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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章八十四節 感じる不気味な影と再放送展開と遅い合流-

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黒く変色した木々の森の獣道を進んで行くマサツグ達、幸いな事にモンスター

等は居ないのかその姿どころか気配もなく…ただ奥地へと導かれる様に

ひたすら真っ直ぐに進んで居ると、同時に嫌な気配も増して行く!…この時

デバフ負荷等の心配は要らないのかアヤも震えて居らず!…マサツグ共々辺りを

警戒した様子で進んで居ると、中々シロ達の姿を見掛けない事に心配をする…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


「……結構進んだと思うが……居ないな…」


「……徐々に嫌な気も増して行ってる!…

と言うかさすがにここまで来ると分かると思うんだけど…」


「かと言って確認しない訳には行かない!…ただの杞憂で終われば良いんだが…」


幾ら歩こうが何処を見回そうとも同じ黒い風景…その不気味な様子…物静けさに

マサツグ達も不安を覚え出し!…更にシロ達の姿も見掛けない事で本当に奥へ

進んで行ったのか?と疑い出すと、引き返そうかとも考える!…しかし万が一に

その奥地まで行って居たらとも考えると、退くに退けず!…とにかく何かに対して

警戒心を強めると、先へ進み!…シロやフィロネウスの事をそこまで無鉄砲じゃ

無い!と考えて居ると、何やら妙な声まで耳にし始める!…


__……オオオォォォ……


「…ッ!…アヤ?…今の聞こえたか!?…」


「え、えぇ!…聞こえたくはなかったけど!…

二人のどちらかでは無い事は確かね!…」


「……いつでも抜ける様にだけはしとけよ?…」


「そっちもね!…」


何処からともなく地を這う様な不気味な声が聞こえ出し!…その声に反応して

二人も足を止めると、確認し合う様に辺りを見回す!…しかし幾ら見回した

所で在るのは同じ様な光景があるばかりで、その声の正体についてもやはり

何処にも姿は無く!…その際アヤに先程の唸り声?…が聞こえたかどうかに

ついて尋ねると、アヤも警戒し緊張した様子で聞こえたと返事!…聞きたくも

なかった!とばかりに言葉を続けると、シロとフィロネウスのどちらでも無い!

と更に続ける!…この時アヤと背中合わせになるよう警戒をすると、マサツグは

忠告するよう常に周囲警戒!と声を掛け!…緊張した様子で武器を手に持ち

出しアヤもその言葉を聞いて弓を握り!…マサツグにも注意を促すよう改めて

声を掛けると、二人はまた先へと急ぎ始める!…


その一方でシロとフィロネウスはと言うと、今だその黒く変色した森の中で

立ち往生しており!…シロは今だ何かに対して怯えて切っては震えて居り、

フィロネウスもそんなシロの様子を見て解決策を考えて居ると、途端に何かに

気が付いた様子でビクッと跳ねる!…


「うぅ~ん!……」


__……ぞわッ!!…ッ!?…


「ッ!?…にょわ!!…こ、この気配は!!…ッ~~~!!!…

さすがにそろそろ移動せんと不味いか!…向こうも何やら様子が可笑しい!…

…こっちの事に気が付いたか!?…とにかくこの白いのを何とかせんと!…

おい白いの、戻るぞ!!…ここは!!…」


「シ…シロも逃げたいのですが…足が!…」


「ッ!?…足に来たと言うのかえ!?…あぁ~もう!!…

これじゃから子供は好かんのじゃ!!…肝心な時に動けんとは!!…

…しかし如何する!?…無論置いて行く訳には行かない!!…」


まるで背筋に冷たいモノが走ったかの様に!…フィロネウスはその異変を感じ

取ると尻尾をピンと逆立てては辺りを警戒!…その際その正体も分かっている

様子で更に慌て始めると、とにかく移動をしようと考えるのだが!…

いざ逃げようとしてシロに声を掛けるとシロが動けず!…その理由に恐怖から

足が動かないと返事が帰って来ると、フィロネウスは更に慌て始める!…この時

思わず本音を漏らすと、改めて策を考え!…とにかく見捨てない!と言った

様子で思考を働かせ、何かとにかくやり過ごすだけでも出来ないかと考えて

居ると、徐々に辺りを黒い霧らしきモノが包み出す!…


__……ぼやあぁぁ…ぼやあぁぁ…


{ッ!?…チッ!!…やはり感付かれて居ったか!…

如何する!?…確かに戦えん事は無いが面倒この上ない!…

それも白いのを護りつつとなると更に面倒!!…

いっその事その白いのを置いて行くのも手じゃろうが!…

そんな事をしたらマサツグに!!…何より寝覚めが悪い!!…

…幼子一人護らずして何が魔王か!!…せめてマサツグ達が

気付き来るまでの!!……ッ!?…}


__スンスン!…ピクッ!…ピクッ!…


{こっちに誰か向かって来てる!?…それにこの匂いは!!…

マサツグ!!…気付いてくれたか!!……これで白いのは何とか出来る!!…

あとはこの面倒臭い奴を如何するかじゃが!!…}


まるで逃げ道は無いとばかりに黒い霧が辺りを包み!…その様子にフィロネウス

もバレたと観念すると、もはや戦うしかないのか!?と考える!…その際シロを

護りながら戦わなければならないと言う事を改めて確認すると、いっそシロを

囮にしようか…等と考えるのだが!…当然そんな事をすればマサツグが

許さないと!…何より自分のプライドが許さない!と言った具合で闘志に火を

付けると、徐に身構え始める!…その際相手がどの位置から来るかを探り出すと、

その相手を見つけるのではなくマサツグ達を捉え!…マサツグ達が近くに来て

いる事でフィロネウスも少し安堵!…とにかくシロだけでも如何にかなる!と

考えて居ると、遂にはその化け物がフィロネウスとシロの前に姿を現す!…


__ゴゴゴゴゴ!!…オオオオォォォォ!!!……


「ッ!……出て来おったか!!…化け物め!…

…この地に縛られ呪いに呪って生れ出た怨念よ!!!…」


__オオオオォォォォ!!!…


「ッ!?…ヒッ!!…こ、これは!?…」


黒く変色した木々を掻き分け!…漸く姿を現したその怨念の正体はと言うと、

人型!…ただしその顔も肌も何もかも黒に覆われては若干気怠そうに全身が

俯いており、霊体でも有るのか地面から浮遊もして居て!…そして辛うじて

眼がある事も分かる位に目の部分には赤い光を宿しており、とにかくその

身に黒い霧を纏っては不気味さ全開で!…フィロネウスも若干緊張した様子

で身構え出し!…向こうもやる気なのか唸り声を上げ、その様子にシロも更に

恐怖した様子でその怨霊の事を見て居ると、その姿は徐々に見覚えの有る

者へと変わって行く!…それは!…


__グゴゴゴゴゴ!!!……ッ!?…


「…ほほぅ?…味な真似をする…よもや…

よもやの姿を形取るとはのぅ?…

…なるほど?…これで合点が行った……

何故白いのがあんなに怯えていたのか?…

それは貴様に怯えて居たのではなく!…

姿が居たから怯えて居たのじゃな!?…

こやつとてフェンリル!…並大抵の事ではまず怯みもせん筈!!…」


フィロネウスとシロの目の前でその人の影らしきモノは形を変え…次にその形が

定まったのはマサツグの姿であった!…体付きから顔付まで、全くの瓜二つ!…

ただ強いて違う事が有るとするならやはり全体的に黒い事で、その表情も読み

取れないほど闇を抱えている事であった。宛らその容姿は闇落ちしたマサツグ!…

これにはフィロネウスも興味を持った様子で言葉を口にし!…次には納得した

様子でマジマジ観察!…そして更にシロが何故怯えて居るのかも理解した様子で

言葉を続けて居ると、そのマサツグの形をした影はゆっくりと動き出す!…


__……ユラァ…ッ!…ザッ…ザッ…


「もしそれでも怯える事が有るとするならそれはマサツグ本人が

絡んで来た場合!…他ならんこやつは忠犬故な?…

してそのマサツグの真似事と言うのはそこそこ上手い様じゃの!…

その怒り方まで模すとは!……だがその代償!…

わっちの前では高く付くと思った方が良いよなぁ?…何せ…」


__ゴウッ!!!…


「亡霊で在ろうと何者で在ろうと!…

わっちの好いた男の真似をする輩は許せんからのぅ!!…」


まるで間合いを取りつつ様子を伺う様に!…外周を回るかの如く影は浮遊し!…

そんなマサツグの影にフィロネウスもゆっくり歩き出し、先程の話を続ける様に

言葉を口にすると、何やら徐々に怒りを露わにし始める!…それはマサツグを

模して居る事に怒っているのか、はたまたシロを怖がらせた事を怒っている

のか!…何んにせよやる気を見せるとその影に一睨みをして見せ、その手に炎を

宿し二度と形を模せない程に焼いてくれる!…と意気込んで居ると、次の瞬間

にはそのマサツグの影が大剣を抜く!…


__オオオオォォォォ!!!…ジャキン!!…ゴアアアァァ!!!…


「ッ!!…近付く出ない、下賤な怨霊めがぁ!!!…」


__ブンッ!…ゴアアァァ!!!……ッ!…ふぉん!………スチャッ…


マサツグの影は宛らダッシュ斬りを敢行するよう大剣を抜き様にフィロネウスへ

向かって行くのだが!…フィロネウスはそれを見越して居たと言わんばかりに

腕で薙ぐと、そのマサツグの影目掛けて焔薙ぎを繰り出す!…その際嫌悪感

丸出しで一気に腕を振り抜くと、怨霊はやはり炎が怖いのか!…その焔薙ぎを

目にした途端攻撃を止め!…一度距離を離す様に急ブレーキを掛けつつバック

ステップを踏むと、その焔薙ぎを回避して見せる!…しかしフィロネウスとて

その程度で攻撃が止まる事は無く、既に身構えて居り!…まるで手で拳銃を

作るかの様に構えて見せ!…そのマサツグの影目掛けて人差し指を差して

見せると、次には小馬鹿にした様子で煽り出す!…


__スチャッ……ボボボボ!!!…


「……フン!…やはり所詮は怨霊!…

自身が死んだ時の記憶でも蘇ったかのぅ?…」


__ッ!?…チャキッ!!…


「フン!!…防ぎ切れるなら防いでみぃ!!…

猛火戦乱!!…魔神銃マシンガン!!!」


フィロネウスは自身の周りに狐火を量産し始め!…狙いを付ける様にその手で

作った拳銃をマサツグの影目掛けて突き付けると、次の瞬間にはその引き金を

引こうとする!…それはまるでマサツグにやった時の技をまんま繰り出す様に!…

怨霊もそれを見て咄嗟に大剣で防ごうとする様に!…大剣の峰を突き出しその陰に

自身が隠れるよう構え出すと、フィロネウスも構わず発砲する!…あの時と

違う事が有るとするなら、当時のマサツグは逃げ回ったと言う事で!…遠慮なく

フィロネウスは猛火の雨を発砲!…それに耐えるよう怨霊も踏ん張り始めると、

一進一退の攻防を見せようとして居た!…


__コオオオォォォ!!…ボバババババババ!!!!…ッ!?……


「さて、いつまで耐えられるか見物よな?…精々踏ん張って!…」


__グウウゥ!!…オオオオォォォォ!!!…


「ッ!?…こやつ!!!…」


勿論隙があればフィロネウスも遠慮なくその影に向かい猛火を放つ!…しかし

マサツグの影にはその隙が無く!…まるで本人と言わんばかりに耐えて見せ!…

それでも押されたよう徐々に後退しそうになると、フィロネウスが饒舌になる!…

しかし怨霊の方も負けてはいられない!と言った様子で思いっきり踏ん張り!…

何なら押し返さん勢いで前進し始め!…その様子にフィロネウスも途端に余裕を

失うと、更に猛火を追加する!…


「甘く見るでないわ怨霊めが!!!…確かに力は衰えたと言え!!!…

お主如きに負ける程弱っては無いわぁ!!!」


__コオオオォォォ!!…ボバババババババ!!!!…ッ!?!?……


{……チッ!!…構えが堅い!!…だから面倒事は嫌なのじゃ!!…

この勝負には何の意味もない!…

有るのは恐らく相手を打ち負かしたと言う達成感のみ!…

それも自分より下級を相手にして!!…

これ程までに無意味な戦いはそうそう無い!…体力の無駄遣いじゃ!!…

…しかし!…}


怒りを露わにする事で更に狐火追加で火力をアップ!…これにはマサツグの

影も足を止め!…しかし攻撃が効いている様子は何処にも無く、フィロ

ネウスもただ意地を見せるよう猛火を放ち続けると、そのガードに固さに

苛立ちを覚える!…その際全く意味の無い戦闘だと言う事を改めて自覚させ

られると、更に苛立ちを覚え!…しかしこの結果になったのも結局のところ

自分のミスのせいであり、体力を無駄にして居ると自覚して居る上で早期に

決着を付けたい所なのだが!…マサツグの影は粘っていた!…それはまるで!…


__オオオオォォォォ!!!…


「ッ!!…こやつ!!…

何処までわっちをイライラさせるのが上手いのかや!?…

まるで逆転を狙って居るようでは無いか!!……舐められたモノよのう!!…

…いいじゃろう!!…そこまで願うのなら一撃に灰燼と化してくれる!!!…

あの世までの道のり!!!…わっちが案内してくれようぞ!!!」


__バッ!!…パァン!!!…


「《真に奉りますは天照大御神!…畏み畏み申す!!…

今一度地を焼き払い浄化の一途を!…下賤なる者に聖なる炎の鉄槌を!!…

…サテライト!!!…天照大神!!!》」


ガードを固めているマサツグの影からはまだ諦めて居ない様子が見て取れる!…

それはまるで本物そっくりの様に身構えて居り、それを見てフィロネウスも更に

怒りを覚えると、文句の言葉を口にする!…その際マシンガンの威力も更に

上げて襲い掛かって居るのだが、今だガードは崩せず!…完全に頭に来た様子で

フィロネウスは怒り!…もう後の事も考えない様子で自身の大技を繰り出す

構えを見せると、手を叩き詠唱をし始める!…するとフィロネウスの頭上には

まるで太陽が出来たかの様に徐々に高温の炎の球が!…白光しては辺りを眩しい

ほど照らして見せ!…その際黒い霧を払うよう辺り一帯を蒸発させ始めると、

シロも漸く引き摺ってでも動ける位にはなったのか、異変に気が付く!…


「ッ!…あ、暑いです!……ッ!?…め、女狐さん!?……

それにあれは!!…と、とにかく逃げないと!…」


__ズル……ズル……ズル……ズル……


「さぁ!!…覚悟は良いかや!?…

未来永劫!!…その姿で二度と現れる事無かれ!!!

灰となって消えよおおぉぉ!!!」


__スッ…ゴオオォォォ!!!…バシュン!!!……


突如暑さを感じて我に返り!…その原因を探すよう熱の感じる方に視線を

向けると、そこでフィロネウスがサテライト天照大神を放とうとして居る

様子を見つける!…そしてその技が如何言った技なのかは既にマサツグが

戦って居る時に見た技なので知っており、シロはその様子を見るなり

慌てて見せ!…とにかく被害を喰らわないよう樹の陰へ!…今だ言う事を

聞かない体を引き摺るよう物陰へと身を隠すと、その一方でフィロネウスは

その怨霊の塊に対して吠えて居た!…そして自身の頭上で作った白光する

炎の球に手を掛けるよう両手を伸ばすと、まるで元気○が如く!…その怨霊

目掛けて狙いを付け出し!…一気に片を付ける!とだけ叫びその両手を振り

下ろして見せると、遂にフィロネウスのサテライト天照大神はそのマサツグ

の影目掛けて落下する!…


__ヒュウウゥゥ!!……ッ!?…ドゴオオオオオォォォォォォ!!!…


「きゃああああああぁぁぁぁ!!!!」


「はぁ!…はぁ!……い、怒りに任せて無理をしてしもうた…

これは飛ばし過ぎたかのぉ?……でもこれで終わりじゃ!…

この技を受けて立って居た者は片手で数えれる程度!…

…何やらシロの奴の声も聞こえる…動けるようになったのやもしれん…

だとするとさっさとこんな所ズラがるに限る…」


__バシュンッ!!!…!?!?…


怨霊目掛けて落ちたサテライト天照大神は巨大な火柱を上げ!…辺り一帯を

捲き込むよう轟々と燃え盛ると、怨霊の姿をその炎の中に隠してしまう!…

そして物陰に隠れたシロもそんな状態に悲鳴を上げて事が収まるのを待って

居ると、フィロネウスもやり過ぎたとばかりに息を切らし…だがこれで

終わったとも安堵し始め!…何やら怪しいフラグめいた言葉を口にすると、

シロが動けて居る事にも気が付く!…そうなるとシロを連れてここからとっと

逃げようと考えるのだが、次の瞬間にはそうは行かないと!…燃え盛る炎の

中から怨霊が飛び出し!…一直線にフィロネウスへ向かい大剣を構えた状態で

身構えると、当然その様子にフィロネウスも驚く!…


「ッ!?…なっ!?…バ、馬鹿な!?…」


__オオオオオォォォォ!!!!…


{クッ!!…ぬかったわ!!…

まさかマサツグと同じ様にすり抜けて来たと言うのか!?…

だとすると一体どの様にして!?…

…これは被弾を覚悟して戦わねばならんな!…

このフィロネウス!…一生の不覚!!…}


__グオオォ!!!…ッ~~!!!…


突如目の前に出現したよう姿を現した怨霊は既に大剣を振り被っており!…

フィロネウスに対してその大剣を振り下ろし始めると、この時フィロネウスは

不思議な感覚を覚える!…それはまるでスローモーションにでもなった

かの様に!…自身に向かい振り下ろされようとしている大剣がゆっくり動いて

いる様に見え、自身の体もそれに合わせてゆっくりとしか動かせない!…

まるで自身の死ぬ瞬間がゆっくりと見えて居る様な感覚に陥ると、ただただ

この状況になった事に反省をして居た!…しかしフィロネウスとしてもただ

やられる訳には行かないと言った様子で、反撃の事も考え出し!…被弾を

覚悟しては次の手を考え始め!…眼前に迫って来る大剣に対して身を固めるよう

防御の姿勢を見せて居ると、次の瞬間には更なる奇跡?…偶然が起きる!…


__ガキイィィィン!!!……


「ッ~~~~!!!……あ、あれ?…ッ!?…」


怨霊から攻撃を受ける際、フィロネウスは目を閉じ防御に徹して居たのだが!…

次に耳に入って来たのは自身の身が斬られる音ではなく…何か金属同士が激しく

ぶつかる様なそんな重々しい音であった!…そしてそんな音に対してフィロ

ネウスもビクッと反応すると、攻撃が飛んで来た様子が感じられない事に疑問を

持ち!…その様子を確かめる為に恐る恐る目を開いて行き!…そこでマサツグが

フィロネウスを護るよう割って入っている光景を目にすると、フィロネウスは

途端に驚いた反応を見せる!…


「マ、マサツグゥ~~!!!」


「ウチの子に!!…ウチの子に何してくれとんじゃアアァァァ!!!!」


__グググ!!…グガラァキイィィン!!!…ッ!?…


「…ッ!!…マサツグ!!…シロちゃんも見つけた!!」


マサツグが助けに来てくれた事で感激するようフィロネウスはマサツグの事を

呼び!…その一方でマサツグはと言うとその怨霊に対して怒号を上げると、弾き

飛ばす様にして鍔迫り合いに勝って見せる!…その際そこそこ高い位置で鍔迫り

合いを繰り広げて居たのだが、マサツグは高さなど気にして居ない様子で!…

とにかく怨霊を地面に叩き付けるよう弾き飛ばし!…マサツグも怨霊を弾いた後、

何事も無かったかのように地面に着地をして見せると、怨霊を相手に剣を構える!

その際怨霊もご本人様が出て来た事で戸惑って居るのか、あるいは弾かれた事で

驚いて居るのか?…バランスを崩されては今だ体勢を立て直せておらず、

その間にもアヤがシロを保護した様子でマサツグに声を掛けると、マサツグは

それを聞くなり殿を買って出る!…


「ッ!!…ナイスアヤ!!…じゃあここは任せて先に戻っててくれ!!!…

俺はコイツを何とかする!!!」


「ッ!?…ちょ!?…何とかって!?…如何するつもりよ!!」


「全くのノープラン!!…出たとこ勝負!!!」


「ッ!?…それを聞いて置いて行ける訳ないでしょうが!!!」


自身の背後より聞こえて来るアヤの声に!…マサツグは賛辞の言葉を贈ると、

身構える!…その際フィロネウスにも下がるよう手で合図を送ると、フィロ

ネウスは戸惑い!…アヤもそのマサツグの言葉に驚いた様子で!…何か策が

有るのか?について戸惑いつつも尋ねると、マサツグから清々しい程の答えが

返って来る!…そう、マサツグお得意の行き当たりばったり!…自棄を起こす

との事であり、当然それを聞いたアヤは呆れた様子でツッコミを入れ!…

自身も戦うよう弓を手に身構え出すと、マサツグは何かに気が付いた様子で

声を掛ける!…


__オオオオォォォ!!!………ッ!…


「…じゃあ一つ頼み事を聞いてくれないか!?」


「ッ!?…えぇ!?…」


徐々にゆっくりと体勢を立て直す怨霊を見て…マサツグはふとその口元に目を

向けると、何かを呟いて居るのを目撃する!…勿論の事ながらはっきりと聞き

取れて居る訳では無いのだが、少なくとも口の動きだけで何を言って居るかを

推測し!…完全には理解出来ていないもののアヤに向かって指示を出し、

その突然の指示にアヤも戸惑った反応を見せると、マサツグは更にこう続ける!…


「この森の奥を調べて見てくれないか!?…

何と無くそこにコイツが徘徊している理由が有る様な気がする!!…」


「ッ!?…その何かって何!?…」


「分からん!!…

でも多分一目見たら一発で分かるモンだと俺は思う!!…

頼めないか!?…」


マサツグの中では何か確信が有るらしい!…しかしその答えが曖昧で!…

当然この切羽詰まった状態でのマサツグの頼みにアヤは困惑!…具体的な

事を言うようマサツグに文句を言いつつ質問をすると、マサツグもそれは

分からないと返事をする!…ただマサツグが言うには一目見れば分かる

らしく、とにかくアヤに頼むよう言い!…アヤはアヤでそのマサツグの

言葉で更に困惑!…悩んでいる間にも怨霊は体勢を整えて行き!…徐々に

徐々にその考える時間すら押し市負った様子で迫られている感覚を覚えると、

遂にはアヤもブチ切れる!…


「ッ!?………ッ~~~!!!…あぁ~もう!!…

分かったわよ!!…私が戻って来るまで倒れるんじゃないわよ!?」


「当たり前だ!!!…頼んだぞ!!!」


「…フィロネウスはシロちゃんをお願い!…

何だか動けないみたいだからカバーをしてあげて!…」


「ッ!?…わ、わっちに命令をするでない!!…

言われなくともやってやるわ!!…

それよりも四人でここから逃げた方が!!…」


何の説明も無い事に!…何なら緊急事態だと言うのに!…またマサツグは

一人無茶をすると買って出始めた事にイライラを積もらせ!…言う事を

聞く訳が無いと理解すると、遂には吹っ切れた様子で了承する!…そして

マサツグに文句を言うよう言葉を残して行くと、マサツグに言われた通り

怨霊に警戒しつつ奥地へと進み!…マサツグもその様子を見て不敵に笑うと、

アヤの言葉に返事をする!…そしてマサツグの返事を聞いた所でアヤも

フィロネウスに指示を出すと、フィロネウスは慌てた様子で文句を言い!…

だが指示を聞き入れたのは聞き入れた様子で!…マサツグの事を心配し

つつやはり逃げる事を提案すると、マサツグはそのフィロネウスの提案に

反対と言う!…


「いや、それは無理だ!…

そんな事をしたらギルドにコイツを連れて来る事になっちまう!…

そうなるとギルドだけでなくダークエルフ達の集落まで危うくなる!…

…ここでケリを付けないと!!…」


「ッ!?…し、しかし!!…」


「なぁに、心配すんな!!…

こっちには天下の妖炎の魔王様も居る事だし?…

将来有望な子狼も居る!…いざとなったら三人掛りで!!…」


「ッ!…そ、それはそうじゃが!…」


今ここで逃げれば更に大変な事になると、マサツグはフィロネウスに

説明をし!…しかしフィロネウスとしてはそんな事より目の前の命で!…

マサツグの言い分を理解しつつやはりマサツグに言う事を聞いて貰おうと

口籠ると、マサツグは続けて軽口を叩く!…それはフィロネウスやシロを

信頼して居ると言ったモノで、マサツグとしても状況を理解している

のだが!…他に言葉が見つからなかった様子でこの軽口を叩き!…それを

聞いてフィロネウスもマサツグの心境を理解した上で更に食い下がろうと

して居ると、アヤはマサツグ達を置いて奥地へ向かう!…


__……ッ!!…バッ!!…


「本当に!!…死んじゃダメなんだからね!!…」


「ッ!…任せろ!!…こんな所で死ぬ気はない!!!…」


「ッ!?…ッ~~~!!…どいつもこいつも!!…

人の話を聞かんか馬鹿者めぇ~!!!

こうなりゃトコトン付き合ってやるわ!!!…キイイィィ!!!…

……ふぅ~…さっきは不覚を取ったが…今度はそうは行かん!…

マサツグ達が来た以上!…本気で行くからのぅ!!!」


一度はフィロネウスの意見を聞いて足を止めるが、まるで空気を読んだかの様に

アヤは再度奥地へ向かい掛け出して行き!…改めてマサツグ達に気を付けるよう

言葉を掛け!…マサツグもそれに返事をして応えて見せると、マサツグが返事を

している一方で怨霊も遂に体勢を立て直す!…この時怨霊も突如現れたマサツグに

対して警戒した様子を見せると、改めて大剣を構え直し!…そうして自身の話を

聞かないマサツグ達に!…フィロネウスも遂にカチンと来た具合に怒り出すと、

遂には同じ様に吹っ切れてしまう!…勿論先程不覚を取った事も忘れず思い出す

と、冷静さを持っては本気を出し!…その際ちゃんとシロの事も忘れず後ろ目で

チラッと確認をして見せ、シロも本物のマサツグが居る事で徐々に怨霊に対して

耐性を付けると、立ち上がって見せようとする!…


「ッ!?…ご、ごしゅじんさま!?…

…じゃ、じゃあさっきから感じてたこれは?…

と、とにかくシロも頑張らないと!…」


__ザッ…ザザッ!…グッ!…


「ッ!…うぅ!…動き辛い!…

まだ怒られている様な感覚が有るのです!…」


「ッ!?…こりゃ白いの!!

無理をするでない!…ここはわっち達に任せて後ろに!…」


本物のマサツグが居る事で徐々にその違和感にも気付き出し…足に力を入れて

立ち上がろうとするのだが、やはり如何にも足に力が入り難い!…その際

自身の足に力が入らない事にも疑問を覚えるのだが、それでも若干内股気味に

立ち上がって見せ!…その様子を見ていたフィロネウスがシロに無理をしない

よう!…後ろへ下がっている様に言い聞かせようとするのだが、それでもシロは

マサツグを助けないと!…と言った使命感に駆られるのであった!…

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