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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章三十節 隠密搬送と深手の要人と狙われたマサツグ!…-

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フィロに言われて店の裏手へ、そこで某・高校生探偵宜しく裏取引現場を見ていた

訳では無いのだが…忍者達に襲われている人を見つけてはその忍者達を撃退!…

その後その助けた人は卒倒してしまい!…忍者達も全員気絶させた所でマサツグ

自身も助けたのは良いものの如何したら良いかが分からず!…ただ一人現場で立ち

尽くしては如何したものか?と考え出すと、そこへある者が現れる!…まるで

空気を読んだかの様に現れた人物は徐にマサツグへ声を掛け出し、マサツグも

その聞き覚えの有る声に反応して振り返ると、その正体を確認する!…


「……さて如何した物か?…

担いで運ぶにしてもこのまま表に出たら間違いなく目立つし…

余計な疑いも多分掛かるし…とは言えこのままにしておくのもなぁ…」


__シュババ!!…


「……ッ!…マサツグ殿!!」


「ッ!…その声は確か?…

…ッ!…おぉ、やっぱアンタか!…

いや丁度良い!…ちょっと助けて欲しい事が!…」


その倒れている人の事を一応心配しては解決策を模索し、一人あぁ~でも無い

こぉ~でも無いと言って居ると突如屋根の方から声が!…それはマサツグの事を

呼ぶ様に名前を呼んでおり、マサツグもその聞き覚えの有る声を聞いてその声を

掛けられた方に視線を向けると、そこであの最初に路地裏で助けた御座るの御庭

番衆と再会する!…その際その御座るの御庭番衆は慌てた様子で姿を現すと、

血相を変えてマサツグ達の事を見て居り!…マサツグもマサツグで御座るの御庭

番衆が居る事でホッと安堵し、その御座るの御庭番衆に今の状況について助けを

求めようとすると、御座るの御庭番衆はとにかく慌てる!…


「話は後!…早くその方を安全な所に!!…

さぁ此方へ!!…」


「ッ!?…あ、あぁ…じゃあちょっと待ってな?…

…よいしょっと!…」


{……このままにする訳には行かないし…

ちょっとの間シロ達には待ってて貰うとするか…

最悪オリハも居るし…フィロにもお金を預けてある!…

大丈夫!…な筈!…}


__ガサガサッ……コクリッ…コクリッ…


御座るの御庭番衆はまるでその倒れている人がとても重要な方と言った様子で!…

とにかくマサツグも含めて安全な場所に案内すると言うと、先導を買って出る!…

その際マサツグに倒れている人と共に来るよう声を掛けると、マサツグはそんな

御座るの様子に戸惑い!…とにかく御座るに返事をしてはその倒れている人を

担ぎ出し!…一旦はシロ達をこの場に放置して行く事を決めると、その倒れていた

人を担いでは御座るに頷く!…すると直ぐに御座るもマサツグに頷いて見せると、

表通りの様子を確認!…当然夜とは言え表通りにはまだまだ人が多く居る為、

人目に付きやすく!…直ぐにココは駄目と言った様子で切り返すと、路地の方に

目を向ける!…


「……この先は表通り!…まだ人の目が有る故迂闊には出れませぬが…

こちらの路地を使えば!!……よし!…ではこちらに!!…」


「……滅多にないんだろうなぁ?…忍者に先導して貰う事なんて…」


「……少々道ならぬ道を行きます故如何か!…はぐれない様に!…」


「ッ!…俗に言う忍び道って奴?…」


「ッ!………」


御座るの御庭番衆はすぐさま路地裏の方も確認!…すると路地裏の方は人の

気配が全く無く、更には明かりも少なく暗い!…人を隠しながら運ぶには

うってつけのロケーションであり!…都合がいい!と言った様子で言葉を

漏らすと、マサツグに付いて来るよう声を掛ける!…するとそれを聞いて

マサツグもその御座るの御庭番衆の後を付いて行く様に駆け出して行く

のだが、ふとこの時余計な事を…人生でそうそう忍者に先導される事は無いと…

思わず今の状況について珍しいのか?と言った具合に言葉を零して居ると、

更にその道案内は過酷なモノへと変わって行く!…そしてそれを暗示するよう

御座るの御庭番衆も予めマサツグに警告し始め!…マサツグもその警告を

受けて思わず質問!…その問い掛けに対して御座るの御庭番衆も若干困った

様な反応を見せると、文字通り道ならざる道を進み出す!…


__ババッ!!…カッカッカッカッカッカッ!!…


「…因みにこれは何処に向かって走って居るんだ?」


「ッ!…遊郭に御座る!…やはりあそこが一番安全!…」


「ッ!!…こりゃ帰る頃には体力が付いてそうだな?…」


御座るの御庭番衆が進む道は人様の家の塀を足場に屋根伝い!…その際やはり

人に見られないよう死角を走り!…時にはオータムクラウドの中を流れる川…

と言って良いのだろうか?その淵を走り!…とにかく狭く人目に付かない道を

進んで居た!…そしてそんな御座るの御庭番衆にマサツグが行き策について

尋ねると、御座るは前に行った御庭番衆達の総本山!…遊郭と言い!…自分達が

護れる場所だからと安全と続けて話し!…マサツグもその返事を聞いてそこそこ

距離がある事を自覚すると、シロを抱えて走った時より疲れると零す!…

さてそうこうしている間にやはり普通の道を走って居ないせいか、普通より早く

花街の方に辿り着き!…同じ時間帯でもこっちは人で賑わって居り!…更に

人の目が多い事で警戒度が増して居ると、御座るはマサツグに注意をする!…


「……もう直ぐで遊郭で御座るが人目が多い!…

警戒なされよ!…樹を隠すなら森の中!…人を隠すなら町の中に御座る!…

と言っても、拙者達が走って居るのは人ならざる道!…

そうそう出会う事は無いで御座るが!…」


人目に付かないよう忠告をすると同時に敵の注意も!…何でも一般人に紛れて

暗殺をする!…なんて事もやはり有るには有るらしく!…御座るの御庭番衆が

辺りに警戒しながら走ると、格言めいた事まで言い出す!…この時マサツグ達が

走っている場所は屋根の上なので、当然そんな所に人が居れば勿論の事疑う

のだが…警戒するに越した事は無い!と言った様子で御座るは話し!…その話を

聞いてマサツグも一旦は納得した様な反応を見せると、次には如何やって

降りるのか?を問い出す!…


「それよりもどうやって遊郭に降りるつもりだ?…

見た感じここいらに人の目を誤魔化して降りれそうな路地なんてないぞ?」


「それに関しても大丈夫で御座る!…

それ様に隠し通路を!…もう直ぐで御座るからしばしの辛抱を!…」


因みに屋根の高さとしては約15m位の二階建て!…建物が横一列に並んで居る為

その裏を走ると人目に付き難いのだが!…逆に降りる際そこそこの高さが有る為

中々降りれず!…それこそマサツグだけや御座るだけなら飛び降りるのは問題無い

のだが、今回は怪我人が居る為それが出来ない!…マサツグはその点を踏まえて

如何するのか?と御座るに質問をすると、御座るはマサツグに対して大丈夫!と

返事をすると、それ様に通路がある事を口にする!…それと同時に目的の場所が

見えて来た事でマサツグを労わり!…頑張ってくれ!…とばかりに声を掛けると、

やっとの思いでその目的地裏の場所まで辿り着く!…すると!…


__カッカッカッカッカッカッ!……バッ!…


「……ちょっと待つで御座るよ?…今準備をする故!…」


__ゴソゴソ…ガッ!!…ギイイィィィィ!!!…


「ッ!?…なるほど?…確かに隠してあったな?…

通路じゃなくて階段が…」


目的の遊郭裏まで辿り着くと御座るが先に飛び降り!…その際マサツグの方へ

振り返り一旦待つよう声を掛けると、何やらゴソゴソと地面を弄り始める!…

その際マサツグも黙ってその様子を見守って居ると、何をして居るのか?と

疑問を持つのだが…次には何か仕掛けが動く様な音が聞こえ!…マサツグの

居る屋根から地面に向かい階段が!…突如としてカラクリが動いたよう道が

作られて行くと、マサツグもこれには驚いた様子で言葉を零す!…この時

細かいツッコミも思わず口にするのだが、とにかくマサツグは階段を降りて

行き!…無事怪我人を地面にまで降ろす事に成功し!…後は遊郭の中へ入って

怪我の手当てと行くのだが!…ここでもまたもやひと騒動起きる!…


「……御免!!」


「ッ!?…何奴!?……て、源氏様じゃありんせんかぁ~♥…

…ッ!…後はこの前の方と…その怪我をなさっている……ッ!?!?…」


「説明は後!…今はこの方の命を最優先に!…

親方様へは拙者が説明いたす!!…」


御座る達が勢い良くその遊郭の裏口から入って行くと、中に居た遊女達は途端に

身構え!…何ならその身構え方も普通に怯える様なモノではなく臨戦態勢!…

まさにそこに居る者全員がくノ一!…マサツグも世にも珍しい身構える遊女達の

光景を目にして思わず驚き一歩後ろに下がってしまうと、その内の一人がハッと

気が付く!…それは最初来た時に案内をしてくれた遊女が気付いたらしく、

御座るである事に気が付くと元の遊女らしい口調に戻り!…その御座るの腕に

絡みつくと営業をし始め!…改めて御座るが連れて来た客の確認をすると、

またもやその表情は豹変する!…その際マサツグに驚いたのではなく!…

マサツグが背負っている人物に驚き!…御座るもそれ所では無い!と言った様子で

遊女に話しを進め!…周りに居た遊女達も事の重大さに気が付いた様子で

慌て始めると、何やらワタワタと動き出す!…


__ざわッ!?…バタバタバタバタ!!…


「ッ!!…承知!!…ではそこの方!!…その方をこちらに!!…」


「ッ!!…え!?…あ、あぁ…」


「こちらの方へ!!…奥の間にてその御身を隠させて頂きます!!」


「ッ!?…な、何かややこしい事になって来た!?…」


御座るの指示を聞いて遊女も了解!…その際先程までの遊女らしさは一気に消え、

突如凛々しくなり!…とにかくマサツグに付いて来るよう声を掛け出し!…

マサツグも呼ばれるがままに戸惑いながらも付いて行くと、その怪我人を背負った

まま奥の間へと案内される!…その際ここまで連れて来られた上にこのくノ一や

御座るの様子と!…自分が背負って居る者が普通でない事に自覚を持ち!…

何ならあの路地で御座ると合流した時点で渋々気付いて居り!…マサツグが思わず

本音を漏らして居ると、マサツグ達はその奥の間へと辿り着く!…


「…さぁ!…その方をここに寝かせて!…」


「ッ!!…は、はいはい!…」


__スッ…ゴロッ……くたぁ~……ッ!?!?……


遊女が先導して奥の間の襖を開け!…中にマサツグとその負傷者を入れると、

一応警戒した様子で左右をチラチラッ!…その後大丈夫と確認をして襖を

閉め!…既に敷かれて有る布団の上にその怪我人を寝かせるよう指示を出すと、

マサツグも慌てた様子で寝かせに掛かる!…その際怪我人である事を重々

理解した具合で慎重に降ろすと、先導してくれた遊女もその怪我人のアシスト

に入り!…何とか何事も無くその怪我人を布団の上へ寝かせる事に成功し!…

その怪我の具合に遊女も顔を青くして戸惑いを隠せないで居ると、マサツグは

ふと質問をする!…


「……ところでこの人誰なんだ?…

とにかく襲われてたから助けたんだが?…」


「ッ!?…襲われた!?……と言う事はやはり紅月衆!!…

おのれぇ!!…何処までその手を汚せば!!!…」


「ッ!?…あ、あのぉ~?…」


「ッ!……この方は今は亡き将軍様のご子息に在らせられます!…

名を[秋雲兼貞]と申し!…民に寄り添う為、奮闘されている方に御座います!…」


「ッ!?…か、兼貞って長男坊の!…」


マサツグが質問をした事とはその怪我人の事について!…先程からの反応を

見ている限り普通の人ではない事は分かるのだが、結局の所誰なのかが

分からず!…マサツグも遂に気になった様子でとにかく襲われていた事から

話し出すと、その話を聞いた遊女は突如怒る!…それこそ既に犯人の特定も

出来ている様で、その美しい顔は憎しみに満ち!…すると当然そんな表情を

見せられた事でマサツグも思わず戸惑うのだが!…それでも気になると言った

具合に恐る恐る再度遊女へ声を掛けると、その遊女もハッとした様子で元に

戻る!…そしてマサツグの質問に答えるようその人物の顔に視線を落とすと、

男の名前を[秋雲兼貞]と言い!…無くなった将軍の息子で民を思う!…そんな

良い男と言った様子で遊女が悲しげに話して居ると、その奥の間にあの翁が!…

御座るも一緒になってその場に姿を現すと、更に現場は慌ただしくなる!…


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ…ススゥ!!…ッ!!……


「ッ!?…な、何と言う事だ!!…

我々が付いて居ながら何故この様な事に!!…

…しかし嘆いている暇は無かろうて!…紅!!…息は!!」


「ッ!!…ハ、ハハァ!!…まだ御存命に御座います!!…

しかし早く処置をしなければ!!…」


「うむ!!…ではこの場を一時の[]とする!!…

マサツグ殿もこの方を救って頂き誠に感謝する!!…

この礼はいつか!!…」


翁はその傷付き倒れる青年に目をやると嘆き悲しみ!…自分達の無力さを

思い知るよう言葉を口にし始めたかと思うと、次にはやる事が有る!と

言った様子で突如気を持ち直す!…その際その場に居た遊女に容態について

尋ねると、遊女は戸惑いながらもまだ生きて居ると!…しかし虫の息である

事には変わらないと言い!…それを聞いて翁も非常事態!と言った様子で

[隠れ蓑]と口にすると!…その言葉に御座ると遊女が頭を下げる!…そして

その様子を見せられて居るマサツグも必然と言った具合に戸惑って居ると、

翁はマサツグに感謝の言葉を口にし!…それはまるで自分の孫を助けて

貰ったかの様に深々と頭を下げて見せ!…マサツグもそれに慌てて大丈夫!と

言った恐縮するよう反応すると、後の事を任せようとする!…


「ッ!?…い、いやいや!…そんなに改まられても!!…

と、とにかく俺よりもこの人を何とかしなくちゃ!…

……後、悪いけど後任せても良いかな?…シロ達を置いて来ちまったから…」


「ッ!…それはそれは!…承知仕った!…では後の事は我々に任されよ!…

…ただ向こうもまだ兼貞様の事を諦めては居ない上に、恐らくは貴殿の事を

探して居ると思わられる!…十分に警戒をされますよう!…」


「ッ!……了~解!…じゃあ後は頼んだ!…」


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ……ガラァ……ドタドタドタドタッ!…ッ!…


マサツグは翁にシロ達を置いて来た事を話すと後を任せ!…その話を聞いた

翁も頭を上げると、了承したと言って頷いて見せる!…その際翁は命に

変えても兼貞を護ると言った様子で返事をすると、敵の動向についても

注意するよう言い!…この時兼貞だけでなく既にマサツグもターゲットに

入って居ると予想を話し!…マサツグも何と無く覚えが有る様子でその翁の

注意に返事をすると、その場から立ち上がる!…そして襖を開けて部屋を

出て行こうとすると、他の遊女が呼ん来たのか医者を連れてマサツグとすれ

違うよう奥の間へ!…すると中から医者の声が!…それは慌てた具合に

言葉が漏れ響き!…奥の間は去った後も慌ただしくなる!…


__ススゥ!!…か、患者は!?……なッ!?…こ、これは!?…ひ、酷い!…


{……俺に出来る事はここまで!…とにかく戻ってシロ達と合流しないと!…}


「……マサツグ殿!!…」


「ッ!…ん?……」


それは医者も思わず驚きと戸惑いを隠せない位に重傷で!…とにかく慌てた

様子の言葉がヒシヒシと!…そんな襖越しからでも聞こえる声にマサツグも

思わず足を止め…されど自分に出来る事は無いと改めて自覚し置いて来た

シロ達のと合流を先決すると、再びその場を後にしようとする!…この時

そう考えてから改めて一歩を踏み出そうとすると、突如後ろから何者かに

呼び止められ!…マサツグも呼ばれた事で再び足を止めて振り返り!…そこで

あの御座るが改まった様子で襖の前で立っている姿を見つけると、何事か?と

視線を送る!…すると!…


「…忝いかたじけない!!…」


御座るはマサツグに対して改めて頭を下げてお礼を言い出し!…それを見た

マサツグも思わず驚いた様子で反応すると、少しの間固まってしまう!…

この時御座るは腰から九十度に曲がる様にしてマサツグに頭を下げており、

その真剣さ具合が見て取れ!…マサツグもマサツグでずっと固まって居る

訳には行かず!…思わず何故かフッと笑って見せると、次には気にしないよう

御座るに声を掛ける!…


「ッ!……フッ…気にすんな!…

もう乗り掛かった舟だろ?……きっちり助けろよ?…」


「ッ!!……御意!!!」


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ……


もう引き下がれない状態である事を続けて話すと、事の始末も御座るに任せる

よう声を掛け!…そのマサツグの言葉に御座るもピクっと反応して見せ!…

まるでマサツグの事を親方様と見た様子で威勢良く返事をすると、御座るは

頭を下げたままマサツグの事を見送る!…その際マサツグもそんな御座るに

笑って背を向けて見せると、手を振ってその場を後にして行き!…そのまま

来た道を戻る様に遊郭の裏口から出て行って見せ!…仕舞われていない階段を

上り屋根伝いにシロ達との合流を図り出すと、思わず独り言を漏らしてしまう!…


__カッカッカッカッカッカッ!!……


「…はあぁ~…如何してこうなった?…」


確かに今回は自分から巻き込まれる様にして事件に関わってしまったのだが、

やはり面倒な事に変わりはなく!…何なら何故自分から首を突っ込んでしまった

のかと!…自身の行動を呪う様に溜息を吐きながら独り言を漏らしてしまうと、

屋根伝いを駆けて行きながら思わずガックリと肩を落とすのであった!…さて

その後は何事も無くそのシロ達を置いて来た甘味処の前まで戻って来る事に

成功するのだが…


「…ハァ!…ハァ!……ッ!……あっちゃ~…

やっぱ閉まってっか……もう9時回ってんモンなぁ?…

…宿屋に戻ったかな?…」


__ザッ!!…ッ!!…ババッ!!…


戻って来た時には既に店は閉まっており!…マサツグもそれを見つけて

しまった!…とばかりに顔へ手を当てると、時間を確認した後その後の

シロ達の行方について冷静に考え始める!…その際直ぐに思い浮かんだ

のは自分達が泊って居る宿屋に戻って居るのでは?と考え、マサツグは

すぐさまその宿屋に向かい再度駆け出そうとするのだが!…しかしそんな

マサツグの邪魔をする様に突如背後から奇妙な気配が!…マサツグも

それを察知した様に振り返り!…一気に臨戦態勢に入り始めると、その

奇妙な気配は姿を現すなり襲い掛かる!…


__フォンフォン!!…ピシピシッ!!……


「……いきなり人のドタマ目掛けて苦無を投げて来るたぁ

随分な挨拶じゃあねぇか?……誰だテメェら?…」


__カランカラァン!!…ッ!…バババッ!!…チャキッ!!…


「……滅!…」


「……なるほどね?…一番分かり易い返答だわ…

…はあぁ~…俺ってば大人気、モテモテだわ…

…嬉しくないモテ方だけど…」


振り返って早々に目にしたのは自身に向かい飛んで来る二本の苦無!…しかし

マサツグはそれを難無くピースをする様に挟んで受け止めて見せ!…投げて

来たであろうその人影に向かい威嚇するよう声を掛け出すと、その苦無を目の

前で捨ててはぶつけ合う様にして音を立てる!…この時マサツグの目の前には

あの兼貞を襲った時より数倍の人数が立って居り、苦無を止められた事で展開!…

直ぐにマサツグを取り囲む様にして陣を形成して見せ!…マサツグの問い掛けに

対して答えるよう一言漏らすと、マサツグもそれを聞いて納得する!…さて

実質に逃げ場を失った事でマサツグも戦闘を覚悟すると、瞬時に刀へ手を掛け!…

その場の空気は一気に一触即発状態に陥り!…誰かが一歩でも動けば即時戦闘

開始の状態へと移り始めようとすると、そのマサツグ達を取り囲む忍者の一人が

号令を出す!…


「……やれ!…」


「ッ!!…掛かってこ!!…」


__ババジュウゥ!!!…ッ!?…


「いやぁ!?…」


それこそ一気に仕掛けて倒そうと考えた様子で忍者達は動き出し!…マサツグも

それに合わせて刀を抜刀し殲滅を図ろうとするも!…次には自身の背後より謎の

炎が飛び交い出す!…それこそマサツグに直撃する事無くマサツグの背後より

その炎が飛んで来ると、襲い掛かろうとして来た忍者達は驚き!…何なら突如

背後から炎が噴き出して来た事でマサツグも驚き!…変な声を挙げつつ一体

何が!?と戸惑い様を露わにして居ると、その炎を放った張本人が姿を現す!…


「…兄さんあにさん大丈夫?…何か色々有るみたいだけど?…」


「ッ!?…お、お前!?…まだ居たのか!?」


「ッ!!…ご主人様!!…大丈夫ですか!?」


「…わっちの旦那様に手を出した事!…地獄の底で後悔させてやるわ!!」


先程の炎を放ったのはオリハらしく、オリハの手には野太刀が!…マサツグも

振り返ってそのオリハの姿を確認し!…オリハが今ここに居る事に驚いた反応を

見せて居ると、シロとフィロも物陰から突如姿を現す!…その際シロは現状の

様子を見てすぐさま如何言う事かを理解した様子で、マサツグの心配をし始め!…

手助けに入るようこれまた直ぐに臨戦態勢!…フィロもマサツグが襲われている

事で怒りを露わにしたよう言葉を口にすると、その瞳を妖しく輝かせては何かを

仕掛ける!…


《そこに居る者達!…我の目をよぉく見るが良い!…》


__ッ!?…カッ!!…ッ!?…ッ………


「……やれ!…」


フィロは突如その場に居る忍者達に声を掛け出し!…その妖しく輝かせている

瞳を見る様に言うと、何やらその忍者達の様子を可笑しくする!…この時

呼ばれた忍者達も何故素直に従ったのか?が不思議な所なのだが、とにかく

そのフィロの目を見た忍者達は俯き!…当然その様子に他の忍者達も戸惑い

始め!…フィロはフィロで悪い笑みを浮かべながらその俯く忍者達にただ

一言[やれ!…]とだけ命令をすると、次の瞬間その忍者達は同士討ちを始める!…


「……仰せのままに!…」


__ババッ!!!…フォン!!…ッ!?…ギイィン!!…


「グッ!!…こ、これは!!…」


「くっふふふふふ♪…そうじゃ!…良いぞ?…

もっとわっちを楽しませておくれ?…

先程まで仲間だった者をその手に掛ける瞬間をなぁ?…」


この時その様子が可笑しい忍者達はフィロに対して返事をすると、可笑しく

なった者達同士で争うのではなく!…何もされて居ない正常な者達へと襲い

掛かり始め!…様子が可笑しくなった忍者達に襲われた忍者達もただ

何が起きたのか!?と慌てて戸惑い出すと、そんな三つ巴の同士討ちの様子に

フィロはコロコロと笑って見せる!…その時のフィロの様子はまるでその

光景に歓喜したよう!…魔王らしく悪い笑みを浮かべると煽る言葉も口にし!…

当然そんな様子を見せられて居るマサツグにオリハも思わず引き!…改めて

フィロが魔王である事を確認すると、戸惑いの言葉を漏らしてしまう!…


「ッ!?…うわぁ~…えげつな!…

…そう言えばフィロって魔王だったんだよなぁ…

って今更になって思うわ…」


「ッ!…くふふふ♪…もっと褒めても良いのじゃぞ?…

何ならもっと凄惨に!!…」


「止めんか馬鹿者!!…それに褒めてねぇ!!…

…けど、これで動き易くはなったな!…

そこだけは褒めてやる、良い仕事だ!…」


「…ダッシュ斬り!…」


同士討ちをさせて喜ぶフィロにマサツグも戸惑い!…そのマサツグの言葉を

誉め言葉として受け取ったのかフィロがピクッと反応すると、マサツグに

もっと賛辞を求めるよう調子に乗る!…その際もっと苛烈にも出来ると言った

具合にまた悪い笑みを浮かべると、マサツグが止めるようツッコミ!…だが

同士討ちが始まった事で動き易くなった事だけは事実であり!…その事だけを

褒める様に言葉を口にすると、今度はオリハが飛び出して行く!…それこそ

マサツグの後ろから一気に追い抜かすよう獣人の脚力を生かすと、これまた

一気に相手との間合いを詰め!…次にはまるで抜刀術を繰り出す様に!…

右下下段に野太刀を流す様に構え見せ!…相手との間合いを良い感じに野太刀を

振り上げて見せると、まずは一人を始末する!…


__バシュン!!!…コオオォォ…ズバアァン!!……


「ッ!?…はっや!!…」


「…行ける!……フフフッ!…楽しくなって来たぁ!!…」


「ッ!…あっ…スイッチ入ったなぁ?…」


思わずマサツグも驚くほどの加速力で相手を斬り!…オリハ自身もその手応えで

戦える!と踏んだのか、突如その様子を変貌させ何やら興奮した調子で野太刀を

構えると、次にはその場を楽しむよう静かに笑みを浮かべ始める!…その際

マサツグと再会した時の物静かさなど消えて無くなり、その目は爛々と!…

まるで闘争本能に身を委ねるよう嬉々として笑みを浮かべて居り!…ただ楽しく

なって来た!とばかりに歓喜に震えるよう言葉を口にすると、その様子に

マサツグもあっ…と漏らす!…別にオリハは何か精神的に抱えているとか

そう言うのではないのだが、戦闘狂バトルジャンキーな所は多々見られ!…それはこのゲームに

限らずその他のゲームでも!…それを知っている分マサツグとしても不味いか?…

と言った具合に見守って居ると、そのオリハの変わり様にシロとフィロも

驚き始める!…


「ッ!?…オ、オリハ叔母さん?…」


「ッ!?…な、何なのじゃ!?

あの溢れんばかりの闘気は!?…マサツグといいオリハといい!…

この家系の者は皆化け物なのか!?…」


「…魔王であるお前にそんな事言われる日が来るとはな?…

…てか人をどこぞの範○みたく言うな!…」


当然そのオリハの変わり様にシロはタジタジ!…フィロもオリハの闘気が見えて

居るのか駆け出しではあり得ない!と言うと、化け物扱いし始める!…この時

マサツグを含む家系と言う物に目を向けると、驚きの言葉を口にし!…マサツグも

そのフィロの言葉を聞いて呆れて見せ!…その際某・地上最強の生物の様に

言うんじゃない!とツッコミを入れると、ただオリハの動向に目を向けるので

あった!…

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