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-第四章-オータムクラウド国編-
-第四章六十六節 瀕死のマサツグと忙しない合流と慌しいギルドの朝-
しおりを挟む「はぁ!…はぁ!…クッ!……」
{クッソ!!…普通に痛ぇ!!…
ギルドまで持つかと思ったが!…ここまでなのか!?…
…となるとやっぱそろそろ軽装じゃ納まらなくなって来たって事なのか!?…
…チッ!!…目も霞んで来やがった!……シロ…すま…ん…}
__ッ!?…おい!!!…ッ~~~!!!…
鹿之助との戦闘を終えたマサツグは一人ギルドへ向かい歩いて行く…その道中
鹿之助にやられた脇腹の痛みに耐えながらも歩き続けるのだが、幾ら傷口を
押さえようとも出血は止まらず!…それこそTシャツの右半分は赤黒く染まり!…
マサツグ自身息を切らし目のカスミ等を覚え、本当に不味い!…と言った具合に
命の危機を感じて居ると、遂にはふと意識が途絶えた様に倒れてしまう!…
そして倒れる前に自身の考えや装備が甘かった事等を反省し始めると、最後に
シロに謝っては目を閉じ!…その一方で何やら遠くから人の声がするのだが、
マサツグは何も返事が出来ず!…とにかくマサツグとしても一度リスポーンを
する為、あのリスポーン画面が表示されるのを今か今かと待って居ると、次には
何故かそのままハッと目を覚ます!…
「……ッ!…え?…あれ?…
俺は…倒れた筈じゃ?…ッ!!…ッ~~~!!……ッ!!…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「頑張れ!!…もう少しで安全圏だ!!!…こんな所で死ぬんじゃねぇぞ!!!
ラミィ!!…回復は如何なってる!?」
「今やってるけど!!…これ…酷い!…
一体何と戦ったらこんな事になるの!?…」
__ぱあああぁぁぁ!!!……ッ!!………ググググ…
ふと何故か目を覚ました事に疑問を持ちつつ…自身が倒れた事を改めて思い出して
居ると、自身の脇腹より激痛が!…するとそれがきっかけとなった所でマサツグも
ハッと目を覚ますと次には自身の状況を確認し…そこで自身が何者かに肩を借りて
歩いて居る事にふと気が付き!…一体誰なんだ?とその助けてくれた者に戸惑いを
感じて居ると、マサツグに肩を貸して居る者は必死にマサツグへ死ぬな!と声を
掛け続けて居た!…そしてそれと同時にその者の仲間なのだろうか、マサツグの
怪我の具合に尋ねると、仲間であろう者が酷いと!…さもこんな怪我見た事が
無い!と言った具合に驚いて居り!…移動しながらもマサツグに回復魔法を!…
マサツグもそれに気が付いた所で更にハッとして見せ!…自身でも負担を掛けない
様に足へ力を入れ始めると、その肩を貸す者も気が付いた様子で反応する!…
「ッ!…急に軽く?…ッ!!…気が付いたのか!?」
「…あぁ…ついさっき…助けてくれて感謝する!…」
「ッ!…ハハハ!!…なぁに!…困った時はお互い様だ!!…
にしてもどんな化け物とやり合って居たんだ?…重度の出血で瀕死の状態!…
早々無いと思うが?…」
その助けてくれた者もマサツグが気が付いた事に反応すると安堵した様子で
声を掛け!…マサツグもマサツグで助けて貰った事に対して感謝の言葉を
口にし!…肩を貸してくれた者!…魔法を唱えてくれて居る者に会釈をする
よう頷いて見せると、その魔法を唱えて居る者も会釈で返す!…その際
若干の人見知りが入って居る様子で魔法使いがモジモジとした反応を見せて
居ると、その肩を貸す者はマサツグに対して大した事は無い!と笑い!…
次には気にするな!と言った具合に笑いながら言葉を続け!…更にはその
傷の具合からか誰にやられたのか!…と気にした様子で質問をすると、
マサツグはその質問に対してふと冷める…
「……どうしようもない大馬鹿野郎だよ…」
「ッ!……え?…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……
「あっ…あぁ~…ま、まぁ…色々有るモンだ!…
気にすんな!!……ッ!…もう少しの辛抱だ!…ギルドが見えて…」
冷めると言ってもその質問をして来た者に対してでは無く、傷を負わされた者に
対してであり!…ただ大馬鹿野郎とその時の事を思い出しながらマサツグは
返事!…するとそのマサツグからの返答に助けてくれた者も戸惑い!…何やら
若干気不味い雰囲気を見せて居ると、目の前にギルドらしき建物が見えて来る!…
するとその玄関の前では何故か皐月とクロエが立って居る訳なのだが…負傷した
マサツグの姿を見つけるなり途端に酷く青褪める様な表情を二人揃って浮かべて
見せると、慌てた様子で指示を飛ばす!…
__……ッ!?…スウウゥゥ!!…
「救護兵急げ!!…急患だ!!!…何としてもマサツグを死なせるな!!」
「マサツグ様ご無事で!?…ッ!?…あぁ、酷いお怪我!!…
歩けますか!?…もう少しの辛抱です!!!…」
「ッ!?!?…ア、アンタ?…偉くVIP待遇を受けて居るんだな?…」
「…望んだ訳では無いんだがね?…」
クロエは大きく息を吸うなりギルドへ向かい救護兵を呼び!…皐月は皐月で
駆け寄って来るなりマサツグの心配!…その際色々と状態について尋ねると
傷の具合も確認し!…マサツグにエールを送りつつすかさず肩を貸し始め!…
魔法使いの人と代わる様にしてマサツグの応急手当てに入り出すと、その肩を
貸してくれている者も戸惑った様子で声を掛ける!…ギルドの職員から手厚い
看護!…それはそうそう見れるモノでなく!…マサツグとしてもその質問に
対して苦笑いをして見せ!…とにかく色々と担がれる様にしてギルドの中へと
入って行くと、そこでまずは治療を受けているオリハの姿を見つける!…
__カランカラァン!…ワイワイ!…ドヨドヨ!…
「……ッ!!…オリハ!!…お前その状態!!…」
「ッ!…兄さん…いやぁ…ちょっと無茶しちゃったよね?…」
「む!…無茶ってお前!…一体何をしたらそんな事になるんだ?…」
まずギルドに入るとそこで慌てる冒険者達や負傷した者達でごった返して居る
光景を目撃する!…そして勿論の事救護兵もギルド内を右往左往しては慌しく
看護!…その看護されて居る者達の中でベッドに横になって居るオリハの姿を
偶然見つけ!…マサツグが気が付いた様子でオリハの名前を呼び出すと、
オリハもピクっと反応してはマサツグを見つける!…その際自身の状態について
簡単に無茶をしたとだけ苦笑いしながら話して見せると、マサツグはその
オリハの状態に驚き戸惑い!…と言うのもオリハの体…皮膚は若干紫掛かっては
まるで全身が青痣の様に!…変色しては異様な状態になっており!…オリハと
しても!…中身の人間の方も大丈夫なのか!?と心配をして居ると、マサツグは
連れて行かれる様にベッドへ連れて行かれる!…
「…すみませんがもう少しお付き合い願えますか!?…
マサツグ様をこちらに!!…」
「ッ!…へ?…あっ…あぁ、了解した!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「一二の三でお願いします!…では!…一二の三!!」
近くの空いているベッドへ連れて行くよう皐月が声を掛けると、その問い掛けに
助けてくれた者も若干困惑!…それでも皐月に返事をするとマサツグをそのまま
ベッドへ連行して行き!…ベッドの前に辿り着いた所で皐月から更に的確な指示を
受けると、息を合わせる様にマサツグをベッドへ寝かし始める!…宛らその時の
皐月はまるで本物の医者の様!…真剣な眼差しそのもので!…するとマサツグも
マサツグでベッドに寝かされた事で驚き戸惑い!…何なら迷いのないスムーズな
動きを見せる皐月に動揺を隠せないで居ると、更にそこへモツとアヤがギルドに
戻って来る!…
__カランカラァン!…ワイワイ!…ドヨドヨ!…
「…はああぁぁ~…やっと着いたぁ~!…
もう体がバキバキ!…って、ヤブゥ!?…」
「ッ!?…マ、マサツグ!!…貴方その怪我は!!!…」
道中散々モンスターに追われた様子で!…とにかく無事に安全圏へ辿り着けた事に
モツが安堵した様子で言葉を漏らして居ると、たまたま偶然ベッドに寝かされて
いるマサツグの姿を見つけてしまう!…この時入った所からではあまり良く状態は
見えないのだが、Tシャツの半分が赤黒く染まって居る事でモツは戸惑い!…
何ならモツの隣でアヤも気が付いたよう驚き戸惑った様子で反応して見せ!…
その赤黒く染まったTシャツを見て何が有ったのか!?…何なら怪我をして居ると
判断した様子で声を掛けると、マサツグもその問い掛けに対して苦笑いをする!…
「ッ!…い、いやぁ~…ちぃ~っとばかし無理をしてな?…」
「いや無理をしたって!!……ッ!?…オ、オリハァ~~!?!?…」
「……い、いやぁ…ちょっと無茶しちゃって…」
「兄妹揃って同じ戸惑い様に答えようをしてるんじゃないよ!!!…
…とにかく!!…少しジッとしてろ!!!…その調子だとあの城を落とすのは…」
宛ら先程見つかった時のオリハと一緒の反応でマサツグは返事!…するとそんな
マサツグの返答にモツも先程のマサツグと同じ様に戸惑って見せ!…マサツグに
何が有ったのか?を尋ねようとすると、ふと視界に何かを映し…それが気になった
様子で旋回!…そこで同じ様に負傷して居るオリハの姿も見つけてしまい!…
更にモツが驚いた様子で戸惑った反応をして見せると、思わずオリハの名前を
叫んでしまう!…するとオリハはやはり先程と同様戸惑った様子で言い訳を口にし
始めると、モツから視線を逸らし!…だが逸らした所でモツからのツッコミは当然
飛び出し!…二人揃って負傷して居る事に!…今日はもう無理だなと言った具合に
話しを纏めに掛かろうとして居ると、そこへ更にもう一人が帰って来る!…
__カランカラァン!…ワイワイ!…ドヨドヨ!…
「…ッ~~~~!!!!…だっはああぁぁぁ!!!…シンドォ~!!…
何やねんこの有様はぁ~!!…もう瘴気は全部晴れた様なモンやろ!?…
何でまだあんなウヨウヨと!!……って、マサァ~~!?!?…
おま!…何やねんそのナリはぁ~~!!」
「ッ!…い、いやぁ~…ちぃ~っとばかし無理をしてな?…」
「いや天丼してんじゃねぇよ!!…とにかく!…
ライザもお疲れ!…少し話が…」
まるで嵐が帰って来たが如くライザが帰還!…この時やはりモツ達同様相当数の
モンスターを相手にして来た様子で、酷く草臥れたと!…その際ただ草臥れたの
言葉に終わらずモンスター達に対して文句も漏らし!…更には先程からの流れに
乗っかるよう負傷したマサツグの姿をチラッと見つけると、やはり驚き戸惑った
様子でマサツグの名前を叫び出す!…そして歩み寄るなりマサツグに何が有った
のか?を聞き出し始めると、マサツグはやはり先程と同じ様に苦笑い!…となると
そこへモツが呆れた様子でツッコミを入れ出し!…ライザに一度落ち着く様に
話しが有ると口にすると、更にそこへまた仲間達が帰還する!…
__カランカラァン!…ワイワイ!…ドヨドヨ!…
「…フゥ~!!…シロちゃんが居て助かったぁ~!!…
あのままだと飲まれてたわ!…」
「……ご主人様は大丈夫……ッ!?…ご、ごしゅじんさまぁ!?…」
まるで空気を読んだようモツの話を遮った具合に!…今度はレイヴンとシロの
二人が無事にギルドへ帰還すると、比較的楽だったかの様に振舞い出す!…
その際それもこれもシロのお陰!…と言った具合にレイヴンが感謝の言葉を
口にして居ると、シロはシロでマサツグの心配をして居り…だがギルドに入って
早々にマサツグの匂いを嗅ぎつけた様子で!…ふと何かに気が付いたよう顔を
上げるとそこでマサツグを目視!…その際Tシャツの半分が赤黒く染まって
居る事でシロは慌て!…マサツグの事をとにかく心配した具合に今にも駆け
出さん勢いを見せて居ると、マサツグもマサツグで返事をする!…
「ッ!……い、いやぁ~…ちぃ~っとばかし無理をしてな?…」
__バシュン!!!…ドゴオオォォォォ!!!……ッ!?!?!?……
「ッ!!!…ザクレロォォ!!!…」
「うえええぇぇぇぇぇぇん!!!…ごしゅじんさましんじゃヤですぅぅ!!!!」
もはやテンプレになりそうな感じで…マサツグも無理に上体を起こすと懲りずに
先程と同じ様に苦笑いをしながら言い訳を…だがそれがいけなかったとばかりに
次には天罰が!…シロは思いっきりマサツグに向かい飛び出して行くとマサツグの
腹部目掛けて着弾!…その際マサツグをヘッドボードに叩き付けるよう!…
何なら圧し折らん勢いにマサツグの腹部へと飛び込んで行くと、マサツグは座り
ながらにくの字に折れる!…この時どうやってもそうはならんだろうと言った
具合に聞き覚えの有る名前を悲鳴にするのだが、とにかく驚くはそのシロの感情の
高ぶり具合で!…マサツグの状態を見た上で更に生きている事に安堵して見せ、
だがこれから起こりそうな事に対して不安を抱くよう!…シロは泣きながらに
マサツグへ死なないで!と訴え続け、更には頭をグリグリ!…これにはその場の
全員が慌て出すと急ぎ止めに入り!…マサツグが逝ったのではないか!?と
心配をして居ると、案外しぶといのかまだ生きている事に安堵するのであった!…
さてシロを一旦落ち着かせた所で本題に戻る!…現時点でマサツグとオリハは
負傷状態!…その他のメンバーも酷く疲弊しており!…何なら既に日は落ち夜を
迎えそうになって居り、現状これ以上の作戦行動も取れる筈も無く!…
マサツグも治療をされた所で漸く落ち着きを取り戻し…後日改めて攻城戦の
作戦を練る事に決定すると、今日はギルドに泊まる事で一致する!…さてその後
何事も無く次の日を迎える事に成功すると、早速攻城戦の話で色々と話し合いが
されようとするのだが!…
__チィ~ン……
「……昨日から気絶したままかよ!…」
「そりゃそうだろ?…ただでさえ結構な深手を負っているのにアレだぞ?…
寧ろ生きている事の方が驚きだわ!…」
「…ご主人様ぁ~…起きてぇ~…」
肝心の話し合いをしようにもマサツグは今だ気絶状態!…ただ死んだようベッドに
横になるとピクリとも動かず!…何なら白目を剥いては諸意識が飛んで居る様子を
見せて居た!…そしてそんなマサツグを囲む様にしてメンバーも集まって居ると、
まだ気絶しているマサツグの状態に苦笑いをし!…モツも戸惑った様子で言葉を
零すと、そんなモツの言葉にレイヴンがツッコミ…シロはシロで今だ心配そうに
マサツグの腹の上で横になり、マサツグの頬を突きながら早く起きるよう声を掛けて
居ると、話が進まない様子を見せて居た!…するとそれならいっそ気付け薬でも
使うか?と言った具合にライザが自身のアイテムポーチを弄り出すのだが…
__……スッ…ッ!…
「…オリハ?…何やもうえぇんか?…
お前もそこそこヤバかった様に思ったんやけど?…」
「一日あれば大抵は直せます!…
それにそんな物を使わなくても兄さんを起こす方法なら…」
「ッ!…え?…」
気付け薬を取り出そうとするライザにオリハは徐に腕を伸ばし…必要ないと言った
具合に首を横に振って見せると、当然そんなオリハの様子にライザは戸惑う!…
その際もうベッドから起きて歩いているオリハの具合に心配をすると、調子を
確かめるよう声を掛けるのだが…オリハはライザに大丈夫!と返事をすると笑顔で
返し!…それこそ獣人ならではの回復力なのか、一日で治った!と豪語すると、
更に続けて話をする!…何でも薬を使わなくともマサツグを起こす方法が有るとか
らしく!…勿論そんな話をされた事でライザは戸惑い!…思わず興味を持った
様子で一言だけ言葉を漏らし…一体何をするのか?とオリハの事を見て居ると、
オリハは徐にマサツグの頭元へと移動する!…
__コッ…コッ…コッ…コッ……スッ…
「……ジィ~ク?」
__ッ!!…ガバァ!!!…きゃああああぁぁぁ!!…ガッシ!!…
「ジ○ン!!!」
__……ブシュウゥ!!!…サアァァ!!……ッ!?!?…
オリハはマサツグの頭元に移動するとスッと屈み…そして徐にマサツグの
耳元に口を近付け出すと一言!…何処かで聞き覚えの有る掛け声を口にする!…
それは某・総統閣下で有ったり何だったりと色々と使われている言葉であって、
マサツグの場合は某・機動戦士の敵軍の掛け声であり!…それを耳にすると
マサツグはハッと覚醒したよう突如飛び起きるなり片手を挙げて宣誓し始め!…
その際シロもマサツグが突如飛び起きた事で驚き戸惑うと、慌ててマサツグの
体にしがみ付く!…そして一体何が何だか!?と言った具合にシロが飛び起きた
マサツグにしがみ付き続けて居ると、次には閉じていた傷口がまた開いた様で!…
宛ら漫画の様に脇腹から出血!…するとマサツグの顔はみるみる青褪め!…すると
それを周りで見ていた仲間達も最初は驚いた反応を見せて居たのだが、次にそんな
マサツグの様子を見て途端にまた慌てた様な反応を見せると、衛生兵を呼び出す!…
「え、衛生へぇ~~~い!!!」
「この馬鹿!!!…何命を掛けたボケをかましてんだ!!!
とにかく落ち着け!!!」
「……ね?…起きた。」
「起きたじゃねぇんだよ!!!…早くマサツグを寝かせろ!!!」
アヤが慌てて衛星兵を呼びに行くと、レイヴンも戸惑った様子でマサツグに
ツッコむ!…その一方でマサツグは動けないのかシロをくっ付けたまま直立
不動になってしまい!…そんな様子にオリハも起きたと言葉を口にすると、
自慢げな表情を見せてはモツにツッコまれる!…さて朝からこんな風にテンヤ
ワンヤとして居ると、そこへ割烹着姿の皐月がやって来て…そのマサツグが
出血している姿を見て驚き戸惑い!…急ぎ駆け寄って来ては医者の如く治療に
当たり出すと、まずはマサツグを寝かせに掛かる!…
「っ~~♪……ッ!?…マ、マサツグ様!?…な、何を!?…
と、とにかく安静に!!…それと傷口を見せて下さいまし!!」
__スッ…ゴロン……ッ~~!!!…
「……まだ幸いそこまで酷く開いた訳では無さそうですね!…
ふぅ~…ッ!!…もう、安静にして居て下さい!!…
ちょっと縫いますので我慢してくださいね!!」
__チャッ!!…チイィィ……シュパパパパパ!!!…
マサツグをベッドに寝かせるとすぐさま傷の具合を確認!…その際然程深くは
開いて居ないのか、まだ傷口が軽傷で済んで居る事に皐月もホッと安堵して
見せると、次には表情が変わって怒り出す!…勿論怪我を悪化させかねない
状態にした事でムッと頬を膨らませ!…マサツグに落ち着くよう文句の言葉を
口にすると、その懐からソーイングセットを取り出し!…そしてマサツグに
今から縫うとだけ言うと、近くの明かりでその針を熱し!…既に糸は通して
有るのはそのまま針でマサツグの脇腹を縫い始め!…それもいとも簡単に!…
何なら手慣れた様子で瞬く間に縫い上げて見せると、マサツグの脇腹の止血を
施して見せる!…
「ッ!?…スゴ!?…ってかこれなら医者も出来るんじゃ!?…」
「……さすがにそれは…あくまでも応急手当程度ならです!…
それに縫物は普段からして居ますので…」
「いやただ縫物をして居るだけでここまでの事は出来んと思うが?…」
ものの数秒!…苦痛に声を上げさせる事無く縫い上げると糸を切り…
もう一度ガーゼやテーピング等を施すと、その皐月の手際の良さにモツが
感心した様子で驚く!…それこそ本物の医者になれるのでは!?と皐月に
声を掛けるのだが、皐月は謙遜した様子で否定…あくまでも応急処置だけ
と答えるとその理由に縫物を挙げ出し…さも縫物が得意なだけと言った風に
笑ってモツに返事をすると、モツはモツでその返答に戸惑って見せる!…
さてそうしてマサツグの止血が終わった所でまた落ち着くのだが、まだ
お説教は終わってないらしく!…
__カッカッカッカッカッカッ!!!…
「……ッ!…ギルマス!…どうし?…ッ!?…」
__ズオオォォ!!!…パアアァン!!!……ッ!?…
「この大馬鹿者共!!!…今は黙って休んで居ろ!!!…
…幸いまだ敵からの侵攻は見られないものの!…
攻撃の要である貴様達がそんな調子で如何する!?…
それにマサツグ!!!…貴様は深手負いなのだ!!!…
無理をするでない!!!…全く!!!…ジッとはして居られないのか!?…」
突如何処からともなくヒールの音が!…それはこちらに向かい近付いて
来て居る様で…マサツグ達も気付くなりその音の聞こえる方へ視線を
向けると、そこで何やら紙切れ一枚を持ったクロエが近付いて来る光景を
目にする!…その際その後方にはアヤが呼んで来たであろう衛生兵達が
連なるよう歩いて来ており!…マサツグに向かい一直線に歩いて来ると、
クロエは突如マサツグの顔に向かって張り手を突き出す!…この時その
持っていた紙切れをマサツグの額に張り付けるよう繰り出すと、次には
モツ達を巻き込んでの大説教!…当然モツ達は心の中で自分達は関係無いのに…
と嘆き出し、その当本人であるマサツグも一体何を張られたのか?と
違う事を気にした様子で戸惑って居ると、クロエは一通り説教を終えた所で
帰って行く!…
「……とにかく!!…貴様は絶対安静だ!!!
むやみやたらに動き回ろうとするな!!!…いいな!?」
__カッ…カッ…カッ…カッ……ピラン…
絶対安静!!!
「……ブフッ!!…今のヤブには丁度良いかも知れんな?…」
「……え?…」
最後に念押しをする様にマサツグへ言い聞かせるとクルっと振り返り!…そこから
自室に帰って行くようクロエが一人戻って行くと、全員がマサツグに張られた紙に
目を向ける!…するとそこには余程心配をして居たのだろうか、A4サイズの紙に
デカデカと絶対安静!!!の文字が!…しかしこれはマサツグからだと何が
書かれて有るのかが分からず、ただキョンシーの様に額に張り付けたままにして
居ると、それを読んだ面々が噴き出し笑う!…その際モツが丁度良い!と言った
具合に言葉を口にすると、マサツグは当然の如く戸惑い!…とにかくアヤが連れて
来た衛生兵達にも傷を見て貰い、大丈夫と言った判断を貰った所で改めて全員が
揃うと、漸く元の本題へと入り出す!…
「……で!…残るは城なんだが?……如何思う?…」
「…正直な所を話すとキツイな!…
マサツグもこの調子だと満足には動けないし!…カバーするにも人が居る!…
他の戦力に期待するしか!…」
絶対安静!!!の文字が書かれた紙をそのままに!…マサツグが指揮を取る様に
話しを切り出すと、モツが現時点で思って居る正直な所を話し出す!…その際
厳しいと思って居るのか腕を組みながら悩む様な表情を見せると、簡単にキツイ
と言葉を口にし!…その理由にマサツグが負傷して居る事やそれをカバーする
にも人が居ない事等!…とにかく自分達だけでは無理と言った様子で話しを
進め!…やるなら外部からも人が要る事を口にすると、更にライザがもう一つ
有るとばかりに参加をする!…
「…オマケに妖怪共を従えとったんやろ?…
まぁ俺んとこで相手しとったんは違ったけど…
とにかくレイヴンの所で「鵺」に「雲外鏡」!…
モツ達んとこでクソ程馬鹿デカい鬼!…
確か妖怪を使役するんって何か特殊な条件が有ったよな?…
…それ無しで従えて来るあたり…
何かデカいのが更に後ろで隠れてそうな?…」
ライザが気にしたのはその街を襲って居たモンスターの大半が妖怪系で有った
事で、それらを従えるにも条件が有ったと!…しかしそのモンスター達からは
そう言った使役等の様子が全く見られず!…だが統率の取れた動き!…それら
野良には不自然過ぎる様子が伺えた事を口にすると、当然の様に疑問を持つ!…
更にはレイヴン達が対峙した大妖怪にモツ達が対峙した鬼と!…やはり普通では
そんな化け物がただ単純に瘴気が湧いたからで襲って来たと言うには可笑しく!…
もっと違う何かが潜んでいる様に感じられ!…ライザがその正体について何か
考える様な素振りを見せて居ると、更にレイヴンが参加をする!…
「ッ!…あっ!…その事で一つ気になる事が!…
俺の方で相手をして居たクソ鏡が気になる事を!…」
「ッ!…気になる事?…」
「あぁ…そいつらも何か目的が有って動いてたみたいで…
我ガ主様ノ復活ヲ邪魔スル凡愚ヨ!!…って煽って来たんだよなぁ?…
…で、考えたくも無いんだが?……ね?…」
__……あぁ~?……
ライザの話をきっかけにレイヴンが思い出した様子で!…その大妖怪達と
対峙している際、余程鏡に対して恨みを持って居るのか!…雲外鏡の事を
クソ鏡と言い出すと、気になる事が有ったと口にする!…するとその
レイヴンの話で全員が食い付き出すと、視線を一点にレイヴンへ向けられ!…
だがレイヴンはレイヴンで全く怯まず!…ただ淡々と何か意味深な事を
言われたとだけ!…何ならその言葉で煽られた事を口にして見せ、何か更に
覚えが有る!…と言うよりも展開が分かった様な感じで言葉を濁すと、
周りの仲間達も気が付いた様子で言葉を濁す!…それは恐らく一番面倒な
相手で、マサツグとしては今の所パーフェクト!…その例に漏れず会えそうな
事に全員が嫌な表情を浮かべ!…何とかならないのかなぁ?…等と考えて
居ると、遂にはその時が訪れる!…
__……ピコォ~~ン!!…ピコォ~~ン!!……ッ!?…
〈…緊急通達だ!…遂に敵の方が動き出した!…
まだ進軍等の動きは見られないものの!…
秋雲城が突如として深い瘴気に包まれ始めた!…
これは明らかな異変であり!…敵が何かをして来る前触れだと思われる!!…
…至急動ける冒険者諸君は陣を組み臨戦態勢!…怪我人は避難を!!…
繰り返す!!…〉
「……如何やらもう悩んでいる暇も無さそうだな?…コンチクショウ!…」
「……はあぁ~…何でこうなるのやら?…何か悪い事でもしたっけか?…」
__……はあああぁぁ~~~……
突然の館内緊急アラームに全員が驚き!…その放送に耳を傾け始めて居ると、
その放送からはクロエの声が!…その声は若干慌てた様子で聞こえると館内に
居る全員に詳細を伝え!…動ける者は臨戦態勢!…怪我人は逃げる様に放送を
すると、以降同じ様に連絡をする!…するとその一連の放送を聞いてマサツグが
諦めたよう言葉を口にすると、全員が一気に脱力し始め!…モツに至っては
何か嘆く様な言葉を口にし、それに同調するようレイヴンやアヤが項垂れ!…
ライザやオリハはそんな面々の様子を見て驚き戸惑い!…最終的に揃いも揃って
全員が大きく溜息を吐き出して居ると、シロだけは首を傾げて不思議そうにする
のであった!…
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【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
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そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
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ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
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幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
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※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
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『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
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スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
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