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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章六十五節 暴れる狂人と狂人の道具と狂人の最後-

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まさかの反撃でマサツグは負傷し!…鹿之助は鹿之助でこれを好機!と受け取る

と、嬉々として笑っては天を仰ぐ!…それこそこれでマサツグの事をジワジワと

嬲り殺しに出来る!と言った様子で笑い続けると、マサツグも止まらない出血に

ただ傷口を押さえては苦痛の表情を見せ!…それでも頭の中で如何するか?と

まだ諦めて居ない様子で必死に思考を駆け巡らせ!…とにかくこいつにだけは

負けたくない!と言った感情を見せるよう!…歯を食い縛り現在の状況から確認

し出すと、鹿之助は上機嫌の様相を見せて居た!…


「ハァ!…ハァ!……ツッ!!…ッ~~~!!…」


{……クソ!!…マジで痛ぇ!!…これは間違い無く[出血]状態!…

…確かコイツは…自然回復が無くなる上に徐々にスリップダメージだったか!?…

更に面倒な事になった!……で、さっきのあの金属を殴った様な感じ!…

アイツ体を硬化させる事も出来るのか!?…

だとすると如何やったら倒せるって言うんだよ!!…}


「クハハハハ!!…辛ソウダナァ!!…苦シソウダナァ!?…

…ダガ俺様ハソレ以上ニ辛イ!…苦シイ思イヲシテ来タンダヨォ!!…

タッタ一度ノ敗北デダ!!…ソレモ!!!…オ前ナンゾニ負ケタセイデ!!!…

…ソレコソ負ケルマデハ誰モガ俺ヲ認メテイタ!!!…

俺様ガ道ヲ歩イテ居タラ誰モガ道ヲ開ケル程ニ!!!…

ドイツモコイツモ面白レェ位ニビビッテテヨォ!?…

気分ハ一国一城ノ殿様ダッタッテノニ!!!…」


自身の右脇腹からは今だ出血が止まらず!…何なら鹿之助が目の前に立って

居る事で治療もままならない状態で!…自身の体力が減って行く感覚を覚え

ながら!…先程大剣が弾かれた原因について腕が硬化した!?と戸惑った

様子で考えて居ると、鹿之助は笑いながら煽り出す!…それこそ苦しむ様子

を見て最初は嬉々とした具合に言葉を口にするのだが、ふと次には何かを

思い出した様子で徐々に表情は急変!…それはまるで恨みを持ったかのよう

凶悪な表情に変わって行き!…マサツグに対して今まで自分が味わって来た

であろう苦痛を!…さもマサツグのせいで奪われたとばかりに文句の言葉に

してマサツグに訴え始めて居ると、マサツグもその言葉を聞くなり笑って

見せる!…


「……フッ!…小せぇな?…」


「ッ!?…ナニィ!?…」


「…今まで避けられてたって事に気付かず天狗になって?…

それが無くなった途端に人のせい!…

てか、自分がして来た事に対して反省の色も無し!…

…つくづく残念な奴だなお前?…」


まるで鹿之助の事を小馬鹿にするよう噴出すとマサツグは一言呟き!…すると

マサツグの一言に鹿之助もすかさず反応して見せ、さも噛み付く様にギョロッ

とその目をマサツグの方へ向け!…一体如何言う事か!?と言った具合に睨み

始めると、マサツグは睨まれて居ようが関係無く言葉を続ける!…その際口に

したのは哀れ…とばかりに笑った言葉で、鹿之助に自業自得と突き付け!…

今の反応は今まで自分がして来た事の帰ってきた状態であり!…それを人の

せいにする事しか出来ない自分は!…本当に滑稽!とばかりにマサツグが

嘲笑うよう言葉を口にすると、鹿之助もそれを言われた事で怒り始める!…


「ッ!?…テメェ!!…」


「事実だろ?…テメェがやった事に対して責任も取れねぇ半端モンに!!…

一体誰が好き好んで付いて来るって言うんだよ!!…

寧ろ今のお前の姿はそれが当たり前の状態なんだよ!!…

そんな事も分からねぇからお前は!!…

そうして一人になってるんだろうがよぉ!!!」


「ッ!?!?…黙レ黙レ黙レエエェ!!!…ッ~~!!!…ッ~~!!!…

…アノ時ハ俺ガ地面ニ這イツクバッタガ……」


__チャキッ!!…スウゥ!!…


「今度ハオ前ノ番ダ!!!!」


それは鹿之助自身も分かって居るからこの反応なのだろうか?…とにかく

マサツグの言う言葉に過剰な反応を露わにすると、より一層ギッと睨み!…

歯を食い縛ってマサツグに威嚇する様な素振りを見せるが、マサツグは

それでも煽る事を止めず!…寧ろ説教染みた具合に情けないと言った言葉を

続けて口にし続けると、遂には我慢の限界か鹿之助がブチ切れる!…その際

息を荒げマサツグの話を掻き消してしまうと、問答無用で刀を構え!…

そこから徐々に構えを解く事無くマサツグの下へと近付き出し!…今度こそ

止めを刺す!…そう言わんばかりにマサツグへ最後の言葉を口にすると、

マサツグもそれに合わせて身構えて見せる!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ジャキンッ!!…


{…恐らくはただ真上から振り下ろすだけの攻撃!…

てかあの刀も良く折れないな!?…

普通あんな振り回し方してたらポッキリ行くモンだが…

相当固いみたいだな?……とは言え!…久々に不味い状況!…

…下手するとライモンドかバルデウス以来か?…}


刀を右手に握るとさも蛮族の様に!…もう構えと言ったモノは何処にも無く!…

と言うよりも最初からなかったか?…ともかくマサツグに対して自身の頭上より

刀を高く掲げて見せると、マサツグもそれに合わせて大剣を構える!…それこそ

動ける状態では無い物の、正眼に大剣を構え!…鹿之助の構えから大体の攻撃!…

動きを把握して見せ、その際その鹿之助の持っている刀の強度にも驚いた反応を

見せて居ると、ふと自身が苦戦して居る事に気が付き始める!…その際自分が

こうして苦戦して居るのはいつ以来か?と考えると、少しではあるが心に余裕を

持ち!…その一方で正論をぶつけられた鹿之助からは余裕が見られず!…ただ

怒りに身を任せるまま!…マサツグに向かい息を荒げながらその掲げた刀を

振り下ろそうとすると、物騒な言葉を口にする!…


「ッ~~!!!…ッ~~!!!…ブッコロシテヤル!!…ブッコロシテヤル!!…

ッ~~~~!!!…シネエエエエェェェェェェェ!!!!」


__フォン!!!…ッ!!…ガキイイィィン!!!…


「ッ!?…何抵抗シテンダヨォ!!!…サッサト死ネヤァ!!!」


「ッ!!…死ねって言われてそう簡単に死ぬ奴が!!!…

居る訳ねェだろうが!!!…このスカタンがあぁ!!!」


物騒な言葉を口にすると同時に刀を大きく振り被り!…マサツグもそれに合わせて

大剣で受け止めるようガードを固めて見せると、次にはその振り被った刀は大剣を

襲う!…すると辺りに激しい金属同士がぶつかる音が反響すると、鹿之助も

戸惑った様子で若干驚き!…だが次にはスッと元の怒りを覚えた様子に変わって

行き!…ガードを固めたマサツグに対し!…更に怒りを覚えたよう文句の言葉を

口にすると、マサツグもマサツグで文句を言う!…するとそこからの鹿之助は

まるで子供の様に自棄を起こすと、相手がガードして居ようが関係無いと

ばかりに!…


「ッ!!!…ウガアアアアァァァァァァ!!!!」


__フォン!!!…ガキイィン!!!…ガキンガキンガキンガキン!!!…


「ッ!?…ここでラッシュかよ!?…

完全に怒りで自我が飛んだってか!?…この野郎!!!…」


「クタバレェ!!!…シネェ!!!…ブッコロサレロオォ!!!」


ガードを固めているマサツグに向かい滅多打ち!…もはや形振り構わない

様子でただ一心不乱に刀を振り!…するとこれには受ける方も受ける方で

戸惑ってしまい!…ただ耐える様にして鹿之助がラッシュを仕掛けて来た

事に文句を言うよう言葉を零すと、更に動けず仕舞いになってしまうので

あった!…その際ラッシュを繰り出す鹿之助の方はと言うと、完全に

怒りに自我が飲まれた様子で!…ただただ物騒な言葉を口にしては刀を

振り下ろしに下ろし続け!…無限にTPが有るとばかりにマサツグの大剣に

向かい蛮行を続けて居ると、マサツグとしても若干の焦りを覚え出す!…


{ッ!!…ヤバイヤバイヤバイ!!!…如何する!?…

このままジリ貧待った無し!の状況は非常にキツイ!!…

何ならTPの概念が有るのかって位にめっちゃ攻撃して来る!…

かと言ってカウンターはあの通り無駄だし!!…

何かきっかけが無い限り攻撃に打って出るのは!?…}


__……スウウゥゥ……


{……ッ!…あれ?…瘴気が薄くなった?……ッ!!…

アイツら!!…やりやがったなぁ!!…これでこっちも少しは!!…}


絶え間ない猛打にマサツグも参り、このままではヤバいと!…とにかく色々と

疑問が出来てはマサツグも頭の中で混乱し始め!…奇策を考えるが鹿之助の

あの状態ではどれも有効打にならず!…とにかく何かきっかけを見つける事が

出来ないかと辺りに注意を払って居ると、ふとある事に気が付く!…それは

町全体の瘴気が薄くなった様に感じた事で、少しばかり呼吸がしやすいと!…

するとマサツグもハッと気が付いた様子でモツ達がやった!と感付き出し!…

マサツグとしてもこれで少しはTPの回復を図り易くなったと!…反撃の機会を

伺えるのでは!?と考えて居ると、更に鹿之助の身にある事が起きる!…


「ッ~~!!!…ッ~~!!!……ッ!?…グッ!!…ウゥッ!!…」


「ッ!?…苦しんでる?…」


「ッ~~~!!!…チッ!…瘴気ガ…薄イ!……体ガァ!!…」


「ッ!?…チャンス到来いいぃ!!!」


その機会は突然に!…鹿之助は依然としてガードを固めるマサツグへ向かい

猛打を振るうのだが、突如として怯む様な挙動を見せ!…するとそれに合わせて

猛打にも乱れが生じ始め!…マサツグもそれにハッと気が付いた様子で鹿之助の

状態を確認しに掛かると、そこで何やら苦しそうな表情を浮かべる鹿之助の姿を

見つける!…その際鹿之助はマサツグの目の前でさも弱点を語るよう言葉を口に

すると、左手で喉を押さえ!…だが依然として今だ刀を振り続けようと身構えて

居り、一撃一撃に先程までの威力は無いもののガンガンと!…しかしその攻撃では

マサツグを押さえる事は到底出来ず!…まるでTP切れを起こした様に呼吸の乱れが

鹿之助の様子から見て取れると、マサツグもチャンスとばかりに打って出る!…


__スウゥ!!…フォン!!…ッ!?…


「 絶!!…天翔剣!!!」


__グオオオォォ!!!…ザシュン!!!……ッ!?…


「ッ!!…入った!!!」


マサツグは鹿之助が刀を振り下ろしてきたタイミングで動き出すと、すかさず

両手で大剣を握っては攻撃を躱し!…すると鹿之助も攻撃が空振りに終わった事で

大きく体勢を崩してしまい!…慌てて踏ん張り何とか前屈みの状態で踏み止まって

見せると、次には目の前からマサツグの大剣が迫って来るのを目撃する!…それは

まるで倒れそうになって居る鹿之助を助けるよう下から斬り上げられると、鹿之助

の股下から頭に向けて一直線に!…マサツグが放った斬撃は先程と打って変わって

鹿之助の体を斬ってしまい!…鹿之助自身も打ち上げられたよう宙を舞い!…

更には自身が斬られた事に驚き慌て!…同時に体から血が噴き出し、自身の体に

苦痛を覚えたよう戸惑った反応を見せて居ると、マサツグも攻撃が入った事を

確認しては追撃を放つ!…


__ジャキンッ!!…グオンッ!!…


「昇槌剣!!!」


__ズオオオォォ!!!…ザシュン!!!……ッ!?!?…


鹿之助を斬り上げた際マサツグも一緒になって宙を飛び!…そこから追撃を

放つ様にすかさず空中で大剣を切り返し構えて見せ!…今度は鹿之助を地面へ

叩き付けるよう!…一直線に鹿之助へ向かい大剣を振り下ろして見せると、

その攻撃は見事に最初斬った場所と同じ箇所を斬ってしまう!…それは言わず

もがな更に深く傷を抉る様に!…これはマサツグとしても意図的な物では無く

偶然そうなったもので!…すると鹿之助も更に斬られた事で途端に目を見開き

苦痛に顔を歪ませ!…そのまま抵抗なくマサツグに撃ち落されると、地面に

叩き付けられた際に血を吹き出す!…


__ゴオオオォォ!!…ズダアァン!!!…ブシュウゥ!!!…


「ッ!?…グハアアァ!!!」


「…っとォ!!…ッ!!…タタタタ!!……

ど、如何でぇ馬鹿野郎!!!…さっきに仕返しだぁ!!!…」


宛ら噴水か?と言いたくなる位に血を吹き出し!…これには鹿之助も堪らず苦痛の

声を上げてダメージを負った様子を見せると、その場で刀を握ったまま大の字に

なる!…するとマサツグも技を出し終えた所で遅れて地面に着地をすると、当然

無理をした事で脇腹からまた出血が!…これにはマサツグも痛い!と言った様子で

表情を歪ませ!…それでも鹿之助に対してしてやったり!…とばかりに声を掛ける

と、不敵に笑って見せる!…さてそうなるとこれでマサツグの方が盛り返し優勢に

なったかと思われる所なのだが、鹿之助は痙攣しながらも徐に体を起こし出すと…


__……プルプルプルプル……スゥ~~…ピイィィ!!…


「ッ!?…な、何だ!?…」


__バババッ!!…キキイィ!!!…


「ッ!?…さ、猿ぅ!?……ッ!?…

チッ!!…このタイミングで援軍とか有りか!!…」


鹿之助は上半身だけを起こすとマサツグを睨み!…そして突如軽く息を吸い

出したかと思うと、右手で輪っかを作るなり指笛を吹く!…すると当然この

一連の流れにマサツグも戸惑うと、一体如何言う事なのか?と言った具合に

警戒をするのだが!…警戒をした所で特段マサツグに何も無く、ただ何処から

ともなく見覚えの有る猿が二匹姿を現すと、その猿はマサツグの前に立ち

はだかる!…となると勿論これにはマサツグも困惑するのだが、次にはハッと

思い出した様子で!…言わずもがなその猿達は鹿之助のペットで、マサツグも

理解したよう援軍が来た事に慌てた様子を見せて居ると、次にはトンデモナイ

光景を目にする!…


__スウゥ……ドスゥ!!…


「ッ!?…なッ!?…」


__……ッ!?…キ、キキィ!!…キキキ!!!…ドスゥ!!…ッ!?…


それこそ援軍を呼ぶ為に猿を呼んだと思われたのだが…何を思ったのか鹿之助は

その呼んだ猿達を刀で突き刺し!…いとも簡単に殺してしまうと、マサツグを

驚かせて見せる!…するとこれには当然マサツグもその光景に絶句!…ただ目を

見開いては目の前の光景が信じられない様子で戸惑い!…刺された方は刺された

方でその一突きで絶命!…この時もう片方の猿も相方が刺された事に気が付いた

様子で!…鹿之助に何かを訴え出すよう身振り手振りでパタパタとして見せる

のだが、鹿之助は構わずそのもう片方の猿にも襲い掛かる!…その際やはり

一突きでもう片方の猿の命も奪って見せると、その刀にくし刺しにされた猿達の

体からは血が滴り!…更には何か猿達の体より野球ボール台位の白い球体が絞り

出るよう突如現れ!…それはまるで霊魂のようそのまま体を離れ昇天する様に!…

白い球と体が切り離されそうな光景をマサツグ達の目の前で見せて居ると、

鹿之助は更に狂ったようそれに喰らい付こうとして見せる!…


__……ポタッ…ポタッ……ズズズズズズ……アァ~ン!!…


「ッ!?…い、一体何を!?…」


__ガブゥ!!!…ブチィ!!!…クチャクチャ…クチャクチャ…


「ッ!?…く、食った!?……」


本来この様にまず斬った獲物の霊魂が見えると言った事は無いのだが…

それこそレイヴンみたいな特殊なキャラでない限りあり得ない筈なのだが!…

今回に限ってはマサツグの目にもその霊魂らしき物が見えて居り!…鹿之助が

その霊魂に喰らい付こうとしている光景を見て思わず戸惑いの声を掛けて居る

と、次には鹿之助がその霊魂を喰らい付き食べ始める!…それはまるで骨付き

肉に噛り付くよう喰い千切り、汚い咀嚼音を立て!…するとマサツグもそれを

見て更に戸惑い!…ただ何も出来ずにその猿の霊魂を喰らう鹿之助の様子を

見て居ると、鹿之助の身に有る異変が起き始める!…


__クチャクチャ…ゴクン!!…ゲフゥ!!……シュウウゥゥン…ッ!?…


「……チッ!!…全然物足リネェガマァイイ!!…

コレデ傷モ塞ガッタ!!……サァテ?…

驚カセテクレタジャネェカ!…英雄様ヨォ?…」


__スウゥ…フォン!!…ズシャアァ!!………


鹿之助の身に起きたある出来事!…それはマサツグが与えたダメージに諸影響が

見られるモノで!…先程まで出血して居たにも関わらず、その猿の霊魂らしき

物を食べた事で鹿之助の出血はスッと止まって更には傷を塞ぎ!…だが完全回復

するには少々物足りなかった様子で!…鹿之助自身物足りない!と言って

取り敢えず応急手当を済ませたとばかりに言葉を口にすると、次にはマサツグに

対して文句を言う!…その際刀に刺した猿達の遺体を捨てる様に一度刀を薙いで

見せると、猿達の遺体は無残にも地面に投げ捨てられ!…勿論の事をそこから

猿達が起き上がると言った様子を見せる事は全く無く!…ただマサツグとしても

それを見せられた事で!…何か鹿之助に対してどうしようもない程に怒りを沸々と

燃やし始めて居ると、ふとある質問が口から出て来る!…


「……なぁクソ野郎?…その猿はお前の仲間じゃなかったのか?…」


「ッ!…アァ?…」


大剣を片手にその投げ捨てられた猿達に視線を向け!…徐に口にした言葉と言う

のはその猿達が鹿之助にとって何なのか?と言う言葉であった!…その際

マサツグの体は怒りに震えるよう小刻みにプルプルと痙攣すると、更には大剣を

握る手にも自然と力が入り!…この時怒りに我を忘れるまで行かなくとも脇腹の

苦痛を忘れられる程で!…鹿之助ものその質問に対し!…何を言って居るんだ?

と言った具合に若干イラついた様な返事をすると、更にマサツグは続けて質問を

口にする!…


「…その猿達はお前にとって何なんだ?って聞いてんだ!…

お前のペットで有り…仲間じゃなかったのか?って聞いてるんだよ!!…」


「………ヘ!!…ナァニヲ言ッテンダコノ英雄様ハヨォ?…

コイツ等ハ俺ニトッテ!!…仲間デモ何デモネェヨ!!…

英雄様モ中々ニ面白イ冗談ヲ言ウモン!!!……」


__バシュン!!!!…ドゴオオォォォ!!!…


マサツグは苛立ちを覚えながらも再び同じ質問をする!…それこそ鹿之助に

とって大切な仲間なのでは無かったのか!?…そう問い質す様に!…しかし

鹿之助から帰って来た言葉は馬鹿にする言葉!…猿達は所詮道具でしか無く!…

仲間では無いと!…何ならその質問をして来たマサツグに対しても馬鹿に

するよう言葉を口にし!…それこそまた嘲笑う様に大笑いをして見せようと

すると、鹿之助が笑うよりも先にマサツグが動く!…それはもはや痛みなど

何処かへ消えた様子で突発的に突貫すると、鹿之助の腹部へ目掛けて横一閃!…

まるでかっ飛ばす様に大剣をフルスイングして見せ!…鹿之助も気を抜いて

居た所で諸に攻撃を貰ってしまい!…折角回復したダメージがチャラに!…

何なら更にダメージを負った様子でそのままマサツグにかっ飛ばされるよう

吹き飛んで行くと、苦痛の声も漏らして行く!…


「ッ!?…ダゴォ!?!?…」


__バシュン!!!…コオオォォ!!!…ドンガラガッシャアアァァン!!!…


「………ふぅ~…」


「……ッ!?…ッ~~~~!!!!」


吹き飛ばされた鹿之助はそのまま一直線に何かにぶつかるまで吹き飛んで行くと、

それらを薙ぎ倒した所で漸く止まり!…マサツグもマサツグでまるでホームラン

でも打ったかのよう!…フルスイングした状態で固まっており、その場で軽く

一息吐く様な様子を見せると、スッと元の大剣を構えるフォームに戻って行く!…

その際ホームランされた鹿之助もその薙ぎ倒した瓦礫に埋まるよう固まって居る

と、何が起きたのか理解が出来て居ない様子で!…だがそれでもマサツグに

やられたと言う事だけは分かった様で!…徐々にマサツグに対して怒りを燃やし

始めると、ガバッと起きるなりマサツグに向かい駆け出して行く!…


__ガバッ!!!…バシュン!!!…


「マアアァァサアアァァツウウゥゥグウウウウゥゥゥ!!!!!」


__ブオン!!!…ッ!!…グオン!!!…ガキイイイィィィィン!!!!…


「テメェ!!!…ヨクモヤリヤガッタナァ!?!」


それこそ韋駄天が如く駆けて行くと一直線にマサツグへ!…すると駆けて行くと

同時にマサツグへ向かい刀を大きく振り被り!…絶叫しながらマサツグの事も

呼び出し!…マサツグもマサツグでその飛んで来た鹿之助に気が付き!…互いに

その勢いのまま手に持った得物をぶつけ鍔迫り合いに発展すると、辺り一帯に

激しい衝撃!…及び衝撃音が響き渡る!…その際互いに一歩も引く事無くぶつかり

合うと、鹿之助はマサツグに対して文句を言うのだが!…マサツグはマサツグで

静かに怒りを燃やしており!…これ以上の戦いも必要ないと言った具合に攻めに

出ると、鹿之助を圧倒する!…


__ガギギギギギギ!!!…ギイィン!!!…


「ッ!?…ナ!?…」


__…ブンッ!!……ガッ!!…ズオオォォ!!!…ドシャアアァァァン!!!…


「ッ~~~!!!…ガハァ!!!…」


それこそ先程までの苦戦が嘘のよう!…マサツグはその鹿之助との鍔迫り合いに

勝つよう弾き飛ばすと、鹿之助を驚かせ!…その際鹿之助は弾かれた事で体勢を

崩し!…マサツグはマサツグで鹿之助の顔面へ向けて右腕を伸ばし!…そのまま

顔を掴んで地面に叩き付けるよう!…フェイスクラッシャー及び地面への叩き

付けまでの流れを淀みなく熟してしまうと、更に鹿之助を追い詰めて行く!…

勿論これには鹿之助も堪らず苦痛の声を漏らして見せると、マサツグは手を放す

なり鹿之助から距離を取り!…敢えて倒れている鹿之助に追撃を放つ事無く!…

ただ倒れる鹿之助に対して大剣を構え直す様な素振りを見せると、鹿之助は更に

ブチ切れた様子で起き上がる!…


「ッ~~~~!!!!…ジョウトウダゴラアアァァ!!!…

最終決戦ト行コウジャネエカァァァアアアアアアアア!!!!!!」


「………。」


「ッ~~~!!!…死ネエエエェェェェェl!!!

マァサァツゥグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ!!!!」


「……テメェ如きに呼び捨てにされる覚えはねぇ!!…」


もはや狂気乱舞!…怒りに我を忘れて吠えに吠え!…斬られた傷など御構い

無しにただ興奮し血をダラダラと流して居ると、マサツグもそんな鹿之助に

対して殺意を持つ!…それはゲスデウス以来の冷徹な殺意か、とにかく相手の

出方を伺う様に眼光を鋭く!…するとその一方で鹿之助はマサツグに対して

突きの構えで殺意を見せ!…大きく踏み込んでマサツグに向かい全身全霊の

突きを!…それこそ叫びながらマサツグに向かい突貫して行くと、マサツグも

そんな鹿之助に対してポツリと零す!…そして!…


__フォン!!!…グオオォォ!!…カッ!!…バキバキバキバキ!!!…


「ッ!?…ナ!?…」


{…バ、馬鹿ナ!!…俺様ノ刀ガ!?……イヤマダダ!!!…

マダ瘴気ハ辛ウジテ残ッテル!!…コレヲ吸収シテちからニ変エレバ!!!…}


__グオオォォ!!…ドシュウウゥゥゥ!!!!……ッ!?……


向かって来る鹿之助に対してマサツグも突きを繰り出し迎え撃つ!…するとその

攻撃は見事に切っ先同士からぶつかって行くと、鹿之助の持っている刀の方が

限界を迎えたよう粉々に壊れ始め!…その様子はさもスローモーションの様に!…

鹿之助の目にも映り不味い!と言った具合に焦りの感情を持たせるのだが、

鹿之助はそれでも諦めて居ない様子で力を使おうとする!…それはマサツグの

脇腹を抉るきっかけにもなった力であり、瘴気を吸収しようと!…だが次の瞬間

にはその力は使う事が全く出来ず!…そのままマサツグの大剣は鹿之助を貫き!…

鹿之助自身も能力が使えない事に驚き戸惑った反応を見せて居ると、ただ貫かれた

状態のまま硬直する!…


{……エ?…アレ?…何デ俺様…今コイツノ剣ニ貫カレテ居ルンダ?…

確カニ俺ハ瘴気ヲ吸収シヨウトシタ筈!!…時間モ有ッタ!!…

ナノニ!!…ナノニ何デ!?……ッ!?…}


__ボヤァ……


{……アレ?…コイツハ…誰ダ?…

確カ俺は…あのマサツグとか言う英雄と…}


体を貫かれた痛みより先に疑問が頭の中を襲う!…それは今なぜ自分はこの剣に

貫かれて居るのか?…自身の体を硬化させる事が出来なかったのか?と言う事で…

ただ戸惑いと疑問を感じあり得ないと言った具合に混乱に混乱!…その際ふと

何を思ったのかその視線をマサツグの方へと向け出すと、そこであるモノを目に

する!…それは体を貫かれたせいで視界がぼやけて見えて居るのだろうか、そこに

映って居るのは如何にもマサツグでは無い誰かであって…当然その者に鹿之助は

見覚えが無く!…また混乱するようこれは誰だと言った具合に息が絶え絶えに

なり始めて居ると、マサツグらしき者は鹿之助に対して言葉を呟く!…


「……大馬鹿野郎が!!…」


__ジャキンッ!!…ズッ…ズシャアァァ!……


「ッ!?…グバハアァァ!!!……ゲッホ!!…ゲッホ!!…

……何で…何でこうなってしまったんだ?…」


「………。」


「……太郎吉ぃ~…次郎吉ぃ~…

俺は!…俺は何処で間違えたんだ?……

俺は…もっと…もっと格好が良い何かに…

…なれたん…じゃ………」


ただ鹿之助に対して大馬鹿野郎と!…力に飲まれた者の末路と分かっては居る

のだが、後味が悪く!…それでも鹿之助を刺した事には何も変わらず!…

マサツグもそのままにしておく訳には行かないので!…自重だけで鹿之助を

地面に転がすようその体を大剣から抜いてしまうと、鹿之助は地面に転がる

なり吐血する!…その後は咳き込んで見せると後悔したよう言葉を口にする

のだが、マサツグは何も答えず!…ただ地面に転がる鹿之助に対して憐れむ

様な視線を向け!…すると鹿之助は今度は刺した猿達に向かい手を伸ばし

始め、また同じように後悔の言葉を!…だが当然それらを口にした所で猿達は

何も答えてはくれず!…それらを口にして徐々に鹿之助は衰弱して行くと、

遂には事が切れてそのまま亡くなってしまう!…そうしてそのまま光に包まれ

その姿を猿達と共に消して行くと、マサツグとしてもどうにもやるせない

気持ちになり!…ただ天を仰いでは何故か独りでに空しくなり!…とにかく

一度ギルドに向かう事を!…仲間と合流する事を考えると、思い出した様に

脇腹の抱えながら向かうのであった!…

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