろう事を読んでクッと

腰を落とし身構えて見せると、次には大男が覚悟を決めた様子で突っ込んで

来る!…するとヴェルもそれを見届けた様子で言葉を…さも一撃で決めると

ばかりに言葉を並べ、自身の間合いにその大男が入って来るのを待って居ると、

遂にその瞬間が訪れる!…


__ゴオオオォォォ!!!……ッ!!…ギャギイイイィィィ!!!…ッ!?…


「……[剛刃研磨]!…相手の振り下ろして来る技に合わせて自身の剣を滑らせ!…

受け流すと同時に刃を研ぐと言う反撃の一手!!…そして!……」


その大男の握る得物がヴェルに向かい真っ直ぐ振り下ろされようとするのだが、

ヴェルは全く避ける様子を見せる事は無く!…逆にその向かって来る得物に

合わせて徐に自身の剣を振り上げて見せ!…その攻撃を受け流す様に!…更には

角度を調節して自身の剣を研磨する!…さも相手の得物を研ぎ石の様にして

利用し攻撃の無力化をして見せると、当然そんな様子を見せられた大男は

戸惑ってしまう!…まさかたったその一瞬だけでいとも簡単に自身の攻撃を

受け流されてしまうと、大男はバランスを崩した様子で前のめりに!…


__ギイイイィィィ!!!…キンッ!!…


「その研がれたる剣の鋭さや否や!…

両断する事を容易く成し得てしまう事から付いた名が…

[両断剣・顎]!…と言われて居る!…

…これがワシの得意とする剣の一つじゃ!…」


目の前に巨人が迫って来ようともヴェルは一切ブレる事無く、大男の攻撃を

受け流し切り!…そして軽く得物を弾いた所で更にヴェルは加速!…丁度

向かって来る大男の動きに合わせて剣を振り上げ!…一連の流れをこれまた

クソ真面目に説明するよう言葉を口にして行くと、その大男に止めの一撃を

見舞おうとする!…だが当然大男としても簡単にやられる訳には行かない

ので、意地の回避を試み始めるだが!…ヴェルからすればハッキリ言って

相手の的は相当デカく!…当然躱し切る事など出来る筈もなく、結果として

躱し切れずに片腕を両断!…その鋭い切れ味に大男自身もビックリして見せ!…

そして次には苦痛にのた打ち回るよう地面へ向かって転がって行くと、辺り

一帯に地響きを轟かせて行く!…


__ズバアアァン!!!……ッ!?!?……ズダアアァァァァァン!!!!…


「ッ!?…ほほう?…少し狙いがズレてしまったか…

…苦しまずに一撃で葬ろうと思ったのじゃが?…」


__ッ!!!…ウオオオオオォォォォォォォォォ!!!!……


「……はあぁ~…ちぃっとばかり酷な事をしてしまったかのぅ?…

しかしこれも武器を持って対峙してしまったが故!…

致し方の無い事なのじゃが?……うぅ~ん……」


倒れる際一部城壁を破壊しながらうつ伏せに倒れ!…ヴェルもそんな大男の様子に

狙いが逸れた様な事を口にすると、上から見下ろす様にして大男を確認!…すると

眼下には斬られた腕を抱えては悶絶!…痛みに必死に耐えようとする大男の姿が

ある訳であって、これにはヴェルもやれやれ!と…さも自分もまだまだと言った

具合に何か呆れては頬を掻き!…その寝転がる大男にまだやるのか?と慈悲を

掛けるよう言葉を口にすると、大男はもはや戦意を失う!…


「……生半可の傷と言うのは人に絶望を与える!…

…さて、まだやると言うのか?…

やると言うのなら今度こそ命の覚悟をする事になると思うが?…」


__ッ!?……チラッ?…ッ!?…ドオオオオォォォォォン!!!……


「……その様子じゃともう戦意喪失と言った所じゃな?…

…さて、これにて決着…」


失った腕を見て生半可!と…腕一本で失った事で生半可!と…到底出て来ない

であろう言葉に大男も戸惑い!…そのヴェルのまだやるのか?と言った問い掛けに

対して確認するようヴェルの事をチラ見すると、更にこの時恐怖を覚える!…

と言うのもこの時のヴェルの背後からは死神が!…自身に対してカタカタと笑うと

大鎌を掲げて居る様に見え!…その際全身に掛かる圧も相当な物で、全身から汗と

言う汗が噴き出す様な感覚を覚えては視点が定まらず!…本能的にこの場から

逃げたい!と…とにかくヴェルに対してもう敵意を見せる事無く縮こまる様な

反応を見せると、ヴェルも落ち着いた様子で剣を仕舞う!…この時やっと終わった

とばかりに呟くと、改めて天守閣に視線を向け!…


「……ッ!?…何と!?…更に不気味な気配が強くなった!?…

……うぅ~む!…先に行かせたは良いが…本当に大丈夫であろうか?…

……少しばかり急ぐとするか!…」


__ピョン!!…スタッ!!…タッタッタッタッタッ!………


この時まだマサツグ達はその秋雲城の前にも辿り着いては居ないのだが、天守閣

には暗雲が!…それは濃くどんよりとしては何か不安を煽る様な物が感じられ…

ヴェルもその様子を見て何か不味い予感を感じると、先を急ぐ事を心に決める!…

そして今居る門の上から身軽にピョンと飛び降りると、そのまま急ぐ様にして

先の道へ!…しかしそこそこ体力を使ったのかその足取りと言うのは駆け足で…

そんなに早くは無く…マサツグ達に追い付けるかどうか怪しい様子を見せると、

最終的に追い付いたのはあの天守閣!…崩落する前の状態で再会する事となる

のであった!…


__後日……


「……あの時はホント何をしてくれるんだ!って思ったわ!!!…

態々突いて壊さなくても!!…」


「いやぁ~!…スマン!!…

何か無性に突いてみたくなってな?…つい…」


「いやついで済まされないからこうして文句を言ってるんだが!?…」


当然全てが終わった後、ヴェルはマサツグに怒られて居た!…

何故崩壊させたのか!?とツッコミを受けては詰め寄られ!…そんなマサツグの

様子に対してヴェルがお道化て見せ!…となるとマサツグは更に文句を口に!…

茶目っ気も大概にしてくれ!と言葉を続けて居ると、その傍らではグレイが

黙って見て居た!…本来なら割って入って直ぐにマサツグへ食って掛かりそうな

ものなのだが、今回は同意する姿勢を見せ!…ただ呆れた様子で頭を抱えては

溜息を吐き!…改めてヴェルの事が分からない!と言った反応を見せて居ると、

マサツグも漸く落ち着きを見せる…そしてふと思い出した様に…


「……全く!!…本ッッ当に勘弁してくれよ!?…

…って、そう言えばあの時?…」


「ッ!…何じゃ?…」


「いや…あん時ジッチャン…あの馬鹿デカいの相手にしてたけど?…

本当に大丈夫だったのか?…何でも倒したにしても遺体が残ってなかったとか?…

ただ妙にデカい腕が一本落ちてたのは聞いたが?…」


「ッ!…さぁ?…如何なんじゃろうな?…

それは神のみぞ知ると言った所かのぅ?…」


「……え?…」


マサツグが思い出した事と言うのはその件の大男について!…その際周りからも

話を聞いて居たのか、事前情報に基づき大丈夫だったのか?と…するとヴェル

は何の事は分かって居ない様子で返事をして見せ!…マサツグに怒られて居た

せいもあってか苦笑いをしながらに何か?と言葉を口にすると、マサツグは更に

問い掛けて行く!…そしてそこで漸くあの大男の事だと分かると、ヴェルもハッ

とした様子で目を見開いては反応!…しかしその答えについては何故かはぐらかす

様にして返事をして見せ、マサツグがその返事に何の事変わらなない様子で言葉を

零すと、有耶無耶にされるのであった!…一体何の目的が有って有耶無耶にした

のか?…何度問い掛けても答えず…グレイも気になった様子でこの後マサツグに

続いて質問をするのだが、グレイの場合は五月蠅い!と…杖で小突かれる様にして

逆に文句を言われてしまい!…最後には質問すら受け付けられなくなってしまう

のであった!…


因みに腕を斬られた大男はと言うと、この戦が負け戦と分かるや否や姿を消し!…

何処か山奥に引き籠っては誰の目にも付かない所で生活を…一人で細々と隠居する

様に余生を楽しむ事とすると、その事を日記として認めて事を決めるのであった…

そしてその大男も天寿を全うしてこの世を去る事となるのだが、その際まるで遺言

のよう自身の体験を一冊の書にまとめた事である事件が!…と言うのもその場所を

偶然見つけた冒険者達の手によって!…


__数十年後……


「……ッ!…何でこんな山奥に民家が?……ッ!?…

し、しかも妙にデカくねぇか!?…」


「……とは言えもう誰かが住んで居る……様子はないな?…

…てか何かここに居ると自分が小人になった様な気がする…」


「……確かに!……何か興味が湧いて来た!…

…なぁ、少し探索して見ないか?…」


「ッ!……うぅ~ん…別にいいけど…気を付けろよ?…

何があるか分かんねぇんだから…」


そしてその場所に一冊の体験談が残され時が過ぎ…そこへ偶々遠征に来た

冒険者達がフラッと訪れる事となると、その大男が住んで居たであろう

周りの様子に驚いて見せる!…それは何もかもが大男用に作られて居る

訳であって、とにかく家具や家がデカく!…その家の近くに在る畑等も

当然デカく!…なぜ今まで見つけられる頃が無かったのか?と疑問を持つと、

冒険者達は探索し出す!…


__ガサゴソッ!…ガサゴソッ!…ガサゴソッ!…ガサゴソッ!…


「……フゥ~!…探索するのも一苦労だな!…

こうも家具が大きい!…つっても箪笥とかがある位で…

後は普通の古民家だがなぁ?…」


「……うわぁ…囲炉裏の灰がトンデモナイ事に!…

もはや山火事が遭ったみたいな感じになってる!……」


「……にしても何か面白そうな物が見当たらんなぁ?…

…まさかイベント前のオブジェクトに来たのか?…って、ッ!…

おっ?……おぉ~い!!…何か面白そうなモンを見つけたぞぉ~?」


「ッ!?…マジかでかした!!!」


家の中を調べては何か珍しい物は無いかと、その他にもここに住んで居た

であろう住人の生活を伺ったりするのだが…特にコレと言って目ぼしい

物が見つかる事は無い訳であって、冒険者達が徐々に飽きて来た様子を

見せ始めて居ると、そこへ一人の冒険者が何かを見つけた様子で声を掛ける!…

と言うのもそれを持って行く事が出来ないのか、ただ見つけた!と声を

掛け!…となるとその言葉に冒険者達が興味を持ち!…その見つけた物は

何か!?と言った様子ですぐさまそのものの所に移動をして行くと、

そこであの体験談が書かれた日記を目にする!…


「……これはぁ?…日記?…」


「……はあぁ~…何だよ期待させやがってぇ~…

日記なんか何も面白い事ねぇだろ?…やっぱここはハズレ…」


「……でも少し内容が気になったりしないか?…

何の気無しにこんなのが置いてあるとは思えないし…

…案外どっかにお宝が眠って居るみたいな事が!…」


「ッ!?…よぉ~し!…早速中を見よぉぜぇ~?」


「ッ!?……お前本当に現金な奴だよな?…まぁいい!…

…とにかく内容を…どれどれ?……ページめくるのも一苦労…っと!…

…えぇ~っと?……ッ!?…巨人の腕を切り落とす翁?……何それ怖!……」


当然ただ古ぼけた少し大きめの日記を見つけた所で興味は薄く、戸惑った様子で

その日記を見詰め!…何なら最終的に見つかったのがそれだけであったと言う事で

完全に興味を失い!…仕舞いには背を向けて帰ろうとする者まで現れ始めると、

その内の一人が日記に興味を…と言うのも何か面白い物が載っているかもしれない!

と…お宝が見つかるかもしれない事も仄めかして行くと、それを聞いた冒険者が

戻って来る!…そして改めてその冒険者にツッコミを入れつつも日記の内容を徐に

確認し出すのだが、そこに書かれて有ったのは言わずもがなあの体験談で!…

しかしその日記を読んで居る冒険者達の興味を持たせるには充分だった様で、

そこでそれを見つけた者達が都市伝説!と…その書物に出て来るヴェルの事を

妖怪かモンスターと勘違いした様子で!…何か規格外に強いモンスターが居る

のではないのか!?と…その存在を追い求める者まで現れる始末に発展し出し!…

担ぎに担がれその話題がその手の話の好きな連中に伝わり伝わって行くと、

ゲーム内での都市伝説として定着する事となり!…勿論誰もその真実に辿り

着ける筈も無い訳で、永遠の謎として後世にずっと!…ただただ謎の武人として

語り継がれては冒険者達の憧れに!…その名を「ジャイアントキラー」として

冒険者達の間で知られる事になって行くと、当の本人は噂をされる事によって

クシャミが止まらなくなるのであった!…


……後これは余談なのだが…あの戦いで切り落とされた大男の腕はと言うと…

何故か秋雲城で珍品として扱われしまい!…後にミイラと化しては城の宝物庫で

厳重に!…鬼の腕として保管がされては何やら呪物的な物として!…特に何の

意味もなく、ただ忌み嫌われる物の様にして扱われるのであった!…


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