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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章七十三節 異様な謁見の間と突然の張り合いと妙な道具屋-

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地下での一件が終わり次の日…マサツグ達は宿屋で休み今日は何しようか?と

考えていると、何やら慌ただしい気配が…宿屋の外より何やら不穏な気配を

感じ始める。それは何と言うか面倒事の様な気を感じ!…まだシロとマリーが

寝ている中…珍しく一人で脱皮する事に成功したマサツグが準備を整えて

いると、それは慌しくマサツグ達の泊っている部屋をノックする!…


__…コンコン!…コンコン!!…


「ッ!…ん?…こんな朝早くに誰が?…はぁ~い!」


「ッ!…し、失礼します!!…」


__ガチャッ!!…タッタッタッタッタッ!…


それこそノックの音は大人しいのだが、何やら焦っている様子が感じられ!…

マサツグもただノックをされた事で返事をし…この時誰が尋ねて来たのかなど

全然気にせず準備を続けていると、次には慌てた様子で衛兵達が雪崩れ込んで

来る!…まるで何か事件が有った様子で息を切らしては膝に手を着き!…

マサツグに対して何かを話そうとするのだが、思う様に言葉が出て来ない

姿を見せて居た。


「はぁ!…はぁ!…マ、マシャヒュ!!…だはぁ!!…はぁ!…はぁ!…」


「ッ!?…お、おいおい!…一体如何したってんだ?…

とにかく一旦落ち着け!…モンスターに襲われた訳でも有るまいし…」


「ッ!…に、似た様な事が!…はぁ!…はぁ!…きゅ、宮殿で!!…」


「ッ!……え?…」


必死に用件を伝えようとするのだが息が続かず!…マサツグの名前を呼ぶ事すら

ままならない衛兵達に一旦落ち着くよう声を掛けると、その際モンスターからの

奇襲を受けて居る訳じゃないと言い聞かせる!…まるでその衛兵達の慌て様は

そんな感じに見られ、この時今だ息を切らして居る衛兵達を労わるよう背中を

摩ると、衛兵達はピクっと反応する!…そしてマサツグの言うモンスターが

攻めて来たと言う言葉に対して似た様な事が起きていると、衛兵の一人が難解な

返答をマサツグにし!…当然その返答にマサツグは戸惑い!…ただ声を漏らす

よう「え?…」とだけ言葉を口にして居ると、シロとマリーも目を覚ます。


「……ふあぁ~……あれ?…ごしゅじんさまぁ?…」


「んん~…なぁにぃ~?…なんなのぉ~?…」


「ッ!…おはよう二人共!……えぇ~っと…

取り敢えず今から宮殿に行こうと思ってるんだが…行く?…」


「……んあいです(んわかったわぁ)…」


二人共やはりギルドで寝落ちした事に気づいて居らず、ただ辺りを見回し…

とにかくマサツグが近くに居る事に気が付いた様子で…そして騒ぎで目を

覚ました様に二人が眠い目を擦って居ると、マサツグは困惑したまま

振り返って二人に挨拶をする。この時今だ息を切らして居る衛兵達の事を

チラッと確認すると、とにかく状況を確認する為にも宮殿に向かうと言い!…

その際付いて来るかどうかについて戸惑い気味に尋ね、その問い掛けに

今だ眠そうにしながらもシロとマリーが返事をすると、まずはシロ達の

着替えを準備する!…


「……よし、じゃあちょっと待ってくれ?…今から準備をするから…」


「ッ!…あ、ありがとうございます!…

…その出来ればなるべく早くに!…」


連れて行く以上身嗜みを整えると言ってはアイテムポーチより着替えを取り出し…

とにかくマサツグが来てくれる事に衛兵達も感謝の言葉を口にすると、徐々に

落ち着きを取り戻す。その際申し訳なさそうにしながらもマサツグ達を急かす様に

言葉を口にするのだが、次の瞬間衛兵達はその準備の光景に驚き!…シロはまず

慣れた様子でマサツグの前に立つと万歳し、マサツグもすかさずシロの服の裾を

掴んで一気に下から捲り上げると、一瞬でシロをすっぽんぽんにする!…


__…スッ…バサァッ!!…


「ジッとしてろよ~?」


__スポッ!!…シュパパパ!!!…ザッシザッシザッシザッシ!!…


「ん!…じゃあマリーも!…」


__ザッシザッシザッシザッシ!!…シュパパパ!!!…ッ!?………


この時マサツグは無心で着替えさせる事に集中しており、替えの服を手に取ると

頭の上から被せ!…そこからのマサツグはまるで介護士が如く!…まず首を通すと

袖に腕を通したり引っ掛かりと取ったり!…手早くシロを着替えさせると、次に

ブラシを手に取る!…そしてシロは髪の毛も素直なのか、数回ブラシを通した

だけでいつもの髪型になり!…シロが終わった事で次はマリーへ!…マリーも

数回ブラシを通し、慣れた様子でいつもの髪型に仕立てると、あっと言う間に

準備を整える!…その掛かった時間と言うのは約三分!…これには衛兵達も驚き

戸惑い!…マサツグも一仕事終えたと言った様子で衛兵達に案内を求め、衛兵達も

突如問われた様な感覚で若干反応に遅れると、戸惑いながらも返事をする。


「…ほい完了!!…着替えはまた洗濯屋に頼んで…

……よし!…じゃ、案内頼む!…」


「ッ!?……は、はい……」


この時衛兵達はそのマサツグの手慣れてる感にも驚くのだが、そのされるがままの

幼女達にも驚き!…マサツグが上手なのか?それとも幼女達が素直なのか?…

戸惑いつつもマサツグ達を宮殿へ向かい案内し始めると、マサツグはいつもの如く

シロを顔に張り付ける!…そして宿屋を後にする際マリーもマサツグと手を繋ぐ

と、まだ眠いのか欠伸をして見せ!…衛兵達は衛兵達でそんなマサツグ達の様子に

更に戸惑いを覚え!…もはやある意味でユグドラドの名物となりそうな不審者マサツグ達に

やはり戸惑いを隠し切れないで居た…当然道中他のエルフ達の視線が刺さり、

居た堪れない気持ちになり!…その後は逃げる様に宮殿へ!…マサツグ達も無事

宮殿へ辿り着いた事でシロを顔から剥がすと、まずその目に飛び込んで来た光景に

目を疑う!…


__ギュウウゥゥ!…ポン!……


「…ふぃ~……ッ!?…な、なんじゃこりゃぁぁ!?…」


「クラウス!!…その悍ましい物をこれ以上女王様に近付けようとするな!?…

国家反逆罪に処すぞ!!!」


「何を失礼な!…私は私の仕事をしたまでだ!!…

お前達にとやかく文句を言われる筋合いはない!…」


マサツグ達が辿り着いたのは宮殿の中の謁見の間!…そしてそこで見た者と

言うのは筋肉モリモリのマッチョマン!…その隣にはクラウスが立っており、

更にその奥には警戒した様子のルティア!…その筋肉モリモリのマッチョ

マンを見て恍惚とした笑みを浮かべる女王様の姿であった!…当然開幕そんな

物を見た事でマサツグは戸惑いの声を上げ!…ルティナはルティナでその

筋肉お化けを化け物扱いし!…仕舞いにはクラウスを国家反逆の罪で問おうとし、

そんなルティナの様子にクラウスも不服とばかりに反論すると、メガネを

弄る様な素振りを見せて居た。そうして真っ向から対立する二人の傍らでは

女王様が今にも触りたい!と言った様子で腕を伸ばしており!…事態は更に

悪化の一途を辿り!…因みエルヴンナイツのリリーとアルス…事態について

行けずに困惑の表情で固まっており、マサツグも何と無く呼ばれた理由を

理解した様子で徐々に脱力し始めると、まずはクラウスに話を聞こうする…


「……はあぁ~…そう言う事か……

…あぁ~っと、クラウスさん?…これは一体如何言う事で?…」


「ッ!…君は!…いやぁ昨日は助かったよ!…

お陰で納期内にコイツを仕上げる事に成功した!…」


「ッ!…コイツ?…この筋肉モリモリマッチョマンの変態が?…」


マサツグがクラウスに近付き後ろから事情を聴く様に声を掛けると、クラウスは

マサツグに気が付くなりお礼を言い!…この時隣に居るマッチョマンの肩を

叩いて、簡単に説明をするようまるで人造人間で有る様な事を言い出すと、当然

そのクラウスの言葉にマサツグは戸惑う!…その際マサツグはそのマッチョマン

の事をまるでコマ○ドー出て来るセリフで尋ねるのだが、当然スルーされ…

クラウスは自信作とばかりにメガネを弄り!…そのマッチョマンがゴーレムで

ある事を明かし始めると、その名前も口にする!…


「あぁ!…これこそ女王様が私に依頼なされたゴーレム!…

名付けて[ロディ男君一号機]だ!…」


「ッ!?…ロディ男君一号機って!?…

…た、確かにロディに似てるけど!…」


「クラウスがそのゴーレムを持って来た途端に女王様の様子が

可笑しくなってしまわれたのです!…

そのゴーレムには催眠の類の魔法が掛けられて居るに違いありません!!…

即刻破壊してください!!」


クラウスが言うにはそのゴーレムは女王様からの依頼の完成品らしく、名前を

ロディから捩った様子で語り!…マサツグはマサツグでその名前を聞いて更に

戸惑い!…改めてそのゴーレムをマジマジと観察すると、確かにロディに

似ている事に気が付く!…そうしてそのゴーレムの出来?…いやとにかく

これが女王様の依頼の品?と言った様子で困惑して居ると、ルティナはその

ゴーレムが女王様を狂わせたと!…まるで女王様を篭絡する為に作った物だと

マサツグに言い張り!…即刻破壊するようお願いをし始めると、これまた

当然の様にクラウスが猛反発をして見せる!…


「ッ!?…何を馬鹿な!?…そんな無粋な事をする訳がないだろう!!…

これを作る際…可動箇所をいかに目立たなくするかで苦労し!…

女王様からの指定のポージングをいかに美しく再現するかで苦労し!…

それはそれは私としても苦悩させられた物だぞ!?…

破壊するなど言語道断だ!!…これには国宝級に技術が詰まって居る!!!…」


「ッ!?…何を馬鹿な!?…

もしそれが本当に国宝に匹敵するのならその性能を見せて見なさい!!…

そのポーグング?…とやらを見せて見なさい!!」


「良いだろう!!…我が技術の粋を集めたゴーレムの能力!!…

しかと目に焼き付けるがいい!!!」


クラウスはルティナの言葉を侮辱と受け取った様子で、クールキャラには

珍しい怒気を上げ!…その際このゴーレムを作る際の苦労話を簡単に話し、

自分の中でも満足が行く仕上がりになった事を思い出すかの様に語ると、

最後には国宝物とルティナに言い張る!…すると当然それを聞いてルティナも

反抗の姿勢を見せ、だったら性能を見せろと!…クラウスの話の中で出て

来たポージングについて見せる様に言い張り!…それを売り言葉にクラウスも

挑発に乗ったようそのポージングを見せる!とばかりに吠えて居ると、

更には面倒臭いのが謁見の間にやって来る!…


__ガタンッ!!…ギイイイィィィ!!…


「ハァ~イ!!…皆さん朝からご機嫌ねぇ?…

一体如何した…の?…」


{ここで一番来て欲しくないのが来たぁぁぁぁ!!!…

何ならご本人様登場じゃねえか!!…

ここは紅白も○まね合戦の場じゃねぇぞ!?…}


突如謁見の間の扉が開く音に!…それと同時に背後よりロディの上機嫌な声が

聞こえて来ると、マサツグは途端に面倒臭がる!…何故ならこの手の話に一番

乗っかって来るであろう男がロディで有り!…ロディも当然その自分に似た

ゴーレムを見つけた様子で!…途端にその声は疑問に変わり、マサツグもその

ご本人登場の瞬間が某・番組の様に感じられると、心の中でツッコミを入れる!…

そして当然ロディは興味を持った様子でそのゴーレムに近付き、ゴーレムと

ロディによる夢の筋肉競演!…これには女王様も大興奮!と言った様子で目を

輝かせ!…ゴーレムはゴーレムでプログラム通りにその本人を目の前にして堂々

ポージングを決め始めると、ロディも対抗する様にポージングを決める!…


__ゴゴゴゴ!!!…ガッ!…ゴッ!!…チャキィィィン!!!…


「ッ!?…さ、サイドチェスト!?…こ、これは!?…

胸の厚みも重厚ながら三角筋から腕に掛けてのバランスが綺麗!…

そして隙を見せない腹筋のシックスパック!!…

足もまるで歴戦のブロイラー!!…絞まってるわ!!!…

…負けてられない!!!…」


__ガッ!!…グッ!!…ピシイイィィィ!!!…


「ふっふっふぅ!!…こっちもサイドチェストで勝負よ!!…

さぁ!…どっからでも掛かって来なさい!!!」


マサツグが思って居た通り案の定話は面倒な方へ…ゴーレムがまずサイド

チェストを決めるとそれを見てロディが驚き!…素直な評価を口にすると、

次にはショックを受けた様子でゴーレム相手に嫉妬心を燃やす!…だが

そこで折れる様な男ではないロディ!…そこから燃える!と言った具合に

嫉妬心を燃料に!…対抗心と言う名の炎を燃やすと、同じポージングで

対抗し出す!…目には目!…歯には歯と言った様子で全身に力を入れ!…

辺りにムンムンとした蒸気を放って見せると、まるで圧を放つ様に笑顔を

見せる!…しかし!…


__ゴゴゴゴ!!!…ガッ!…ゴッ!!…チャキィィィン!!!…


「ッ!?…フロントダブルバイセップス!!…

上腕二頭筋のパンプは勿論の事!…

広背筋の広がりに脇腹の絞り具合が凄いわ!!…

敵ながらに恐ろしい!!…大腿四頭筋やカーフのカットも綺麗!!…

負けてられないわ!!!」


__ガッ!!…グッ!!…ピシイイィィィ!!!…


「あぁ!!…筋肉が!!…筋肉の大共演が目の前にぃ!!…」


ロディが幾ら筋肉で威嚇しようとも相手は無機物!…当然効く筈もなく!…

ゴーレムは構わず両腕を上げてフロントダブルバイセップス!…一般的に

一番見た事の有るボディビルのポーズをすると、すかさずロディも対抗する!…

その際やはり相手を褒める事も忘れて居ない様で、驚愕しながらも解説を

入れ!…だがやはり負けられない!と言ったプライドが有るらしく!…

同じポージングでゴーレムへ果敢に対抗すると、その様子に女王様も壊れ

始める!…まるでこれが見たかった!…と言った様子で頬を染めると、

恍惚とした表情を浮かべ!…クラウスもロディの登場に若干戸惑うが自信を

持って居る様で!…マサツグ達はマサツグ達でどうしてこうなった?…と

呆れると、ただ唖然としてはその場に固まって居た…


「……何これ?…如何したら良いの?…」


__チャキィィン!!…ピシイィィ!!…チャキィィン!!…ピシイィィ!!…


「……ピカピカさんが二人?…」


「……暑苦しいわね!…」


もはやマサツグ達でも如何する事も出来ず!…ポージング合戦は更に

白熱化する!…ゴーレムがポージングを決めればロディも対抗し!…

またゴーレムが続いてポージングを決めれば、ロディも続いて対抗する!…

もはや永久機関!…二人の間の熱気も更に濃い物となっては湯気を

立たせ!…女王様も尊死寸前まで追い遣られると、フラフラとした

足取りを見せて居た!…そんな中何が起きているのか分かって居ない

シロは、ゴーレムとロディの区別が付いて居ない様子で…マリーも

マリーでその光景に若干の引き気味を見せて居ると、マサツグも

もう帰ろうか…と考え出す…


{……本当に如何したら良いんでしょ?…

リリーもアルスも完全に置いてけぼりだし…

ルティナもルティナで女王様の様子に戸惑いっ放し!…

女王様も依然として何か様子が可笑しいし!…

肝心のロディは今だ対抗心を燃やして居る!…

もう誰も止める気配はないし……帰っても良いかな?…}


__チャキィィィン!!!…


「ンン何のおおぉぉぉ!!!」


もはや誰もが付いて行けない次元を目の当たりにしてはマサツグも呆れ…

シロやマリーも何を見せられて居る?…と不思議がったり戸惑ったりした

表情を浮かべると、呆然する!…そしてそんな周りの目など御構い無しに

ボディビル勝負はまだまだ続き!…クラウスもそのモデルにした肉体が

目の前にある事で観察眼を発揮すると、更にゴーレムの改良点を見つける!…


「ッ!…この角度から見た時の腹筋の絞り具合!…なるほど!…

こうすれば良かったのか!…そして広背筋の膨張具合!…

実に頼り甲斐のある広い背中だ!……やはり本物を見るのとでは違うな!…」


「……クラウスもクラウスで何か違う所に目を向けてるし!…

このゲームってこんなんだっけ?…」


「……ねぇ、おにぃちゃん?…まだここに居ないと駄目?…

マリーそろそろここ離れたいんだけど?…」


「ッ!……そうだな?…ここに居ても出来そうな事も無いし…

町に行って観光でもしようか?…」


まるでいい研究資料を見つけた様子でクラウスはノリノリでメモを取り!…

今だ自身が作ったゴーレムと比べ出すと改良意欲をモリモリと見せる!…

それだけ研究する事が好きなんだろうなと感じられる一方で、その方向性に

マサツグは疑問を持ち!…当然そんなカオスな状態の謁見の間に何も言う事が

無く、改めてここに呼ばれた理由について!…何ならこのゲームってこんな

事をする為のゲームだったか?について疑問を浮かべ出すと、その場に

突っ立っては遠い目をする…そうしてマサツグも徐々にフリーズし始めよう

として居ると、マリーが限界と言った様子で…マサツグの手を引っ張っては

無言で呼び!…単刀直入にここを離れたいと言い出すと、マサツグもそれに

同意しては現場を離れる…その際周りに気付かれないようその場を後にすると、

誰にも見つからないよう宮殿を後にし…その後は町に降りて観光!…ただ

当てもなくエルフの町の中をフラフラと歩いていると、買い食い等をして居た。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……全く!…

何であんな可愛くないポーズをしてるだけであんなに息が詰まるのかしら?…

ね、おにぃちゃん?…」


「え?…いやぁ…アレにはアレの世界が有るからなぁ…

安易に踏み入れられる様な次元じゃない事だけは分かる……ッ!…」


道中シロとマリーにソフトクリームを買ってあげ!…マリーはそのソフト

クリームを舐めながら先程の光景について愚痴を零すと、とにかく息が

詰まったと文句を言う!…やはり子供としてはあの世界は理解出来ない

様子で…その息苦しさについてマサツグにも同意を求め出し!…マサツグも

その問い掛けに対して苦笑いをしながら難しいと返事をすると、そこである

一軒の道具屋を見つける!…この時マサツグは珍しい事にシロを顔に張り

付けて居らず、その理由として…辺りはまるで自然公園の様に樹が沢山

植えられて有り、それが丁度カーテンの役割を果たしては!…マサツグでも

ギリ耐えれる様にしているのであった…そしてそんな一軒の道具屋を見て

固まって居るマサツグに、シロも気が付いた様子で不思議そうに声を掛ける。


「ッ?……如何したですか、ご主人様?」


「え?…あ、あぁ…いやあの店が気になってな?…」


「ッ?…道具屋?……別に何も可笑しい事は無いと思うけど?…」


「いやそうなんだが?……何か呼ばれている様な?…」


「ッ!?…ご、ご主人様(お、おにぃちゃん)!?…」


マサツグの顔を覗き込む様にシロは尋ね…その問い掛けに対してマサツグも

戸惑った様子で返事をすると、その自身が気にしている道具屋を指差す…

この時そのマサツグが指差した道具屋と言うのは、至って普通の道具屋で

あり建物であり…マリーもそのエルフ達の街並みに慣れて来たのか、特段

可笑しな様子は感じられないと話すと、マサツグもそれに同意をする…

しかしマサツグとしては妙に気になり!…シロとマリーを連れてはその

道具屋へと歩き出し、そんなマサツグの様子にシロとマリーも慌てた反応で

声を掛けるが!…遂にはマサツグはその道具屋へと足を踏み入れる!…


__カランカラン♪……


「ッ!…おや、珍しい?……こんな店に客が来るとは…」


「ッ!…ふおおおおぉぉぉ!!!…お菓子が沢山!!!」


「ッ!…ちょっとこれ可愛い!!…

見ておにぃちゃん!!!……ッ?…おにぃちゃん?…」


扉を開けるとドアベルが鳴り、その店の奥より店主らしき女性…妙に年上っぽい

喋り方をするマサツグと同い年の魔女が姿を現す!…そして肝心の店内はと

言うと、そこは女の子の夢が詰まった様な!…可愛いお菓子が並んでは甘い

匂いをさせて居り、お菓子だけでなくキラキラとしたアクセサリーも展示されて

有ると、とってもファンシーな内装をして居た!…これにはシロとマリーも

大喜びの様子で、先程までのマサツグの心配も何処へやら!…シロはシロで

お菓子に目を輝かせ!…マリーはその展示してあるアクセサリーに目を輝かせると、

マサツグを呼ぶ!…しかし肝心のマサツグはと言うと!…


「ッ~~~!!…す、すまんシロ!…マリー!!…

俺にはこの店敷居が高かったようだ!!…」


「ッ!?…ちょ!?…ど、どうしたの!?…」


{ファ、ファンシー過ぎる!…確かに子連れだったら入れるかもしれんが!…

それでも俺にはファンシー過ぎる!!…何だこの気恥ずかしさ!?…

これが俗に言う女性用下着売り場に行く男の気持ちだと言うのか!?…}


「ッ!…クックックッ!…

お兄さんそんな難しく考えなくても……ッ!…」


マサツグは店に入って直ぐの所で固まっては若干の汗を掻いて居り!…突如して

シロとマリーに謝って見せると、次には謎の場違い感を感じ始める!…そして

謝ったのち崩れる様にしてその場にしゃがみ込むと、当然マサツグに謝られた

事に!…何なら崩れるマサツグの様子にシロとマリーは慌て出し!…一体何が

有った!?と言った反応でマサツグを見ると、マサツグは心の中で後悔をする!…

その際世に言う気恥ずかしさについて学習する様な事を考えて居ると、そんな

マサツグの様子に店主は静かに笑い!…一応マサツグにフォローを入れようと

するのだが…それ以上にシロの事が気になり目に入ると、店主は途端に興味を

シロに向ける!…


「……ッ!…何ですかお姉さん?」


「……へぇ、中々に珍しい…今日はアタリの日だねぇ?…

それにこんなおばあちゃんの事をお姉さんだなんて呼んでくれるなんて…

良い子だねぇ!……そんな良い子にはさぁびすをしてあげようかね?」


「……ッ?…」


シロもその魔女の店主の視線に気が付いた様子で振り返り、不思議そうに首を

傾げてはお姉さんと呼び!…店主は店主でシロの事をマジマジ見詰め!…

何か有るのか誰にも聞こえないようアタリとだけ言葉を呟くと、次にはシロの

素直な言葉に喜んだ反応を見せる!…そしてサービスする!と言う事だけを

決めると、グッとまるで気合を入れる様にガッツポーズをし!…シロはシロで

そんな店主の様子に更なる疑問を感じ…だが店主はそんなシロの事など御構い

無しに!…突如マサツグに声を掛け出すと、話に付き合うよう求める!…


「チョイとそこのお兄さん!…いつまでそこに座り込んでるんだい?…

用がないならチョイとばっかし私の話し相手になっとくれよ!…

さぁびすするよ?…」


「ッ!…え?…お、俺!?…

いやこの店に有る物で話は出来ないと思うんですが?…」


「そんな事はとっくに分かってるよ!…

情けなくそんな所でしゃがまれても迷惑だから言ってるんだ!…

別に話しも店に有る物で話をしようとして居る訳じゃない!…

寧ろ話が有るのはその白い子についてだよ!…」


「ッ!…え?…シ、シロ?…」


__チョイチョイ!!…チョイチョイ!!……………スッ…


魔女の店主は自身の居るカウンター前に魔法で椅子を出現させ!…サービスすると

マサツグに持ち掛け手招きをすると、笑顔を見せる!…すると当然店主に話し掛け

られた事でマサツグは困惑!…話を合わせられるか不安を覚えた様子で遠慮しよう

とするのだが、逆に魔女の店主に文句を言われる!…その際話の内容についても

シロの事とマサツグに話し、それを聞いてマサツグは更に戸惑い!…魔女の店主は

今だマサツグに手招きを続け、マサツグもマサツグで戸惑いながらもその店主の

手招きに誘われるがままその出された椅子に座ると、早速シロについての話を

される。


「なぁに、取って食いやしないよ!…ただ2、3程聞きたい事が有るんだ…」


「は、はぁ…」


「……あの子フェンリルだね?…何処で拾って来たんだい?…」


「ッ!…何で分かった!…てか拾った事も!?…」


魔女の店主はマサツグに聞きたい事が有ると!…カウンターに両肘を着いて手を

組むと顎を置き…マサツグを横目にシロやマリーの喜ぶ姿を見詰めると、戸惑う

マサツグの返事など御構い無しに!…早速シロについての質問をする!…そして

その質問と言うのも実に直球で、シロがフェンリルである事!…拾い子である事等

サラッと聞き、マサツグもまるで言い当てられた様な気がしては肯定するよう

戸惑い!…そんなマサツグの様子に店主も笑いながら当たり前!と言った反応で

話しを進めると、更に質問を続ける!…


「ッ!…クックックッ!!…

そんなもの見れば分かる!…伊達に長生きはしとらんよ!…

…まぁそれは良いとして…その子を何処で見つけたんだい?…

フェンリルにしては毛色が?…能力が偏って見えるのじゃが?…」


「ッ!……スプリングフィールド…

そこの大森林に有る廃墟となった教会に卵となって置かれて有った…

建物が全壊に近い状態になった時に見つけて…

その時俺を最初に見たせいか俺を親代わりに見る様になって…」


まるでその道のプロと言わんばかりに笑って見せ!…更には伊達に長生きもして

居ないと豪語すると、直ぐに話を元に戻す!…その際次に聞き出したのはシロを

拾った場所についての話で、先程まで笑って居たにも関わらず!…突如スンと

神妙な表情に戻ると何か違和感が有る様で!…シロの能力も看破した様で質問を

続けると、マサツグも何故か妙なまでに素直に答える。この時大陸から場所まで

状況と、シロが慕ってくれて居るのも刷り込みと言った様子で…別に特段変わった

事はして居ないとばかりに!…その魔女の店主の質問に対して淡々と説明を続けて

居ると、やはり魔女の店主は首を傾げる!…


「ッ!…卵!?……ふぅ~む…

…そいつはちぃっとばかし可笑しいな?…

フェンリルはそもそも卵は産まん!…奴らは胎生じゃ!…

…もしかすると何か良からぬ事が有ってそこに

運ばれて来たと考えるべきか?…何方にせよ有り得ん!…

…後言っておくがあの白い子は別に刷り込みで主の事を

親と思って居るようでは無いぞ?…」


「ッ!…え?…」


「…アレは真に心の底から主の事を親と認めて居る!…

嘘偽りの無い愛が見て取れる!…でなければあの様に懐く筈もない!…

…まぁ一体如何言う経緯でそうなったかまでは推測出来んが…

親として見ると同時に……ん、何じゃ?…如何し?…ッ!?…」


魔女の店主が疑問に思った理由…それは卵と言うワードに有り、勿論の事ながら

フェンリルは卵生では無い事を明かすと、その卵で生まれて来た理由について

考え出す!…そして店主の中で一つの結論が直ぐに出たのか、スッと姿勢を

正すと腕を組んで考察し!…なんにせよ可笑しい事には変わりないと!…この時

シロのマサツグスキスキ症候群は刷り込みでは無い事を説明すると、その言葉に

マサツグは戸惑う!…マサツグの中では生まれた際の刷り込みだと考えて

居た様で、魔女の店主はそれを否定する様に改めてシロに好かれている理由を

話し…その際シロの恋愛的な所にも触れようとするのだが、その前にマサツグの

様子が可笑しい事に気が付くと、その何故か泣いているマサツグの姿を見るなり

戸惑うのであった!…

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