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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章三十六節 立て続けの不運と男の土下座と誘拐騒動!…-

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「お話してる所悪いけど…更に悪い事になったみたいやで?」


「ッ!?…何奴!?…」


__スウゥ…タン!!…


「…俺や!…

何でもその護らなアカン人物が満身創痍でここに運ばれたって

聞いたから一目会っとこうと思ってな?…他にもモツとレイヴンも来てるで?」


「ッ!?…ほ、本ちゃん!!…かっつぁん!!…」


突如何処からともなく話に混ざるよう何の前触れも無く声が聞こえて来ると、

その声は悪いニュースをと!…当然その声に聞き覚えの無い兼貞は突如驚き!…

警戒した様子で徐に声を荒げて見せると、次には兼貞の事など御構い無しに

襖が開く!…するとそこからライザが姿を現したかと思えば、次にはモツと

レイヴンも姿を現し!…ライザはとにかく警戒を解くよう声を掛け!…

自分達が来た事と他二名を連れて来たとばかりにマサツグや御座るに挨拶を

すると、感覚的に久しぶりな気がするマサツグは中身の名前で呼ぶ!…

するとその名前で呼ばれた事にモツとレイヴンも若干戸惑った様な反応を

見せるだが、次には苦笑いしつつ手を軽く上げ返事!…マサツグの友人で

あると分かった事で兼貞も警戒を解き!…徐々に徐々にその落ち着き様を

見せると、ライザが話の続きを口にする!…


「……話の続きや!…その厄介な家臣共は本気になったみたいやで!…

今街中のあっちゃこっちゃに高札が掲げられとって!…

そこに時継を次期当主に持ち上げるって堂々書いて置いて有ったわ!…」


「ッ!?…バ、馬鹿な!!…俺ぁまだ死んで!?…ッ!!…ッ~~~!!」


「ッ!?…兼貞様ご無理を!!……それはまことで御座るか!?…」


「……あぁ…」


ライザが言う話の続きはその悪いニュースの内容で、恐れていた次期当主の

祭り上げが決まったと!…これには兼貞も驚き戸惑った様子で反応すると、

それは可笑しい!とばかりに反論を口にし!…しかしここで怪我が祟った

のか次には苦痛に表情を歪め!…突如自身の胸を手を当てて押さえる様な

仕草を見せると、自身の負った怪我の痛みに耐え出す!…すると当然そんな

兼貞の様子に御座るも慌てて駆け寄ると、心配し労わるよう言葉を口にする

のだが!…やはりそのライザの話の真実の有無が気になった様子で声を

掛け出し!…ライザも問われた事に対して答え辛そうに俯いて見せると、

次にはポツリと言葉を呟く…そうして部屋の中がまたもや重苦しい状況に

なり出すと、更に悪い事は続くのか!…


__ダッダッダッダッダッダッダッ!!!…


「で、伝令!!…」


「ッ!?…きゅ!…急に何だと言うのだ!?…」


「……御免!!…なれど!!…早急に報告しないといけない事が!!…

先程!!…高札の内容を確認しに調査に赴いたのですが!…

それと同時に指名手配が!…」


「ッ!…指名手配?…」


その悪いニュースはまたもや何の前触れもなく!…突如廊下の方より誰かが

駆けて来る足音が!…それは明らかにこちらへ向かって近付いて来る音で、

何とも慌しく!…次にはその足音の主かその者はマサツグ達の居る部屋の襖を

豪快に開け!…緊急の連絡を持って来たとばかりに慌てた表情で声を荒げて

見せると、その何者かの登場に全員が驚いたよう一斉に視線を向ける!…

これには当然御座るも戸惑った様子で反応すると、叱咤する様に用件を聞く

のだが!…その隠密は本当に緊急!と言った様子で報告を始め!…その内容に

高札の内容を確認しに向かったと話すと、同時に指名手配の事も話し出す!…

するとその話を聞いて御座るも困惑したよう復唱すると、その隠密は誰が

指名手配されたのかを続けて話す!…


「ハハッ!……その指名手配の人相書きが!!…兼貞様と!!!…」


「ッ!?…バ、馬鹿な!?…理由は!?」


「……理由は!!…弟君!!…時継様の暗殺未遂!!!…

今日の未明!!…何者かに時継様の命が狙われた様で!…

その容疑者に兼貞様と!!!…」


「ッ!?…馬鹿な!?…何と言う事だ!?…

…ここまでやるで御座るか!?…」


指名手配されたのは兼貞であった!…まるで時代劇の様にその隠密が傅くと、

その者は動揺しつつも報告を続け!…御座るもそんな報告を突如受けて更に

動揺を示し!…一体如何言う事か!?とその指名手配の理由について聞き

出すと、その隠密は動揺したまま理由を話す!…何でも未明に暗殺騒ぎが

有ったらしく!…その犯人!…或いは首謀者に兼貞の名前が挙がったと!…

勿論兼貞はこの通り襲われて居るので犯人ではなく!…誰もがでっち上げた

嘘の指名手配だと気付くと、次には落胆した様子で御座るが呟く!…その際

自身の権力の為にここまで醜くなれるのか?と思うと、怒りが湧いて来ると

同時に空しく!…そしてそんな話を幾度となく見て来たマサツグもまたか…

と落胆!…一気に面倒事の匂いが濃厚となって来た所でフィロがスッと思い

付いたよう口を開くと、トンデモナイ事を言い出す!…


「……ッ!…ならばいっその事その重鎮共を駆逐するのは如何じゃ?」


__どよっ!?…


「古狸共が寄って集ってその子供を食い物にすると言うのなら…

いっそ駆逐してしまっても構わんじゃろうて?…

所詮は欲に縛られた醜き者達…ただの害悪となり果てたに過ぎん!…

…ッ!…狸とは言うたがまだ狸に失礼じゃな?…

狸は死してもその革を剥げば売れるが…

今申した狸はただ死臭を放つ事しか出来ん…からな?…くふふふ♪」


フィロの何気ない一言に周りは凍り付く!…何故なら暗殺し返せばいいと

フィロが言い出したのだから!…当然この言葉に周りに居る面々達は驚き

戸惑い!…どよめいては一斉にその視線をフィロに向けると、フィロは

続けて言葉を吐く!…その際その私利私欲に塗れた家臣達の事を狸と呼称

すると、害獣を殺して何が悪いと!…この幼女らしからぬ発言に御座ると

その報告に来た隠密は戸惑い!…何ならそのフィロの言葉から冗談に

聞こえない凄味と言うモノを感じると、絶句する!…その一方でフィロは

淡々と自身の言葉を続けると、更には皮肉を!…同じ狸でも獣はまだ利用

出来る価値がある事を口にすると、欲に塗れた方の狸に価値はないと!…

まるでそれを分からせる様に隠密達に笑って見せ!…その方が事が楽に

運ぶと言った具合に悪い笑みを浮かべて見せると、マサツグから戸惑った

様子でツッコミを受ける!…


「ッ!?…フィロさん?…ここで魔王の片鱗見せんでも…」


「……ッ!…そうか!…その手が有ったか!!…」


「ッ!?…ちょ、ちょっとぉ!?…」


「ッ!…あぁ、いやいやこっちの話だ!…気にしないでくれ!…」


フィロの言葉に戸惑いながらも落ち着くよう声を掛け、そのマサツグの

呼び掛けに対してフィロもコロコロと笑って見せると、突如兼貞が

思い付いた様子で言葉を口にする!…それはまるでフィロの案に乗った

よう、何ならその手が有ったと言い!…当然その言葉に誤解したのか

マサツグが慌ててツッコミを入れ、そのマサツグのツッコミに対して

兼貞もハッとしたよう違うと訂正の言葉を口にすると、最後に気に

しないよう声を掛ける!…勿論そんな事を言われてもタイミング的に、

否応無しに疑ってしまい!…その一方でレイヴン達も少しは調べて

来たと!…恐らく首謀者であろう人物の話をし始めると、部屋の中は

まるで会議室の様になる!…


「……ッ…い、一応こっちの方でも調べてみたんだが…

今の所この騒動に動じてあからさまに動いて居るのが二人!…

それも厄介な地位に居る連中で恐らく本命!…

片方は政治の根幹を担って居る「宗徳」って奴で…

もう一人は軍事!…名前を「義光」って言うらしい!…

将軍が亡くなった今でも今はこの二人が主軸に動いて居るみたいで…

ある意味実権を握って居るのはこの二人と言っても過言じゃねぇ!…」


「…だが代表!…将軍の地位ってのはやっぱり必要みたいで…

さすがにその二人でも介入出来ない部分があるとか!…

それが如何にもこの国を揺るがす的な何からしくて…

二人もそれに対して手を焼いているとか!…だから余計に時継を頭に!…

自分達で好き勝手出来る様にしたい!…ってのが本音に見える!…」


「……やはりその二人の名前が出て来るか!…

…口は悪いがまだ日の浅い冒険者達でもその名前に行きつく!…

もはや十中八九そうなのでは!…」


__………スッ…ピシッ…


フィロの発言に戸惑った様子でモツが語り、とにかく自分達の方でも調べて

怪しいのが二人居ると!…その名前を「宗徳」と「義光」と言うらしく!…

それぞれ重要な位置に居る事から、余計に臭い!…と言った具合にモツは

話すと、その話にレイヴンも乗っかり始める!…その際レイヴンが話し出した

のは二人が如何してその地位を狙って居るかで!…如何にも政治の根幹を

担ってても手が届かない部分が有るらしく!…それが如何してももどかしい

様で!…故にこの様なクーデター紛いな事をしたのでは?と話して見せると、

その話を聞いた御座るも納得する!…この時自身の口の悪さに申し訳なさを

感じつつも二人を褒めると、的を絞る様に兼貞へ進言!…しかしその話を

聞いても兼貞は一人悩むだけで!…それよりもマサツグ達に御願いが有ると

言った様子で徐に布団から出ると、突如としてマサツグ達を前に正座する!…


「ッ!…か、兼貞様?…」


__……ガバァッ!!!…ッ!?!?…


「か、兼貞様!?…な、何を!?…」


「スマン!!…こんな形でこんな事を言うのは烏滸がましいおこがましいと思うが!!…

俺の願いを一つ聞いちゃあくれねぇだろうか!!」


突如兼貞が目の前で正座をし始めた事でマサツグ達は戸惑い!…御座るも心配した

様子で兼貞に声を掛けると、次には兼貞が土下座をする!…それは明らかに何処を

どう見ても土下座であり!…しっかりと自身の額を敷布団にくっ付け!…当然突如

土下座をされた事でマサツグ達も驚き戸惑い!…一体何事か!?と言った具合に

固まってしまうと、御座るが慌てて声を掛け出す!…その際御座るは兼貞に頭を

上げるよう名前を呼ぶのだが、兼貞は決して頭を上げず!…寧ろ敷布団に減り込み

擦り付ける勢いでマサツグ達にお願いを口にし!…その兼貞のお願いにマサツグ達

もハッと意識を取り戻したよう反応すると、兼貞は構わずお願いを続ける!…


「…俺ぁ別にこの国が如何なろうと構わねぇ!!…

ただ俺は自分の愛すべき者達を護れればそれで良いと!…

それこそ唯一の兄弟である時継さえ平和に過ごせればそれで良いって思ってた!…

だが親父が死んだ事で急にコレだ!…アイツは今厄介な事に担ぎ上げられて!…

矢面に立たされようとしている!…

…情けねぇ話だが俺にはアイツを護る力も!!…術も無ぇ!!!…

だから!!!…アンタ達に男を恥んで頼む!!!…どうか!!…

如何か弟の事だけでも助けてくれちゃ貰えねぇだろうか!!!…

後生だ!!!…頼む!!!…こんな俺に!!…力を貸してくれえぇ!!!…」


__………。


それは先程までの剽軽ひょうきんな様子から…何ならその真剣な様子からは信じられない程の

真っ直ぐで純粋なお願いであった!…兼貞は国の事より大切な物を!…それこそ

弟を!…と頭を下げてお願いをすると、自身の無力さに打ちひしがれるよう!…

ただ頭を下げたまま延々とマサツグ達にお願いをし続け!…その声も徐々に涙が

絡んで来たのか!…さながら魂の叫び様にも聞こえ始めると、マサツグ達の心に

訴え続ける!…ただ平穏を望み!…その為に自身の男を投げ捨て土下座をして

見せ!…力を貸してくれた頼む目の前の男に!…マサツグ達も何とも言えない

感情に揺り動かされると、遂には諦めたよう覚悟を決め出す!…


「……はあぁ~……で、こんなん言うてるけど如何するん?…

俺一人で勝手に決められんで?…」


「…それは俺もだ!…これに関してはの意見を聞かないとな?…」


「……で、如何するよ?…リーダー?……

まさかここまで男を見せている相手に!…断るなんて事はしねぇよな?…」


「……さっきからリーダーリーダーって!!…

俺は別にそんなんじゃねぇっての!!……けど!…

ここまでされて断るなんて事は!!…勿論出来ねぇよなぁ?…」


兼貞のお願いを聞いた所でライザが徐に溜息を吐き…そして有無を尋ねる様に

振り返り他のメンバーへ問い掛けると、そのライザの言葉にレイヴンが返事を

口にする!…その際それを決めるのは自分達じゃない事を苦笑いをするよう

話すと、やはりその有無をリーダーに尋ね!…するとそのレイヴン言葉に

便乗するようモツも苦笑いしながら乗っかり出し!…まるでリーダーの心を

焚き付ける様にその確認の有無についてを尋ねて見せると、遂にリーダーマサツグ

反応を示す!…この時周りからリーダーリーダーと呼ばれる事について

ツッコミを入れると、次にはスッと真剣な表情を!…そして目の前で未だ頭を

下げ続けて居る男に対して視線を落とし!…既にその心の内の決断は決まって

居るとばかりに言葉を口にし始めると、マサツグは兼貞に声を掛ける!…


「……よう!…一国の長男坊さん?…頭上げてくれよ!…」


「ッ!……ッ!!…」


まるでアニメ宜しくマサツグ達が決意を固めるとやる気を見せ!…互いに顔を

見合わせ一度頷いて見せると、マサツグが格好つけた様子で声を掛ける!…

するとマサツグに声を掛けられた事で兼貞も頭を上げると、その顔は見事に

ボロボロで…何なら先程まで頭を擦り付けていた敷布団にはしっかりと涙の痕!…

やはり自身の泣き顔を見せる事に抵抗がある様子でそれでもマサツグ達に顔を

挙げて見せると、そこで不敵に笑うマサツグ達の姿を見つける!…


「…こんな出来立てホヤホヤの弱小クランに!…

よくそんな大仕事な依頼を寄こして来たモンだ!……だが!…

その依頼!!…受けてみるのも面白そうだ!!!…

この程度の力で良けりゃあ!!…この喧嘩!!!…

喜んで!!!…買わせて貰うぜぇ?…」


「ッ!!……ッ~~~~!!!…すまねぇ!!…ずま゛ね゛ぇ゛!!!……」


ある者は腕を組んでやる気を漲らせ!…またある者はフードを被り直して頷く!…

そしてマサツグも兼貞に対して引き受ける事を口にすると、自分達の事を弱小と

言い!…それでも兼貞の思いは届いたとばかりに!…改めて兼貞からの願い依頼

聞き入れたよう威勢よく答えを口にすると、そのマサツグからの答えを聞いた

兼貞は感涙する!…その際頭を上げたにも関わらず首からガクッと折れる様に

首を垂れると、何度もマサツグ達に謝り!…そんな兼貞の様子にマサツグ達も

更に闘志を漲らせ!…明日以降どう動くかで色々と考え出そうとするのだが、

その日はもう日没となった事で…何なら兼貞の体調の事も考えて解散する

のであった!…因みにその間シロはマサツグの言い付けをしっかりと守って

目を隠し続け!…次にシロが日の光を見たのは次の日の朝の事で、マサツグも

ずっと目隠しをしているシロの様子に疑問を持つと、思わず質問をするので

あった!…そして兼貞から依頼を受けてから次のこの日!…まだ波乱は有ると

ばかりに事件が起きる!…


「酷いですご主人様!!…シロ!!…

ずぅ~っとご主人様に言われて目を隠してたんですよ!?…

なのに忘れちゃうなんて!!…」


「いやぁ~…スマンスマン!!…完っ全に忘れてた!…

今度またフライドチキン作ってやっから!…許してくれ?」


「ッ!!……うぅ~!…約束ですよ?」


__……バアァン!!!……ッ!?……ッ?…


一応昨日の事を忘れた訳では無いのだが朝から和気藹々と…寝ているフィロを

隣にマサツグとシロがそんな事をして居ると、突如としてマサツグ達の泊って

いる部屋の扉が開き出す!…それも誰かが飛び込んで来る様に勢い良く!…

それこそドアが壊れたのでは?と思える位に全開に開き!…当然突如扉が

開いた事でマサツグ達も驚き!…一体何事!?…と言った具合にマサツグ達が

途端に警戒を強めて見せると、その時目にしたモノは人影!…その人影の

正体はライザで有り!…ライザは慌てた様子で部屋に飛び込んで来ると、

マサツグ達の事など御構い無しに話を持ち出す!…


「…ッ!?…マ、マサ!!…事件や!!!」


「…今お前が許可なくこの部屋に飛び込んで来た事か?」


「ッ!?…ち、違う!!…誰もそんなボケかまさへんわ!!…

もっと真剣な話や!!!……ひ、姫さんが!!…姫さんが誘拐された!!!」


「ッ!…姫さんが誘拐?…はて誰の事何だか?…」


まだこの時ベッドで横になって居るマサツグ達へ駆け寄り!…ライザは緊急

事態!と言った様子で話し掛けると、そんなライザに対してマサツグは

呆れたよう返事をする!…その際不法侵入して来たお前が事件の原因か?と

言った具合に声を掛けると、ライザは更に慌てた様子で否定!…それよりも

もっとヤバい事が起きた!…と続けて言葉を口にし始め!…本題である姫が

攫われた!とマサツグに慌てて騒ぎ出すと、それを聞かされたマサツグは理解

出来ない様子で首を傾げる!…その際隣に居たシロもマサツグの真似をする

よう同じ様に首を傾げて見せると、ライザに不思議そうな視線を送り!…

その一方でマサツグの反応にライザはヤキモキ!…話が伝わって居ない事に

若干の苛立ちを覚えた様子で地団太を踏み出すと、再度同じ様に人が攫われた

事を口にする!…


「ッ!?…だぁ~かぁ~らぁ~!!…姫様だって!!!…姫様!!!

あのエルフの姫様が攫われたって言ってんだよ!!!」


「ッ!…あぁ~、アヤの事な?…

なぁんだ姫様って言うから一体誰の事なんだと……ッ!?…

うぇえぇ!?…さ、攫われたって如何言う意味だよ!?」


「遅ぇよったく!!!…

それがいつ攫われたのか俺達にも皆目見当が着かねぇ!!…

ただその事を教えてくれたのが御庭番衆の連中で!!…

今色々と情報を集めている際に仕入れたらしい!!…

…さすがに詳しい話はアソコに行かねぇと分からんが…

とにかく今他の連中にも声を掛けてるから!!…

俺達も直ぐに準備して向かうぞ!!」


「わ!…分かった!!…シロ!…直ぐに準備だ!」


ライザの言う姫様とはアヤの事であり!…改めてエルフの姫様とまだ名前を

憶えていない様子でマサツグに訴えると、漸くマサツグも理解した様子で

手を叩く。その際理解出来た事に対して軽~くライザにツッコミを入れると、

次には漫画ばりの遅延を見せた後に驚きを見せ!…当然そんなマサツグの

反応にライザも更にツッコミを入れ出し!…詳しい話に関しては遊郭に

行かないと分からないと!…その情報を仕入れた経緯についても御庭番衆から

仕入れたと慌てた様子で話し続け!…マサツグも漸く事の重大さに気が付いた

様子でベッドから飛び起きるよう身支度を整え出すと、シロにも声を掛けて

出掛ける用意を済ませる!…するとそんな慌しい様子にオリハとフィロも目を

覚まし、次には何事か?と…


「……うぅ~ん…なんじゃ~?…

わっちはまだ眠いのじゃ……ふあっ……あぁ~……」


「ッ!…だったらお留守番宜しく!…俺達は遊郭に向かう!…

ちょっとばかし事件が起きた!!!」


「……うぅ~ん……事件?…」


「……アヤが攫われた!!…」


__ッ!?…×2


フィロは目を覚ますなり文句を言うよう何事と口にし…マサツグ達に大欠伸を

して見せると、マサツグもそんなフィロに対して慌てたよう返事をする!…

その際無理について来る必要が無い事を口にすると、行き先をフィロに告げ!…

更には事件が起きた事を続けて話し!…その一連の話を聞いて居たのかオリハが

眠い目を擦りながら質問をするよう声を掛け出すと、マサツグは二人にアヤが

攫われた事を話す!…するとその話を聞いた二人はマサツグと違って直ぐに

反応!…飛び起きる様な勢いを見せ!…


「な、何じゃと!?…」


「アヤさんが!?……って、誰?…」


「ッ!…そういやお前はまだ会った事が無かったな?…

簡単に言うと俺達の仲間だ!…その仲間が攫われた!!…

だから助けに行って来る!!」


フィロは飛び起きると目を見開き戸惑った様子を露わに!…それに釣られるよう

オリハも驚いた様子でアヤの名前を口にするのだが!…次には誰の事なのか

分かって居ない反応で悩み出す…この時マサツグへ素直に誰なのか?を尋ねると、

マサツグもそのオリハの問い掛けを聞いてハッとし!…今は時間が惜しいので

説明を簡単に!…ただ詳しい事は話さずとにかく仲間である事を口にすると、

急ぎ助けに行くよう飛び出ようとする!…しかし次にはフィロが慌てた様子で

呼び止めると、心配した様子で言葉を続け!…


「ちょ、ちょっと待つのじゃ!!…場所は分かって居るのか!?」


「ッ!…その詳しい場所を聞く為に遊郭へ向かう!…

何でも御庭番衆達が仕入れた情報らしい!…

とにかく詳しい話を聞いて来るから!…

フィロ達も周りに十分気を付けるんだぞ!?…」


「ッ!!…な、ならわっちも良く!!…直ぐに準備するから待って居れ!!」


「……私はもしもの時の為に控えて置くかな?…何か有ったらメールで!…」


「ッ!…了解!…」


フィロは場所も分かって居ないのに飛び出すのは危険!と言った具合に、何やら

土地勘が有るのか別の物に警戒した様子で!…しかしマサツグはそれでも行くと

ばかりにフィロへ返事!…その際アヤが何処に連れ去られたのか知る為!…

まずは遊郭に向かう事を口にすると、付いて来ようが来なかろうが気を付ける様に

声を掛ける!…するとそのマサツグの言葉でフィロは更に慌てたよう反応すると、

次には付いて行くと言い出し!…ベッドから飛び起きると慌てて着替え!…

オリハは留守番をするのか後に控えておく事を口にすると、眠い目を擦って

マサツグを見送ろうとする!…この時同時に何か有ったらメールで伝えるよう

言葉を口にすると、マサツグもそれに返事をし!…フィロもフィロで慌てて

着付け!…いつもと違ってグチャッとした具合に準備を整えると、マサツグに

待たせたと声を掛ける!…


「…はぁ!…はぁ!……ま、待たせたのぅ?…

では!…参ろうか!…はぁ!…はぁ!…」


「……いや、着付ける時間位は待つから…落ち着け?」


「ッ!…ハアァ~…す、すまぬ…」


息を切らしながらマサツグに声を掛け出し!…改めて気を取り直すよう急ぐ事を

口にすると、そのフィロの荒れ模様具合にマサツグが呆れる!…その際着付ける

時間位は待つと声を掛けると、フィロは一際大きく息を漏らし…マサツグの言葉に

甘えるようもう一度身なりを整えて見せ!…いつもの様に綺麗に襦袢や髪飾りを

付けると、やっとの思いで外に出る!…そしてマサツグ達一行は朝一番にその

花街への方向に向かい駆けて行くのだが、その道中昨日の話に出て来た高札や

指名手配書を見掛け…マジマジ見ている時間は無いのだがチラッと確認!…やはり

昨日話に聞いていた通り!…兼貞の事に関して色々書かれてある事を目にすると、

その高札に対して怒りを覚える!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ッ!…チラッ?…


「……チッ!!…テメェらのくっだらねぇ権力の為に人様巻き込みやがって!!…

やっぱどこの政治家もクソって事か!…」


「…今に始まった事やないやろ?…

それが例えゲームの中でも…現実リアルでも!…

どの世界においても目先の権力に溺れる奴は居るっちゅう事や!…

…そしてその被害者になるんはいつでも下のモン!…

お上が殊勝な考えを持った事なんか!…一度として有った事無いやろ?」


「……まぁそうだな……チッ!!…胸糞悪い!!…」


何も知らないまま巻き込まれた兼貞と時継!…その他にもこの国で生きる人達や

御庭番衆達を巻き込み!…この様に自分勝手を振舞って居ると思うと反吐が出る!…

そう言わんばかりにマサツグが怒りを覚えると同時に嫌悪感を覚え!…自身の

本音を隠す事無く諸に口に出して批判をして居ると、後から付いて来るライザが

同意する!…その際改めてマサツグに理解させるよう政治家とは何か?と言った

具合に話をすると、これも当然の結果と言った様子で!…ライザも政治家と

名乗る者を忌み嫌って居るのかボロクソに言い!…全員が全員大した事は無いと

言った具合にマサツグへ話すと、そのライザの言葉に納得する!…そして舌打ちを

しながらとにかく先へと急ぐと、一時間位で遊郭に辿り着き!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ガラアァ!!…


「邪魔すんでぇ!!!」


「ッ!?…だ、誰でありんす!?…って、昨日の!…」


「スマンが急な話が出来た!…勝手に上がらせて貰う!…」


「ッ!?…あぁ!!…ちょっとぉ!!…」


そこからは開店前だと言うのに飛び入りで駆け込み!…そこで身支度をして

居る遊女達全員を驚かせると、有無を言わさず遊郭の中へと入って行く!…

この時マサツグ達は当然真っ先に兼貞の居る部屋へと向かうのだが、その際

遊女の一人が当然戸惑ったようマサツグ達に静止を呼び掛け!…しかし

マサツグ達は勿論の事止まると言った事は無く!…ただズカズカと兼貞の居る

部屋へと進んで行くと、中の様子など御構い無しに襖を開ける!…すると…


__トッ…トッ…トッ…トッ……スタァン!!!…


「ッ!?…な、何でぇ!?……って、アンタ達か…」


「話が急ですまないがうちの仲間が一人攫われた!…

その事を掴んだのが御庭番衆の一人だって聞いて来たんだが!…」


「ッ!…その事かい!…

その事ならこっちでも今どうするかで考えて居た所だ!……翁!…」


__コクリッ!……スッ…


襖を開けるとそこには兼貞と翁!…その他に御座るを含んだ御庭番衆達が集結して

おり!…やはりマサツグ達の気配を感じ取って居たのか、それぞれが身構える様に

して武器を構えて見せて居ると、マサツグ達と分かった途端に胸を撫で下ろし

始める!…そして兼貞もマサツグ達の姿を見て驚いたよう言葉を口にすると、

次には安堵した様子で言葉を続け!…マサツグもマサツグで突然の登場に驚かせて

しまったに申し訳なさを感じつつ!…急ぎの用事と言った具合に単刀直入本題の

用件を口にすると、御庭番衆達の方でも話題に上がって居たのか!…兼貞は

やはり!…と言った具合に翁を呼び出す!…すると呼ばれた翁も兼貞に呼ばれた

事で傅き静かに一礼をすると、その詳しい話をする様にマサツグ達の前へ移動を

して見せ!…すると次には姿勢を正して正座を披露!…そして何故その様な話が

出て来たのかを説明しようとすると、マサツグ達もその翁の前に座る様にして

話を聞くのであった!…

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