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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章三節 オータムクラウドとマサツグのズレた感覚と小鹿のマサツグ-

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関所を後にしたマサツグ達は遂にトンネルを抜ける!…そして眼前に現れた

景色にマサツグ達は絶句する!…某有名小説の冒頭で言うとトンネルを抜けた

先は秋國であった…と言った感じで、山は見事に暖色のグラデーション!…

平原も赤やオレンジ…黄色と言った落ち葉で彩られてはそれは風情を感じられる

絨毯が何処までも広がっていた!…そんな光景に当然シロやマサツグも反応

する訳で!…馬車の窓から顔を覗かせては目を丸くし!…その光景に興奮した

よう歓喜の声を上げては、ただ子供の様に目を輝かせていた!…


__ガラガラガラガラ!…


「「……ッ!!…おおおぉぉぉ~~~!!!!」」×2


「こりゃ!…見事な紅葉じゃねえか!!…

幾らゲームの中とは言えそうそう見れるモンじゃねぇぞ!?…」


「……ゲーム?…まぁそんな事より…確かに綺麗よね!…

……あの民宿で聞いた話が事実でなければもっと気軽だったんだけど…」


空は青く澄んでおり、その見事な紅葉で更にマサツグ達は感動を覚える!…

その際丁度馬車の窓枠がまるで絵画の額縁の様に見え…それを含めて一枚の

絵の様に見えると、マサツグも思わずスクショを撮る!…そして思わず現実リアル

事情を交えつつ感想を口にして居ると、そのマサツグの言葉にアヤが

引っ掛かりを覚え!…それでも些細な事と感じた様子で軽い疑問は流し、

マサツグ達と同じ様に意見を口にすると、同時に一部不安も口にしていた…

…さてその際アヤの一言にマサツグも反応すると、トンネルを抜ける前の

出来事…そのアヤの言う不安についてマサツグも話を思い出し始める!…


「ッ!…民宿で聞いた?……ッ!…あぁ…あの話か……」


__オータムクラウド大陸トンネル・民宿・一週間前…


「……なぁなぁ!…聞いたか?…」


「ッ!…何をだよ?…」


__ッ!……


それは遡る事一週間前…さすがに二週間も馬車の中で過ごすと言うのは色々と

酷であり!…一度民宿に泊まる事を決めると、経験も兼ねて四人分の部屋を

取って居たのだが…その際その民宿のロビー?…にてとある噂話がたまたま

マサツグ達の耳に入り、興味を持ったマサツグアヤが聞き耳を立てたのが事の

始まりであった。その際二人の冒険者が話をしているのだが、片方は若干

ややこしそうな表情を浮かべて居り…その聞き手である冒険者の方は話しを

知らない様子で、その話し掛けて来た冒険者に対し疑問の表情を浮かべ返事を

すると、そのアヤが不安がっている話をし始める!…


「……今オータムクラウド国!…後継者争いの真っ只中なんだってよ!…」


__ッ!!……


「え?……あぁ…

そう言えば前領主…いや、将軍って言った方が良いのか?…

とにかくもう亡くなってたっけ?…まぁ可笑しな事では無いと思うが?…」


「それで今候補に挙がってるのがその将軍の息子二人で!…

どっちが継ぐかで大揉めに揉めてるらしいぞ!!…

仕舞いには派閥まで出来るまでに発展してるらしくて!…

町にも影響が出んじゃなんて噂になってる!…」


「ッ!…うげぇ!…マジかよ!……てか俺達には関係なくね?…」


民宿で聞いた話とは後継者争い!…何でも前将軍が亡くなった事が発端らしく、

マサツグ達もその話を聞いて思わず嫌な予感を感じて居ると、更に冒険者達は

話を進める!…何でもその後継者と言うのも良くある展開の話で、将軍の息子

二人に委ねられてるらしく!…これまた良くある派閥争いの展開でもあり!…

それは城下にまで至ると言われ、面倒事になると言った様子で冒険者達が話し

合って居ると、最終その冒険者達の話は自分達に関係無いと治まってしまう!…

しかしその話を聞いて一番に不安を感じるのはマサツグ達で、今の所全部の国で

その国家絡みの面倒事に巻き込まれており!…これも自分達に降り掛かる

んじゃ?…そんな事を考えつつその民宿で泊まると、不安を抱えつつ次の日を

迎える事になったのである…


「……そう言えばそんな事を話してたっけ?…

まぁ確かに嫌な予感はするが……如何する?…

何なら今からでも行き先を…」


「ッ!…ご主人様!!…町が見えて来ましたよ!!…

…あのおっきい建物は何ですか!?」


「ッ!…あぁ~…着いちゃったかぁ~……

ッ!…日本の城まで建ってるし!…と言う事はこの国は和物?…」


話は戻って馬車の中!…その事を思い出しマサツグもハッとするとアヤの言う事を

理解し、行き先を変えるか?とアヤの意見を聞いた様子で問い掛けて居ると、

シロが時既にお寿司!と言った様子で町が見えた!と声を掛け出す!…その際

初めて見る物に興味を持った様子で、何やら窓の外を指差してはその中心に立って

いる建物について尋ね出し!…マサツグも着いた!と言われた事で頭を抱え!…

とにかくシロの問い掛けに答えるよう窓の外を確認しそこで江戸城らしき物が

建っている事を確認すると、今度のオータムクラウド国の世界観を何と無く

理解する!…さてそんな風にマサツグが驚きつつ建物の事を城と答えると、シロは

若干マサツグの言葉に戸惑うのだが!…


「……ッ?…アレお城ですか!?…ほえぇ~!…

他の国で見たお城は皆違いましたけど…

あんな細くて高いお城は初めてです!…」


「…じゃろうな?…この国は独自の文化で発展した異形の国ゆえ!…

こうして交流を持ったのもつい最近の事じゃ!…

マサツグの腰に佩いて居る刀…それはこの国の文化で生まれたモノで、

扱いもそれなりに難しいモノなのじゃが……ッ?…

そう言えばマサツグは何故それをさも当然の様に扱えるのじゃ?…

大抵の者は刃を圧し折って使えなくする者が多いと言うに?…」


日本と言う単語が出て来た事でシロは戸惑うのだが、マサツグの言った

お城と言う言葉だけは理解出来た様で!…今まで自分が見て来たお城と

違って個性的と!…やはり興味を持った様子で馬車の中でピョンピョン!…

それに対してフィロが説明をするようオータムクラウド国について変わって

居ると言葉を口にすると、簡単にその経歴について触れる!…その際話の

引き合いにマサツグが佩いている刀を引っ張り出すと、オータムクラウド

独自の武器と説明をするのだが…ふとフィロは疑問に思った様子で

マサツグに質問!…その刀の扱いについて何処で学んだ?と問い掛けると、

その突然の問い掛けに対してマサツグは戸惑う!…


「ッ!?…え!?…い、いやぁ~…あははは…」


「…確かに他の武器屋に入ってももうそんなに珍しい事は無いのじゃが?…

異様に刃物の扱いに慣れて居ると言うか?……まるでほんに侍の様?…」


別に隠して居る訳では無いのだが何とも話し辛い!…何故ならマサツグの

知識は現実リアルを噛んでいるからであり、説明するにも難しく!…話した所で

電波扱い待った無しだからである!…そして説明するにしても平行世界?…

等と考えて居ると、更にフィロの疑問は深まり!…マサツグの事をまるで

侍の様と言い出し、そのフィロの言葉にシロが更に興味を持った様子で

反応すると、何とか話題はその侍の話へと変わり始める!…


「ッ!…さむらい?…さむらいって何ですか?…」


「ッ!…そうじゃのぅ?…簡単に言う所の騎士と言った所かの?…

騎士と言いながら馬に乗らない強者!…と言った所か?…」


「ッ!!…おぉ~!!!…ご主人様はさむらい?…だったのです!?」


「ッ!…あ、あはははは……」


この時フィロの説明としては西洋で言う所の騎士と言い、シロもそれを聞いて

納得し!…シロはマサツグに視線を移すとピーカブーウワメスタイルで目を

輝かせ!…やはり疑問形でマサツグに侍なのか?と興奮気味に尋ね出すと、

マサツグはその問い掛けに対して苦笑いをする…さてそんな話をして居る内に

マサツグ達の乗る馬車は遂にオータムクラウド国へと入り!…馬車の停留所へ

辿り着き、マサツグ達も着いてしまった…と言った様子で馬車を降り始めて

居ると、その降りてからの光景にも驚きを示す!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ッ!?…うわああぁぁ!!!……タイムスリップした気分!!…」


「……久しいのぉ…この感覚!…街並み!…

……と言っても最初に比べるともはや面影も有りはせんが…」


「ここが…オータムクラウド国!…」


「ほへええぇ~~!!……すっごいのです!!…」


オータムクラウド国は一言で言うと大正ロマン!…道は石畳で舗装され、所々

まだ完全には舗装されていないのか地面が見える!…建物は木造に漆喰と

昔ながらの建物の他に!…コンクリートで建てられたであろう建物もチラホラ!…

それでも町全体の外観を損なう事は無く建てられて有り、行き交う人もフィロ

みたく着物!…その他にもサ○ラ大戦みたく矢絣に洋服と!…色々な装いが

見て取れた!…そして何より驚かされたのはその町の中を揺蕩う様に泳ぐ金魚!…

それもまだ側溝などで泳いでいるのならまだしも!…何と泳いでいるのは

町の上空!…空で有り!…これにはシロも目を輝かせジ~ッと金魚を目で追い

駆けて居ると、各々がそれぞれの衝撃を覚える!…さてそうしてオータム

クラウドの様子に全員が思わず呆けて居ると、フィロが徐にある提案をする!…


「……のぅマサツグよ?…先に宿を見つけぬか?」


「ッ!…え?…」


「わっちは草臥れたのじゃあ~…さすがにあの狭い馬車の中で二週間!…

まぁ確かに宿には一泊したが…それでも…あぁ~……おぶってくりゃれ?…」


「ッ!…はあぁ~…仕方がない!…ほら!…」


「ッ!…のじゃあ~♪」


フィロがマサツグに言い出した事とは当分の拠点となる宿探し…フィロとしては

もう限界らしく、腕や肩・腰を回し捻りつつマサツグに疲れたよう訴え!…

マサツグもマサツグでそのフィロの意見を聞いた所で反応!…するとフィロは

続けて自分が疲れた理由について話し出すと、最後はマサツグへ万歳をしながら

甘え始める!…するとそんなフィロの態度にマサツグも呆れた様子で溜息を吐く

のだが、次には聞き入れた様で!…フィロに対して背中を向けてはしゃがんで

見せ!…フィロの飛び掛かるよう声を掛け手招きをすると、フィロは嬉々とした

様子でマサツグにおぶさる!…すると当然シロもヤキモチを焼く訳で!…


__ッ!!…むっすうぅぅぅ~!!!……ギュッ!!…


「ッ!……はいはい!…シロは抱っこな?」


「……はいです!…」


シロは直ぐに膨れっ面になるとマサツグのズボンを握り締め!…引っ張ると

言った事をする事も無くただ無言の抗議をし始める!…そしてそれに気が

付いたマサツグも視線を下にやると、そこで膨れているシロの姿を見つけ!…

勿論そんなシロの様子にも呆れた様子で言葉を漏らし!…慣れた様子で

アイテムポーチからおんぶ紐を取り出すと、シロに抱っこしてやると声を

掛ける!…さすがに子供二人をおんぶ出来る程マサツグの背中は広くないので、

妥協してくれ…と言った具合に!…するとシロも渋々了承した様子で不機嫌

そうに返事をし…マサツグのズボンを放し先程のフィロと同じ様に万歳を

すると、これまたマサツグは慣れた様子でシロを抱っこする!…


__シュルシュル!…ギュッ!…


「…どっこいしょ!!…フゥ~!…手の掛かる娘達だ事!!…」


「いや…それ以前に……

何であなたそんなに手馴れてるの?…

もはやプロの早業かとも思ったわよ?…」


「ッ!…よせやい!…

褒めても何もでねぇぞ?」


「いや、褒めてないし…」


一旦フィロを放したかと思えばシロを抱え!…次には目にも止まらない速さで

シロとフィロをおんぶ紐で固定すると、スッと立ち上がって見せる!…それは

まるで刹那でも発動したかの様に一瞬の出来事で、マサツグは一汗掻いた!と

言った様子で汗を拭い!…そんな様子を見せられたアヤはと言うと、若干

引いた様子で驚きを露わに!…一体何をやったらそうなるの?ともはやプロの

技を見たかの様な質問をすると、何故かマサツグが照れ始める!…当然そんな

マサツグの様子にアヤもツッコミを入れると戸惑うのだが、マサツグは首を

傾げて居り!…とにかく出発の準備が整った事でマサツグ達は改めて歩き出し!…

オータムクラウド国の街並みを楽しみながら宿を探して居ると、当然の様に

視線を集める!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……どよどよ!…どよどよ!…


「……ねぇ?…何か視線を集めてない?…

やっぱその格好が可笑しいんじゃないの?…」


「んん~?…でも他にこうして二人を運ぶ手段がないべ?…

しょうがないしょうがない!…」


「て言うか貴方も何でそんなに慣れてるの?…

今までどんな事をして来たっていうの?…」


町行く人達はマサツグの状態に気が付くと、一旦は確認した後スッと視線を

逸らすのだが…次にはやはり可笑しいと感じた様子で綺麗な二度見をして見せ!…

自身の目が可笑しいのかと言った様子で戸惑うと、去って行くマサツグの

後ろ姿を見送る!…すると当然その視線にはアヤもマサツグも気付いて居り、

別に文句は無いのだがアヤは再度マサツグにツッコみを入れ!…しかし

マサツグは他に手段は無いと言うと周りの目など気にして居らず!…もはや

開き直った具合にしょうがないと連呼すると、まるで某・頓智坊主の様に

お道化て見せる!…そんなマサツグの様子にアヤも呆れて見せると、再び

疑問を持った様子で質問をし始め!…更には今まで何があったのか?について

改めてマサツグに尋ね出し!…マサツグもその問い掛けを受けて一度振り返る

なり!…アヤと再会するまでの間の事を簡単に話し始めると、前を向き直しては

徐に遠い目をする!…


「…別にぃ~…何も無いさぁ~…

ただちょっとカルト教団がちょっかいを掛けて来たから教祖を始末して…

その際何か魔王を復活させたとかで戦ったらその魔王に気に入られて!…

やっと落ち着いたそん時に卵を拾ったらシロが生まれて…

色々と疲弊したから海を渡ってサマーオ-シャンに来たらまた面倒事に

巻き込まれて!…牢獄にぶち込まれたり、脱獄したり、不法侵入したり!…

挙句の果て国家転覆を謀った大臣を始末したり!…そん時初めてフィロと

出会って面を向かうなり告白されたり!……まぁ…本当に対した事は無いさ…」


「…いや…十分可笑しいから!…

まるで何か詠唱して居る様にしか聞こえないのだけど?…

…ていうかそれ全部…事実なの?…」


「ッ!…何じゃ?…わっちのマサツグを疑ごうて居るのか!…

全部真実まことじゃ!…バルデウスの阿呆と真っ向からぶつかり!…

撃退した後に卵を見つけ!…そしてその小娘が生まれ!…

凱旋をした後一夜を明かし!…小娘が人型になって驚いた時の

マサツグの表情と言ったらもう!…その後大陸を渡ってからも

マサツグを見て来た!…何なら今までの事件はわっちが起こした物じゃからな!」


まるで自身の人生を呪うかの様にウダウダと…それこそアヤとクランベルズで

別れてからの事を振り返り話すと、マサツグは空を見上げて居た筈が徐々に

視線を落とし!…そんなマサツグの様子にアヤも話を聞きながら戸惑い!…

徐々に暗くなって行くマサツグの様子に如何したら良いのか分からず!…ただ

困惑した具合にそのマサツグの背中を見詰めて居ると、一応話が本当かを徐に

尋ねる。するとそのアヤの確認に対してマサツグが返事をするのでは無く、

フィロが返事をし!…フィロはその事如くを見てきた生き字引と!…その時の

様子を嬉々としてアヤに話し出すと、最終的にはマサツグかツッコミを受ける!…


「ンな堂々と胸張って言うモンじゃねぇだろうが!!……ったく!…

こっちは迷惑でしか無かったっての!!」


「ッ!!…だってマサツグには強くなって貰わんとぉ~!…

でないとわっちの旦那様が弱いなんて!!…

わっちの旦那様は誰もが羨むす~ぱ~まんで!…」


「ッ~~~!!!…ご主人様はシロのご主人様なんです!!!」


「ッ!?…何じゃ小娘!!!…貴様に文句を言われる筋合いは無い!!!」


__ワンワン!…コンコン!…ワンワン!!…コンコン!!……はあぁ~~…


マサツグの苦労話も全て元を正せば今背中に背負って居る者が元凶であり!…

文句を言う様にマサツグがフィロに対してツッコミを入れると、フィロは

悪びれもせずに言い訳をする!…この時全ては自身の理想とする旦那の為にと

言い訳をするのだが、その言い訳をシロがよしとはせず!…もはやお約束の

様に膨れるとマサツグは自分のモノと文句を言い!…その文句にフィロも

カチンと来た様子で途端に反応を示すと、マサツグを挟んでの口論を始める!…

そうなるともはやマサツグからすれば飼っている犬同士の喧嘩の様にしか

感じられず、呆れた様子で溜息を吐き!…そんなマサツグを余所にシロと

フィロはキャンキャン!…これにはアヤも同情するようマサツグの後を歩いて

居ると、漸くマサツグ達は宿を見つける!…


「…ようこそ!…宿・池田屋へぇ!…」


「……何か事件が起きそうな名前だな…」


「…はい?…」


「ッ!!…あぁ!…何でも無いです!!…

えぇ~っと…四人で取り敢えず一週間!…

二部屋お願いします!…」


マサツグ達が見つけた宿屋は洋館風の建物で、中も歴史を感じる様な西洋風の

造り!…まるで良くあるサスペンス物の豪邸の内装の様に感じられ、そのせいか

宿の名前も池田屋と!…まるで誰かが切られて階段から落ちそうな…そんな

事件の匂いが感じられる…とマサツグが思わず呟くと、女将さんもそれを聞いて

反応する!…勿論ちゃんと聞いてはいない様子では有るのだが、如何にも疑問を

感じて居る様で!…そんな女将さんの様子にマサツグも慌てて手を振り何でも

無いと!…取り敢えず宿泊の意を伝えて泊まる部屋を二部屋用意して貰うと、

その用意して貰った部屋に入るなり一度落ち着く!…


__バフウゥン!!…


「だあっはあぁ~!……疲れたぁ~!…

シロとフィロは喧嘩するし部屋割りでも揉めるし!……

…前途多難だぁ~~……」


「ッ!…あれはフィロが悪いのです!!…シロのご主人様なのに!!…」


部屋に入るなりマサツグは用意されたベッドへ大の字になって倒れる!…

そして装備等そのままにぐでぇ~と脱力し始めると、今回の事について

振り返り始め!…シロとフィロの仲には困った!…と言った様子でぼやき

出すと、同室であるシロが文句を言う!…その際部屋割りはアヤとフィロ、

マサツグとシロと言った感じに振り分けたのだが、勿論これにはフィロが

すぐさまマサツグに文句を言い!…だがマサツグは先程の喧嘩のお仕置きと

言った様子でフィロの意見を跳ね除け!…シロと同室にして抱っこ紐を

解き!…今こうして溶けに溶けて居ると、寝落ちしそうになって居た!…

しかし残念ながらそうもしては居られない様で!…


__……コンコンッ!…


「ッ!……はあぁ~い?…」


「あっ私!…アヤよ?…

今からギルドに向かおうと思うんだけど?…マサツグは如何する?…」


マサツグ達の泊る部屋に突如ノックの音が…マサツグもそれに反応して気怠そうに

返事をし、一体誰が来たのか?と考えて居ると、その扉の向こうからはアヤの声が

聞こえて来る!…そしてアヤ自身も自分が誰であるかをマサツグに伝えると、

ギルドに向かうと声を掛け…その際マサツグも一緒に来るか?を如何やら尋ねに

来た様子で、マサツグもその問い掛けを受けてベッドに埋まりながらも言葉を口に

すると、徐々に体を起こし始める!…


「ッ!…ギルドかぁ~…

確かに今の内に行っといた方が後々楽だよなぁ~…

……頑張るかぁ~!……」


__ゴソゴソ…ザッ…ザッ……キイイィィ…


「……おまた……シロは如何する?…」


「ッ!…ついて行くのです!!!」


__テテテテ!!!……ガッシッ!!…ガクンッ!!…


先程まで溶けて居たせいか体は重く!…それでも何とかベッドから復帰すると、

自室の扉に向かい歩いて行く!…その際若干フラフラとした足取りを見せる

のだが、マサツグは構わず扉を開け…外で待っていたアヤに声を掛けると、

ふと気が付いた様子でシロにも声を掛け始める。するとシロは耳をピクッと

反応させると、二つ返事で飛んで来て!…ふら付いているマサツグの膝目掛けて

抱き着きに掛かり!…マサツグもそれに合わせて膝カックンを喰らったかの様に

体勢を崩しそうになって居ると、その様子にアヤが戸惑う!…


「ッ!?…ちょ!?…だ、大丈夫!?…別に明日でも!…」


「い、いや…大丈夫だ!…さぁ、行こうか!…」


「全然大丈夫そうに見えないんだけど?……ッ!…」


アヤの目の前ではドアノブを支えにプルプルとしているマサツグの姿が!…

何ならシロもマサツグの脚にしがみ付いてはオロオロと心配しており!…

それでもマサツグはやせ我慢をするよう!…心配する二人に大丈夫と言って

ギルドに向かおうとする気概を見せると、アヤから当然の様にツッコミを

受けていた!…当然そうである!…何故なら生まれたての小鹿の様にプルプル

として居るのだから!…それでもマサツグは引こうとせず!…何とか態勢を

立て直そうとして居ると、アヤも気が付いた様子でそこへ宿の女将さんが

やって来る!…


「ッ!…あら…先程のお客様方!…こんにちはぁ!…」


「こ、こんにちはぁ…」


「うふふふ!…観光ですかぁ?…

折角お越し頂いたのに…こんな事になるなんてぇ~!…」


「ッ!……それって?…

…今問題になって居る後継者争いの事ですか?」


何か用事があったのだろう…女将さんもマサツグ達の様子に気が付くなり笑顔で

挨拶をし始め、挨拶できる状況ではないマサツグに代わってアヤが女将さんに

挨拶をすると、女将さんはアヤへ話題を振る様に話し掛ける!…その際チラッと

時機が悪かった様に言葉を口にすると、アヤもそれに釣られて思い当たる事を

口にし!…するとその通りと言った様子で女将さんは手を叩いて返事をし!…

意外とお喋りなのかアヤを捕まえて色々話し始めると、止まらない様子を

見せる!…


「えぇ!…そうなんですよぉ!…

この国を治めていらっしゃった将軍様がお亡くなりになられて!…

その後継者に長男の[兼貞]様と次男[時継]様!…

何方が跡を継ぐかで揉めている真っ最中なんですぅ!…

長男の[兼貞]様は何でも放浪癖があって!…

ちょくちょくお城から抜け出しては城下で遊んでいらっしゃるとか?…

ただそれも一応目的がある様でして…町の人の不満を聞いては

改善に努める!…そんな掴み所の無いお方だとか?…

まぁ、人気のあるお方では在らせられるんですけど…放浪癖がちょっと……

逆に[時継]様は勤勉なお方で…まだ若干10歳にして国を思い勉強に武道と

励まれて居られるとか!…ただまだ元服もまだなので継いだ所で補佐が!…

[時継]様がその良からぬ者の傀儡にされるのでは?と不安の声が上がっては

振るわず…これまた色々と問題がある様で……」


「そ、そうなんですか……」


{この人めっちゃ喋るんだけど!?…}


女将さんはその話題となって居る二人の事について話し出すと止まらず、二人の

良い所と問題点を上げ!…その際その問題となって居る二人の名前も口にし!…

性格や噂など如何にも噂好きと言ったワードをマシンガンの様にアヤへ話し

続けると、アヤを戸惑わせる!…その女将さんの話に相槌を打とうにも間が無く、

質問しようにも話は切れない!…とにかく一方的にその噂の話を聞かされ!…

アヤもただ戸惑った様子で漸く一言返事をすると、心の中で女将さんに対し

ツッコミを入れる!…その間マサツグ達はと言うと、まるでリハビリの様に

体勢を立て直しており!…ただ時間的には丁度終わったタイミングでマサツグも

立ち上がり!…何とかシロを連れて漸く部屋から出て見せると、その話している

二人に声を掛ける…


「…ぜぇ!…ぜぇ!……お、おまたせ!…」


「ッ!?…マ、マサツグ!!…貴方やっぱり今日は止めにして!…」


「いぃ~や!…面倒事は先に終わらせて置こう!…

なぁ~に!…ちょっと歩けば徐々に調子も戻るさ!…

何ならポーションを飲んででも!!…」


「ッ!?…そこまでするの!?……あぁ~もう!!…

分かったわよ!…私も肩を貸してあげるから!!…

しっかりしなさい!…」


マサツグの膝としては後から爆弾が爆発した様子で、爆発の切欠は言うまでも無く

シロであり!…その肝心のシロはと言うと今だマサツグの脚にしがみ付いては

支えて居り!…マサツグも漸く立てたと言った様子で声を掛けると、アヤはその

マサツグの様子に更なる戸惑いを覚える!…この時マサツグの様子はと言うと、

息を切らしてはまるでおじいちゃんの様で!…何故それで立って居られるのかが

不思議な位に足腰はプルプルとしていた!…すると当然アヤも今日は止めにして

後日とマサツグを労わり声を掛けるのだが、マサツグは何故か頑なにそれを

拒否し!…何ならポーションで回復してでも行こうとし始め!…その様子にアヤも

慌てて止めに入ると、もはや止める事も諦めた具合に肩を貸す!…そうしていざ

マサツグを連れてギルドへと向かい出す際、その話をしてくれた女将さんに

会釈をし!…女将さんは女将さんでそれを不思議そうに見送りながらも会釈を

返し、本当に大丈夫なのか?…と若干不安そうにして居ると、マサツグ達は

そのオータムクラウド国のギルドに向かい歩いて行くのであった!…


因みに事のフィロはと言うと…


「マサツグの馬鹿!!…マサツグの馬鹿!!…

わっちはマサツグの奥さんじゃぞ!?…

奥さんと閨を共にせんとはどういう事じゃ!!…

むぅ~~~!!!………ッ!…そうじゃ!…

!…

くふふふ!…マサツグめ!…わっちから逃げようなど甘い考えを!…

…それともこれを含めて愛情表現なのかのぉ?…愛い奴め!…

…待って居れマサツグ!!…わっちの本気を見せてやるのじゃ!!!

にょ~~っほっほっほっほ!!!…にょ~~っほっほっほっほ!!!…」


一人用意された部屋に残っては怒ったり文句を言ったり!…仕舞いには

勝手な妄想を膨らませてはいつも通り暴走をし始め!…一人マサツグを

襲う算段を考え始めると、部屋一杯に自身の妖気を放つのであった!…

因みにその襲った結果と言うのはまた別の話!…当然これまた大揉めに

揉める事を!…この時マサツグは微塵も知らないのであった!…

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