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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章三十一節 月下で舞う狼と現場からの逃走とシロからの洗礼-

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自分でも何とか出来るレベルだと分かるとオリハは突如豹変し!…それに

合わせて相手もタジタジ…身内の方でもアレがオリハ?…と言った具合に

誰もが戸惑って居ると、オリハは軽くウォームアップをし始める!…

その際まるでこの瞬間を待って居たとばかりに肩を回すと、向かって来た

忍者達に対して駆け出しとは思えない眼光でギラリ!…これにはさすがの

忍者達も思わず一歩後ろに下がって見せ!…オリハに警戒した様子で

防御を固める様な構えを見せると、オリハは構わず相手を挑発し出す!…


「さぁさぁ!!…掛かって来いよオラアアァァン!!!」


「こ、こやつ本当にさっきのあの義妹殿と言うのか!?…

何かに憑かれたのでは!?…」


「…残念ながらアレが素なんだよなぁ…」


「ッ!…え?…」


そのオリハの余りの変わり様にフィロも困惑!…思わず何かに憑かれたのでは?

と疑い出すのだが!…そんなフィロに対してマサツグは呆れたよう素だと言い…

そのマサツグからの返答にフィロもワンクッション挟んで戸惑ったよう返事を

すると、視線をマサツグの方に向ける!…するとマサツグは徐にオリハの事に

ついて説明をし始めるのだが、その理由に何とも現実味のある事を言い…

それを聞いたフィロは思わず納得!…ただ何も言う事が出来ずそんなオリハの

事を不憫に感じてしまうと、悲しみの眼差しを向けられる事になる!…では

マサツグは何と説明をしたのかなんだが?…


「……簡単に言うとアレはストレスから来た感情の爆発で…

まぁ…仕事のストレスや日常での不満…

それらを発散する方法として敵を蹴散らす事に至ったんだ…

…妙なイチャモンを付けられて突き飛ばされて!…確かそれがきっかけで…

オリハもそれで完全にブチ切れて!…

そいつらを完膚なきまでにボコボコにしたのが始まりなんだわ…

…そんで暴れ終えた時のそのオリハの表情と言ったら!…

まるで元旦の日にまっさらなパンツを履いた様な

清々しい表情を見せてたっけ?…」


マサツグが言うにはストレスからなるモノで、現実リアルでの鬱憤をここで晴らして

居ると!…現実リアルでのオリハは然程ここまで感情的になる事は無く、何か有っても

その感情を押し殺す傾向にあるらしい!…しかしその不満もずっと溜めれる訳

では無いので、遂には爆発!…その際とあるゲーム内で突っ掛かられた事が

きっかけでこの難儀な性格が誕生すると、突っ掛かって来た連中を凄惨に!…

その時の現場を見ていたのかマサツグは遠い目をしながらそれがきっかけと

フィロに話し…最後に何処かで聞き覚えの有るジョ○ョみたいな例えを口に

すると、フィロはその例えにツッコミを入れる!…


「……さ、最後の例えが良く分からなんだが…

と、とにかく苦労はしておったのじゃな?……にしてもあの闘気の放出量!…

あやつは手負いの獣か!?…それを彷彿とさせるだけの気迫を感じる!…」


「……念の為下手に近付かない方が良いぞ?…

恐らくは大丈夫と思うが…それでも巻き込まれたら如何なる事か…」


マサツグの説明に対してフィロは戸惑い!…オリハが苦労して居る事を理解する

と、改めてその隠されていたオリハの闘争本能に驚いて見せる!…その際

フィロの目から見たオリハの背中は、まるで茹っている様に蒸気がモクモク!…

それはまるで窮地に追い込まれた獣が見せる最後の闘気に似て居り!…フィロも

そんな怪我もして居ないのにその闘気が出せる事で驚いて居ると、マサツグは

改めて注意を促す!…それはマサツグとしてもこのゲーム内においてのオリハの

戦闘スタイルを知らないからであり、恐らくはソロ!…と言う事は一人で戦う事に

慣れており、共闘に慣れていない者と共闘すればFFフレンドリーファイアは免れず!…

その恐れがある分前に出れない事を口にすると、フィロも納得した様子で言葉を

呟く!…


「ッ!?…だとすると迂闊に前に出れんな!…」


「…と言うよりアイツ一人でも大丈夫な気がする…」


「ッ!!…いやさすがにあの数を相手に!!…

…それに血を分けた妹君では無いのか!?…

心配こそすれど放置など!!…」


「……言っただろ?…アイツは今まで!…

お前にもその意味が如何言う事か良く分かってるだろ?」


「ッ!!…へ?…」


一人飛び出して行ったオリハを前に!…フィロもマサツグの忠告を受けて前に

出れない事を悟ると、援護をする様に炎を生成し始める!…この時シロも少し

脚幅を開いたり腕を振り回したりして援護の体勢を取るのだが、マサツグは

放置の方針で動こうとせず!…すると当然そのマサツグの言葉でフィロも更に

戸惑って見せ!…珍しくマサツグへツッコミを入れて困惑の様子を見せて居る

と、マサツグは手を出さない理由について話し出す!…その際マサツグが

言うにはオリハは今まで一人で戦って来たと!…フィロにも分かると言い!…

当然マサツグにそんな事を言われたのでフィロはこれまた戸惑って見せ!…

一体如何言う事なのか?と首を傾げそうになって居ると、遂にオリハが動き

出す!…


「……そっちが来ないんならこっちから行くぞ?…

さぁ!…しっかり足掻いて見せろ!!」


__バシュン!!!…ッ!?…ザシュン!!…ドシュン!!…


「ッ!?…クッ!!…一先ずコイツを討つぞ!!…」


「ッ!!…やれるモンならやってみやがれ!!!」


最初に見せたダッシュ斬りをまたもや駆使し!…瞬く間に二人をそれぞれ

一太刀に屠ると、さすがの忍者達も標的を変える!…動かないマサツグを

相手にするより動きまくるオリハを!…全忍者の視線がオリハに向けられた

所で本当の戦闘が始まり!…オリハもその忍者達の会話を聞いて居た様子で

更に突貫を仕掛けるよう飛び出して行くと、大立ち回りをして見せる!…

次々襲い来る忍者達を捌きつつ!…これまた次々に忍者を斬り伏せ!…

その際恐ろしいと感じたのは二の太刀要らずで倒して行く様で!…さすがに

被弾までは避けられては居ないのだが全く怯む様子を見せる事無く戦い

続けると、敵味方から戸惑いの声が上がる!…


__ザシュン!!…ドシュン!!…バキャア!!…


「…グッ!!…何なのだコイツ!!…出来る!!…」


「ッ!?…あ、あの数を相手にして全く衰えを知らぬ!!…

な、何と言う体力じゃ!?…」


「……ほぇぇ~……綺麗です!…」


オリハを相手にする忍者達はそのオリハのタフさ加減に!…その戦いぶりに

手練れと覚悟し!…フィロはフィロで全く勢いの衰えないオリハに驚きを

覚える!…まるで疲労を感じて居ないかの様に戦い続けるそのオリハの様子は、

さながら月下で暴れる化け物の様で有り!…しかしながらその見目は麗しく

戦う姿も流麗!…そんなオリハの戦う姿にシロも思わず見惚れたよう一言

言葉を口にすると、ただ何もする事が出来ずに立ち尽くして居た!…しかし

それでも被弾して居る事には変わらないので、そろそろオリハ自身も不味いと!…


「……チッ!!…いい加減に鬱陶しくなって来た!!…

一気に片を付ける!!!…」


__ギンッ!!…アオオオオオォォォォォン!!!!…ッ!?…


「グウゥアアアアアアァァァァァァァ!!!!」


「ッ!?…うぇ、[狂獣人化ウェアバーサーカー]!?…

確かに獣人なら使えるが!?…」


さすがに突っ込み過ぎた!と自覚したのか若干疲れが!…しかしそれでも尚

オリハはその場から全く下がろうとはせず!…約部隊の半数を斬り伏せた所で

自身の切り札を発動すると、突如月に向かい遠吠えをする!…その際その

オリハの目付きも野性的なモノに変わってしまうと、忍者達はその目を見る

なり委縮し!…オリハはオリハでスッと武器を構え直し!…改めてその忍者達に

向かい突貫を試みると、またもや一掃をし始める!…この時マサツグもオリハが

[狂獣人化ウェアバーサーカー]を発動した事に気が付くと、驚いた様子を見せ!…その時ふと

更に気が付いたようハーフリングスで見た狂獣人化ウェアバーサーカーとは違い!…オリハが

人の姿に近い状態でそれを発動して居る事に気が付くと、更に驚きを覚える!…


「グウウゥゥガアアアアアアァァァァァァ!!!!」


{…ッ!!…ハーフリングスで見た狂獣人化ウェアバーサーカーと違う!?…

あっちはあそこまで感情を失っては居なかったし!…

てか狂獣人化ウェアバーサーカーって言うだけあって獣に近かった!…

だがこれは何だ!?…人のまま狂気に落ちてる!?…

…とにかく暴走した時の事も考えた方が!…}


「……ほえぇ~……やっぱりきれいなのです!!…」


狂獣人化ウェアバーサーカーを発動して戦うオリハの姿は間違う事無き修羅!…そしてマサツグも

自分が知っている狂獣人化ウェアバーサーカーと違う事に驚きと戸惑いを覚えると、もしもの時の

事を考えて身構え始める!…それはまるで普通じゃない!と警戒した具合に

オリハに対して臨戦態勢の視線を向けると、その一方でシロはやはりオリハに

見惚れて居り!…この時シロから見たオリハと言うのはまるで月下で踊る様に

戦う狼娘に見えて居り!…自身の理想に近かったのかまるで学ぶ様にオリハの

事をジッと見詰めて居ると、遂にオリハが片付け終える!…


「アンタデ!!…最後ダアアアアァァァ!!!!」


__ッ!?…ズバシュンッ!!!……ドシャアァァ!!…


「……ふうぅ~……やっと終わったぁ~……で?…

何で兄さんあにさんはこいつ等に囲まれてたの?…

後なんで身構えて?…」


オリハは鬼気迫る勢いで残りの半数を殲滅!…もはや百人組手の領域で!…

最後の一人を斬った所で動きを止め!…そして大きく息を吐くなり突如元に

戻ったよう終わった!と言って伸びをすると、先程の忍者達について

マサツグに質問をし始める!…それこそ何も知らずに戦って居たとばかりに

声を掛けると、同時に身構えている理由についても質問をし!…それこそ

一通り暴れてスッキリした!と言う具合に吹っ切れた表情を見せて居り、

マサツグも当然そんなオリハの反応に呆れて戸惑い!…ツッコミを入れるよう

構えを解いて声を掛けると、そのオリハの質問に答え出す。


「ッ!?…きゅ、急にかよ!……まぁいい!…

俺にも色々とモテる理由が出来たみたいだ…

あと構えて居た理由はテメェの胸に手を当てな?」


「……ッ?…何それ?…頓智?…

…だとしても訳が分からないよ?…」


「分からんで良いって言ってんだ!…

…とにかく…これ如何するのよ?」


「ッ!……あっ…」


マサツグは忍者達から襲われている理由についてはぐらかし!…オリハに対して

身構えて居た理由についてはテメェに責任が有ると言った風に声を掛けると、

オリハは如何言う事か分らない様子で首を傾げる!…その際マサツグに意味が

分からないと言葉を口にすると、マサツグはツッコむ様に返事を口にし!…

それよりも違う問題が有ると言った具合に視線をオリハの足元に移し!…

オリハもそれに気が付いた様子で視線を足元に落とすと、そこでハッと気が

付いた様子で言葉を零す!…そこには赤黒い忍び装束を着た忍者達が死屍累々と、

大規模にケチャップをブチ撒けて居り!…幾ら戦闘自体は正当防衛であったとは

言え、何も知らない者からその光景を見れば圧倒的にマサツグ達が悪者であり!…

後始末をするにしても大規模過ぎて!…とにかく如何した物か?と二人揃って

地面を見詰めつつ考えて居ると、遂にはある結論に至る!…


「……逃げるか…」


「…そうだね…」


「逃げるのか!?…」


「ッ?…」


マサツグは基本面倒臭がり!…と言う事はその妹(弟)もこれまた面倒臭がり!…

暫くそのケチャップ塗れの地面を見詰めては徐にスッと顔を上げ…互いに目を

合わせた所で逃げる事を決めると、意気投合した所でフィロからツッコミを

受ける!…その際マサツグ達は互いに頷きフィロは戸惑った様子でツッコミを

入れて居たのだが、シロはもはや逃げる事に慣れて居るのか首を傾げ!…

と言うよりも状況を理解して居ないのか呆けて居り!…マサツグもそんな

シロの様子に気が付き手招きをすると、シロはその手招きに誘われるよう

駆けて来る!…


__……ッ!…チョイチョイッ!…ッ!…テテテテテテッ!…


「…どっこいしょ!!…ほれフィロも!…」


「ッ!?…えぇ!?…わ、わっちも!?…

って、満更でも無いのじゃが…」


「……シロちゃん請け負うよ?」


「ッ!…バーロー!…どさくさに紛れて何言ってやがる!…

…とにかく宿屋に戻るぞ!…お前は如何する?…」


シロは何にも疑う事無くマサツグの元に駆けて来るとマサツグを見上げ!…

マサツグも駆けて来たシロを小脇に抱える様にして捕まえて見せ、次に

フィロへと手を伸ばしそして同じ様にフィロを小脇に抱えてしまうと、

逃走の準備を整える!…その際マサツグに抱えられた事でフィロは若干

戸惑った反応を見せるのだが、やはり満更でも無い様子で!…とにかく

その場を後に出来るようマサツグが準備を整え終え!…オリハもふと

気が付いた具合に何食わぬ顔でマサツグへ近付き始めると、次にはシロを

寄こせ!とばかりに両腕を広げる!…しかしマサツグはこれを当然拒否!…

オリハにツッコミを入れ!…次にはオリハの逃走経路を心配した様子で

声を掛け!…逃げる宛てが有るかどうかについて尋ねると、オリハは

マサツグにこう答える!…


「ッ!…じゃあ、兄さんと同じ所に泊まろうかな?…」


「ッ!?…ナニィ!?…」


「…だって宿屋に拘りなんてないし…それにシロちゃんも居るし…

宿屋なんて何処でも一緒だから転々として居るけど?…」


「……はあああぁ~~!……ったくもおぉ!…

分かったよ!…ついてこい!!…」


オリハは特に逃走経路を考えて居なかった様子でマサツグについて行くと

言い出し…マサツグもそれを聞いて戸惑ったよう返事をすると、オリハは

その付いて来る理由について続けて話す。何でもオリハ自身今日の宿を

決めて居なかった様で、ついでとばかりにマサツグの所に泊まると言い!…

何ならシロも一緒に居る事で尚の事と言った具合にマサツグへ話し!…

その際既に付いて来る気満々なのか走るようその場でマサツグに賭け足を

して見せると、マサツグはその様子を見るなりクソデカ溜息を吐き出す!…

そしてマサツグ自身も諦めた様子で言葉を零すと、もう何も言わない!と

ばかりにオリハへ声を掛け!…別にオリハの事を邪険にしている訳では無い

のだがその計画性の無さに!…我が弟ながら危なっかしい!と感じると、

マサツグはシロとフィロを小脇に抱え!…オリハと共に自身の泊っている

宿屋へと駆けて行くのであった!…そしてその道中…


__タッタッタッタッタッタッタッ!!…


{……にしても初めて知った…街中でも武器を抜く事は出来るんだな?…

普段は街中で武器を抜く事はご法度だから抜けない様になるけど…

あんな風に襲撃?…イベントの場合だとちゃんと抜けるんだな?…

まぁ…よくよく考えたらハーフリングス…いや…

アレはもはやクーデターだったし…何よりモンスターが侵入してたし…

一緒にするのも如何なんだろうか?……ともかくだ!…

これで俺も襲われるって事が良く分かったし!…警戒はしないとな!…}


改めて先程の事について振り返ると初めて知ったとばかりに!…街中でオリハが

野太刀を振り回して居た事を思い出すと、緊急時の場合武器を抜く事が許される

のを理解する!…と言っても普通に考えれば当たり前の様にも聞こえるのだが、

普段街中で武器を抜くと言った事がない分、盲点な所であり!…更にはこれを

きっかけに襲撃と言ったイベントも起きる事を理解し!…その際ハーフリングス

での事を思い出しては同じかと考えると、改めて今後の事について警戒を

強める!…さてそうしてマサツグが一人今後の事について色々と考えて居ると、

フィロもフィロで突如可笑しいと言い出し…


「……にしてもあ奴ら何を持ってマサツグに襲い掛かったのじゃろうか?…」


「ッ!……え?…」


「忍びにしては気配を隠すのが下手くそ!…

何よりあれだけの殺気を放って居れば…

見つけてくれ!と言って居る様なモノじゃ!…

…アレは本当に忍びの者だったのかえ?…」


「………。」


先程襲い掛かって来た忍者達に対して虚仮にするよう言葉を!…その目的に

ついても不思議そうに首を傾げ!…更にはその練度も低いと言った具合に

気配がバレバレであった事を話すと、本当に忍びだったのか?と悩み始める!…

さながらアレは噛ませ犬?…と言った具合にフィロは腕を組んで考え出し!…

そんなフィロの様子にマサツグもただ何も考えずに沈黙しており…シロは

シロでそろそろ活動限界なのか眠い目を擦っており!…二人してマサツグに

抱えられる事に慣れた様子を見せて居ると、マサツグ達はやっと宿屋に

辿り着く!…


__……ガチャンッ!…ぎいいぃぃ~……


「ッ!…結構いい所に泊まってる?…」


「…と言うより他探すのが面倒だったからここに泊まってるが正解だな…

…とにかく俺の部屋に来い…一応ベッドは二つ有るし!…」


「ッ!…サンキュー兄さん…」


マサツグ達が泊っている宿屋はまるでちょっとした館の様で…オリハもまさか

ここに泊っているとは思っても居なかった様子でマサツグに声を掛けると、

マサツグはここで宿泊して居る理由に面倒だったからと答える。要はズボラを

かましてここに泊っているとオリハに説明をすると、オリハは宿屋内をキョロ

キョロと見渡し!…宿屋内はそれはそれは年季の入った館の様で…思わず高級

宿屋!?…と言った具合にオリハが宿代の心配をする様な表情を浮かべると、

マサツグが気を利かせて部屋に来るよう言い出す。その際都合よくマサツグの

部屋にはベッドが二つある事を話すと、片っ方のベッドをオリハの貸すと言い!…

それを聞いてオリハもハッとするとマサツグに感謝!…その後マサツグ達は

その泊っている部屋へと向かい歩いて行くと、その部屋の中でも問題を起こす!…


__ギイイィィィ…ガチャンッ!…カチッ!…


「……ふぅ~!…やっと着いたぁ~!…

恐らく誰にも見られてないから大丈夫だとは思うけど…

アレはアレで如何したもの…」


「…もう疲れたから寝て良い?…」


「ッ!…おい少しはやった事の心配位…って、いつの間に!?…」


四人全員が部屋に入った所でマサツグは自室の鍵を閉め!…やっと一息吐けると

ばかりに伸びをすると、抱えていたシロとフィロを漸く床に降ろす…そして

やはりあの惨状を放置して来た事について少し考える様な素振りを見せると、

腕を組んで悩み!…その一方でオリハはマイペースを貫くよう貸して貰った

ベッドへいそいそと!…マサツグに寝て良いかを尋ね、この時シロを回収した

様に自身の隣へ寝かせると、そのまま寝息を立て始める!…その際オリハが

寝るまでにかかった時間はたったの五秒!…某・青狸の漫画に出て来る少年に

匹敵するスピードで!…当然そんなオリハの様子にマサツグは戸惑い!…更に

シロを連れて行かれた事で余計に戸惑い様を露わにして居ると、フィロは

マサツグの手に自身の手を伸ばすなり誘い出す!…


__そっ…クイクイッ…ッ!…


「ささ、わっち達も寝ようで無いか!…

あっちはあっちで既に寝て居る…今更起こそうとするのは酷なモノじゃ…

こっちはこっちで共に夜を…ッ!…そ、その気ならわっちも吝かではないが♥…」


「……お前は如何してそんなにピンクの方向に持って行こうとするんだ?」


マサツグの手を両手で包む様にして握り…マサツグも引っ張られた事で

視線を下に落とすと、そこで若干頬を染めるフィロの姿を見つける!…

その際フィロは邪魔者が消えた!と言った具合にマサツグを誘うと、

オリハ達を放置するよう言い!…その理由に寝て居るのを無理やり起こす

のは無体と!…オリハ達を労わるよう言い!…自分達は自分達で

もう片っ方のベッドに寝るようマサツグを引っ張って行こうとすると、

自身の言った言葉で何かハッと気が付いたのか!…モジモジとしながら

意味深な事を言い出すと、そのフィロの言葉にマサツグが呆れる!…

しかしフィロの言う事は一部尤もであり、オリハだって馬鹿ではなく!…

良識を弁えているのはマサツグも当然知っており!…オリハの事を

信用した上でフィロと一緒にベッドへ入ると、その日一日を終える!…


さて…これでこの日の出来事は一旦落ち着きを見せるのだが!…次の日

マサツグが目を覚ますと、また別の事件が起きようとしていた!…それは…


__チュン!…チュン!…チチチチチ!…


「……ッ……んん~?…朝か…

…今日は腹が軽いな…やっぱシロが乗って居ないせいか?…」


__ゴソッ…ズルゥ…ポスッ……すよすよ…すよすよ…


「…隣にフィロ……ッ!!…

ま、まぁた人の腕を抱き込んでは押し当てて来てるし…

悪い気はしないんだが如何にも……ッ!?…」


部屋の外から雀の鳴く声が聞こえて来ると、マサツグはそれを目覚まし

代わりに目を覚まし…眠い目を擦りながらいつもと違う感じに違和感を

覚えつつ、とにかく起きようとゆっくり上半身を起こそうとすると、

腕にくっ付いて居たであろうフィロが寝惚けた様子で付いて来る…

するとそれはいつもの事と言った様子でマサツグも視線を落とし確認を

すると、この時フィロの肌着が開けて居る事に気が付き!…これには

マサツグも目のやり場に困っては直ぐに視線を逸らして見せ!…独り言を

口にしつつオリハ達の方を確認するよう視線を向けると、そこでフェ○ス

ハガーを受けているオリハの姿を見つける!…


__すぴ~…すぴ~……ガッシ!!…ちぃ~~~ん…


「ちゃ!…ちゃっぴろりぃ~~~ん!!!…」


「…んへへへ~♪…ごひゅひんひゃまぁ~♥…」


「違う!…シロちゃんそれ違う!!…

それご主人様じゃなくてオリハさん!…

俺のおとう…ッ!…いや妹だから!…」


シロは完全に寝惚けた様子でオリハの顔をガッチリホールド!…オリハも

それに対して全く動じる事無くされるがまま!…と言うよりも意識が有る

かが不安な所で!…マサツグも思わず家で呼んでいるオリハのあだ名を

口にすると、そんな事など知らないシロは満面の寝顔で寝惚けて見せる!…

この時ご機嫌の様子で寝言を口にしてはオリハの頭をより一層ギュッと

抱きしめて見せると、マサツグと誤解している様子で擦り寄り!…そんな

様子を見せられて居るマサツグはシロに対して違う!とツッコミ!…

やられている事に対して嫉妬するのではなく、オリハの命が危ない!と

言った様子で慌てると、飛び起きてはオリハの救助に向かう!…


__ガバァ!!!…ダダダダダダダダ!!!…ガバァ!!!…


「オ、オリハ!?…生きて!?…ッ!?…」


「……あ、あぁ…兄さん?…おはよう……

何か…お花畑に居た気がするんだけど?…

後なんか顔が温かかった様な?…」


「……お前ある意味で長生きするわ…」


__……ッ~…プルプルッ!…ッ!…


この時もフィロを起こさない様に飛び起きると足早にオリハの寝て居る

ベッドへ!…そしてシロの剥がし方を知って居るとばかりに少しコツを

使ってシロをオリハから引き剥がすと、大丈夫か!?と声を掛け出す!…

この時マサツグから見たオリハの顔は顔面蒼白!…チアノーゼを引き

起こしており!…だが辛うじて息は有った様子でオリハは目を覚まし

始め!…その際自身が見ていた夢について話し出すと、マサツグは思わず

オリハのタフさに感心する!…そしてオリハから引き剥がされたシロも

マサツグに抱えられたまま今だ寝息を立てて居ると、寒いのかプルプルと

震え!…マサツグもそれを見て一旦は自身のベッドへ連れて行き…

フィロと一緒に並べるようシーツを着せて寝かせると、ホッと一息吐き

始める!…


__トッ…トッ…トッ…トッ……ファサァ……すぴ~…


「…ふぅ!…よく無事だったもんだぜ…

シロのアレ喰らったら慣れてない限り

呼吸の取り方が分からんで最悪死ぬのに!…」


「……と言う事は兄さん一回死んだ事が有るって事?…

てか如何言う状態だったの?…」


「ッ!……簡単に言うとシロが寝惚けてフェ○スハガー。」


「……シロちゃんに殺されるなら本望かも…」


「この宿を曰く付きにするつもりか!!!…」


一息吐いた後オリハに声を掛け!…無事だった事に感心すると同時に自身の

体験談を口にし、それを聞いたオリハも徐々に落ち着いて来た様子でマサツグに

何が有った?と問うと、マサツグは隠す事無く説明をする!…この時オリハに

分かり易く簡潔に説明をすると、両手を使ってその状況を再現して見せ!…

するとオリハもそれを見せられて納得した様子で…スッと天井を見る様にして

遠い目をし出し!…やられて死んでも本望!と口にすると、マサツグはそんな

オリハにすかさずツッコミを入れるのであった!…因みにシロやフィロも

起きた後!…一行は宿屋の食堂に向かうのだが!…


__………。


「はぐ!…はぐはぐ!……んっんん!…

あれぇ?…食べないのですかご主人様ぁ?」


「ッ!?…うぇ!?…あ、あぁ…

いやぁ…食べるんだけど…ねぇ?…」


「……何でこっちに振るのさ…」


この日朝食で出て来たのはオムライスにコーンスープ!…そしてマサツグと

オリハは引っ掛かった様子で箸ならぬスプーンが止まり!…昨日の事を思い

出させる位にケチャップが黄色い丘を滑っており、何なら黄色い丘の下は

真っ赤な大地と!…しかしシロ達はそんな事御構い無しにモグモグと口一杯に

頬張って見せ!…一向にオムライスを食べようとしないマサツグ達に声を

掛けると、不思議そうに首を傾げて見せる!…すると話し掛けられたマサツグ

も思わず答えに戸惑ってしまうと、同じ様にスプーンが止まっているオリハに

話題をパスし!…振られた方も振られた方で突然の答えに困って見せ!…

オリハがマサツグにツッコミを入れるよう文句を口にすると、二人の間で

何とも居た堪れない空気になるのであった!…

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