上 下
340 / 696
-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章四十二節 変なフィロと意味深な机と道化のマサツグ-

しおりを挟む



屋敷に潜入して色々と探索…その際ただ障子を開けるだけにも細心の注意を

払い!…廊下を歩くだけでおっかなびっくり!…しかしこれだけ罠に警戒

しながら歩いて居ようが容赦なく罠は発動すると、マサツグやフィロの事を

殺しに掛かり!…飛び出す槍に射出される苦無と!…一体何がスイッチと

なって動いているのか分からないで居ると、更に屋敷の罠はマサツグ達に

襲い掛かる!…


__そろぉ~り…そろぉ~り……カチッ…


「ッ!?…伏せろ!!」


__ガタンッ!!…ボババババババ!!!…カカカカカ!!!……カランカラン…


「……だ、大丈夫か?…」


幾ら罠が在ると分かって居てもその解除法までは分からないで居ると、この様に

防戦一方!…今回は壁からまたもや苦無が射出されるタイプの罠で、マサツグは

フィロを抱えて覆い被さり!…するとその射出された苦無はマサツグ達を飛び

越え後方の壁へと突き刺さって行き!…徐々に落ち着きを見せる頃には空しく

金属同士がぶつかる音を立てて居ると、マサツグもフィロに声を掛け出す。この時

唯一の救いは罠が起動した際、一体何が起きるのか?が既に分かって居る事位で…

その度マサツグはフィロを抱えて身を護り!…フィロもマサツグに守って貰えて

いる事で安堵すると同時に!…何とも言えない多幸感に包まれて居ると、フィロは

耳をピコピコと動かしながら何故か歓喜をして見せて居た!…


__ピコッ!…ピコピコッ!…


{嗚呼!…何と言う僥倖!…マサツグの熱がわっちを包む!…

そして心配をするマサツグ!…わっちは今マサツグに思われて居る!…

…カラクリ屋敷と言うのも悪くないのぅ!……}


「くふ♪…くふふふ♪…」


「……お、おい?…本当に大丈夫か?」


危機的状況下でありながらこの時フィロは自身のされて居る事に喜びを覚え!…

カラクリ屋敷に対しての危機感と言うよりもマサツグとイチャイチャ出来る!…

そんな何かズレた事に対して関心を覚え出して居ると、もはや注意を払うのでは

なくデートスポットの様に感じていた!…そして自身の心の中でそれを楽しむ様に

ただ幸福!と言った具合に思いを綴って居ると、表では不気味に笑みが零れて

居り!…これにはマサツグも何事?と言った具合に驚き戸惑い!…ただただ

フィロが笑って居る事に疑問を覚えては、罠も落ち着いた事で体を起こすなり

探索を再開する!…


__ギッ…ギッ…ッ!……


「…にしても難儀な屋敷だ!…

これじゃあウカウカ普通に生活もままならないだろうに!…

なぁんでこんな面倒な構造にしたのか?…」


「……それだけ何かに怯えて居ると言う事じゃろ?…」


「ッ!……怯える?…」


マサツグは体を起こすと同時に改めてこの屋敷が厄介である事について

語り出す!…その際更に色々と不便では無いのか?とズレた事にもツッコミを

入れるのだが、それを聞いたフィロも体を起こすなり何故か残念そうな表情を

見せると、その訳を話して見せる!…この時その訳もフィロが考えた憶測の話

でしかないのだが、頭領の事を臆病と!…何かに怯えて居ると体を叩きながら

答えて見せ、マサツグもそんなフィロの言葉に興味を持ったよう復唱しながら

尋ね出すと、フィロはその理由について話しを続ける!…


「…大体罠を仕掛けると言う行為は二つの意味が有る!…

一つは獲物を得る為!…もう一つは何かから遠ざける為の牽制策!…

…この場合は牽制策じゃな?…つまりこの屋敷に住んで居る者は

相当な臆病者!…或いは神経質な人間なのじゃろう…

…それこそ自身が殺して来た人間の遺族に復讐でもされぬよう…

寝首を掻かれぬ様に!…」


「ッ!?……」


「この手の生業をして居ればそう言ったモノには事欠かない…

何ならその手の者に寝首を掻かれた者は五万と居るじゃろう…

…故にそうなら無いよう罠を張る!…知って居るからこそ罠を張る!…

…つまりそう言う事じゃ!…」


「……里の中だってのにか…」


フィロが続けて話し出したのは罠を張ると言う意味について!…その意味も

二通りある事を話すとフィロは後者と!…相手を牽制する為の物とマサツグに

説明をすると、それを理由に相手が臆病者である事を結論付ける!…そして

その細かな理由についても自身が殺されない為の物と続けて話すと、マサツグは

その言葉に思わず戸惑い!…しかしフィロは構わず話を続け!…忍びと言う

モノはそう言うモノと!…まるで何かを知って居る様にマサツグへ説明をし

終えると、マサツグは忍びと言う職業?…に息苦しさを感じるのであった…

さて話は戻って探索に!…やはり罠の発動条件が分からず全部引っ掛かり…

しかし一度も被弾する事無く探索を続け!…何とか怪しい部屋へと辿り着くと、

二人はその部屋の捜索を開始する!…


「…ハアァ~…今の所オールで引っ掛かってるが…何とかここまで来れたな!…」


「……ここは奥座敷かや?…いやしかしこの屋敷には珍しく二階が?……

いや関係あるまいか…とにかく何か有りそうな気はする!…」


「……警戒しながら探すぞ?」


「そうじゃの!…」


__……ッ!………カッ……ゴオォ!…


もはや引っ掛かる事が当たり前の様に感じて来るのだが、それでも何とか

ここまで来れたと!…草臥れながらも一階の奥座敷へと辿り着き、そこで

色々と物が置かれて有るのを目にすると、その物置化して居る部屋の様子に

警戒をする!…その際フィロは奥座敷に物が置かれてある事に対して

可笑しい…と言った具合に悩むのだが、今はそれを置いて探索と!…その際

物に隠れて罠が有るのでは!?と警戒を強め!…フィロに注意するよう

声を掛けると、フィロもそれに賛同するよう返事をする!…さてその物置と

化して居る奥座敷には階段状のタンスの他に壺や花瓶など、骨董品?…

らしき物等が置かれて有り!…ついそれを見たマサツグはふとある衝動に

駆られ!…徐にその壺を手にするなり床に叩き付けようとすると、フィロから

慌てて止められる!…


「ッ!?…ちょ!?…待つのじゃマサツグ!!…

お主何をしようとして居るか!!…」


「ッ!…へ?……あっ…」


「ッ!?…無意識!?…一体如何したと言うのじゃ!…

疲れてしもうたのか?…」


「い、いやぁここに来て何故か壺を割りたい衝動に!…

とにかく大丈夫だ!…探索を続け…」


突然のマサツグの奇行にフィロも戸惑い!…当然のよう何事か!?と声を

掛けると、次にはマサツグがハッと我に返ったよう壺を降ろす…それは

本当に無意識だった様で感覚的には某・大作RPG宜しく!…小さな何かを

見つける様なノリで!…とにかくマサツグも何でこんな事を?…と言った

具合に自身に驚き!…フィロに大丈夫と言って探索を再開しようとすると、

フィロはそんなマサツグの様子を見て労わるよう一度は座る事を促す!…


「ッ!…ッ~~~!…と、とにかく一旦座って休むのじゃ!…

わっちが代わりに探索をしておくから!…な…な?」


「ッ!…い、いや本当に大丈夫だって!…とにかくここを…」


__ガッ!!…ッ!……


まるでこのままだとヤバい!…と言った具合にフィロは慌て!…マサツグに

座って休むよう声を掛けると、マサツグはそんなフィロに対して大丈夫と

返事をする!…その際フィロの必死具合に戸惑いつつとにかく探索をする様に

箪笥へ手を伸ばそうとすると、突如フィロがそれに反応するようマサツグの

手を握り!…当然突如手を握られた事でマサツグも戸惑ったようピタッと

止まり!…恐らく手を掴んで来たであろうフィロの方へ振り向いて見せると、

そこで心配をしている本気のフィロの姿を見つける!…


__チラッ?…ッ!?…


「た、頼むからここでジッとして居れ!!…今の状態で探索など!!…

もし罠に引っ掛かってはそれこそ目も当てられぬ!!…

疲れたのなら素直にそう言えば良いのじゃぞ!?……幸い!…

ここの奴らはあの娘を乱暴に扱う気は無いよう故!…時間はある!…

敵地である事に些か不安を覚えるが…ここは言わば安全地帯!…

余程の者がここに訪れぬ限り安全は安全じゃ!…」


フィロはマサツグの手に縋り付いて休む様に訴えると、目に若干の涙を浮かべて

懇願!…当然そんなフィロの様子にマサツグは更に驚き戸惑い!…ただ身動き

一つ出来ない様子で固まってしまうと、フィロから更に必死の説得を受ける!…

その際フィロはここなら安心と言った具合にその理由を話すと、アヤの身の安全

からその敵の動向と!…それこそ偶然が重ならなければここは安全と涙ながらに

訴え続け!…マサツグもまさかただぼぉッとして居ただけでここまで心配される

とは思っても居なかった様子で戸惑い続けると、遂には折れた様子で座り込む!…


__………ストン…


「わ…分かったよ…だからってそんな泣く事は無いんじゃ!…」


「それだけマサツグの事が心配なのじゃ!!!…

もう!…もう一人は嫌なのじゃ!…」


「ッ!…ふぇ?…」


階段状の箪笥を背もたれに座らされ!…マサツグも折れた具合にフィロへ

返事をすると、そのマサツグからの返事にフィロは文句を言うようムキに

なる!…この時やはり突発的な行動をしたのがいけなかったのか、本気で

マサツグが壊れたのではないか!?と…マサツグはその言葉に大げさな!…

と感じつつも黙って聞き…フィロが落ち着くのを見守ろうとするのだが、

そのフィロが最後に呟くよう言った言葉に思わず戸惑う!…その際フィロは

一人は嫌だ!と…まるで何かトラウマが有る様な事を口にし、マサツグも

そのフィロの台詞を聞いて思わず声に出して戸惑って見せると、フィロは

そんなマサツグの反応に気が付いたよう!…涙を拭っては何でも無い!と

返事をする!…


「……ッ!!…と、とにかく!!…そこでジッとして居れ!!…

此処はわっちが完璧に探索して見せる故!…今の内に英気を養うと良い!…」


{……ッ?…今の反応は何だ?……まるで何かに重ねられた様な?…

…まぁ余計な詮索はあまりせんでおこう…とは言えまさか座らされるとは!…

…ジッとしてるのも何だし…少しばかり辺りを探るか…感知サーチ!…}


__ピィーン!!……ヴウン!!…


{……ッ!…あれ?…隣の部屋からアイテムと罠の反応?…

……すぐそこだから取りに行きたいけど!……うぅ~ん…}


まるでそこには触れられたくない!と言った様子で気丈に振舞い!…とにかく

マサツグに休むよう文句を言いつつ座らせておくと、フィロは一人奥座敷の

物置部屋を探索する!…その際最後の方でもマサツグを気遣うよう言葉を口に

すると、箪笥をノックして罠が無いかなど確認し始め!…マサツグはマサツグで

そんなフィロの反応が気になった様子で、しかしフィロの様子から察したのか

詮索はせず暇を持て余した様に感知サーチを発動して見せると、ある反応を感じ取る!…

それは自分達の居る部屋の隣から感じるモノで、アイテムと罠の両方!…すると

そんな気を感じたマサツグとしてはジッとしては居られず!…何とかフィロの

隙を伺って動けないモノかと考え出して居ると、フィロはその物の影に隠れる

よう移動する!…


「……うぅ~ん…ここ等辺に変わった物は無さそうじゃなぁ?…

もしかするとここは本当にただの物置部屋か?…」


__ゴソゴソッ!……そろぉ~り…そろぉ~り…


{…今いい感じにフィロが埋まって行ったから行けるかな?…

…大体この俺にジッとしてろとか!…

それは無理な相談だぜフィロちゃぁ~ん!…}


__……すうぅ~~…ッ!…


何か成果を見つける事に躍起になっており!…マサツグの事を忘れたかの様に

探索をして居ると、その隙を狙ってマサツグは動く!…その際フィロの動向に

気を付けつつその反応の有った隣の部屋へ行くと、そぉ~っと襖に手を掛け!…

この時心の中でフィロに無駄だ!と声を掛けつつ!…隠密ステルスを使うかも考えた

具合に自身も探索に参加をし始めると、その襖を開けた先であるモノを

見つける!…


「……ここも物置部屋ッポイ?…

いやでもあの真ん中に置かれて有る机は?……

それに何か紙も……ッ!?…これって!!…」


「フィ~!!……これと言って何も……ん?…

マサツグ?…何処に行って?……ッ!!…

それに触るでない!!!!」


襖を開けるとそこにはまたもや物置部屋!…もはや戦利品保管庫と言っても

良い具合に鎧甲冑やら何やらが置いて有り、その部屋の真ん中には妙な

事に机が!…そしてその机の上には何かが書かれた書類の様な物が置かれて

有り!…マサツグもそれを見て近付くよう内容を確認すると、その内容に

驚き始める!…そしてその一方でフィロも戻って来たよう額の汗を拭って

居ると、マサツグが居ない事にふと気が付き!…更には何故か隣の襖が

開いて居る事にも気が付き出し!…フィロは直ぐにその部屋を覗き、そこで

マサツグが何かをして居る!…更にはその部屋の天所に刃物が付いて居る

のを目撃すると、マサツグに向かって危険を伝える!…するとそのフィロの

叫ぶ声にマサツグもビクッと反応すると、振り返っては驚いた表情を見せ!…


「ッ!?!?…吃驚したぁ~!!…え、何?…急に如何した?」


「急に如何した?…では無かろうが!!!…

あれ程休んで居れと言ったのに!!…お主と言う奴はぁ~!!!」


「ッ!?…ま、まぁ待てって!…こんな所で暴れたら!!…」


「ッ~~~!!!…ッ!…とにかく!!…一旦それから離れよ!!」


「ッ!……お、おう…」


見つかった事に対して悪びれもせず!…ただ驚いた様子で大声をあげたフィロに

如何した?…とマサツグが問い掛け出すと、当然の様にフィロは怒って見せる!…

その際マサツグを睨みつつドンドンと詰め寄って行くと、今にも飛び掛からん

勢いで説教を!…これにはマサツグも戸惑った様子で宥め出すと罠を気にし!…

フィロに飛び掛かるのは止してくれ!とばかりに慌てて居ると、フィロも何かを

察した様子でマサツグを呼ぶ!…そしてマサツグもその呼び掛けに対して嫌な

予感を感じつつ、一応返事をしてはスゴスゴと元の前の部屋まで戻って行くと…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…パァン!!…


「ッ!?…ったあぁ~~!!……おい、叩かなくても!…ッ!?…」


__プルプルプルプル!!…ウルウルウルウル!!…


マサツグが隣の部屋まで戻って来ると、フィロは大きくジャンプしてマサツグの

頬を叩き!…するとマサツグもフィロに頬を叩かれた事で怯んだよう仰け反って

見せ!…次にはその叩かれた頬に手を当てては文句を言おうとすると、その文句を

言い切る前にフィロがまたもや泣きそうな!…何なら小刻みにプルプルと身を

震わせて居る様子を目にする!…となるとマサツグもそんなフィロの様子を見て

思わず固まってしまうと、フィロは構わず無言ので猛抗議!…こうなって来ると

マサツグもフィロに対して文句を言えず!…とにかく勝手に動いた事に関して

謝って見せると、納得が行かない様子で頭を掻く!…


「……ったく!…悪かったよ!…何をそんなに怯えて居るのか知らんが…

…とにかく俺は大丈夫だから!…探索には参加するぞ?」


「……うん……で、隣の部屋へは何故?」


「ッ!…なぁ~に?…ちょっとばかし動けないながらも探索は出来ねぇか

と思って気配を探ったら反応が有って!…

フィロが見て居ない事を良い事にちょ~っと先に探索をと思って入っただけだ!…

…中に罠がある事は分かってたし…気を付けりゃ問題は無いかってな?」


「……で、その不自然な机と紙と言う事か……天井を見たか?」


フィロがそこまで心配する理由に察しが付かず!…とにかく自分は大丈夫で

ある事を口にすると、再度探索に参加する事を口にする!…それはあからさまに

止めても無駄だ!と言う事を口にしており、フィロもその言葉を聞いて止めても

無駄だと悟り!…マサツグに対して静かに返事をすると、先程の部屋の事に

ついて尋ね始め!…マサツグもその問い掛けに答えるよう素直に隠す事無く事の

経緯を説明すると、分かっててやったとフィロに話す!…この時既に中の状態に

ついても分かって居る!と続けると、フィロも納得した様子で返事!…その際

マサツグの後ろに見えて居る奇妙な机の事を指差して見せ、更に天井の刃物の

事についてマサツグに尋ねると、マサツグはへ?…っと言った具合に振り返って

確認をする!…


「ッ!…へ?……ッ!?…うわぁ!…このタイプの罠だったのか!…

部屋全体が真っ黄色だったから分かんなかったけど!…

降って来るパターンの!…」


「……はあぁ~、とにかく!…あの紙は何だったのじゃ?…

見たところ何か重要そうには見えるのじゃが?…」


「ッ!…あぁ~!…あれは俺達が探して居た物だ!…見取り図!…

ちゃんと何から何まで書かれて有ったぜ?…地下に二階!…

あと座敷牢への行き方も!…」


「ッ!…回収は!?…って、出来る訳が無いか…

あの様にあからさまに開いて置かれて有ると言う事は十中八九、罠!…

さてどうやって回収したものか?…」


罠が有ると分かって居てもそのタイプまでは分からなかった様子で、マサツグも

初めて知ったとばかりに驚いた反応を見せると、その分からなかった理由を口に

する!…まぁ口にすると言ってももはやただの言い訳でしかないのだが、当然

それを聞いたフィロは呆れて見せ…とにかくそこで見た物についてマサツグに

気になったよう問い掛け出し!…マサツグもその問い掛けを受けて反応する

よう!…フィロの方に振り返りその正体が見取り図である事を口にすると、

大体の構造は分かった!とばかりに話して見せる!…するとそのマサツグの

言葉にフィロもピクっと反応すると、回収は!?と尋ねるのだが!…当然先程の

事も加えてあからさまな釣りと!…出来る訳がないと自己完結して見せ、改めて

どうやって回収するかで悩み出そうとすると、ふと先程気が付いた物に目を

向ける。


「……恐らく罠の引き金はあの細く薄い蜘蛛の糸の様な物!…

明らかにその糸は天井に向かって伸びてるし!…

その見取り図にくっ付いて居る様に見える!…

さてあれは糸を引っ張る事で起動するのか?…

はたまた糸が切れる事で起動するのか?…うぅ~む…」


「……試しに斬って見るか?…もっと確実なのは大剣を屋根代わりに…」


「ッ!?…この愚か者!…迂闊な事をして見ろ!!…

あれだけとは限らんのじゃぞ!?……全く!…

ここが如何言う所なのか身を持って知って!…」


フィロが気が付いた物と言うのはその天井へと繋がって居る蜘蛛の糸の様な物!…

隣も物置部屋で辺りの物は埃を被っている事でその糸に対して違和感がなく!…

何も注意せず触れれば串刺しに!…そんな恐ろしい構図が見えると言った具合に

フィロがその罠の発動条件に付いて考えて居ると、マサツグは短絡的に考えた

様子で提案をする!…その提案と言うのもその怪しい糸を斬ると言うモノで、もう

一つは大剣を盾に回収など!…しかしそれを聞いたフィロは当然猛反発!…

ここまで来るのに今まで体験して来た事をもう忘れたのか!と!…子供のよう

地団太を踏んでマサツグに怒りを露わにして居ると、マサツグはキョトンとした

顔でこう答える!…


「……ッ?…いや、多分大丈夫だと思うけどなぁ?」


「ッ!?…な!…何を根拠に!!…」


「まぁ見てなって!……ほれ?」


「ちょ!?…止め!!」


__バッ!!…ガシッ!!…プツッ!…


何故かマサツグは謎に自信を持っている様で…怒るフィロに向かって大丈夫と

言うと、勿論そんなマサツグの言葉にフィロは戸惑う!…そして次には困惑した

具合にその根拠について尋ね出すのだが、マサツグはろくに説明もせず行動に

移り!…見てろ!と言うと徐に刀を抜き出し!…そしてその見取り図に付いて

いる糸に近付き刀の切っ先を!…するとフィロが慌てて止めに入ろうとする

のだが時既にお寿司!…フィロが止めに入った反動で刃は糸を切ってしまい!…

フィロもマサツグの背中にしがみ付きながらやってしまった!…とばかりに

その光景を見て居ると、それはいい意味で期待を裏切る!…


「ッ!?…し、しま!!…ッ~~~!!…

……ッ?…あ、あれ?…な、何でじゃ?…何故なにも起きぬ?…」


「…な?…何も起きないだろ?…いや可笑しいと思ったんだよなぁ~!」


「……へ?…」


期待を裏切る出来事!……!…当然警戒した

具合にフィロは縮こまってしまうのだが、幾ら警戒した所で罠が発動した

形跡はなく!…フィロもその異変に気が付いた様子で徐に警戒を解いて見せ、

何も起きていない事に疑問を持つと、ただその何も起きていない部屋を

見詰めては固まってしまう!…その際マサツグの背中からずり落ちて呆然と

するのだが、マサツグは当然と言った具合に言葉を漏らし!…するとフィロも

そのマサツグの言葉で更に戸惑ったよう反応して見せ、気の抜けた声で

マサツグに尋ねるようただ一言漏らしてしまうと、マサツグはそれに

答えるようフィロに話す!…


「……よくよく考えてみ?…

それこそ今までちゃんと気配を探らねぇと分からねぇ程に

罠が張って有ったのに!…

何でここに来てこんな手の抜いた事をしてあるんだ?…」


「ッ!!…」


「それこそ今まで通り天井から刃物を落とすならちゃんとその刃物を隠す筈!…

けどどうよ?…完全に諸見えだぜ?…

確かに裏の裏を読んでこれが罠と考える奴も居るだろうが…

だとしても今までの事を考えるとこれは不自然!…

まるでこれに注意を向けさせて別の方法で仕留めに掛かる!…

それこそこれ自体が釣りだと言って居る様に見えて!…

俺からするとそれが一番自然なんだわ!…

……あと、ゲーム的にもそんな込んだ事は出来ないだろうし…」


「……最後のは如何言う事なのじゃ?…」


マサツグはフィロに思い返すよう今までの罠について話しをする!…マサツグが

言うには今までの罠はどれも隠す様にして設置されていたにも関わらず、これは

隠されて居ないと!…何故これだけ隠されて居ないのかに疑問を向け!…その際

罠を読むに当たって色々な考えがある事をも含めるのだが!…それでもやはり

可笑しい事を指摘すると、これが釣りである可能性について話しをする!…

この時その他の罠が何なのかについてはまだ分かって居ない様子で話しを続ける

と、その最後の方でメタい事を口にし!…するとその最後の言葉にフィロが

しっかりと食い付いて見せ!…そんなフィロの問い掛けに対してマサツグも

はぐらからす様に返事をすると、見取り図の回収に動き出す!…


「ッ!!……あぁ~ッとだなぁ?……まぁとにかくだ!…

あの糸がトリガーなのは違いないとして!…

こうして何も起きなかったって事は!…」


__スゥ…チャキンッ!……パサァ…


「………ほれ?…この通り無事回収出来ましたとさ!…ってな?」


「……マサツグ!…お主本当に何者なんじゃ?…

時折抜けた事をしたかと思えば…突如冴えおる!…

その落差の激しさは一体?…」


何とも返事のし辛い質問を誤魔化しつつ!…気を取り直してマサツグは刀を

鞘に仕舞うと、その机の上に置かれて有る見取り図に手を掛ける!…その際

フィロはその場に座り込んでマサツグの様子を見守って居ると、本当に何も

起きないのか?と心配をして見せ!…しかしそのフィロの心配も杞憂に

終わり!…マサツグは何事も無くその見取り図を回収!…フィロに見せるよう

笑顔で何ともない事をアピールすると、フィロの元へと戻って行く!…

するとそんなマサツグの様子を見てフィロは更に困惑すると、徐に質問を

し始め!…その質問と言うのも突然のマサツグの切れ者具合に!…まるで

わざと道化ピエロを演じている様に声を掛けると、マサツグはそのフィロの言葉に

文句を言う!…


「ッ!…デケェお世話だ馬鹿野郎!…

…にしてもここまで来るのに時間が掛かったなぁ?…

移動に半日…屋敷に潜入から探索で今!…

もう夜の7時か……さすがに疲れたし…一回ここで寝るか?」


「ッ!?…て、敵地でか!?…ま、まぁ確かにここなら休めると言ったが!…」


フィロにツッコミを入れるよう文句を言い!…改めて時間を確認すると、もう夜の

七時を回って居る事を確認する!…その際思い返す様に今までに掛かった時間に

ついて考え出すと、次には疲れたと零し!…遂にはフィロに一度休む事について

提案をし始め、フィロもそのマサツグの言葉に驚いたよう!…自身で言った言葉を

思い出しつつ!…それでもとばかりに戸惑った様子で言葉を口にしようとすると、

マサツグはその休む方法について話し出す!…


「…最悪二人で毛布と幻影コートに包まって寝りゃ敵が入って来たとしても

見つかる事は無いと思うぞ?…ここ暗いし?…」


「ッ!?…ふ、二人で包まって!!…

そ、そそそそれはみ!…みみみみ!…密着すると言う事か!?…」


マサツグはフィロを抱えて寝る事を提案!…その際暖を逃がさない様に毛布に

包まり!…隠密性を高める為に幻影コートを上から被るようフィロへ提案を

すると、何故かその提案にフィロが興奮をし始める!…その時フィロはマサツグに

迫るよう言葉を口にすると、その顔を真っ赤に!…何なら敵地で寝る事に関しての

反対などもはやそっちのけ!…こんなチャンスが巡って来るとは思っても

居なかった様子で呂律が可笑しい事になって居ると、マサツグからツッコミを

受ける!…


「……今まで先途くっ付いて来てただろうが?…

何を今更照れて?…」


「ッ!?…い、いや!…そのぉ…

…マ、マサツグから誘われた事は無いと思うて…な?…」


「……なぁんか意味深に聞こえるんだが?」


何と無くフィロが興奮している理由について察しが付き…マサツグも呆れた様子で

フィロに声を掛けると、フィロはマサツグに照れ!…更には興奮が抑えられない

様子で乙女化!…マサツグもそんなフィロの様子に更なるツッコミの言葉を口に

すると、これまた呆れて見せる!…しかしフィロの暴走は止まらない!…フィロは

徐にマサツグから離れると人一人分位座れる距離に!…突如正座をしては

マサツグに三つ指を立て出し!…深々とお辞儀をして見せると、意味深な言葉を

口にする!…


__スッ……トトッ…スッ…スッ…スッ…


「ふ、不束者じゃが……よ、よろしく…お願いします…のじゃ?♥」


「……ただ寝るだけだが?」


まるで新婚初夜の様なテンションでフィロはマサツグに挨拶!…しかし当然

そんなフィロにマサツグは釘を差し!…ただ寝るだけと一応の念を押し、

その日はその屋敷の物置部屋で!…物陰に隠れる様にして先程の提案通りに

二人…密着する様にして毛布とコートに包まり一夜を明かす事にすると、

改めて次の日屋敷の探索に出るのであった!……因みにシロはと言うと、

マサツグが居ないのでオリハのベッドに潜り込んでは二人で仲良く!…

しかし次の日にはオリハの顔にフェイス〇ガー!…ある意味でオリハは天国へと

誘われるのであった!…

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:148

世界神様、サービスしすぎじゃないですか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,444pt お気に入り:2,211

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:101

女神と称された王子は人質として攫われた先で溺愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:1,948pt お気に入り:149

天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:114

【完結】幸せしかないオメガバース

BL / 完結 24h.ポイント:539pt お気に入り:1,868

処理中です...