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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章六十節 二度目のリッチ化と子供のシロと止まらない冒険者達-

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レイヴンが覚醒した様に別人に!…更に呼吸が突如出来る様になった事で

シロは戸惑う!…その際まだ腹を焼かれた鵺は藻掻く様に地面を這い!…

まだ立ち直れない様子を見せて居ると、雲外鏡はそんなレイヴンに慌てて

ふためく!…それと同時に何やら怒りを燃やした様子で言葉を口にして

居ると、レイヴンは雲外鏡を嘲笑い!…とにかく場面が急展開してシロが

状況に付いて行けないで居ると、その身に更なる異変を感じる!…


__……ッ!…チラッ?…チラッ?…


「……あれ?…目が…見える?…さっきまで暗かった筈?…」


シロの身に起きた異変とは!…それは特段何かヤバいと言ったモノでは無く

寧ろ良い兆候で…先程まで暗く濁った様にしか見えなかった景色が今では

ハッキリと!…突如クリーンに視界が見える様になった事でシロは戸惑い!…

なんで?…とばかりに首を傾げて居ると、ただ辺りの様子に目を向け始める!…

その際辺りの光景と言うのは最初に書いて有った文章の通りの状況で!…

シロとしても色々と判断に困る物であり!…何より視界がハッキリとし

出した事に一番の疑問を持ち出し!…ただ辺りの光景を見て戸惑った様子を

見せて居ると、レイヴンもそれをチラッと確認しては安堵する!…


__…あれ?…あれ?………チラッ?…


{……良かった!…あの様子だとこれで軽い瘴気中毒も抜けた筈!…

これで一応シロちゃんの心配はしなくて良い!……後は!…

さっきから人の事を虚仮にしてくれてるこの古ぼけた鏡と!!…

あのクソッたれ化け物を倒すだけだ!!…}


【グググ!!…貴様アァ!!…何処ニソノ様ナ妖力TPヲ!!!…

先程マデハチンケナ者デシカ無カッタ筈ト言ウノニ!!!…】


「……能アル鷹ハ爪ヲ隠ス……ナンテ言葉モ有ルダロウ?…

タダ全力ヲ出スノガ遅イ…或イハ出サナクテモ良イト感ジテイタダケダ!!…

貴様ニ文句ヲ言ワレル筋合イハ無イ!!…」


【ウグゥ!!…キ、貴様アァ!!……コウナレバァ!!…

自分ノ魔法ニ貫カレ!!…息絶エテシマエェ!!!】


レイヴンはシロの状態を理解して居た様子で安堵!…一先ずはこれでシロの

安全が確保出来た事で目の前の化け物に専念出来ると!…するとそんな

レイヴンに対して雲外鏡は今だ怒っては勝手に文句を言い出し!…やはり

見下して居る様子でその力について如何言う事だ!と言葉を続けて見せると、

レイヴンは逆に馬鹿にするよう返事をする!…その際ワザとらしく回りくどい

言い方で雲外鏡を馬鹿にすると、勝手にキレて居るのはお前だけだと!…

するとこのレイヴンの言葉に雲外鏡は更にブチ切れ!…感情の赴くままに

自身の鏡を揺らしてはレイヴンのダークブリンガーを放とうとすると、更に

奇妙な事を起こす!…


__ヴウン!…ボババババババ!!!……スゥ…


【…ッ!?…ナ!?…】


__ボババババババ!!!…シュウウウゥゥン!!!…


レイヴンはその場から一歩も動くと言った事はせず!…ただ雲外鏡の前に立ち!…

雲外鏡も雲外鏡で感情の赴くままにダークブリンガーを連射!…その影の剣は

一直線にレイヴンへ向かい飛来!…その体を貫こうとするのだが、レイヴンは

やはりその影の剣に対して回避行動を取ろうとしない!…それどころかその手に

持っている影の球を徐にその雲外鏡に対して若干掲げて見せると、次には吸収!…

次々に飛んで来る影の剣を影の球の中へと吸収して見せ!…それを目の当たりに

した雲外鏡も戸惑い!…思わず攻撃の手を止めてただその様子を見守る様に呆然

として見せると、レイヴンは遂に全ての影の剣をその玉の中へと吸収し切る!…


__シュウウウゥゥン!!!………シュポン!!…


「……フゥ…魔力TPヲ我ニ提供スルトハ…

…如何ヤラ余程ノ自信ガ有ルヨウダナ?…」


【ッ!?…コ、コヤツ!!…良イ気ニナリオッテ!!!…

…シカシ!!…我ノ攻撃ハ魔法ダケデハ無イ!!…

出デヨ!!…影の眷属!!…】


__ヴウン!!……モワアアアァァァ!!!…


雲外鏡が放つ影の剣を一度たりとも被弾する事無く!…ただその影の球の中に

その魔法を全て吸収し切ると、レイヴンはまるでコーヒーブレイクでもして居た

かの様に一息吐く!…その際同時に雲外鏡の事を馬鹿にするよう御馳走さま!と

言った言葉を口にすると、更に雲外鏡は激昂!…しかしさすがにそこまでは馬鹿

では無い様子で次の行動に打って出始め!…また自身の鏡を揺らしその鏡から

あの人の形をした影を召喚すると、レイヴンに差し向ける!…しかし!…


__モワアアアァァァ!!!……スッ…


「…所詮…鏡ハ鏡ト言ウ事ダ…」


【ッ!?…ナニィ!?…】


「貴様ガ出来ルノハセイゼイ反射ト複製!…シカシ我ノ様ニ吸収ハ出来ヌ!…

一方的ニ向ケラレタ魔法ヲ吸収シテ見セ!…

ソノ溜メタ魔力ヲ一気ニ返サレレバドウナルカ?…貴様ニモ分カルデアロウ?…」


レイヴンはその迫って来る影の者達を前にしても一切慌てる事無く!…またもや

影の球を若干掲げる様にして言葉を口にすると、雲外鏡を馬鹿にする!…もはや

それは今まで馬鹿にされて来た分を言い返す様に!…鏡は鏡と大した事が無い様に

呆れて言葉を口にして見せ、雲外鏡もそのレイヴンの言葉を聞いて更に苛立ちを

覚えた様子で反応をすると、次にはレイヴンが続けて挑発をする!…それはある種

問い掛けの様にも聞こえるのだが、簡単に言うと貰ったTPを全部返すぞと!…

するとその言葉を聞いて雲外鏡もハッとして見せ!…それこそ逃げようかと

一度は慌てた反応を続けて見せるのだが、判断が遅かった様子でレイヴンは魔法を

解き放つ!…


「……《煉獄ヨリ現ワレシ業火ノ槍ヨ!!…

我ガ眼前ニ座スル者ニ永遠ナル苦痛ヲ!!!…

消エル事無キソノ業火デ焼キ続ケ!!…

ソノ者ノ罪ヲ贖罪サセン!!!…ヘルフレイムランス!!!!」


__ゴウ!!!…ボボボボボボボ!!!!…


【ッ!?…ア、アァ!?…ナ、何ダコレハ!?…

コ、コノ様ナ事ガ!?…コンナ事ガ有ッテハ!?…

コレデハマルデ!!…冥王!!…】


「…幾ラ反射出来ルニシテモ…ト言ウモノハ当然アルヨナァ?…」


レイヴンは魔法を詠唱し終えた事で宙に浮き!…影の球を突き出したまま杖を

掲げて見せると、自身の周りに黒炎の槍を量産する!…それは芸が細かい事に

全ての槍が異なる形をしている様で、様々な形体をしており!…ある物は

和槍の様にシンプルで切っ先が細く!…またある物は三叉と!…さながら

その光景は某・金ぴか王の宝具を思わせる様に無数に現れ!…その光景を目に

して雲外鏡ももう余裕が見られない様子でただ戸惑い様を露わにし続けて居ると、

レイヴンが審判を下す!…


__……スゥ…ジャキン!!!…


【ッ!?…マ、マッテ!!…】


「問答無用!……」


__ゴオォォ!!!…フォン!!…ッ~~~…ズドドドドオオォォォォ!!!!…


レイヴンは掲げた杖を雲外鏡へゆっくり突き付け!…それに連動するよう黒炎の

槍も一斉にその雲外鏡へ向けて狙いを定めると、遂に刑を下そうとする!…

すると当然雲外鏡もそれを見て慌てた様子で一度はレイヴンに待つよう声を掛け

ようとするのだが、勿論聞く耳など持たれず!…レイヴンは問答無用!の言葉を

口にすると杖で横に薙いで見せ!…それが合図とばかりに一本の黒炎の槍が

飛び出し、それに続くよう一斉にゲリラ豪雨が如く黒炎の槍がその影の人達や

雲外鏡を巻き込み!…降りに降り注ぎ瞬く間に辺り一帯を蹂躙してしまうと、

その場を地獄絵図と変えてしまう!…それは言うまでも無くあのグレーター

デーモンを相手にした時より凄絶!…恐ろしい物であって!…シロもその様子を

一部始終見て居た様子で固まってしまい!…戸に買うレイヴンがあの時同様普通

じゃなくなった事に気が付くと、若干怯える!…


「レ、レイヴンさん!…怒ってるのです!…

とってもとっても怒ってるのです!!…」


__……ザシッ…ザシッ……グルルルルル!!!…ガアアアァァ!!!…


シロとしてはレイヴンがリッチ化する光景を見るのは二度目なのだが、やはり

慣れない様子!…と言うよりもまだ二度目なので当然な訳で!…シロから見て

レイヴンがトンデモナイ勢いで怒って居る様に見えて居ると、鵺も漸く立てる

位に回復したのか復帰する!…しかしダメージは当然蓄積されている訳で、

既に満身創痍!…だがそれでもシロに対して敵意をまだ持って居るのか威嚇を

続け!…シロもそんな鵺の存在に気が付いた様子で途端にハッと反応すると、

驚きを露わにする!…


「ッ!?…ま、まだ動けるのですか!?…

…シ、シロは……ッ!…う、動ける!……これなら!!…」


__……すうぅ~…はあぁ~……ッ!!…


「……これで最後です!!…シロは!…

シロは生きてご主人様に会うのです!!!」


その動ける鵺を前にしてシロは戸惑い!…自身が動けるかどうかについて

不安を抱えつつ立ち上がろうとすると、シロは先程までのが嘘だったかの

様にスッと立つ!…それはシロ本人ですら非常に驚く出来事で有って、

思わず戸惑いを覚えると自身の足をトントンと!…靴を履き直す様にして

自身の脚の具合を確かめ始め!…そこで問題無く動けそうである事に自信を

持って!…改めて目の前から向かって来る脅威に対して身構えて見せると、

深呼吸を挿む!…それはまるで自身の中である事を決意する様にグッと心を

引き締め!…更には口に出して宣言!…絶対に叶える!と言う意思を胸に!…

その鵺に対して如何出て来るかと相手の動向に気を掛けて居ると、鵺も

覚悟した様子でシロに飛び掛かる!…


__ザシッ…ザシッ…ガアアアァァ!!!…


「ッ!!…見え見えです!!」


__ババッ!!…ギュン!!!…ダン!!……パキパキパキパキッ!!…


数歩歩いた所で鵺は飛び掛かる体勢!…その際シロから見て目立つのはその黒く

焼け爛れた鵺の腹で!…それは見るからに目を反らしたくなる程に痛そうで

あって、だが弱点である事には変わりは無いと!…シロは無常ながらもそこを

弱点と認識し出し!…狙うならそこしか無い!と言った具合に身構えて居ると、

次には鵺が牙を剥く!…それこそ勢い良く飛び出して行くとシロに覆い被さるよう

飛び掛かって行くのだが、シロからすればそれはチャンス攻撃!…もう負荷デバフ

残って居ない様子でシロも飛び出して行くとすかさず鵺の腹の下に潜り込み!…

大きく踏み込んで頭突きを繰り出す勢いそのままに自身の手に氷を纏い出すと、

猛攻撃を加える!…


「氷風!!…乱、撃、爪おぉぉぉぉぉぉ!!!!」


__スウゥ!!…ズゥバババババババババ!!!!…


「やあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


__ッ!?…ガアアアアアアアァァァァァ!!!!………


氷の獣の爪をその腕に纏って見せ!…更には風のエンチャント!…シロとしても

無意識にやった二属性混合技で有り、ノーガードの鵺のドテッ腹に見事その技が

クリティカルに入ると、シロはその鵺の巨体を宙に挙げる!…それこそ小さな

子供がデッカイ虎を持ち上げて居るよう!…とても信じられない光景であり!…

シロは一心不乱に腕を振りに振り続け!…鵺も堪らず断末魔の叫びを挙げると、

一気に意識を持って行かれようとしていた!…そして!…


__バババババババ……ズババアァン!!!……ヒュウゥゥズダアアァン!!!…


「…ッ!…はぁ!…はぁ!……こ、これで!!……ッ!!…」


まるで拳圧で浮いて居るよう鵺の体は無抵抗にコの字に曲がり!…シロもラストを

掛ける様に一気に技を繰り出して見せると、最後はその鵺の体を地面に叩き付ける

よう腕を振り降ろす!…この時最後にバッテンを描くよう腕を交差させ、一気に

打ち下ろすとその一撃は更なる深手を与え!…すると打ち下ろされた鵺も受け身を

取る事も出来ないまま地面へと真っ直ぐに叩き付けられ!…腹部から激しい出血、

及び地面を転がる様にシロから距離が取られた所で蹲るよう止まって見せると、

シロも技を放ち終えた所で無事に地面へ着地をする!…その際最後に放った技の

消耗が激しいのか、息を切らし!…とにかくシロ自身も確かな手応えを感じた

様子で!…思わずフラグめいた言葉を口にすると安堵する!…だが!!…


__…ッ~~……ザ、ザシ!!…ザシッ!……グルルルルル!!…


「ッ!?…う、嘘!?…ま、まだ動け!?…」


__グルルルルル!!……ザシッ!…ザシッ!…ザシッ!…ザシッ!…


次にシロが目にした光景はその鵺がまだ立ち上がろうとする様子で、鵺はまるで

産れたての小鹿のようプルプルとしながらも!…懸命に片足だけで自身の体を

支えるとシロを睨み!…まだ自分は戦えるとばかりにフラフラとしながらもシロに

向かって歩いて行こうとすると、今だシロに対して威嚇をする!…すると当然

そんな光景を目にしたシロも驚き慌て出すと、すぐさま身構えては呼吸を整え!…

アレで駄目だったら如何すれば!?と!…とにかくその鵺への止めの差し方で

混乱した表情を浮かべて居ると、その最後と言うのは呆気なく迎える!…


__ザシッ!…ザシッ!…ザシッ!…ザシッ!………


「ッ!!…ッ~~~~……」


__グルルルルル!!……フラァ……ドシャアァ!!………


「ッ!…え?…」


フラフラとしながらも鵺はシロの前まで歩き…シロもそれに対して若干怯えつつも

身構えて居ると、鵺はシロの前に立って見せる!…この時鵺の表情はまだシロに

向かい敵意を向けると、声に出して威嚇をするのだが…しかしそれが最後の攻撃と

ばかりに次には絶命!…威嚇だけをして前のめりにドシャッと音を立てて倒れると、

遂には動かなくなってしまう…するとこれにはシロも戸惑った様子で一言漏らし

反応すると、倒れた鵺に視線を向け…だが幾ら鵺を見詰めようとも鵺は動かず!…

寧ろ光となって消えて行くよう徐々にその姿が朧気に見えて来ると、シロの中で

何かが切れる!…


__……ズル…ズルズル…ペタンッ…


「……ッ!…あ、あれ?…な、何で脚に力が入らないです?…

あれ?…」


それは恐らく緊張の糸!…漸く鵺が倒れた事で安堵すると同時に緊張の糸も

切れた様で!…今まで強張って居た体もそのせいで途端に脱力するよう

力が抜け!…シロも無意識にその場で崩れるよう座り込んで行くと、次には

少しの間放心状態になってしまう…そして意識が戻って来た所でハッと自身の

脚腰に力が入らない事に気が付くと、初めての事で戸惑ってしまい!…

そこから何度も立ち上がろうとしては踏ん張り跳ねたりするのだが、どうやっても

自身の力で立ち上がる事が出来ず!…ただ戸惑いとにかく四苦八苦する様な

様子を見せ、何で?…何で?…とばかりにただ首を傾げ如何にもする事が

出来ないままで困惑して居ると、その一方でレイヴンは雲外鏡に引導を渡して

居た!…


【ギャアアアアアアアァァァァァ!!!!…

ア!!…熱イ!!!…熱イイィィィィィ!!!】


__ゴアアアアアァァァァァ!!!……


「………。」


【コ、コノ様ナ事ガ有ッテタマル物カ!!…コノ様ナアアアァァ!!!………】


レイヴンの方では今だ地獄絵図!…影の眷属達はその黒炎の業火に焼かれては

次々悶え苦しみ倒れ!…雲外鏡自身もさすがにこの魔法は反射出来なかった

様子で業火に飲まれ!…徐々に燃えては溶けて行き!…とにかくその原型をも

留めぬ程に断末魔を挙げながら灰になろうとして居ると、その様子をレイヴンは

文字通り高みの見物をして居た!…ただ何も発する事なく眼下の様子に冷徹な

視線を、特に雲外鏡には当然の報いとばかりに!…雲外鏡は雲外鏡で今起きて

いる事に対してあり得ない!と言った様子で叫び続け、遂には倒壊!…業火の

熱に耐え切れなかった様子で崩れて行き!…その断末魔も徐々に小さく!…

遂には灰となって消えた様に辺り一帯にただ黒炎が燃え広がる音だけが響く様に

聞こえると、遂に完全決着を迎える!…


__……ブンッ!!…バシュン!!!!…ボオオォ……


「………コレデ…終ワリだな?……フゥ~!…

ぶっつけ本番でやってみたが!…案外使えるなこのスキル?…

…まぁ、根性は要るが!…それでも何とか勝てた!……ッ!!…

そうだシロちゃん!!……ッ!…」


完全に掃討出来た所でレイヴンは薙ぐ様に杖を振る!…すると先程まで轟々と

燃えていた黒炎は直ぐに鎮火!…消火するのに時間が掛かりそうだった光景は

嘘の様に元に戻り!…何処かに残り火を残すと言った事も無くレイヴンも

終わりの言葉を口にすると、リッチ化が解けた様子で元のワイトに戻り出す!…

その際徐々に地面へ向かって降下して行くと、改めてぶっつけ本番で使った

スキルの評価を口にし!…とにかく勝てた事にホッと安堵…それと同時に

シロの事を思い出した様子でハッとし始め!…慌てた様子で視線をそのシロの

居る方へ向けると、そこで一生懸命に跳ねているシロの姿を見つける!…


__ピョインッ!…ピョインッ!…


「……ッ?…何で跳ねてらっしゃる?…」


__フウゥゥ…スタッ……コッ…コッ…コッ…コッ…


「……シロちゃんも無事だったみたいだな?…お疲れ!…

怪我は無いか?…って、愚問だな?…よし!…

直ぐにポーションを出すから待ってて…」


跳ねると言ってもスキップをしているとかでは無く当然あのへたり込んでいる

状態で、レイヴンとしてもシロの身に何が起きているのか分かって居らず!…

ただ何をやっているんだ?…と言った具合に戸惑って居ると、レイヴンは無事に

地面へ帰還する!…そしてすぐさまシロの元へ向かい歩き出すと、合流するなり

シロの無事を喜び!…労りの言葉を掛けると怪我の有無について質問をし始め!…

だがそれも自身で愚問である事にハッと気が付き!…アイテムポーチより回復の

ポーションを取り出そうと一度はシロから視線を外すと、次にはシロにしがみ

付かれる!…


__……ギュッ!…ッ!…チラッ?…プルプルプルプル!…


「……シロちゃん?…どないした?…ッ!?…

まさか結構なダメージを!!…」


シロはレイヴンのローブの裾を掴むとギュッと握り!…レイヴンもそれに

気が付いた様子でハッと視線をシロの方へ向けると、そこで俯くシロの姿を

見つける!…それは心成しか小刻みに震えている様にも見えると、妙な

不安感を煽り!…レイヴンも心配した様子で声を掛け出し、まさか手酷く

やられたのでは!?と更に心配を加速させる様に声を掛けると、シロは

レイヴンに向かい顔を上げるとこう答える!…


__……プルプルプルプル!!…ッ!?…


「こ!…こわかったですぅ~~!!!…」


「ッ!?……」


シロは更にその身をプルプルと強く震わせると怖かったと!…恐らくシロとしても

数少ない恐怖体験で有って、子供ながらにレイヴンへ泣きながらに怖かったと

伝えると、それを聞いたレイヴンもハッと驚く!…何故ならレイヴンとしても

シロが怖かった!と口にしたのを耳にするのは、初めての事であって!…幾ら

フェンリルと言えどシロはまだ子供であると!…改めて自覚させられた様にただ

戸惑い、無い瞼をパチパチとさせる様に戸惑い続けて居ると、更にシロは怖かった

と訴える!…


「死んじゃうかと思ったですぅ~!!!…

ごじゅじんざまにあえないどおもっだでず~~!!!

うわああああぁぁぁぁぁん!!!…」


「……ッ!?…ゴ、ゴメン!!…ゴメンなぁ?…

俺がもっと早くにあのクソ鏡を燃やして居れば!…」


__うわああああぁぁぁぁん!!!…うわああああぁぁぁぁん!!!…


思いの丈をブチ撒ける様に泣きながらに訴え!…レイヴンもハッと我に返った

様子で反応すると、次にはシロに対して謝り始める!…それこそ自分がもっと

しっかりして居れば!…あの雲外鏡をもっと早くに倒せて居れば!と続けると、

慌ててシロの頭を撫で出し!…シロもシロでずっと感情が爆発し続けるよう!…

ただ声に出してワンワンと大粒の涙を零しながらに泣き続けて居ると、その泣き

声は暫くの間辺り一帯に響き渡る!……さて、そうしてシロが漸く落ち着きを

取り戻したのは数十分後の事!…シロは泣き疲れたのかレイヴンに抱き付く様に

して眠ってしまい!…レイヴンはレイヴンでそんなシロの容態を確認!…やはり

若干の瘴気中毒が見られるものの処置を施し!…更に怪我の手当ても手早く

済ませてしまうと、マサツグを見習ってかシロをおんぶし始める!…


__……ザッ…ザッ……


「よいしょっとぉ!…ふぅ~……とにかく処置は施した!…

後は回復を待つだけだ!……にしてもよくやったよ!…

あんな化け物を一人で倒しちまうなんて!……そりゃ怖かったろうよ!!…

……で、目の前の瘴気の壁に用がある訳だが……面倒だな?…

…いっそぶっ飛ばすつもりで魔法をやっとくか…」


小さな女の子をおんぶしてとにかくこれで安心!と言った様子で呟くと、

レイヴンはふと視線を横たわる鵺に!…改めて思うそのシロの実力に驚くと

同時にシロはこんな化け物を相手にして居たのかと!…当然怖がるの

も無理は無いと言った様子で改めて理解を深めて行き!…何か感慨深いモノ

をふと感じてしまうと、少しした後にその視点を瘴気に向ける!…その際

まず目についたのはあの鵺や雲外鏡達が出て来た瘴気の壁で、勿論壺の影

や形と言ったモノは全く見えず!…更にはシロを背負っている以上その壁の

中に入る訳にも行かないので、いっその事押し潰そうと言った結論に行き

着いてしまうと、レイヴンは徐に魔法を唱える!…


「……《頑強なる岩石よ!!…我が目前の敵を押し潰し!!…

その偉大なる力を証明せよ!!…分け隔てなく見せるその力に!!…

我は思う!!…敵は無し!!…ガイアスマッシュ!!!》」


__ドゴゴゴ!!!…ゴオォォ!!…ドグオォォォンン!!!……パラパラ…


「………ッ!…瘴気が若干晴れた?…って事はビンゴやったって訳か!…

ふぅ~終わったあぁ!!……って、一息入れてる場合じゃねぇ!…

とにかく一旦ギルドに戻るか!…シロちゃんの事も有るし!…

何よりマサツグの事も気になる!……早々簡単にくたばる魂じゃないとは思うが…

シッカリしてろよ、マサツグ!!…」


その際唱えた魔法は巨石を相手にぶつける魔法で、自身の頭上に巨石を作り

上げるとそのまま瘴気の壁に向かって投擲!…すると瘴気の壁は倒壊したよう

次には霧散!…徐々にその影響でか瘴気が張れる様な素振りが感じられ!…

その後瘴気が更に沸き出ると言った様子が見られないで居ると、レイヴンも

手応えを感じ出す!…するとその後は瘴気も徐々にではあるものの晴れて行き、

レイヴンもやはり壺が有った!と確信を持ち!…壺を壊せた事でホッと安堵…

と言う訳には行かず!…次に急いでマサツグの事を心配し始めると、シロを

おんぶしたままギルドへと戻って行くのであった!…そして!…


__…貴族街の瘴気も晴れて来たぞオオォォ!!!!…殲滅だアアァァァ!!!…

オオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!!…


「ッ!?……と言う事はレイヴン達か?…

…いや、別の冒険者達がやった可能性も!…」


「だとすると、こっちも急がないと!…例え壺を壊して居たとしても!…」


「…あぁ、そうだな!…

それで帰りにモンスターにやられたんじゃ意味が無い!…

…とにかく無事で居る事を願うんだが!…」


三度秋雲オータムクラウド国に時の咆哮が聞こえ出す!…それはちゃんと貴族街の物であると

伝えられると冒険者達を鼓舞し!…残っているモンスター達の殲滅を呼び掛ける

モノに変わると、怒号にも似た勝鬨の声も聞こえて来る!…そしてそれを聞いた

モツ達もレイヴンがやったのか!?と噂をすると、同時に否定も入れ!…

だとしても急がないといけない事には変わらない!とアヤが続け!…その否定の

意味を答える様に最悪の事態を口にすると、モツも否定出来ない様子で焦りを

覚える!…別にレイヴン達の事を信頼して居ない訳では無いのだが、何やら

先程から嫌な予感を!…それが心の中でモヤモヤとしてはとにかく全員が無事で

ある事を祈り出し!…自分達は自分達で住宅区!…そこに有ると思われる瘴気の

壺の破壊を試みるのであった!…


そしてその一方ギルドではと言うと!…クロエの特許権が行使されては冒険者達が

活気付き!…更なる大躍進を見せようとして居た!…何故なら!…


「……この方面の掃討は終わっている!…ではこちらに向かい兵を動かし!…

負傷者に関しては既に手筈を!…直に更なる激戦が予想出来る!!…

絶対に気を抜かないよう檄を頼む!…」


「はい!!」


クロエはギルドマスターの部屋に籠ると特許権を発動!…するとそのマスターの

机には立体3Dの秋雲オータムクラウド国の地図が現れ、それは随時敵の位置や冒険者達の

動きを反映!…リアルタイムにクロエに情報を伝えると作戦の指揮を向上させ!…

クロエもそれを巧みに扱いギルドマスターの部屋から指揮を!…皐月を通して

あれやこれやと指示を出すと、自軍の勝利の事だけを考えていた!…勿論部隊の

疲弊具合等も反映して目の前に表示されると、クロエはそれを踏まえて完璧な

指揮を!…


__……ッ!…ヴウン!!!…ピッ!…ピッ!…ヴウン!!…


〈…そこに居る部隊!…聞こえるか!!…私だ、クロエだ!!…

そちらに向かいモンスターの大群が向かって居る!…

何とか食い止めに掛かってくれ!!…直ぐに増援も送る!!…

持ち堪えろ!!!〉


「ッ!……い、一体如何やって指揮してるんだ?…

まるで見えて居るみたいに?…」


「ッ!?…おい来たぞ!!!」


「…援軍だぁ!!…ここを食い止めるぞぉ!!!」


__ッ!!…おぉ!!!…


その立体3Dの秋雲オータムクラウド国の地図に表示されている部隊のアイコンに触れて直接

指示!…更にはその向かって来るモンスターの群れを拡大して規模を確認する

等!…とにかく手慣れた様子でクロエが部隊に指示を出すと、その的確な

指示に冒険者達も不思議がる!…まるで見えて居るかのよう!…いや見ている

訳なのだが!…当然そんな事等知らない冒険者達は戸惑いながらも従って

行動!…するとクロエの言う通りに援軍やら敵やらが途端に押し寄せ!…

更に不思議に思わせると同時に!…冒険者達が更に団結したよう洗練された

動きを見せ始めると、次々にその押し寄せて来るモンスター達を撃破して行く

のであった!…

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妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生騎士団長の歩き方

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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

はぁ?とりあえず寝てていい?

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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

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