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-第四章-オータムクラウド国編-
-第四章二十四節 鹿之助の執念とゲスの極みと本気で怒る者達!…-
しおりを挟むもはやフラフラと言っても過言ではない鹿之助に対してマサツグは拳を構えて
見せる!…この時誰もがマサツグの勝利を確信し、後は立会人であるクロエが
止めに入るのを待つのだが!…その立会人であるクロエは今だ戦いを止める事
無くそのまま放置!…腕を組みまだやる気を見せて居る鹿之助に対して無言の
視線を向けると、まるで憐れむ様な表情を浮かべていた。そして拳を構える
マサツグももう一度チラッとクロエの方を確認すると、念の為声を掛けるのだが…
「……なぁ、ギルドマスター?…まだコイツにやらせるのか?…
下手するとコイツ死んじまうぞ?」
「……本人が負けを認めない以上試験は続く!…
…それに相手を殺さず再起不能にさせるのも必要な技量と考えて居るが?…」
「ッ!……アンタ…鬼だな…」
「…これは奴が望んだ結果だ…
本当に折れたのなら先程の一撃で沈んで居た筈!…しかし立っている…
つまりはそう言う事だ……全く!…何処までコイツは愚かなのか!…」
さすがに満身創痍の鹿之助を気遣ってかクロエに死ぬぞ?と声を掛けると、
クロエは立会人としての職務を全うする様で!…本人が負けを認めない
限りは止めはしないと!…何ならマサツグの技量不足を指摘するよう腕を
組み言葉を口にすると、マサツグもそれを聞いて怒るのではなく戸惑って
見せる!…この時そのクロエの表情は確かに鹿之助に対して呆れた様子を
見せて居るのだが、それとは別に!…まるで言う事を聞かなかった事に
対して怒っている様にも見て取れ!…これがお前に対する罰だ!と言った
鋭い眼差しを鹿之助に向けて見せると、ただ黙ってその成り行きを見守って
居た。その際マサツグの鬼だと言う発言に対して憐れむ様な表情を見せると、
これは鹿之助の望んだ結果と言い!…本当に負けを認めるのなら演技でも
何でも既に終わっていると!…クロエ自身鹿之助の執念に感心!…或いは
そこにも呆れた様子を見せて居ると、その間にも鹿之助はマサツグに向かい
駆け出して行く!…
__ひゅ~!!……ひゅ~!!…ッ~~~!!!…ババッ!!…
「ウオオオオオアアアアアァァァァァァ!!!」
「ッ!?…本当にやる気かよ!……ったく、しゃ~ねぇな!!」
今だ呼吸は完全に整って居ないながらも突進し始め!…両肩に子猿達を乗せ
ながら野太刀を構えてマサツグに斬り掛かって行くと、奇声を上げる!…
それはもう攻撃を仕掛ける際の掛け声と呼べるレベルの物では無く、怨念
めいた何かに聞こえ!…するとマサツグもマサツグでそんな様子に若干驚き!…
本当にまだやるのかと思いつつ迎え撃つ様に一歩前へ出て行くと、鹿之助は
それに合わせて野太刀を振るう!…しかし!…
__ブオンッ!!!……スウゥ…ドゴォ、バキィ!!…
「ブハァ!!!…コ、コノ野郎!!……行ケ!!」
__ババッ!!…キキィ~!!!
「…やっぱ諦めないか……じゃあ本気で行くぞ!!…」
マサツグは鹿之助の振るう野太刀をこれまた紙一重に体を逸らして回避すると、
鹿之助の顔面に向かいカウンターの右ジャブを打ち込み!…すると当然鹿之助は
諸に攻撃を受けた事で怯んで見せ!…その隙を更に狙うよう残っている左腕で
これまた鹿之助の顔面目掛けてフックを繰り出すと、鹿之助の体勢を大きく仰け
反らせる!…しかし鹿之助はそれでもまだ倒れない様子で踏ん張ると、今度は
子猿達を差し向け!…子猿達は鹿之助の命令を聞いた様子で苦無を手に飛び出して
行き!…マサツグもその子猿達の様子を見てまだ諦めない鹿之助に対して若干の
呆れを見せると、もはや何かを掴んだ様子でカウンターを繰り出す!…
__……ズオオォ!!…ガシ、ガシィ!!…キキィ!?…
「そお~っれ!!」
__ブン!!!…ブン!!!…
「ッ!?…だべはぁ!!!………グッ!!…
ぜえぇ!!…ぜえぇ!!…」
飛んで来る子猿達に対してカウンターと言っても、別に殴って撃ち落とす
訳では無く!…飛んで来る子猿達の動きを見切ると瞬時に捕獲!…その際
捕まった子猿達も驚いた様子で一旦はその動きを止めてしまうと、マサツグは
すかさずリリースする!…この時捕まえている間にも抵抗を受けないよう
鹿之助に向かって大きく振り被って見せると、さながら気分はメジャー
リーガー!…投げた子猿は一直線に鹿之助の元へと飛んで行き!…腹部や
胸部!…それぞれに着弾して互いにダメージを受けたよう怯み転がる様を
見せると、またその動きを止めていた!…恐らく鹿之助としても色々と
限界を迎えて居る様で、もう連続で動くのはキツいのか!…とにかく
攻撃を受けた事で怯んでおり、マサツグもそんな鹿之助に対してそろそろ
引導を渡そうと!…腰を落として正拳突きの構えをして見せると、そこで
事件が起きる!…
「……そろそろ終わりに……ッ!?…」
__へっへっへっへっへっ!……スウゥ…チャキッ!…ッ!?!?…
それこそマサツグが崩れている鹿之助に対して止めの一撃を放とうとした途端!…
マサツグの視線から見てふと正面の観客席に目を向けると、そこでトンデモナイ
物を目にする!…それは受付嬢である皐月が観客席からマサツグを見て居る事で
始まるのだが、その様子は明らかに可笑しく!…皐月の周りには何やらゴロツキの
様な連中がゾロゾロと!…皐月を囲む様にしてニタニタと笑みを浮かべては
マサツグの事を見て居り!…皐月もそれに気が付いている様で不安げな表情を
浮かべながら観客席に座って居ると、それは必然と言わんばかりに突如として
起きる!…そのゴロツキ連中は何を思ったのか突如武装!…皐月を人質に取るよう
武器を構え!…当然それを見たマサツグはピタッと動きを止めて見せ!…鹿之助も
それに気が付いた様子で突如として静かに笑い出すと、マサツグを挑発し
始める!…
「……へっ!…ククククククッ!!……よぉ?…ゼェ!…
何が?…ゼェ!…終わり…ゼェ!…だって?…ゼェ!……」
「ッ!?…き、貴様ああぁぁ!!!…
何処まで下種な事をすれば気が済むと言うのだぁ!!!
…これ以上は看過出来ん!!…この試験を!!!…」
「テメェは黙ってろクソアマがああぁぁ!!!…
…いいか?…ここからは俺様がルールだ!…他の奴らも妙な気を起こすな!?…
さもねぇとそこの嬢ちゃんが嫁に行けねぇ顔になっちまうぜぇぇぇ!!!…
……いや?…最悪お陀仏か?…へ!…クククククッ!!!…
アァ~~~ッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
マサツグが不自然に止まった事で観客達は驚き戸惑い!…一体何が有ったのか?
と考えていると、クロエもその事態に気が付いた様子で突如吠え出す!…勿論
その咆哮の先は鹿之助に対して向けられると、大いに怒りを露わし!…試験
どころの騒ぎではない!と言って試験の中止を宣言しようとするのだが!…
鹿之助がそれを良しとしない様子でクロエに対し牽制をすると、やはり皐月の
事を人質に取っては場の制圧を試みる!…この時今までやられて来た鬱憤を
晴らす様に鹿之助が吠え続けると、その場に居る者全員に動くな!と指示!…
事態に気が付いて居ない者達は当然戸惑い!…気が付いた者は気が付いた者で
いきなりの展開に付いて行けずイベント?…と困惑して見せると、やはり
その場から動けずに居た!…そしてその場の制圧に成功した鹿之助は続けて
皐月を人質に好き勝手言い始めると、最悪の事態を口にし!…その言葉が
飛び出して来た事で更に場は凍り付き!…鹿之助も全員が言う事を聞き出した
事でご満悦なのか大笑いをし始めると、ゆっくりマサツグの立っている方へ
振り向く!…
__……クルゥリ?…ッ!…
「……で?…さっきから散々俺様の事を蹴鞠みたいに
ぶっ飛ばしてくれてたなぁ!!!」
__バキイィィ!!!…ッ!!……
「……プッ!!…アァ~~ハッハッハッハッハ!!!…
こうなると英雄様も形無しだなぁ?…なぁどう思うよ?…
たった一人の女盗られただけで動けなくなる気分はよぉ!!!」
皐月を人質に取っている事で呼吸を整える時間を得て!…徐にマサツグの方へと
近付いて行くと、殴られた事に対しての恨みをぶつける様にマサツグを殴る!…
その際思いっきり振り被り右ストレートでマサツグの左頬を殴り飛ばすのだが、
マサツグは怯むだけで決して倒れず!…フラ付くと言った事も無いまま耐えて
見せ!…そんな様子に鹿之助もご満悦で大いに笑い飛ばして見せると、全員に
アピールをするよう両腕を広げて見せる!…この時ギルドマスターである
クロエもその様子を見て苛立ちを覚えると、下唇を噛んで打開策を考え!…
勿論クロエもロディ達同様運営の人間であるので解決しようと思えば出来る
のだが!…大衆の面前でそれを披露する訳にも行かず!…他に打開策は無いか!?
と鹿之助の隙を伺うよう辺りを見回して居ると、その間にも鹿之助は更に調子に
乗るようマサツグを甚振る!…
「…よぉ?…何とか言ったらどうなんだよ?…英雄様よぉ!!!」
__ドゴオォォ!!!…ッ!!…ッ~~……
「……ケッ!…何の面白みもねぇ!…
たかが女一人盗られただけだぜぇ?…やり返して見ろよ?…
その前に何人…いや!…
英雄様って呼ばれてる位だから何千何万の命は救ってる訳だろ!?…
今更女一人の命位!!…如何って事ねェだろうがよ!?」
__ボゴオォォ!!!…ッ!!…ッ~~……
マサツグに返事を求めるよう言葉を吐いてはまた殴り!…マサツグもそんな
鹿之助からの暴行に有無を言わずにただ耐えると、鹿之助を睨む!…この時
マサツグの中ではまだ闘志は消えて居ない様子で、機会を伺い!…とにかく
この状態を如何に脱するか!と考えていると、鹿之助は反撃して来ない
マサツグにつまらない!と言って見せる!…その際皐月の命を軽く見た様子で
言葉を口にし始めると、マサツグの事を英雄と言っては煽り続け!…まるで
今までのマサツグの活動に対してやっかみを言うよう更に話を続け見せ!…
気に入らないとばかりに三度マサツグの顔に右ストレートを繰り出すと、
マサツグはそれを黙って受ける!……さて、当然この展開に誰もが同情の
余地なしと言った所で怒りを露わにしていると、これまた勿論の事この二人が
黙ってそれを見て居る訳が無ないのであった!…
「……シロや?…今すぐに動けるかや?…」
「……勿論です!……」
__ドシュンッ!!!…ッ!?…
「ッ~~!!!……あぁ~あ?…本気でキレてもうたで?…
もうこれであいつ等の命は無いな?…」
ただ無抵抗に殴られ続けるマサツグを眼下に!…フィロがふとシロに動けるか
どうかを尋ねると、シロはそれに対して返事をする!…この時今までのシロなら
何かしら子供らしい元気な様子が伺えたのだが、この時ばかりは本当に静かに
返事をし!…二人揃って若干俯いては何やらプルプルと震え出し!…次には
二人揃ってライザの隣から瞬間移動をするよう姿を消すと、ライザも気が付いた
様子で驚いて見せる!…まぁ気が付くも何も突如風の様な物を感じたと思えば
隣に誰も居ない訳で!…ライザもこれには血の雨が降るなぁ…と呆れて見せて
居ると、次にはその皐月を人質に取っているゴロツキ達に天罰が下る!…
「…へへへ!…見て見ろよぉ!…
英雄だか何だか知らねぇがボコられてやがる!!…
情けねぇったらありゃしね…」
__ヒュウウゥゥン!!!…ドゴオオオオォォォォォ!!!!…
それこそ一方的に鹿之助に殴られているマサツグを指差しては大笑いして見せ!…
そんなゴロツキ達に捕まってしまった皐月も怖くて逃げ出せないで居ると、次には
その修練場の天井より何かがゴロツキ達に向かい降って来る!…この場合何かと
言ってももうあの二人しか居ないのだが!…ゴロツキ達が視認するよりも早く
降って来ると、二人揃ってラ○ダーキックを繰り出し!…勿論ノーガードかつ
顔面に二人のあんよが思いっきりクリティカルに入ると、そのまま武器を構えて
いたゴロツキ二人を消し飛ばしてしまう!…
「……え?…」
__ドンガラガッシャアアアアアァァァン!!!!……パラパラ…
これには他に皐月を囲んで居たゴロツキ達も何が起きたのか分からないで居ると、
ただ戸惑いの言葉を漏らし!…その一方で蹴り飛ばされたゴロツキの二人は
そのまま後方へと薙ぎ飛ばされ!…見るも無残な姿で修練場の壁に激突!…減り
込んでしまうと、虫の息になってしまう!…その際恐らく足場にされたであろう
修練場の天井を見ると、そこには小さな足跡が二つクッキリと残っており!…
シロとフィロは二人を蹴り飛ばしたあと華麗に着地!…残っているゴロツキ達の
前に姿を現し!…塀の上から見下ろすようゴロツキ達に視線を落とすと、更に
怒りを露わにする!…
「……よもやここまで下賤な者達であったとは!!…
人の形をした畜生共とは思わなんだ!!!…」
__ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!…ッ!?!?!?…
「男と男の戦いに水を差すだけでも万死に値するが!…
それ以上の罪を今犯したのじゃ!!…その命を持って償いとするがいい!!!」
__ババッ!!…ドガアァ!!…バキイィ!!…ぎゃああああぁぁぁぁ!!!…
フィロはその眼下に居る者達を虫を見るが如く軽蔑し!…シロもそのゴロツキ達に
対して隠し切れない程の怒り様を見せると、唸り始める!…この時のシロは完全に
ブチキレた様子で歯を剥き出しにして構えて居り!…更にその体からはいつぞやの
狼達の影が!…盗賊達を威圧した物より色濃く体現させるとゴロツキ達を
委縮させ!…フィロが最後に命を持って償うよう言葉を口にすると、次の瞬間
には生々しい音が!…それと同時に悲鳴が辺りに響き出し!…暫くの間その声が
修練場内に木霊して居ると、皐月は後から来たライザに助け出される!…
「ちょ~っとスマンけど通るでぇ~……って、うわぁ…」
__死屍累々~……
「これは…ミンチよりヒデェや…
こんなんだったらまだ殺された方がマシなんじゃ?…」
飛んで行ったシロとフィロを追い駆ける様にライザも現場へ!…するとそこだけは
もう別世界の様に荒れており!…シロやフィロが蹴散らしたであろうゴロツキ達が
床を這っては呻き声を上げて居た!…ある者は骨を砕かれると関節とは逆の方向に
曲げられており!…またある者は部位欠損!…その断面図からは決して血が流れる
事は無く!…異様な表面張力を見せては不気味さを物語っていた!…そして肝心の
この現場を作り上げた二人はと言うと、一通り暴れた所で毛繕いをする様に埃を
払い!…ライザもその惨状を見て素直に言葉を口にして見せ、とにかく酷い物を
見たとばかりに目を丸くして居ると、フィロはそのゴロツキ達に対して悪態を
突く!…
「フン!…図体がデカいだけの小物共が!!…
あとの余生をその醜い姿で生きて行くがいい!!!…
殺すよりもそっちの方が堪える事じゃろう!!!…
…まぁ…この様な者共の血でわっちは手を汚したくないからのう?…
…さて、後はマサツグ次第じゃ!…思いっきりぶちのめしてやれい!!!」
自分達がやった事は正当防衛!…その際ゴロツキ達を小物と言うとそのまま
助ける事無く放置!…後の事など知った事無い!とばかりにゴロツキ達を
罵ると、その視線を修練場の方に戻そうとしていた!…あの時フィロ自身
万死に値する!と言っては居たのだが、生き地獄を与える方が酷だと気が
付いた様子で!…自身の手を汚したくないと言ってはやはり加減はしたと
ばかりに口を開き…シロもマサツグの言い付けを護って殺しはしていない
モノの凄惨な状態で放置すると、とにかく二人して後はマサツグの勝利を!…
と修練場の方に視線を戻していた!…そしてマサツグの方でも人質が解放
された事に気が付くと、すぐさま反撃の狼煙が上がろうとしていた!…
「…おいコラ?…何か言ってみろよ英雄様よぉ!?…
テメェも好き勝手やって良い思いをして来たんだろ!?…
俺も!…お前も!…結局の所は同じ穴の狢なんだよ!!…
ただやった事がどれ程のモンかって事だけなんだよ!!!…
…分かるか!?…テメェも所詮は偽善者って事なんだよ!!!」
鹿之助はマサツグの事を煽りながら殴ると自身の気を晴らし!…マサツグも
それに必死に耐えると反撃の機会を窺って居た!…そして程無くしてシロと
フィロによって皐月がゴロツキ達の手から助け出されると、シロとフィロは
マサツグに向かい視線を送り!…その二人の視線にマサツグが気が付いた所で
状況も察し!…鹿之助がまだ気づいていない様子でマサツグをまた殴ろうと
すると、次にはマサツグがその拳を止めて見せる!…
__フォン!!…パシィ!!!…ッ!?…
「……フッ…フフフッ!…お前って本当に可哀そう奴だな?…」
「ッ!?…て、抵抗しやがったな!?…動きやがったな!?…
オイお前ら!!!…その女を二度と表に!!!……ッ!?…」
__ギランッ!!!…ッ!?!?…
突如拳を止められた事で鹿之助も驚いた反応を見せて居ると、マサツグは徐に
笑い出し!…その際鹿之助の事を可哀そうと徐に言葉を口にし始め!…逆に
煽られた事で鹿之助も途端にビクッと反応をして見せ!…更に抵抗した事で
怒りを露わにすると、自身の取り巻き達に対し命令を出そうと振り返るのだが!…
そこで見たモノは幼きながらも殺意を向ける二人の鋭い眼光であり!…自身が
思って居たのと違う光景にこれまた驚いた反応を見せて居ると、更にある事に
気が付き出す!…それは!…
「な!?…何だこのガキ共!?…
てかアレは!?…あのメスガキ!?…あ、あいつ等は!?……ッ!?…」
__じいぃ~~~~~~~~~~!!!………
「な、何なんだよ!?…これ!?…
テ、テメェら!!!…ガン垂れてんじゃねぇぞ!?」
「……よぉ?…覚悟は出来てんだろうな?…」
「ッ!!…ッ!?…」
シロやフィロに睨まれるだけでなく、修練場内の観客達からバッシングの視線を
感じ!…当然それはマサツグにではなく鹿之助に向けて注がれて居るモノで!…
その異様な視線にさすがの鹿之助も狼狽え様を見せると、次には慌てて文句を
言い出す!…しかし幾ら文句を言った所でその蔑む様な視線が止む事無く!…
延々と睨み続けられ!…その一方でマサツグも徐に鹿之助へ声を掛け出し!…
先程止めた拳に力を籠め!…逃がさないとばかりに握力に物を言わせると!…
最後に覚悟を決めるよう通告する!…この時マサツグは鹿之助に対して笑みを
浮かべて見せては居るのだが、その目は全然笑って居らず!…勿論そんな
視線に鹿之助も更に狼狽え出し!…肩に乗っていた子猿達も思わず卒倒し肩から
落ちると、遂には泡を吹き出し動かなくなる!…
__プルプルプルプル!!……クラァ……ポテン…ブクブクブクブク!…
「ッ!?…夢吉!?…吉助!?…」
「……最後に言い残す事は有るか?……ひとぉ~つ…」
「ッ!?…え?…えぇ!?…」
勿論死んだ訳では無いのだが、それ位にマサツグは本気で怒っていると言う
事で!…子猿達が失神した事で鹿之助もヤバい!と感じたのか本格的に
慌て出し!…そんな鹿之助に対してマサツグも徐に掌を見せる様に鹿之助の
目の前へ手を突き出すと、奇妙なカウントを刻み始める!…その際辞世の句
ぐらい聞いてやると言った様子で言葉を言うと、小指から順番に指を曲げ!…
「…ふたぁ~つ…」
「ッ!?…ま、待ってくれ!!…話をしよう!!…
馬鹿にした事は全面に謝る!!…もう悪い事もしない!!!…」
「…みっっっつ…」
「ッ!?…これは一時の気の迷いなんだ!!…
ほら、自分が選ばれた事で特別な意識を持ったと言うか!!…」
「…よぉ~っつ…」
マサツグのカウントはニで薬指を曲げて見せ!…その様子に鹿之助も慌てて
言い訳を口にし始めるのだが、マサツグは一向にその話を聞かずにカウントを
続ける!…そして三で中指を曲げると徐々にマサツグの意図が形作られ!…
鹿之助もさすがに気が付いた様子で更に言い訳を続けるが、やはりマサツグの
カウントダウンは止まらない!…そうして四!…人差す指も曲げられると、
残りは五である親指だけに!…それを見て鹿之助は更に慌て!…もはや言語が
やられた様子で悲鳴を上げる事しか出来なくなると、遂に判決が下される!…
「…いつぅ~つ……そこまでぇ!……
…この後はもう言わなくても分かるよな?」
「あぁ!!…あぁ!!!…ああぁ!!!!…
ッ~~~!!!…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぶちかますぜ!!!」
__オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!
五までカウントされると鹿之助の目の前には握り拳が!…それが判決とばかりに
マサツグは続け!…この後の展開についても説明不要と言葉を掛けると、鹿之助は
遂に発狂する!…しかしそれでマサツグの怒りが治まる事は決して無く、刑は
下され!…まるで某・不良高校生の幽○紋宜しくオ○オ○○ッシュ!…それに
合わせてネタを知って居る者達がマサツグの攻撃に合わせて掛け声を掛け出すと、
謎の一体感が産まれる!…そしてそのラッシュはマサツグの気が晴れるまで
繰り出され続けると、鹿之助をOverkillにし!…シロとフィロもネタが分からない
までもその周りの歓声に釣られてハモり始め!…フィニッシュにマサツグが
鹿之助の顎目掛けて昇○拳を繰り出すと、これまた最後に全員がハモる!…
「これで!!…終いだアアアァァァ!!!!」
__オラアアァァァ!!!!………ズドシャアアァァ!!!……
「……フッ!…あの様子では確認するまでもないな?…
…勝者!!…マサツグ!!!」
__ウワアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!…
最後の昇○拳で鹿之助の体は天高く宙を舞い!…その際周りの観客達も拳を
突き出し一体感を得ると、満足げな笑みを浮かべる!…それはシロやフィロも
同じ感覚で共有されると、同時に達成感を覚えるモノで!…鹿之助の体は
受け身を取る事無く地面に叩き付けられるとピクリともせず!…その様子に
クロエも確認する必要はないとクールに笑みを浮かべながら話すと、次には
マサツグの勝利を宣言する!…すると観客席から突如として割れんばかりの
歓声が上がると、皆がマサツグを称え!…漸く戦いが終わった事でシロと
フィロも修練場内へ入る事が出来!…ボロボロのマサツグを心配して駆け
寄って行くと、愛情の余りいつもの出来事が!…
「……ふぅ~!…ったく下種でしつこいとか!…もう勘弁願いたいぜ!…」
「ごぉ~しゅ~じぃ~んん~さぁ~まぁ~!!!!」
__ハッ!?…クルリ!…ギュッ!!…ドゴオオォォォォォ!!!!…
「憤怒らばあああぁぁぁぁ!!!!」
マサツグもコリゴリと言った様子で言葉を呟き、額の汗を拭うのだが!…
次には何かが駆けて来る足音が聞こえ出し、それと同時に幼女二人が全力で
叫ぶ声も聞こえて来ると、マサツグはすかさず振り返るなり腹筋を固める!…
もはやその叫び声に対して反射条件的に出来る様になっており!…マサツグが
振り返るとそこには案の定!…両手を前に突き出しながら全力で走って来る
シロの姿!…その直ぐ後ろにはフィロの姿も交じっており!…確認した次の
瞬間にはマサツグの体を貫く様に幼女二人が!…だがマサツグも貫かれまいと
必死に腹筋に力を入れ!…何とか二人の幼女を受け止めて見せると、その様子に
クロエから戸惑われる!…
「ッ!?…バ、馬鹿な!?…
あれだけ攻撃を受けたと言うのにまだそれを受け止められるだけの体力を!?…
…これが!…これがあの方とロディに気に入られた者の実力と言うのか!?」
「イィ~タタタタタ!!!…さすがに二人はキツいぞぉ~!…
…あぁ~ほらぁ~!…いつも以上に後ろに押されてる…」
「ッ!?…な!?…さ、更にアレをもっと抑えれると言うのか!?…
コイツの種族値は人間の筈!?…何かバグでも走って居るのか!?…
…いやそれこそ!…」
目の前の光景に信じられない具合でクロエは言葉を!…その際間近であの
戦って居る光景を見ていた為、マサツグの体力に違和感を覚えた様子で
独り言を続けると、これがお気に入りなのかと納得する!…その際ロディや
別の誰かの事を思い浮かべる様な発言も口にするのだが、マサツグ達は
そんな事知らず!…寧ろシロやフィロに対して注意をし始め!…さすがに
耐えれるかどうか厳しかった事を口にすると、いつも以上に後ろへ押されて
いる事を口にする!…すると如何だろう!…そのマサツグの発言に対して
またクロエは衝撃を受けると、マサツグの種族値を疑い出し!…遂には
何か特殊なバグでも有るのじゃないかと!…とにかく色々と信じられない
様な反応を見せてマサツグに興味を持ち出して居ると、そこへ騒ぎを聞き
つけた他の職員達が駆け付けて来る!…
__タッタッタッタッタッタッ!…
「ギ、ギルドマスター!!…ご無事で!?…」
「ッ!…遅い!!…一体何をして居た!!」
何やら慌てた具合に駆けて来た職員達も心配して居た様子で!…クロエの元へ
辿り着くなり無事かどうかの確認をし始めると、その確認の言葉にクロエが
怒る!…如何やらクロエは秘密裏に職員と連絡を取って居た様子で、鹿之助の
暴挙に対して全くの無策だったと言う訳でも無いらしく!…しかし着くのが
遅いと怒り!…そのクロエの文句に対して職員も慌てて謝り出すと、その
遅れた理由について話し始める!…
「も、申し訳ありません!…何分妨害を受けて居た次第で!…」
「……妨害?……ッ!…
なるほど?…確かに今日は取り巻きの姿が少ないな!…
…そう言う事か……そこで無様に転がって居る奴を牢獄に!…
その他の連中も全てまとめてだ!…後日色々と聞き出し!…
この者に資格を全て剥奪!!…国外追放としておけ!…
…上への報告は私の方でする!…」
「ッ!!…りょ、了解です!!…では!…」
何でも職員が言うには現場に辿り着くまでの道中、妨害を受けて居たと話し!…
その妨害と言う言葉を聞いてクロエもふと考え出し!…チラッとその皐月を
人質に取っていたゴロツキ達の事を思い出すと、その首謀者に覚えが有る様子で
納得する!…その際首謀者と言うのは言うまでも無く、今地面に倒れて居る者
であり!…遂にはクロエの方でも処罰が決まった様子でふと呆れ…鹿之助に
対しての厳罰!…及びその取り巻き達に対しての処罰も続けて職員に指示を
出すと、鹿之助を連行させるのであった!…そして試験としてはマサツグの
勝利で事を治める事となったのだが、ここから更に!…違う意味で元々の
判断に困る!…そんな事件が起きようとするのであった!…
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前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
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幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
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『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
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大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
転生騎士団長の歩き方
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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
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目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
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パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
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