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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章六十四節 お仕置きの皇女とレイヴンの師匠と怪しい貴族!…-

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儀礼終了後…女王様がアヤに抱き付いたり仁王様を出したり…とにかく色々

有ったな…と言った感じで思い出しながら歩いて居ると、マサツグは女王様の

部屋の前までやって来る…その際レイヴン達とは別行動をする事になったのだが、

レイヴンはレイヴンで何か気になる事が有るらしく…オーディックも防衛戦を

終えた今、同胞達の事が気になる様子でパーティから離れると、パーティは

マサツグとシロだけが残されていた。さて女王様の部屋の前まで辿り着くと、

マサツグは扉をノックしようとするのだが…中からは何故か物音一つせず、

そして妙な不気味さが感じられ!…思わずシロと一緒になって警戒心を働かせて

居ると、扉の向こうより女王様に声を掛けられる!…


__……ゴゴゴゴゴゴ!!!…


「……妙に圧を感じるのはなんでだ?…

夜潜入した時はこんなの感じなかったのに!…」


「……マサツグ様?…どうぞ入って下さいまし?…」


「ッ!?………し、失礼しまぁす……ッ!?…」


まるでマサツグ達の気配でも察知した様に!…女王様は扉越しにマサツグ達へ

部屋に入って来るよう声を掛けると、その女王様の声にマサツグとシロが

驚く!…それこそ警戒をしている最中に声を掛けられたので、シロと互いに

顔を見合わせては思わず無言で見詰め合い!…そして恐る恐る視線を戻し!…

やはり警戒をした様子でドアノブにスッと手を掛けると、一応声を掛けながら

扉を開けて中に入って行くのだが…そこに居たのは笑みを浮かべる女王様の

姿で、更にはアヤの姿も見つけるのだが白目を剥いては口から泡を吹いていた!…


「アバババババ!…」


「…ごめんなさいまし?……少々お仕置きをして居た所で?…」


「い、いやいや!…お仕置きで抱き石って!?…

…ま、まぁ人様のご家庭の事情は置いといて…ご、ご用件は?…」


「ッ!…あぁ、そうでした!…お呼び立てしたのに申し訳ありません!…

…改めてお礼をと思いまして…」


その場で正座させられては足の上に板状の石を置かれ、さすがにその足の下に

ギザギザの木の板は無いのだが…それでもアヤが苦悶の表情を浮かべると、

言葉にならない言葉を挙げていた!…そんなアヤを見張るよう女王様も立ち

尽くすと、マサツグに見苦しいモノをとばかりに謝り!…アヤの状態について

お仕置きと笑みを浮かべながら説明をし!…その説明を受けてマサツグも

慌てた様子でツッコミを入れると、終いにはもう疲れた様子で流そうとする…

そして改めて呼ばれた件についてマサツグが女王様に質問をすると、女王様も

ハッと思い出した様子で…マサツグに再度謝っては軽く頭を下げ、そして

要件についてお礼を言いたくてとマサツグに説明をすると、マサツグはその

説明を聞いて不思議そうにする。


「へ?…お礼?…」


「…はい……今回オークの集落を助けて下さった事!…

並びにダークエルフ達との和解!…更には今日有った大戦!…

…本当にありがとうございました!…感謝しても仕切れません!…

何とお礼を言いましょうか?…」


「ッ!…あぁ!…頭を挙げて!!……

いや、仕事で受けただけですからそんな畏まらなくても!…」


「…付きましてはもう一つお願いがあるのですが?…」


いつもの気の抜けた返事をするとマサツグの頭の上では、マサツグの気持ちを

代弁する様にシロが不思議そうに首を傾げて居り…そんなマサツグ達の様子に

女王様も微笑みつつ…如何言う事かを説明すると、オークの集落の話から

順番に話して行く!…その際どれもこれもマサツグ達の功績と言った様子で

感謝をすると、再び深く頭を下げ!…それを見てマサツグも慌てて止めに入り!…

そこまで感謝をしなくても!…と付け添える様に言葉を口にすると、女王様も

頭を上げて更にあるお願いをしようとする。その時の女王様はまるで何か拾い

物をしたと言った様子でマサツグ達の事を見て居り、マサツグもそんな女王様の

様子を見て瞬時に戸惑いを覚え!…一体何をお願いされるのか?とマサツグは

途端に身構え、女王様もマサツグにそのお願いを口にしようとすると、突如

部屋の扉よりノックが響く!…


__コンコンッ!…


「ッ!……何方ですか?…」


「お久しゅうございます…十貴族が一人…に御座います…」


「ッ!…クラウス?…はて何処かで聞き覚えが?…」


まるで女王様のお願いを遮る様にノックが!…これには二人ともハッとすると、

途端に離れ!…マサツグは安堵の溜息!…女王様は若干残念そうな表情を

見せると、そのノックの主に対して声を掛ける。するとその扉の向こうからは

自らの事を十貴族と名乗ると、と言う名前が帰って来て!…

当然その名前にマサツグは聞き覚えがあり!…誰だっけ?…と言った様子で

引っ掛かった様な表情を浮かべて居ると、女王様は入って来るよう声を掛ける。


「ッ!……入って来なさい…」


__ガチャッ!…キイイィィ!…


「…女王様…件よりお願いされて居た物ですが…ッ!…

失礼…来客中でしたか…」


__……チラッ?…チラッ?……ッ?…


女王様に許可を貰った事でクラウスは入室…そこでマサツグが見た者は

まさに乙女ゲーから出て来た様なイケメンのエルフで、綺麗なシルバー

ロングに三つ編みと…まるで何処かの研究員みたく白衣を着ており、

手も足も長いモデルの様な体系のメガネのエルフであった。その際外見を

簡単に説明すると某・に〇さん○に所属する探偵の様で…ただ違う事が

有るとするなら当然中身、見た目通りにクールな様子で女王様に用件を

伝えようとすると、マサツグの姿を見るなり止まってしまう。まるで

話す事は国家機密と言った様子でマサツグに警戒した様子を見せて居り…

だが視線はやはりチラチラとマサツグに向けられており、マサツグも

その様子を見て何事か?と言った様子で固まって居ると、女王様は構わないと

ばかりに返事をする。


「構いません…どうかされましたか?…」


「…はい…目途が立ちましたのでご報告を…

…それと国周辺が何やら…慌しい事が有った様なのでその確認と…

…失礼…そこの君!…」


「ッ!…は、はい?…お、俺?…」


「君…何処かで世にも珍しい動く骸骨と接触した事は無いかね?…」


{ッ!?…思い出した!!…これレイヴンの師匠だアアァァ!!!…}


クラウスは女王様の返事を聞いてその用件を話し出すと、何やら依頼されて

居たのか目途が立ったと…更にはあの防衛戦の惨状を見たのか、その事に

ついても質問をし……だがそれ以上に気になったのはマサツグの様で、

女王様に謝りつつスッとマサツグの方へ振り向くなり君!…と声を掛けると、

その突然の呼び掛けにマサツグとシロは一緒になって驚く!…そうして

マサツグが慌てつつもクラウスに返事をすると、クラウスは恐らくレイヴンの

事であろう骸骨の話をし!…マサツグもマサツグでその質問を受けてハッと

漸く思い出し!…はぐらかすかどうかについて考えて居ると、ここでバッド

タイムとばかりにレイヴンが走って来る!…


__ダッダッダッダッダッダッ!!…バァン!!!…


「し、失礼します!!!…マサツグ居る!!……ッ!?…」


「ッ!……これはこれは…

何処かへ逃げていた研究資料モルモットが戻って来たじゃあないか!…

今までどこに逃げて居たのやら?…」


「し、師匠!!……ッ!!……」


失礼と分かって居ながらもレイヴンは駆けて来るなり慌てた様子で扉を

ぶち開け!…マサツグに用があると言った様子で声を荒げるのだが、

そこでマサツグと一緒に自分の師匠…クラウスの姿を見つける!…当然

そのクラウスの姿を見てレイヴンが堪らず怯むと、クラウスも振り

返ってはレイヴンを見つけ!…不敵にメガネを弄っては徐々に怪しい

笑みを浮かべ出し!…弟子との再会を喜ぶよう言葉を口にし始めると、

やはりマッドなのかその言葉遣いも怪しくなる!…そしてそんな様子を

見てしまったマサツグも自身の顔に手を当てると、遅かったと落胆し…

運命の再会を果たした所で!…女王様だけは冷静に状況をまとめるよう

声を掛けると、まずはレイヴンの話から聞き出す!…


「……ンン!!……レイヴン様?…まずは何が有ったのですか?…」


「ッ!!……は、はい!…

あのワイトが書いたであろう日記が少し気になって調べてみた所!…

師匠がと言う事が分かりまして!…」


「ッ!…ほぅ?…お前以外にワイトが居るとは…

もっと早くに戻って来るべきだったな…」


場を落ち着かせる様にワザとらしく咳をすると、女王様はレイヴンに問い掛け…

その女王様からの問い掛けが有った事でレイヴンもハッと我に返り!…儀礼後

マサツグ達と別れた時の理由を話し出すと、強襲して来たワイトの日記について

話を続ける!…レイヴンの言い分ではその日記はクラウスが使っている物と

一緒と、難癖に近い様な証拠の話を持ち出し!…当然クラウスもレイヴンの

話を聞いていない様子で!…ワイトが居たと言う事実だけに興味を持つと、

レイヴンの話を流してしまう!…だがレイヴンはまだ終わらないとばかりに

更なる証拠を提示すると、クラウスの攻略に乗り出し始める!…


「それにオークの集落で出た巨大スライムの体内より!…

コアを手に入れて調べた所!…

これも師匠が得意として居る魔法唱列!…

ほぼピタッと一致している次第であります!…

…もしかするとこの騒動を起こした元凶は!!…」


「ッ!?…オ、オイそれって!?…」


「お前は師である私を告発する…と言う事だな?…」


「……疑いがある以上は!…」


次にレイヴンが取り出したのはあのオークの集落で神隠しの原因となって居た

スライムのコアで、そのコアに使われている魔法の文字列がクラウスの使うモノに

似て居ると!…まるでそのコアを作ったのはクラウスと言う様に説明をし!…

もはや犯人と言った様子で言葉を続けると、さすがのマサツグも戸惑い出す!…

そうしてその言葉を聞いてかクラウスもメガネを弄ると口車に乗っかり出し!…

レイヴンに威嚇するよう言葉を強め!…まるで覚悟が有るかどうかを問い掛ける

様に言葉を続けると、レイヴンも覚悟を決めた様子で返事をする!…さてこうして

レイヴンVSクラウスの論破勝負が始まった訳なのだが、クラウスはその勝負に

おいて余裕の態度を見せて居り!…レイヴンはレイヴンでおっかなびっくり!…

女王様の部屋が突如裁判所みたく緊張感に包まれると、マサツグとシロは傍聴人と

化していた!…


{…何これ?…如何すればいいの?…何でこんな展開に?…}


「……待ちなさい!…」


__ピクッ!……


「…話をするなら会議室に!…これは場合によって大変な事になります!…

人を集め!…それぞれの意見を聞いた上で判断しましょう!…

……マサツグ様も如何かご出席を!…」


「ッ!…えぇ~……」


ただその場の展開に付いて行けずマサツグは困惑し!…オロオロとした様子で

レイヴンとクラウスの二人を交互に見ると、仲裁するかで悩み出す!…しかし

そんなマサツグより先に動いたのは女王様で、この話をするに当たって場所が

悪いと!…事と次第を考えた様子で人も集める様にと声を掛け!…一旦はその

論破勝負も保留の方向へと動き出すと、その女王様の手腕に感謝するよう

マサツグは一息吐く!…だが当然それで終わる訳も無く、その論破勝負をするに

当たってマサツグも同席するよう女王様に言われると、途端にマサツグはえ!?…

と言った戸惑いの表情を見せては再度固まる!…そしてそんなマサツグ達の様子を

見てか…アヤも恐る恐る女王様に声を掛けると、いい加減に解放を求める!…


「……あのぅ~…ッ~~!!…お、お母様?…

そろそろ私…ッ!!…解放して欲しいのですが?……」


「ッ!………もう少し反省してなさいな♪…」


「ッ!?…え?…いやでも…」


「反省……してなさいね?…」


「………はい…」


抱き石の痛みに耐えつつ!…何とか解放して貰おうと女王様に声を掛けるのだが、

女王様はチラッとアヤを見ただけでニコッと笑い!…まだ足りないと言った様子で

反省を促すと、そのままお仕置きを続行する!…勿論その返答が帰って来た事で

アヤは戸惑うと、再度解放を訴えようとするのだが…その発言すら許さない様子で

女王様は圧を掛け!…また背中から仁王様を出現させようとすると、アヤもそれに

気が付いては遂に諦める…そしてその様子を見て居たマサツグ達はと言うと、勿論

女王様が鬼に見え!…シロもシロで若干怯えた様子を見せ、シロを怯えさせる

女王様…恐ろしい人!…と言った様子でマサツグが衝撃を受けて居ると、その間

にも女王様はテキパキと事を進める!…


「誰か!…誰か居ませんか!…」


__……タッタッタッタッタッ!!…


「お呼びでしょうか?…女王様!…」


「これより大事な話をします!…今すぐ十貴族!…

並びにリリーとアルスを!…

出来れば中立としてマルティス様達を!…」


「ハッ!…我らが女王陛下ユア・マジェスティ!!…」


まずは大開きになった扉に向かい人を呼び出すと、衛兵を一人呼び…

すると衛兵が駆けて来た様子で部屋の中に入り!…何食わぬ顔で

女王様に用件を聞き出すと、女王様はその衛兵に人を集めるよう指示を

出す!…その際呼ぶに当たって錚々たるメンバー!…十貴族とエルヴン

ナイツとマルティス達を呼ぶ様に言い、それを聞いて衛兵も会釈!…

返事をした後直ぐに呼ぶよう駆け出して行こうとすると、その話を

聞いていたのかマルティスが姿を現す!…


「……その必要は無い…」


「ッ!?…ま、マルティス様!!…」


「……ついでにこの男も捕まえて置いた…

今回の件に関して適任では無かろうか?…」


「もう!…説明も無しに振り回そうだなんて!…

酷いじゃない!?……って、あらいい男達♥…」


何故そこにマルティスが居たのかは不明なのだが…女王様の呼び掛けに

対して大丈夫と言いながら姿を現すと、当然の事ながら女王様は驚き!…

マサツグ達もそのマルティスの出現具合に神出鬼没と言った様子で

戸惑って居ると、マルティスは更に一人で話を進める!…その際都合が

良いとばかりにもう一人同席させるよう言うと、何処からともなく

ロディを引っ張り出し!…ロディはロディでマルティスに酷いと言っては

文句を言い!…そしてその場に様子に気が付いた様に反応すると、次には

目移りするとばかりにマサツグやクラウスに視線を送る!…


__ギラッ!…ギラッ!…ゾクウゥ!!!…


「……ふむ、素晴らしい程の筋肉量…

それを作るに当たって眠れない夜も有っただろうな?…」


{ッ!?…コイツあの視線を向けられても平然としてるだとぉ!?…

鋼の精神をしてんじゃないのか!?…}


「ッ!!…んま!?…分かって下さるぅ!?…」


勿論その視線はギラ付くと肉食的な意味で見て居り!…その視線にマサツグが

寒気を覚えると、その一方ではクラウスがクールに構える!…それも冷静に

ロディの肉体をマジマジと観察した上で、徐に感想を口にし始め!…その突然の

クラウスの感想にマサツグはマジか!?と驚き!…鋼の胆力!…コイツに

恐怖心は無いのか!?と続けて考えて居ると、ロディもそのクラウスの言葉に

反応して途端に感激する!…さてそうして理解者が居たとばかりにロディが

目を輝かせて居ると、それに対して当然対抗する様に!…女王様も途端にロディの

登場に反応して!…何ならクラウスの言葉にロディがときめいて居る事に

気が付くと、妙な対抗をし始める!…


「ッ!?…ロ、ロディ様!?……ッ!!…ンン!!…

ナ、ナイスバルクですわぁ!!…大胸筋が闊歩してるぅ!!!…」


「ッ!?…じょ、女王様!?…」


「ッ!…うふふふ!!…ぐおぉ注目!!…

ぅありがとうございまぁ~す!!!」


「アンタもポージングをしている場合か!!」


ロディ愛に突如火が点いたのか!…女王様はクラウスに対抗してロディの筋肉を

褒め始めると、その女王様の反応にマサツグが戸惑い!…ロディもロディで

声援を受けた事で!…いつもの様に入りから徐々にポージングを決めて行くと、

女王様へファンサとばかりにサイドチェストをプレゼントする!…するとその

サイドチェストを見て女王様は恍惚の笑みを浮かべ出し、レイヴンもそんな

様子にそれ所じゃ無い!とツッコミを入れ!…最終的にはマルティスが話を

仕切り出し!…とにかく会議室でその件のクラウスの件について話し合いを

する事が決まると、一同は会議室に向かうのだが…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……おい本当にやるつもりか?…

幾ら嫌っているとは言え相手はお前の師匠だぞ!?…

それに証拠もたかが知れて…」


「いや!…それでも確認しないといけない事が沢山有るんだ!…

…確かに勝てるかどうかについては怪しい!…

だが真意を問う事位は出来る筈!…それだけの証拠も見つけて来た!…」


「ッ!?…え!?…」


会議室へ向かう道中!…マサツグ達は女王様に引き連れられる様にして歩いて

居ると、徐にマサツグがレイヴンに質問をし始め!…勿論内容はクラウスの

告発についてで、正気か?…と周りに聞かれないよう小声で相手が師匠である

事も含めて尋ねると、レイヴンはそれでもやる!とばかりに返事をする!…

この時レイヴンからは真剣さが伺えると、同時に覚悟を決めた様な様子が

伺え!…更にはマサツグの問い掛けに対して証拠はまだあると!…何やら

自信有り気な様子でクラウスの背中を一点に見詰めると、そんなレイヴンの

様子にマサツグは小さく驚く!…この時そんな二人の様子に気付いてか

知らずか、クラウスは鼻で笑い!…そんな話をして居る内にマサツグ達は

会議室前へと辿り着き!…いざ女王様を先頭にマサツグ達が会議室の中へ

足を進めると、そこには既に集まった様子で十貴族やリリー達が席に付いて

居た!…


__ガチャッ!!…ギイィィ!!……ッ!…ガタッ!!…


「これはこれは女王陛下!…こんな時間にお呼び立てとは…

何の事件に御座いますかな?……それも珍しい者達まで従えて…」


「……口には気を付けなさいマンセール!…

この方達はこの国を救って下さった英雄の方々なのですよ?…

…あなたと違って!…この国の為にと!…

自ら剣を取った方達なのですよ?…慎みなさい!…」


__……チッ!…


女王様が会議室に入ると座って居た者達は立ち上がり!…女王様に対して

一礼をすると、ふとその後ろを付いて来て居たマサツグ達に視線を向ける…

そして挨拶をする際用件を聞き始めると、ついでとばかりにマサツグ達を

弄り!…するとその言葉に女王様はムッとし!…怒る様にその弄って来た

者を叱咤すると、同時に苦言を口にする!…その時その者は何をして居た

のか、恐らく逃げて居たであろうと口にし!…それを言われてその者は

黙ってしまい!…マサツグ達の事をジッと見る様な恨めしい視線を向けると、

リリーが威嚇する様に咳払いをする!…


「……ンン!!…言動と態度に気を付けられよマンセール卿?…

貴方はただでさえ素行が悪いのだ!…それ以上何かやろうものなら…」


「ッ!!…な、何をやろうと言うのだ!?…

私は栄えある純血種の十貴族!!…」


「純血種で有ろうともやって良い事と悪い事の区別もつかない下種野郎に!!…

栄えあるなど恐れ多い言葉を口にしないで頂きたい!!…

既に証拠も集めて有り!…

後はこの事を女王陛下にご報告するだけだと言う事を!…

覚悟して置いて下さい!…

…そしておそらくこの会議が貴方の最後の仕事となるでしょう!…」


「グッ!!…で、出鱈目を!!……いいだろう!!…

もし無罪だった場合貴様の首を!!…」


リリーはそのマンセール卿と言う者に対して高圧的な態度を取ると、更に注意を

促し!…その際お前にも用が有るとばかりに!…何か引っ掛かりを覚える様な

言い方をすると、そのリリーの言葉にマンセールは慌て出す!…その際権力を

笠にリリーに対して牽制を取ろうとするのだが、リリーは全く怯まず!…寧ろ

隣に座って居たアルスも乗っかる様にゲス呼ばわりをし始め!…見違えた様に

一応丁寧な口調?…で更に圧を掛けると、マンセールは更に慌てる!…そうして

慌てながらも開き直った様子で言葉を口にすると、更に権力を振り翳そうとし!…

だがそんな話をしたくて集まった訳では無く!…女王様は更に怒りを覚えた

様子でマンセールに視線を向けると、遂には一蹴してしまう!…


「黙りなさい!…それに関してはまた後日!…

しっかりと話を聞かせて貰います!……それよりも…

まずはここに居るクラウスの事について話し合います!…

…互いに向き合う様に座って貰って!…

レイヴン様には証拠を一つ一つ提示して貰います!…

それを我々は見定め判断する!…それが今回の目的です!…

…レイヴンさん?…覚悟は出来て居ますか?…」


「ッ!……はい!…やらせて頂きます!…」


「結構…では私達の他に数名!…

判断材料としてダークエルフより代表!…マルティス・フラフィ・ベラドッナ!…

ギルドより代表としてロディ・ガンブレオ氏に同席して貰います!…

…お二方!…今回よろしくお願いし致します!…」


「ッ!?…ま、待って下さい女王陛下!…ダ、ダークを同席させる!…」


全く反省の色を見せないマンセールに対して遂に女王様は怒る!…それ以上の

発言は許さないとばかりに怒気を強めると、マンセールを一蹴し!…今は別の

要件でここに呼んだ!と全員を改めると、会議室内を沈黙させる!…そんな

女王様の怒り様に当然全員が驚いた様子で反応すると、誰もが戸惑い!…

だが女王様の勢いは止まらず!…続けてそのやり方についても怒気を残したまま

説明をしてしまうと、徐々に冷静さを取り戻してはレイヴンに確認を取り

始める!…当然その問い掛けに対してレイヴンは戸惑った反応を見せるのだが、

気を取り直した様子で返事をし!…そのレイヴンの返事を聞いて女王様も頷いて

同意をし、更に他二名!…マルティスとロディを同席させる事を無理矢理

十貴族!…エルヴンナイツの二人に同意させると、二人に改めて協力を仰ぐ!…

すると当然ダークエルフへ協力を仰いだ事に対して反発が生まれようとする

のだが、マルティスはその反発しようとした者をジッと見るなり!…何やら

呆れた様子で溜息を吐く!…


「………はあぁ~…何と情けない…」


「ッ!?…な、何ぃ!?…貴様!!…この十貴族の[接ぎ木の]!!…」


「……汝、そこのマンセールと言う者と共謀してエルフを売っているな?…」


__どよ!?!?………


マルティスはその者の何かを見たのか…ただガクッと落胆した様子で項垂れると、

情けないと呟き!…そのマルティスの言葉に対して溜息を吐かれた者が反論しよう

とすると、マルティスはすかさず先程のマンセールと関係して居ると話し出す!…

その際耳を疑う事に同胞を売って居ると爆弾発言をし始め!…その言葉に溜息を

吐かれた者は絶句し!…何なら会議室全体にどよめきが走り!…当然その話を

聞いて女王様もえ!?…と戸惑い様を露わにすると、リリーはすかさずアルスに

指示を出す!…


「……アルス!…今の聞いたか?」


「…直ちにディスカント卿の屋敷に兵を送ります!…」


「ッ!?…ちょ、ちょっと待て!!…

貴様、この様な穢れた血の者の言う事を信じると言うのか!?…

ただの狂言に!!…」


リリーはアルスにマルティスの話を聞いたか如何かについて尋ね出し!…

その質問を受けてアルスが席を立つよう動くと、即刻兵を動かすと答える!…

まるでマルティスの話を全く疑う様子もなく鵜呑みにした様で、当然その

話を聞いてかディスカントは途端に慌て出し!…まるで説得するよう

マルティスの事を穢れた血と言って話して居る事全てを嘘と否定しようと

すると、更にマルティスはディスカントを見詰めた後こう続ける!…


「…こやつの屋敷の地下に数名…

…それも相当恨まれているのか汝の背より怨念…

一つや二つでは無いな?…

最近寝苦しく感じた事は無いか?…

その怨念に毎夜首を絞められているぞ?…」


「で、出鱈目を言うな!!…な、何が怨念!!…」


マルティスはお得意の透視でその悪行を見抜いたのか、迷う事なく暴露し!…

更にそのディスカントの背中…後ろを見詰め、何かマルティスには見えて居る

のか悲しい表情を浮かべると、怨念が憑いて居ると更に話す!…この時ディス

カントに心当たりが無いかについて、具体的に尋ねると!…ディスカントは

心当たりが有るのか自身の首を押さえ!…更には明らかに動揺が見て取れる

様子でそのマルティスの言葉を否定しようとすると、マルティスは御構い無しに

話を続ける!…


「……そうか…では今晩あたり気を付けるが良い…

その怨念は確実にお前の命を狙っている…

それから逃れるにはもう術は無い!…ただ死ぬのを待つだけだ…」


「ッ!?…こ、この穢れた!…」


__バシュン!!…ドガアアァァ!!!!…ッ!?……


その際今日が最後と言ってディスカントの事を見限ると、女王様が座るで

あろう隣の席に座り…我関せずを見せては死刑宣告を!…ディスカントに

真顔でどうしようもないと止めまで突き付けると、その言葉に慌てたのか

ディスカントは再び愚弄する!…だがそれが引き金となったのか女王様が

怒るよりも先にマサツグが動き!…ディスカントの顔面目掛けて

右ストレート!…何なら刹那も発動した様子で殴り飛ばすと、ディスカントを

壁に叩き付ける!…


「ッ~~~~!!!!…ガフゥ!!!…」


「……怨念の前に俺が先にテメェをあの世へ送ってやろうか?…」


「……ふむ…」


「…先に言ってなかったから警告しておく!…

これは他の連中含めてだ!…

例え俺の事を馬鹿にしようが如何でも良い!…

だが俺の前で俺の仲間を侮辱してみろ?…

誰であろうとキッチリ落とし前をつけさせる!……分かったな?…」


ディスカントの左頬に痛烈な一撃!…そのまま吹き飛ばされたディスカントは

受け身を取る事無く壁に激突!…エジプトの壁画みたく漫画の様に壁へ減り

込むと、事切れた様に気絶をする!…そして殴り飛ばした後にマサツグが

キレた様子で言葉を口にすると、周りの者達はそのマサツグの突発的な行動に

驚き!…マルティスはその減り込んだディスカントを見ては何か見たのか?…

ただ一言だけふむ…と零すと、それ以降ディスカントに対して視線を向ける

事は無いのであった…そしてマサツグの怒りは更に続くのか、周りの者達に

対しても向けられ!…全員に警告するよう強めの言葉で眼光を鋭く文句を言うと、

その言葉に対してレイヴンがツッコミを入れる!…


「……にしてもやり過ぎじゃね?…

それ生きてるかどうかすら怪しいぞ?…

…完全に壁に減り込んでるし?…」


「え?…あぁ!……」


「シロがご主人様のぶじょくを許しません!…

…ご主人様、ぶじょくって何ですか?」


「……シロちゃん?…今それ所じゃない!…」


マサツグに改めて自覚させるようディスカントを指差し…殺したかも?と

マサツグに注意を促すと、マサツグもそれを言われてハッとする!…

するとそこにはやはり壁に減り込んだ初老の男性エルフが気絶しており、

エルフよりも壁の方を心配した様子でマサツグがオロオロとして居ると、

マサツグの肩の上ではシロが威張る!…その際マサツグの真似をするよう

許さない!と言うと、胸を張って鼻息を荒くするのだが…侮辱の意味に

ついて分からなかったのかマサツグに意味を尋ね出し!…そんなシロの

様子にマサツグがツッコミを入れつつ弁償と心配をして居ると、会議室内は

シンと静まり返るのであった!…

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