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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章九十一節 連行されるアヤと意味不明な意図とアヤの激昂-

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ロディから聞いたアヤの指名手配の話より三日後…マサツグは嫌がるアヤを

無理やり連れてある場所へと向かっていた!…この時当然アヤとしてもその

場所に向かっているマサツグ達の様子に気が付くと、何が何だか分かって

居らず!…当然の様に抵抗の姿勢を見せるのだが!…マサツグが指揮する

シロとフィロネウスにより見事なまでに拘束されると、抵抗空しくドナドナ

されて居た…


__……やだやだやあぁだああぁ~~~!!!!…


「…えぇい!!…大人しくせんか!!!

その五月蠅い口に狐火を放り込むぞ!!」


「……ごしゅじんさまぁ?…アヤお姉さん何か悪い事をしたのですか?…」


「ッ!…いや、そう言う訳じゃないけど……

まぁケジメをね?…」


まるで駄々っ子の様に喚いては必死に首だけでも振って嫌がり!…そんなアヤの

駄々っ子ぶりにフィロネウスも喧しい!と文句を言うと、黙らせる様に脅しを

掛ける!…この時そのアヤの状態はと言うと、まだフィロネウスがチンチクリン

になる前の…あのフィアナとミスティーを拘束した時みたく炎で拘束されており、

シロもそんなアヤの背中にしがみ付くと、動きに制限を掛ける様に重しとなって

居た…そしてアヤはマサツグへ向かい必死に止めるよう声を掛けるのだが、

マサツグは全く聞く耳を持って居らず!…どんどんアヤをその場所へと連れて

行ってはアヤを泣かせて戸惑わせ!…シロとフィロネウスもそんなマサツグの

思惑に困惑した様子でとにかく指示に従って居ると、マサツグ達はその目指して

居た場所へと辿り着こうとしていた!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…ッ!…見えて来たな!…!!…」


「ッ!?…ヒィ!?…」


「ヒィ!!って、アヤ…ここはお前の生まれ故郷だろ?…

別に取って食われる様な場所じゃ…」


「取って食われそうになるから嫌なのよ!!!…

と言うより何なのよ!!…訳も分からずここに連れて行きて!!…

お母様に私を引き渡す気!?」


マサツグ達が目指して居たのは!…そう、アヤが指名手配されている

国へと向かって居たのである。そして目の前に見えて来たその巨大な樹の光景に

マサツグも戻って来た!と話して居ると、アヤは恐怖で顔を引き攣らせ!…その際

まるで監獄に戻って来た様な悲鳴を上げ!…そんなアヤの悲鳴にマサツグも呆れた

様子でツッコミを入れると、アヤはすかさずマサツグに文句を言い出す!…この時

今だ何故自分がここに連行されて来たのか分かって居ない!とマサツグに文句を

言うと、まるで自分が奴隷にでもなったかの様に涙ながらに訴え!…そんなアヤの

様子にマサツグも当然戸惑い呆れ!…溜息を吐いてそこまで言うか?…と言った

反応を見せると、アヤに対しこう言葉を続ける!…


「…はあぁ~…第一!!…

いつまでこうして女王様から逃げているつもりなんだ?…

いつかはアヤもここに戻って来て同じ地位に!…」


「ッ!!…に、逃げてるんじゃないわよ!!…ただ!!…

…ただ私はまだ落ち着いて居られないのよ!!…」


マサツグとしては一度女王様と話をさせようと考えたのか、女王様と向き合う

様に言葉を掛け!…更にはいつかその女王様の跡を継ぐのだろうと!…

その為にも蟠りを解消させるようアヤに言い聞かせようとするのだが、アヤは

それ所じゃない!と言った様子で反論をする!…まるで自身が冒険者になった

理由は別にあると、マサツグに逃げてない!と文句を言い!…その際思い

詰めた様子で若干俯き!…更に何かを臭わせるよう言葉を口にしようとすると、

マサツグもそのアヤの反論を聞いてはその理由を尋ねる!…


「……と言いますと?…」


「ッ!!……ゴメン!…それはまだ言えない…」


「じゃあ、ドナドナなぁ~?」


「ッ!?…ッ~~~~!!!…」


マサツグもさすがにそのアヤの様子には耳を傾けるのか、一度足を止めては

理由を尋ね!…するとアヤはやはり思い詰めた様子で…とにかく今はまだ

話せない!…と言った具合に視線を逸らし、何か話し辛そうな雰囲気を

滲ませるのだが!…マサツグは答え無しと分かると連行を再開し始める!…

そんな容赦の無いマサツグにアヤもまたビクッと反応すると、ただただ

無言でマサツグを睨み!…だがマサツグは全然怯まず!…そのままシロと

フィロネウスを引き連れユグドラドの玄関口まで辿り着くと、そこで門番の

エルフ達に驚かれる!…


「……今日も貨物の出入りだけで暇……ッ!?…」


「こ!…皇女様ぁ!?……ッ!…あっ!…いや…冒険者のアヤ様なのだろうか?…

と、とにかくそこの者!…止まりなさい!!……一体何の料簡を得て!!…」


「ッ!…丁度良い!…女王様との面会を頼む!…至急話したい事が有ってな?」


「ッ!…え?……」


当然である!…突如目の前に自国の皇女が一介の冒険者に捕まってドナドナされて

来たのだから!…それこそ今日も平和…みたいな感じで会話をして居たのが急に

事件性が!…勿論それを見て驚き戸惑った様子で反応すると、皇女?…冒険者?…

で悩んで見せ!…とにかく慌てた具合にマサツグ達の前に立ちはだかり!…アヤを

捕まえている理由について問い質そうとすると、マサツグはそんな門番達の話を

聞かないで自身の話を進める!…勿論そんな話を聞かないマサツグの様子に

門番達も更に戸惑うと、門番達同士で見詰め合い…何を言って居るのかが全く

分からず!…とにかく如何言う意味?と言った具合に反応に困っている様な調子を

見せて居ると、フィロネウスがグズ!…と言わんばかりに文句を言う!…


「……聞こえぬのか!…さっさと女王の所へ通せと言って居るのじゃ!!

ただでさえこの聞かん坊の娘をこっちから連れて来てやったと言うに!…

その程度の対応もろくに出来ないのかや!?…」


「ッ!?……しょ、少々お待ちを!!…おい!…」


「ッ!!…あ、あぁ!!…」


__ザッザッザッザッ!……バタンッ!……ッ~!?…ッ~~~!!……


対応が悪い!とばかりにフィロネウスがクレーム!…その際恩を着せる様に

アヤを連れて来た事を主張すると、呆れて見せ!…それぞれ門番達を指差し、

誰でも良いからさっさと連絡を取る様に続けて文句を口にすると、その内の

一人がハッとする!…この時そのフィロネウスの傲慢な態度に対してムッと

する事は無く、寧ろ戸惑い怯えた様子で反応し!…隣に居た仲間に声を掛け!…

急ぎ宮殿との連絡を着ける様に肘鉄砲をすると、その相方もハッとする!…

そして慌てた様子で返事をすると、守衛室へと駆けて行き!…その守衛室に

入って行った後でも何やら騒がしく!…あの電話の様なモノで何やら必死に

訴える様な素振りを見せて居ると、暫くしてその門番が戻って来る!…


__……バタンッ!…ザッザッザッザッ!…


「…お、お待たせしました!…

…即刻通せとの連絡を受けましたのでご案内します!…

…どうぞ!…こちらに!…」


「フン!…ほれ行くぞ小娘!…」


「ッ!…あっ!…ちょっと待って貰っても?……シロ?…」


「ッ!…はいです!!」


__ピョインッ!……シュタッ!……テテテテッ!……バッ!…


慌しく戻って来るとやはり焦りを見せて居り!…宮殿側との連絡が取れたのか

その門番が案内すると言うと、戸惑いの表情を浮かべたままシャボン玉

エレベーターへとエスコートしようとする。そしてその案内を受けてフィロ

ネウスも不服そうに鼻で息をすると、拘束したアヤをそのまま連行しようとし!…

だがその前にマサツグが待つよう呼び止めると、徐にシロへ声を掛け…

シロも呼ばれた事で察したのか返事をし!…アヤから飛び離れマサツグの元へと

駆けて行くと、マサツグの目の前で立ち止まっては笑顔で万歳をする!…

…さて、ここまで来るとあとは言わずもがな……


__…スウウゥ…ガシイィィィン!!!…


「……よしよぉ~し!…えへへへ♪…」


「…さぁ!…行こうか!…」


「……やっぱりそれは必要なのね?」


マサツグは万歳をするシロを抱えるとそのまま自身の顔に…シロもその流れを

分かって居るとばかりに受け入れ!…そのまま合体するようマサツグの顔に

フェイ○ハガーを繰り出すと、いつもの様に頭を撫でては宥めに掛かる!…

やはりマサツグを撫でられる事にご満悦なのか、シロは尻尾を振って喜び!…

マサツグはマサツグでシロにしがみ付かれる事に慣れた様子で声を掛け!…

アヤもそんなマサツグの様子を見て呆れるよう言葉を口にして居ると、その様子を

恨めしそうに見詰める者が一人!…


「……クッ!!…この小娘が駄々さえ捏ねなければわっちもあの様に!!…」


「ッ!?…えぇ~…貴方もアレをしたい訳?…」


「当たり前じゃ!!

好いた男に堂々くっ付けるチャンスなのじゃぞ!?…

なのに!!…なのにぃ~~!!!…」


「そ、そうなの…

…でも貴方の場合その胸が邪魔になるんじゃないかしら?…」


嫉妬の炎を燃やして居たのは当然フィロネウス!…まるでアヤのせい!と言わん

ばかりに文句を口にするとプルプルと震え!…幸せそうにして居るシロの事を

睨み付けて居ると、そのフィロネウスの嫉妬の言葉にアヤが引く!…その際理解

出来無いと言った様子で言葉を口にすると、フィロネウスはそれに猛反発!…

くっ付けるからこそ良い!とアヤに力説し始め!…更に怒りを燃やした様子で

プルプルと震え続けて居ると、更にアヤがその様子に戸惑いを覚える!…しかし

冷静に考えるとアレをするにはフィロネウスでは無理があり!…その事を冷静に

指摘すると、フィロネウスは本気でショックを受ける!…


「ッ!?……な、なん…じゃと!?…」


「いやそこまでショックを受ける様な事なのかしら?…」


「……ッ?…何してんだ?…行くぞぉ?」


「……クッ!…わっちのたわわが仇になるとは!!…不覚!!」


まるで某・死神代行みたくショックを受けると項垂れ出し!…そんなフィロ

ネウスの本気具合にとうとうアヤも付いて行けなくなると、思わず苦笑いを

してしまう!…そして止めを刺すようアヤが続けて言葉を口にして居ると、

マサツグもシロを顔に張り付けたまま移動し…何なら付いて来て居ない事にも

気が付いた様子で、何か有ったのか?を尋ねる様に声を掛けると、フィロ

ネウスはその一方で自身の胸を恨んでいた!…さてそんな珍事も有りながら

門番の案内で王宮へ向かって行くと、その道中!…街中では今更になって

あの防衛戦の話が持ち上がっているのか、捕まっているアヤの様子に気が付く

なり何故!?…と言った様子で戸惑い様を見せて居ると、ザワザワと立ち話が

されて居た!…


__…コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!?…


「……何で皇女様が捕まってるの!?…

あの方は英雄と呼ばれる人達と一緒に戦って見事にこの国を救ったんじゃ!?…」


「…こんな事を言うのもなんだが…

最近の女王様は何か様子が可笑しいのでは?…

ダークエルフ共と友好関係を結ぼう等と…」


「いっその事我々で皇女様をお救いするか!?…

相手は守衛一人と良く分からん冒険者!…それに幼子二人だぞ!?…」


道中を歩けば注目の的!…当然である!…例によって幼女を顔面に張り付ける

不審者に皇女を拘束するキツネ娘!…このパーティ内で唯一真面なのは門番位で…

皇女が捕まって居る事に不信感を抱き!…やはり指名手配された事が可笑しい!

と口々に出て来ると、色々と他にも不満が出て来てはいっそ民間の間で救出作戦が

立てられそうになって居た!…しかし当然その民間の声はマサツグやシロ…アヤや

フィロネウスの耳にも届いて居り、フィロネウスに至っては!…


__……チラッ?…ッ!?……ニマァ~!……ッ!?!?…


「……ふん!…少し警戒心を煽った位でたじろぎおって!!…

軟弱共が喚くでないわ!!…全く!…」


「フィロネウスぅ~?…やり過ぎない様になぁ~?」


「分かって居る!!……どれもこれも小娘!!…お主のせいじゃ!!…」


「ッ!…え?…えぇ~~?……」


まるでそうなる事を願う様にその民衆の方へ視線を向けると、ニマァ~!と妖しく

微笑み!…挑発をする様な態度で民衆に圧を掛けて行き!…そんなフィロネウスの

様子に普通じゃない!…と感じたのか!…視線を送られた民衆はと言うと、蜘蛛の

子を散らす様に解散して行く!…するとそれを見てフィロネウスは面白くない!…

と文句を口にすると、一人勝手に膨れ出し!…そんな様子に気が付いてか

マサツグもフィロネウスを軽く注意をし、その注意を受けて更にフィロネウスが

不機嫌になると、遂にはアヤへ八つ当たりし始める!…別に暴力を振るい出した

とかそう言う訳では無いのだが、全てをアヤのせいにし!…当然アヤもそんな

理不尽な八つ当たりを受けて戸惑い始め!…ただ困惑した様子で言葉を漏らして

居ると、前方より見覚えの有る姿が見えて来る!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ッ!…


「…案内ご苦労守衛よ!…ここから先は私が引き継ごう…」


「ッ!?…リ、リリー騎士隊長!!…それにアルス副隊長も!!…

し、しかし!…」


「……ッ?…聞こえなかったのか?…

ここから先は私達が引き継ぐ!…持ち場に戻れ!!」


「ッ!?…は…ハハッ!!…」


マサツグ達の前に姿を現したのはまるで待ってました!と言わんばかりに

待ち構えて居たリリーとアルス!…その久しぶりな二人の登場にマサツグも

思わず驚き!…フィロネウスは誰?…こいつ等?…と言った様子で眉間に

しわを寄せ凝視をして居ると、二人は門番に声を掛け出す!…その際門番から

仕事を引き継ごうとリリーが声を掛けると、何故か門番は食い下がり!…

だがアルスがムッとした様子で眉間にしわを寄せるとその門番を一喝!…

無理やりにでもその案内の仕事を引き継ぎ出すと、堪らず門番も下がって

しまう!…そうして門番は持ち場に戻るよう来た道を帰って行くと、

マサツグ達は残され!…だがマサツグ達はこの転換に慌てて居らず!…

寧ろ予定調和と言った様子でホッと安堵すると、リリーは気さくに声を

掛け出す!…


「……いやぁ~!…お久し分ぶりですな、マサツグ殿?…

まさかを貴方に頼まれるとは…」


「ッ!…え?…」


「こっちもだぜリリー?…

ギルド越しでの詳しく理由も話して居ないのに引き受けてくれるなんて!…

正直になると思ってたのに!…」


「……え?…え?…ちょ、ちょっと待って一体如何言う事?…」


リリーは約一ヶ月半ぶり?…になるマサツグとの再会に挨拶をし、その際

気になる事を口にすると、リリーの言葉にアヤが戸惑った反応を見せる。

するとマサツグもそんなアヤの様子など御構い無しにリリーに返事を返し

出すと、更に気になる事を口にし…まるで何かを企んで居る様な様子で

二人が会話をして居ると、アヤは益々混乱する!…そして完全に置いてけ

ぼり状態で会話をする二人を交互に見詰めると、まるで話の掴み所を

探るようオロオロとし!…そんなアヤの様子にリリーも気付き!…マサツグとの

挨拶も程々に本題を話すようアヤへ言葉を掛け出すと、単刀直入に物を言う!…


「……ッ!…ンン!!…失礼いたしました皇女様…

では、単刀直入に言わせていただきます!…

貴方にはこのマサツグ殿と!…逃避行なさっていただきます!!…」


「ッ!…え?…はあぁ!?…」


__ッ!?!?!?…


「……まぁ当然の反応かと思われるのですが…

それは色々と理由がありまして…とにかく一度女王様と謁見後!…

皇女様には全力でここ脱出して頂きます!…

その際我々も敵となって止めに入りますが…

そこは演技いたしますので…」


リリーは何の躊躇いも無くこの後どうするかを話すとアヤ達を驚かせ!…

そして当然話を聞いて居なかった様子でシロとフィロネウスも戸惑った

反応を見せると、リリーは続けて説明をする!…その際反応は重々承知と

言った具合に本題へ入ると、真剣な様子で語り!…何でもリリー達も

敵役として邪魔をするらしいのだが!…そこは八百長をするとやはり

辻褄の見えない様子で話しをすると、当然の如くアヤが慌てて質問をする!…


「ちょちょちょ!!…ちょっと待って!?…

全くと言って良い程話が見えないんだけど!?…」


「…申し訳ありませんがそれを説明する時間もありません!…

ぶっつけ本番の大勝負になりますが……どうかご容赦を!!…」


「え!?…えぇ~!?…」


「……ッ!…リリー隊長!…そろそろ連行しないと!…」


勿論こんな状況で更に訳の分からない話を聞かされ!…アヤは納得の行く説明を

リリー達に求めるのだが時間が無いと!…とにかく事の手順はこちらで任せるよう

リリーが話を進めると、やはり当然の様にアヤは困惑する!…まずマサツグに

ここまで連れて来られただけでも訳が分からないのに、今度は自国の騎士が逃亡の

手伝いと!…それにマサツグもリリーもこれと言った説明もせず!…ただ互いに

協力!…何か企んでいる様子だけを見せると、アヤはひたすらに不安に駆られて

いた!…そしてその不安は更に加速するようアルスが声を掛け出すと、急ぐ様に

言い!…そのアルスの急かす声に反応してマサツグとリリーも歩き出し、フィロ

ネウスもマサツグの後を付いて行く様にアヤを連れて連行を再開すると、徐々に

宮殿へと近付いていた!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


{…何?…何なの!?…全く話が読めない!!…

マサツグと逃避行って!!…これじゃまるで駆け落ちみたいじゃないのよ!!…

……い、嫌って訳じゃないけど……でも話が急過ぎて訳が分からない!!…

一体何を考えているの!?…何を仕出かそうとして居るの!?…

確かにこの三日間マサツグの様子が可笑しかったのは見てたけど!……}


宮殿へと向かう道中アヤは必死に自身の心の中で混乱を治めようと奮闘して

いた!…その際話を思い出すようマサツグとの逃避行について考え出すと、

そのシチュエーションまで想像したのか!…まるで駆け落ちみたいと考えては

アヤは顔を赤くし!…嫌じゃないけど如何して?…と更に考え出すと、やはり

そのマサツグ達の真意が汲めないで居た!…そうしてアヤが色々と悩み顔を

赤くして居ると、一同は宮殿へと辿り着き!…衛兵達もこちらの様子に気が

付いた様で徐々に近づいて来るリリーに対し敬礼を取って見せると挨拶を

する!…


「……ッ!…リリー隊長!!…それにアルス副隊長も!!…

ご苦労様です!!」


「あぁ、楽にしてくれ!……女王様は?…」


「既に皇女…ッ!…ンンッ!!…

冒険者アヤの捕縛の連絡を受けて謁見の間にて待機なされて居ます!」


「分かった!…では通してくれ!…」


__ッ!…ハッ!!……ガコンッ!!…ギギギギギギ!!……


敬礼をしながら騎士の二人に挨拶をし、リリーは気さくに声を掛けると女王様の

居場所を聞く!…すると衛兵達は何の疑いを持つ事無く質問に答え始め!…

その際アヤが捕まった事も広まっている様子で話しをすると、やはり何やら変な

感じに言葉を濁す!…その変の事と言うのは皇女と冒険者の呼びようで、

冒険者とアヤを呼び直し!…とにかく女王様は謁見の間に居るらしく、その話を

聞いてリリーも理解したよう頷くと、道を開ける様に指示を出す!…すると当然

衛兵達はそのリリーの言葉に返事をすると、玄関を開けて道も開け!…中に入る

よう道の両脇に立って敬礼し!…それに合わせてリリー達も敬礼すると、遂に

マサツグ達はいつ振りかになる宮殿へと足を踏み入れる!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……よし、入れたな?…じゃあシロ?…キャストオ~フ!…」


「ッ!…うぅ~…もうちょっとくっ付いて居たいです!…」


「ッ!!…何を言うかこのわんこ!!…さっさと離れい!!…

顔にくっ付くだけでも許した事を!…光栄に思うが良い!!」


「……その言い様だと俺がお前の者になったみたいに聞こえるんだが?」


いざ宮殿内に足を踏み入れるとそこは異様に静かで、まるで人っ子一人居ない様に

感じられる!…しかし微かにだが吐息交じりの何か緊張感のある声がチラホラ…

まるでこちらの様子を影から伺って居る様な怪しい雰囲気が感じられると、アヤも

本能的に辺りを警戒をする!…しかしその他のマサツグ達はと言うと、気付いて

居るのか居ないのか?…全く緊張感を持って居らず!…マサツグに至っては宮殿に

着いた事でシロを顔から外そうとし、シロはシロで残念そうに…フィロネウスは

そんなシロの様子に噛み付くよう文句を口にすると、尻尾と耳を逆立て!…そんな

フィロネウスの文句にマサツグがツッコみを入れる等!…とにかくいつもの緩い

雰囲気で会話をしては、アルスを呆れさせていた!…


「おい貴様!…気が付いて居ないのか?…

今ここが何処で如何言う状況なのか!…」


「勿論気が付いてるし何処かも知ってるさ!…

でも気張り過ぎるのも良くないでしょ?…

本番はこの後なんだからよ?…」


「ッ!!……チッ!…相変わらず訳の分からん!…」


「ま!…それが俺の売りみたいなところだから!!…

諦めてくれ!…」


まるで緊張感が無い!と怒る様に言葉を口にすると、マサツグに自覚を持たせよう

とするのだが!…マサツグはアルスの言葉に対して分かって居ると!…更にその

潜んでいる場所にも見当をつけているのか!…チラチラと柱の陰や階段の影に

視線を向けると、アルスへ不敵に笑って見せる!…その際シロとフィロネウスも

もう分かって居る!と言った様子で辺りを見回すと、尻尾を振って余裕の笑みを

浮かべては落ち着いて見せ!…そんなマサツグ達の様子にアルスは更に呆れ!…

文句を言うようマサツグに苛立ちの言葉をぶつけると、マサツグは苦笑いをしては

アルスを宥める!…さて敵の本拠地?…に足を踏み入れた訳なのだが、そこは

無駄な探索などせず!…ゆっくりと女王様の待つ謁見の間へと足を進め!…

その道中アヤはもう一度マサツグ達に訳を尋ねるよう声を掛けると、その真意を

汲み取ろうとする!…


「……ねぇ?…一体何を考えているの?…

そろそろちゃんと説明をして欲しいんだけど?…」


「んん~?…別にぃ~?…ただちゃんと話をさせたくてな?」


「ッ!…はぁ?…それって如何言う!…」


「……お前にもお前なりの考えが有ったんだろ?…

冒険者になったのだって?…

だったらいっその事ぶち撒ける機会をとだなぁ…」


フィロネウスに拘束されながらもマサツグに事の成り行きを尋ねると、マサツグは

恍けた様子で…ただシロと手を繋ぎ一緒に謁見の間へ向かって居ると、単純に話す

機会を設けたかったと!…マサツグのお節介でこの様な事になった事から話し

出すと、アヤは当然困惑する!…何なら余計な事をしないで!と言った怒りの

様子も伺えると、マサツグは更に振り返る事無く話しを続け!…良い機会だから

親子で水入らずに話せと!…まるでこうなる事を予測して居た様子でマサツグは

反省の色を見せる事無く話して居ると、アヤは突如抵抗し出しては文句を言う!…


__ッ~~~!!!…ギッギッギッギッ!!…


「ッ!…無駄じゃ、お主程度の力では破るどころか抜け出す事も…」


「ッ~~~!!!…余計な事をしないで頂戴!!!…」


__ッ!?!?…


何とかフィロネウスの拘束を破って逃げようとするのだが、フィロネウスは

呆れた様子でアヤに無駄だ…と声を掛け…その際首を左右に振って態度でも

呆れて見せ…そのままアヤを連行して行こうとすると、次の瞬間アヤは怒りを

噴火させる!…するとこの時アヤが突如怒りを噴火させた事で全員が戸惑い

出すと、思わず揃って足を止め!…それは勿論マサツグに向けての怒りで

有り、余計な配慮!とアヤが顔を強張らせマサツグへ必死に訴え出すと、

その場に居る面々はアヤに視線を向ける!…しかしマサツグだけはアヤに

対して背を向けたままで、一向に振り向く事は無く!…ただ話を聞く様に耳を

澄ませると何も言わず…そんなマサツグの様子にアヤも続けて怒りを露わに

すると、文句をぶつける!…


「何が話す機会よ!!…何が理由が有るならよ!!!…

こっちの気も知らないで!!!…

私だって話が出来るならそうして居たわよ!!!」


「………。」


__…ッ~~……チラッ?……チラッ?…


アヤは苦悩するよう怒りを露わにすると文句をぶつけ!…本当は自分でも

分かって居る!と言った具合にマサツグへ話すと、何か意味が有る事を

臭わせる!…しかしマサツグはそれについては全く聞かず!…ただ淡々と

黙っており…この時一緒に手を繋いでいるシロも不安そうな表情を浮かべて

居り、何度かマサツグの顔を覗き込む様な素振りを見せて居ると、アヤは

更に文句を続ける!…


「出来る訳ないじゃない!!…

私だってこの国の皇女だって事は自分でも分かってる!…

冒険者になるなんてあり得ないって!!!…

…でも如何してもならないとイケなかったのよ!!…」


「……だからそれを話せって言ってんだ!!……それとも何か?…

テメェの母親は人の話も聞かないで物事を決める馬鹿だって言いたいのか?…」


「ッ!?…ッ~~~!!!」


まるで何か有ったかの様に心の叫びをマサツグにぶつけ!…自分の立場も

分かって居る上で何かが有るよう言葉を口にすると、ただただマサツグの

事が気に喰わない!と言った具合に吠え捲る!…それは反響してその通路中に

響く程の荒れ様なのだが、マサツグは一切怯まず!…寧ろ文句を返す位に

言葉を口にし!…その際アヤの母親!…女王陛下を煽る様な言葉を口に

すると、アヤは当然更に怒りを覚え出し!…その言葉を聞いてアルスも

ピクっと反応すると、訂正を促そうとするのだが!…


「お、おい貴様!!…今の言葉!…ッ!!…」


__……フルフル…


「た、隊長!!…し、しかし!?…」


「…ここは冒険者同士の言い争い!…

我々が介入するべき物ではない!…」


マサツグへ食って掛かる様にアルスが飛び出そうとした瞬間、リリーが

アルスの前に腕を突き出しては止めに入り!…そして飛び出そうとした

アルスに対して首を左右に振り出し、そんなリリーの様子にアルスも

戸惑った様子で反論しようとするが、リリーは抑える様に指示を出す!…

その際リリーもアヤの事を皇女としてではなく冒険者として見ると、

冒険者同士の小競り合いと言い!…まるでそんなモノに手を出すん

じゃない!と言った具合に注意をし、アルスもその指示を聞いて一時は

戸惑うのだが!…次には聞き分けた様子で返事をする!…


「ッ!…りょ、了解…しました!…」


「クッ!!……ッ~~~~!!!」


__……コッ…コッ……ッ!?…コッ…コッ…


「ッ!…あぁ、待ったなのじゃマサツグゥ~!!…」


そうしてアヤはマサツグの事を睨むと更に表情を強張らせるのだが、マサツグは

やはり一切振り向かず!…ただ話は終わったかの様に謁見の間へと歩き出し、

シロの手を繋いでいる事で連れて行かれ!…フィロも置いて行かれる事を嫌がる

様に慌てて後を追い駆けて行くと、やはりアヤの事をドナドナするのであった!…

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「そなたとの婚約を、今この場で破棄する!」 王妃陛下主催の夜会の会場にて、王子は婚約してわずか3ヶ月の婚約者に婚約破棄を通告した。 理由は『婚約者たる王子に対して無視を続け愚弄した』こと。 それに対して婚約者である公爵家令嬢は冷静に反論するも、王子にその『言葉』は全く届かない。 それもそのはず。令嬢は王子の思いもよらぬ方法で語りかけ続けていたのだから⸺。 ◆例によって思いつきでサクッと書いたため詳細な設定はありません。主人公以外の固有名詞も出ません。 比較的ありがちなすれ違いの物語。ただし、ちょっと他作品では見ない切り口の作品になっています。 ◆仕様上選択しなくてはならないし女性主人公なので「女性向け」としていますが、本来は性別問わず広く問われるべき問題です。男女問わず読んで頂き向き合って下さればと思います。 ◆話の都合上、差別的な表現がありR15指定しております。人によってはかなり不快に感じるかと思いますので、ご注意願います。 なお作者およびこの作品には差別を助長する意図はございませんし、それを容認するつもりもありません。 ◆無知と無理解がゆえにやらかしてしまう事は、比較的誰にでも起こり得る事だと思います。他人事ではなく、私(作者)も皆さん(読者)も気をつけましょうね、という教訓めいたお話です。 とはいえ押し付ける気はありません。あくまでも個々人がどう考えどう動くか、それ次第でしかないと思います。 ◆なろう版で指摘頂いたので恋愛ジャンルからファンタジージャンルに変更します。恋愛ものと思って読んで下さった皆さまごめんなさい。 ◆この話も例によって小説家になろうでも公開致します。あちらは短編で一気読み。 ◆なろう版にて多くの感想を頂いています。 その中で「声が出せない以外は健康で優秀」という設定に違和感があるとご指摘を頂きました。確かに障碍というものは単独で発現するものではないですし、そのあたり作品化するにあたって調べが足りていなかった作者の無知によるものです。 ですので大変申し訳ありませんが、現実世界ではない「魔術もある異世界」の話ということで、ひとつご容赦願えればと思います。誠に申し訳ありません。

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する

土広真丘
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ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。 異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。 その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。 心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。 ※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。 前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。 主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。 小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
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幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
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『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

転生騎士団長の歩き方

Akila
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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

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 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

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