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-第四章-オータムクラウド国編-
-第四章二節 大陸同士を繋ぐ洞窟とサービスエリアと通行証発行!…-
しおりを挟む馬車の中でアヤに詰め寄られたりフィロに文句を言われたり…とにかくその日を
終えて次の日に跨ぐと、マサツグ達は今だ馬車に乗ってはオータムクラウド国を
目指していた。徐々にサマーオーシャン大陸との分かれの瞬間が近付いて来ると、
同時に大陸境の洞窟へと接近し!…マサツグ達の乗る馬車は何事も無くその洞窟
へと入って行き、乗っているマサツグ達もそれに気が付き如何言う事か?と慌て
出しそうになって居ると、その様子にアヤが呆れた様子を見せる。
__ガラガラガラガラ……ッ!…
「あれ?…何で洞窟に入って?…
俺達を何処へ運ぶつもり!…」
「……何言ってるのよ?…
オータムクラウド国に行くならこのルートで合ってるじゃない!…」
「え?…」
この時マサツグはてっきりオータムクラウド国に渡るのは海路や空路だと思って
居たのだが、如何やら違うらしく!…アヤが言うには間違って居ないとの事で
あり、マサツグの慌て様にツッコむよう呆れて言葉を口にすると、そのアヤの
言葉にマサツグは戸惑い出す!…その際本気で分かって居ない様子で困惑の表情
を浮かべると、フィロもそのマサツグの表情に思わず笑ってしまい!…アヤは
アヤで更にマサツグに対して呆れ出し!…何故洞窟のルートが合っているのかを
マサツグに説明し始めると、中々に面白い話を口にする。
「……知らないって事は行き当たりばったりで行き先を決めたって事ね?…
ハアァ~……いい?…
この洞窟は唯一オータムクラウド大陸へ陸路で行けるルートなの!…
大陸間同士の間が狭い事から穴を掘ってどちらからでも通れる様に
通行の便を図って…その際穴を掘るに当たって一番安全で最短だった
のがこの洞窟の先に在る場所だったの!…
…だから別にルートが間違ってるとか御者が何かに操られているとか…
そんな事じゃないから安心しなさいな!…」
「ッ!!…そ、そうなのか…
…俺はまたてっきり何か妙な事に巻き込まれたんじゃと…
……って、穴を掘って?…
…一体如何やってそんな穴を掘ったって言うんだ?…」
アヤが言うにはこの洞窟は陸路でオータムクラウド国に渡る際、絶対に
通らざるを得ないルートらしく!…マサツグの計画性の無さに呆れつつ、
この洞窟が如何言うものなのかをマサツグに説明をすると、この洞窟は
まるで青函トンネルの様に出来ている事を口にする!…そして改めて
誰かに襲われているとかではない事を付け添えると、マサツグもその話を
聞いて安堵するのだが!…よくよく考え直してみると、そのアヤの話は
如何にも可笑しく!…一体如何やって掘ったのか?…その他の技術に
関しても色々と疑問点が出て来ると、マサツグは違う意味でまたまた
悩み出す!…そしてマサツグが腕を組んで一人悩み出して居ると、シロは
その様子を隣で不思議そうに顔を覗き込んでおり…アヤはアヤでこの旅に
ついて色々と考え!…本当に大丈夫なのか?と思わず考え出して居ると、
フィロは徐に席を立ち上がるなりマサツグへ甘え出す!…
__……スッ…ぴょいん!…ガバァ!!……ッ!?!?…
「ッ!?…っとぉ!!…フィロ?」
「そんな些細な事如何でも良いではないか!…それよりもこの旅!…
こうして改めてマサツグと触れ合う事が出来るのじゃ!…
共に肌寒くなる大陸の風を!…肌と肌で温め合おうでは無いか♥…」
「くぉらフィロ、離れるのです!!!
ご主人様はシロが温めます!!!」
何を思ったのか自由奔放なフィロはマサツグに向かって飛び付いては甘え!…
するとその様子にシロが機敏に反応!…耳と尻尾をピンと伸ばして毛を逆立て!…
マサツグはマサツグでフィロが突如飛んで来た事に驚いて居ると、フィロは
シロの事など御構い無しに甘え始める!…その際無駄だと分かって居ながらも
誘惑をする様に胸を押し付け頬を染めると、マサツグにしがみ付こうとする
のだが!…当然それを良しとしないのがシロであり!…徐々にマサツグに似て
来た様子の言葉遣いでフィロに文句を言うと、そのマサツグへ張り付こうと
しているフィロを引き剥がしに掛かる!…この時自分がその役割を代わる!と
言った様子でシロが言葉を続けると、マサツグは更に戸惑い!…当然そこからは
当たり前の様に喧嘩!…アヤもその様子を見て他人のフリをし始めると、子狐と
子狼はキャンキャンと吠え合う!…
「いやじゃいやじゃあ~!!!
大体元を正せばわっちの方が先にマサツグに目を付けて居ったのじゃ!!!
お主にとやかく言われる筋合いは無い!!!」
「でもシロの方が先にご主人様のペットになったのです!!!
あとから入って来た女狐にガタガタ言われたくありません!!!
はぁ~なぁ~れぇ~るぅ~のぉ~でぇ~すぅ~!!!!」
__グイグイ!…ぎゅ~~~!!!……フイッ……ッ!?…
それこそマサツグの着ている服が伸びる程に!…フィロはマサツグにしがみ
付いて必死の抵抗!…シロはそれでもフィロを引き剥がしに掛かり!…アヤは
アヤでその様子に我何も関せず!…マサツグに対して露骨に視線を逸らし、
巻き込まれないよう窓の外の風景を眺め始めると、その様子にマサツグが
ショックを受ける!…明らかに助ける気などサラサラないと!…洞窟の中を
走って居るので何も外の様子は面白く無いのだが!…ただジッと外の光景を
眺めては固まっており!…マサツグもその様子を見てショックを受けつつ
助けが無い事を悟ると、子狐と子狼を宥め始める!…
「ッ!?…コ、コラ!!…服が伸びるだろうが!!…
それにフィロも急に如何した!?…甘えるにしても急過ぎるし!…
何よりその誘惑する様な仕草を止めなさい!!…
色々と教育上宜しくない!!」
「だって寒いんじゃモン!!…
わっちの着物はマサツグに斬られてしもうたし!…」
一旦シロに引っ張るのを止めさせる様に声を掛けるが、シロは必死になって
おり!…続けてマサツグはフィロにも驚いた!と声を掛け出し、この時
自身の体を押し付けるのは止めなさい!と教育上でも注意するのだが!…
フィロは寒い!と言っては言う事を聞かない!…その際自身の体を押し
付ける口実が欲しかったのか、マサツグと戦った時の事を話し出し!…
あの時着物は駄目になったと口にし、ついでにマサツグに対してニヤッと
意地悪そうに笑って見せると、マサツグもそのフィロの笑顔に戸惑って
しまう!…
「ッ!…じゃあ向こうに着いたら新しいの買ってやるから!!…
シロもシロで膨れながらまだ引っ張らない!…伸びちゃうだろぉ!?…」
「むぅ~~!!…むぅ~~!!!」
「むぅむぅじゃないの!…ほら!……あぁ~あ!…
見事にビヨンビヨン!……しゃ~ない!…とにかく着替え……ッ!…」
戸惑いながらも何とかフィロを剥がす為に買い物の約束をし!…ついでに
アイテムポーチから自前の毛布を取り出すと、それをフィロに巻き付ける!…
そして次にフィロを剥がしに掛かると、シロに一旦落ち着くよう声を掛け!…
しかしシロはマサツグに対して膨れては抗議!…マサツグもそんなシロの
様子にツッコミを入れながら落ち着かせるよう軽く頭を撫でると、漸く二人
から解放される!…しかし時既にお寿司でマサツグの着ていたTシャツは
犠牲になり、襟口は2.5倍に伸びており!…シロかフィロを抱えて更に首を
出せそうな!…そんな伸びに伸び切ったTシャツにマサツグも諦めた様子で
着替え始めると、何を思ったのかふとある事を思い付く!…
「……これで良ければ着るか?…フィロ?…」
「ッ!?…そ、そんな伸びた服を渡されてものぅ?…
……でも貰えるのなら欲しいのじゃ!…」
「ッ!?…ああぁぁ~~!!!」
「シロにも一着やっただろ?…ホラ最初の!…」
「うぅ~!!…でも!…でもぉ~!!…」
フィロにその伸び切ったTシャツを差し出す!…当然これにはフィロネウスも
驚き戸惑い!…その差し出されたTシャツをマジマジ見詰め戸惑いの表情を
露わにすると、同時に首を傾げて見せる!…この時どの様な使い道が?と言った
悩みの様子も伺えるのだが、それでもフィロは嬉々としてそのTシャツを受け
取り!…フィロにTシャツをあげた事でシロもショックを受け出し!…そんな
シロの様子にマサツグも気が付き!…最初にあげたでしょ!とシロに言い
聞かせると、シロは膨れる!…その際シロは腕を振り上げてマサツグに抗議を
するのだが、マサツグは聞き入れず!…とにかく着替え終えると両脇に二人を
座らせ!…もう喧嘩をさせない様に大人しく頭を撫でて落ち着かせに掛かると、
アヤも漸く視線を戻しては声を掛け出す!…
「……お疲れ様ぁ~…手の掛かるお子様達ね?…
ちゃんとお父さんもしてるんだ?」
「ッ!…その言われようレイヴンにも言われたわ!…
てか、助けてくれても良いじゃねぇか!!…大変なのにぃ!!」
「私が助けに入った所で変わらないわよ?…
二人共マサツグの言う事しか聞かないから?…」
「えぇ?…そうか?…」
事が終わってからアヤが漸く視線を合わせ…マサツグに対して労わるよう
声を掛けると、まるで本当の親子のやり取りの様だったと言葉を続ける!…
その際父親は勿論マサツグで、シロとフィロはその子供と言った様子!…
呆れながら苦笑いしつつそんな言われたのでマサツグもツッコミ!…改めて
助けてくれなかった事に対して文句を言うと、アヤは苦笑いしながら
言い訳をする!…この時アヤが言った言葉と言うのはシロとフィロは自分から
するば聞かん坊という事で、そんな風に思えないマサツグは疑問を持ち!…
両脇に居る二人を交互に見ては頭を撫で…暫くそのトンネルの中の時間を
過ごして居ると、奇妙な光景を目にする!…それは?…
__ガラガラガラガラ……zzzz…チカッ…ッ!…
「……え?…今なんか建物の光が?…」
__チカチカッ!……
「ッ!?……え?…」
あまりに燥ぎ過ぎたせいかシロとフィロはマサツグに寄り掛かる様にして爆睡!…
マサツグも若干うつらうつらとしながら窓の外の光景を眺めて居ると、その道
すがらに灯りを見つける!…それはまるで民家から漏れ出る灯りの様で、当然
トンネルの中で見られるものではなく!…確かに足元を見易い様にトンネル内には
明かりが設置されて有るのだが、明らかにそれとは別の優しい灯りが見えると、
マサツグも驚いた様子で目を覚ます!…その際最初は見間違いか?…と考えて
言葉を漏らすのだが、如何にも違う様で!…走る馬車の中から外を見るとやはり
灯りがチラホラ!…そんな光景を目にしてマサツグが驚いた反応を見せて居ると、
アヤも気が付いた様子で説明をする!…
「……ッ!…あぁ、そう言えば説明して無かったわね?…
ここからは民宿も出て来るから泊まろうと思うなら今の内よ?…
…ただちょ~~っと!…割高だけど…」
「ッ!?…い、いやその前に!!…民宿!?…
何でこんな所に民宿が有るんだ!?…」
「……ッ?…そりゃあるでしょ!…
何処から来てるのか分からない上に馬をずっと走らせる訳にも行かない!…
オマケにこのトンネル自体も長いし!…
徒歩でここを潜るなら3週間は掛かるわよ?」
アヤはさも当然の様に冷めたリアクションをするとその灯りについて説明…
アヤが言うにはその灯りは民宿のモノらしく!…自分達でも泊まろうと思えば
泊まれる事を口にすると、更にその値段についても軽く触れる!…しかし
マサツグとしては疑問点はそこではなく!…何故ここにその民宿が建っている
のか!と言う事であり!…アヤにツッコミを入れるよう慌てて質問をし始め!…
その質問に対してアヤは逆に疑問を感じた様子で返事をすると、その建っている
理由について話し出す!…何でもこのトンネル自体そこそこ距離が有るらしく、
馬車でも日数が掛かると言い!…その為野宿をするには色々と不便と民宿が
建ち!…ここを行き交う者達の安らぎの場になって居ると言った様子でアヤが
説明をすると、マサツグは更に驚いて見せる!…
「ッ!?…ま、マジか!?…」
「…まぁ私達が乗ってる馬車はギルドの運営して居るモノだから
その点は心配無いけど…
一般だとそこに泊まって体を休めて明日に備える!…
…ってのが当たり前みたいね?……で、如何する?…
泊まるなら御者に声掛けるけど?…」
「ッ!!…じ、時間は……ッ!…もう直ぐ昼か…じゃあいいかな?…
…てかまだ昼なのか…やっぱ天気が見れないと時間が分からないって言うか?…」
「……あぁ~…それは何と無く分かるわね…」
現代で例えるとサービスエリアと言う事か、マサツグはこのゲームにもサービス
エリアがある事に驚き!…その一方でアヤは今自分達が乗っている馬車の事に
ついて話し出し!…別に無理に民宿へ泊まらなくても越える事が出来る事を口に
すると、更に捕捉の説明を付ける!…そして改めてマサツグに馬車を止めるか?
について尋ねると、マサツグは思わずその質問に戸惑い!…徐に時間を確認し
出してはメニュー画面を開き!…ゲーム内時間でまだ朝?…の10半位である事を
確認すると、アヤに大丈夫と返事をする!…その上で改めて時刻が直ぐに分から
ない事について思わずぼやくと、アヤもそれに同意するよう零し!…馬車は
そんなサービスエリアの隣を向けてガラガラと!…先を急ぐ様にトンネルの中を
駆けて行くと、徐々にオータムクラウド国へと近付いて行く!…そして!…
__ガラガラガラガラ…
「……ッ!…見えて来たわよ!…
あの関所を抜けた先がオータムクラウド大陸!…次の目的地よ!」
「ッ!…や、やっと着いたのか!…な、長かったぁ~…」
時間にして約二週間!…やはり所々にあるサービスエリアを利用しつつ
トンネル内を潜って居ると、漸くそのトンネルの出口付近にまで辿り着く!…
さすが大陸同士を繋ぐトンネルと言った所かまさかの二週間掛かった事に
マサツグも驚き!…同時にもう直ぐ陽の目を見られる事にホッと安堵し、
アヤの言葉に釣られて窓の外に視線を向けると、その馬車の進む方向からは
若干ながら光が零れていた!…そうして長かった馬車の旅も漸く終わりを
迎えようとし、マサツグ達は関所へ…馬車も導かれる様に関所へ向かい、
そこで関所の番をしているオータムクラウド国側の兵士の誘導に従うと、
ある事を尋ねられる。
「…ッ!……そこの馬車!…一旦止まられよ!!…こちらへ!!…」
__ッ!…ガラガラガラガラ!!…ヒヒィ~ン!!!……コンコン!…
「…失礼する!…
これより先に参られるのであれば一人一人通行証の提示を願う!…
通行証が無ければここより先は通す事は出来ない!…」
「ッ!…通行証?…」
門番はマサツグ達の乗る馬車を呼び止めると停車スペースへ案内誘導!…それに
従い御者も馬車を駐車すると、馬は嘶き!…マサツグ達の乗る馬車に一人の兵士が
近付いて来ると、馬車の扉をノックする!…そして扉を開けて兵士が中に入って
来ると断りを入れ…マサツグ達一人一人に通行証の提示を求めると、その言葉に
マサツグ達は戸惑ってしまう!…何故ならその兵士の言う通行証とやらを持って
居ない訳であり、ここからあの長いトンネルを引き返さないといけないのかと!…
しかし兵士はそんなマサツグ達の様子を見透かした様で…通行証を持っていないと
判断すると、更にある事を提案する!…
「……如何やら誰も通行証を持っていない御様子…
ではここで作って貰うになるのだが手数料が掛かる!…
…それで構われないか?」
「ッ!…な、何だ!…作って貰えるのかぁ!…
俺はまたてっきりまたあの長いトンネルを引き返さないといけないのかって!…」
「ッ!…あははは!…まぁ、少し前まではそうだったが…
今は技術が進化してここでも作れる様に!…
ではすまないが全員馬車を降りて関所へ…
そこで身体検査と通行証の作成をして貰う!…
付いて来られよ!…」
兵士が提案したのは通行証の作成!…如何やらここでもその通行証の作成が
出来るらしく、手数料が要るとマサツグ達に断りを入れると、マサツグは
その言葉を聞いて安堵する。その際思わず苦笑いをして本音を零すと、その
兵士もマサツグの本音に笑い!…何でも少し前までその言って居た事は普通に
起きていたらしく!…それを不便と感じた様子で技術を導入した事を口に
すると、マサツグ達を関所の中へと案内する!…その際マサツグ達が馬車を
降りると、既に大陸は変わって居ると言った様子で!…一歩外に出ると外の
空気は肌寒く!…その外気にシロやフィロ、アヤまでもがプルッと身を震わせ
若干寒いと言った反応を見せて居ると、マサツグ達はその関所の建物へと
通される。
__ガチャッ!…キイイィィ……ッ!…
木製の重そうな扉を開けて中へ!…するとそこは他の国の詰め所同様の
物々しい内装をしており、武器や日記などが保管されては整理整頓!…
まさに規律正しい詰め所と言った様子が見て取れた!…そしてそんな
詰め所の中で一際目を引く物が一つ在り、それは机らしき物に紫色の光を
放つ!…魔法陣が描かれては詰め所の中央に設置されて有り、案内して
くれた兵士もその奇妙な机の前へと移動すると、マサツグ達に説明をする。
「こちらへ!……この魔法陣にそれぞれ血を一滴!…
そして発行手数料として一人15000Gの支払いを…」
「ッ!…そこそこするなぁ……まぁそれはともかく!…
15000×4だから60000か…ほいほい?…」
__ガサガサ!……ジャリン!……
「……確かに!…では血を!…その後は身体検査を!…」
何でも通行証の作成には血が必要らしく、兵士は一本のナイフを取り出し!…
別に脅迫をすると言った訳では無いのだがナイフで魔法陣を指し示し!…
手数料も一人頭でマサツグに伝えると、マサツグはその料金の高さに思わず
ぼやく!…しかし必要経費である事には変わらないので、全員分の料金を
渋々計算すると、その料金を兵士に渡し!…兵士も料金を受け取って確認を
した所でマサツグにナイフを差し出し!…血を魔法陣に垂らすよう指示を
出すと、同時にもう一度身体検査の案内もする!…そうして兵士の話を聞いた
所でマサツグはその受け取ったナイフで人差し指を切ると、その魔法陣に血を
垂らし!…
__……ピッ!……ピチョン!…パアアアァァァァ!!!…ッ!…
「おぉ~!!!」
「…それが通行証だ!…
これは血の盟約によって出来る物らしく、
もし誰かに盗難されても自動で自分の手元に戻って来るよう出来ているとか…
…まぁ私も詳しくは知らないのであんまり説明は出来ないのだが…
一応無くされないよう気を付けておく事を貴殿達に言っておく!…」
__……キィン!……スッ……
マサツグがその魔法陣に血を垂らすとまるで波紋を作る様に魔法陣は波打ち!…
更に光が強くなったかと思えば次にはその魔法陣より木簡の様な!…黒い棒状の
白い字で何かが書かれて有る物体を生成する!…そんな魔術めいた物を見て
マサツグ達が若干驚いて居ると、シロは声を上げて目を輝かせ!…それを見て
兵士も笑って更に説明!…その謎の物体が通行証である事をマサツグ達に話すと、
マサツグはその通行証に手を触れる!…するとその通行証は意外にも何かの
結晶で出来て居るのか、手に触れた途端透き通った音が聞こえ!…その音にも
若干の驚きを示しつつ!…無事通行証を手に入れた所でその兵士に渡された
ナイフを次にシロへ渡すと、シロもマサツグの真似をする様に人差し指を軽く
切って見せる!…
__……ッ~~!!…ピッ!……ッ!…
「…シロでは身長が足りないか……どれ?…」
__ガッシ!!……ピチョン!…パアアアァァァァ!!!…
「ッ!…おおぉ~~!!!…出来た!!!…
出来ましたご主人様ぁ!!!」
魔法陣に血を垂らす際、シロは自身の指を切る事に若干抵抗を覚えつつも
軽く切って見せ!…そしてマサツグの真似をする様に魔法陣へ向かい手を
伸ばすのだが!…如何にもシロの身長では高いのか魔法陣に手が届かない!…
そんな様子にマサツグも苦笑いをするとシロを抱っこして魔法陣の前へと
連れて来ると、シロはマサツグに抱えられながら魔法陣に自身の血を一滴
垂らし!…すると同じ様に魔法陣が発光してはシロの分の通行証を生成!…
それを見てシロは嬉々として通行証を手に取り!…自分にも出来た!と
マサツグにも見せて喜びを露わにすると、マサツグもそんなシロの様子を
見て笑みを零す!…
「おぉ~出来た出来た!…やったな、シロ!…」
「…フン!…この程度の事で一々喜ぶでない!…
さっさと降りてわっちに順番を代わらぬか!…」
__ブンブンブンブン!!…
「……と言いつつ尻尾を振って居る様に見えるが?…」
「ッ!?…な、何の事じゃ!?…
わ、わっちはただ面倒事が嫌いなだけじゃ……んっ!…」
シロはキャッキャと喜びマサツグはあやし!…そんなマサツグの足元では
フィロが何やらムズムズとした態度を見せており!…シロに対して急かす
よう文句を言い出すと、何やらあからさまに我慢出来ない様子を見せて居た!…
それはまるで玩具を前にして興奮が治まらない子供の様で、何なら尻尾を
振って見せて居り!…当然そんな言葉と裏腹の態度を見せて居る事に
マサツグがツッコみ!…フィロも図星を突かれた様子で慌てて言葉を口に
すると、マサツグに対して頬を赤らめつつ万歳をする!…そうして次は
フィロの番と言った様子でマサツグもシロを降ろすとフィロを抱っこする
のだが!…
__……スッ…ガッシ!!…ぷらぁ~ん……
「……のうマサツグよ?…
わっちが想像していたのと何か違う気がするのじゃが?…」
「いや、仕方が無いだろ?…お前さん胸に立派なモン抱えてる訳だし…
それが邪魔で腰を掴めねぇんだから!…」
「クッ!!…我ながらその乳に野望を阻まれようとは!…」
マサツグがフィロを抱っこする際…それはまるで人攫いのよう脇に抱えてフィロを
抱っこすると、フィロは思って居たのと違うと言った様子で言葉を漏らす…何なら
マサツグに抱っこして貰える事を心待ちにして居た様で、シロみたいに高い高い!
では無いと疑問を抱えた様子で言葉を口にし!…マサツグもそう抱っこ出来ない
理由について話し始め!…フィロの胸に問題が有るよう言い訳をすると、フィロは
それを聞き入れた様子で悔しがる!…この時フィロとしては触られようが揉まれ
ようが構わない!と言った所なのだが、マサツグの性格上無駄だと分かって居る
様で!…その一方でシロとアヤはフィロの胸を凝視し始め!…まるで嫉妬する様な
鋭い眼光で見詰めると、その様子に兵士も戸惑うのであった!…さてフィロも
無事に通行証を作った事で最後はアヤの番となるのだが!…
__スッ…ピッ!……ッ?…
「…流れ的にアヤも抱っこした方が良い?…」
「ッ!?…しなくて良い!!!」
__ピチョン!…パアアアァァァァ!!!…
アヤも戸惑う事無く人差し指を軽く切り…血を滲ませ魔法陣にその血を垂らそうと
すると、ふと何やら視線を感じる!…勿論その視線にアヤも疑問を持った様子で
反応すると、その視線を感じる方を確認するのだが!…そこに居たのはマサツグで
あり、マサツグは何を思ったのか流れ的にアヤも抱っこした方が良いのか?等と
尋ね出すと、アヤは当然ツッコミを入れる!…この時赤面しながら文句を言うと、
魔法陣に血を垂らし!…何事も無く自身の通行証を制作して見せ!…マサツグに
問題無い!と言った様子で若干睨むと、最後は全員で身体検査を受ける!…
「……男性冒険者の方は特に問題は…
アレを持っている様にも見えません!…」
{…ッ!…アレ?…}
「よし!…次!…」
この時身体検査と言ってもマサツグ達は冒険者であるから、当然武器を持って
居る訳で…しかし如何やら兵士達が気にしているのは武器の所持等では無い様で、
マサツグの体を調べた後…何も無い事を確認すると、何やら気になる一言を
口にする!…当然それを聞いてマサツグも反応するのだが、兵士達からの説明は
無く!…ただ次の人物と言った様子で流されてしまい!…シロとアヤも無事
検査を終えると、最後はフィロだけとなるのだが!…
__カラン♪…コロン♪…
「ッ!…遊女か?…ッ!……にしては身なりがチンチクリン…」
「ッ!!…喧しいわ!!!…貴様今ここで焼いてやろうか!?…
それにわっちは遊女ではない!!!…マサツグのお嫁さんじゃ!!!…
…そん所そこらの安い女と一緒にするでない!!!」
恐らく兵士はそのこっぽり下駄の音に反応したのだろう、フィロの事を見る前に
遊女と言い…しかしいざ対面して見ればそこに居るのは小生意気そうな子狐と!…
確かに一部子供ではない部分があるが可笑しいと言った様子で言葉を続けると、
その兵士の言葉にフィロが切れる!…その際その兵士の胸倉を掴みに掛からん
勢いで詰め寄ると、口一杯に文句を言い!…この時自身が遊女で無い事!…
自分はマサツグの奥さんである事を堂々公言すると、最後に自分は安くない!と
胸を張る!…
__バルン!!…バルン!……ッ!?…ゴクリッ!…
{{いやそれも可笑しいから!…}}×2
__ムウウゥゥ~~~!!!……ガッ!!…ヨジ!…ヨジ!…ヨジ!…ヨジ!…
「ッ!…あ、あのぉ~?…シロさん?」
するとフィロの胸がぶるんと揺れると、思わず兵士達の視線はそこに集まり!…
マサツグとアヤはそのフィロの文句に対して心の中でツッコミを入れ!…シロは
シロでそのフィロの文句が気に喰わなかったのか、徐にマサツグへ手を伸ばし
膨れっ面の様子でマサツグの体を攀じ登り始めると、マサツグも気が付いた様子
で声を掛ける!…しかしその声はシロの耳には届いていない様で、マサツグの
戸惑いの声は空しく空振り…シロは攀じ登り切ると定位置にしがみ付いては
位置的マウントを取り出し!…マサツグもそんなシロにツッコミを入れて居ると、
フィロもそれに気が付いた様子で振り返る!…
__ガッシ!!!…ムフウウゥゥン!!!!…パタパタパタパタ!!…
「…いやムッフゥンでもパタパタじゃなくてね?…」
__ッ!…チラッ?……ッ!!……バチバチバチバチ!!!…
如何やらシロとしてはこれがフィロに対しての挑発の様で、フィロもそれに
気が付くなり振り返ってはシロとバチバチに視線を飛ばし合い!…当然
どちらも譲らない!と言った様子で一歩も引かず!…その隙に兵士達も
フィロの身体検査を恐る恐る終えると、大丈夫とする!…そうして無事
マサツグ達はオータムクラウド国への入国を許される訳なのだが、その喧嘩は
馬車に戻ってからも続き!…それこそマサツグを間に挟んでの睨み合い!…
マサツグもこれには呆れた疲れた様子で放置をすると、それはトンネルを
抜けるまでの間!…終わらないのであった!…
応援ありがとうございます!
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