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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章五十二節 クロエの特許権と地獄の秋雲国とオリハの奮闘!…-

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さて、場面は変わってとある町の中の様子!…クロエの激励も有って冒険者達は

ものの数十分でギルドを奪還!…と言っても建物と職員の救助をしただけで

あって、クロエにギルドマスターの権限が戻った訳では無い!…しかしこの

ギルドを取り返す事には大きな意味が有り!…クロエはギルドに戻って来れた

事である事を直ぐに始めようとすると、急ぎギルドの中へと入って行く!…これは

権限を奪われても尚抵抗するクロエだけが出来る事であり!…最終手段とも言える

クロエの特許権行使でもあった!…


__バアアァン!!!…カッ…カッ…カッ…カッ…


「……ッ!?…ギ、ギルドマスター!!…ご無事で!!…」


__どよッ!?……チラッ?…ッ!?…ワラワラ…ワラワラ…


勢い良く扉を開けてギルドの中に入るとそこは静か!…今頃なら冒険者達で

何処に行くか等で沸きに沸いて居る筈なのだが…まるで誰もいない家に

帰って来たよう本当に静かで…クロエも者寂しさを覚える様に中の様子を

改めて確認して居ると、クロエの帰還に気が付いた皐月が姿を現す!…

その際急にギルドマスターが変わって事に対して職員達も抵抗して居たらしく、

若干の武装が見られ!…とにかく入って来たのがクロエだと分かると次々に

職員達が姿を現し!…そのクロエの無事に安堵したよう職員達が笑みを

零して居ると、クロエは冷静に今の自分を冒険者と言う!…


「……よせ…今はギルドマスターでは無い!…」


「ッ!…し、しかし!…例えあの様な形で変わろうとも!!…

我々のマスターは貴方です!!……それに!…

をする為にここに戻られたのでしょう!?…

任せて下さい!…既に準備は整っております!!!」


冷静…かつ若干悲しそうにマスターでは無いと言うと、皐月から視線を逸らす様に

俯いて見せ…だが皐月はそんなの関係無い!とばかりに声を張り!…今だ自分達の

ギルドマスターはクロエである事を必死の表情で口にすると、その他の職員達も

頷いて見せる!…この時皐月は既に分かって居る様子で言葉を続けて口にすると、

クロエにある確認を取り!…その際クロエが帰って来る事を信じて既に準備は

出来て居ると!…今こそ反撃の狼煙をと言った具合に皐月及び職員達がやる気を

見せる様な表情でクロエからの指示を待って見せると、そんな皐月たちの様子に

クロエも思わず笑う!…


「ッ!……フッ…ここにも大馬鹿者達が居たか…」


「ッ!…え?…」


「いや!…結構!…では早速行動に移す!!…

各員はこれより起きるであろう事に対して細心の注意を払う様に!…

…ここは冒険者達にとって聖域と化す!…そして総司令部ともなって!…

今からこの場所は地獄となるであろう!!…

だが乗り越えられない訳では無い!!!…我々のする事はただ一つ!!!…

前線で戦って居る者達のサポートに付く事!!!…皆それを肝に銘じよ!!!」


__ザッ!!…イエスマム!!!…


気付かなかっただけでここにもマサツグ達の様な者達は居た…そんな風に吹き出し

静かに笑うと、その様子に皐月達は戸惑い…だがクロエも気を取り直し!…改めて

自身だけが出来る特許権を行使するよう全員に心して掛かる様にまた激励の言葉を

掛けると、職員達の指揮を執る!…その際職員達も訓練されて来たのか、クロエに

対して敬礼!…まるで軍隊の様に威勢良く返事もして見せ!…それを見てクロエも

満足そうに頷いて見せると、まずは自身の私室!…ギルドマスターの部屋へと

向かって行く!…


__…スッ…カッ…カッ…カッ…カッ……ッ!…タッタッタッ…


「……もう大丈夫なのか?…あの様な事が有ったのだ…

それに今まで働き詰め…もう少し休んで居ても…

それこそ先に避難をしても良いのだぞ?…」


クロエが自室に向かうよう階段の方へと歩いて行くと、その後を追い駆ける様に

皐月が…するとクロエも皐月が付いて来て居る事に気が付いた様子で、クロエは

振り向かず皐月に声を掛け出し!…その際まだあの時の事件を引っ張って居るのか

労わる様に言葉を口にすると、休んで居ても誰も責めないと…それこそ避難して

居ても大丈夫と逃げる様に言うのだが!…そのクロエの言葉に対して皐月は首を

横に振る!…


「ッ!…いいえ!…そうは参りません!!……

私はこの国が大好きなんです!!…だから私は今でもこうして皆さんの為に!!…

栄えてはマサツグ様の様な冒険者様方のお助けをするのです!!…

確かに鹿之助様の様な方が居る事も重々承知して居ますが…

全員が全員そうではない!…そして皆様はこの国の為に動いていらっしゃる!…

例え形は違えど皆自分の大事な物を守る為に戦って居る!…

私もそんな皆様と一緒に戦いたいのです!…

ですから休んで等居られません!!!…」


「ッ!…フフフ!…そうか…ではこれより忙しくなるぞ?…

しっかり私の補佐に入ってくれ!!!」


「はい!!!…皐月にお任せを!!!…」


皐月は首を横に振りながら返事!…絶対に逃げない!と言った意思を見せると

言葉を続け!…逃げない理由に国が好きである事!…冒険者の助けに入りたい

事等を口にすると、自分だけ休んで居られない!と意気込んで見せる!…

それこそ早く動きたい!と言った具合にムン!っとやる気を見せると、クロエに

対してピーカブーの構えを取り!…するとそれを見せられたクロエもフッと

思わず笑い!…皐月の意思を汲んだ様子で改めて補佐のお願いを口にすると、

皐月もそのクロエからの願いに返事をする!…そうしてクロエが自室に辿り着く

と自身の椅子に座るなりある事を言い出すのだが…その一方で外の様子!…

必死に戦っている冒険者達は!…そのクロエからの次の指示が出るまでの間!…

一匹でも少なくしようとモンスターの掃討に掛かって居た!…


__ドゴォ!!…ドゴォ!!……ウケケケケケ!!!…


「ッ~~~~!!!…か、かぁちゃん!!…怖いよぉ!!…」


「ッ!!…あ、安心おし!!…大丈夫!!…

お母さんが付いてるからね!…」


{……如何か!!…如何か!!!……神様!…誰か!!!…

お願い!!…助けて下さい!!!…}


居住区では既にモンスター達が家の中に立て籠もるNPC達に対して牙を剥き!…

今にも踏み込もうとする勢いで戸を蹴り!…その度中ではその家族達が互いに

身を寄せ合う様にして恐怖に怯え!…必死に子供を安心させると同時に!…

誰かからの助けを求めるよう心の中で祈る等…とにかく窮地に陥って居た!…

そしてこの家族も絶賛モンスター達に場所を悟られては窮地に!…今にも玄関は

蹴破られ!…中にモンスター達が侵入しようとして居ると、その時はやって

来る!…


__ドゴォ!!…ドゴォ!!…バアアアァァァン!!!…キャアアァァァ!!!…


「……ッ!?…ヒィ!?…」


__ウケケケケケ!!!…ハアァァ~~!……ベロリッ!!…


「ッ!?…い、いやぁ!!…お、お願い!!…誰か!…助け!!…」


遂に扉が蹴破られると家屋内にモンスター達が侵入!…そして然程家自体が

大きくない者達は部屋の片隅で震えて居るだけで!…直ぐにモンスター達に

見つかっては醜悪な顔を近付けられにじり寄られ!…逃げる事すら敵わない

状態でただされるがまま!…必死に誰かに助けられるのを願い続けては、

悲しい最期を迎えようとしていた!…ある者は既にモンスターの餌として

死に!…またある者はやられる前に自害!…抵抗するも敢え無く抑えられ

ては喰われる等!…とにかく地獄絵図の様な光景を見せては、この家族も

そんな運命を辿りそうになって居るのだが!…


__ザザッ!!…バッ!!!…


「させるかあああぁぁぁぁ!!!!」


__ズバシャアアアアンン!!!…ッ!?……ビシャアァァ!!!…ザザァ!!…


それこそ目の前のモンスター達を前にして死を意識し!…目を閉じて生を諦めよう

とするのだが!…突如としてモンスター達の背後を取っては斬り掛かる者達が

現れ!…その者は自身の目の前に居たモンスターを一太刀で殲滅して見せると、

その家族の命を助ける!…この時モンスターを斬った際の血を家族は浴びる事に

なってしまうのだが、それでも自分達は助かった!と…それこそ生を諦め絶望して

いた目に光が戻り!…そんな命知らずな冒険者達の姿を見て自然と涙が零れ出して

居ると、目の前の冒険者はその家族に声を掛ける!…


「……おい!…アンタら大丈夫か!?」


「あっ…あぁ!…」


「ッ!…良かった!!…まだこっちは大丈夫そうだな!!…

…急げばもっと助けられるかも知れない!!!……ッ!…

おい、フレに連絡してくれ!!!…まだ助けられるって!!!…」


「ッ!…了解!!…大至急増援を要請する!!!」


モンスターの血濡れになった家族を見てその冒険者は安否を確認!…この時

母親と思わしき者は子供を抱えながら冒険者を見詰め!…言葉が上手く発せない

様子でとにかく助かった…とばかりに安堵の表情を見せて居ると、その冒険者も

助けられた事で安堵する!…その際こうしてまだ助けられる命がある事を

確認すると、近くにその冒険者の仲間が居たのか連絡を!と…するとその連れの

冒険者も急ぎ返事をすると増援を要請!…更に冒険者達が慌ただしく現場の

対処に当たって居ると、その家屋の外では奮闘する他の冒険者達の声が聞こえて

来る!…


__ウオオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!


「おいそっちは如何だ!?…こっちは粗方終わったぞ!!」


「こっちは大丈夫だ!!!……にしてもさすが居住区!!…

護る範囲がデカすぎる!!!…」


「悪い子はいねがぁ~~~~~~!!!!」


「負傷したら一度退けぇ!!!…

ギルドで回復して体勢を立て直せ!!!…無理は絶対にするなあぁぁ!!!」


誰もがこの状況に対して一切怯む事無く果敢に挑み!…互いに見ず知らずの

冒険者同士でも連携を密に!…声を掛け合い状況の確認しては確実な殲滅を

試みていた!…ある者は司令塔!…またある者は斥候!…狂戦士に救護班と

それぞれが役割を担い!…事の収拾に努めていた!……そしてその一方で

花街!…同じ様にそれぞれ役割を宛がわれたオリハが現場に到着!…その

素晴らしい脚力で壺を探し!…その道中で仲間の冒険者が倒れて居るのを

見つけると、駆け寄っては何が有ったのか?を尋ねようとしていた!…


__ザッザッザッザッザッザッ!!!……ッ!!…ザザァ!!…


「ッ!!…おいアンタ大丈夫か!!…一体何が!?…」


「ッ!…ッ~~~……オ、オーガ!…気を付けろ…

化け物が!……近く!…に!……ッ…」


「ッ!?…おい!!…おい!!……

…ふぅ~…気絶しただけか…にしてもオーガ?…鬼の事か?…

…とにかくこのままここに置いておくのは……」


その倒れて居る者に向かい滑り込むよう駆け寄って抱えると揺すって起こし!…

起こされた方も満身創痍ながらもオリハの呼び掛けに答えるよう何かが居る事を

仄めかすと、次には事切れた様に気絶する!…するとそんな冒険者の様子に

オリハも慌てて再度揺すっては声を掛けて生きているかの確認をするのだが、

当然返事など帰って来ず!…それでも安否の確認をしっかりとした様子で!…

自身の耳をその冒険者の鼻元に近付け!…まだ息が有る事を音で聞いて確認を

すると、オリハはホッと安堵して見せる!…しかしそのまま安心している場合

では当然無く!…その気絶した冒険者を抱えては如何するかと…このままに

しておくのは勿論の事忍びなく…せめて安全な場所は無いかと辺りを見回して

居ると、偶然そこへ救護の役割を担っている冒険者達がやって来る!…


「……うわぁ!…ここ等辺もヤバいなぁ!…

確かに死体は少ないがそれでも!…」


「瘴気が濃い!……アレか?…話に聞いた妙な壺が…」


「ッ!……丁度良いタイミングで!…すいませ~ん!!…」


辺りの様子を見て警戒した様子で!…その際まだ死体が少ない事を救いと言っては

オリハの居る方へと歩き続け!…他より瘴気が濃い事を続けて口にすると、壺の

話は他にも出回って居るのか話題に挙げる!…そうして辺りの様子を伺いながら

近づいて来る冒険者達の姿を見ると、オリハもタイミングが良いばかりに!…

次には声を上げてその冒険者達を呼び込み始め!…呼ばれた冒険者達も瘴気で見え

難いながらも目を凝らし手を振るオリハの姿を見つけると、同時に倒れている

冒険者達の姿も見つける!…


「ッ!…ん?…ッ!?…おい、如何したんだ!?」


「負傷者だ!!…来た時には既に!…

…一応まだ息は有る!!…気絶して居るだけで…」


「分かった!…こいつ等は俺達で治療をする!!…アンタは!?…」


「ッ!…私は大丈夫!!…それよりも彼を!!…」


倒れている冒険者の姿を見つけるとそのオリハを見つけた冒険者達は駆け出し!…

オリハも気付いて貰えた事で続けて負傷者が居る事を口にすると、その状態に

ついても説明しようとするのだが…それよりも先にオリハを押し退ける様にして

その冒険者は負傷者の事を抱え出し!…速攻で治療に掛かるようオリハに任せろ

戸だけ言葉を口にすると、同時にオリハの容態について質問をする!…恐らく

その負傷者の仲間と思われたのか、心配した様子で!…だが当然怪我も何もして

居ないのでオリハは大丈夫と!…それこそ押し退けられた事に戸惑いつつ!…

とにかくその負傷者の手当てを優先する様に声を掛けると、先を急ごうとする!…

しかし!…


「ッ!?…ちょっと待て!!…アンタは如何するつもりだ!?…

コイツはアンタのツレじゃないのか!?」


「ッ!…えっ?…あっあぁ…ただ行き様に見つけた負傷者で…」


「だとしてもこの先一人で行くのは危険だ!!…

せめてもう何人か来るまで待て!!」


その負傷者を手当てする冒険者の一人が先へ行こうとするオリハの事を

止めると、その助けた負傷者の事を仲間なのでは!?と言い!…その際

先に行こうとするオリハの事を薄情者を見るかの様に睨み始め!…

オリハも呼ばれた事で脚を止め!…振り返ってそんな視線を向けられて

居る事に戸惑って見せると、その冒険者に対して仲間では無いと説明を

する!…しかしそれでその冒険者がオリハの事を許すと言った様子を

見せる事は無く!…睨んだまま一人で行くのは危険であると!…オリハに

引き返すよう言葉を続け!…その際人を集めて来る様に言葉を続けて

口にすると、その冒険者の気迫に圧されてかオリハも更に戸惑って見せる!…


「ッ!?…い、いやぁ…そんな事を言ってる場合じゃあ…」


「……う、うぅ……あれ?…ここは?…」


「ッ!?…気が付いたか!!…もう大丈夫だ!!…今すぐ治療を!!…」


「……ッ!?…ヒィッ!?…ッ~~~……」


それこそ他の場所で戦って居るマサツグやモツ達の事を思うと一分でも早く

急ぎたく、その冒険者の話に付き合っては居られないのだが!…この時妙に

その冒険者の圧がオリハを襲い!…オリハも思う様に反論出来ないで居ると、

タイミングが良いのか悪いのかその手当されている負傷者が目を覚まし

始める!…それこそ目を覚ましたのも一時的な物では有るのだろうが、呻き

声を挙げながら目を覚まし!…するとその負傷者が目を覚ました事で冒険者の

注意も負傷者に向き!…もう大丈夫!と声を掛け出して行くのだが!…そこで

見た物に負傷者は化け物を見たかのように反応すると、またもや気絶に陥って

しまう!…何故なら!…


{……だよなぁ~…

んでもって俺が気圧されている理由も今分かったわ……だって!…

!!…

誰だってそんなのに凄まれたらタジタジになるって!!…}


オリハは改めてある事に気が付く!…それはその冒険者の格好で有り!…

と言うのもパッと見その冒険者の体型は歴戦の戦士の様に筋骨隆々の巨漢

なのだが…その格好はと言うと見たくも無い程のミニスカナース!…

恐らくモンスターも手にした武器を投げ出して逃げる位にヤバい格好で、

自身が気圧されて居る理由についてもそれのせいと!…改めてハッキリ

自覚するとその治療されている冒険者に同情をしてしまい!…そのナースの

おっさんも改めて負傷者が気絶した事に疑問を持つと、理由が分からない

様子で困惑する!…


「ッ!?…おい、如何したんだ!?…

…何故その様に化け物を見た様な表情で気絶する!?…

…これは重症か!?…」


{重症なのはアンタの格好だって!…

一回冷静になって自身の格好がいかに変かを見直せよ!……とにかく!…

いつまでもこんなのに構っては居られないよなぁ……ッ!…}


__……スウゥ……


腕は良いのか直ぐにその負傷者の容態を確認すると、やはり頭を抱えて見せ!…

仕舞いには負傷者の表情にも疑問を持ち出し!…とにかく何故こうなったのか?

について慌てた様子も滲ませて居ると、オリハはその様子に心の中でツッコミを

入れる!…その際うっかり口に出さないよう呆れた様子でその光景を見て居ると、

ふと今自分に注意が向いて居ない事に気が付き!…当然構っても居られない様子で

オリハは静かに瘴気に紛れ!…先を急ぐ様にその現場を後にすると、漸く判断が

付いたのか冒険者もオリハへ声を掛けようとする!…


「……クッ!!…脈は有るが応答が無い!!…

何と言う事だぁ!!……ここは一度この者達をキャンプに!!…

そこでちゃんとした治療を試みよう!!……ッ!!…

アンタも今すぐ我々と一緒に!!……って、居ない!?…」


{名も知らない冒険者プレイヤーさん……ありがとう!…

心の底よりご冥福をお祈りします!…}


__タッタッタッタッタッ!……ショワアアァァァァ!!…


「ッ!!…ゲホッ!!…ゴホッ!!……クソッ!!…

早く壺を壊さないと!!…視界が悪い上にデバフも!!…

!…」


オリハに声を掛けようとした所で当然そこに姿は無く!…ナースのおっさんも

一体何処に行ったのか!?と辺りを見回して見せるのだが、幾ら見回そうとも

やはりオリハの姿は何処にも無い!…そうして先を急ぐオリハの姿を完全に

見失ってナースのおっさんが戸惑って居ると、その一方でオリハはその負傷者に

心から感謝をし!…まだ死んではいないのだが冥福を祈る様に合掌をしながら

瘴気の中を走り続け!…徐々に濃くなって行く瘴気にある確信を持ちつつ!…

それでも瘴気に侵されるよう咳き込みながら事の早期決着に勤めて居ると、

ふとフラグめいた言葉を口にする!…すると直ぐにそのフラグは回収されたよう

瘴気の向こうで姿を変え、異形となって姿を現し!…瘴気の中からオリハの

前へと出て来ては威嚇をし始め!…オリハもその突然の登場に面食らったよう

戸惑う様な反応を見せると、その化け物と対峙する!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ギシャアアアアアァァァァ!!!!…


「ッ!?…か、カマキリ!?……鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「デッドマンティス」  

 Lv.30

   HP 4500 ATK 290    DEF 200

      MATK  20  MDEF  65


 SKILL

 首狩りの鎌 Lv.6 全方位の複眼
 -----------------------------------------------------------------------


「デ!!…デッドマンティスゥ!?…

何でこんな時に限って!!…こんな!!…」


オリハの前に現れたのは巨大な紫色のカマキリ!…ザッと見ただけでも

全長2~3mは在るだろうか!…その手にはギラリと光る鎌がやはり存在

しており!…まるで鋸のよう大雑把な波刃をしっとり濡らして居る様子を

見せて居ると、それが血で濡れて居る事にオリハは気付く!…そして当然

オリハも慌てて自身の野太刀に手を掛けカマキリを睨み付けると、やはり

マサツグ達同様安定の初手から入り!…そこでそのカマキリのステータス

を見て更に驚き!…覚えが有るのか慌てた様子で野太刀を抜刀し構えて

見せると、カマキリもオリハに向かい襲い掛かる!…


__ギシャアアアアアァァァァ!!!!……ズオォン!!!…


{ッ!?…クッ!!…

あんなギラギラした刃に当たったら間違いなく大ダメージ!!…

それでなくても即死攻撃っぽいのまで持てるのに!!…}


カマキリは右片方の鎌を斜めに振り上げると薙ぐ様に振り下ろし!…オリハも

そんな攻撃を見てバックステップで回避をすると、その風切り音?…を聞いて

冗談では無い!と心の中で文句を言う!…宛らそのカマキリの鎌はまるで

死神の鎌のよう!…とにかく当たれば間違い無く大ダメージと!…更には

鑑定アプレェィザァルでステータスを見た時に見たスキルについても考え出し!…絶対に

当たってはいけない!と相手の行動を見て身構え続けて居ると、今度はカマキリが

左片方の鎌を構え始める!…


__ギシャアアアアアァァァァ!!!!…ズオォン!!!…


{ッ!!……今の所動きはワンパ!…

何とか隙を見て一気に落とす様に考えないと!!……グッ!!…

瘴気のせいで体が重い!!……ここは一撃必殺に賭けて極力体力温存!…}


すると先程と同じよう薙ぐ様にしてカマキリは左の鎌を振り下ろし、オリハは

それを難無く回避!…この時カマキリの攻撃パターンが単調である事に気付き

始め!…もしかすると行けるのでは?と考えるのだが!…直ぐに落ち着いた

様子でもう少し相手の出方を確認する!…その際やはり警戒すべきは即死の

攻撃技で有り、それを見極めない事には動けないと!…更には瘴気の影響で

思う様に体が動かせられず!…その事に対してもオリハはイラ付きを覚えながら!…

とにかく体力を温存する形で隙を見つける様に目を凝らし!…カマキリの動きに

細心の注意を払って居ると、カマキリはこれ程までに無いチャンスを遂に見せる!…


__ギシャアアアアアァァァァ!!!!…ズオォン!!!…


「ッ!!…これはチャンス!!!…行ける!!!」


__バシュン!!!…ジャキン!!…コオオオォォォォォ!!!…


「貰ったあぁ!!!…」


カマキリは両腕を振り上げるとオリハを抱き締めに掛かるよう襲い掛かり!…

オリハもその攻撃モーションを見てハッと悟ったのか!…次がチャンスと

本能的に身構え攻撃が飛んで来るのを待って居ると、カマキリはオリハの

予想通りに飛び込んで来る!…まるで今までの攻撃はこれでワンセットと

言った具合に大振りを見せると、躱された後も大きく隙を見せ!…オリハは

オリハでその攻撃を飛んで回避!…その際更にカマキリの鎌を踏み台に首元へ

向けて野太刀を構えて見せると、そのカマキリの首を切り落とす!…


__ズバシュン!!!………ザザアァ!!!……ボトンッ!!…


「…はぁ!…はぁ!……クッ!!…

運動量としては然程大した事はしてないのに!!…

息が苦しい!!……ッ!…更に瘴気が濃くなった?…」


__ズズ…ズズズ…ズドオオォォォン!!!……


「……ふぅ…とにかくこれで……ッ!?…」


カマキリの首を切り落とし様に背後へ回り!…勢いが付いたよう地面へと着地!…

その後滑って行くよう態勢を整えつつカマキリの様子に目を向けて構え!…

カマキリも首を斬られたまま身動き一つ取れずに固まって居ると、徐々にその体は

崩れ始める!…その際瘴気の中での戦闘は初めてなのか、オリハは苦しそうに

呼吸を荒げ!…その一方でカマキリの死体はふといつもの様に光りに包まれ!…

そしてその体も地面にへばるよう崩れて行っては、やはりピクリとも動かなく

なる!…さてこれにて完全討伐!…改めてその瘴気を放つ壺の探索に出ようと

するのだが!…オリハが安堵した所で突如更に瘴気は濃くなり始め!…オリハも

それに気が付いた様子で辺り一帯に注意を払い身構える様な素振りを見せて

居ると、何処からともなく声が!…


「……あぁ~あ…俺様の可愛いペットが首チョンパ!…

…全く!…ヒデェ事しやがる!…」


「ッ!?……ッ!?…なっ!?…」


オリハ的には背後より男の者と思える声が聞こえ、その声の主は先程のカマキリを

ペットと!…この時その声の主は怒ると言った様子を見せる事は無く、まるで

仕方が無いと呆れた様子で言葉を続けると、徐々にその姿を瘴気の中から現して

見せる!…するとオリハもその声の主に警戒したよう慌てて振り返って見せると、

次には驚くべき光景を目にし!…その光景を見ては思わず口を開けて言葉に困り!…

ただただその様子を見て予想外と言った反応を見せて居ると、そこに居た者は

話しを続ける!…


「……よう?…多分なんだが?…姉ちゃんが探して居るのはコイツかい?…

だとするとぉ?…俺様は今ここで姉ちゃんを始末しなければいけないんだが?…

…如何なんだい?…」


オリハの振り向いた先に在った物は恐らく神輿!…その神輿には櫓の代わりに

壺が祭られて有って、その壺よりモクモクと瘴気が!…そしてその神輿を担いで

居るのはモンスター達であって!…赤や青!…緑と言った角を持つ鬼の様な

者達が担いで居ると、その神輿の上では親玉らしき者の姿も確認する事が

出来た!…そうしてオリハもまさかの登場に驚いた様子でとにかく固まって

居ると、その親玉らしき者は見下ろす様にして!…神輿と一緒に担がれては

胡坐を掻いて笑って居り!…オリハに対して警告をするようとある質問を

し始めると、まるでオリハの事を品定めする様にマジマジと見詰める

のであった!…

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