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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章七十五節 シロの本音とフィロの涙と黒焦げの背中-

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「はぁ!…はぁ!…ッ~~~!!!…

如何言うつもりですか!!…フィロ!!!…

フィロはご主人様が好きじゃなかったのですか!!!」


「………。」


__…ザッ…ザザッ!……フラァ……ジッ……ババッ!!…スチャッ……


何か様子の可笑しいフィロへ向かいシロが不意打ちの一撃を!…するとフィロは

地面に横たわったままピクリとも動かず、シロはシロでそんなフィロに対して

怒りを露わにして見せ!…マサツグとオリハもそんな二人の様子に緊張した眼差し

をジッと向け!…これで終わってくれれば万々歳!…と言った具合にその様子を

見守て居ると、フィロは何も言わぬまま立ち上がり敵対する!…その際フィロの

口からはシロに殴られたせいか、ほんの少しばかり血が噴き出て…口を切ったで

あろうその様子にマサツグが心配!…しかしフィロはそれを袖で拭うとシロ達から

距離を取り出し!…やはり身構えるよう今度はシロの向かい警戒の様子を露わに

すると、シロもその様子に物怖じ一つせず身構え始める!…


「ッ!…ッ~~~~!!!…

フィーーーロォーーーー!!!」


__ッ!…シュン!!…ボボボボボボボボッ!!!…


「ッ!!…ヨッ!…ホッ!…ハッ!…

…ッ!?…クゥ!!……」


まだ身構えるフィロに向かいシロは拳を握るともう一発とばかりに突貫開始!…

するとそれに合わせてフィロも迎撃の狐火をすぐさま量産すると、シロに向かって

一斉射し!…だがシロとてそれを真面に喰らう気はサラサラなく!…フィロが攻撃

をして来た事に対して機敏に反応!…それこそその狐火の雨を掻い潜り、何とか

フィロに近付こうとして見せるのだが!…やはり躱し切れない様子で被弾する!…

だが被弾すると言っても真面に喰らったとかそう言う事ではなく、掠った程度で

押さえるのだが!…それでも重なる様にして貰うとそこそこ痛く!…シロも苦戦して

居る様子で表情を歪め出して居ると、それを見たマサツグが動き出す!…


「ッ!?…シロ!!…えぇい!!!」


__ババッ!!…ジャコン!!…シュボボボボボッ!!!…ッ!…ハァ…ハァ…


「ッ!!…シロ、大丈夫か!?」


シロが苦戦している姿にマサツグが慌て!…大剣を手にダッシュでシロの元まで

一気に辿り着いて見せると、その大剣で狐火を防いでは壁になる!…すると

シロもそんなマサツグの行動に気が付いた様子でピクッと反応して見せると、

マサツグの影に隠れては一度呼吸を整え!…マサツグはマサツグでシロに無事か

どうかの確認をし始め!…シロもその呼び掛けに対して戸惑ったよう返事を

すると、徐にマサツグへ謝り始める!…


「ッ!…ご、ご主人様!!……ごめんなさいです!!…

で、でも!…これだけはシロに!!…シロに任せて欲しいのです!!!」


「ッ!……ったく、分かったよ!!…但し!!…

やるからには絶対に成功させろ!!…勿論俺も手伝ってやる!!…

思いっきり行って来い!!!……そんで…

…二人ともちゃんと俺の所に帰って来る様にな!…」


「ッ!!……はいです!!!…」


シロはマサツグに勝手な事をして申し訳ない!…と言った具合に頭を下げる!…

しかし如何してもこれだけは自分で解決したいらしく!…シロはマサツグに

自分が解決する!と言った具合に熱意を見せると、マサツグもマサツグでそんな

シロの言葉に戸惑ってしまう!…それこそ今まで小さな我儘位ならちょこちょこと

断片的に有ったものの、今回みたいな我儘は初めてであり!…いやそもそもこれを

我儘と言って良いモノなのだろうか?…とにかくそのシロの真っ直ぐな視線に

マサツグも心を打たれた具合に沈黙を置きつつ!…次にはシロの事を信じる様に

笑顔でやってみるよう声を掛け!…自分達も協力する様に言葉を続けてやる気を

出す様な表情を浮かべると、シロもその返事を聞いてやる気を見せる!…さて

そうなって来ると今度は攻撃のタイミングなのだが!…


__シュボボボボボボボボ!!!…


{……クッ!!…何これ如何すれば!?…火力も速度も上がってる!…

俺がカマイタチを撃つ前にこのままだと焼かれてしまう!…

迂闊に動けない!!…攻撃を繰り出した所で攻撃が通るか!……でも!!…}


「……にしても如何したものか?…この調子だと近付くのも困難!…

てかあんだけ狐火を乱射して!…何で息切れの一つも見せないんだ?…

……何かバフ付与が掛かって居るとしか?…」


フィロは依然としてガトリングガンの様に狐火をばら撒き、マサツグ達をある

意味で拘束して見せ!…この時オリハもオリハで何かしら動こうとして見せよう

とするのだが、迂闊に近付けば自分も火達磨になると動くに動けず!…何なら

最初の時より火力が上がって居る事で突っ込むに突っ込めず!…カマイタチでの

無力化も難しい状態に立たされてしまうと、何も出来ないまま立ち尽くして

居た!…そしてその渦中にいるマサツグとしてもそのフィロの狐火の乱射具合に

違和感を持つと、何故途切れないのか?と疑問を持ち!…その際考えられる

可能性について何かしらのバフ付与が付いているのではないのかと!…とにかく

動くに動けないと言った様子でフィロの方に視線を向けて居ると、更にフィロが

攻勢に打って出る!…


__……スゥ…ッ~~~……カッ!!…ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…


「ッ!?…ちょ!?…ちょっと待て!?…嘘だろ!?…」


「ッ!?…エ、エクスプロージョン!?…そんな!?…

あの狐火を乱射しながら!?…」


__ゴゴゴゴゴゴッ!!…ピッ!…ゴシュウウウウウゥゥゥ!!!…


と言うのも突如スッと右手人差し指を天に向けて指し示す様にフィロが伸ばすと、

その指先から数cm浮いた所で火球が!…その現れた火球はフィロの詠唱によって

徐々に徐々にと大きくなり出し!…さもこのまま放って置いたら目に見えてヤバい

事になる!と言った雰囲気を見せると、更にマサツグ達を慌てさせる!…その際

フィロの平行攻撃の多彩具合にオリハが驚いた様子で言葉を零して居ると、次には

その火球は巨大なモノとなってマサツグ達に向かい放たれ!…するとマサツグも

マサツグでそんな物が飛んで来た事で更に慌て!…もはや考えるのが面倒になって

来た所でいつもの様に自棄を起こすと、シロに向かって指示を出す!…


「ッ!?…やっぱこっちに向かって飛ばして来たぁ!?…

……ッ~~~~!!!…あぁ~もう!!!…こうなりゃ一か八か!!…

シロ!!…俺の後ろに隠れろ!!!」


「ッ!…え?…で、でも!!…」


「ここはご主人様に任せなさい!!!…

幸いあれが傘になって狐火も飛んで来てない!!……となれば!!…」


__ジャコンッ!!…グオン!!…ジャキン!!…


マサツグは自身の後ろに隠れるようシロへすかさず指示を出す!…するとその

マサツグの指示にシロは勿論戸惑った反応を見せると、マサツグへ心配の声を

掛けるのだが!…マサツグはそんなシロに構わず早く隠れる様に任せろと!…

その際他の攻撃が止んだ事で逆にチャンスと口にして見せ!…それこそその

飛んで来るエクスプロージョンに対してバットを握る様に腰を落として大剣を

構えて見せると、次にはそのエクスプロージョンに向かってフルスイングする!…


「ッ!!…いっけええええぇぇぇぇぇ!!!!」


__グオォ!!…バジュン!!!…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!…


「ッ!?…グッ!!…お、重い!!!…

…けど!!…何のこれしき!!!……ッ~~~!!!…

負けらいでかああぁぁぁ!!!…」


__ブワキイイイィィィン!!!!…ッ!?!?…ドゴオオオォォォン!!!!…


それこそ腰のひねりから大剣の侵入角度!…宛ら野球をやっているかの様に!…

そしてマサツグが叫びながら振った大剣とエクスプロージョンがぶつかった

瞬間!…火花が散って鍔迫り合いへと発展して行き、マサツグの両腕にその重い

エクスプロージョンが圧し掛かり!…マサツグもその重さに思わず弱音を吐いて

しまうのだが!…歯を食い縛って更に両腕に力を込めて見せると、次には恐怖の

ピッチャー返しで応戦する!…その際も思いっきり叫びながらフルスイングで

シロの事を守り切ると、マサツグは消耗した様子でその場にへたり!…その一方で

自身が撃ったエクスプロージョンが帰って来た事でフィロは驚き!…次の瞬間

フィロとエクスプロージョンがぶつかっては大爆発!…マサツグも息を切らし

ながらその様子に目を向け!…一体如何なったのか?と嫌な予感を感じつつその

光景に目を向け続けて居ると、更に驚くべきモノを目にする!…


__オオォォォォン!!!………ファサァ!!……


「ッ!?…マジかよ!!…無傷って!!…」


__……シュン!!…ボボボボボボボボッ!!!…


辺り一帯に爆発音が鳴り響く!…そして爆心地であるフィロの居た場所は

硝煙が立ち込め!…その幼いフィロの姿を隠してしまうと、何もかもをも

有耶無耶にする!…それこそフィロは無事なのか?…はたまたダメージを

負って動けないで居るのか?…死んでしまったのか?…だがそんな疑問も

直ぐに晴れるよう硝煙は切り裂け!…その中から無傷のフィロが姿を現すと、

マサツグもそれを見て驚きを露わにして見せる!…その際フィロはジッと

マサツグの事を見詰めるとまた狐火を量産!…直ぐに攻撃に転じようとする

のだが!…それよりもシロが先にフィロへと声を掛け出し!…如何して

こうなったのかを心の底から吐き出して見せると、その場の空気を一度

止める!…


「ッ!?……ッ!!…フィロ!!!…どうしてですか!!!…

ご主人様の事が嫌いになっちゃったのですか!?…

…確かにフィロの事は最初ご主人様にベタベタくっ付いて来て

気に入らなかったですが!!…

一緒に過ごして居る内に本当にご主人様の事を好きなんだって!!…

…まだフィロと会って短いけど!!…それでも友達だって!!…

仲間だって思ってたのに!!…ッ~~!!…

如何してこんな事をするんですか!!!!…」


「ッ!……シロ…」


__………。


シロは目に涙を浮かべながらフィロに問い掛けるよう叫び出す!…それこそ

隣では義光とモツ達が激しい戦闘を繰り広げて居るのだが、そのシロの声は

ハッキリと聞こえ!…何ならそのシロの声は木霊する様に辺りに響き!…

シロが思いの丈をブチ撒ける様に本音の言葉を口にし続けて居ると、フィロも

そんなシロの叫びを聞いて動きを止める!…それこそ気に入らなかった事や

仲間だと思って居る事等!…全てをオープンにする様に!…するとそんな

シロの叫びにマサツグもピクッと反応して見せ!…何か心打たれる様なモノを

感じて居ると、まだ倒れては居られない!と言った具合に体に力を入れようと

する!…だがそれよりも先にある光景がマサツグ達の目に映る!…


__……スッ……ホロッ……ッ!…


「……え?…」


「……フィロが…泣いてる?…」


「ッ!!…フィロ…」


そのある光景と言うのはフィロが突如項垂れ出した事であって、数分してから

フィロの顔から何かが滴り下りる様子が更に見られ…するとその光景に

マサツグ達全員が気付いた様子でフィロに注目をし始め!…オリハが戸惑った

様子で言葉を漏らすと、マサツグもフィロが泣いている事に気が付いて見せる!…

その際マサツグの後ろではシロもフィロの様子が可笑しい事に改めて気が付いた

反応を見せると、一体何が起きているのかと!…やはりそのフィロの様子が気に

なった様子でマサツグ達は注視をし続け!…自身の中に嫌な予感を感じつつ!…

その動かないフィロの様子にただ黙って視線を向けて警戒をして居ると、フィロは

顔を上げる事無く今度は呟く!…


「……わ……ろ…れ…」


「ッ!…え?…」


「ッ!!…フィロ、如何したんだ!!!…

…今なんて言ったんだ!?…」


「……物凄く嫌な予感が!…」


それは断片的にしか聞こえてないのだが…間違いなくその言葉はフィロの口から

漏れ出て居り!…するとそんなフィロの断片的な言葉にシロも聞こえた様子で

ピクッと反応して見せ、マサツグも聞こえた具合にハッとした挙動を見せると、

次にはもう一度聞き返す様に言葉を掛ける!…その際その言葉は断片的では

あったものの、マサツグの中では物凄く嫌な言葉に聞こえた様で!…その表情は

一気に緊張で険しくなっては焦りを覚え!…オリハもその言葉に何か嫌な予感を

感じた具合に言葉を零すと、再度フィロは言葉を口にし始める!…


「わっ…して…くれ…」


「ッ!!…まだ聞き取れない!!…フィロ!!…

何を言おうとしてるのですか!?…」


{…ッ!!……止めろ!!…その言葉を口にするな!!…

…こんな事なら!…アヤを連れてでもフィロを探せば!!……

…いや、まだ諦めるな!!…何か!…何かまだある筈!!!…}


「フィロ!!!…」


この時もやはりフィロが口にした言葉と言うのは断片的!…幾らフィロの言葉に

集中しても聞き取り辛く!…それでもシロはまだ諦めて居ない様子でフィロを

凝視!…何かを感じ取ろうとした具合にもう一度とフィロに向かい言葉を口に

すると、その一方でマサツグが理解した様子で焦りを覚える!…と言うのもその

フィロの言葉でマサツグの中の嫌な予感が的中し、最悪の事態となってしまい!…

この時マサツグはふとあの紅月衆の里でフィロを置いて来た事を酷く後悔!…

やってしまった事に更に焦りを覚え!…だが当然そんな事を考えている場合では

なく!…今はそれ所じゃない!と気を改めると、その打開方法について考え

出す!…それこそ辺りを見回しては怪しい物が無いかを確認したり!…フィロの

様子に目を向けて動向を探ったり!…するとそんなマサツグを尻目にシロは

フィロを心配した様子で、もう一度フィロの名前を呼んで何を言ったのか?に

ついて尋ねてしまうと、今度はハッキリとその言葉を耳にする!…


__……スッ……ッ!!…


「…わっちを……殺してくりゃれ!…」


「ッ!?…え?…」


それはやはりマサツグが予想して居た通りの言葉になった!…フィロは徐に

スッと顔を上げると自身の顔をマサツグ達の方へ向ける。するとそこで

露わになった表情と言うのは無表情ながらも静かに涙を流すフィロの様子で

有って、フィロはハッキリと自身を殺してくれ!と…すると当然その言葉を

聞いたシロは困惑した様子で固まってしまい!…戸惑いの言葉を漏らし理解に

苦しむ姿を見せると、マサツグも苦虫を噛んだ様な表情を浮かべる!…


{…チッ!!…やっぱそう言う事だよなクソったれ!!…

薄々分かっちゃ居たがそれでも聞きたくはなかったってモンだ!!!…

…フィロを洗脳する!…あのナリだろうとフィロは間違いなく魔王クラスだ!…

その魔王を洗脳したって事はイーブン!!…

いや、それ以上の奴が裏に居るって事だよな!?……とにかく考えろ!!…

この状況を打開する解決策を!!…フィロを助ける方法を!!…}


__ッ………ッ!!…ババッ!!…


「ッ!?…シロ!!!」


__タタタタタタタタッ!!!…


フィロの言葉を聞いてマサツグが焦る!…そして聞きたくなかった!とばかりに

心の中で本音を漏らし!…考えていた事が現実になった事で更にその後ろに

居る者の力の強さを想定すると、思わず勝てるかとどうかを考えてしまう!…

だがそれよりも先に考えるはフィロの洗脳を解く事であって、更にマサツグは

思考を駆け巡らせ!…しかしそれよりも先にシロが感情の赴くままに突然として

動き始め!…フィロに向かって突貫を開始して行くと、当然そんな様子に見た

マサツグも慌て出す!…そして勿論シロの名前を呼んで一度は制止を呼び掛け

ようとするのだが、この時のシロはマサツグの言葉に耳を貸さず!…すると

そんなシロの様子にマサツグは更に慌て始め!…急いでシロを追い駆けようと

するのだが、ここでマサツグの身にある異変が起きては動けずに居た!…

それは!…


「ッ!!…シロ!!…まっ!!…ッ!?…」


__プルプル!!…ガクガクッ!!…


「ッ!!!……クソがあぁ!!!…

このクソ肝心な時に!!…動けこのポンコツゥ!!!…

何でこんな時に限って動けねぇんだテメェはぁ!!!」


それはシロを追い駆けようとした瞬間、膝に違和感を覚える!…それこそ一歩

踏み出そうとしてマサツグは動こうとするのだが、肝心の脚が何故か思う様に

付いて来ず!…思わず前屈みに倒れそうになっては踏ん張る様にして耐えて

見せ!…何故動かないとばかりに次に自身の膝へ目を向けて行くと、そこで

小鹿の様に震える自身の脚を目撃する!…と言うのも先程のエクスプロージョン

返しで脚に来ている様子で、今になってその反動が感じられ!…するとこれには

マサツグも焦りと怒りを覚えた様子で!…とにかう動かない自身の脚を殴りつつ、

何故動かない!と文句を口して居ると、その一方でシロの身に危険が及ぶ!…


__……ボボボボボボボボッ!!!…ッ!?…


「ッ!?…シロ!!!…」


__シュン!!…チュドドドドド!!!…


「ングッ!!…ッ~~~~!!!…何のこれしき!!!…」


フィロは操られる様にシロへ向かって狐火を一斉射!…するとシロは囲まれる様に

逃げ場を失い!…更にその上勢い良く走って居るため方向転換もしにくく!…

シロは狐火の雨に突っ込んで行くよう自身でも戸惑った表情を見せて居ると、

次には横から人影が!…と言うのもその人影と言うのはオリハで有り!…オリハは

シロの盾になるよう自らの体をもってしてその狐火の傘になって見せると、シロの

事を守って見せる!…


「ッ!?…オ、オリハ叔母さん!!!」


「行ってシロちゃん!!!……ッ~~!!…

フィロちゃんを!…助けるんだろ?…」


「ッ!!…で、でも!!…」


「いいから!!……行って来なさい!!!!」


__ッ!?……ッ!!…


シロの前に立つよう背中で受け!…更に両腕を広げて防護範囲も同時に広げて

見せると、その背中に狐火を一身に受け続けてはシロを守る!…するとそんな

オリハの姿にシロも戸惑った様子を見せてしまうと、次には慌ててオリハの事を

心配した様子で名前を呼び!…だがオリハは心配無い!と言った具合にシロへ

先に行くよう指示を出し!…その際少しでも近づける様にと後進してはシロの

盾になり続けると、更にシロの心配を加速させる!…そしてシロとしてもそんな

オリハの事が心配で仕方が無く!…遂には躊躇った様子で言葉を口にしようと

するのだが…オリハはとにかく急ぐようシロに声を掛け出し!…この時初めて

シロに対して若干怒気を強めて見せると、シロもそんなオリハの表情に驚いた

様子でビクッとする!…しかし次には何かを決意した様子で表情を引き締めると、

盾になってくれているオリハに対して頷いて見せ!…オリハの体を盾に!…隙を

見て飛び出す機会を窺うと、その時が来たのかシロは跳び出す!…


__……チラッ?…ババッ!!…ッ!…


「フィーーーーロォーーーー!!!!」


__ッ!?…ガバァ!!!……ッ!…


隙を見て飛び出したシロは名前を叫びながら一直線にフィロの元へと駆けて

行く!…そして一気に間合いを詰めるとフィロに向かって飛び掛かって行き!…

フィロもまた攻撃が飛んで来るとばかりに身を護る様な素振りを見せるのだが、

シロは何を思ったのか攻撃する事無く抱き付きに掛かる!…するとフィロも

そんなと突拍子もないシロの行動に驚いた様な素振りを見せると、思わず

固まってはピクリともせず!…その一方でシロはそんなフィロの様子に構う事

無く!…徐にフィロへ謝るよう声を掛け出すと、続けて我慢するよう言い

聞かせる!…


「……フィロ?…さっきはゴメンです!…少し…我慢してください!…」


__…はぁ~ぷ!…ッ!!…ぱああぁぁぁ!……


「ッ!?……な、何だこれ!?…」


「ッ~~!!…だぁ!!…ハァ…ハァ……え?…」


シロは我慢するよう声を掛けると本当に何を思ったのか?…そのフィロの白く

細い首元に突如噛み付くと、何やら光を纏い出し!…そしてその光と言うのは

とても優しく心が洗われる様な感じがして…フィロに止めを刺す様な素振りが

全く見られず!…ただ噛まれて居るフィロも何か動きを完全に止められた様に

固まってしまうと、その場で奇妙な光景をマサツグ達に見せて居た!…すると

そんな光景にマサツグも思わず戸惑いの言葉を口にすると、ただただ茫然と

した様子でその光景を見詰め!…その一方でフィロの攻撃を一身に受けていた

オリハも解放され!…ダメージを負った様子で息を切らし!…その様子に気が

付いた具合に振り返って光景を目にすると、マサツグ同様驚きを露わにする!…

さてこの時だけ時間が止まった様な!…とにかく何か奇妙な時間が流れている

様な気配を感じて居ると、突如そのフィロの体より黒い影の様なモノが!…


__……ゴゴゴゴゴゴッ!!……ッ!?…


「……ッ!!!…オリハ動けるか!?…」


「ッ!?…な、何とか…」


それはまるでフィロに憑いて居たかの様に!…そしてシロの放つ光を嫌う様に!…

影は出て来るなり藻掻き苦しみ身を捩り!…何やらシロに対して止める様な

叫びを口にして居る様なのだが、声帯を持って居ないのかその叫びは挙動だけに

終わってしまう!…するとその影と言うのは当然マサツグ達の目にも止まって

居る訳で、これは何なのか?と…だが次にはマサツグが直感的に何かに気が付いた

様子でオリハに声を掛け出し、オリハもオリハで戸惑った様子でマサツグに

返事!…問い掛けに対してマサツグに何とか動けると驚いた様子で答えて見せ…

マサツグもその返事を聞いて自身が持っている大剣に手を掛けると、次には

トンデモナイ行動に打って出る!…


__ガッ!!…ブオンッ!!…オンオンオン!……ッ!?…ガッ!!…


「…それを使ってフィロから出て来た影を斬れ!!!…

…恐らくそれで終わりだ!!…」


__ッ!!……コクリッ…ジャキン!!…バッ!!…


「ハアアアアアアァァァァァァ!!!!」


マサツグは自身の持っている大剣をオリハへ向けて投擲!…勿論これには

オリハも「え!?…」とばかりに驚いた表情を見せ!…だが当然マサツグ

としてはオリハに危害を加える為に投げたのではなく!…オリハもそれを

察してかとにかく投げられた大剣を器用に柄を握って受け止めて見せると、

マサツグは続けて指示を出す!…と言うのもそのフィロから出て来た影を

その大剣で斬れ!と…そうすれば終わる!と…するとその言葉を聞いた

オリハもハッと理解した様子で頷いて見せ!…大剣を水平に構えてその影に

向かって斬り掛かって行くと、いとも簡単にその影を両断する!…すると…


「ッ!?…キャアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!…」


「ッ!?…な、何!?…」


「ッ!?…フィロ!!!」


オリハがその影を斬った瞬間フィロはまるで憑き物とリンクして居る様に!…一際

大きな悲鳴を上げると天を仰ぎ!…苦悩するようシロを振り払い、身を抱える様な

素振りを見せ始めると、ただただ何かに対して悶えに悶える!…するとオリハも

大剣でその影を斬った所でフィロの悲鳴を耳にすると、何か間違えたのでは!?と

言った具合に戸惑った様子を露わにし!…そして振り払われたシロも無事に受け身

を取った所でその様子を目にしては慌て始め!…フィロの事を心配するよう名前を

呼んでただその苦悶する様子をジッと見詰める事しか出来ないで居ると、遂には

事切れたかの様にフィロはその場でへたり込む!…


__アアアアアァァァァァァァ!!!………ズシャッ!!…


「「ッ!!…フィロ(ちゃん)!!!」」×2


__ババッ!!…ガランガラン!!……


「フィロちゃん!?…フィロちゃん!?…しっかり!!…」


長い絶叫と共にフィロは気を失った様に倒れて行き!…勿論そんな様子を目にして

シロやオリハが更に慌てた反応を見せると、その倒れたフィロの元へと駆け寄って

行く!…それこそマサツグから投げ渡された大剣を投げ捨ててでも駆け寄って行く

と、フィロを抱き抱えてはその両肩を揺すって見せ!…その際何度も呼び掛けては

目を覚ます様に二人で必死に祈り続け!…その願いが叶ったようフィロが呻き声の

様なモノを漏らすと、シロとオリハは安堵する!…しかし!…


「……う、うぅ~……」


「「ッ!!!…フィロ(ちゃん)!!!」」×2


「……ッ!?…馬鹿者!!…早く逃げんか!!!」


「ッ!?…え?…」


__ッ!!…ドンッ!!…ッ!?………ッ!?…


シロとオリハはフィロが無事である事に安堵して見せ、それこそ歓喜した

様子でフィロの名前を呼ぶのだが!…フィロはハッと目を覚ますなり二人に

慌てて逃げるよう言葉を掛け出し!…その突然のフィロの言葉に二人が

反応出来ない様子で戸惑って居ると、次にはフィロがシロとオリハの事を

突き飛ばす!…となると勿論突如その様な事をされた事で二人は困惑!…

受け身を取る事も出来ないまま突き飛ばされ!…だが同時にフィロが突き

飛ばした原因も目に入り!…そこでエクスプロージョンがフィロに向かい

落下して来ている光景を目にすると、二人はまた慌て始める!…


「「フィ、フィロオォーーーー!!!」」×2


それは完全に洗脳が解ける前にフィロが隠れて唱えていた魔法であろう!…

だがそれと同時にその魔法は如何やら自決用に唱えて居た魔法の様で!…

その巨大な火球は一切ブレる事無く真っ直ぐにフィロへ向かって落ちて行き!…

もはや誰も止められない様子でフィロ自身も覚悟を決めた具合に笑みを

浮かべると、そんなフィロに対してシロとオリハが手を伸ばす!…だが幾ら

手を伸ばし叫んだところでその手は届かず!…ただ目の前で仲間が散る

様子を!…とは行かない様子で突如そこへ人影が!…それはフィロと火球の

間に割って入るよう姿を現し!…フィロの事を守る様に背中でエクスプロー

ジョンを受け止めに掛かると、無事フィロを救い出して見せる!…では?…

そのフィロを助けた人物と言うのは?…


__シュン!!!…ドシャアアアアァァン!!!……ッ!?…


憤怒怒怒怒怒怒フンヌヌヌヌヌヌ!!!!…」


「「ッ!?…ご、ご主人様(兄さん)!?…」」×2


そこに居たのは膝が言う事を聞かない筈のマサツグの姿であった!…その際

フィロに覆い被さるよう四つん這いの状態で間に入ると、背中でエクス

プロージョンを受け止め!…すると当然そんなマサツグの様子にフィロは

驚き戸惑い!…シロとオリハもマサツグが止めに入った事で思わず名前を

呼んで驚きを露わにして居ると、マサツグは熱がりながらも耐えて見せる!…


「だぁちゃちゃちゃちゃちゃ!!!…

まさか刹那を発動してハイハイで移動する日が来ようとは!!…」


「ッ?!…な、何をして!?…早く退かぬか!!…

そのままだとマサツグまで!!…」


「馬鹿抜かせぇ!!!…テメェは俺のモンだ!!!…

誰にも奪わせやしねぇ!!!…大事な大事な仲間なんだ!!!…

ッ!!…テメェの仲間一人護れねぇで!!!…

何がクランの頭だってんだ!!!」


「ッ!?……ッ~~~……ヒッグ!!…エッグ!!…」


マサツグは如何やって移動して来たのかを説明する様に熱さに耐える!…

するとフィロもそんなマサツグの様子を見て慌てに慌て!…自分の事は

良いから早く逃げる様にと!…それこそ必死に生き延びる様にマサツグへ

訴え!…ジタバタと急かす様な素振りも同時に見せるのだが、マサツグは

一切フィロの言う事を聞こうとはしない!…寧ろフィロに対して文句の

言葉を口にし始めると、絶対助ける!と言っては不敵に笑い!…更には

告白に近い?…言葉でフィロは仲間と口にすると続けて自身信条を語り!…

とにかく酷い汗を掻きつつ!…歯を食い縛り必死にフィロの事を守って

見せようとすると、その言葉と行動が届いたのか!…フィロは突如として

泣き出すのであった!…さてそこから後の展開は時間軸が戻って終戦後!…

義光は地面に倒れ、フィロは正気を取り戻してシロと共にマサツグに泣き!…

本丸を前にしてこの波乱具合!…とにかくこれにて本当の意味で全員が

集合する事に成功すると、マサツグはホッと胸を撫で下ろすのであった!…

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